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〈論文〉大学における知的財産管理の意義と方法--アカデミック・ミスコンダクトの調査手続を中心として

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(1)商 経学叢. 第51巻 第2号2004年12月. 大 学 に お け る知 的財 産 管 理 の意 義 と方 法 ア カ デ ミ ッ ク ・ ミ ス コ ン ダ ク トの 調 査 手 続 を 中 心 と し て. 浦 概要. 崎. 直. 浩. 本 稿 は,大 学 に お け る知 的 財 産 管 理 の 意 義 と方 法 を 検 討 した もの で あ る。 研 究 成 果 と. して の知 識 の蓄 積 に は 発 明 や 特 許 が 含 ま れ る こ と を考 え る と,あ. る学 問 領 域 に構 築 さ れ た 知. 識 の体 系 は,ま さ に 知 的 財 産 で あ る とみ な す こ とが で き る。 本 稿 は,学. 問 の健 全 な発 展 を 阻. 害 す る ア カ デ ミッ ク ・ミス コ ン ダ ク トの 問 題 を 知 的財 産 管 理 とい う側 面 か ら と らえ,海 外 の 諸 大 学 に お け るア カデ ミ ッ ク ・ミス コ ン ダ ク トの調 査 手 続 の サ ー ベ イ を通 じて,ミ. ス コ ンダ. ク トを 防 止 す るた めの 方 法 を 検 討 して い る。. Abstract. This. tellectual. property. of knowledge ized as most. include. important. invention property.. factor. to hinder. by adapting. キ ー ワー ド. examines. 2004年9月22日. and patents,. of science. of management. of a research. of science. should. consisting. referred. of a research. of intellectual. development. of allegation. procedures. outcome. Management. development. 知 的 財 産 管 理,ア. and. As findings. for a sound. procedures. 権 原稿受理 日. significance. in universities.. intellectual. misconduct rence. paper. In that. be prevented. カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ン ダ ク ト,利. in-. as a system. can be character-. property. of inquiry. for. is one sense, from. of the. academic its. occur-. and investigation.. 益 相 反,倫. 理 基 準,著. 作.

(2) 第51巻. 1は. 第2号. じ. め. に. ア カ デ ミッ ク ・ ミス コ ン ダ ク トと は,研 究 の 企 画 ・実 施 お よ び そ の 成 果 の 公 表 の プ ロ セ ス に お い て 生 ず る不 正 行 為 な らび に そ れ に派 生 す る諸 問題 を意 味 す る。 これ ま で,ミ ス コ ン ダ ク トに つ い て は,そ の 概 念 が 対 象 とす る事 柄 の 性 質 上,表. だ った 議 論 が 十 分 に行 わ れ. て こ な か った よ うに 思 え るω。 倫 理 観 の欠 如 した 一 部 の 研 究 者 に よ る ア カ デ ミ ック ・ ミス コ ンダ ク トは,当 事 者 の み な らず そ の 領 域 に お け る研 究 全 体 の 信 頼 性 を も低 下 させ か ね な い 。 考 古 学 の 分 野 に お け る遺 跡 捏 造 が そ の 例 で あ る(2)。 研 究 を 通 じて 獲 得 した 知 識 は誠 実 な 研 究 行 為 を前 提 と して評 価 さ れ るべ き もの で あ り,独 創 的 な 研 究 成 果 も そ の よ うな 条 件 下 で こそ 価 値 を 持 つ もの で あ ろ う。 研 究 成 果 と して の知 識 の 蓄 積 に は発 明 や 特 許 が 含 ま れ る こ とを 考 え る と,あ る学 問 領 域 に 構 築 され た知 識 の 体 系 は,ま. さ に知 的 財 産 で あ る と み な す こ とが で き る。. こ こで は学 問 の健 全 な 発 展 を 阻 害 す る ア カ デ ミ ック ・ ミス コ ンダ ク トの 問題 を 知 的 財 産 管 理 と い う側 面 か らと らえ,ミ. ス コ ンダ ク トを 防 止 す る た め の 方 法 を知 的 財 産 の 保 全 と い. う観 点 か ら構 築 し よ う と考 え て い る。 本 稿 は,そ の た め の資 料 を海 外 の諸 大 学 に お け る研 究 行 為 規 準 に も とめ,ア. カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ンダ ク トを 防 止 す る た め に ど の よ うな規 定 が. お か れ て い るか を 明 らか にす る こ とを 主 た る 目的 とす る もの で あ る。 検 討 の た め に こ れ ま で に収 集 した 資 料 は以 下 の 通 りで あ る。. a)TheUniversityofChicago,ReportoftheProvost'sCommitteeonAcademic Fraud,approvedbytheUniversitySenateonMarch17,1998. (http://www.uchicago.edu/uchi/policies,html) b)CornellUniversity,Policy1.2AcademicMisconduct,Volume1,Academic. (1)ミ ス コ ンダ ク トに関 す る研 究 を始 めた の は,日 本 学 術 会 議 会 員 で 大 阪 学 院 大 学 教 授 の武 田 隆 二 先 生 の ご教 示 に よ る もの で あ り,会 計 学 の領 域 に お い て も ミス コ ン ダ ク トに関 す る総 合 的 な研 究 の 必 要 性 を認 識 した こ と に よ る もの で あ る。 ア カ デ ミ ック ・ ミス コ ンダ ク トの 定 義 な らび に, 科 学 者 の 研 究 行 為 規 準 の 体 系 に 関 して 別 稿(浦 崎 直 浩 「研 究 行 為 規 準 の基 礎 理 論 に 関 す る研 究 一 ア カ デ ミ ッ ク ・ミス コ ン ダ ク トを め ぐ って 一 」 『産 業 経 理 』 第64巻 第2号,平 成16年7月)に お い て 検 討 して い る。 本 稿 は,そ の論 文 に お い て十 分 な 検 討 を 行 う こ と が で き な か っ た,ア カ デ ミッ ク ・ ミス コ ンダ ク トの 調 査 手 続 を 扱 った も の で あ る。 (2)捏 造 が 及 ぼ す 影 響 に 関 す る分 析 が 下 記 の文 献 に お い て 詳 細 に行 わ れ て い る。 捏 造 が と りわ け問 題 とな る の は,ま ず 第 一 に捏 造 が 先 取 権 に対 す る競 争 ル ー ル に違 反 して い る こ とで あ る。 ま た, 捏 造 は,他 の 多 数 の研 究 を 誤 った 方 向 へ 導 き,さ らに,捏 造 を見 抜 け な か っ た場 合 当 該 分 野 の 専 門 家 の能 力 が 批 判 さ れ る こ と に な る。 内井 惣 七 『科 学 の 倫 理 学 』 丸 善,平 成14年4月,31-39頁 。 1-88(340)一.

(3) 大 学 に お け る 知 的 財 産 管 理 の 意 義 と 方 法(浦. 崎). Research,Chapter2,AcademicMisconduct,OriginallyIssuedDecember1998.. (http://www.univco.cornelLedu/policy/AM.html) c)UniversityofCambridge,MisconductinResearch,Statementofpolicyand. proceduretobefollowedintheUniversityfordealingwithanallegationof misconductinresearchagainstanofficer,mernberoftheunestablishedstaff. orassistantstaffoftheUniversity,199$.. (http://www.admin.cam.ac.uk/offices/personnel/policy/misconduct.htm1) d)OxfordUniversity,CodesofPracticeandProcedure;PublicInterestDisclo-. sureAcademicIntegrityinResearch,Supplement(3)toGazetteNo.4517,30. June1999。(http://www.ox.ac.uk/gazette/1998-9/supps/3. _4517.htm). e)TheUniversityofMelbourne,CodeofConductforResearch,in:Facultyof. EconomicsandCommerce,P∂5∫8ro伽. 傭Hα. η4わooた2004,pp,144-145.. f)AmericanAccountingAssociation,DefiningandAvoidingPlagiarism:The. CouncilofWritingProgramAdministrators'StatementonBestPractices,Ac-. co朋. 珈8、Eぬ6副oη1V61〃5,Vol.32,IssueNo.1,2004,pp.5-8.,2003.. H研. 究 行為 の概念 的 フ レーム ワー ク. 筆 者 は,上 記 諸 大 学 の う ち メル ボ ル ン大 学 の 研 究 行 為 規 準 に つ い て 別 稿(3)にお い て 取 り あ げ,当 該 行 為 規 準 を役 割 期 待 の 構 造 と して理 解 で き る こ と を 明 らか に した。 す な わ ち, 研 究 行 為 は,「 役 割 期 待 」,「役 割 規 定 」,「役 割 記 述 」,「役 割 開 示 」 と い う 四 つ の 側 面 か ら 成 る もの と して 体 系 化 す る こ とが で き る。 本 稿 の議 論 の前 提 と して,今 一 度 そ れ を 明 らか に して お き た い。 メル ボ ル ン大 学 の 研 究 行 為 規 準 は,(1)原 則,(2)特 定 の要 件,(3)追 加 的 要 件,(4>ミ ス コ ン ダ ク トと い う四 つ の 部 分 で 構 成 さ れ て い る④。 これ ら の行 為 規 準 は,大 学 に お い て 研 究 に 従 事 す る す べ て の 人 々 が 遵 守 しな け れ ば な らな い も の で あ り,当 該 規 準 の不 履 行 は懲 罰 の 理 由 とな る もの で あ る。 まず,研 究 行 為 規 準 の原 則 が 次 の よ う に述 べ られ て い る。 a)研. (3)浦. 究 は真 理 を探 求 す る も の で あ る こ と。. 崎 直 浩. 真 理 の探 究. 「前 掲 論 文 」。. (4)TheUniversityofMelbourne,CodeofConductforResearch,in:Faculty'ofEconomicsand Commerce,P∂3'g襯. 伽o'θH侃4わooん2004,pp.144-145.'. -89(341)一.

(4) ミ b)研. 第51巻. 第2号. 究 者 は,研 究 のす べ て の側 面 に お い て,. 1)誠. 実 さ(integrity)と. 専 門 家 と して の 高 い 見 識 を 示 し,誠. 2)公. 正(fairness)と. 3)利. 益 相 反(conflictofinterest)を. 公 平(equity)の. 実 性 ・専 門ll生. 感 覚 を持 ち合 わ せ,公 避 け,そ. して. 正 性 ・公 平 性. 利 益 相 反 の 回避. 4)研 究 に関 与 す る 人 々 の安 全 を 確 認 す る もの で な け れ ば な らな い こ と。. 安全 の. 確保 c)研. 究 手 法 と研 究 結 果 に つ い て,そ の検 証 と議 論 を 拒 否 して は な らな い こ と。. 検. 証 ・議 論 そ れ らの 原 則 は,広. く一 般 の 大 学 に お い て も,研 究 者 が 研 究 を 遂 行 す る と き の 規 準,あ. る い は,研 究 に お け る倫 理 行 為 に か か る規 準 の 指 導 原 理 と な る も の と考 え られ る。 そ こ で,研 究 行 為 は人 間 の行 為 で あ る以 上,大 学,学 会,社 会 と の 関 係 に お い て 役 割 期 待 の 相 補 性 と い う観 点 か ら研 究 行 為 を 体 系 化 す る こ と が で き る。 役 割 期 待 の相 補 性 と は,社 会 (組 織)の 成 員 が コ ミュニ ケ ー シ ョ ン ・プ ロ セ ス を 通 じて相 互 の 関 係 を 認 識 し安 定 的 制 度 を 築 き上 げ る た め の メ カ ニ ズ ム を 意 味 す る⑤。 ミス コ ンダ ク トは,か か る安 定 的 制 度 を 破 壊 す る行 為 あ る い は 当該 制 度 か ら離 脱 す る行 為 と み な す こ と が で き る。 「図1」 は,研 究 行 為 に 内在 す る 役 割 期 待 の 構 造 を 図 式 化 した も の で あ る。 ま ず,大 学, 学 会,そ は,ご. して 社 会 か らの 期 待 が 研 究 者 に 向 け られ て い る と理 解 す る こ と が で き る。 そ れ く一 般 的 に 「真 理 の 探 求 」 とい う言 葉 で 表 現 さ れ て い る。 「真 理 の 探 求 」 とい う大. 学,学 会,社 会 か らの期 待 が研 究 者 へ 向 け られ,研 究 対 象 の 識 別,い 行 わ れ る こ と に な る。 例 え ば,1990年. わ ゆ る問 題 の 認 識 が. 代 に は金 融 の 自 由化 ・国 際 化 が進 展 し リス ク管 理 の. 手 段 と して 多 用 され た デ リバ テ ィ ブの 認 識 ・測 定 ・開 示 が 重 要 な 研 究 課 題 とな った 。 近 年 で は ブ ラ ン ド等 の 知 的財 産 が 同 様 に 重 要 な 研 究 課 題 と な って い る。 社 会 科 学 に 限 らず 自然 科 学 に お い て も,そ の 時 々 の環 境 に お い て 生 ず る種 々 の要 因(換 言 す れ ば,社 会 的 な期 待 や 要 請)が 研 究 の 動 機 づ け とな る。 そ の よ う に して 研 究 対 象 の識 別 が 行 わ れ た な らば,次 に 当 該 問 題 を解 明 す る た め に具 体 的 に研 究 が遂 行 さ れ る こ と に な る。 会 計 学 は,自 然 科 学 と同 様 に 測 定 科 学 で あ り,企 業 の. (5)例 え ば,制 度 会 計 に お け る役 割 期 待 の 構 造 の体 系 は次 の よ う に説 明 され る。 す な わ ち,,主 要 な 情 報 利 用 者 と して の 投 資 者 ・債 権 者 の 投 資 ・与 信 の 意 思 決 定 に有 用 な 情 報 を 提 供 す る と い う情 報 ニ ー ズ(役 割 期 待)を 受 け て,情 報 作 成 者(経 営 管 理 者)は ,そ の情 報 ニ ー ズ を 反 映 さ せ た作 成 ・開示 指 針(役 割 規 定)に 基 づ き,ア ウ ト ・プ ッ トと して の 財 務 諸 表(役 割 記 述)を 作 成 し, 財 務 報 告(役 割 開示)を 通 じて 情 報 利 用 者 に財 務 情 報 を 提 供 して い くと い う図 式 が描 か れ る。 役 割 期 待 の 相 補 性 に 関 す る議 論 の 詳 細 に つ いて は,次 の文 献 を 参 照 さ れ た い。 武 田 隆 二,『 制 度 会 計 論 』,中 央 経 済 社,1982年10月,8-11,41頁 。 1. 1. -90(342)-.

(5) 大学 におけ る知的財産 管理の意義 と方法(浦 崎). 経 済 活 動(取. 引)を い か に認 識 し計 量 化 す べ き か に研 究 の 主 題 が あ る。 会 計 目的 に照 ら し. て 真 実 な事 実 関 係 を写 像 す る た め の 認 識 ・測 定 の 手 法 が 会 計 研 究 の プ ロセ ス を通 じて精 緻 化 さ れ る。 この と き に,研 究 者 の行 為 を 方 向 づ け る も の が役 割 規 定 で あ る。 役 割 規 定 は大 学,学 会, 社 会 の 期 待 を実 現 す る た め に,研 究 者 が 研 究 を 計 画 しそ れ を 実 施 す る上 で の規 準 とな る も の で あ る。 メル ボ ル ン大 学 の研 究 行 為 規 定 で は 以 下 の よ う な 規 準 が 示 され て い る。 誠 実 性,専 門 性,公 正 性 ・公 平 性 は,研 究 者 の性 行 に 関 わ る特 性 で あ り,利 益 相 反 の 回避,安 全 の確 保 は 研 究 者 の 技 術 的 特 性 と して 理 解 す る こ とが で き る。 利 益 相 反 とは,外 部 の 研 究 者 と協 同研 究 を行 っ て い る場 合 に研 究 成 果(発. 明,特 許 な ど)の 帰 属 につ い て 大 学 が 不 利. 益 を 被 る こ とを意 味 し,そ の 回 避 とは 研 究 者 は大 学 に不 利 益 とな る よ う な こ と は して は な らな い と い う こ とで あ る。 (1)研 究 者 の 性 行 に 係 る規 準 ①. 誠実性. ②. 専 門 性(専 門 家 と して の 高 い見 識). ③. 公 正 性 ・公 平 性 一91(343)一.

(6) 第51巻. 第2号. (2>研 究 行 為 の技 術 的 規 準 ①. 利益 相反 の回避. ②. 安全 の確保. 役 割 規 定 に従 っ て 研 究 が 遂 行 され る こ とに な るが,法 律 の 遵 守 は い う ま で もな く社 会 的 規 範 を も考 慮 し,科 学 的 な 研 究 手 続 の 中 か ら 問題 を 解 決 す る た め の 最 適 な 方 法 を 選 択 す る。 選 択 され た 研 究 方 法 に基 づ い て 実 施 した研 究 結 果 を 分 析 し,次 に そ の 成 果 を 論 文 に ま とめ る こ と に な る。 これ が役 割 記 述 に該 当 す る。 研 究 成 果 を論 文 と して 作 成 す る た め の 規 準 が,先 に 掲 げ た 特 定 の 要 件 で あ る。 そ こ で は 次 の よ うな 要 件 が 掲 げ られ て い る。 ①. デ ー タ の保 存 管 理. ②. 著 作 者 の確 定. ③. 研究成 果 の公表. ④. 研 究 プ ロ セ ス の指 導. ⑤. 利益相 反. 研 究 成 果 が論 文 と して ま とめ られ た な ら ば,こ れ を 学 会 や 社 会 に対 して 公 表 す る こ と に な る。 これ が役 割 開 示 で あ る。 役 割 開 示 に あ た って は,他 者 に よ る検 証 が 必 要 に な る。 メ ル ボル ン大 学 の 研 究 行 為 規 準 で は,研 究 手 法 と研 究 結 果 に つ い て そ の検 証 と議 論 を 拒 否 し て は な らな い こ と が 明 記 され て い る。 研 究 会 や 学 会 で の 報 告 ・議 論 を通 じて 論 文 の 内 容 が 検 証 さ れ,指 摘 さ れ た 問 題 点 を さ らに解 明 す る こ と で研 究 が精 緻 化 さ れ る。 あ る い は,学 術 雑 誌 の 場 合 は,レ は,言. フ ェ リー に よ る査 読 に よ って 同 様 の 検 証 を 受 け る。 この 検 証 の 手 続. い換 え れ ば,大 学,学 会,社 会 の 役 割 期 待 を ど の 程 度 満 た した か の 期 待 適 合 度 を 確. 認 す る こ とで あ る と い え る。 こ の よ うな ス テ ップ を 経 て研 究 者 の 論 文 が 学 術 雑 誌,商. 業専. 門 誌 に 掲 載 され た り,あ る い は著 書 と して 出版 さ れ る。 さ らに,近 年 で は ホ ー ム ペ ー ジ を 利 用 した 研 究 の 公 表 も考 え られ る。 こ れ まで 検 討 して き た 一 連 の 研 究 プ ロ セ ス を研 究 行 為 の概 念 的 フ レー ム ワ ー ク と して 図 式 化 した もの が 「図1」 で あ る。 この 図 で は,研 究 者 が 社 会,学. 会,大 学 か らの 要 請 を 受. け て 研 究 の 動 機 づ けが な され,科 学 的 研 究 手 続 か ら問題 解 決 の た め の最 適 な 方 法 を 採 用 し 問題 の解 明 を行 い,そ の結 果 を 論 文 と して と りま と め,そ れ を 社 会,学 会,大. 学 に公表 す. る と い う一 連 の プ ロセ ス を 示 した もの で あ る。. 一92(344). 一. L.

(7) 大学 にお ける知 的財産管理 の意義 と方 法(浦 崎). 皿. 研究成果の公表に関する規準. こ こ で は研 究 行 為 に係 る役 割 記 述 と役 割 開 示 に関 連 す る規 定 の詳 細 を あ らた め て 提 示 す る こ と と した い。 メ ル ボ ル ン大 学 の 研 究 行 為 規 準 の 中 で は,そ れ ら は 「 特 定 の要件」 と し て掲 げ られ て い た もの で,次 の5つ か らな る。 ①. デー タの保存管 理. ②. 著 作者 の確定. ③. 研 究成果 の公表. ④. 研 究 プ ロセ ス の 指 導. ⑤. 利 益相反. 以 下 に お い て,そ れ らの規 定 の詳 細 を 示 して お き た い。 1デ. ー タ の 保 存 管 理(6). a)デ. ー タ は,出 所 を 適 切 に明 示 し,耐 久 性 の あ る形 式 で記 録 しな け れ ば な らな い 。. b)デ. ー タ は,こ れ を 利 用 した研 究 成 果 の 公 表 日か ら少 な く と も5年 間 完 全 に 保 存 しな. け れ ば な らな い。 c)研. 究 室 ま た は学 科 は,デ ー タ を 保 存 す る た め の手 続 を確 立 しな け れ ば な らな い 。. d)研. 究 者 は,こ れ らの デ ー タ保 存 手 続 に従 わ な け れ ば な らな い。. e)公. 表 物 に 関 連 す る デ ー タ は,守 秘 義 務 の規 定 が あ る場 合 を 除 い て,他 の研 究 者 との. 議 論 の た め に利 用 で き る もの で な け れ ば な らな い。 f)本. 学 ま た は研 究 者 が第 三 者 に 対 して 守 秘 義 務 の約 束 が あ る場 合,ま た は,知 的 財 産. 権 の 保 護 が 要 求 され て い る場 合,公. 表 物 に 関 す る守 秘 義 務 の規 定 が 適 用 さ れ な け れ ば. な らな い。 守 秘 義 務 の規 定 が 適 用 され るべ きか ど うか に つ い て 質 問 す る こ と は研 究 者 の責 務 で あ る。 また,守 秘 義 務 の 規 定 が あ る こ とを 研 究 者 に周 知 す る こ とは 学 科 長 の 責 務 で あ る。 2著. 作 者 の 確 定(7>. a)公. 表 物 の 著 作 者 と して 帰 属 す べ き 者 に 関 す る最 小 限 の 規 定 が 「バ ン ク ー バ ー ・プ ロ. トコル 」 に規 定 され て い る。 公 表 物 の 著 作 者 を要 求 す る者 は,以 下 の 通 り,公 表 物 の 創 造 に実 質 的 に参 加 した もの で な け れ ば な ら な い。. (6)TheUniversityofMelbourne,opcゴ. 孟,p.144.. (7>TheUniversityofMelbourne,opc紘,p.144. -93(345)一.

(8) 第51巻 1)公. 第2号. 表 物 が 関 係 す る研 究(「 関 連 研 究 」)の 構 想 と設 計,も. し くは,関 連 研 究 デ ー タ. の分 析 と解 釈 に 参 加 して い る こ と。 2)論. 文 の草 稿 を 執 筆 す る こ と,も. し くは,論 文 の 重 要 な知 的 内 容 に つ い て 批 判 的 に. 改 善 す る こ と。 3)公. 表 さ れ た著 作 物 に つ い て 最 終 的 な承 認 を与 え た こ と。 研 究 資 金 の調 達 も し くは デ ー タ の 収 集 の み の 参 加 は,公 表 物 の 著 作 者 と して 帰 属. す べ き者 と して 十 分 な 資 格 が あ る もの と は認 め られ な い。 研 究 グル ー プ の 一・ 般 的な 監 督 は,同 様 に,著 作 者 と して の十 分 な 資 格 が あ る も の と は認 め られ な い。 論 文 の 主 要 な 結 論 に対 す る部 分 的 で は あ るが 決 定 的 な 関 与 は,少 な くと も,著 作 者 の一 人 と して 責 任 を もた な け れ ば な らな い。 公 表 され た研 究 成 果 に 関与 した 著 作 者 は,当 該 者 の 専 門 領 域 に お い て そ の 研 究 成 果 の 少 な く と も関 与 部 分 に つ い て 社 会 的 責 任 が 付 随 す る こ とを 十 分 認 識 しな け れ ば な らな い。 著 作 者 で あ る者 は,こ の定 義 に従 っ て,書 面 に よ る承 諾 が あ る場 合 を 除 き,著 作 者 か ら除 外 され て は な ら な い 。 b)研. 究 成 果 の共 著 者 が 一 人 を 超 え る場 合,共 著 者 の 一 人 が,著 作 者 間 の 合 意 に基 づ き,. 管 理 及 び通 信 の 目的 か ら代 表 者(exectiveauthor)に c)研. 指 名 され な け れ ば な らな い。. 究 成 果 の 共 著 者 が 一 人 を 超 え る場 合,著 作 者 は,表 示 され る氏 名 の 順 位 につ い て. 議 論 しそ して 合 意 しな け れ ば な らな い。 d)著. 作 者 で な い が 研 究 に 貢 献 した そ の他 の 者 は,(出. 版 社 が 謝 辞 を 認 め て い る場 合 に,. 研 究 領 域 や 学 問分 野 に お け る規 範 に 従 った 方 法 で)謝 辞 の 中 で そ の 氏 名 を 明 記 しな け れ ば な らな い。 著 作 者 は,研 究 学 生,研. 究 助 手,及. び,技 術 協 力 者 の 業 務 が 彼 らが 貢. 献 した 研 究 か ら派 生 した 公 表 物 の 中 で 明 示 さ れ る こ と を保 証 しな け れ ば な らな い。 3研. 究 成 果 の 公 表(8). a)同. 一 の デ ー タ セ ッ トま た は そ の サ ブ セ ッ トに基 づ い て1本. こ とは,個. を超 え る論 文 を 公 表 す る. 々 の一 連 の論 文 が 完 全 に 相 互 参 照 す る 内容 と な っ て お り,か つ,以 前 に公. 表 した 論 文 を 事 情 に応 じて認 め て い る場 合 を 除 いて,許 容 で きな い。(た とえ ば,一 連 の 研 究 が 密 接 に 関 連 して い る場 合,以 前 の 予 備 的 な研 究 に 基 づ い て そ の 後 研 究 が 完 成 した場 合 な ど が あ る。) b)1社. を超 え る 出 版 社 に対 して 実 質 的 に 同 一 の 著 作 を 提 供 して い る著 作 者 は,著 作 を. 提 出 す る 時 点 で 出 版 社 に対 して この こ とを 開 示 しな け れ ば な らな い。 c)公. 表 物 は,当 該 研 究 に 対 す る資 金 的 援 助 の源 泉 に 関 す る 情 報 を 含 む も の で な け れ ば. (8)TheUniversityofMelbourne,oFc菰,p.144.. -94(346)一.

(9) 大学 にお ける知 的財産管理 の意義 と方 法(浦 崎) な らな い。 資 金 提 供 者 の 名 称 を 明 らか にす る こ とを 制 限 す る よ うな 資 金 援 助 は避 け な け れ ば な らな い。 4研. 究 プ ロセ ス の 指 導(9). a)個. 々 の研 究 室 ま た は 学 科 は,大 学 理 事 会 が そ の つ ど定 め る要 件 に 準 拠 して 研 究 を指. 導 す る た め の ガ イ ドライ ンを 採 用 しな け れ ば な ら な い。 b)指. 導 者 は,ガ イ ドライ ンに 明 示 され た責 任 を遂 行 して い るか を観 察 し,か つ,指 導. の 責 任 を遂 行 しな け れ ば な らな い。 こ れ は,健 全 な研 究 の 実 施 の た め に助 言 を 行 う こ とを 含 む も の で あ る。 c)ガ. イ ドラ イ ン に 明示 さ れ た 責 任 が 免 責 され る と期 待 され る者 を 除 き,指 導 者 と して. の 任 命 を 辞 退 しな け れ ば な らな い。 d)よ. り高 位 の 学 位 の研 究 学 生 及 び 新 任 の 研 究 者 は,研 究 の遂 行 に 関 す る適 用 可 能 な 当. 該 機 関 の ガ イ ドラ イ ン に 関 す る資 料 が 提 供 さ れ な け れ ば な らな い。 こ の ガ イ ドラ イ ン は,人 間 ま た は動 物 の 研 究 に関 す る倫 理 要 件,守 秘 義 務 の要 件,職 務 上 の 健 康 及 び安 全 に 関 す る規 定 を含 む もの で あ る。 5利. 益 相反ω. a)大. 学 の 研 究 に 関与 して い る教 員,学 生,あ. た,あ. る い は,そ の 他 の者 は,実 際 の,自 覚 し. る い は,潜 在 的 な機 会 に お い て,自 身 の 利 益 も し く は そ の 他 の者 ・組 織 の利 益. が 大 学 の 利 益 よ り も優 先 す る よ う な状 況 に お い て は,利 益 相 反 が 生 じて い る。 研 究 に お け る利 益 相 反 の事 例 と して 次 の よ うな もの が 考 え られ る。 1)研. 究 が 関 係 団体 か ら資 金 援 助 を受 けて い る場 合. 2)研. 究 者 ま た は 関 係 団体 が 研 究 成 果 の 不 適 切 な 宣 伝 に よ って直 接 に ま た は 間 接 に 利. 益 を 得 る お そ れ が あ る場 合 3)研. 究 者 ま た は 関 係 団 体 が大 学 の 資 源 を利 用 して 直 接 に ま た は 間接 に利 益 を 得 るお. そ れ が あ る場 合 4)結. 果 に 重 大 な 利 益 が 伴 うた め に個 人 ま た は組 織 が 資 金 援 助 す る 臨 床 試 験 を 研 究 者. が 実 施 す る場 合 関 係 団 体 と は,研 究 者 が所 属 して い るか ま た は財 務 的 関与 が あ る個 人 ま た は 組 織 の こ とを い う。 財 務 的 関 与 と は,直 接 の ま た は 間 接 の 財 務 的利 益,ベ ネ フ ィ ッ ト(旅 費,宿 泊 費 等)の 提 供,研 究 資 材 や 設 備 の 提 供 を含 む もの で あ る。 間接 的 な 財 務 的. (9)TheUniversityofMelbourne,ρ. ρ.o鼠,p.144.. ⑩TheUniversityofMelbourne,o露c肱,p,145. -95(347)一.

(10) 第51巻. 第2号. 関 与 と は,研 究 者 の親 族,友 人,同 僚,ま. た は 研 究 学 生 か ら得 られ る財 務 的 利 益 ま. た は ベ ネ フ ィ ッ トを意 味 す る。 b)利. 益 相 反 を 管 理 す る責 任 は,ま ず 第 一 に,個 人 に あ る。. 1)研. 究 者 は,合 理 的 に 実 行 可 能 で あ る 限 りで 利 益 相 反 に つ い て次 の通 りす べ て を 開. 示 しな け れ ば な ら な い。 ア)研 究 者 が 学 科 長 で あ る場 合 は,学 部 長 に対 して報 告 を 行 う。 イ)研 究 者 が 学 部 長 で あ る場 合 は,(研 究 担 当 の)副 学 長 代 理 に 対 して 報 告 を 行 う。 ウ)そ れ 以 外 の す べ て の ケ ー ス につ い て は,研 究 者 が 所 属 す る学 科 長 に 報 告 を 行 う。 臨 床 試 験 の 実 施 に つ いて は,資 金 援 助 の 詳 細,援 助 者 ・臨 床 試 験 の対 象 と試 験 担 当者 との 関 係 に つ い て す べ て を 開 示 しな けれ ば な らな い。 2)上. 記 パ ラ グ ラ フ1)に. お い て 言 及 した よ うに,報 告 を 受 け た役 職 者 は 当該 問 題 に. 関 係 す る ス タ ッ フ メ ンバ ー と当 該 問 題 に つ い て議 論 しな け れ ば な らな い。 ま た,以 下 の パ ラ グ ラ フ5)と6)に. 従 って 利 益 相 反 を 管 理 す る手 続 ま た は そ れ を 除 去 す る. 手 続 を 決 定 しな け れ ば な らな い。 この 手 続 は文 書 化 され,こ れ を 書 面 にて 研 究 者 に 通 知 しな け れ ば な らな い 。 3)研. 究 者 は,利 益 相 反 の 管 理 に関 連 して,上 記 パ ラ グ ラ フ2)に. お い て 言 及 した役. 職 者 の 指 示 に従 わ な け れ ば な らな い。 4)直. 接 に 自 らが 関与 す る もの で な い 限 り,学 科 長 は ス タ ッ フ メ ンバ ー が 関 与 す る研. 究 に お け る利 益 相 反 が 適 切 に管 理 され て い る こ とを 確 認 す る責 任 が あ る。 5)学. 科 長 が 研 究 に お け る利 益 相 反 に 関 わ りが あ る場 合,学 部 長 が 当 該 問 題 に 関 す る. 適 切 な 管 理 方 法 を 副 学 長 ω に勧 告 す る責 任 を 有 す る。 6)学. 部 長 が 研 究 に お け る利 益 相 反 に関 わ りが あ る場 合,(研. 究 担 当 の)副 学 長 代 理. が 当 該 問 題 に 関 す る適 切 な 管 理 方 法 を 副 学 長 に勧 告 す る責 任 を 有 す る。 7)学. 術 ス タ ッ フ の す べ て の メ ンバ ー は,利 益 相 反 の 管 理 を含 む 学 術 的 活 動 に つ い て. 年 度 毎 に 申告 書(FormHR34)を. 作 成 す る義 務 が あ る。. 8)学 科 長 は,所 属 す る学 科 の 研 究 に資 金 援 助 す る組 織 の取 締 役 に な って は な らな い。 ま た,そ の よ う な組 織 に対 して直 接 に あ る い は 間接 に5パ ー セ ン トを 超 え る株 式 投 資 を 行 って は な らな い。 た だ し,こ れ につ い て 完 全 な 開示 が な さ れ て い る場 合,及. GDイ. ギ リ ス や オ ー ス トラ リ ア の 大 学 に お け る 副 学 長(vice-chancellor)と. 学 長(chancellor)の. 下 位 に 位 置 す る が,学. り仕 切 る 最 高 責 任 者 で あ り,日. 長 職 は 名 誉 職 で あ り,実. 本 の 大 学 に お け る学 長 に相 当す る。 -96(348)一. い う 役 職 は,形. 式 上,. 質 的 には副学長 が実務 を取.

(11) 大 学 に お け る知 的 財 産 管 理 の 意 義 と方 法(浦. 崎). び,副 学 長 が この 方 針 の 例 外 と して 承 認 を して い る場 合 に は,こ の 限 りで は な い。 9)(研. 究 担 当 の)副 学 長 代 理 は,大 学 を代 表 して,資 金 援 助 の あ る研 究 を受 け 入 れ. るべ き か ど うか,ま た は,研 究 に 対 す る財 政 的 支 援 の契 約 を 行 うべ きか ど うか の 意 思 決 定 を す る と き に,生. じ る お そ れ の あ る利 益 相 反 に 関 す る開 示 と管 理 に関 す る情. 報 を収 集 しな け れ ば な らな い 。. IVア. カ デ ミ ッ ク ・ミ ス コ ンダ ク トの 申 立 と処 理. メ ル ボル ン大 学 の研 究 行 為 規 準 で は,そ. こに 示 さ れ て い る諸 規 定 の遵 守 が 維 持 さ れ な い. 場 合 に,リ サ ー チ の ミス コ ン ダ ク トが 引 き起 こ され る と述 べ られ て い る。 こ れ を 防止 す る た め に は,大 き く二 つ の ア プ ロ ー チ が考 え られ る。 一つは. ,取. り挙 げ た 諸 大 学 の規 定 に 明 示 され て い る よ う に,大 学 に所 属 す る教 職 員,非. 常 勤 教 職 員,学 生,そ. の他 研 究 に関 与 す る人 々が ア カ デ ミ ック ・ミス コ ンダ ク トに 関 す る. 規 定 を 熟 読 し,責 任 を 自覚 す る と と も にル ー ル か ら逸 脱 した 行 為 が な い よ う に 自己 を律 す る方 法 で あ る。 さ ら に,学 部 や大 学 院 の 学 生,あ. るい は教 職 員 に 対 して も倫 理 教 育 を徹 底. し,規 律 を守 る意 識 を 高 め る こ とが 考 え られ る。 も う一 つ の 方 法 は,逸 脱 行 為 に対 して 何 らか の サ ンク シ ョ ンを 与 え る こ と に よ り,潜 在 的 な ミス コ ンダ ク トの 誘 因 を 防止 し よ う とす る もの で あ る。 そ の サ ン ク シ ョ ンは大 学 に よ り異 な る が,訓 戒 か ら解 雇 に い た る ま で ミス コ ンダ ク トの 内容 に よ って 懲 罰 が 異 な る。 そ の よ う な裁 定 を下 す た め に は,ミ ス コ ンダ ク トの存 否 を判 断 す る調 査 委 員 会 が 設 け られ, 予 備 調 査 と公 式 調 査(コ ー ネ ル 大 学 は尋 問(inquiry)と. 調 査(investigation)と. 呼 ぶ). の2段 階 で 事 実 認 定 が 行 わ れ る こ とが 共 通 した 特 徴 で あ る。 ミス コ ン ダ ク トに関 す る調 査 は,ミ ス コ ン ダ ク トに 関 す る 申 立 に よ り開 始 さ れ るが,善 意 の 申立 で あ って も,そ の後 の 身 分 の保 証 が な けれ ば,現 実 に は 申立 は起 き な い で あ ろ う。 した が って,あ. る研 究 グル ー プ に所 属 し研 究 の過 程 で ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ンダ ク トを 知. り得 た者 が 申立 を 行 うた め に は,当 該 機 関 で の職 業 継 続 を保 証 す る必 要 が あ る。 オ ッ ク ス フ ォ ー ド大 学 の規 定 で は,イ ギ リス の 公 益 開 示 法 の 規 定 を援 用 し,告 発 者 を 保 護 す る こ と が 明 示 され て い る。 も ち ろ ん,悪 意 の 申立 は相 当 の処 罰 が 与 え られ る。 以 下 に お い て は,コ ー ネ ル 大 学,オ. ッ ク ス フ ォ ー ド大 学,ケ. ンブ リ ッ ジ大 学 の 関 連 規 定. に お け る ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ン ダ ク トの 申立 と そ の 処 理 に 関 す る手 続 を み て み た い 。. 一97(349)一.

(12) 1 第51巻 IV-1コ. 第2号. ー ネ ル大 学 の 申 立 の 手 続 ⑫. コ ー ネ ル大 学 の規 定 に よ れ ば,コ ー ネ ル 大 学 に所 属 す る あ る い は関 係 す る者,例 学 部 教 職 員,学 生,大 学 の 設 備 を 利 用 す る者 等 は,ア. え ば,. カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ン ダ ク トの 疑 義. が あ る 場 合,当 該 行 為 に つ い て 学 部 長 に対 して まず 報 告 を行 う義 務 が あ る。 そ の後 の 手 続 き は,以 下 の 尋 問 と調 査 と い う2段 階 で そ の 申立 を処 理 す る こ とに な る。 (1)尋. 問. ア カ デ ミッ ク ・ ミス コ ンダ ク トに 関 す る 報 告 を 受 け た 場 合,学 部 長 は 当 該 申 立 ま た は ア カ デ ミッ ク ・ミス コ ンダ ク トの そ の他 の 証 拠 に 関 す る 予 備 的 尋 問 を 行 う。 学 部 長 が 申 立 の ケ ー ス と実 際 の ま た は 明 白 な利 害 の 抵 触 が あ る場 合 に は,事 務 長(theSecretary)ま. た. は 副 学 部 長 が 尋 問 者 とな る。 事 務 長 ま た は 副 学 部 長 が 申 立 の ケ ー ス と実 際 の ま た は 明 白 な 利 害 の 抵 触 が あ る場 合 に は,学 長 が 教 授 会(professiorialfaculty)か. ら尋 問 者 を 指 名 す. る。 尋 問 の 目的 は尋 問 者 が調 査 を 正 式 に許 可 す る か ど うか を 決 定 す る こ とが で き る よ う に 十 分 な情 報 と事 実 を収 集 す る こ とで あ る。 尋 問 者 に こ の タ ス ク を行 う た め に必 要 な か つ 適 切 な 技 能 が な い場 合 に は,尋 問 の 実 施 を 補 佐 す る 他 の 担 当 者 を 指 名 す る。 そ の よ うな 尋 問 は,通 常,申 立 の あ っ た ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ンダ ク トに 関 す る最 初 の 報 告 か ら60日 以 内 に終 了 しな け れ ば な らな い。 尋 問 者 は,尋 問 の 過 程 に お い て 次 を 行 う。 (1>申 立 の 対 象 とな っ た人 と申 立 を行 っ た人 の利 害 お よ び名 声 を保 護 す る た め に す べ て の 合 理 的 な 予 防 措 置 を行 わ な け れ ば な らな い。 (2)原 告,被 告 ま た は 尋 問 の 目的 に照 ら して 必 要 ま た は適 切 な 人 物 に 聞 き取 りを 行 う。 (3)検 討 した証 拠 お よ び 聞 き取 りの 内 容 を ま とめ た 書 面 に よ る報 告 書 を 作 成 す る。 尋 問 期 間 が60日 を 超 過 した場 合 に は そ の 理 由 を 文 書 化 す る。 調 査 が 正 当 で あ る か ど うか に つ い て尋 問者 の 結 論 を記 載 す る。 (4)被. 告 と原 告 に書 面 に よ る コ メ ン トを 求 め て 報 告 書 の写 しを 提 供 す る。 そ の コ メ ン ト. は報 告 書 と と もに尋 問 者 の 記 録 の 一 部 と な る。 も し申 立 が ス ポ ンサ ー の あ る リサ ー チ を 含 ん で い る場 合 に は,尋 問者 は尋 問 の 開 始 時 点 で 研 究 担 当 の 副 学 長 に慎 重 に通 知 す る。 こ の と き,副 学 長 は ア カ デ ミ ック ・ミス コ ンダ ク トの 尋 問 に 関 す る適 用 さ れ る管 理 規 則 に つ い て尋 問者 に助 言 す る。 研 究 担 当 の 副 学 長 は, ま た,資 金 を 保 護 す る た め に適 切 で あ る と考 え られ る暫 定 的 な 管 理 的 処 置 を 行 い,資 金 援. ⑫. コ ー ネ ル 大 学 の ア カ デ ミ ッ ク ・ ミ ス コ ン ダ ク ト に 関 す る 申 立 の 手 続 は,以. 下 の資 料 を 翻 訳 した. もの で あ る。 CornellUniversity,Policy1.2AcademicMisconduct,Volume1. ,AcademicResearch,. Chapter2,AcademicMisconduct,OriginallyIssuedDecember1998.. -98(350)一. IL.

(13) 大学 にお ける知 的財産管理 の意 義 と方法(浦 崎) 助 の 目的 が実 行 され て い る こ と を確 認 しな けれ ば な らな い。 申 立 の事 件 が 公 表 され る可 能 性 が 高 い こ と を尋 問 者 に 通 知 す る場 合,研 究 担 当 の 副 学 長 に も連 絡 す る。 尋 問 の 過 程 で, 副 学 長 は ス ポ ンサ ー の規 則 の必 要 か ら そ の こ とに つ い て 通 知 し報 告 書 を提 出 す る。 申立 が ス ポ ンサ ー 付 き の 研 究 を含 む か ど うか に か か わ らず,尋. 問者 が 直 接 的 な 健 康 被 害. 要 因 ま た は尋 問 に よ って 影 響 を 受 け る個 人,資 金,設 備 を 保 護 す る必 要 性 を 認 識 した な ら ば,尋 問 者 は適 切 な 暫 定 的 措 置 を行 う研 究 担 当 副 学 長 に 通 知 す る。 尋 問 の過 程 に お い て 大 学 の 資 金 管 理 に不 正 が あ っ た こ と を示 す 合 理 的 な証 拠 が 発 見 され た な らば,尋 問者 は大 学 監 査 部 へ この 件 を通 知 す る。 尋 問 の過 程 に お い て 犯 罪 行 為 が あ っ た こ と を示 す 合 理 的 な 証 拠 が 発 見 さ れ た な らば,尋 問 者 は24時 間 以 内 に研 究 担 当 副 学 長 と大 学 法 律 顧 問(UniversityCounsel)に. こ の件 を 通 知 す る。 副 学 長 は ス ポ ンサ ー の規 則 に よ っ て必 要 が あ る場 合. に は 資 金 管 理 の不 正 や 犯 罪 行 為 につ い て ス ポ ンサ ー に通 知 す る。 調 査 は必 要 な い と い う結 論 は,(1)申 立 の事 実 は ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ンダ ク トの 行 為 を 構 成 しな い と い う こ と,も し くは,(2)尋 問 に よ って ア カ デ ミッ ク ・ミス コ ン ダ ク トが発 生 した こ とを確 信 す る た め の 合 理 的 な理 由 は ま った くな い こ との いず れ か に 基 づ く もの で は な け れ ば な らな い 。 尋 問 者 が 調 査 は 必 要 な い と結 論 づ け た場 合 に は,尋 問 者 は尋 問 を 終 了 す る。 この 場 合, 尋 問 報 告 書 は3年 間 学 部 長 の機 密 フ ァ イ ル に保 存 し,そ の 後 廃 棄 す る。 尋 問 者 が 尋 問 の 終 了 前 に何 らか の理 由 に よ って ス ポ ンサ ー付 き の リサ ー チ を 含 む 尋 問 を 終 了 す る と意 思 決 定 す る場 合,尋. 問 を 終 了 す る理 由 に 関 す る記 述 を含 め て 予 定 さ れ る終 了 に 関 す る報 告 書 を 研. 究 担 当副 学 長 に提 出す る。 研 究 担 当 副 学 長 は ス ポ ンサ ー の規 則 に よ って 必 要 が あ る場 合 に は こ の決 定 につ い て ス ポ ンサ ー に通 知 す る。 (2)調. 査. 尋 問者 の 判 断 に よ って 申立 につ い て さ ら に調 査 が 必 要 に な っ た場 合 は,尋 問者 は尋 問 の 終 了 後30日 以 内 に 当該 問 題 に つ い て 学 部 長 ま た は 適 当 な 管 理 部 長 に 通 知 す るδ 学 部 長 ま た は 管 理 部 長 は,報 告 書 の 受 領 に基 づ い て,申 立 の 調 査 を 指 揮 す る。 学 部 長 ま た は管 理 部 長 が 当 該 問 題 に つ い て実 際 に ま た は 明 らか に利 害 の 抵 触 の 状 況 に あ る と き に は,学 長 は 調 査 を 担 当 す る専 門 学 部 の メ ンバ ー を 指 名 す る。 申 立 に は 実 体 が あ る と尋 問者 が 発 見 した な ら ば 調 査 を 実 施 しな け れ ば な らな い。 尋 問者 は,研 究 担 当 副 学 長 お よ び大 学 法 律 顧 問 に これ か ら行 わ れ る調 査 に つ い て通 知 す る。 尋 問 が 終 了 した 後 で 調 査 が 開 始 され る前 に,研 究 担 当 副 学 長 は ス ポ ンサ ー の 規 則 に よ って 必 要 で あ る と き に は 影 響 を 受 け た リサ ー チ に つ い て ス ポ ンサ ー に 通 知 す る。 副 学 長 一99(351)一.

(14) 第51巻. 第2号. は,自 らの 裁 量 に よ って,調 査 の 対 象 とな る個 人 に つ い て す べ て の ス ポ ンサ ー に連 絡 す る。 研 究 担 当副 学 長 は,調 査 に関 す る情 報 は ス ポ ンサ ー に対 して 秘 密 に して い る こ とを 確 認 す る。 同 時 に,副 学 長 は ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ン ダ ク トの調 査 に 関 す る適 用 され る管 理 規 則 を 調 査 者 に 助 言 す る。 調 査 者 は,ア カ デ ミ ック ・ミス コ ンダ ク トが 発 生 した か ど うか を決 定 す る た め にす べ て の 関 連 す る情 報 の 完 全 な 審 査 と評 価 を 行 う。 調 査 者 は,調 査 を 補 佐 す る た め に 特 別 委 員 会,独 立 委 員 会,ま. た は そ の 他 の人 員 を 任 命 す る こ とが で き る。 調 査 者 は,必 要 で か つ 適. 切 な専 門 的知 識 を 有 す る者 が 調 査 を 担 当 し,そ して,実 際 の ま た は 明 白 な 利 害 の 抵 触 の あ る者 が 調 査 者 に任 命 さ れ て い な い こ と を 保 証 す る。 調 査 に は次 の よ う な事 項 が 含 ま れ る が そ れ ら に 限定 さ れ る もの で は な い。 ①. 関 連 す る リサ ー チ デ ー タ お よ び企 画 書,公 表 物,通. 信文 な どのすべ ての 関係文書 を. 審 査 す る。 ②. 随 時 す べ て の 当事 者(principal)や. ③. コ メ ン トや 書 き直 しの た め に 聞 き 取 りを 行 った 当事 者 に提 出 され る書 面 に よ る聴 取 書,そ. して,ス. 証 人 か ら聞 き取 りを行 う。. ポ ンサ ー の 方 針 に基 づ く要 求 に よ っ て ス ポ ンサ ー に提 供 さ れ る聴 取 書. を 作 成 す る。 ④. 調 査 フ ァイ ル の一 部 と して 聞 き取 りの文 書 とそ の 要 約 を管 理 す る。. ⑤. 適 任 と考 え られ る 大 学 内 外 の 専 門 家 に相 談 す る。. ⑥. 次 の事 項 に つ い て 書 面 に よ る 報 告 書 を作 成 す る。 (a)実 施 した調 査 の方 針 及 び手 続 に 関 す る記 述 (b)レ. ビ ュ ー した 証 拠 と実 施 した 聞 き 取 りの 要 約. (c>ア. カ デ ミ ック ・ミス コ ンダ ク トに 関 与 した こ とが 判 明 した 個 人 の 見 解 に つ い て の. 実 際 の表 現 ま た は正 確 な 要 約 (d)ア. カ デ ミッ ク ・ ミス コ ン ダ ク トに 関 す る発 見 事 項 お よ び これ らの 発 見 の基 礎. (e)ミ. ス コ ンダ ク トに よ って 生 じた ダ メ ー ジを 回復 す る た め に 勧 告 さ れ た 管 理 行 為. (f)訓 戒 か ら解 雇(termination)の. 間 で 特 定 の 懲 罰 を 勧 告 す る。 書 面 に よ る コ メ ン. トを 求 め て 被 告 お よ び 原 告 に調 査 報 告 書 を 提 出す る。 そ の コ メ ン トは報 告 書 と と も に調 査 記 録 の一・ 部 を 形 成 す る。 申 立 の事 件 が 公 表 され る こ と に つ い て 調 査 者 に知 ら され る な らば,調 査 者 は そ の 申 立 が ス ポ ンサ ー の資 金 を含 ん で い る か ど うか につ い て研 究 担 当 副 学 長 に 通 知 す る。 調 査 の 過 程 に お い て,研 究 担 当副 学 長 は ス ポ ンサ ー の規 則 に よ り必 要 で あ れ ば ス ポ ンサ ー に こ れ を 通 一100(352)一. rI 一.

(15) 大学 にお ける知 的財産管理 の意義 と方法(浦 崎) 知 し,そ の 報 告 書 を提 出す る。 申立 が ス ポ ンサ ー か らの資 金 に よ る リサ ー チ を 含 ん で い る か ど うか に か か わ らず,調 査 者 が 直 接 的 な健 康 被 害 につ い て 知 りえ た場 合,あ る い は,調 査 に よ って 影 響 を 受 け る個 人, 資 金 ま た は設 備 を 保 護 す る必 要 が あ る場 合,調 査 者 は適 切 な暫 定 的 措 置 を行 う研 究 担 当 副 学 長 に通 知 す る。 調 査 の 過 程 に お い て,大 学 ま た は ス ポ ンサ ー の 資 金 に不 正 を示 す 合 理 的 証 拠 が発 見 さ れ た と き は,調 査 者 は 大 学 監 査 部 に通 知 す る。 調 査 の過 程 に お い て 犯 罪 行 為 を 示 す 合 理 的証 拠 が発 見 さ れ た とき は,調 査 者 は24時 間 以 内 に 研 究 担 当副 学 長 ま た は 大 学 法 律 顧 問 に通 知 す る。 副 学 長 は これ らの不 正 や犯 罪 行 為 につ い て ス ポ ンサ ー の規 則 に よ っ て 必 要 が あ る場 合 に は ス ポ ンサ ー に 通 知 す る。 調 査 者 が(1)調査 対 象 の 個 人 につ い て 現 在 の ま た は 潜 在 的 な ス ポ ンサ ー資 金 に影 響 を 及 ぼ す 事 実 ま た は(2)リサ ー チ ・ス ポ ンサ ー が 資 金 の 適 切 な 利 用 につ い て 確 認 す る必 要 が あ る と い う事 実 も し くは 公 共 の 利 益 を 保 護 す る 必 要 が あ る と い う事 実 を発 見 した な らば,調 査 者 は す ぐに研 究 担 当 副 学 長 に通 知 す る。 副 学 長 は ス ポ ンサ ー の 規 則 に よ り必 要 が あ る場 合 に こ れ らの事 実 を ス ポ ンサ ー に通 知 す る。 被 告 の コ メ ン トを含 ん だ最 終 の報 告 書 は,調 査 者 か ら尋 問者 へ 提 出 さ れ る。 最 終 報 告 書 は ス ポ ンサ ー の 規 則 の 求 め に応 じて ス ポ ンサ ー の 利 用 に供 さ れ る。 調 査 は,尋 問者 か らの 委 託 か ら120日 以 内 に 通 常 完 了 しな け れ ば な らな い 。 報 告 書 に基 づ い て 尋 問 者 が ア カ デ ミ ック ・ミス コ ンダ ク トは発 生 して い な い と結 論 づ け た な らば,調 査 は これ で 終 了 す る。 この よ うな 場 合,調 査 報 告 書 は3年 間 学 部 長 の秘 密 フ ァ イル に 保 存 され,そ. の後 破 棄 され. る。 調 査 の 性 質 に よ って120日 の 期 限 を 守 る こ とが で き な い場 合,調 査 者 は 中 間 報 告 書 を 作 成 す る。 こ の報 告 書 は,調 査 の 遅 延 に 関 す る説 明,現 在 ま で の 調 査 の 進 捗 に 関 す る報 告, これ ま で に終 了 した事 柄 に つ い て の 概 略,調 査 終 了 の 予 定 日を 記 載 す る。 調 査 者 は,こ の 報 告 書 を 調 査 担 当 の副 学 長 に 提 出 す る。 副 学 長 は ス ポ ンサ ー の 規 則 の 求 め に応 じて ス ポ ン サ ー に こ の報 告 書 を提 出す る。 調 査 者 が何 らか の理 由 で ス ポ ンサ ー の 資 金 に基 づ く リサ ー チ を含 む 調 査 を 終 了 す る と決 定 す るな らば,終 了 に関 す る理 由 につ い て の記 述 を含 め て 予 定 さ れ る終 了 につ い て の報 告 書 を研 究 担 当 副 学 長 に提 出 す る。 副 学 長 は,ス. ポ ンサ ー の規 則 の求 め に応 じて この 決 定 を. 通 知 す る。 IV-2オ. ッ ク ス フ ォー ド大 学 ・疑 義 の あ る ミ ス コ ンダ ク トの 申立 手 続 ⑬. こ こ で は,オ. ッ ク ス フ ォ ー ド大 学 に お け る ミス コ ン ダ ク トの 申立 手 続 を 管 見 した い 。. オ ッ ク ス フ ォー ド大 学 の 申 立 手 続 の 運 用 面 で の 特 徴 は,ミ ス コ ンダ ク トの 規 定 が 関 連 懲 罰 一101(353)一.

(16) 第51巻. 第2号. 学 部 長 ・ミス コ ン ダ ク トの 申 立 受 領. 調査 の要 否を決め る尋 問の開始 はい. ス ポ ンサ ー付 研 究. 研究 担当副学長 資金 の保護. 無 尋 問 の結 果. プロセスの終 了. ミス コ ンダ ク ト. 当事者 に連絡. 1の. 保護. の必要性. 有無. はい 研 究担 当副学長 個 人 と設備 の保護. 有 カ レッジの学長 尋 問報告書の受領. 研究担 当副学長 影響 を受 けた研究の スポ ンサー に通知. 公表の可能性. はい. はい. 保 護の必要性. 発 見事項の尋問者 によ. 研究担 当副学長 大学法 律顧問 ・監査部, スポ ンサーへ通知. 研究担 当副学長 スポ ンサーに通知. 診響を及 ぼす事実 の発見. 決定 と処罰 の勧告 を含 む最終報告書 の発 行. る レ ビ ュー,決. 大学法 律顧問 ・監査部, スポ ンサーへ通知. スポ ンサーに 調査の開始. 研究担 当副学長. はい. 犯罪行 為の有無. はい 研 究担当副学長 個 人 と設備 の保護. はい. 犯 罪行為 の有無. 研究担 当副学長 スポンサーに通知. 定 と処. 罰 の 受 諾 また は修 正. 公表. 無 プ ロセ スの終了 当事者 に連絡. 調 査 の結 果. の可能 性. はい 研究 担 当副学長 ス ポンサ ーに通知. ミス コ ンダ ク ト の有 無 有. 研 究担当副学長 全 スポ ンサ ーに通知. 図2ア. (図2は,コ. 不服 申立 手続 き 処罰 の提示. カ デ ミ ッ ク ・ ミ ス コ ン ダ ク トの 調 査 プ ロ セ ス. ー ネ ル 大 学 の 規 定 に あ る フ ロ ー チ ャ ー ト図 を 翻 訳 して 掲 載 し た も の で あ る 。). 手 続 の 通 常 の実 施 を 侵 害 して は な らな い とい う点,な. らび に,ミ ス コ ンダ ク トの 規 定 と 関. 連 懲 罰 手 続 と の 間 で 食 い違 い が あ る 場 合 に は,後 者 の懲 罰 手 続 が 優 先 す る と い う点 で あ る。 以 下,オ. ⑬. ック ス フ ォ ー ド大 学 の ミス コ ン ダ ク トの 申立 とそ の 処 理 に 関 す る規 定 の 手 続. オ ッ ク ス フ ォ ー ド大 学 の ア カ デ ミ ッ ク ・ ミ ス コ ン ダ ク ト に 関 す る 申 立 の 手 続 は,以 翻 訳. した もの で あ る。. OxfordUniversity,CodesofPracticeandProcedure:PublicInterestDisclosureAcademic IntegrityinResearch,Supplement(3)toGazetteNo.4517,30June1999.. -102(354)一. 下 の 資 料 を.

(17) 大学 におけ る知 的財産管 理 の意義 と方法(浦 崎) き を み て い き た い。 1,大. 学 の す べ て の 構 成 員 お よ び 大 学 お よ び そ の 機 関 に お い て 業 務 の遂 行 が許 可 さ れ て. い る個 人 は,ス タ ッフ ま た は 学 生 の そ れ ぞ れ に つ い て の 苦 情 につ い て,そ. して,証 明. さ れ た も の で あ る か ま た は 疑 義 の 段 階 で あ る か にか か わ らず ミス コ ンダ ク トの事 件 に つ い て,事 務 局 長 ま た は学 生 監 に 報 告 す る責 任 が あ る。 2.さ. ら に調 査 が 必 要 で あ る場 合 に は,事 務 局 長 ま た は そ れ に代 わ って 権 限 が 与 え られ. て い る者,も. し くは,学 生 監 は,事 情 に 応 じて,申 立 を 調 査 す る た め の小 委 員 会 を設. 置 しな け れ ば な らな い。 この 小 委 員 会 は 通 常 二 人 の委 員,す な わ ち適 切 な 専 門 知 識 を 有 す る学 科 ま た は学 部 の委 員 一 名 と学 科 ま た は 学 部 外 の 大 学 も し くは単 科 大 学 の,可 能 で あれ ば,専 門知 識 を有 す る委 員 一 名 か らな る。 事 務 局 長 ま た は学 生 監 が適 任 で あ る と考 え ら る場 合 に は,事 情 に応 じて,委 員 会 の委 員 一 名 は大 学 外 で は あ る が 専 門知 識 を 有 す る者 を選 任 す る こ とが で き る。 委 員 会 の委 員 は,申 立 の事 件 と利 害 の 抵 触 が な い こ とが条 件 で あ り,公 正 で な け れ ば な らな い。 予 備 調 査 の 目的 は,ミ ス コ ンダ ク トが 明 白 な事 実 で あ る こ と を証 明 す るた め に十 分 な証 拠 が あ る か ど うか を 確 認 す るた め に 申立 の事 実 を評 価 す る こ とで あ る。 事 務 局 長 ま た は そ れ に代 わ って 権 限 が 与 え られ て い る者,も. し くは,学 生 監 が 適 任. で あ る場 合 に は学 生 監 が,調 査 を 遂 行 す る た め に必 要 な 記 録 の作 成 を要 求 し,そ して そ の 記 録 の 保 全 を 確 保 しな け れ ば な らな い。 3.被. 告 人 に 調 査 委 員 会 の設 置 の 決 定 とそ の 委 員 につ い て通 知 しな けれ ば な らな い。. 4.委. 員 会 は 申立 を 行 っ て い る者 と被 告 人 の双 方 に イ ンタ ビ ュー を 行 う。 ま た,証 人 と. み な さ れ るそ の他 の 者 に つ い て もイ ン タ ビ ュー を行 う。 イ ンタ ビュ ー に参 加 して い る 者 は 他 者 の 同伴 が 認 め られ る。 5.委. 員 会 は 報 告 書 を 作 成 し,そ の 中 で 評 価 を 行 っ た 証 拠 に つ い て 詳 述 し,イ. ビ ュ ー の記 録,も. ンタ. しあ れ ば結 論 を記 載 す る。 被 告 人 に は そ れ に コ メ ン トす る機 会 が 与. え られ な けれ ば な らな い 。 6.委. 員 会 が ミス コ ン ダ ク トの証 拠 を全 く発 見 で きな か っ た場 合 に は,そ の 申 立 は 棄 却. され る。 委 員 会 が ミス コ ンダ ク トを 証 明 す る 明 らか な証 拠 が存 在 す る と結 論 づ け た場 合 に は,報 告 書 は大 学 の 関連 懲 罰 手 続 に基 づ い て(公 式 ま た は非 公 式 の い ず れ か で) 措 置 を下 す た め に適 任 者 に委 ね られ な け れ ば な らな い。 申立 が 立 証 され そ れ が解 雇 の 正 当 な事 由 とな る と い う見 解 を委 員 会 が 下 した 場 合,ま. た,申 立 が 大 学 定 款 タ イ トル. XVIの 規 定 の適 用 を受 け る と判 断 した 場 合,委 員 会 は大 学 定 款 タ イ トルXVIの14(1)条 一103(355)一.

(18) 第51巻. 第2号. の規 定 に基 づ い て 事 務 局 長 に 報 告 書 を提 出 しな けれ ば な らな い。 あ る い は,も. し 申立. が 非 学 術 ス タ ッ フ に対 す る大 学 の懲 罰 手 続 規 定 の 適 用 に 関 連 す る場 合,委 員 会 は 当 該 ス タ ッフ の 雇 用 に 責 任 を 有 す る学 科 長 に報 告 書 を 提 出 しな け れ ば な らな い。 申立 が 新 任 の構 成 員 に関 連 す る 場 合,学 生 監 は タ イ トルXIIIの 規 定 に基 づ い て 今 後 の 措 置 を と らな けれ ば な らな い。 7.調. 査 の た め に利 用 で き る人 員 や 実 施 上 の 要 請 を条 件 と して,委 員 会 の 調 査 は通 常 事. 務 局 長 ま た は 学 生 監 の い ず れ か の適 任 者 に最 初 に 申立 を行 っ た 日か ら2業 務 週 間 以 内 に完 了 しな けれ ば な らな い。 8.申. 立 の苦 情 が大 学 の 懲 罰 手 続 の 適 用 を受 け な い者 に 関 係 して い る場 合 に は,委 員 会. は事 務 局 長 を 招 聰 し報 告 書 を 適 切 な 懲 罰 機 関 に 提 出 す る よ う に依 頼 しな け れ ば な ら な い。 9.研. 究 の資 金 が全 額 ま た は 部 分 的 に せ よ学 外 の 補 助 金 か ら出 て い る場 合 に は,大 学 は. 研 究 資 金 提 供 機 関 が 公 表 した 指 針 を考 慮 しな け れ ば な らな い 。 そ して,当 該 機 関 に対 して調 査 の 開 始 と進 捗 につ い て 適 切 に か つ 適 時 に情 報 を 提 供 しな け れ ば な らな い。 IV-3ケ. ン ブ リッ ジ大 学 の 申立 手 続qの. こ こで は,ミ. ス コ ン ダ ク トに 関 す る ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 の 申 立 手 続 に つ い て み て い き た. い。 当 該 手 続 き の 特 徴 は,手 続 は契 約 の性 質 を もつ も の で は な く指 針 と して 利 用 され るべ き もの で あ る とい う こ とで あ る。 ま た,事 務 総 長 は理 事 会 を 代 表 して,事 務 局 長 は評 議 員 会 を 代 表 して,あ. る い は 助 手 の場 合 に は人 事 担 当理 事 は,ミ ス コ ンダ ク トの ケ ー ス に 合 わ. せ て手 続 を 変 え る こ とが で き る とい う こ とで あ る。 さ らに,以 下 に み る よ う に,ミ ス コ ン ダ ク トに 関 す る ケ ンブ リ ッ ジ大 学 の 規 定 で は,予 備 調 査 と公 式 調 査 か ら構 成 さ れ て い る こ と が も う一 つ の特 徴 で あ る。 1申. 立 と部 局 長 の 責 任 部 局 長 に非 公 式 に せ よ 公 式 に せ よ 申 立 に つ い て 通 知 が あ った 場 合 に は,ミ ス コ ン ダ. ク トの可 能 性 が あ る,ま た は,ミ ス コ ンダ ク トが 生 じた とい う こ と を確 信 す る に た る 理 由 が あ る か ど うか を 決 定 す るた め に こ の 問 題 に つ い て 調 査 しな けれ ば な らな い。 大 学 の 役 職 者 の場 合 に は,手 続 に関 す る大 学 定 款Uの 関 連 す る セ ク シ ョ ンはU,皿,2,3. ⑭. ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 の ア カ デ ミ ッ ク ・ ミ ス コ ン ダ ク ト に 関 す る 申 立 の 手 続 は,以 した もの で あ る。 UniversityofCambridge,MisconductinResearch,Statementofpolicyandprocedureto befollowedintheUniversityfordealingwithanallegationofmisconductinresearch againstanofficer,memberoftheunestablishedstafforassistantstaffoftheUniversity, 1998.. -104(356)一. 下 の 資 料 を 翻 訳.

(19) 大学 にお ける知 的財産管理 の意義 と方法(浦 崎) と6-9で. あ る。 部 局 長 は 申立 の 通 知 の 後 にで き る限 り速 や か に そ の 後 の ス テ ッ プ が. 採 られ る べ き か ど うか に つ い て 決 定 しな け れ ば な らな い。 部 局 長 が そ の 申 立 が 正 当 な もの で は な い か,ま た は,取 該 申 立 を棄 却 す るか,ま. る に足 ら な い も の で あ る とみ られ る と き は,即 決 して 当. た は,そ の 後 の手 続 を と らな い とい う決 定 を す る こ とが で き. る。 も し部 局 長 が 申立 は も っ と もで あ る,も. し くは,実 体 が あ りか つ 取 る に足 らな い. も の で は な い と判 断 し た と き は,部 局 長 は 遅 滞 な く次 の 手 続 を と らな け れ ば な らな い。 a.こ. の 件 に つ い て事 務 総 長,事 務 局 長 ま た は 人 事 担 当理 事 の い ず れ か 適 当 な者. に 通 知 す る。 b.こ. の 件 につ い て す べ て の 関 連 す る研 究 ま た は そ の 他 の記 録 ま た は資 料 を 押 収. す る た め に あ ら ゆ る可 能 な ス テ ッ プを と る。 c.こ. の 件 につ い て 必 要 と考 え られ る者 に そ の他 の 調 査 ま た は 質 問 を 行 う。. d.申. 立 の 対 象 とな って い る者(被 告 人)へ. この 件 に つ い て 通 知 し,押 収 した 資 料. の 写 しを 提 出 す る。 被 告 人 に対 して この 手 続 が 懲 罰 の ス テ ップ で は な い が 申 立 に 関 す る調 査 を 可 能 とす る た め の もの で あ る こ とを 明 らか に しな け れ ば な らな い 。 申 立 の 対 象 とな っ て い る個 人 に通 知 す る場 合 に,被 告 人 を停 職 にす る か,ま た は, 大 学 の 敷 地 内 か ら排 除 す る こ とが 適 切 で あ るか ど うか に つ い て 決 定 しな け れ ば な らな い。 大 学 役 職 者 は大 学 定 款U,皿,8に. 従 って 副 学 長 に よ っ て の み停 職 の 措 置 を下 す こ. とが で き る。 臨 時 職 員 の 場 合 に は,事 務 総 長 は理 事 会 を 代 表 して,事 務 局 長 は評 議 員 会 を代 表 して そ の 特 定 の ケ ー ス に お い て停 職 が 適 切 で あ る か ど うか につ い て決 定 しな けれ ば な らな い 。 ま た,状 況 を考 慮 して無 給 の 停 職 が 正 当 で あ るか ど うか に つ い て 決 定 しな けれ ば な らな い 。 人 事 担 当 理 事 は,助 手 が 関 連 す る ケ ー ス に お い て 停 職 が 適 切 で あ るか ど うか に つ い て決 定 しな け れ ば な らな い。 2予. 備 調査 部 局 長 が 当 該 問 題 は さ ら に調 査 す る こ とに 値 す る と決 定 した な らば,申 立 を調 査 す. るた め の小 委 員 会 を 立 ち 上 げ な け れ ば な らな い。 小 委 員 会 の構成 は少 な く と も二 名 の 大 学 役 職 者 で 構 成 さ れ るが,学 科 長 を こ れ に含 め て は な らな い 。 小 委 員 会 の 委 員 は, ミス コ ン ダ ク トの 申 立 の 対 象 と な っ て い る部 局 の メ ンバ ー で あ る 必 要 は必 ず し も な い 。 委 員 は当 該 ケ ー ス に利 害 の 抵 触 が あ って は な らず,公 正 で な け れ ば な らな い 。 ま た,委 員 は調 査 対 象 とな って い る問 題 を評 価 す る こ とが で き る 当該 分 野 に関 連 す る適 切 な 資 格 と経 験 が な けれ ば な らな い 。 予 備 調 査 の 目的 は ミス コ ン ダ ク トが 明 白な 事 実 一105(357)一.

(20) 第51巻. 第2号. で あ る こ と を証 明 す るた め の 十 分 な 証 拠 が あ るか ど う か を 確 認 す る た め に 申 立 の 事 実 を 評 価 す る こ と に あ る。 被 告 人 は調 査 の 決 定 と委 員 会 の構 成 につ い て 通 知 を 受 け る。 被 告 人 が 委 員 の い ず れ か また は 両 方 の 委 員 と も適 切 で な い か,も. し くは,か な りの 程 度 公 正 さ に欠 け る と い. う こ と に つ い て書 面 に て 相 当 の 理 由 を示 す こ とが で き る場 合,委 員 の い ず れ か ま た は 両 方 を 交 替 させ る こ とが で き る。 委 員 会 は,申 立 を 行 っ て い る者 と被 告 人 の双 方 に つ い て尋 問 す る。 そ して,証 人 と 見 な さ れ る そ の他 の者 に つ い て も尋 問 を 行 う。(尋 問 を 受 け る者 は 別 の 者 の 同伴 が許 さ れ る。) 評 価 され た 証 拠,尋. 問 調 書,ミ. ス コ ンダ ク トが 明 らか に存 在 す る と い う もの で あ る. か ど うか に つ い て の 結 論 を 開 陳 す る第1回. 目 の会 議 か ら2業 務 週 間 以 内 に報 告 書 を作. 成 す る。 報 告 書 の 写 しが被 告 人 に送 付 さ れ る。 被 告 人 は28日 以 内 に 書 面 にて コ メ ン ト を 提 出 す る こ と が 求 め られ る。 次 に,部 局 長 は,臨 時職 員 や 助 手 に と って 当 該 問 題 の 調 査 を 打 ち 切 る べ き か,あ. る. い は公 式 の 調 査 を 開 始 す べ き か を 決 定 しな けれ ば な らな い 。 ま た,大 学 役 職 者 の 場 合 は,当 該 問 題 が 大 学 定 款U,皿,2ま うか,あ. た は3に. よ って 処 理 さ れ な け れ ば な らな い の か ど. る い は,副 学 長 に問 い合 わ せ な け れ ば な らな い の か ど うか(U,皿,6-9). に つ い て 決 定 しな け れ ば な ら な い。 そ し て,当 該 問 題 は い ず れ か に 従 っ て 処 理 され る。 い ず れ に せ よ,部 局 長 は,事 務 総 長 ま た は 事 情 に よ って は事 務 局 長 に 対 して情 報 を提 供 しな け れ ば な らな い。 ま た,助 手 の 場 合 に は人 事 担 当理 事 に情 報 を 提 供 しな け れ ば な らな い。 そ して,部 局 長 は原 告 と被 告 に 対 して 予 備 調 査 の 結 果 につ い て 書 面 で 通 知 しな け れ ば な らな い。 3公. 式調査 大 学 役 職 者 の場 合 に は,当 該 問 題 は 大 学 定 款U,皿,9(d)に. 基 づ い て さ らに手 続 を 進. め る。 臨 時 職 員 の 場 合 に は,理 事 会 ま た は 評 議 員 会 が 適 切 で あ る場 合 に は評 議 員 会 が,あ る い は,助 手 の 場 合 に は人 事 委 員 会 が,申 立 に 関 す る公 式 の調 査 を実 施 す る た め の調 査 委 員 会 を設 置 す る。 設 置 後2業 務 週 間 以 内 に面 会 す る。 事 務 総 長 は理 事 会 の 指 示 に した が って,事 務 局 長 は評 議 員 会 の 指 示 に従 っ て,あ. る い は助 手 の場 合 に は人 事 担 当. 理 事 の 指 示 に従 っ て,調 査 の 対 象 を 書 面 で 明確 に す る。 調 査 委 員 会 は,ミ. ス コ ンダ ク. トの 行 為 が あ った の か ど うか を 確 定 す る と い う観 点 か らす べ て の 関 係 す る証 拠 ,責 任 一106(358)一.

(21) 大学 にお ける知 的財 産管理 の意義 と方法(浦 崎) 者 お よ び ミス コ ンダ ク トの 重 大 性 を検 証 しそ して 評 価 す る責 任 が あ る。 調 査 委 員 会 の 委 員 は,理 事 会 ま た は評 議 員 会 に よ っ て,あ る い は助 手 の 場 合 に は 人 事 担 当 理 事 に よ って,選 任 さ れ る。 ま た,適 切 な委 員 の数 を 決 定 す る。 被 告 人 ま た は 調 査 対 象 とな っ て い る ケ ー ス と明 白 な 利 害 の 抵 触 が あ る とみ られ る とき は選 任 して は な らな い。 す べ て の 委 員 は 証 拠 を 検 証 し,そ して,証 人 を 尋 問 す る た め の必 要 な 専 門 的 知 識 を も って い な け れ ば な らな い。 理 事 会 ま た は 評 議 員 会,あ. る い は,助 手 の 場 合. の人 事 担 当理 事 は,被 告 人 が公 式 調 査 委 員 会 の 委 員 が 適 任 で な い こ とを 証 明 す る 健 全 な理 由を 提 出 した と き は 当 該 調 査 委 員 を 交 替 させ る こ とが で き る。 調 査 は す べ て の 関 係 文 書 の検 証 を含 む 。 公 式 調 査 委 員 会 は,申 立 に関 わ って い るす べ て の 個 人 ま た は 申立 の 対 象 と な って い るす べ て の 個 人,さ. ら に,申 立 に 関 連 す る知. 識 ま た は 情 報 を 有 す るそ の他 の 個 人 につ い て 尋 問 を 行 う。 これ らの尋 問 に つ い て は記 録 が と られ,正 確 な事 実 関 係 を確 証 す る た め に尋 問 を行 っ た 個 人 へ こ の記 録 を 提 供 す る。(尋 問 を受 け る者 は他 者 の 同伴 が 許 され る。) 公 式 調 査 委 員 会 は,尋 問 を 終 了 した 日か ら1週 間 以 内 に最 終 の報 告 書 を 作 成 しな け れ ば な らな い。 報 告 書 は,調 査 は ど の よ う に実 施 さ れ た か,調 査 の た め の 関連 す る情 報 の源 泉 お よ び 情 報 収 集 の 方 法,到 達 した 結 論 お よ び 結 論 に至 った 理 由 につ い て 説 明 す る。 被 告 人 は最 終 報 告 書 の写 しが 提 供 され,当 該 報 告 書 とそ こ に記 載 さ れ る発 見 事 項 に つ い て28日 以 内 に 書 面 で コ メ ン トす る機 会 が 与 え られ る。 当該 コ メ ン トは最 終 報 告 書 の付 録 と して 掲 載 され る。. V結. び に代 え て. ア カ デ ミ ック ・ ミス コ ンダ ク トに 関 す る議 論 の要 点 は,そ れ を 如 何 に 防 止 す る か と い う こ と に あ る。 す で に 武 田 隆 二 教 授 は 「ミス コ ンダ ク トの 概 念 的 フ レー ム ワ ー ク と組 織 的 審 査体 制 の確立 」 ⑮ と題 す る 論 文 の な か で,ミ. ス コ ンダ ク トの 誘 因 に 関 す る心 理 的 分 析 を綿. 密 に行 い,倫 理 規 定 の遵 守 に よ る 自己 規 律 に期 待 す る こ と に は 限 界 が あ る こ と か ら,組 織. ⑮. 当 該 論 文 は,日 本 学 術 会 議 ・学 術 と社 会 常 置 委 員 会 で の報 告 文 書(2004年1月29日)で あ り, 『會 計 』 の 次 の各 号 に お いて 公 表 され て い る。 武 田 隆二 「ミス コ ンダ ク トの概 念 的 フ レー ム ワー ク と組 織 的 審 査 体 制 の 確 立(一)」 『會 計 』 第 166巻 第2号,平 成16年8月 号 。 武 田 隆二 「ミス コ ンダ ク トの概 念 的 フ レー ム ワー ク と組 織 的 審 査 体 制 の 確 立(二 ・完)」 『會 計 』 第166巻 第3号,平 成16年9月 号 。 -107(359)一.

(22) 第51巻. 第2号. 的 審 査 体 制 を 確 立 す る必 要 性 を 主 張 され て い る。 武 田教 授 は,組 織 的 審 査 体 制 の あ り方 と して次 の三 つ の 段 階 を 指 摘 さ れ て い る。 (1)第1段 一. 階 「 調 査機 関」 各 科 学 者 の所 属 す る組 織(学 部 な い し学 科. 、 そ の 他 の研 究 機 関)に お け る ミス. コ ンダ ク トの チ ェ ック シ ス テ ム の 確 立 (2)第2段 一 (3>第3段 一. 階 「 調 査 ・審 査 機 関 」 各 科 学 領 域(各 学 会)に. お け る ミス コ ンダ ク ト調 査 ・審 査 の た め の機 関 の設 立. 階 「裁 決 機 関 」 国 家 機 関 と して の ア カ デ ミ ック ・コ ー ト(不 正 裁 定 機 関)の 設 立. 本 稿 で 取 り挙 げ た 資 料 は,上 記 の 第1段. 階 に あ た る 審 査 組 織 の 手 続 を 扱 っ た もの で あ. る。 本 稿 で 取 り挙 げ た ア カ デ ミ ック ・ ミス コ ンダ ク トの 申 立 と処 理 に関 す る規 定 は,我 が 国 の 大 学 に お い て 同 種 の規 定 を整 備 す る うえ で 貴 重 な 資 料 的 価 値 を有 す る も の と考 え られ る。 前 節 に お い て み て き た よ う に,そ れ らの 規 定 は ミス コ ン ダ ク トと い う逸 脱 行 為 に対 して 何 らか の サ ン ク シ ョ ン を与 え る こ と に よ り,潜 在 的 な ミス コ ンダ ク トの 誘 因 を 防止 す る こ とを 目的 とす る も の で あ る。 そ の サ ン ク シ ョン は大 学 に よ り異 な る が,訓 戒 か ら解 雇 に い た る ま で ミス コ ン ダ ク トの 内 容 に よ って懲 罰 が 異 な る。 そ の よ うな 裁 定 を下 す た め に は, ミス コ ンダ ク トの 存 否 を 判 断 す る調 査 委 員 会 が 設 け られ,予 備 調 査 と公 式 調 査 の2段 階 で 事 実 認 定 が 行 わ れ る こ とが 共 通 した 特 徴 で あ る。 ミス コ ンダ ク トに 関 す る調 査 は,ミ ス コ ンダ ク トに 関 す る 申立 に よ り開 始 され るが ,善 意 の 申 立 で あ っ て も,そ の後 の身 分 の保 証 が な け れ ば,現 実 に は 申 立 は起 き な い で あ ろ う。 した が っ て,あ る研 究 グル ー プ に所 属 し研 究 の 過 程 で ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ン ダ ク トを 知 り得 た者 が 申 立 を行 うた め に は,当 該 機 関 で の 職 業 継 続 を 保 証 す る必 要 が あ る。 オ ッ ク ス フ ォ ー ド大 学 の 規 定 で は,イ ギ リス の 公 益 開 示 法 の 規 定 を 援 用 し,告 発 者 を 保 護 す る こ と が 明 示 され て い る。 も ち ろ ん,悪 意 の 申立 は 相 当 の 処 罰 が 与 え られ る。 以 上,本 稿 で 取 りあ げ た海 外 の 諸 大 学 に お け る ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ンダ ク トの 申 立 と そ の 処 理 の 手 続 の 内容 を 要 約 して き た が,い ず れ の 大 学 に お い て も 「盗 作 を す れ ば 解 雇 」 と い っ た具 体 的 な 懲 罰 に 関 す る規 定 は,調 査 した範 囲 で は発 見 す る こ とが で き な か った 。 こ の 種 の規 定 で最 も重 要 な点 は,規 定 に 量 刑 が 明 示 され る こ とで あ る。 つ ま り,ミ ス コ ン ダ ク トの 内 容 に従 った懲 罰 の 程 度 が しめ され る こ とで,そ れ が ミス コ ン ダ ク ト発 生 の抑 止 力 に な る もの と考 え られ る の で あ る。 しか しな が ら,本 稿 で 取 りあ げ た 規 定 で は そ れ が含 一108(360)一. ー⋮ii!. L.

(23) 大 学 におけ る知的財産 管理の意義 と方法(浦 崎) まれて いない。 そ の 理 由 は,ア カ デ ミ ック ・ミス コ ン ダ ク トに非 常 に 幅 あ り一 律 の量 刑 の適 用 が 困 難 で あ る と い う こ と に あ る の で は な いか 。 盗 作 とい う場 合 で も,数 行 か ら数 ペ ー ジ に お よぶ 場 合 が考 え られ,数 行 で あ っ て もそ れ が 重 要 な 発 明 や 発 見 に関 わ る もの を 自分 の 業 績 と して 故 意 に盗 作 した場 合 の質 的 な 問 題 も含 ま れ る。 この よ う に,盗 作 と い っ た場 合 で も,発 生 した事 犯 に よ って そ の 内 容 が異 な り,量 的 な 問 題 と質 的 な 問 題 の 双 方 が 複 雑 に 関係 して い る こ と が理 解 で き る。 ア カ デ ミ ッ ク ・ ミス コ ンダ ク トに 関 す る研 究 の 課 題 と して,量 刑 の 問題 を如 何 に 明文 化 す るか とい う こ と に あ る よ う に思 え る。. 一109(361)一.

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