1 はじめに マイクロ波加熱を原理とする電子レンジでは、2.4GHz 帯 のマグネトロンが使用されており、食品の加熱調理が行わ れている。レンジ庫内に金属などが存在する異常使用時に は、放電が発生し火災などの事故に至ることがある(1)。事故 の未然防止には、レンジ庫内で発生する放電を検知するこ とが重要である。筆者らはこれまで模擬放電発生源を用い、 電子レンジ動作中でもマグネトロン起因の電磁波を除去す ることで模擬放電源からの放射電磁波を検出できることを 示している(2)。 本研究では、金属製の針電極系を電子レンジ内に設置 し、レンジ動作時に針電極系で発生した放電の放電放射 電磁波をレンジ庫外に設置したアンテナで検出できること を実験的に示した。 2 実験装置と方法 実験装置の構成を図 1 に示す。実験には、市販の日本 製の電子レンジを使用した。電磁波の測定には、電子レン ジから 1m 離した位置に配置した 2 つの同一のホーンアン テナ HA(Schbalzbeck, BBHA9120A, 750MHz~ 5GHz)を用 い、その出力波形をデジタルオシロスコープ (Tektronix, DPO7254C, 2.5GHz, 10GS/s)で測定し記録した。なお、一 方の HA には 2.4GHz 帯のノイズを除去するローパスフィル タ LPF を接続した。電子レンジ庫内に設置した金属電極は 直径 2.6mm のステンレス製でありフローティング状態で対 向配置した。同図に、一例としてレンジ動作により発生した 放電の写真を示す。
Fig.1 Experimental setup to measure the emitted EM waves from the metal electrode placed in the MW oven
3 実験結果と考察 図 2 に電子レンジ稼働時に測定された放射電磁波を示 す。同図(a)と(b)は、LPF 有無での同期測定した結果である。 同図(a)のように、LPF がないと電子レンジ稼働時のノイズに より放電放射電磁波検知することは困難であることがわかる。 一方、同図(b)のように、LPF があると 2.4GHz 帯のノイズを 除去できており、放電起因の放射電磁波を測定できること が示された。図 3 に同様の同期測定を 100 回行った時の LPF 有無での取得電磁波 Vpp の確率度数分布を示す。 LPF の適用により検出 Vpp の平均レベルはレンジノイズの 約 400mV から放電起因電磁波信号の約 40mV が検出でき るようになっていることがわかる。このように、LPF の適用は 電子レンジ動作で発生する 2.4GHz 帯のノイズを除去して レンジ庫内で発生する放電信号の検知を可能とすることが 示された。
Fig.2 Typical results of the detected EM waves without or with the LPF
Fig.3 Probability amplitude of electromagnetic waves Vpp measured without or with the LPF
4 まとめ LPF を使用することでレンジ動作時のマグネトロンによ る 2.4GHz 帯の電磁波ノイズを除去でき、レンジ庫内の金属 物体から生じる放電信号を検出できることを示した。 参考文献 [1] 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/search/index.php [2] 古家広貴, 大塚信也, 令和 2 年電気学会全国大会, 1214-A3, 1-068 (2019)