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Microsoft SharePoint Server 2010SharePoint Server 2010Web SharePointSharePoint Server 2010 SharePoint SharePoint Server 2010 SharePoint SharePoint Sha

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(1)
(2)

■ この電子書籍に関するWebサイトによる情報提供について

 この電子書籍に関するご質問方法や訂正情報は、最終ページに記載したWebページ をご参照いただくようお願いいたします。本文「はじめに」などに記載しているWeb ページやFAX番号は古い情報ですので、ご使用にならないようお願いいたします。

(3)

組織内の情報共有を効率化しユーザー間の双方向のコミュニケーション促進を行えるようにする製品です。 SharePointサイトを有効活用するにはSharePoint Server 2010に精通したSharePointサイト管理者 を育成することが大切です。この管理者には次の要素が不可欠です。   ・業務に精通している   ・SharePoint Server 2010の標準機能を一通り把握している  SharePointはあくまでも現在の業務効率を向上させるために利用する道具にすぎません。したがって、 「人」がどの業務にどのようにSharePointの機能を適用するかという判断や運用ルールを決めることがで きなければなりません。  業務に適する形でSharePointサイトを活用するには、ユーザーとしてどのような機能を利用ができる のかを把握しておく必要がありますが、エンドユーザー向けの操作ガイドとしての位置付けにあるのは SharePoint Server 2010に付属するヘルプです。しかし、ヘルプは辞書的な利用を前提としているため、 体系立てた学習には不向きです。

 本書は、業務に精通している方がSharePoint Server 2010の標準機能を一通り把握し、SharePoint サイトの作成や管理ができるよう体系立てた学習を支援するために執筆しました。  SharePoint Server 2010が持っている機能は非常に多岐にわたります。本書はその一角のみをご紹介 しているにすぎませんが、初心者の方は本書を読破するだけでもかなりの労力が必要ではないかと思いま す。実際に操作できる環境を用意し、本書を手元に置きながら繰り返し読み返していただくと十分な基礎 力が身に付くはずです。本書が少しでも皆様の業務に役立てば幸いです。 2011年7月 著者一同

(4)

3)

はじめに

 本書では、次のように表記しています。 ■ リボン、ウィンドウ、アイコン、メニュー、コマンド、ツールバー、ダイアログボックス の名称やボタン上の表示、各種ボックス内の選択項目の表示を、原則として[ ]で囲んで 表記しています。 ■画面上の 、 、 、 のボタンは、すべて▲、▼と表記しています。 ■ 本書でのボタン名の表記は、画面上にボタン名が表示される場合はそのボタン名を、表示 されない場合はポップアップヒントに表示される名前を使用しています。 ■手順説明の中で、「[○○]メニューの[××]をクリックする」とある場合は、[○○] をクリックしてコマンド一覧を表示し、[××]をクリックしてコマンドを実行します。 ■手順説明の中で、「[○○]タブの[△△]の[××]をクリックする」とある場合は、[○ ○]をクリックしてタブを表示し、[△△]グループの[××]をクリックしてコマンド を実行します。  トピック内の要素とその内容については、次の表を参照してください。 要素 内容 ヒント 他の操作方法や知っておくと便利な情報など、さらに使いこなすための関連 情報を紹介します。 用 語 初出の用語や専門用語をわかりやすく説明します。 注 意 操作上の注意点を説明します。 参 照 関連する機能や情報の参照先を示します。 ※その他、特定の手順に関連し、ヒントの参照を促す「ヒント参照」、参照先を示す「手順内参照」もあります。

本書の表記

 「ひと目でわかるシリーズ」は、 知りたい機能がすばやく探せるビジュアルリファレンス というコンセ プトのもとに、

SharePoint Server 2010

の優れた機能を体系的にまとめあげ、設定および操作の方法を わかりやすく解説しました。  

はじめに

(5)

使用したソフトウェアと表記

 本書の編集にあたり、次のソフトウェアを使用しました。

本書に掲載されている

Web

サイトについて

 本書に掲載されている

Web

サイトに関する情報は、本書の編集時点で確認済みのもので す。

Web

サイトは、内容やアドレスの変更が頻繁に行われるため、本書の発行後、内容の 変更、追加、削除やアドレスの移動、閉鎖などが行われる場合があります。あらかじめご了 承ください。

訂正情報の掲載について

 本書の内容については細心の注意を払っておりますが、発行後に判明した訂正情報につい ては日経

BP

社の

Web

サイトに掲載いたします。

URL

については、本書巻末の奥付をご覧 ください。

Microsoft SharePoint Server 2010 Enterprise ...SharePoint Server 2010、SharePoint Server

Microsoft Windows Server 2008 Enterprise ...Windows Server 2008、Windows Server

Microsoft Exchange Server 2010 Enterprise ...Exchange Server 2010、Exchange Server

Windows 7 Professional ...Windows 7、Windows

Microsoft Office Professional Plus 2010 ...Office 2010、Office

Windows Internet Explorer 8 ...Internet Explorer 8、Internet Explorer

 本書に掲載した画面は、デスクトップ領域を

1024

×

768

ピクセルに設定しています。ご使 用のコンピューターやソフトウェアのパッケージの種類、セットアップの方法、ディスプレ イの解像度などの状態によっては、画面の表示が本書と異なる場合があります。また、リボ ンのボタンは、ディスプレイの解像度やウィンドウのサイズなどによっては、形状が本書と 異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

本書編集時の環境

Web

サイトによる情報提供

(6)

5)

目次

はじめに

(3)

SharePoint Server 2010

の基礎

3

1

SharePoint Server 2010

とは

4

2

SharePoint 2010

ファミリーの全体像

7

3

SharePoint Server 2010

の役割

10

4

SharePoint Server 2010

の活用例

14

5

覚えておきたい

SharePoint

の基本構造と用語

16

6

SharePoint Server 2010

を構築、運用していくための役割

19

7

2

部以降の読み進め方

20

8

SharePoint Server 2010

を使うための便利な技術情報

21

SharePoint

サイトで共有できる情報の種類の整理

27

1

SharePoint

サイトで共有できる情報の種類の整理

28

画面の基本操作を把握しよう

31

1

リボンメニューとは

32

2

「チームサイト」の構成とトップ画面のレイアウト

34

C

コラム ユーザーとして最低限知っておきたいアクセス権限

43

ページを作成してみよう

45

1

作成できるページの種類

46

2

ページ

51

1

SharePoint Server 2010

概要

1

2

SharePoint Server 2010

のユーザー利用

2

3

4

(7)

3

発行ページ

60

ファイルを共有してみよう

67

1

ドキュメントライブラリの利用方法と利用上の考慮点

68

2

ドキュメントライブラリの操作

71

3

その他の主なライブラリ

93

リストを使ってみよう

97

1

リストの考え方

98

2

お知らせ

104

3

ディスカッション掲示板

107

4

タスク

113

5

プロジェクトタスク

116

6

アンケート

120

7

リンク

123

8

予定表

125

9

連絡先

131

10

案件管理

134

リストとライブラリで共通の機能を利用しよう

137

1

Excel

へのエクスポート

138

2

データシートビューの利用

140

3

通知

142

4

RSS

フィード

145

5

リンクを電子メールで送信

148

6

Outlook

との連携

149

5

6

7

(8)

7)

目次

検索してみよう

153

1

検索の概要

154

2

サイト内のコンテンツを検索する

156

3

リスト

/

ライブラリ内のコンテンツを検索する

157

4

検索センターで「コンテンツ」または「ひと」を検索する

158

5

検索に使うキーワードの高度な使い方

161

ソーシャルネットワーク機能を使ってみよう

165

1

ソーシャルネットワーク機能について

166

2

個人用サイトへアクセスしてみよう

167

3

個人用プロファイルを使ってみよう

168

4

個人用コンテンツを使ってみよう

176

C

コラム 個人用サイトの構成に関する補足説明

178

5

個人用ニュースフィードを使ってみよう

180

6

他のユーザーのプロファイルを閲覧してみよう

181

7

タグとメモ掲示板を活用しよう

182

SharePoint Server 2010

をもっと活用しよう

187

1

Microsoft Offi ce Web Apps

188

2

ビジネスインテリジェンス

189

3

Access Services

による

Web

データベース

193

4

InfoPath 2010

との連携

194

5

Visio Services

を使った情報の可視化

196

6

Business Connectivity Services

を使ったデータ連携

198

8

9

(9)

管理タスクの整理

201

1

管理タスクの整理

202

基本的なサイト管理を行おう

205

1

サイト管理を行うための[サイトの設定]ページ

206

2

サイトの基本設定を行おう

207

3

サイトの外観を変更しよう

210

サイトのコンテンツを管理しよう

221

1

基本的なリスト管理を行おう

222

2

アンケートを作成してみよう

238

3

予定表を複数重ね合わせてみよう

244

4

基本的なファイル管理を行おう

247

5

高度なファイル管理を行おう

258

6

Web

パーツを利用しよう

272

7

Web

グループウェア機能を利用してみよう

274

8

検索のオプション設定を行おう

280

3

SharePoint Server 2010

のサイト管理

11

12

13

(10)

9)

目次

アクセス権限を管理しよう

287

1

アクセス権限管理の基礎知識を身に付けよう

288

2

サイトコレクションの管理者を管理しよう

301

3

サイトのアクセス権限を管理しよう

302

4

リストのアクセス権限を管理しよう

304

5

ライブラリのアクセス権限を管理しよう

308

6

特定のユーザーやグループに適用されているアクセス権限を確認しよう

312

サブサイトを作成しよう

313

1

サイトテンプレートについて

314

2

サブサイトを作成しよう

315

3

サイトを削除しよう

318

フィーチャー(機能)を管理しよう

319

1

フィーチャーの概要を把握しよう

320

2

サイトコレクションの管理者が最低限把握しておきたいフィーチャー

323

3

サイトの管理者が最低限把握しておきたいフィーチャー

324

4

フィーチャーのアクティブ化と非アクティブ化

325

Web Analytics

を使ってサイトの利用状況を確認しよう

327

1

レポートを確認する

328

2

Web Analytics

ワークフローを利用する

335

3

Web Analytics Web

パーツを利用する

340

14

15

16

(11)

サーバーの導入

343

1

SharePoint Server 2010

の構成

344

2

SharePoint Server 2010

のセットアップ手順を把握しよう

346

3

セットアップ完了後の流れ

350

管理ツール

351

1

SharePoint 2010

サーバーの全体管理

352

2

Windows PowerShell 2.0

コマンドレット

353

3

STSADM

354

ファーム構成ウィザードを使用しよう

355

1

ファーム構成ウィザード

356

2

SharePoint 2010

のサービスアプリケーションとは

357

3

ファーム構成ウィザードを使用してサービスアプリケーションを構成する

358

サービス構成後のサーバーの状態

(ファーム内のサーバーの情報)

を確認しよう

361

1

SharePoint 2010

サーバーのトポロジ構成を確認する

362

2

SharePoint

コンポーネントのバージョン番号を確認する

363

ファーム管理者を設定しよう

365

1

ファーム管理者を追加する

366

4

SharePoint Server 2010

のサーバー管理

18

19

20

21

22

(12)

11)

目次

管理アカウントを構成しよう

367

1

管理アカウントを登録する

368

C

コラム

SharePoint

を運用するときに必要になるサービスアカウント

369

Web

アプリケーションを構成しよう

371

1

Web

アプリケーションを新規作成する

372

C

コラム コラムフェールオーバー機能とは

374

2

Web

アプリケーションを拡張する

375

3

Web

アプリケーションを設定する

377

4

Web

アプリケーションを削除する

385

サイトコレクションを作成

/

管理しよう

387

1

サイトコレクションを作成する

388

C

コラム 管理パスとは

389

2

サイトコレクションを削除する

390

3

クォータテンプレートを設定する

391

4

サイトコレクションに設定したクォータテンプレートを後で変更する

392

主要なサービスアプリケーションを管理しよう

393

1

Managed Metadata Service

394

2

User Profi le Service

399

C

コラム

Forefront Identity Manager

とは

406

3

Secure Store Service

407

4

検索サービス

411

5

FAST Search Server 2010 for SharePoint

418

23

24

25

(13)

その他のサーバー設定を行おう

419

1

送信メール設定

420

2

受信メール設定

421

3

フィーチャーを管理する

426

4

代替アクセスマッピングを管理する

429

サーバーを監視しよう

431

1

タイマージョブを監視する

432

2

Health Analyzer

435

3

診断ログを構成する

437

4

Web Analytics

と正常性データの収集を構成する

438

5

開発者ダッシュボードを利用する

440

バックアップと復元を行おう

441

1

バックアップと復元機能について

442

2

バックアップ

443

3

復元

446

4

System Center Data Protection Manger

を使用したバックアップと復元

448

索引

449

27

28

(14)

SharePoint Server 2010

および

SharePoint

ファミ

リーの概要や基礎知識につ

いて説明します。

1

SharePoint Server 2010

概要

1

章 

SharePoint Server 2010

の基礎

(15)

機能を持っています。しかし、その多機能さゆえに、実際に

SharePoint Server 2010

の 導入を検討する際にどこから勉強していけばよいかがわからず、全体を把握するために非 常に時間がかかってしまったり、一部の機能だけしか使わずにシステム評価をしてしまっ たりするケースも多く見られます。たしかに非常に機能が多い製品ですが、個々の機能自 体はそれほど複雑なものではありません。ビジネスシーンにおいて、「それぞれの機能をど う組み合わせて利用するか」という組み合わせのパターンが数多く存在するために、複雑 に見えてしまいますが、それだけ汎用的な利用ができる製品であると言えます。   本 書 で は、

SharePoint Server 2010

の 基 本 機 能 を

1

つ ず つ 解 説 し て い く の で、

SharePoint

を利用するうえでの基礎力が身に付きます。また、執筆陣は

SharePoint

の案 件に長く携わってきており、現場での経験を生かしたさまざまな

Tips

もちりばめているの で、細部までよく読み込んでみてください。

本書の読み進め方

 第

1

部では

SharePoint

にかかわるすべての方を対象に「

SharePoint Server 2010

がど のようなソフトウェアであり、どういった用途に使えるのか?」、そして「どういった思想 で設計をされているソフトウェアなのか」といった解説をします。他にも

SharePoint

の 基本用語なども説明するため、第

1

部は、第

2

部、第

3

部および第

4

部のベースとなる情報 となるので、最初に読み進めていただければ幸いです。  後に続く、第

2

部では

SharePoint

のユーザーとしての利用方法について、第

3

部と第

4

部では

SharePoint

の管理者としての管理方法について説明します。ユーザーの方は、第

1

部と第

2

部をメインに読まれるとよいでしょう。

SharePoint

の管理者もユーザーとして利 用も把握しておく必要があるため、第

1

部、第

2

部、第

3

部、第

4

部の順に読み進めていく と効果的です。

(16)

SharePoint Server 2010

および

SharePoint

ファミ

リーの概要や基礎知識につ

いて説明します。

SharePoint Server 2010

基礎

1

1

SharePoint Server 2010とは

2

SharePoint 2010ファミリーの全体像

3

SharePoint Server 2010の役割

4

SharePoint Server 2010の活用例

5

覚えておきたいSharePoint の基本構造と用語

6

SharePoint Server 2010を構築、運用していくための役割

7

第 2 部以降の読み進め方

8

SharePoint Server 2010を使うための便利な技術情報

(17)

 メールにドキュメントを添付したものは一過性の情報であるため、一度のコミュニケーションならばあまり問題に なりませんが、たとえば、1つのExcelスプレッドシートに複数の社員が情報を書き込むような場合は、どれが最新 かすぐにわからなくなってきます。また、わからなくなるだけでなく途中でファイルのコピーがたくさん作られてし まい、どこかのタイミングで分かれてしまったファイルの内容を結合しなければならなくなったりと、本来だと必要 がない作業中の手戻り、混乱が発生することもあります。  また、システムを管理する観点から見ると、添付ファイルによりメールボックスの容量が圧迫されます。たとえば、 1MBのファイルを100名に添付して送ると100MBの容量が必要になるなど、管理面としても問題が多くなってきます。

メールにドキュメントを添付する

1

SharePoint Server 2010とは

 SharePoint Server 2010は、SharePoint Serverとしては 4 つ目のバージョンの製品となる「情報共有のため のプラットフォーム製品」です。こう説明すると簡潔すぎてわかり難いと思いますので、一例としてOffice 文書 の情報共有例を挙げて説明してみましょう。  職場では WordやExcel、PowerPointといったOffice 製品を使って仕事をされているケースが多いと思います が、Officeを使って作成されたExcelスプレッドシートや文書ファイル(ドキュメント)、PowerPointで作成し たプレゼンテーションの資料などをグループで共有したり、ドキュメントを上司にレビューしてもらったり、共 同でプレゼンテーションを作成したりと、個人だけの作業で完結しないケースも多くなってきているのではない でしょうか?  複数のメンバーで情報共有をする手段として、下記のような情報共有手段がよくとられると思います。 ・メールにドキュメントを添付する ・ファイルサーバーにドキュメントを保存して、保存先へのパスをメールに書いて連絡する ・社内のポータルサイトにファイルサーバーへのリンク先を掲載する  もちろん、これはこれでとても便利なのですが、組織での活動が活発になり、コンテンツの量が増え、さらに 部署異動や転職等で組織の入れ替わりが激しくなってきている現在において、上記の 3 つの情報共有手段だけで は不足してきているのも事実です。たとえば、以下のような問題が発生しがちです。

(18)

5

1章  SharePoint Server 2010の基礎  メールへの添付よりは良いと言える方法です。メールボックスの容量も指数的に増加しませんし、よりシンプルに 共有ができます。しかし、複数の人間がファイルサーバーにアクセスするため、ドキュメントをだれが編集したのか がわかりにくかったり、他の人が編集したデータを消してしまったりする可能性もあります。それを防止しようとファ イル名などを変更して保存すると複数のファイルが乱立することになり、混乱を生じます(※Windows Server 2003以降ではボリュームシャドウコピー機能を使えば、ファイルを不用意に削除してしまっても復元することが可 能ですが、この機能が必ずしも有効になっているとは限りません)。  さらに、ファイルサーバーは各個人のクライアントPCとは違い、ドキュメントの全文検索(ファイル名だけでな く、ファイルの内容まで検索できること)が原則的にできません。また、長く使っていると「自分は必要ないが、だ れかが多分使っているのだろう」とみんなが思っていて、実際にはだれも使っていないということもよくあります。 結果的に、不要なファイルでどんどんファイルサーバーの容量が膨れ上がっていきます。さらに、担当者が変更になっ た際にファイルサーバーに格納されている情報だけでは情報が不十分であり、新しい担当者は「なにがどこにあるか わからない」状況に陥りがちです。  メールへの添付よりはよい方法であると言えます。ただし、このアプローチではファイルに対するアクセス権限の 管理が比較的難しくなります。だれもが見ても問題ないドキュメントならばよいのですが、限定した人や職域(たと えば部長以上)だけアクセスできるドキュメントであるとか、ある特定の業務だけで必要なドキュメントなどは不用 意にファイルの存在を知らせたくありませんし、実際にアクセスも限定したいとなると、ポータルのサイト側とファ イルサーバー側の両方での二重のアクセス権管理が必要になってきます。  また、この方法はファイルの実体をあくまでもファイルサーバーで管理するので、ファイルサーバーが持つ潜在的 な問題を解決することはできません。たとえば、ポータル内のページの文言は検索できるようになっていても、ファ イルの中身は全文検索ができなかったりします。  SharePoint Server 2010は企業で複数の人たちと共に働く環境の中で、情報共有する際に起こりやすい問題を解 決できる機能を数多く持っています。主な機能には情報共有には欠かせないポータルの機能、文書管理や検索などが あり、SharePointを有効活用することで利用者が本来の業務に集中できるような環境を提供できます。  つまり、SharePointを利用することで、下記のようなメリットを利用者が享受できるようになります。   ・必要な人に必要な情報を届ける   ・必要な情報がすぐ簡単に見つかる   ・複数人での協働作業を円滑に行える  ここまで「Officeファイルを中心にした情報共有を行う」ことを1つの例として説明してきました。複数の人々が 企業で働く際に求められている汎用的な機能を搭載しているのが、SharePoint Server 2010であると言えます。  しかし、実際には、企業での業務は非常に多岐にわたり、汎用的な機能だけではすべての人が満足する機能を持つ システムを作ることは現実的には困難です。  そのためSharePoint Server 2010では出来合いの標準機能を使うだけでなく、業務に適したシステムを比較的手 軽に作成できるようにカスタマイズや機能拡張もできるようになっています。個々の業務要素を分解し、各業務に必 要な基本機能を数多く持っており、それらを機能部品(パーツ)として利用できます。業務に合わせてパーツを組み

ファイルサーバーにドキュメントを保存して、保存先へのパスをメールに書いて連絡する

社内のポータルサイトにファイルサーバーへのリンク先を掲載する

(19)

ステム部の方、SIベンダーの方そして社内でもITリテラシーの比較的高い方などのある程度以上の技術スキルを持っ ている方が、こうしたパーツを組み合わせて、ちょっとした業務システムをすばやく作ることができるのです。そこ が、SharePoint Serverとその他のポータルアプリケーションとの大きな違いです。多くのケースでは難しいコー ディングなどは必要なく、管理画面から設定を変更したり、SharePoint Designer 2010というSharePoint専用の カスタマイズツールを使って設定変更したりするだけで、手軽にカスタマイズが可能です。それでも機能が不足する ような場合には、サードパーティから便利な部品が多く発売されており、日本国内でもワークフローツールを始め多 くのアプリケーションが出てきている状況です。

SharePoint Server 2010

サイト

A

部品

C

部品

A

部品

B

部品

C

部品

D

部品

E

部品

F

部品

Z

部品

A

部品

D

サイト

M

部品

C

サード パーティ 部品 部品

B

サイト

C

部品

B

部品

Z

部品

C

部品

F

サイト

B

部品

E

部品

F

部品

B

部品

A

部品を組み合わせて 業務に合った サイトを構築 標準では足りない 部品はサードパー ティのものを活用

SharePoint Server 2010

で作るサイトの概念図

(20)

7

1章  SharePoint Server 2010の基礎

2

SharePoint 2010ファミリーの全体像

 SharePoint Server 2010はSharePoint 2010ファミリーの中の1つの製品です。SharePoint 2010 のバージョ ンでは数多くの製品が統合され、SharePoint 2010ファミリーを構成しています。本書ではSharePoint Server

2010 以外の製品については直接解説を行いませんが、ファミリー製品はSharePoint Server 2010とも密接なか かわりがあるので、個々のアプリケーションの簡単な概要を説明します。

SharePoint 2010

ファミリー

イントラネット イントラネット

/

エクストラネット

SharePoint Server 2010

Standard Client Access License(CAL)

Enterprise Client Access License(CAL)

ベーステクノロジー

/

関連製品

SharePoint Foundation 2010

SharePoint Designer 2010

SharePoint Workspace 2010

SharePoint Server 2010

for Internet Sites Standard

FAST Search Server 2010

for SharePoint

FAST Search Server 2010

for Internet Sites

FAST Search Server 2010

for SharePoint

高度な検索機能

クラウド

SharePoint Server 2010

for Internet Sites Enterprise

SharePoint Online

SharePoint 2010

ファミリーの全体像

 SharePoint 2010ファミリーは主にイントラネット向けのSharePoint Server 2010とインターネット向けの SharePoint Server 2010 for Internet Sitesに分かれています。また、検索を機能強化する製品としてFAST Search Server 2010 for SharePoint、クラウド環境版としてのSharePoint Onlineがあり、そしてその他の関連 製品群といった形で構成されています。個々の製品の概要を以下に示します。

 SharePoint 2010ファミリーの中核製品です。基本的なSharePointの機能を持っており、単体でもさまざまな シーンで利用することが可能な製品です。本書で中心的に取り上げるのが、このSharePoint Server 2010です。  利用できる機能の違いにより、Standard版とEnterprise版に分かれますが、サーバーライセンスとしては同一 で、ユーザー単位もしくはデバイス単位でカウントを行うClient Access License(CAL)で区別されます。 Enterprise CALとStandard CALは混在も可能なので、ユーザーの利用機能に応じて使い分けることが可能です。 なお、Enterprise CALを利用するユーザーにも同時にStandard CALが必要になるので注意してください。

(21)

 FAST ESP for SharePointの後継製品の位置付けであり、FAST Search Server 2010 for SharePointにはな い、より大規模な顧客向けの高度な検索機能であるContent Transformation Services(CTS)、Interaction Management Services(IMS)という2つの機能が含まれています。

 クラウド環境で提供されるSharePoint Serverです。現時点(2011年3月)ではSharePoint Server 2007ベー スで機能が提供されています。一部カスタマイズに関して機能が制限されており、SharePoint Server本体と比べる と利用シーンが限られてしまいますが、インストール不要で始められ、基本的な機能の多くはSharePoint Onlineで も使うことが可能です。サーバーの管理者がいない職場で、基本的な文書管理の機能が使えれば良いというようなケー スではメリットがあるサービス製品です。ただし、クラウド上でのサービスとなっているため、基本的にはイントラ ネット/エクストラネットでの利用は可能ではあるものの、特定多数のユーザーが利用することが前提になっていま す。インターネット上で一般的な不特定多数のユーザーがアクセスできるようなWebサイトを構築することはでき ません。なお、ユーザーの規模に応じて、StandardサービスとDedicatedサービスがあります。

 SharePoint Server 2010と製品内容的には同一の製品です。しかし、ライセンスの観点ではCALがなく、コンテ ンツのすべてをインターネット向けに提供する必要がある製品になっています。CALがないため、製品として SharePoint Server 2010 for Internet Sites StandardとSharePoint Server 2010 for Internet Sites Enterpriseに製品が分かれています。Standard版はシングルドメインでの利用に制限され、SharePoint Server 2010のStandard版の機能のみが利用できるように制限されています。また、Enterprise版には後述するFAST Search Server 2010 for SharePointをファイアウォールの外側でインターネット/エクストラネットで使用する ための権利も含まれています(ただし、1つのサーバーにSharePoint Server 2010とFAST Search Server 2010 for SharePointを共存させることができないため、使用環境を構築する場合には最低2ライセンスのSharePoint Server 2010 for Internet Sites Enterpriseが必要となります)。

 米Microsoftが2008年4月に買収したノルウェーのFast Search & Transfer(FAST)社が開発した検索技術を 利用した製品です。この製品は、SharePoint Server 2010と連携させて利用することで、SharePoint Server 2010 が持つ標準検索機能を強化できます。ただし、この製品を使用するには、SharePoint Server 2010のEnterprise CALが必要です。

 FAST Search Server 2010 for SharePointでは、検索結果のランキングに独自ルールを組み込んだり、検索結 果の絞り込みがより簡単かつ高速にできるようになります。また、Office 2010と組み合わせることで検索結果に Officeファイルのサムネイルやプレビューを表示できるなど各種の高度な検索機能が利用可能です。なお、インター ネットおよびエクストラネットで利用する場合は、上述のSharePoint Server 2010 for Internet Sites Enterprise を購入することで利用できるようになっており、別途本製品のライセンスを購入する必要はありません。

FAST Search Server 2010 for Internet Sites

SharePoint Online

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9

1章  SharePoint Server 2010の基礎

 SharePoint Server 2010と比べて限られた基本機能だけを利用できる無償製品です。SharePoint Server 2010 と同様にSharePoint Webサイトを作成できます。少人数での利用やSharePointテクノロジーを体験してみたいと いうユーザーに向いており、簡単にインストールができ、すぐに始められるようになっているためSharePoint Server 2010よりも比較的気軽に使い始めることができます。しかし、前述のとおり利用できる機能がごく基本的な 機能だけに限定されています。たとえば、SharePoint Foundation 2010も独自の検索エンジンを搭載しています が、SharePoint Server 2010と異なり検索機能の調整はできません。また、ファイルなどの検索もSharePointサ イト上に共有されているものに限定され、SharePoint Server 2010のようにファイルサーバー上の共有フォルダー を検索するといった横断的な検索ができません。

 SharePoint Server 2010、SharePoint Foundation 2010で作られたサイトの外観などをカスタマイズするため のクライアントツールで、無償で提供されています(マイクロソフトのダウンロードサイトからダウンロードできま す)。サイトの見た目を変更できるだけでなく、外部にあるデータベースとの連携機能の設定やノンコーディングでの ワークフロー構築など、SharePoint単体では設定が困難な変更も可能です。

SharePoint Foundation 2010

SharePoint Designer 2010

 前バージョンはMicrosoft Office Groove 2007という製品で、P2Pでの情報共有を行うためのソフトウェアであ り、WordやExcelと同じくクライアントPCにインストールして利用するアプリケーションです。SharePoint Workspace 2010ではSharePointとのオフラインでの連携機能が強化されています。SharePoint Server 2010や SharePoint Foundation 2010に保管されているファイルなどの情報は、SharePoint Workspaceにダウンロード できるようになっており、オフラインでも利用できるようになります。SharePointサーバーとオンラインで接続さ れるとリアルタイムに双方向で同期が行われるため、クライアントコンピューターがオフラインのときに編集した内 容も自動的にアップロードされるようになっています。もちろん、従来のGrooveが持っていたP2Pでのコンテンツ 共有機能も引き続き利用可能です。

 実際の導入に際しては、すべてのSharePoint 2010ファミリー製品を一括で導入するというケースは多くはない と 思 い ま す。 多 く の ケ ー ス で は、 最 初 にSharePoint Server 2010のStandard版 を 導 入 し、 必 要 に 応 じ て Enterprise版やSharePoint Workspaceを導入し、さらにはインターネットでの利用へと拡大していくなど、小さ く始めて大きくしていくことができるようになっています。したがって、こうした製品群がある製品であるという点 だけ把握し、必要に応じて製品調査を行っていくとよいでしょう。

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3

SharePoint Server 2010 の役割

 ここまで SharePoint Server 2010 が非常に多くの業務に必要な機能を統合的に持っている製品であることを 説明してきました。ここからはもう少し具体的に機能を解説していきます。 ポータル 検索 コンポジット 可視化と 分析 コンテンツ 管理 ソーシャル ネットワーク

SharePoint

Server

2010

SharePoint Server 2010

の機能領域  SharePoint Server 2010では上記の 6 つの機能領域に分けて機能が定義されています。個別の機能を詳細に説 明するとページが足りなくなってしまうおそれがあるため、詳細を知りたい場合は、下記のマイクロソフトのサ イトからダウンロードできる「機能評価ガイド」を参照してください。

「Microsoft SharePoint Server 2010 自習書シリーズ」 http://technet.microsoft.com/ja-jp/sharepoint/ff358322.aspx  本書では各エリアの機能領域にどのような機能があるのかについてかいつまんで説明します。各機能領域の 概要を把握することで、SharePoint Server 2010 の設計思想の概略がつかみやすくなります。  SharePoint Server 2010を代表する基本機能エリアです。ポータルとはポータルサイトのことであり、さまざま な情報へアクセスする入り口となるWebサイトのことです。企業内では、さまざまな場所に分散している情報を1か 所に集約して情報発信するためにポータルサイトを構築することが多くなっています。

 ちなみに、英語名はSitesとなっており、直訳すればサイト群です。これは、SharePoint Server 2010が情報を 共有するための管理単位として「サイト」という概念を持っているためです。したがって、SharePointではサイト 単位で情報を共有したり、活用したりします。SharePointではイントラネットでの情報共有が主体ですが、エクス

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11

1章  SharePoint Server 2010の基礎  SharePoint Serverの最も基本的かつ重要な機能の1つであり、ファイル共有と管理が中心です。基本機能として は、ファイルに対してだれが書き込めるか、または表示をさせるだけなのかといったアクセス権管理があります。ま た、ファイルのバージョン管理(版管理)機能や、複数のユーザーが同じファイルを同時に編集して上書き保存する 際の排他制御をするための「チェックイン/チェックアウト」機能があります。また、SharePoint Serverは標準で ドキュメントワークフローを利用できるようになっているため、申請書を承認するプロセスを自動化することなどが 可能です。その他にも、ファイルに対する有効期限を設定し、期限が過ぎたら強制削除したり、ごみ箱に移動したり、 ワークフローでなんらかの処理を行ったりできます。  その他にもより高度な使い方が可能です。たとえば、ファイルに対してSharePoint独自のプロパティ(付加情報) を追加し、プロパティの値に応じて、任意のフォルダーやサイトに自動転送しファイル整理を行う「コンテンツオー ガナイザー」機能や、複数のファイルをまとめてワークフローで処理することが可能な「ドキュメントセット」など の機能があります。  また、コンプライアンスを重視する場合は、Windows Serverを使って構築する情報漏えい防止技術であるRMS (Rights Management Service)と連携させることで、SharePoint上で共有しているファイルに対して、ファイ

ルは開けてもコピー、編集、印刷、外部への持ち出しなどを一切禁止するよう設定することも可能です。  日本ではまだ企業内のインフラとしてはなじみが薄いエリアですが、インターネット上ではTwitterやFacebook といったサービスが普及しつつあります。これらに代表されるソーシャルネットワークの波は、企業内のシステムと しての活用も研究が進んできており、実践を始めている企業も出てきています。  SharePoint上でのソーシャルネットワーク機能の中心となるのは「個人用サイト」です。個人用サイトとは、ユー ザー自身が持てる自分専用のポータルサイトのことです。ユーザーは個人用サイトを使って自ら情報発信できます。 米国では、SharePoint Server 2007の段階でも個人用サイト(英語での名称はMy Site)を導入している企業は多 く、企業内での人の情報検索や個人のファイル管理の場所として活用されてきており、社内コミュニティのインフラ として確立してきています。ただし、個人用サイトを活用するには、ユーザーのITリテラシーの高さと情報システム 部の管理負荷を考慮する必要があるなどの課題もあり、日本国内では個人サイトを活用しているケースが多くないと いうのが現状です。  しかしSharePoint Server 2010では、個人が一方的に情報発信するだけでなく、ユーザー間の双方向のコミュニ ケーションを行うための機能が強化されています。たとえば、SharePointサイト上に共有されるファイルに対して 各ユーザーは☆マークを付与してポイントを投票できるようになっています。また、ファイル、Webページ、 SharePointサイト全体、個人用サイトなどあらゆる場所に対してコメントを記述できるようになっています。この ように、あるユーザーが共有したファイルに対して複数のユーザーが手軽にフィードバックを行うことができます。 フィードバックの内容は各コンテンツ上だけでなく、個人用サイトにも集約表示されます。ソーシャルネットワーク の有効活用により双方向のコミュニケーションが活発になり、企業内で必要とされている集合知を活用できるように なってきています。

コンテンツ管理(英語版でのエリア名:Content)

ソーシャルネットワーク(英語版でのエリア名:Communities)

トラネット上さらにはインターネット上へと活用の幅を広げていくことが可能です。しかし、「サイト」という言葉は 日本では漠然とした印象を持つ方が多く、よりイメージしやすい呼称が好ましいだろうということで、日本国内での このエリアの呼び名は「ポータル」となっています。  実際にSharePoint Serverは、大企業を中心に全社ポータルとして導入するケースが依然として多くなっています。

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 SharePointは標準で独自の検索エンジンを搭載しています。コンテンツ管理が情報を蓄積し、整理するための機 能群だとすると、検索は蓄積されたコンテンツを「探す」ための機能エリアです。SharePoint Serverにはファイル の本文までを検索対象とする「全文検索」機能が搭載されています。検索場所は、SharePointサイトだけでなく、 ファイルサーバー上の共有フォルダーや外部システムなども対象とすることができます。その他、人の情報なども検 索できるなど、広範囲に検索することが可能であり、社内の情報を探すための統一した検索インフラを構築すること ができます。また、より大規模かつ高機能な検索が必要な場合は、FAST Search Server 2010 for SharePointと 連携させることが可能です。この製品と連携させることで、より細かな検索の設定やカスタマイズが可能になります。 ただし、FAST Search Server 2010 for SharePointを利用するにはEnterprise CALが必要です。

 いわゆるビジネスインテリジェンスを含む、企業にとっての情報を整理して表示し、状況などを可視化し分析をす るための機能エリアです。英語版でのエリア名はInsightsですが、英単語自体が日本ではなじみの薄い単語のため、 わかりやすく「可視化と分析」という名称になりました。

 これまでビジネスインテリジェンスを提供する別製品として提供されてきた「Microsoft PerformancePoint Server 2007」のモニタリング機能がSharePoint Server 2010に統合され、「PerformancePoint Services」と いう名称になりました。

 また、データベースなどの外部のデータ接続を行ったExcel 2010ブックのデータをそのままWebブラウザー上に 表示することができる「Excel Services」などと組み合わせることにより、さまざまな場所に分散しているデータを SharePoint上に統合表示し、ユーザーに合わせた分析ポータルを提供できます。

 さらに、データをよりグラフィカルに視覚化するためにVisio 2010との連携機能である「Visio Services」など も提供されており、スコアカードの成績に応じで色分けされるダイアグラムなどの表示や、意思決定を支援する分解 ツリーなどが利用できます。また、SQL Server 2008 R2と組み合わせることで実現できるPowerPivot for SharePointによるセルフサービスレポーティング機能など、情報の可視化、分析のためのインフラとして非常に充 実した機能を持っています。  これまでSharePoint Server 2007での実例では、「予実管理」「バランスドスコアカード」「在庫管理」「収益(P/ L)分析」「機材の稼働管理」「社員の資格スキル分析」「販売分析」など、幅広い業務をモニタリング、分析するポー タルが作られてきました。SharePoint Server 2010においても、さらなる分析力と表現力を備えた、さまざまな分 析のためのダッシュボードが作られることでしょう。

 なお、PerformancePoint Services、Excel Services、Visio Services、PowerPiviot for SharePointを利用 するにはEnterprise CALが必要なので、注意してください。ちなみに、Enterprise CALはStandard CALを持っ ているユーザーすべてに必要ではなく、Enterprise CALの機能を利用するユーザーの分だけ購入すればよいCALで す。可視化と分析のエリアの性質上、社員全員というよりも、必要な社員は経営層のみ、情報システム部のみ、経営 企画部のみといった形で限定されるケースも多いと思いますので、必要に応じた選択をすることでコストを抑えなが らメリットを得られるようにしましょう。

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13

1章  SharePoint Server 2010の基礎

 このエリアはアプリケーションポータルのエリアです。SharePoint Serverは前身がSharePoint Portal Server という名称だったこともあり、ポータル製品というイメージが強く残っています。しかし、実際には業務システムの フロントエンドとしても多く活用されています。

 SharePoint Server 2010になり、外部システムとの連携機能がさらに強化され、Business Connectivity Servicesというサービスになりました。これによりデータベースや基幹システムへのCRUD(Create、Read、 Update、Delete)を複雑なコーディングをすることなく、実現できるようになっています。また、Access 2010と の連携機能である「Access Services」が搭載され、Accessの知識を応用して、SharePoint Server上に複数の ユーザーで利用できるWebアプリケーションを構築できます。その他にも、InfoPath 2010との連携機能である 「InfoPath Forms Services」を使うことで、データベースへのデータ入力のための電子フォームを構築することも

可能です。

 こうした機能を活用することで、基幹システム上のユーザーインターフェイス(UI)や帳票をカスタマイズするの ではなく、よりコストの安いSharePoint Server上でUIを構築し、基幹システムとデータ連携することも可能です。  なお、コンポジットの機能を使い、SAPのシステムに特化したアドオンテンプレート集である「Duet Enterprise for Microsoft SharePoint and SAP」なども既にリリースされており、今後大手企業を中心に注目度が上がってく ると予測される機能エリアでもあります。  いかがでしたでしょうか?非常に多機能なSharePoint Server 2010ですが、エリアごとに分けて見ることで、企 業で必要な業務を要素化し、それに対応した機能部品を提供しているプラットフォーム製品であることがよりわかる ようになったのではないでしょうか?誤解をおそれずにたとえるとすると、SharePoint Server 2010は部品で販売 しているユニット家具をセット販売しているようなIT製品です。ユニット家具は板や柱や扉といったさまざまな部品 を組み合わせてその部屋にあった家具を作れるようになっていますが、SharePoint Serverもある程度の用途が予測 された部品がたくさんあり、それらを組み合わせて各企業にあったシステムを構築することができるようになってい ます。ユニット家具は一般にドライバーやゴムハンマーだけで組み立てられるようになっていますが、SharePoint も多くのケースで簡単な設定だけで機能を実現できるようになっています。ユニット家具と違うところは、ユニット 家具では1枚1枚購入しなければならない板や柱といった部品が、ITの世界ではソフトウェアであるため無限に近い 形で利用できる点です。  とはいえ、このように用途に合わせて組み立てたシステムでも、本当にかゆいところに手が届くかどうかというと 届かないところも出てくるかもしれません。その場合は、他社が提供する部品を買ってくるか、最終的にはその部品 を自ら開発して作るか、という判断をすることもあるかと思います。ただ、「作る部分」というのは全体のシステムで いうとほんの一部であり、開発への投資金額も従来のすべてをスクラッチで構築する場合よりは少なくて済むと思い ます。  そういった目でSharePoint Serverを見ると、より「なぜこの機能があるのか?」「なぜこの部品が提供されてい るのか?」が非常に理解しやすくなってきます。

コンポジット(英語版でのエリア名:Composites)

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全社ポータル、部門ポータルとしての活用

 まずは、6つのエリアのうち素直に「ポータル」の機能を使った、全社ポータル、部門ポータルとしての活用例で す。トップレベルサイトとして全社ポータルを構築し、そのサブサイトとしてそれぞれの事業部、部署ごとのサイト を配置し、各サイトで情報発信を行います。検索専用サイトである「検索センター」サイトを使うことで、全サイト のコンテンツを一括で検索できるため、社内の情報の見通しが良くなります。

社外向けの会員サイト、エクストラネット、インターネットでの情報提供ポータルとしての活用

 「ポータル」の機能は社内の用途だけではなく、外部ユーザー向け、特に会員向けの情報提供サービスとしても活用 が可能です。SharePoint Server 2007の事例でも多くありましたが、会社OB向けの情報提供や、関係会社向けの 情報提供サイトなどとして活用できます。  また、海外では、航空会社、自動車会社を始め、多くの企業で社外向けのサイトをSharePointで構築している企 業も多く、会員サイトの機能を利用して、チケットの予約システムを組み込んだり、ワールドワイド対応の機能を盛 り込んで多言語対応のサイトを構築したりと幅広く応用している例もあります。

セキュアで高機能なファイルサーバーとしての活用

 「コンテンツ管理」「検索」の機能を活用した例です。部門サイトごとにドキュメントライブラリを設け、そこにデー タを蓄積します。ファイルサーバーとは違い、データの全文検索が可能で、かつバージョン管理、チェックイン/チェッ クアウトといった排他制御機能が利用できます。また、ごみ箱を使えば、ユーザーがうっかり消去してもファイルの 復活をすばやく行えます。  さらに、タグ機能を組み合わせて利用すると、1つのドキュメントを複数の軸(カテゴリなど)で整理することが できるようになり、ファイルサーバーでは無駄が多かったフォルダーのみを利用した整理方法から一歩踏み出し、よ り効率的なドキュメントの整理が可能になります。  また、ポータルの機能と組み合わせれば、重要な情報を各部門のサイトにもトップページに表示させることができ ます。その他にも、プロジェクト単位などで関連する情報をまとめておけば、担当者の引き継ぎを非常に簡単に済ま せることができます。

データ分析、可視化のための「

BI

ダッシュボード」としての活用

 「可視化と分析」の機能をうまく利用した例です。SQL Serverを使用して各種のデータを集計したレポートを自動 生成し、SharePoint上で生成したレポートを表示します。ユーザーごとの権限や職務内容に応じて、表示する内容 やレポートの権限をきめ細やかに設定することも可能です。表示内容は多岐にわたり、予実対比やスコアカードと連 動した業績評価レポートといった各種レポートから、ドリルダウンやドリルスルー、分析ツリーでの分析ができる分 析環境など、多岐にわたります。もちろん、一部にはそもそもSQL Server上に多次元データベースを構築すること

コーディングせずに設定のみのカスタマイズを行うだけで多くのケースで実装が可能な活用例

4

SharePoint Server 2010 の活用例

 ここまで紹介してきたように6 つの機能領域を持っているSharePoint Server 2010ですが、ユニット家具と同 じく、いろいろな機能を組み合わせてさまざまな役割のサーバーを構築することができます。ここでは、いくつ かの活用例をご紹介しましょう。

(28)

15

1章  SharePoint Server 2010の基礎 が難しいという点はありますが、多くのケースでコーディングすることなく、こうした高度な機能を持つサーバーを SharePoint上に構築できるのもメリットです。

ワークフロー基盤としての「申請ポータル」の活用

 「コンテンツ管理」「検索」「コンポジット」の機能をうまく組み合わせた例です。休暇申請、経費精算、勤怠管理な ど、社内にはさまざまな申請書がありますが、申請書を電子化し、承認プロセスをSharePoint上に組み込んで申請 処理専用のポータルとして活用します。申請ポータルにアクセスすると、アクセスしたユーザーが申請できる書類の 一覧が表示されます。申請書はブラウザー上で開くことができ、そのまま情報を記載し申請プロセスに回せます。承 認されたデータは必要に応じて抽出されて基幹システムに転送され、申請書自体は保存ルールに基づきSharePoint サイト上に保管されます。  このようなソリューションは、SharePointが標準的に持つ基本機能の組み合わせで実現できる部分もありますが、 日本国内でのワークフロー要件はとても複雑なため、SharePoint用に提供されているサードパーティのワークフ ローソリューションと組み合わせて実現するのが一般的です。また、基幹システムとの連携を実現する場合、企業の 基幹システムにはさまざまなシステムがあるため、そのシステムに応じたデータ連携のためにコーディングを必要と する高度なカスタマイズが必要になるケースもあります。

既存の業務システム上にある情報の表示、データ入力を行うためのフロントエンドとしての活用

 「コンポジット」の応用例です。SAPなどの業務システムのデータ入力基盤をSharePoint上に実装します。一般 的に基 幹システムのデータ表示画面やデータ入 力画面をカスタマイズするためにかかるコストは、SharePoint Serverのような情報系システムの画面作成に比べると高額で、カスタマイズができる技術者もあまり多くない状況 にあります。しかし、昨今のシステムではその多くが外部システムと連携できるように設計されていることが多く、デー タ表示やデータ入力の画面部分のみを別のシステム側で処理することも可能です。つまり、SharePointを既存の業 務システムと連携させることで、ユーザーが見やすく、かつ入力しやすい画面を低コストで作成できると言えます。

SharePoint Designer 2010/Visual Studio 2010での開発またはサードパーティのパッケージソリューションが必要な高度な活用例

1

ソーシャルネットワーク機能に関して

 これらの応用例の中で、唯一、応用例として記載していない機能エリアが「ソーシャルネットワーク機能」です。こ の機能はインターネットの世界では一般的ですが、社内利用、イントラネットの世界では、新しい試みとして実験をし ている企業があるものの、まだ、応用例として確立するに至っていません。ですが、ポータルのソリューションと組み 合わせることで、ソーシャルタグや評価(Rating)、Wikiの機能を応用することにより、一方通行になりがちな情報 共有から一歩前に進んで、社内での声を加味した双方向のコミュニケーションが可能なポータルサイトを作ることが可 能になってきます。そのため、今後はポータルを構築する案件での採用例が増えてくる可能性があります。また、日本 国内では欧米との文化の違いから、組織内で個人が情報発信するということが多くないため、SharePoint Server 2007まではあまり採用例が多くなかった「個人用サイト」ですが、SharePoint Server 2010では組織図なども一部 強化されており、機能性が上がってきています。こうした個人用サイトがより多く使われるようになることで、ソーシャ ルネットワークの機能も並行して活用されるようになってくると思われます。 ポイント

(29)

 SharePointはWebブラウザー上で情報共有する製品です。Webブラウザー上でさまざまな情報を閲覧できるよ うにするには、通常Webサーバーが必要です。SharePoint Serverは、マイクロソフト社のサーバーOSである 「Windows Server 2008」または「Windows Server 2008 R2」上にインストールしてサーバーを構築しますが、

このWindowsサーバーにはWebサーバー機能を提供するコンポーネントが含まれています*1。このコンポーネント はInternet Information Services(以下、IISと呼びます)と呼ばれます。SharePointはIISが提供するWebサー バー機能を利用して動作します。また、SharePoint上で共有する情報(ユーザーが作成したファイルなどのさまざ まなコンテンツ)の格納には、マイクロソフト社のデータベース管理システム製品であるSQL Serverが使われます。 SharePointはこのデータベースサーバーなしには動作できません。たとえば、ユーザーがファイルをSharePoint サイト上にアップロードすると、ファイルはSQL Serverのデータベースにバイナリ形式で格納されることになりま す。そのため、特にファイル共有する場合は、SharePointは一見ファイルサーバーと非常に似た操作感で管理でき ますが、実際にはファイルサーバーにデータが格納されるわけではないため、機能上の違いがいくつか見られます。 たとえば、アクセス権限の管理などはSharePoint特有の管理概念があります。また、既定でアップロードできるファ イルの種類が限定されるなど、さまざまな違いがあります。

SharePoint Server 2010 の構造

5

覚えておきたい SharePoint の

基本構造と用語

 SharePoint では独特の専門用語が多く用いられています。こうした用語につまづいて、なかなか学習が進まな いという方も多いのではないでしょうか。ここではそうしたつまづきがないように、基本構造と用語について説 明します。若干ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、基本構造と用語を理解することで、後続の章で説 明する操作の習得もかなり楽になります。ユーザーの方も管理者の方も、全員必ず読んでください。

*1 SharePoint Server 2010はソリューション開発を行う場合に限り、クライアントOSであるWindows Vista SP1以降またはWindows 7上にインストールできます。これらのWindowsにもIISが搭載されています。

SharePoint Server 2010

Internet Information Services

IIS

Windows Server 2008

Windows Server 2008 R2

Windows Vista

Windows 7

(開発のみ)]

情報の入力 ファイルのアップロード データの格納

SQL Server

SharePoint Server 2010

情報の参照 ファイルのダウンロード

SharePoint

サーバーと

SQL Server

(30)

17

1章  SharePoint Server 2010の基礎

IIS

サーバー

IIS Web

サイト

A

Web

アプリケーション(

http://sp2010/

Web

アプリケーション (拡張された IIS Webサイト)

Web

アプリケーション

IIS

SharePoint

IIS Web

サイト

B

SQL Server

Webアプリケー ション作成時に、 SQL Serverに ユ ー ザ ーコンテ ンツを格 納 する データベース(コ ンテンツD B)が 作成される

Web

アプリケーション SharePointによって拡張されたIIS のWebサイト。サイトコレクションを ホストできる サイトコレクション 複数サイトをまとめて管理するための 管理単位。Webアプリケーション内に は、1つ以上のサイトコレクションを作 成し、その中にサイトを作成する。必 ず、トップレベルのサイトを持つ。 サイト サイトコレクション内に作成する、トッ プレベルサイトおよびそのサブサイト トップレベルサイト ../ トップレベルサイト../ トップレベルサイト../ サイト ../site1 サイトコレクション ../sites/sales サイトコレクション ../ サイトコレクション ../sites/staff サイト ../site1 サイト ../site2 サイト ../siteA サイト../siteB http://sp2010/site2/siteB http://sp2010/sites/staff/site1

SharePoint Server 2010

の基本構造イメージ  SharePointの大まかな動作環境を把握したところで、次にSharePointを使ううえで最低限把握しておきたい次 の4つの用語について説明します。  ・

Web

アプリケーション  ・コンテンツデータベース  ・サイトコレクション  ・サイト

 既に述べたように、SharePointはIISの機能を利用して動作します。IISの主な役割は、Webページなどのファイ ルを管理しユーザー認証やアクセス権限などを制御することです。WebページやWebアプリケーションはそれぞれ複 数のファイルで構成されるため、ひとまとめにして管理する必要がありますが、IISでは「IIS Webサイト」という単 位で管理します。Windowsサーバー上には複数のIIS Webサイトを作成し、用途別に管理できるようになっていま す。SharePointはIISのWebサーバー機能を利用するため、IIS Webサイト上で動作することになります。しかし、 IIS WebサイトはもともとSharePoint用に作られているものではないため、IIS自体は既定ではSharePointが必要 とするデータベースの情報などは関知していません。そのためSharePoint側の管理ツールを使って、IIS Webサイト

参照

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