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スマートウォッチ文字入力インターフェースの評価実験におけるSkill Transferの検証

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 81 回全国大会. 5H-04. スマートウォッチ文字入力インターフェースの 評価実験における Skill Transfer の検証 本田裕己†. 東條貴希‡. 同志社大学理工学部†. 加藤恒夫†. 山本誠一†. 同志社大学大学院理工学研究科‡. はじめに ユーザインターフェースの比較評価実験の設計と して 2 つの方法がある.各実験協力者が複数の対象 を評価する方法と,実験協力者をグループに分けグ ループ毎に異なる対象を評価する方法である.前者 を採用する場合,各実験協力者から直接比較に基づ く主観評価を得ることができる.一方で,連続して 評価することにより,先に行った対象への評価が後 に行う他方への評価に影響を及ぼす Skill Transfer[1] が生じる可能性がある. 本研究では,図 1 に示す 2 種類のスマートウォッ チ向け日本語入力インターフェースの 30 日間の連 続比較評価実験において,この Skill Transfer が生じ たか検証する. 2. Skill Transfer Skill Transfer とは,各実験協力者が 2 つ以上の対 象を比較評価する実験において,先の対象への評価 の後に別の対象への評価を行うことにより,先の対 象への評価が後の対象への評価に影響を及ぼすこと を言う.良い影響を及ぼす正の Skill Transfer と悪い 影響を及ぼす負の両方の可能性がある.対象の A と B を比較評価する場合,A から B へは影響を及ぼす が,B から A へは影響を及ぼさない一方向の Skill Transfer もあれば,両方向に影響を及ぼす双方向の Skill Transfer もある.双方向の場合,両方向ともに 正もしくは負の対称な Skill Transfer もあれば,両方 向で正負が逆転する非対称な Skill Transfer もある. 3. 比較評価実験 本研究室では,スマートウォッチ向けの日本語入 力インターフェースとして,小さなタッチディスプ レイ全体をフリック操作に提供するとともに入力テ キストの表示領域も確保できる円環型日本語かな入 力インターフェース BubbleFlick[2][3]を開発した. これをスマートフォンの日本語入力インターフェー ス を 踏 襲 し た Google 公 式 キ ー ボ ー ド ( 以 下 , KeypadFlick と呼ぶ)と比較評価するために,実験 協力者を募り,30 日間の連続評価実験を行った. 1.. Verification of Skill Transfer in Evaluation Experiment of TextEntry Interfaces on Smartwatch †Faculty of Science and Engineering, Doshisha University ‡Graduate School of Science and Engineering, Doshisha University. 4-7. 図 1 .スマートウォッチ向け 日本語入力インターフェース, 左:Google 公式キーボード,右:BubbleFlick 実験協力者は男性 7 名,女性 1 名の計 8 名,年齢 は 22~25 歳,右利きが 7 人,左利きが 1 人であった. スマートフォン使用歴は 4~8 年で,スマートフォン 上での日本語入力に,5 名は KeypadFlick と同様の配 列キーボードを使用,そのうち 4 名は,フリック入 力とトグル入力を併用し,1 人はトグル入力のみ使 用していた.他の 3 名は,Qwerty キーボードを使用 していた.また,全員がスマートウォッチを使用し たことがなかった. 実験協力者は,5~6 つの短文からなる計約 100 字 の日替わりの短文セットを毎日 2 種類のインターフ ェースで入力した.1 セットの短文を足し合わせる とひらがなパングラムとなり,全てのひらがなが出 現する.順序効果を打ち消すため,30 日間のうち, 奇数日は BubbleFlick の次に KeypadFlick,偶数日は その逆の順で入力してもらった. 性能評価指標は,文字入力速度(CPM, char/min) と誤入力率(EPC, error/char)である.また,主観 評価として,各インターフェースの良い点と悪い点 を 30 日間の連続評価終了後にインタビューした. 4. Skill Transfer の検証 4.1. 検証手法 各実験協力者の日毎の各インターフェースに対す る CPM について,奇数日に行ったか,偶数日に行 ったかを要因に分散分析を行った.ここで,日数の 経過に伴い次第に習熟していくため,インターフェ ース毎に習熟曲線を仮定した.習熟曲線には,予 備実験より𝑦 = 𝑏0 𝑡 𝑏1 のべき乗モデル曲線を採用し た.個人差は,𝑏0 に 11.11 から 33.97,𝑏1 に 0.092 か ら 0.307 の範囲で反映された.各実験協力者の CPM. Copyright 2019 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 文字入力速度 (char/min). 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0. 文字入力速度 (char/min). 情報処理学会第 81 回全国大会. 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0. #1. #1. #2. #3. #4. #5. #6. #7. #2 #3 #4 #5 #6 #7 図 2.全実験協力者 8 名の 30 日間の文字入力速度の実測値と習熟曲線 上:BubbleFlick,下:KeypadFlick. の実測値と習熟曲線を図 2 に示す.習熟曲線に,イ ンターフェース間の Skill Transfer を表す𝑠と誤差を 表す𝑒を加え,式𝑦 = 𝑏0 𝑡 𝑏1 + 𝑠 + 𝑒を仮定した.な お,実測値がゼロとなっている欠落データは除外し ている. 4.2. 結果 KeypadFlick から BubbleFlick へ(KtoB とする)と BubbleFlick から KeypadFlick へ(BtoK とする)の両 方向の Skill Transfer について,全実験協力者 8 名の 習熟曲線との差の統計値と Skill Transfer の帰無仮説 に対する有意確率を表 1 に示す.BubbleFlick は,偶 数日の方が奇数日より平均が約 0.77CPM 高く, KeypadFlick から有意水準 p<0.05 で正の Skill Transfer が 生 じ て い た . 逆 方 向 の BubbleFlick か ら KeypadFlick への検証では,有意差は見られなかっ た.実験協力者毎に検証における有意確率を表 2 に 示す.実験協力者#3 の KtoB で有意差が見られた. この実験協力者の習熟曲線との差の平均を比較する と,奇数日が約-1.46CPM,偶数日が約 1.74CPM で あ り , KeypadFlick か ら BubbleFlick へ 正 の Skill Tranfer が生じていた. 5. まとめ 本研究では,スマートウォッチ向け日本語入力イ ンターフェースである KeypadFlick と BubbleFlick の 間で,Skill Transfer が生じたかを検証した.結果, 全実験協力者における検証では,KeypadFlick から BubbleFlick へ正の Skill Transfer が認められた.実験 協力者毎における検証では,8 名中 1 名の実験協力 者 に KeypadFlick か ら BubbleFlick へ 正 の Skill Transfer が認められた. KeypadFlick は,スマートフ ォンで馴染みがあるので影響を受けにくいが, BubbleFlick は全ての協力者にとって新しいので,比 較的影響を受けやすいことが理由として考えられる. また,日を跨いだ Skill Transfer もあり得るが,同日. 4-8. #8. #8. 表 1.全実験協力者 8 名における 習熟曲線との差に対する統計値と有意確率 標準 平均 p値 [CPM] 偏差 -0.27 2.62 BubbleFlick(奇数日) 0.031 0.50 2.83 BubbleFlick(偶数日) 0.30 4.58 KeypadFlick(奇数日) 0.949 0.26 4.49 KeypadFlick(偶数日) 表 2.各実験協力者における有意確率 KtoB BtoK 実験協力者 #1 0.802 0.215 #2 0.482 0.448 #3 0.002 0.934 #4 0.225 0.677 #5 0.382 0.628 #6 0.766 0.879 #7 0.069 0.714 #8 0.933 0.197 の場合に比べれば小さいと考えられ,今回は仮定し ていない. 参考文献 [1] E. C. Poulton, P. R. Freeman, “Unwanted asymmetrical transfer effects with balanced experimental designs”, Psychological Bulletin, Vol.66, No.1, pp.1-8, (1966). [2] 東條,加藤,山本,「BubbleFlick:スマートウ ォッチ向け日本語かなフリック入力インターフェー スの改良と 30 日間の連続評価」,信学技報 HCG シ ンポジウム (2017). [3] T. Tojo, T. Kato, S. Yamamoto, “BubbleFlick: Investigating Effective Interface for Japanese Text Entry on Smartwatches”, MobileHCI’18, pp44:1-12, (2018).. Copyright 2019 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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