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東北大学史料館だより No.33

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Academic year: 2021

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東北大学史料館だより No.33

著者

東北大学学術資源研究公開センター史料館

雑誌名

東北大学史料館だより

33

ページ

1-8

発行年

2020-09-30

URL

http://hdl.handle.net/10097/00128960

(2)

TOHOKU UNIVERSITY ARCHIVES NEWSLETTER

No.

33

2020 Sep.

東北

東北

大学

大学

料館

料館

だより

だより

百年前のパンデミック

三好愛吉第二高等学校第五代校長の死去

歴史的なパンデミックの一つに、一世紀前のインフルエンザの流行があげられます。当時、本多光太郎など東北大学ゆ かりの人物の感染も報道されますが、とりわけインパクトが大きかったのが、旧制第二高等学校の第五代校長を務めた三好 愛吉(1871-1919年)の死去でした。三好は、旧制第二高等学校の校風である「雄大剛健」を樹立した人物として知られて います。三好は1895年帝国大学文科大学(現在の東京大学文学部)を卒業後、第二高等学校教授、1911年から1915年ま で校長を務め、主に倫理学を講じて、仙台の中等・高等教育に大きな足跡を残します。その後、1915年からは皇子傅育官 【左】三好愛吉肖像画/東北大学史料館所蔵 【右】三好忠一宛皇太子使者派遣の通牒(1919年 2 月14日)  三好愛吉の死去に際して、皇太子(後の昭和天皇)が三好家に使者を派遣する際の通知文。通知 者である東宮大夫の濱尾新は東京帝国大学総長も務めた人物。

Index

2 ローカルな場から東北大学の 歴史を想う 吉野作造記念館 主任研究員 小嶋 翔 5 史料館のうごき 6 資料の公開について 8 お知らせ ・史料館関連展示施設について

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TOHOKU UNIVERSITY ARCHIVES NEWSLETTER

ローカルな場から東北大学の歴史を想う

―吉野作造記念館企画展「尚志」

(東北大学史料館共催)

吉野作造記念館 主任研究員  

小嶋  翔

以前、仙台市内で行われたある市民講座で、「日本で最初に女性の入学を認めた大学はどこでしょう?」と 受講者に問題を出したことがあります。「正解は東北大学」と言うと、大半の方は初めて知った様子でした。 東北大学で学部から博士課程まで過ごした身としては、もったいないことだと思ったものです。 吉野作造記念館では、2019年度後期企画展「尚志―東北帝国大学と宮城の高等教育」(2020年 1 月12日~ 3 月 1 日〈中断―後述〉)を開催しました。吉野作造記念館は宮城県北・大崎市古川にあり、当地出身の政治学 者・吉野作造を顕彰する歴史資料館・博物館施設です。1892年(明治25)に古川高等小学校を卒業した吉野 作造は、当時県内唯一の中学校である宮城県尋常中学校(現・宮城県仙台第一高校)へ進学、さらに1897年 (明治30)からは第二高等学校で学びました。東京帝国大学教授として大正デモクラシー運動を牽引した吉野 作造ですが、14歳から22歳までの青春時代は仙台で過ごしたのです。企画名「尚志」は、「富や名声を追うこ となく、常にみずからの志と名誉を尚ぶ」という第二高等学校校友会(尚志会)から採ったもの。第二高等 学校や東北帝国大学を中心に、吉野作造が青春時代を過ごした学都・仙台の学生群像を紹介する企画展です。 開催に当たっては東北大学史料館に共催いただき、史料館所蔵資料を展示のため借用させて頂きました。あ らためて御礼申し上げます。 展示は「Ⅰ 学生、吉野作造 in 仙台」「Ⅱ 仙台の第二高等学校」「Ⅲ 仙台の帝国大学」「Ⅳ 日本最初の女 性大学生~理化学者・黒田チカのあゆみ」「Ⅴ 大学生と戦争~そして戦後へ」の五部構成で、展示資料は写 真資料を含め68点、うち44点が東北大学史料館蔵です。また、会期中には展示解説会付き講座として、「昔の 学生の読書―吉野源三郎『君たちはどう生きるか』を読んでみよう」( 2 月13・15日)を開催しました。元々の 企画アイデアは、戦前の教養主義の名著・吉野源三郎『君たちはどう生きるか』が近年ブームになり、市民の 方から吉、野、作造と吉、野、源三郎は何か関係があるのか?親戚なのか?といった質問をしばしば頂くようになった ことでした。関心を持って質問してくださった方に「関係は無いです」と答えるのも無粋で、それなら何か旧 制学校をテーマにした企画展を、というのがこの企画の始まりです。

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展示中、ひときわ目を引いたのは、展示室入り口すぐにディスプレイした第二高等学校生のマントと学帽で す[写真 1 ]。「吉野作造も通った第二高等学校…」と言うと、現在の仙台第二高校だと思われる方がいます。 これに対して「戦前の第二、高、等学校は現在の東北大学です。ちなみに吉野作造が通った中等教育機関(宮城 県尋常中学校)は現在の仙台第一、高、等学校です。したがって吉野作造は二、高、(旧制)の出身ですが一、高、(現 行)の OB……」などと説明し始めると、非常に話がややこしくなります。これに師範学校や高等女学校、あ るいは予科などまで加えると、複雑すぎてわけが分からない。単線式の教育制度に現代人の頭がいかに慣れ てしまったかが分かるのですが、展示のマントと学帽が醸し出す格調の高さは、現代とは異なる戦前の教育文 化や、学歴貴族としての学徒たちが抱いていた古き良き誇りを一目で伝えてくれます。よいモ、ノ、とは、良くも 悪くも歴史を語り慣れてしまった研究者による解説など必要としない、モノそのものの力があります。 展示構成中、「Ⅳ 日本最初の女性大学生~理化学者・黒田チカのあゆみ」は、元々はその前のパート 「Ⅲ 仙台の帝国大学」の一部として考えていましたが、製作を進めるうちに独立パートとして扱うことにし ました。限られたスペースの中で、東北帝国大学の歴史のどこを重点的に紹介するかは難しい問題です。今回 は、あくまで現代における文化事業であること、特に当館がデモクラシーをテーマにする施設であることから、 1913年(大正 2 )に東北帝国大学に入学した日本初の女性大学生 3 人のうち、東北大学史料館にまとまった 形で関連資料が保存されている黒田チカに特化した展示を作りました。有機化学を専攻し、女性研究者のパ イオニアとして生きた黒田チカの展示では、実験ノートや研究標本(いずれも東北大学史料館蔵)など、見て 楽しめる資料を展示できましたが、ご案内した来場者が一番足を止めて感想を言ってくださったのは、1966年 [写真 1 ]第二高等学校生が使用したマントと学帽 東北大学史料館蔵

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TOHOKU UNIVERSITY ARCHIVES NEWSLETTER る姿が印象的です。完全な男性社会であ る戦前の高等教育機関に最初に飛び込ん だ女性が、いかにたくましく歴史を作っ てきたのか―来場者がそのようなことを 感じて下さったのなら、展示冥利に尽き ます。こうした展示ができるのも、モノ が残っていればこそです。どれほど良い 理念や物語があっても、モノが無ければ 展示にはなりません。これまで黒田チカ 資料の保存・管理・継承に関わられた方 に感謝しています。 会期は 3 月22日までの予定でしたが、 新型コロナウィルス感染拡大防止のため、 大崎市教育委員会の指導により 3 月 1 日 を以て終了となりました。やむを得ない こととはいえ、非常に残念です。 3 月15 日に予定していた企画展記念講座「宮城 から世界に目を向ける~吉野作造と大槻 文彦に学ぶ」(講師:後藤斉氏・東北大学 文学研究科教授)も中止になりました。この講座については、「大学の講義を体験しよう」という言葉を添え て広報したところ、事前予約が非常に順調に伸びていました。東北大学への進学を考えているのでしょうか、 高校生の予約もありました。東北・宮城における東北大学の存在感を示すものと嬉しく感じていた矢先だった のですが…。 この文章を書いている時点で、東京その他の都府県は緊急事態宣言の対象になっています。2020年度は難 しい 1 年になりそうです。景気の減退や税収減が文教政策への歳出削減となり、そして地域の文化や教育が 痩せ細る―平成に着実に進んだこの流れは、令和においても変わらないのかもしれません。それを予見してい ながら、感染拡大が収束しないうちはできることが限られます。これもまた歴史の 1 ページなのでしょうが、 とはいえ達観している余裕がありません。未来の博物館施設で展示紹介してもらえるような立派なことはでき ませんが、歴史に触るのが生業ですので、過去・未来に対して恥ずかしくないようにとは思っています。 [写真 2 ]黒田チカ、富士フイルムでの講演 東北大学史料館蔵

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史料館のうごき(2020年 4 月~2020年 8 月)�������������

◇新型コロナウイルス感染症による閉室( 3 月 2 日~ 9 月30日) 新型コロナウイルス感染症の感染予防と拡大防止のため、 3 月 2 日から閲覧室と魯迅記念展示室を閉室と しました。 ◇新入生歓迎展示「川内歴史さんぽ」( 3 月24日~ 4 月10日) 埋蔵文化財展示室及び附属図書館と共同で新入生歓迎展示「川内歴史さんぽ」を附属図書館本館エントラ ンスロビー展示コーナーで開催しました。新型コロナウイルス感染症の影響により附属図書館が休館となっ たため、会期途中で展示は中止となりましたが、 4 月27日以降は東北大学 YouTube チャンネルにおいて展 示紹介の動画を公開しております。是非ご視聴ください。 ◇史料館 2 階展示室の耐震工事が終了しました( 3 月31日) ◇2020年度の法人文書の受入・評価( 6 月26日~ 8 月20日) 2019年度末に保存期間を満了した法人文書の中から本学の「特定歴史公文書」として394点(予定外の追 加移管を含まない)の法人文書を当館公文書室に受け入れました。あわせて2020年度末に保存期間を満了す る予定の文書の評価を行い、移管予定となる文書を368点選定しました。引継を完了した文書については、 今後内容などに関する点検調査を行ったのち公開する予定です。 この作業は例年 4 月から 6 月にかけて行いますが、本年度は新型コロナウイルス感染症のため時期をずら し、部局については訪問による作業を取り止めとしました。 ◇東北大学バーチャル背景集開設への協力( 7 月21日) 広報室と協力し、東北大学背景集ウェブサイトを開設しました。耐震工事終了後間もない史料館 2 階展示 室の画像もありますので、オンライン授業やウェブミーティングの際に是非ご利用ください。 http://www.bureau.tohoku.ac.jp/koho/book/notice.htm ◇東北大学キャンパスガイド開設への協力( 7 月21日) キャンパスデザイン室、埋蔵文化財調査室、植物園と協力し、東北大学の 5 つのキャンパスの情報をまと めた専用サイト、東北大学キャンパスガイドを開設しました。 4 月以降、毎月各キャンパスの定点撮影をし

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資料の公開について������������������������

◆特定歴史公文書 2020年(令和 2 年) 3 月31日付で新たに947点の特定歴史公文書等の公開を開始しました。今回新たに公開された 文書は下記の通りです。 ①経済学部文書  昭和25年から昭和63年にかけての教授会議事要録、研究科委員会議事要録など。 ②理学部文書  昭和46年から昭和63年にかけての運営委員会議事録など。 ③医学部文書  昭和43年から平成元年にかけての研究科委員会議事要録、昭和48年から昭和63年にかけての医療技術短期大学 部教授会など。 ④国際文化研究科文書  平成 5 年から平成13年にかけての言語文化部教授会議事要録など。 ⑤情報基盤課文書  昭和56年から平成17年にかけての大型計算機センター会議議事要録など。 ◆個人・団体文書 ①原田達二資料  東北帝国大学附属工学専門部を大正 9 年(1920)に卒業した原田達二の旧蔵資料。1906年創設の仙台高等工業 学校(略称 SKK)は、東北帝国大学に工学部を設置する前段階として、1912年に同大学の附属工学専門部となっ た。当初は、そのまま工学部に吸収される予定であった。しかし地元に存続運動がおこり、結局1918年に東北帝 国大学に工学部が設置された際に、工学部に吸収されず残った附属工学専門部が、1921年に仙台高等工業学校と なった(1944年に仙台工業専門学校と改称、戦後は東北大学に包摂)。旧蔵者の原田は、その過渡期の学生である。 資料の内容は講義ノート 4 冊などで、2017年に遺族から寄贈された。 ②小田忠雄文書  東北大学名誉教授で数学者の小田忠雄(1940~)が、理学部評議員、附属図書館長、総長特別補佐、副総長な どの役職を経る中で作成した各種文書の電子データを収める。 経済学部教授会議事要録 医療短期大学部教授会

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③内堀太郎文書  第二高等学校を大正14年(1925)に卒業した内堀太郎(1902~1947)の旧蔵資料。第二高等学校入試合格を両 親に報告する大正11年の書簡、二高の写真アルバムや卒業証書、東京帝国大学卒業後に東京市(都)に勤務した 時代の書類を含む。 ④長塚和郎資料  第二高等学校を昭和20年(1945)に卒業した長塚和郎所蔵アルバムの電子データ。昭和18~20年頃の二高生の 記録(写真ほか)や、昭和56年(1981)頃の明善寮の様子なども収められている。 ⑤工学部百年史関係資料(精密工学科生産工学講座旧蔵)  東北大学工学部の航空学科に関する資料。戦後 GHQ に提出された、航空機関係の研究をしていない等の報告 書を綴じた 1 冊と、東京帝国大学航空研究所彙報 3 冊からなる。精密工学科生産工学講座に伝来し、工学部百年 史編纂過程で発見された。 ⑥佐々木徹郎旧蔵資料  大正 6 年(1917) 6 月に制作された、第二高等学校の卒業アルバム。旧蔵者の佐々木徹郎(1924~)は、第二 高等学校卒業後、東北帝国大学法文学部で学び、戦後は教育学部に所属し名誉教授となり、山形県立米沢女子短 期大学の学長もつとめた。 ⑦大学病院会議記録等  2011年 3 月11日の東日本大震災により、東北大学病院も災害対策に追われることになった。本資料は 3 月15日 から24日までの災害対策会議メモと、震災直後の歯科診療室内の写真を含む電子データ。大学病院感染予防対策 治療部副部長だった遠藤英昭氏が、退職にあたり寄贈された。 ⑧寺崎哲也文書  1996年から東北大学薬学部教授をつとめ、2020年に退職し名誉教授となった寺崎哲也(1955~)の最終講義の 資料(電子データ)。 ⑨山田俊雄旧蔵写真  第二高等学校を昭和17年(1942)に卒業し、東京帝国大学に学び、成城大学学長などをつとめた国語学者の山 田俊雄(1922~2005)が所蔵していた二高時代の写真28点。漕艇関係や、明善寮で写した写真が含まれる。ご遺 族より寄贈された。

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東北大学史料館だより 第33号 2020年 9 月30日発行 編集・発行 東北大学学術資源研究公開センター史料館 〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 TEL 022-217-5040 E-mail [email protected] URL http://www2.archives.tohoku.ac.jp/ Twitter @ T_U_Archives

史料館2階展示室 地図D02

魯迅記念展示室(本部棟3)地図B04

旧金研10号館地下展示室(放送大学)

(仮)地図A19

天井の耐震工事を終え、リニューアルした展示室で魯迅関連資料と東北大学の歴史を ご紹介します。大正15年(1926)に完成した旧図書館閲覧室の雰囲気をより味わって いただけるよう、展示ケースの配置も変更致しました。 開館時間:平日10:00 ~17:00 明治37年(1904)に建てられた旧仙台医学専門学校博物・理化学教室(本部棟 3 ) において、魯迅ゆかりの仙台医学専門学校関連資料の展示を行います。 魯迅の階段教室(旧仙台医学専門学校六号教室)も開放しますので、合わせてお立 ち寄りください。 開館時間:未定 東北大学埋蔵文化財調査室、キャンパスデザイン室、社会連携課と共同で東北大学キャ ンパスの歴史や片平キャンパス内の登録有形文化財に関する展示を行います。旧金研 10号館は、大正12年(1923)に理学部生物学教室として建てられました。この度改修 工事を行い、地下に展示室を設けました。 開館時間:未定  2020年12月以降、東北大学史料館では史料館 2 階展示室の他、魯迅記念展示室(本部棟 3 )、旧金研 10号館(放送大学)地下においても関連資料の展示を行う予定です。  各展示室の開室状況につきましては、当館ホームページをご確認ください。なお、各展示室の見学に際し ては新型コロナウイルス感染症対策のためマスクの着用をお願いいたします。また新型コロナウイルス感染症 が発生した場合に備えて、見学時には連絡先をご記入いただくことがございますので、予めご了承ください。

2020年冬以降

史料館関連展示施設

ついて

参照

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