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2020年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会報告

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年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会報告

86 オンライン大会開催にあたって(大越和加会長,大会講演 要旨集巻頭言より) 「今年は新型コロナウィルスによる感染症が発生し,さ まざまなところで大幅なリセットを余儀なくされています. 多くの大学ではすべての講義や会議がオンラインへと移行 し,調査研究では海外はもとより,国内でもフィールド調 査ができない日々が続き,これまでにない不活発な研究活 動となっています.学会においても,主催する大会やシン ポジウムは軒並みオンラインでの開催,もしくは延期,中 止が続いています.そのような中,日本ベントス学会会員 のみなさまも,臨機応変に対応し,模索しながら何とか研 究の活性を保つ努力を続けていることとお察しします. さて,今年の日本ベントス学会・日本プランクトン学会 合同大会は鹿児島大学での開催を予定し,大会実行委員会 のみなさまに準備をお願いしておりましたが,なかなか新 型コロナウィルス感染症の収束が見通せず,両学会会長と 実行委員会とで相談し,オンラインでの大会に変更するこ とを決めました.直ちに新しいオンライン大会実行委員会 を結成し,当初の予定通り,9 月 18 日から 20 日までの 3 日間,合同大会を開催できることになり,大変嬉しく思っ ております. 日本ベントス学会は今年創設 30 周年を迎えます.前身の 日本ベントス研究会としての 20 年の歴史を引き継ぎ 1990 年に日本ベントス学会が創設され,学会としての新たな歴 史が始まりました.大変喜ばしい周年大会ですので,会員 のみなさまが一堂に会した 30 周年記念大会の実現を目指 してまいりましたが,今回学会初のオンライン大会を試み ることになりました.今回,急遽結成されたオンライン大 会実行委員会は,初めての経験であるにもかかわらず日々 迅速に情報を更新し,オンラインならではの工夫がなさ れ,素晴らしい大会のサイト・準備状況になっています. 現在,どの学会でも,どのような形での大会の開催が可能 か,適切か,模索しているところです.ポストコロナを見 据え,当大会が今後の大会の雛形のひとつになるでしょ う.これまでの準備,そして運営を考えていただいた実行 委員会のみなさまの心意気に心よりお礼申し上げます. この予期せぬ新型コロナウィルス禍を恨めしがっている 暇はありません.日本ベントス学会は 30 周年を迎え,前 進あるのみです.2020 年オンライン大会―自由集会,口 頭発表,総会,そして懇親会と盛りだくさんの大会を,大 いに楽しみたいと思います.会員のみなさまのご理解とご 協力をよろしくお願い申し上げます.」 上記の通り 2020 年 9 月 18 日から 20 日に開催された初 のオンライン大会は,演者の素晴らしい発表,座長・運営 委員・実行委員らの努力,そして聴衆の活発な議論に支え られ,実りある 3 日間となったと感じている.参加総数は 218 名,うちベントス学会員 107 名,プランクトン学会員 86 名,非会員 25 名.一般講演題は口頭のみ,ポスターな しでベントス会場 46 件(うち学生発表賞対象 22 件),プ ランクトン会場は 36 件であった.また,自由集会(本誌 p. 82–85 参照),プランクトン学会若手の会,両学会奨励 賞受賞記念講演,ベントス学会総会,そして両学会合同の 懇親会も開催された.大会実行委員は西部裕一郎(プラン クトン側委員長),片野俊也,山田雄一郎,小針 統,鈴 木健太郎,平井惇也,土屋健司,狩野泰則 (ベントス側委員 長),山本智子,西谷 豪,清家弘治,頼末武史,矢萩拓 也,小林元樹の計 14 名.なお大会参加費は一般会員 2,000 円,学生会員無料,非会員 3,000 円と例年より低い設定だ が,混乱を避けるため事前申し込みを必須(当日参加不 可)とした. ところで筆者(狩野)は,「Zoom で学会とはどうも, まったく気乗りしませんね,大会の価値は雑談にありです よ!」と周囲にも宣言し,委員長を仰せつかるまで不参加 の予定であった.だるそうだし今回はパス,となった会員 諸氏は多かろうと思う.実行委員の会議でも,当初は「私 達以外に何人来ますかね,全部で 30 人,講演 10 題とか だったらどうします?」などと全く予想がつかなかった. しかしこれが…参加者数と演題数がおおむね通常通りだっ ただけでなく,中身も,相当に盛り上がったのです.うま くいった要因として思い当たるものを幾つか. 1. チャット機能によるリアルタイム質問とコメント.聴 衆は誰でも講演中に書き込みでき,講演後には座長がコメ ント内容をもとに指名,口頭質問,という形式とした.こ れは面白い!すごい!という講演では続々と 20 以上のコ メントがつき,その様子が SNS で拡散され,会場の人数 まで増加するという即時性であった.なお,このような盛 り上がりは,講演の質のみならず聴衆の質あってのこと で,非建設的で下品な書き込みなどが横行しては台無しで ある. 2. 事前発表練習会.オンライン大会の落とし穴としてし ばしば聞かれるのが,主催者・演者双方の準備不足や接続 不具合による進行停止と音声の聞きづらさである.今大会 では,本番と同一環境での事前接続テストを実施,演者・ 座長・進行役委員は参加必須とし,達成度により再練習も 実施した.本番では,通信環境等に起因し一部接続の不具 合がみられたものの,ほぼ順調な進行を実施できた.演者 交代(講演終了から次題開始まで)は最短 10 秒ほどで, リアル大会では成し遂げられない?驚異の素早さであった. 3. 大会の規模と構成員.上記項目と重複するが,ベント ス学会員と非会員の参加者が,演者として聴衆として,建 設的かつ好意的な態度で互いに接していた.なお,会長を はじめ,学会運営委の皆様,非番の座長には,ビデオ ON

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87 (顔出し) で 「建設的かつ好意的」 な表情での参加をお願い した.機能的制約もあり参加者全員のビデオ ON は現実的 でないが,聞き手の表情が見えることはやはり重要であろ う.しかし,より大きな学会でたとえば参加者が 500 名だ とすると,同じ方式でやってうまくいくか,わからない. 今大会では,参加者の挙動と参加後の感想について,各 種データの蓄積が大であり,今後の開催に生かしたい. Zoom ミーティングでは,個々の参加者の入退場日時や チャット内容を記録でき,よって例えば各会場における参 加者数の経時変化をグラフに表せる.図 1 はベントス会場 における一般講演 1 日目・2 日目の参加人数であるが,こ れをみると,1)初日午前はやや少なめ,ただし過半数は 開催挨拶の 8:50 から参加,2)初日午後が最大となり 105 名を記録,3)大小の休憩時間で離脱し復帰しない,つま り休憩直後は参加者が少ない傾向,などがわかる.また, 4)初日 13:45 からの特異的な人数増加は,三藤清香会員 による学生発表賞受賞題での盛り上がり(上記)を反映し ている. なお,19 日夜の懇親会では,両学会長の挨拶,参加者 の投稿写真・動画の紹介,大会記念 T シャツ・ポロシャツ 販売案内,ベントス学会 30 周年記念本バンド(図 2)に よる動画配信に加え,「グループ懇親会」が行われた.グ ループ懇親会は,ランダムに割り振られた 5, 6 名の小グ ループでの懇親と,参加者自身によるグループ間移動が可 能な形式の 2 通りで実施され,どちらも新鮮な体験であっ た.なお後者では,盛り上がっていそうなグループに参加 者が引き寄せられ,大きな塊となって当該グループ内で 個々人の発言が難しくなる一方,その他のほとんどのグ ループは過疎・無人化という傾向がみられ,今後類似の形 式で実施する際の課題と感じた.そして最後に,次回大会 実行委員の佐藤正典会員から,鹿児島でのリアル大会開催 を祈念する感動の挨拶があり,閉会となった. 20 日午後には,邉見由美会員ならびに清家弘治会員へ の日本ベントス学会奨励賞授賞式と,両会員による受賞講 演「ハゼとヤビーポンプ~エビの巣穴を間借りするハゼの 話~」「底生生物の生痕を研究する:潮間帯から深海まで」 が行われた(図 3).同日午前にはベントス学会総会も実 施されたが,審議題では Zoom の投票機能を活用し票数の 正確な集計が可能であった.これにより五嶋聖治元会長の 名誉会員への推薦が認められ,また同会員のこれまでの多 大なる貢献に対して感謝状が贈呈された(図 4).総会後 には,三藤清香会員「嚢舌目ウミウシにおける大規模な体 の自切と再生」,井上香鈴会員「ヒラシイノミ属腹足類に おける陸上進出史の解明」に対し,本学会の学生発表賞授 与が発表され,授賞式が行われた(図 5). 開催後のアンケート(記名/無記名選択可)には多くの 方にご回答頂き,極めて重要な知見を得た.選択式の 10 項目について,ベントス会場参加者 65 名分の分布を示す. ・ 大会全体の満足度[非常に高い 33,高い 33,普通 4, 低い 0,非常に低い 1] ・ 口頭発表の容易さ[非常に容易 9,容易 12,普通 7,困 難 0,非常に困難 0] ・ 発表聴講の容易さ[非常に容易 29,容易 27,普通 8, 困難 0,非常に困難 1] ・ チャットでの質問[非常に容易 24,容易 34,普通 4, 困難 2,非常に困難 1] ・ オンライン懇親会[非常に良い 11,良い 23,普通 29, 図 1. ベントス会場における一般講演の参加人数推移. 図 2. ベントス学会 30 周年記念本バンド.

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88 悪い 1,非常に悪い 1] ・ ポスター発表もあったほうがよい?[はい 16,どちら でも37,いいえ 12] ・ オンラインの良かった点,複数選択[スライドが見やす い52,旅費不要 49,気軽に参加 45,参加費が安い 40, 質問が容易 28,子供を預けずに参加可 9] ・オンラインの悪かった点,複数選択[開催地のおいしい 食事がない 40,少人数での議論ができない 38,通信ト ラブル12,聴衆の顔が見えず発表し難い 10] ・ 今後のオンライン合同大会開催に[賛成 51,どちらで も11,反対 3] ・ 次回鹿児島大会が現地 & オンラインのハイブリッド開 催となった場合,[現地参加 46,オンライン参加 16,不 参加 3] また,個別意見のうち数の多い内容,特に重要な指摘と 感じたものを挙げる. ・ 演者の感想:質問やコメントを後から見直すことができ てよい;個別に返信できてありがたい;予行演習があっ てよかった;聴衆の顔が見えない点以外は普通の発表と 同じ;全画面表示で発表するとタイムキーパーの残り時 間表示が見えない;残り時間は口頭でなくベルで伝えて 図 3. 大越会長より邉見・清家両会員に奨励賞授賞. 図 4. 五嶋名誉会員への感謝状贈呈. 図 5. 学生発表賞受賞の三藤・井上両会員(副賞を手に).

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89 ほしい(筆者注,ベルだと Zoom のノイズキャンセル機 能で聞こえないのです…) ・ 聴講した感想: チャット機能による質疑応答が素晴らし い;多数の質問の中から座長が選ぶシステムが良い;多 数の質問内容に学ぶことが多い;対面大会でもチャット 使用を検討してほしい;twitter のハッシュタグでツイー ト,別スクリーンで写すなどすればリアル大会でも実施 できるか?;指名されるかは別として,聞きたいことを 伝えられるのは良い;個人チャットでは返信しているの だろうが,座長に採りあげられなかった質問への演者回 答をすべて知りたい;関連情報をチャットに示している 参加者が居たのがよかった;演者はチャットでの議論の 経緯を追えないので,口頭での質問時にはその点留意す べき;タイピング速度が遅いと質疑に参加できない;休 憩時間等に発表者をつかまえて質問できず充実感が低 い;臨場感には欠けるがスライドが見やすいなど長所が 多い;楽な姿勢で聴講するので集中できる;気兼ねなく 中座できる;いつもの学会の雰囲気がよく出ていて楽し く過ごした;過去参加したオンライン型学会で一番ス ムーズで印象が良かった ・ その他自由意見: 今後はハイブリッド開催で質問は今回 同様チャットのみとしてほしい;運営側に極力負担のか からない方法でのハイブリッド開催を望む;ハイブリッ トは色々問題が起きそう,実際に参加している人が PC 接続するとハウリングなど起きるのでは?;非会員から すると通常大会は参加費・移動宿泊費・拘束時間などの コストが大きく参加できないでいたが,これを機に入会 を検討したい;他学会では隔年のオンライン/現地開催 を検討しているとのことで良い案と思う;対面大会では 会場内外での交流に最大のメリットがあったと再認識; 面識を広げたり,発表と関係のない質問をしたりできず 残念;参加 URL だけでなくミーティング ID とパス ワードの併記があれば,入室前に名前を変更できるなど 利点がある;懇親会が気恥ずかしく参加しにくかった; 懇親会のランダム部屋分けで思わぬよい会話の機会があ り良かった,人数も適切 これ以外にも有益なコメントを多数頂いたので,今後の 運営に生かすよう引き継ぎたく思います.オンライン大会 参加の皆様,アンケートにご協力下さった方々,本当にあ りがとうございました. 狩野泰則

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