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自治体用地費の数量的分析-東京都を中心として-: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

自治体用地費の数量的分析−東京都を中心として−

Author(s)

桜井, 良治

Citation

沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 14(2): 57-118

Issue Date

1990-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/6788

(2)

自治体用地費の数:量的分析

-東京都を中心として-

桜井良治

はじめに

第1章自治体用地費の推移

第2章都道府県用地費の数量的分析

第3章東京都用地費の数量的分析

I・東京都用地費の推移

Ⅱ土木関係用地費の増大

Ⅲ投資的経費及び普通建設事業費に占める用地費割合

Ⅳ、公共用地の先行取得

まとめ

はじめに

最近の論文『東京都の用地費研究』では、東京都の用地費について事業毎の

研究を試みた。道路・公共住宅・霊園などに関する用地費の個別研究と若干の

財政分析が、なされていろ。その折に、東京都用地費の全体像についての数量

的把握と財政全体における位置づけの必要性を感じたしだいである。またそれ

にとどまらず、都道府県財政を中心とする自治体財政全体における用地費の増

大とそれに占める東京都の影響についても、まとめておきたいと考えた。

本論文の課題は、上述のように、前論文から派生した限定的なものである。

用地費の増大という特殊な視点からの自治体財政の数量的把握を試みたもので

ある。財政制度上の諸問題等の制度上の枠組みについては、別稿に譲ることと

したい。

-57-

(3)

一口に「用地費の研究」といっても、極く大まかに分けただけでも、(1)財政

上の数値に関する数量的分析、(2)用地の起債制度や先行取得(会計)等に関す

る財政制度上の研究、(3)公拡法に基づく先買制度等の制度と運用上の問題点に

関する研究が、挙げられろ。もちろんこの他に、用地補償に関する研究は、最

も本質的な部分を担うものであろう。

代替地要求への対応困難なども含めて、実質的に市場メカニズムに委ねられ

た現行制度は限界に達しているという事のみ、指摘しておきたい。現行の買収

制度を前提とするにせよ、将来、何らかの租税(保有税など)によって開発利

益を吸収し、その財源によって自治体の公有地を拡大して行くようなシステム

を導入せざるをえないと思われろ。資産としての売却を前提として保有され、

年々消滅の一途を辿っている市街化区域農地については、公有緑地として保有

するのであれば、宅地並み課税を実施する前に、上述のような公有地拡大の対

象とすべきものであろう。

本論文の課題は、言うまでもなく、上述の課題のうちの最初の部分に限定

されたものである。もとより、これらの課題のうちのいくつかは法律学等の他

の分野に属するものであり未熟な筆者の手には余る課題であるが、財政制度上

の問題については、将来論ずろことができればと考えろしだいである。

以下の論述では、全国自治体の用地費分析については、「地方財政統計年報』

に基づくものとするl)。また、東京都用地費の数量的把握については、主に「東

京都決算の状況」に基づいて、展開したい2)。用地費の推移について統一的に

把握するうえで、『東京都決算参考資料」を活用させていただいた3)。

-58-

(4)

第1章自治体用地費の推移

地方公共団体が公共施設の整備をする際などに費やされる用地取得費は、年

々財政負担を増大させている4)。都道府県と市町村を合わせた全国自治体用費

の決算額は、昭和63年度には、3兆9,495億円に達していろ。これは、前年度

(昭和62年度)に比べろと、5,801億円(172%)の増加をみている5)。

表1-1をみると、昭和53年度から63年度までの10年間の自治体用地費の推

移が、明らかである。用地費合計でみると、この10年間で倍増している。特に、

昭和60年代の地価高騰期には、昭和60年度の2兆7千億円から昭和63年度の3

兆9千億円へと、一挙に44%も増大していろ。

同表で都道府県用地費の推移をみろと、この10年間に2倍以上の伸びを示し

ていろ。とりわけ60年度に入ってからは、昭和60年度の1兆506億円から63年

度の1兆7,668億円へと、一挙に68%も増大していろ。市町村用地費について

は、60年代のこの間に29%の増加をみていろ。

表1-1自治体用地費の推移(単位:100万円)

822442910,383

1348,3661439,8101,480,734

用地費合計’2056276217080823501932452Ⅲ

1,050,6991,051,0851472,8271766,833

1,691,1671,732,6821,896,6282,182,728

2,741,8662,783,7673,369,4553,949,561

(注)『地方財政統計年報」昭和53~63年度により作製。

-59-

昭和58年度 昭和59年度

昭和60年度 昭和61年度 昭和62年度 昭和63年度

975,934

1.033,088

1.050,699

1,051.085

1.472.827

1,766.833

1,582,372

1,611.389

1,691,167

1,732,682

1,896,628

2,182,728

2,558,306

2,644,477

2,741,866

2,783,767

3,369,455

3,949,561

昭和53年度 昭和54年度 昭和55年度 昭和56年度 昭和57年度

都道府県

803,148

822,442

910,383

971,966

964,385

市町村

1,253,128

1,348,366

1,439,810

1,480,734

1,517,985

用地費合計

2,056,276

2,170,808

2,350,193

2,452,700

2,482,370

(5)

図1-1には、昭和53年度から63年度までの自治体用地費の推移が、明瞭に

示されている。市町村・都道府県ともに、地価高騰を反映し始めた昭和61年度

以降の伸びが著しい。

図1-1自治体用地費の推移

一用地費合計

一市町村

一都道府県

3兆

2兆

1兆

昭和弱年度

田年度

別年度

田年度

肥年度

詔年度

別年度

閲年度

別年度

印年度

閲年度

(注)表1-1により作製。

-60-

円円円

0 〃 〃 グ グ 〃 〃 〃 丘 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 リ ?,・・し|]二・;0’‐’十・‐・・・・。.。.。‐;?。‐‐・‐,;6‐000』0.。-;ICO□・:・’0,..10919 コ 5q◇’48I0C0lf卜0;CIP?:‐や;:◇し!‐ロ』:■■■■■hPp0p-dpDI:11『・6』T:十?B◆619,09■ 一 了6OCC。↓0▲し::●:■|●i80q134。。●・CSC△::COD:●:●、:P■●‐Dl0D■::;19▼■2S。。←▽0口。

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- ̄

(6)

大都市に限っての用地取得費の推移については、表1-2に示されていろ。

用地費合計をみろと、昭和60年代における急増が、明らかである。昭和60年度の

3,698億円から63年度の4,826億円へと、30.5%の増加を示していろ。その

内訳を調べると、とりわけ土木関係費に占める用地費の増大が、顕著である。

道路用地費の増大等を反映したものと考えられろ。大都市の土木関係用地費は、

昭和60年度の2,406億円から63年度の3,574億円へと、昭和60年代に入ってか

ら、実に、485%(1,168億円)もの急増を示していろ。これは、道路事業費

の増大などを反映した数字であると考えられろ。

表1-2大都市用地取得費の推移

(単位:億円)

(注)『地方財政統計年報』各年度版により作製。

-61-

区分

年度

昭和

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度

民生関係

71

83

85

100

97

清掃関係

88

70

149

85

40

農林水産関係

14

11

23

土木関係

2,217

2,406

3,014

3,366

3,574

教育関係

777

882

875

823

771

その他

138

252

202

226

321

合計

3,305

3,698

4,336

4,608

4,826

(7)

第2章都道府県用地取得費の推移

全国の都道府県を合計した用地費を調べろと、近年の急増が明らかである。

合計でみろと、昭和59年度の1兆330億円から昭和63年度の1兆7,668億円へ

と、71%(7,338億円)の急増をみている。土木関係費の急増は、やはり顕著

である。昭和59年度の7,966億円から昭和63年度の1兆2,818億円へと、609

%(4,852億円)の増大をみている。

東京都の用地費の占めるウエイトの高さを考慮すれば、前論文で述べた東京

都の道路や公営住宅に関する用地費の急増が以上の結果に多大な影響を及ぼし

ていることは、明らかであろう。今後、高騰地価の影響の地方への波及の本格

化につれて、地方の都道府県の用地費も急増することが、予想されろ。

表2-1都道府県用地取得費の推移(単位:千円)

1,676,167

3,348,482

7,626,595

4,013,081

20,967,313

4,383,383

44,116,797

39,234,933

41,075.361

796,683,181

870,105,432

883,152,763

186,599,119

117,043,030

114,846,954

362,156,777

406,619,797

1.033.088,345

1,050,699,190 1,051,085,056

1,472,827.886 1,766,833,944

(注)『地方財政統計年報』各年度版により作製。

-62-

区分

年度

昭和

59年度

60年度

61年度

62年度

63年度

民生関係

1,676.167

3,348,482

7,626,595

1,704,422

3,089,317

清掃関係

4,013,081

20,967,313

4,383,383

15,705,528

21,066,498

農林水産

関係

44,116,797

39,234,933

41,075,361

46,978,980

54,213,451

土木関係

796,683,181

870,105,432

883,152,763 1,046,282,179 L281,844,881

その他

186,599,119

117,043,030

114,846,954

362,156,777

406,619,797

合計

1,033,088,345 1,050,699,190 1,051,085,056 1,472,827,886 1,766,833,944

(8)

表2-2で都道府県用地費の合計が普通建設事業費に占める割合をみると、

昭和59年度の135%から昭和63年度の17.1%へと急激に上昇しているのが、

確かめられろ。この間の普通建設事業費の増加額2兆6,339億円(343%)に

対して、用地費の増加額は7,338億円(71%)にのぼる。用地費の増加分が普

通建設事業費を押し上げている割合が大きいと思われろ。高騰地価の地方へ

の波及によって、今後の道路や公園建設等様々な事業の停滞について懸念され

るところである。

表2-2都道府県普通建設事業費に占める用地費割合

(単位:千円)

12.7%

(注)「地方財政統計年報』各年度版により作製。

-63-

用地費合計

(A)

普通建設事業費

(B)

(A)/

(B)

昭和59年度

1,033,088,345

7,671,132,005

13.5%

昭和60年度

1,050,699,190

7,983,062,202

13.2%

昭和61年度

1,051,085,056

8,293,467,302

12.7%

昭和62年度

1,472,827,886

9,925,086,051

14.8%

昭和63年度

L766,833,94411q305,071376

17.1%

(9)

表2-3によって都道府県土木関係用地費の推移をみると、昭和59年度の7,

966億円から昭和63年度の1兆2,818億円へと、昭和60年代に入って急増してい

るのが、読みとれろ。

土木関係用地費のうちでも、とりわけ道路橋梁や街路に関する用地費の伸び

が、著しい。市街地の街路等の用地買収においては、その他の事業に較べて、

地価水準が用地費に反映し易く、タイム・ラグが小さいせいもあろう。公営住

宅や公園の建設等のその他の事業においても、国・公有地等の買収適地が少な

くなるにつれて、多少のタイム・ラグを伴いながらも、今後の急激な上昇が予

測されるところである。

高騰地価が中小都市も含めた地方に波及するにつれて、公営住宅の建設等の

施策が不可能になり、直接供給以外の対応策を講ずろ必要が生じるのではない

かと思われろ。

-64-

(10)

表2-3都道府県土木関係用地費の推移

(単位:億円)

(注)『地方財政統計年報」各年度版により作製。

-65-

年度

昭和

59年度

60年度 61年度 62年度

63年度

道路橋梁

2,557

2,819

3,008

3,578

4,278

河)11

1,615

1,645

1,573

1,694

1,795

砂防

146

154

165

207

234

港湾

48

110

43

100

66

街路

1,464

1,753

1,825

2,216

3,106

公営住宅

655

625

659

527

396

その他

1,481

1,595

1,558

2,140

2,943

合計

7,966

8,701

8,831

10,462

12,818

(11)

第3章東京都用地費の数量的分析

1..東京都用地受の推移

地方公共団体の用地取得費が大きな財政負担となっており、昭和63年度の用

地費の決算額は3兆9,495億円で、前年度より17.2%も増加していることは、

第1章で述べたとおりである。ここに含まれる都道府県の用地取得費が昭和63

年度には1兆7,668億円であり、前年度よりも20.0%増加していることは、第

2章で明らかである。これらの結果が生じた一因が東京都の用地費の増大にあ

ることは、前論文等によって、明らかである6)。

東京都用地費の各事業毎の分析については前論文で展開したところである。

ここでは、財政全体における用地費の位置づけと近年の用地費の変遷について、

分析したい。事業毎の用地費についての詳述は避けたいが、前論文執筆後にお

いても用地費急騰による公営住宅の建設難等の諸問題の深刻化は、明白である。

平成2年4月の『東京都住宅政策懇談会報告』では、都営住宅の用地取得難に

対応して、高地価を直接反映しない「優良民間賃貸住宅制度」や「借り上げ型

公共住宅制度」の創設を提唱するに到っている7)。

霊園用地についても、平成2年に入ってからも用地不足は深刻化の一途をた

どり、新規の都営霊園の建設は困難になる一方である。小平。八柱両霊園では、

用地が少なくてすむ「壁墓地」という新しい墓地形式を採用するに到っていろ。

新霊園の有期限化や旧来から雑司ケ谷霊園の家族納骨壇にみられるロッカー式

墓地の導入等も、検討課題となりつつある。平成2年4月の『東京都新霊園等

構想委員会報告書』には、用地。補償費1,125億円を含む新霊園建設費概算表

が示されている8)。

以下、『東京都決算の状況』に基づいて、東京都用地費の推移について展開

することとしたい9)。

表3-1によって東京都用地費の推移をみろと、昭和63年度の合計は7,342

億円であり、昭和62年度の5,461億円と較べろと、1,881億円も増大している。

わずか一年の間に、一挙に344%も増大したことになる。昭和59年度からの5

年間の推移をみろと、昭和59年度の2,147億円から昭和63年度の7,342億円へ

と、一挙に34倍にも増大していろ。昭和60年代の高騰地価が用地費に対して

-66-

(12)

本格的に影響を及ぼすには一定のタイム・ラグが考えられるので、この数値が

急騰するのはむしろこれからであろう。もっとも、都営住宅用地費にみられる

ように、買収しうる民有地が皆無に近い場合、用地費の合計数値を引き下げる

場合もありうるので、合計数値の大きさのみによって用地取得の深刻さをすべ

て判断しうるわけではない。

用地費の内訳を見ろと、やはり土木関係費の占める割合が大きい。昭和63年

度においては、全体の52.6%を占めている。土木関係費の推移を見ると、昭和

63年度には、前年と較べると、43%も増大している。昭和59年度から昭和63年

度までの5年間で24倍に増大していろ。これは、前論文で指摘したように、昭

和60年代の地価高騰期において街路や公営住宅などに関する用地費が急騰した

からであろう。

表3-1東京都用地費の推移

(単位:千円)

(注)『東京都決算の状況』各年度版により作成。

-67-

区分

年度

昭和

59年度

60年度

61年度

62年度

63年度

民生関係

129,502

413,402

79,594

100,092

20,546

清掃関係

20,444,041

4,383,383

15,705,528

21,066,498

農林水産

関係

156,090

144,055

437,079

100,352

土木関係

159,833,198 190,234,675 185,583,823 269,874,474 385,911,324

その他

54,654,532

16,350,253

30,874,783 260,472,044 327,157,219

合計

214,773,322 227,586,426 221,358,662 546,152,138 734,255,939

(13)

図3-1東京都用地費の推移

(単位:億円)

■■■■■■叩叩一

6iOO

'1 J

4,00

2,00

「1 L」

〃`Z鰯肩掃庚

和則年度

和N年度

和田年度

和駆年度

和田年度

表3-1により作成。

「その他」の項目には、公営住宅などが含まれる。

「農林水産」及び「民生関係」は、省略されている。

(注)1.

2.

3.

-68-

昭昭昭昭昭

その他

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(14)

図3-2昭和63年度東京都用地費の内訳

(単位:千円)

(注)表3-1により作製。

(15)

Ⅱ土木関係用地,受の増大

表3-2には、東京都土木関係用地費の推移と内訳について、示されていろ。

土木関係用地費の内訳をみろと、とりわけ街路に関する用地費が近年急激に増

大していることが、明白である。昭和59年度の470億円から昭和63年度の1,4

16億円へと、この5年間で3倍に膨張していろ。土木関係用地費全傾と占める割合

をみても、昭和59年度の294%から昭和63年度の367%へと、7.3ポイント

も増大するに至っていろ。これは、前論文で示したように、23区内の都心の街

路を中心として、買収費が年々高騰していることによる。道路に関しては、定

められた事業予定地を年々買収して行かざるを得ないため、今後ますます用地

費が急騰することが、予想される。

それに対して、公営住宅用地費に関しては、民有地で買収できる箇所がしだ

いに減少しつつあるので、用地費として計上される金額が減少しつつあるもの

と思われろ。

表3-3において土木関係用地取得面積の推移をみろと、表3-2の用地費

の推移の意味するところが、より鮮明になるものと思われる。土木関係用地取

得面積の合計でみろと、昭和59年度の59万平方メートルから昭和63年度の96万

平方メートルへと、この5年間に62%の増大を示していろ。しかし、土木関係

用地費総額がこの間に2.4倍に増大しているのであるから、経費の増大に比し

て、取得面積は伸び悩んでいろと言ってよいであろう。

個々の事業についてみろと、街路については、昭和59年度から63年度の間に

用地費は3倍になっているにもかかわらず、取得面積は年々ほとんど変化がな

い。用地費の増加分がそのまま用地取得単価の増大を表わしていろ。これに対

して公営住宅では、用地の平米単価の高騰による買収適地の減少は、用地取得

面積の減少に結びついていろ。公営住宅の取得面積は、昭和59年度には7万4

千平方メートルであったものが、昭和63年度には約4分の1の1万9千平方メ

ートルに減少していろ。この事は、前論文で指摘したように、民有地での買収

適地が皆無になりつつあることと符合していると考えられる。.

-70-

(16)

表3-2東京都土木関係用地費の推移

(単位:千円)

(注)「東京都決算の状況』各年度版により作製。

-71

年度

昭和

59年度

60年度

61年度

62年度

63年度

道路橋梁

7,289,026

9,734,338

10,623,173

14,280,963

18,020,696

河川

835,413

966,649

663,533

942,484

1,419,996

砂防

10,414

24,407

27,907

118,176

118,391

港湾

5,715,647

529,041

4,822,000

37,334

街路

47,035,392

55,918,301

56,582,076

91,458,649

141,648,210

公営住宅

11,388,882

11,050,976

13,373,455

9,723,540

3,606,702

その他

93,274,071 106,824,357 103,784,638 148,528,662 221,059,995

合計

159,833,198

190,234,675 185,583,823 269,874,474 385,911,324

(17)

表3-3東京都土木関係用地取得面積の推移

(単位:平方メートル)

(注)『東京都決算の状況』各年度版により作製。

-72-

年度 昭和

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度

道路橋梁

河川

80,323

821

94,080

909

77,351

466

148,295

670

140,343

405

砂防

3,307

3,715

3,939

15,041

15,264

港湾

4,851

10

1,156

3,308

街路

81,060

118,390

92,613

69,301

87,174

公営住宅

74,433

71,639

57,538

36,256

19,945

その他

354,532

494,250

890,478

546,899

697,737

合計

594,476

787,834 1,122,395

817,618

964,178

(18)

表3-4東京都土木関係用地費平米単価

(単位:円)

(注)『東京都決算の状況』各年度版により作製。

-73-

年度

昭和

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度

道路橋梁

90,746

103,468

137,337

96,301

128,404

河川 1,017,555 1,063,420 1,423,890 1,406,693 3,506,162

砂防

3,149

6,569

7,084

7,856

7,756

港湾

1,178,240 52,904,100 4,171,280

11,285

街路

580,254

472,322

610,951 1,319,730 1,624,890

公営住宅

153,008

154,259

232,428

268,191

180,832

その他

合計(平均)

263,090

268,864

216,134

241,465

116,549

165,346

271,583

330,074

316,824

400,249

(19)

表3-4土木関係用地費平米単価によって、上述のことが確かめられる。全

体を平均すると、平米単価は、昭和59年度から昭和63年度の間に、26万円から40

万円へと約50%の増大をみていろ。とりわけ街路においては、この間に、1平

方メートル当たり58万円から162万円へと、28倍に上昇していろ。この事が

前述の用地費の増大をもたらしていることは、明白である。

公営住宅においては、平米単価が一定以上になると、もはや低家賃住宅とし

て供給することができない。急激な地価高騰にもかかわらず平米単価が急騰し

ていないのは、むしろ一定の平米単価以上の民有地の買収が不可能となってい

ろことの反映と考えられろ。

-74-

(20)

表3-5東京都用地費の投資的経費に占める割合

(単位:百万円)

(注)『東京都決算の状況」各年度版により作製。

-75-

区分

年度 昭和

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度

民生関係

129

413

79

100

20

清掃関係

20,444

4,383

15,705

21,066

農林水産

関係

156

144

437

100

土木関係

159,833

190,234

185,583

269,874

385,911

その他

54,655

16,351

30,876

260,473

327,158

用地費

合計A

214,773

227,586

221,358

546,152

734,255

投資的

経費B

541,680

601,562

660,283

1,058,079 1,351,617

A/B

39.6%

37.8%

33.5%

51.6%

54.3%

(21)

Ⅲ投資的経費及び普通建設事業費に占める用地費割合

東京都用地費の絶対額が土木関係費を中心として増大しつつあることは、上

述したとおりである。この場合、当然のこととして、投資的経費や普通建設事

業費に占める用地費の割合も、急激に高まっていると考えられろ。

表3-5には、昭和59年~63年度の5年間の東京都用地費の投資的経費に占

める割合について、示されている。昭和60年代の地価高騰期における上昇が著

しい。昭和61年度から63年度までのわずかの期間に、335%から543%へと、

一挙に208ポイントの上昇を示している。このことが意味するのは、当然のこ

とながら、もはや投資的経費の大きさなどのみを指標として財政運営の効率性につ

いて判断することはできなくなりつつあるということである。投資的経費に占

める用地費の部分は、単に地価の上昇によって吸収された費用を示すにすぎな

い。投資的経費の中で用地費に吸収されなかった部分の大きさを示すことによ

って、初めて行政施策のスケールを知ることになる。

普通建設事業費に占める割合も、急激に上昇している。

表3-6には、東京都用地費合計の普通建設事業費に占める割合について、

示されていろ。やはり昭和60年代に入ってからの上昇が著しい。昭和61年度か

ら63年度までのわずかな期間に、340%から546%へと20.6ポイントも上昇

していろ。このことは、表にみられるように、民生・清掃・農林水産・土木な

ど様々な施策を内容とする普通建設事業費の使途が、しだいに用地の買収費に

占められつつあるということである。

-76-

(22)

表3-6東京都用地費合計の普通建設事業費に占める割合

(単位:百万円)

(注)『東京都決算の状況』各年度版により作製。

-77-

区分

年度 昭和

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度

民生関係

129

413

79

100

20

清掃関係

20,444

4,383

15,705

21,066

農林水産

関係

156

144

437

100

土木関係

159,833

190,234

185,583

269,874

385,911

その他

54,655

16,351

30,876

260,473

327,158

用地費

合計A

214,773

227,586

221,358

546,152

734,255

普通建設

事業費B

532,020

594,238

650,734 1,052,035 1,344,236

A/B

40.4%

38.3%

34.0%

51.9%

54.6%

(23)

表3-7には、昭和61年度から63年度までの東京都の事業毎の普通建設事業

費に占める用地費の割合について、示されている。事業毎に区分すると、やは

り普通建設事業費のうちでも、土木関係費の急増が、顕著である。土木関係費

に占める用地費の割合は、昭和61年度の39.0%から昭和63年度の49.5%へと、

わずかの間に10.5ポイントも増大していろ。このことが全体を押し上げたもの

と考えられろ。

表3-7東京都事業別用地費の普通建設事業費に占める割合

(単位:千円)

qヨソ』

-78-

昭和61年度

用地費(A)

普通建設事業

業費(B)

(A)/(B)

民生関係

79,594

10,743,003

0.7%

清掃関係

4,383,383

18,493,760

23.7%

農林水産関係

土木関係

437,079

185,583,823

10,201,494

475,897,192

4.3%

39.0%

高等学校

2,678,071

32,339,324

8.3%

特種学校

420,792

6,247,631

6.7%

その他

27,775,920

96,811,929

28.7%

合計

221,358,662

650,734,333

34.0%

(24)

51.9%

(注)『東京都決算の状況』各年度版により作製。

-79-

昭和62年度

用地費(A)

普通建設事業費

業費(B)

(A)/(B)

民生関係

100,092

18,522,408

0.5%

清掃関係

15,705,528

24,165,270

65.0%

農林水産関係

土木関係

269,874,474

11,987,180

603,821,386

44.7%

高等学校

3,528,923

28,199,313

12.5%

特種学校

5,590,000

8,165,845

68.5%

その他

251,353,121

357,174,038

70.4%

合計

546,152,138

1,052,035,440

51.9%

昭和63年度

用地費(A)

普通建設事業費

業費(B)

(A)/(B)

民生関係

20,546

20,525,310

0.1%

清掃関係

21,066,498

56,288,347

37.4%

農林水産関係

土木関係

100,352

385,911,324

13,218,444

779,173,416

0.8%

49.5%

高等学校

10,837,852

40,616,504

26.7%

特種学校

3,913,414

その他

316,319,367

430,500,406

73.5%

合計

734,255,939

1,344,235,841

54.6%

(25)

表3-8には、士木関係費に限定して、用地費の普通建設事業費に対する割

合が示されていろ。土木関係費の内訳をみろと、とりわけ街路事業において、

普通建設事業費に占める用地費の割合が急激に増大しつつあることが、確かめ

られる。昭和61年度には58.9%であったものが、昭和63年度には706%にも達

しており、わずか3年の間に一挙に117ポイントも増大していろ。前論文では、

道路建設事業費に占める用地費の割合が東京23区内の幹線道路などで脅威的な

割合を更新しつつある事について述べたが、上述の数値は、この事と軌を一に

するものである。

地価高騰に伴って、投資的経費が普通建設事業費に占める用地費の割合(「用

地費率」とでも呼ぶべきもの)が、しだいに高まって行く傾向にある。もはや

投資的経費や普通建設事業費の大きさや財政全体に占める割合の高さによって、

実質的な行財政活動の大きさを測ることは、困難になりつつある。投資的経費

や普通建設事業費に占める用地費の割合を知ることは、行財政活動の内実を測

るうえで、その重要さを増しつつあるように思われろ。

高騰地価の地方への波及につれて、このことは、東京都に固有の問題ではな

く、全国の都道府県に共通の問題となりつつあるように思われろ。

表3-8土木関係用地費の普通建設事業費割合(単位:千円)

16.8%

3.0%

3.1%

58.9%

12.6%

60.5%

39.0%

-80-

昭和61年度

用地費(A)

普通建設事業

費(8)

(A)/(B)

道路橋梁

10,623,173

63,291,428

16.8%

河川

663,533

22,023,661

3.0%

砂防

27,907

港湾

529,041

17,067,470

3.1%

街路

56,582,076

96,138,088

58.9%

公営住宅

13,373,455

105,724,434

12.6%

その他

103,784,638

171,652,111

60.5%

合計

185,583,823

475,897,192

39.0%

(26)

道路橋梁

菫川匡

(注)『東京都決算の状況」各年度版により作製。

-81-

昭和62年度

用地費(A)

普通建設事業

賢(B)

(A)/(B)

道路橋梁

14,280,963

79,273,974

18.0%

河)|’

942,484

27,842,408

3.4%

砂防

118,176

港湾

4,822,000

31,280,048

15..4%

街路

91,458,649

140,656,769

65.0%

公営住宅

9,723,540

76,751,858

12.7%

その他

148,528,662

248,016,329

59.9%

合計

269,874,474

603,821,386

44.7%

昭和63年度

用地費(A)

普通建設事業

賢(B)

(A)/(B)

道路橋梁

18,020,696

89,133,754

20.2%

河111

1,419,996

33,214,237

4.3%

砂防

118,391

港湾

37,334

32,084,133

0.1%

街路

141,648,210

200,693,306

70.6%

公営住宅

3,606,702

106,464,728

3.4%

その他

221,059,995

317,583,258

69.6%

合計

385,911,324

779,173,416

49.5%

(27)

Ⅳ.公共用地の先行取得

道路用地・公園用地・河川用地・住宅用地の先行取得などを目的として、一

般会計とは区別された用地会計が用いられる。用地会計の概要は、「住宅、学

校その他の事業用地の取得を容易にして、事務事業の円滑な推進を図ろため、

用地買収に関する収支を経理するもの」とされているloLその根拠は地方自治

法第209条2項に定められており、所管は財務局及び住宅である'1L東京都の

用地会計について、以下にその概観を記しておきたい。

昭和57年から61年度に及ぶ東京都歳入歳出決算額における用地会計の占め

る割合をみろと、各年度とも3%台で推移していろ。

表3-9には、昭和59年度から63年度までの公共用地先行取得の契約額の推

移について、示されている。一般会計等及び土地特別会計に区分して各年度の

契約額が示されているが、双方ともに昭和62年度と63年度の金額の伸びが著し

い。昭和60年代の地価高騰期に支出が急増していることが、明らかである。

表3-10には、昭和59年度から63年度までの公共用地先行取得面積の推移に

ついて、示されていろ。金額が伸びている割には、昭和62年度、63年度の取得

面積が増えたとはいえず、先行取得が伸び悩んでいることを示していろ。

表3-11には、先行取得用地の保有面積について、明らかにされている。保

有面積は、昭和60年代において微増しているものの、頭打ちになってきていろ。

全体としては-定額を確保しているものの、事業によっては厳しい状態にある

ものと思われる。前論文で示したように、低家賃住宅として提供されねばなら

ない公営住宅用地等は、買収可能な平米単価に限度があるため、利用可能な先

行取得用地は激減しつつある。

-82-

(28)

(圧卜叩已研)

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-83-

遡出、⑪

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(31)

まとめ

以上の論述において、昭和53年から63年度までの10年間の都道府県及び市町

村の用地費の伸びは、明らかである。とりわけ、昭和60年代に入ってからの用

地費の伸びには、著しいものがある。都道府県全体の用地費は、昭和60年から

63年度にかけて、1兆506億円から1兆7,668億円へと、7,161億円(682%)

の増加を示している。さらに、昭和62年から63年度のわずか1年の間に、一挙

に2,940億円(20%)もの急激な増加を示していろ。

東京都用地費は、昭和60年から63年度にかけて、2,275億円から7,342億円

へと、3.2倍に急増していろ。また、昭和62年から63年度のわずか1年の間に、

1,881億(34.4%)もの急増をみせていろ。

従って、全国都道府県用地費に占める東京都用地費の割合は、昭和60年度の

21.7%から昭和63年度の416%へと、一挙に倍増するに至っている。

上述の経緯は、当然の事ながら、昭和末期の地価高騰が東京を起点として生

じた事と関連して生じたものであろう。近年の地価高騰の地方への波及に伴っ

て、今後地方においても事態が深刻化することが、予測される。地価高騰が用

地費に反映するまでには、市街地の道路事業などは特殊な例として、かなりの

タイム・ラグが存在するので、高騰地価の影響が本格的に現われるのは、まだ

これからではないかと思われろ。

第3章で示したように、東京都用地費の投資的経費に占める割合は、昭和60

年代の地価高騰期に急騰していろ。昭和61年度の33.5%から昭和63年度の543

%へと、わずかな期間に208ポイントも上昇していろ。このことは、もはや投

資的経費の大きさ等の指標のみによって財政の裁量性の幅や行政活動の効率性

を測定することは、困難になりつつあるということを、意味しているように思

えろ。

普通建設事業費についても、同様のことが言える。普通建設事業費に占める

用地費の割合は、地価高騰下の昭和61年度から63年度において、一挙に206ポ

イントも上昇していろ。この間の普通建設事業費の伸びの大半は、用地費の増

大によるものにすぎない。

もちろん、東京都の財政の裁量の幅や行政施策のスケール等について判断す

-86-

(32)

ろ基準として、投資的経費や普通建設事業費の規模と割合について知ることは、

重要なことである。しかし、それに劣らず重要になりつつあることは、投資的

経費や普通建設事業費に占める用地費の割合が、どれだけを占めるかというこ

とである。換言すれば、事業費のうちで、地価上昇によって用地費や補償費と

して吸収されてしまう割合(「用地費率」)を知ることは、行財政活動の内実

を測定する指標として、重要性を増しつつあるように思われろ。

上述の結論は、主に東京都財政の分析によって得られたものではあるが、現

在進行しつつある地価高騰の地方への波及と用地費への反映によって、程度の

差こそあれ全国の都道府県に共通の問題となることは、確実であろう。

東京都財政に対して地価高騰の及ぼす影響について、収支両面から全面的に

論ずろことは、本論文の課題ではない。今後本格的に論じることができればと

考えろしだいである。前論文『東京都の用地費研究』では、用地費などの支出

面の影響を主とし、租税収入を中心とした収入面の影響については、その概容

を示していろ。昭和60年代の地価高騰期には、好景気とあいまって、法人二税

が大幅な伸びを示していろ。地価高騰の真っただ中の昭和62年度には、法人都

民税・法人事業税の各々が、それぞれ31.1%、31.9%の大幅な伸びを示してい

ろ。財政の収支バランスの面から見れば、財政負担の問題は、深刻さを緩和さ

れるかもしれない。

ところが、土地資産増加額と土地保有コストのバランスの面から見ろと、別

の問題が生じてくるようにも思えろ。例えば、昭和60年代の地価高騰期に、固

定資産税の伸び率は10%以下(昭和62年度は5.6%増)にすぎない。昭和61年2

度の土地資産増加額が225兆円であり、その大半を東京都が占めることを考慮

すれば、土地資産増加と保有コストのバランスがとれているとは言い難い。固

定資産税もしくは土地保有に関する新税などによって、これらのバランスをと

ることが、先決であろう。

用地費の水準の如何については、各自治体内の財政負担の問題であるのみな

らず、各自治体間の財政調整制度における資金の配分要因としても、今後無視

できない要素になる可能性があるものと思われるが、これについては、今後の

研究課題としたい。

本論文執筆にあたっては、東京都財務局より資料の提示と貴重なアドバイス

-87-

(33)

をいただくことができた。また、建設局公園緑地部において、新霊園建設につ

いての事情聴取と資料の提供、雑司ケ谷霊園の家族納骨壇(ロッカー式墓地)

の案内を快く引き受けていただいた。さらに、用地課において、東京都の用地

補償についての考え方について聴取し、資料の提示を受けることができた。東

京都の各関係部局に対して、改めて謝意を表しておきたい。

なお、付表において、都道府県・市町村・東京都の各々の過去数年間の用地

取得費を示す資料を掲げておくこととした、

<注>

l)自治省編『地方財政統計年報」昭和53~63年度。

2)『東京都決算の状況』昭和59~63年度。

3)『東京都決算参考資料J昭和60~62年度。

4)自治省編『地方財政白書』平成2年度版82ページ。

5)自治省編『地方財政統計年報』平成元年・2年版。

6)拙稿「東京都の用地費研究」(「沖大経済論叢』1989年9月号)

7)『東京都住宅政策懇談会報告』(平成2年4月)40~46ページ。

8)東京都建設局『東京都新霊園等構想委員会報告書』(平成2年4月)145

~153ページ。

9)東京都『東京都決算の状況」昭和59~63年度。

10)『東京都決算参考資料』昭和61年度179ページ。

11)同上資料179ページ。

-88-

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