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漢語方言における重畳型形容詞接尾辞の"子"について

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(1)漢 語 方 言 に お け る 重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞 の"子"に. 漢 語 方 言 に お け る重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞 の"子"に. 大. 0.は. 西. 博. 子. 現 代 中 国 語(以. 下 漢 語 と称 す)の. 標 準語 で あ る 「 普 通 話 」で は. 形 容 詞 に 後 続 し,名 詞 を形 成 す る機 能 を 有 す る接 尾 辞 で あ る が,形. い る)な. どの 形 容 詞 に 後 続 し,"腓. き る が,"慢"(速 虹 子"(赤. 子"(太. 度 が 遅 い)"鉦"(赤. っ て い る 人)"乱. い)な. 子"(騒. ,名 詞,量. 詞,動. 詞,. 容 詞 の 重 畳 型 に 後 続 し,副. 詞 や 状 態 形 容 詞 を 形 成 す る と い う機 能 は 持 た な い 。 例 え ば,"腓"(太. っ て い る)"乱"(乱 乱)と. れて. い った名 詞 は形 成 で. ど の 重 畳 型 に 後 続 し,"慢 慢 子"(ゆ. っ く り と)"鉦. っ ぽ い)と い っ た 副 詞 或 い は 状 態 形 容 詞 を 形 成 す る こ と は で き な い 。 こ う した 重 畳 型. 形 容 詞 は 通 常"几"と. 表 記 す る 接 尾 辞 が 伴 う。 しか し漢 語 方 言,特. 通 話 に は 見 られ な い"子"の. に 南 方 方 言 に お い て は,普. 重 畳 型 形 容 詞 に 後 続 す る 用 法 が 多 数 地 点 に お い て 分 布 して い る。. 本 稿 で は,漢 語 方 言 に お け る重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞"子"(以 観 察 す る こ とを 主 た る 目的 と し,"子"尾 尾1)と の 対 照 比 較 を通 し て,"子"尾. 1.1対. ついて. じめ に. "子"は. 1.対. ついて. 下"子"尾. と称 す)の. 地 理 的分 布 を. と文 法 機 能 や 意 味 の 上 で 同 類 の 接 尾 辞 と見 な せ る"几". の 文 法 的 特 徴 も論 じて み た い 。. 象 語 形 と分 類 方 法 象語形. 重 畳 型 形 容 詞 に は,単 音 節 形 容 詞 か らな る タ イ プ と二 音 節 形 容 詞 か らな る タ イ プ が あ る が, 本 稿 で は 単 音 節 形 容 詞 か らな る重 畳 型 を考 察 の 対 象 と し,そ の 末 尾 に 付 加 さ れ る形 態 素 を 対 象 語 形 とす る。 普 通 話 で は 単 音 節 形 容 詞 の 重 畳 型"AA"は,通. 常"AA兀"と. い う交 替 形 を も ち,文. お い て は 状 語 に な る機 能 しか も た な い 副 詞 で あ る。 しか し末 尾 に"的"を 変 化 し,状 語 の ほ か,定 形 態 素 は,そ だ が,本. 語,補. 語,謂. 語 に も な る(朱 徳 煕1982)。. 中に. 伴 う と状 態 形 容 詞 に. よ っ て"AA"に. 後続 す る. の 文 法 的 機 能 か ら,副 詞 接 尾 辞 と も状 態 形 容 詞 接 尾 辞 と も扱 うこ とが で き る わ け. 稿 で は 重 畳 型 形 容 詞 に 後 続 す る とい う造 語 法 的 特 徴 か ら,一 律 に 「 形 容 詞接 尾 辞 」 と. 扱 う こ と に す る。. 一1一.

(2) 近畿 大学 語学教 育 部紀 要6巻2号(2006・12) 1.2分. 類 方法. 単 音 節 形 容 詞 の 重 畳 型 は,漢 語 方 言 に お い て 普 遍 的 に 分 布 して い るが,そ 態 素 に は,実. の末 尾 に現れ る形. に 様 々 な漢 字 表 記 が 当 て られ て い る。 これ らの 表 記(以 下 語 形 と称 す る)は,そ. 音 声 的 特 徴 か ら11の. の. グ ル ー プ に 分 類 で き る が2),各 語 形 の 分 布 状 況 を声 母 別 に 見 る と(表1),. 声 母 は 異 な る が 韻 母 が 同 形 で あ っ た り,複 数 の 声 母 の 類 に 同 一 の漢 字 表 記 が 分 布 して い た りす る こ とに 気 付 く。 例 え ば[s]と[z]の 二 声 母 に は,〃 の 単 母 音 の み で構 成 され る語 形 が 分 布 し て い る が,そ の 形 態 的 特 徴 か ら 同 源 の 語 形 に 帰 属 で き る と判 断 で き る 。ま た"地"の. よ うに[ts】[n][1][t]. と複 数 の 声 母 に 分 布 して い る語 形 は,韻 母 音 形 と音 韻 的 帰 属 か ら,す べ て の 語 形 で は な く,一 部 の 語 形 に の み 同 源 で あ る 可 能 性 が 見 出 せ る(拙 論2004)。. つ ま り分 布 語 形 の 中 に は,音. 異 な る が,音 韻 的 に は 同 一 の 語 形 に 帰 属 で き る も の も あ り,同 一 語 形 の"変 体"(変 な せ る も の も多 数 含 ま れ て い る と言 え る。 よ っ て,音. 形は. 異 形)と 見. 声 か ら単 純 に語 形 分 類 す る の は,語. 形の. 祖 形 を 求 め る 上 で は 意 味 を 持 た な い 。 む し ろ,語 形 の 音 韻 的 帰 属 や 表 す 機 能 ・意 味 と い っ た 音 韻 学 的,文. 法 学 的 側 面 か らの ア プ ロ ー チ を加 え た 上 で 分 類 を 行 い,同. で 音 声 比 較 を行 う方 が,理 る漢 字 語 形 は,籟. に か な っ た 分 類 方 法 で は な い か と考 え る 。 事 実[tgi]の音 形 で 示 され. 方 言 や 湘 方 言 に お い て 指 小 的 意 味 を 持 つ 名 詞 接 尾 辞 で,現 代 漢 語 の"子"尾. に概 ね 相 当 す る3)。 音 韻 学 的 に も"子"の る語 形 と分 析 で き る 。 ま た"曜"の 形 で あ る こ と か ら4),"子"尾 き る が,音. 『広 韻 』 反 切"即. に相 当 す. に 相 当す る 語. 同 類 の 語 形 に 分 類 で き る。 こ の よ うな 観 点 か ら,本. 表 記 され る 語 形 だ け で な くcc子"尾. 形の音声別 分類(大 西2006よ. 類. 合 致 し,CL子"尾. と 同類 の 語 形 と扱 え る 。 こ れ らは 音 声 上 異 な る グル ー プ に分 類 で. と 同 類 と扱 え る語 形 も 対 象 と し,分 類 を 行. う こ とに した 。 表1語. 里 切"に. 漢 字 語 形 も,客 家 や 輯 方 言 に お い て"子"尾. 韻 や 文 法 的 特 徴 か らは"子"と. 稿 で は"子"と. 源 或 い は 同類 の語 形 同士. り抜粋. 一部 改正). 漢字表記. 韻母音形. [ts]. 子 患 仔 則 地 叫 鑑 口 姐. ユiiie功uu[aia5お?aa?eeie?εEtaka. [tg]. 口 即 口机 几 枳 氾. 1. [tG・]. 叫 交. 1010i田. [s]. 斯 噺 式 是 勢 似. 11.1. [Z]. 子 氏 吋 似. 1i. [n]. 地 嘲 呪. iieieas. [n-n]. 能 当 南 免 槍 守. a勾eηoni勾ien. [i]. 彷 里 哩 口若 若 勢 式 地 例 倦. iieeiei?aEEUO?UO?au. [tl. 得 口得 的 口的 地 口地 底 端 点 来. ilikiti?ia?eeiekakgte?ae2iiu. [k]. 格 略 家 干 介 介 ロ敢 仔 公. saauouoasaananEmiaan. 臨1・r]. 几 ホ. iieanrj-r. 一2一.

(3) 漢語 方 言 におけ る重 畳型 形容 詞接 尾 辞 の"子"に 2.語. つ いて. 形 分 類 と地 理 的 分 布. 本 稿 で 扱 う"子"尾 む 。"子"尾. に は,"子"と. 表 記 され る語 形 の 他,"仔,恵,国"に. 由 来 す る 語 形 も含. の 分 類 に 関 して は,拙 論(2006)で 述 べ て は い る が,そ の 後 入 力 デ ー タ の 増 補 に よ っ. て 新 た な 分 析 結 果 が 生 じた た め,本 稿 は そ の 増 補 修 正 した も の と し て 発 表 す る。"子"尾 の 違 い か ら,8つ. の グ ル ー プ に 分 類 で き る(地 図1)。. 下 の 通 りで あ る。 語 形 は 漢 字 表 記,声. 母,韻. は声 母. 各 グ ル ー プ に 属 す る語 形 と分 布 地 域 は 以. 母 の 順 で 記 し,分 布 地 域 は省 名 で,分. 布 数 の多 い. 順 か ら示 し た 。 発 音 表 記 は 国 際 音 声 字 母(IPA)を. 使 用 し,声 調 は 正 確 な 調 値 が 分 か る も の の. み,音 声 表 記 の 右 肩 に ア ラ ビ ア 数 字 で 記 し た(0は. 軽 声 を意 味 す る)。 尚,各. グル ー プ の所 属 語. 形 の 音 形 と分 布 地 点 に つ い て は,末 尾 資 料 を 参 照 され た い 。 2.1[tsヨ. 類. 漢字表記. 子 仔 該 卿 患 者 噴 則. 声母. [ts]. 韻母. 甲 国 田[U]圃[・]圓[aヨ[e][E][ε][ae?]國. 分布地域. 江西. 湖南. 江蘇. 福建. 寧夏. 山西 甘粛 上海. ;,江. 四川. 陵西. 各 語 形 の うち[11[}][i][u][LU][a][ei]韻 母 は 中 古 音 の 之 韻 に,[ai][e】[E]【 ε]韻母 は 胎 韻 に 帰 属 す る こ とか ら,前 者 は"子,仔",後. 者 は"恵"に. 祖 形 を 求 め る こ とが で き る 。江 西 宜 豊 の"子"は[tsu212]. と[tsar]の二 音 あ る が,指 小 辞 的 に使 わ れ る 場 合 は,後 者 の 音 形 が 用 い られ る(宜 車 具 志p.766)。 こ の よ うに"子"が. 複 数 の 音 形 を持 っ とい う現 象 は,宜. 豊 に 限 られ た こ と で は な く,客 家,韓,. 湘 方 言 な どで は普 遍 的 に 見 られ る 。 尚,江 蘇 丹 陽 の"則"臨 で あ り,名 詞 接 尾 辞 の"子"と "子"の. 田?5]は,[ts1]の 促 音 化 形 式(1>お?〉. 同 形 で あ る。. 反 切 を見 る と. ,『 広 韻 』 で は"即 里 切",『 集 韻 』 で は"祖 似 切"と. す る 現 代 音 は 臨i】と[ts1](いず れ も 上 声)で あ る が,cc即"と"祖"は と か ら,現 在[tg】声 母 で 読 ま れ る語 形 は"子"[ts]の "仔"は. 『広 韻 』 で は 二 音 あ り. 之 韻 に 帰 属 す る が,前. 陰 平 に 読 ま れ る が(翁 源 で はcc"の. 日 仔 肩,任. 。. ず れ も精 母. 建 武 平 や 広 東 翁 源 で は 匠剛 が. 字 が 当て られ て い る),こ れ らは"仔"の"子. 也"と. 味 は 見 られ な い 。 い つ か ら"子"と. う一 つ は"子 之 切"で,い. 者 は 平 声 に 属 す る 。 現 在,福. 由来 す る も の と思 わ れ る。 た だ"仔"の も"《 悦 文 》 克 也,一. い ず れ も 精 母 に帰 属 す る こ. 口 蓋 化 した も の と分 析 で き る(ts>切. ,一 つ は"即 里 切",も. 者 は 上 声,後. あ る。 両 者 に対 応. 之 切"(平. 声)に. 義 注 は,『 広 韻 』 で"《 悦 文 》 克 也",『 集 韻 』 に お い て な っ て お り,現 代 漢 語 に 見 られ る"幼 小 的"と. い っ た意. 同 義 の形 態 素 と して 使 わ れ る よ うに な っ た か は,未. で あ る。. 一3一. だ不 明.

(4) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要6巻2号(2006・12). cc息"は 想 止 切)あ. 『広 韻 』 で は 二 音(山 佳 切. ,山 皆 切),『 集韻 』 で は 四 音(子. る が,現 代 音 で は 『集 韻 』 の"子 亥 切"に. 亥 切,所 佳 切,山. 皆切,. 由 来 す る 音 形 しか 見 られ な い 。 しか し 『広. 韻 』 の 義 注 に"《 方 言 》 云,江 湘 向,凡 言 是 子 滑 之 恵,自. 高 而 侮 人 也"と. 中 古 の 時 代 か ら,所 謂"江 湘 同"の 地 域 に お い て,"子"と. あ る こ とか ら,"患"が. 同 義 の 方 言 字 と して 用 い られ て い た. こ と は 確 か とい え る。 2.2[t司. 類. 漢字表記. 子 仔 ロ 即 几 肌 口机 枳 氾 鐙 忌 口 姐 叫. 声母. [tg][t郵[d朗. 韻母. 田[功]巨e][ei]. 分布地域. 湖南. 江西. 漸江 安徽. "子 仔 卿 几 肌 口机 枳 う 己"の 漢 字 語 形 は. ,す べ て[t司 の 音 形 で 読 ま れ る。 これ ら は 上 述. した 通 り,[ts]の 口 蓋 化 音 と分 析 す る(ts>tg)。 は さ ら に"兀 化"し,漸 徽 績 漢 の"叫"は,漢 "即 里 切"の. 広 東 陽 江 で は 舌 葉 音[tslに読 ま れ,漸. 江雲和で. 江 永 康 で は 有 声 化 して い る。 湖 南 益 陽 の"口 姐33,湖 南 宜 章 のcc仔",安 字 表 記 こ そ 異 な る が,い. ず れ も[tφie]と発 音 す る。 そ の 韻 母 の 音 形 か ら,. 中 古 音 に 由 来 す る語 形 と分 析 す る(pi. a>ie5))。 尚,益 陽 で は,"口 姐"は"子"[ts1]. の 白話 音 と見 な され て い る6)。 2.3田. 類. 漢字表記. 子 仔 得 噌 端. 声母. [tl. 韻母. [ε]M[e]Ca][お?]. 分布地域. 江西. 湖南 湖北 漸江. こ れ ら の 語 形 は 韻 母 の 音 形 か ら,"子"或 "子"の. 単 字 音 は[t. s1352iであ る が,名. 義 や 修 水 に お い て も 同 様 に"子"の 布 状 況 は 様 々 で,安 義 で は"子"の A子)の. い は"恵"に. 由 来 す る と分 析 す る。 江 西 都 昌 で は,. 詞 接 尾 辞 に は"醇 尋"[tε0]の表 記 が 用 い られ る7)。 江 西 安. こ う した"変 体"(変 単 字 音(子),名. 異 形)が. い くつ か 存 在 す る が,そ の 分. 詞 接 尾 辞(N子),重. そ れ ぞ れ に,異 な る 語 形 が 用 い られ て い る(表2)。. 形 が 分 布 して い るが,[hO]の が,そ. 江蘇. 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞(A. 名 詞 接 尾 辞 に は[hO]と[tSTO]の 二 語. 方 がkslo]よ り も生 産 性 が 高 い 。 尚,安 徽 建 徳 に"端"が. の 音 形[tε423]は,江 西 や 湖 北 に 分 布 す る"得"や"嗜"と. 分 析 した 。. 一4一. 同 形 で あ る ゆ え,同. 分布す る 類語形 と.

(5) 漢 語 方 言 に お け る重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞 の"子"に 表2江. 西 都 昌,安 義,修. 水3地. 子. N子. 都昌. tis1352. 安義 修水. 2.4[s弓. 点 に お け る"子"の. つ いて. 変異形式. AA子. too. tε0. tsγ213. hO/tsユo. tε0. tS131. tsla. tYO. 類. 漢字表記. 式 勢斯 是 似. 声母. [s掴 同 〔 Ω. 韻母. 回h〕田[i?]. 分布地域. 湖北 江西. 湖南 漸江 広東. [s似 外 の 無 声 摩 擦 音 声 母 臨][g]団も含 む 。"斯"や"是"は 音 で は 之 韻 と支 韻 は 合 流 し同 音 化 して い る の で,こ は な か ろ う。[S]は[ts]の弱 化 形 式 で,さ と"勢"は,湖. 北 東 部 の"楚. 浩"と. 上 声)か. ら,"子"の. 代. れ ら は 之 韻 に 由来 す る も の と分 析 して 問 題. らに そ り舌 化 した[§]や口蓋 化 した[g]〔口も 分 布 す る。"式". 呼 ば れ る 地 域 に 集 中 して 分 布 して お り,[s1]や[sJの. 発 音 され る 。 漢 字 表 記 は 異 な る が,そ 信 義 や 石 城 に は"似"が. 中 古 音 の 支 韻 に 帰 属 す る が,現. の 音 形 か ら"斯'や"是"と. 音形 で. 同 源 と分 析 す る 。 ま た 江 西. 分 布 し,音 声 表 記 は 付 され て い な い が,単. 純 に そ の 音 韻 的 帰 属(之. 韻. 弱 化 形 式 と分 析 し た 。. 2.5[z-]類. 漢字表記. 子 氏似 吋. 声母. [Z]. 韻母. 回. 分布地域. 漸江. 広東. 広 東 平 遠 の[z1]は,"子"[ts1の. 弱 化 形 式 で あ る8)。 こ の こ とか ら呉 方 言 に 分 布 す る"氏,吋,. 似"の 漢 字 語 形 も,す べ て"子"の. 弱 化 形 式 と分 析 し た 。"似"は. そ の 有 声 化 した[z]で 読 ま れ る。 黄 岩 で は"氏"と"吋"が る 。 接 尾 辞 の よ うな"封. 囲美 洞"に. 属 す る形 態 素 は,単. 漸 江 温 州 で は,[s]で は な く,. 分 布 す る が,声. 母 と韻 母 は 同 形 で あ. 独 で は 機 能 しな い た め,声 調 は 往 々 に. して 軽 声 化 し,本 来 の 調 値 や 調 類 が 分 か ら な くな っ て しま っ て い る 場 合 が 多 い 。"氏"と"吋" は 声 調 こ そ 異 な る が,こ れ は 調 査 者 の 記 録 形 式 の 違 い に よ る も の で,同. 一5一. 一 の 語 形 と分 析 す る。.

(6) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要6巻2号(2006・12) 2.6田. 類. 漢字表記. 仇 哩 例 式. 声母. 皿. 韻母. 田 圃[e][i?][ei?]. 分布地域. 江西 福建. これ ら の 語 形 は,2.3で と"例"が. 分 類 した 語 形 と 同 様"子"の. 変 異 形 と見 な す 。 福 建 長 汀 で は"哩". 分 布 す る が,こ れ も 調 査 者 の 記 録 形 式 の 違 い に よ る も の で,音. 形 は同 じで あ る。 ま. た 長 汀 の 名 詞 接 尾 辞 に は,"子"匠s120]と"哩"肛e50∼20]が. あ り,前 者 は 文 言 音,後. 者 は 白話 音. と見 な され て い る9)。 福 州 に 分 布 す る"式"[lei?24]は,漢. 字 表 記 か らは[s]類 に 分 類 で き る が,. そ の 音 形 か ら田 類 に分 類 す る10)。 2.7[n-】. 類. 漢字表記. 仔 呪. 声母. [n]. 韻母. [a][e]. 分布地域. 福建. 広東. 福 建 安 渓 で は"仔"[na52]が す る"仔"[a55]と 辞 の"子"と. 江西 分 布 して い る が,そ. の音 形 及 び 文 法 機 能 か ら,福 建 泉 州 に 分 布. 同源 と分 析 で き る11)。 広 東 焦 鹸 で は 漢 字 表 記 は 付 され て い な い が,名 詞 接 尾. 同 形 で あ る12)。 ま た 江 西 全 南 や 楽 平 に は,"呪"の. 漢 字 語 形 が 分 布 す る が,音. 声. 表 記 は 付 され て い な い 。 お そ ら く[ne]か[na]の 近 似 音 形 と推 定 す る。全 南 近 隣 の 竜 南 に は,"得" [tε]の 語 形 が 分 布 して い る が,こ. の こ とか ら[n]は[tlの さ ら に弱 化 が 進 ん だ 形 式(t>n)と. 分析. で き る。 2.8零. 声母類. 漢字表記. 仔 得. 声母. [¢1[k]. 韻母. 圃[a][a][ek][ik][i?]. 分布地域. 福建 広東. 零 声 母 と は,語 頭 声 母 が な い こ とを 意 味 す る が(回. で 示 す),こ. こ で は[k]声 母 で 始 ま る語 形. も含 む 。[k]声 母 は,現 在 の と こ ろ福 建 永 春 に の み 確 認 で き て い る だ け で あ る が,調 査 範 囲 を名 詞 接 尾 辞 ま で 広 げ れ ば,お. そ ら く他 の 地 点 に お い て も確 認 で き そ うだ 。 永 春 で は"仔"の. 一6一. 漢字.

(7) 漢語 方言 にお け る重畳 型形容 詞接 尾辞 の"子"に 語 形 が 当 て られ[kia]と 発 音 され る が,こ. の 音 形 か ら"国"に. ついて. 由 来 す る 語 形 と分 析 す る。"圏". は 『広 韻 』 に は 収 録 され て い な い が,『 集 韻 』 に"園 人 呼 几 日 国"の 義 注 が あ り,閾 方 言 で は 古 く か ら"九 子"(息. 子)義. の 方 言 字 と して 使 わ れ て い た こ とが 分 か る。 反 切 は"九 件 切"で,永. 春 の[kia]は そ の 音 を 忠 実 に継 承 して い る と言 え る。 現 在 閲 南 方 言 に 属 す る広 東 海 豊,福 や 泉 州 で は,圓 a>a)。. と[a】 の 音 形 が 分 布 す る が,こ. 一 方,閲. 寿 寧,周. 寧,福. 東 方 言 地 域 で は``得"の 鼎 の3地. な い た め,"得"に か ら,"子"或. れ ら も"国"に. 建厘 門. 由 来 す る語 形 と分 析 す る(kia>. 語 形 が 分 布 し,古. 田 と福 安 で は[ek5],寧. 点 で は[i?5刈 の 音 形 で 読 ま れ る が,こ. れ らは"得"の. 徳 は[ik5],. 単 字 音 と一 致 し. 直 接 由来 す る語 形 で は な く,単 な る 当 て 字 か と思 わ れ る 。 単 純 に 韻 母 の 音 形. い は"仔"に. 由 来 す る 語 形 と分 析 す る(*is>e>ek又. は*is>i>盟i?)。. 地 図1 "子"尾 の 声 母 別 分 類. ズ \ ¶/. ノ・ ・. ノ. ♪. 憶_、. ノ. \__/一'窪5. コ馬. 矧//. 一ご・∴. ご. 、、 一.酸?. ° r'・. こ. ミ.._恩. \. 、. /4ダ ' ぜ. 、、. 蘇. \. \ 、. S. 競 ⊂. F. y b 鳳 a d d 爬 紐 h b U P ト 窃 P O. O " a P. . ーo. d e S a b 爬 a に 面. 副 沁 画 職 馨 " 9 祀 n. \. フ. ProjectonHanDialects(PFID). r. TheLinguisticAtlasofChineseDialects. ノ. 3.文. ぐ. く∼. 法 的特徴. 重 畳 型 形 容 詞 に 後 続 す る 形 態 素 の 中 で,"子"と"几"に る こ とが,拙. 論(2006)の. 属 す る 語 形 が 最 も 多 く 分 布 して い. 分 析 で 明 らか に な っ た が,両 者 の 地 理 的 分 布 を 観 察 す る と,中 国 南. 北 で 大 き く対 峙 して 分 布 して い る こ とが 分 か る(地 図2)。"子"と"几"は. 一7一. 現 代 漢 語 に お い て,.

(8) 近畿 大学 語学教 育部 紀要6巻2号(2006・12) 互 い に"九 子"(息. 子)の 意 味 を持 つ 上 で 同 義 語 で あ り,接 尾 辞 と して の 機 能 や 意 味 の 上 で も重. 複 す る 部 分 が 多 い が,重. 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞 と し て の 使 わ れ 方 に,こ. て い る こ と は 非 常 に 興 味 深 い 。 本 節 で は,ccr"尾 な 文 法 的 特 徴 が あ る の か,文. うした方 言 間 の差 異 が 生 じ. と の 対 照 比 較 を通 じ て,"子"尾. 法 機 能 と感 情 的 ニ ュ ア ン ス の2点. に どの よ う. か ら論 じて み る こ と に す る。. 地 図2. \. 重騨 騰 暑辞9/   醐 \ 一 ぐ3/ノ. 」. ㌦.ベ. ノジ/ン/. ・ ∵ 至一△ 姦/. 讐調 TheLinbuisYicA. ProjectonH:las°fChineseDiaiectsnDfalects(YH:D)ノ.   、. 3.1文. ♪. Thcgeographicalda!1a陀basedi期partonnpeu-pL亀blighedda【abyNF(}iS.. 法機 能. "子"尾 語,定. 恥〆. が 付 加 した"AA子"の. 語,謂. 語. 文 法機 能 は. ,方 言 に よ っ て 様 々 で あ る 。 あ る方 言 で は,状. 補 語 の す べ て の 位 置 に 現 れ る こ とが で き る が,あ. 置 に しか 現 れ な い とい っ た 制 約 が あ る(拙 論2006)。 後 続 す る"子"尾. は,以. 下3つ. る方 言 で は 状 語 や 定 語 の位. こ う した 文 法 機 能 の 違 い か ら"AA"に. の 異 な る 形 態 素 に 分 類 で き る:. ①名詞化マーカ ② 状 態 形 容詞 接 尾 辞 ③ 副 詞 接 尾辞 山 西 臨 扮 や 万 栄 に 分 布 す る"AA子"は. ① に 属 す る 。 山西 臨 扮 や 万 栄 に 分 布 す る"子"尾. 一g一. は,.

(9) 漢語 方言 にお け る重 畳型 形容 詞接 尾辞 の"子"に 単 音 節 形 容 詞Aに. 後 続 す る だ け で な く,重 畳 型AAに. 言 のcc肥 肥 子"や"旧 的 奈 西"(古. 旧 子"は. つ いて. も 後 続 し}名 詞 化 させ る。 例 え ば 万 栄 方. い ず れ も名 詞 で あ り,前 者 は"腓 入"(太. い 物)の 意 味 を 表 す 。 こ う した"AA子"は,人. っ た 人),後. 者 は"旧. を 指 す 場 合 は 蔑 視 の ニ ュ ア ン ス,. 物 を指す 場 合 は 「 不 本 意 で あ る 」 とい っ た マ イ ナ ス の ニ ュ ア ン ス を 伴 う13)。福 建 武 平 や 江 西 南 昌 に 分 布 す る"AA子"は. ② に 属 し,文 中 に お い て 状 語,定. 現 れ る こ と が で き る。 い わ ば 普 通 話 の"AA几 必 ず 定 語 助 詞"ノ ド. 建 泉 州 の"AA仔'な. れ な い 副 詞 で,普 通 話 の"AA)L"に ,"几"尾. に も"子"尾. 尾 が 重 畳 型AAと. 語,補. 語 のす べ て の 位 置 に. 相 当す る 形 式 で あ る が,定. を 伴 わ な け れ ば な ら な い 。 寧 夏 同 心 の"AA子",江. 斯 江 温 州 の"AA似",福. 一方. 的"に. 語,謂. 蘇 丹 陽 の"AA則",. どは ③ に 属 す る 。 文 中 で は 状 語 の 位 置 に し か 現. 相 当 す る形 式 で あ る。. と 同 様,上. 述 し た3つ. の 文 法 機 能 が 含 ま れ る。 普 通 話 に は"九". 結 び つ き名 詞 化 す る とい う機 能 は 見 られ な い が,貴. 形 容 詞 性 形 態 素 の 重 畳 型 に"几"尾 よ っ て 文 法 上 は,"几"尾. 語 に な る際 は. 州 遵 義 方 言 で は,一. 部の. が 付 加 し,名 詞 化 す る とい う機 能 が 報 告 され て い る ω 。. も"子"尾. と 同 様 の機 能 を有 す る接 尾 辞 とい う扱 い に な る が,上 述. した ① ② ③ の 諸 機 能 を い ず れ の 接 尾 辞 で 表 す か は,方 言 に よ っ て 異 な る わ け で あ り,北 方 方 言 で は"几"尾. が使 わ れ る の に 対 し,客 家,籟,湘. る 傾 向 が 強 い 。 ま た 晋 語 の よ うに,①. 方 言 等 の 南 方 方 言 で は"子"尾. の 機 能 は"子"尾,②. と③ は")L"尾. とい う具 合 に,両. と"几"尾. の 伴 う機 能 の 方 言 的. 者 の 役 割 分 担 が 存 在 す る 方 言 も あ る 。 っ ま り こ う した"子"尾 差 異 が,"AA"に 3.2感 "AA"に. の み が使 われ. 後 続 す る接 尾 辞 の 地 理 的 差 異 を 生 み 出 し て い る と考 え る 。. 情 的 ニ ュア ンス 後 続 す る"子"尾. と"九"尾. は. ,と も に指 小 的 意 味 を 表 す こ とか ら,「 愛 ら しい,. 好 ま しい 」 とい っ た 感 情 的 ニ ュ ア ン ス を 伴 う場 合 が 多 い 。 しか し"子"尾. に伴 うニ ュ ア ン ス は,. 必 ず し も 好 意 的 な も の ば か りで な く,「残 念 で あ る,不 満 で あ る」 とい っ た否 定 的 ニ ュ ア ン ス も 伴 う場 合 が あ る。 湖 北 英 山 の"AA式 え ば 益 陽 方 言 で は,"略. 号 菜 辣 辣 家 口姐,味. 合 と"略 号 菜 辣 辣 斯 口 姐,称 のAA(辣. 辣)が. 几",湖. 南 益 陽 の"AA斯"な. 道 蛮 好"(こ. 吃 得 慣 破?"(こ. の 料 理 辛 い け ど,お い しい よ)と い う場. の 料 理 辛 い け ど,食 べ られ る の?)と. 現 れ て い る が,後 続 す る接 尾 辞 に よ っ て,話. ニ ュ ア ン ス)が 表 現 で き る。 前 者 は"辣"(辛. ど が こ の 類 に 属 す る が,例. で は,共. 者 の 異 な る 主 観 的 評 価(感. 通. 情的. さ)に 対 し,プ ラ ス 評 価 で 「 好 ま しい 」 とい っ た. 好 意 的 ニ ュ ア ン ス が 含 ま れ る の に 対 し,後 者 で は マ イ ナ ス 評 価 で 「 不 満 で あ る 」 とい っ た 否 定 的 ニ ュ ア ン ス が 込 め られ る15)。cc几"尾. に は,こ. 加 とい う機 能 は含 ま れ な い 。. 9. の"斯"尾. に相 当 す る 否 定 的 ニ ュ ア ン ス の 付.

(10) 近 畿大 学語 学教 育部 紀要6巻2号(2006・12) つ ま り"子"尾. と"几"尾. の 意 味 的 差 異 は,伴. の ど ち ら も含 ま れ る の に 対 し,"九"尾 "几"尾. は. うニ ュ ア ン ス に"子"尾. で は好 意 的,否. 定的. に は 好 意 的 ニ ュ ア ン ス しか 含 ま れ な い とい う点 に あ る 。. ,否 定 的 な 意 味 を 表 す"AA"に. 付 加 す る と,疑 す 意 味 が な く な り,否 定 的 意 味 は. 好 意 的 な 意 味 へ と変 化 す る。 し か し,そ の 逆 の パ タ ー ン で あ る好 意 的 意 味 か ら否 定 的 意 味 へ 転 化 させ る とい う機 能 は,今. 4.ま. の とこ ろま だ発 見 で き てい な い。. とめ. 以 上,漢. 語 方 言 に お け る重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞"子"に. つ い て,音. 声 ・音 韻 ・文 法 の3つ. の側. 面 か ら考 察 を 行 っ た が,音 声 面 で は[ts!tg]声母 の 他,[t][s][z][1][n1[k][¢]の7つ の 異 な る 声 母 が 分 布 して い る こ とが 観 察 で き た 。ま た 韻 母 の 語 形 や 中 古 音 の 帰 属 か ら,分 布 語 形 は概 ね 《`子,仔, 恵,国"の. い ず れ か の 漢 字 表 記 に祖 形 が 求 め られ る と分 析 で き た 。 つ ま り現 在,様. 示 され る 語 形 は,"子,仔,患,国"の 弱 化,口. 蓋 化,促. "子"と"几"は 言 え る が,"AA"に で は"子"を. い ず れ か の 語 形 の"変. 音 化 とい っ た 様 々 な 音 声 変 化 を 経 て,現 現 代 漢 語 におい て. 体"(変. あ り,そ れ ら は. 代 音 に 至 っ て い る と考 え る。. ,互 い に"几 子"(息. 子)の. 後 続 す る接 尾 辞 は,北 方 方 言 で は"几"が. 意 を持 つ 上 で 同 義 の 形 態 素 と. 優 勢 で あ る の に 対 し,南 方 方 言. 多 く用 い る傾 向 が 強 い 。 これ は 方 言 に よ っ て"子"の. に起 因 す る。 しか し 中 に は,"子"と"几"の. 異 形)で. 々な表 記 で. 伴 う機 能 に 違 い が あ る こ と. い ず れ も が 併 存 して い る とい っ た ケ ー ス も あ り,. 接 尾 辞 と して の機 能 に,両 者 の 区別 が 全 く見 られ な い と い う方 言 も あ る。 例 え ば 四 川 濾 州(沙 州 市 志p.1305)で や"勢. 几"と. は,"AA兀. い っ た"子"尾. 的"と"AA子""AA子 と"几"尾. 子"の3形. 式 が 分 布 す る。 ま た"式 几". と の 併 合 語 形 や,"鑑"町. 語 形 も分 布 す る こ と か ら,"子"と"几"が. 功]の よ うな"子"尾. の几化. 全 く 同 じ機 能 を 持 つ 形 態 素 と して 認 識 され て い る 方. 言 も あ る こ とが 分 か る。 "AA"に. 後 続 す る"子"尾. と"几"尾. は. ,文 法 上 共 通 の 機 能 を有 す る が,付. う感 情 的 ニ ュ ア ン ス に 両 者 の 違 い が 見 られ る 。"子"尾 ン ス の 付 加 と い う機 能 が あ る。"子"尾. と"几"尾. に は"几"尾. 加 す る際 に伴. に は伴 わ な い 否 定 的 ニ ュ ア. は ともに 「 小 さ い 」 とい っ た 指 小 的 意 味 を 表. す こ とか ら,「愛 ら しい,好 ま し い 」 とい っ た 愛 称 的 意 味 に 転 じ る場 合 が 多 い が,北 方 方 言 で は "几"尾. だ け が 愛 称 的 意 味 に 転 じ る よ うに な り. (王力1958)。. ,"子"尾. 現 在"AA"の. 末 尾 に,北. に は そ の機 能 は 備 わ ら な か っ た と言 う. 方 方 言 で は"几"尾. 漢 語 史 の こ う した 史 実 を裏 付 け る結 果 と も い え よ う。. 一10T. の み が 付 加 され る とい うの は,.

(11) 漢 語 方 言 にお け る重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞 の"子"に 本 研 究 は 、平 成16-18年. つ いて. 度 科 学 研 究 費 基盤 研 究(B)"中 国語 方 言 の 言 語 地理 学 的 研 究 一新 シ ス テ ム に よ る 「 漢. 語 方 言 地 図 」 の 作 成 一"(研 究 代 表 者:岩 タ ・地 図 デ ー タ 蓄 積 シ ス テ ム(PHDシ. 田礼)に お い て 、林 智 氏(金 沢 大 学 文 学 部 大 学 院 生)が 開 発 した 言 語 デ ー. ス テ ム)を 使 用 して い る。. 尚,本 稿 は科 研 会 議(2006年9月16日,於. 京 都 大 学)で. 口頭 発 表 した 内容 を加 筆 修 正 させ た もの で あ る。. 口頭 発 表 時 の タ イ トル は次 の 通 り:「 形 容 詞 接 尾 辞 の"子"(子. 尾)に. つ い て」. 注 1)"L"尾 2)音. に は"几. 化"す. る 語 形 も含 ま れ る。. 声 別 に 分 類 した11の. グ ル ー プ と は,[ts]類,[tg]類,[to司. 類,[1]類,[t]類,[k]類Uノ 3)例. ーr]類を 指 す(拙 論2004)。. え ば 湘 南 方 言 地 域 に 分 布 す る"ロ 即"[tgi]は,現. 接 尾 辞 で,指 言 で は,"釘. 代 漢 語 の"九"や"子"に. 小 的 意 味 を 表 す 。 例 え ば東 安 方 言 で は,"麦 子,嬰. 几"を"釘. 4)刻. 鎗 釜1999《. 5)中. 古 音 の 推 定 音 価 は,王. 6)徐. 慧2001《. 7)こ. こ で は 以 下 の 名 詞:桃. 卿,瑠. 力1958《. 城方. 子,梨 子,柿. の 声 母 は,陰. 従 っ た。. 照。. 子,李 子,桔 子,柚. 単 字 音 は 同著p.52参. 合 は[nz]と な る(・iv.1修 鴻2001〈. 照。. 双i吾史 稿 》 上 珊 科 学 出 版 社p.163に. 益 阻 方 言 研 究 》 湖 南 教 育 出版 社p.53参. 遠 方 言 で は"子"尾. 卿",汝. 湘 南 土 活 洞江 研 究 》中. 客 鞍 方 言 比 較 研 究 》 中 国社 会 科 学 出 版 社pp.678・683参. 照 。"子"の. 相 当す る名 詞. 照)。. の み を対 象 と して 述 べ て い る 。 李 如 尤 ・張 双 庚1992《. 8)平. 子,」 勤L"を"麦. ロ 即,畑 人 卿"と 表 現 す る(...如2004《. 国 社 会 科 学 出 版 社pp.138・139参. pp.239-241参. 類,[s]類,[z]類,[n]類,[n-n]. 子 に お け る"子"に. 相 当 す る語 形. 客 鞍 方 言 凋 査 振 告 》i']大. 学 出版社. 照。. 声 韻 字 と入 声 韻 字 に続 く場 合 は[z],陽 声 韻 字 に 続 く場. 平 逸 客 家 活 的 結 絢 助 洞 〉 《浩 言 研 究 》 第 二 期p.40)。. ここで は. 陰 声 韻 字 と入 声 韻 字 に続 い た 音 形 を 採 用 した 。 9)謝. 株 元2002〈. 梅 具 客 方 言"子"尾. 、cc几"尾 辮 〉 《客 家 方 言 研 究 》 暫 南 大 学 出 版 社p.381. 参 照。 10)福. 州 方 言 で は"式"の. く と[t]にな る(隊. 声 母 は,陰 声 韻 字 に 続 く と田,陽 声 韻 字 に 続 く と[n],入 声 韻 字 に 続. 洋 平1998《. 福 州 方 言 研 究 》 福 建 人 民 出 版 社p.120)。. こ こで は 陰声 韻 字 に続. い た 音 形 を 採 用 した 。 11)安 渓 方 言 で は,"仔"は も"仔"は. 状 語 マ ー カ と して 機 能 す る(安 渓 県 志p.1164)。. 普 通 話 の"几"や"地"に. 相 当 す る 形 態 素 で あ る(李 如 尤2001〈. 一11一. 泉州方言において 園南 方 言 的 錯杓 助.

(12) 近畿 大学 語学教 育部 紀要6巻2号(2006・12) 洞 〉 《浩 吉 研 究 》 第 二 期p.51)。 12)安. 渓 方 言 に お い て も"子"尾. 韻 字 に 続 く と[nmり],入. 声 母 の 同 化 現 象 が 見 られ る 。 陰 声 韻 字 に 続 く と零 声 母,陽. 声 韻 字 に続 く と[ptk]と. 食"の. 例 文 中"□"に. 13)万. 栄 方 言 に つ い て は,昊 建 生1997〈. 14)胡. 光 斌2005〈. 15)益. 陽 方 言 の 例 文 は 徐 慧2001《. な る(蕉 蛤 具 志p.653)。. 当 て られ た 音 形[ne](・n韻. つ い て は,拙. 万 茱 方 言 的cc子"尾. 〉 《活 文 研 究 》第 二 期p.51参. 照。. 照. 益 阻 方 言 浴 法 研 究 》 湖 南 教 育 出 版 社p.227を 論2005に. 漫 慢□. 尾 に 同化 し た 音 形)を 採 用 し た 。. 遵 又 方 吉)L化 的 分 布 与 作 用 〉 《方 言 》 第 一 期p.67参. 方 言 の"AAX"に. 本 稿 で は"嗜. 声. 参 照。 また 当. お い て観 察 済 み で あ る(p.7)。. 参 考文 献 朱 徳 煕1982《. 浩 法排 又 》商 劣 印 出版社. 王 力1958《. 双i吾史 稿 》(参 照 した の は 同 著 の 修 訂 版,中. 拙 論2004「. 中 国 諸 方 言 に お け る 形 容 詞"AAX"に 『近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要 』 第3巻. 2005「. つ い て(1)一"X"の. つ い て(2)一. 資 料:各. そ の文 法 的 特徴 」. 第2号pp.1・21. 2006〈 汲i吾方 言 単 音 形 容 洞 重 登 后 綴 的 地 理 分 布 及 美 型 一 『開 篇 』vol.25好. 以cc子"尾. 力例 〉. 文 出版pp.159・168. 語 形 の 音 形 と漢 字 表 記 及 び 分 布 地 点. こ こ で は 音 声 表 記 の 有 す る語 形 の み 列 挙 して い る。声 調 は調 類 で 示 す 。III皿IVは abは. 形 態 的特 徴 」. 第2号pp.69・82. 中 国 諸 方 言 に お け る 形 容 詞"AAX"に 『近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要 』 第5巻. 隼 需 局,1982). 陰 陽 の別 を 指 す 。0は 軽 声 を 意 味 す る。 尚,調 類 が不 明 な 場 合 は,何. そ れ ぞ れ 平 上 去 入 を指 し,. も記 して い な い 。. 團 [ts1]cc子"山 "仔"江. 西li翻. 沿F日噺 彊 島 芳 庁 夏 昊 忠 根 川1江 西 南 昌 井 図 山 上就 南 康 波 阻 干 都1湖 南1誤. 芳 宝 山 金 山 断 江渚 畳[.t511a]"子"福. [ts1皿]"子"湖. 繭 狂[ts1皿a]"仔"上. [tSU]"子"江. 西 安 高[tsuz]"子"湖. [tse]``子,,江. 西 銅 鼓``恵,,江. 建 武 平"舷" . 海[ts壬. 奈 翁 源[tSIIIa]"子"江. ユ"子"福. 建 永 定[tsi]"子"江. 南 平 江[tsO]u子"江 西 安 近[tSE]"者"湖. [tSeiI・]"仔"湖. 南 資 巣[tSei]cc仔"湖. 南 宜 章[tSail]"子"福. [tsae?IV・]``1則,,江. 弥 丹 限[tsar]cc則,,江. 芳 漂 水``噴,,湖. 一12一. 西三都 鞍具. 西 銅 鼓"卿"湖. 西 宜車[tS211a]u子"福 南 召陶[tsε]``噴"湖. 南平江. 武図 衡阻. 南 安仁. 建 召賦. 南... 建 達 城[tsai]"患"湖. 蘇. 安.

(13) 漢 語 方 言 に お け る重 畳 型 形 容 詞 接 尾 辞 の"子"に. つ いて. 圃 [toi]"子"湖 "口机"湖. 南汝 城"卿"湖 南 衡 山"枳"湖. [t∫ei]"子"  宜 章``叫,,安. 南 奈 安 新 化 灘 日 漣 源u几"湖. 南 茶 陵 醗 陵"杷"漸. 郁 日江[t∫iη]cc"漸. 南 常T今. 江三 「 コ[tgiH]"ロ. 阻1江 西 上 高 葎 多"肌"江. 即"湖. 江 云 和[dpi]"忌"漸. 西 羊 城 安福. 南 湘 多[tgiHa]"枳"江. 江 永 康[tie°]cc口. 西宜 享. 姐"湖. 南 益 阻c`仔"湖. 南. 徽績渓. 園 [tε゜]"仔"湖. 南 桂 奈"得"江. [te]"子"江. 西 綱 鼓[tYI]"子"湖. 西 徳 安`cロ 得"江. 西 安 又 都 昌[tεla]cc端"漸. 南 宇 逸[tY°]"子"江. 江 建 徳[tε. 西修 水[to°]"子"湖. 門u得"湖. 北 阻新. 南 宇 近[t{e?N・]"得". 江芳丹 阻. 國 [s1]``式"江 [φi?]"式"江. 西 上 就cc勢"湖. 北 武 昌 江 西 錯 山[Sllaユ"斯"湖. 西 黎 川[♀iHbユcc是"漸. 江 庚 元[釦cc式"湖. 南 益 阻[s1皿a]"式"湖 北 英 山cc勢"湖. 北 響区州 湖 南a山. 北 虹 安[∫i皿bユLi是" . 奈逢 山. 璽 [ZIHb]"似"漸. 江 温 州[z1]cc子" . 奈 平 逸cc氏"漸. 江 永 嘉 瑞 安[1缶海. 圏 [1i]"・. 仇"江. [lam°]"哩"江. 西 永 修 新 余 南 車 奈 多 蓬 花 安 高"哩"江 西 大 余[le]"例"福. 西 永 新 吉 水 新 余 余 干 南 城[1i?]"仇"江. 建長 汀[1e皿a]"哩"福. 建 長 汀[leilva]"式"福. 西貴渓. 建ネ 酬1. 圃 [na皿]cc仔"福. 建 安 渓[nela]cc口" . 奈焦吟. 一 一;a'. [ki厳H]"仔"福 [alla]ct仔" . 建 永 春[alla]"仔"福 奈 海 羊[ekNa]`c得"福. 建 厨 コ 泉 州[a]"仔"福 建 古 田 福 安[ikIVa]`c得"福. 一13一. 建 普 江[al]"仔"福 建}徳[i?Na]"得"福. 建平和 尤 海 建寿 守 周守 福鼎.

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