原著論文
軟岩斜面の掘削工事におけるリスク
平 岡 伸 隆
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1,吉 川 直 孝
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1 土砂崩壊・落盤による労働災害は斜面掘削工事中によるものが半数を占め,労働安全行政における重要な テーマである.土砂崩壊災害の中でも,岩盤斜面は物性,地質,地質構造が多種多様できわめて複雑な地山を形 成するため,リスクの把握が難しく災害事例も多い.そこで本研究では,岩盤斜面における掘削工事中のリスク について,災害事例の一例を示すことでハザードの特定を行い,リスク低減措置についてまとめた.災害事例か ら,斜面高さ,斜面勾配,地下水,層境界といった特に着目すべきハザードの因子が確認され,これに対処する プロセスとして地盤調査,調査に基づいた設計,点検,情報化施工,無人化施工が挙げられることを示した. キーワード:掘削工事,岩盤斜面,軟岩,ハザード,リスク 1 はじめに 土砂崩壊・落盤等による労働災害の死亡者数は1970 年代の200~300人から比較すると,現在は10~20名と 10分の1以下の水準まで低下している.この背景には建 設投資額の減少による工事数・就業者数の減少などの社 会的な要因や,法整備や意識改革といった労働災害防止 対策の推進の成果といえる.図1に1985~2016年まで の土砂崩壊・落盤等による労働災害の死亡者数の推移を 示す.これは建設業労働災害防止協会(以下,建災防と いう)がまとめる建設業安全衛生年鑑1)の死亡災害デー タを集計したものであり,土砂崩壊等および落盤等によ る災害をまとめ,著者らが災害の状況から「トンネル工 事」,「溝掘削工事」,「斜面掘削工事」に分類したものであ る.これによると近年30年において土砂崩壊・落盤等 による労働災害の死亡者数は1997年と2005年に大きく 低下した変化点が2回確認できる.1997年はバブル崩 壊の影響を受け建設投資額が急落し始めた年であり,工 事数の減少といった社会的要因を受けた可能性が高い. 2005年は建設投資額も建設業就業者数もそれほど低下 した年ではなく,他の要因が考えられる.2004年までと 2005年以降の溝掘削工事中の死亡者数に着目するとそ の数は約半数に減っている.これは2002年3月に厚生 労働省が発出した通達「上下水道工事における土砂崩壊 災害防止対策の推進について」や2003年12月に発出さ れた「土止め先行工法に関するガイドライン」によって, 土止め先行工法が本格的に普及されたことによる影響が 大きいものと考えられる. 一方で,斜面掘削工事においては,死亡者数の推移は 減少傾向にあるが,溝掘削工事中と比べると減少率は 低く,また一度の災害で複数名が被災するような重大災 害の死亡者数が溝掘削工事中に比べ2倍となっており, 大きな社会的インパクトを持っている.このような中, 2015年6月に厚生労働省から斜面掘削工事における土 砂崩壊災害防止対策として「斜面崩壊による労働災害の 防止対策に関するガイドライン」が発出された.斜面掘 削工事では事前調査が不十分な場合や,地質構造の複雑 さから設計図書が実際の地質状況を反映していないこと があり,また,掘削中の斜面は降雨や湧水等により日々 変化することから,労働安全衛生規則第355条では「調 査」,第358条では「点検」を事業者に義務づけている. このガイドラインでは発注者,調査・設計者,施工者が 「設計・施工段階別点検表」,「日常点検表」,「変状時点検 表」の3つの点検表および「異常時対応シート」を用い て斜面崩壊の危険性に関する情報を共有し,当該斜面の 異常が確認された場合には三者で安全性検討関係者会議 を開催し,点検結果に基づいた安全措置やハード対策を 協議する旨をとりまとめている. ここで,設計・施工段階別点検表点検表の点検項目に は,地質等において岩盤の風化や亀裂の点検や,湧水の 有無・濁りの点検があり,軟岩や雨水の影響が考慮され ている.伊藤ら2)は,1989年から1993年の5年間に発 生した土砂崩壊による労働災害の死亡災害事例88件中, 詳細を確認することができた62件について崩壊形態の 傾向を調査しており,地質別分類では「崩壊土・風化表 層土」が全体の45%と最も多く,次いで「固結度は高い が亀裂の多い岩」が13%と報告している.「亀裂の少な い固結度の少ない岩」も全体の5%を占め,「岩」は合わ せて18%を占める.また,崩壊原因の傾向では自然現象原稿受付 2018年1月 5日(Received date: January 5, 2018) 原稿受理 2018年1月30日(Accepted date: January 30, 2018) J-STAGE Advance published date: March 12, 2018
*1 労働安全衛生総合研究所建設安全研究グループ 連絡先:〒204‒0024 東京都清瀬市梅園1‒4‒6 労働安全衛生総合研究所建設安全研究グループ 平岡伸隆 E-mail: [email protected] doi: 10.2486/josh.JOSH-2018-0001-GE 図1 1985害の死亡者数の推移年から2016年までの土砂崩壊・落盤等による労働災 原著論文
による崩壊原因について,降雨・雪によるものが39%, 地下水・湧水によるものが16%であり,不明を除くと 「水」に関連する原因によって崩壊した事例が全体の6 割を占めることを報告している. したがって,軟岩の表層部が風化し土砂化した斜面に 降雨が重なった複合的な要因を持つ斜面においては,統 計的にみて崩壊の危険性が高く,具体的な設計・施工の 本質的な改善または工学的・管理的な対策が必須とな る.しかし,こうした複合的な要因を持つ斜面を想定し た施工現場における対策はこれまでほとんど検討されて いない.特に岩盤斜面は崩壊発生メカニズムが複雑なた め安定性の評価が難しく,自然災害による防災を目的と した評価手法においても課題が残る. そこで,本研究では,実際の岩盤斜面における災害事 例を基に,水を含んだ軟岩斜面の崩壊メカニズムの一例 を把握し,軟岩斜面の掘削工事におけるリスクを明らか にすることを目的とする. 2 軟岩斜面の掘削工事における労働災害事例の概要 1)災害の概要 本論文で取扱う災害事例は治山工事において重機搬入 用の仮設道建設のために地山を掘削していた現場で発生 した災害である.図2に災害発生後の当該現場を三次元 レーザー測量した結果を示す.作業工程は全道において 地山の掘削が終了しており,当該斜面においては植生安 定および落石防止のため,浮石を除去し,金網を張るラ ス張工を予定していた.事故当時は雨が降っていたた め,斜面上でのラス張工ではなく,掘削にあたって使用 した防護壁の撤去作業を行っていたところ,地山が崩壊 し,作業員1名が生き埋めになったものである. 2)崩壊断面 三次元レーザー測量によって得られた崩壊断面に1~ 25断面まで番号を振り図3に示す.この結果,崩壊斜面 の最大高さは14.4 m,最大傾斜角は87°,崩壊幅は15 m であることがわかった.また,三次元レーザー測量と設 計図面の差分の結果から推定した崩壊土量は約160 m3 であった.特に崩壊断面の大きい断面18の断面図と設 計断面を図4に示す.崩壊斜面付近は19年前に吹付け コンクリートが施工されており,本工事ではその一部を 斫り撤去している.掘削面は73.5°勾配(1 : 0.3勾配)で 計画されており,断面18における設計掘削面の高さは 5.84 m,崩壊斜面高さは11.56 mであった. 3)地山の物性と地質,地質構造 当該現場の地質構造は砂岩と泥岩の互層であり,崩積 土からは泥質砂岩と頁岩が採取された(図5).崩壊斜面 以外の掘削面に露出した地山において,手で簡単に剥離 図2 三次元レーザー測量結果 図3 崩壊断面1~25 図4 設計断面と崩壊断面18 図5 採取した岩石(上:頁岩,下:泥質砂岩) 「労働安全衛生研究」
できるほど節理が発達しており,脆弱な軟岩と推定され る.なお,頁岩はもともとせん断強さが小さいため,切 土による応力解放,その後の乾燥湿潤や凍結融解の繰返 し作用等の環境要因の影響を受け急速に風化するため, 崩壊を発生することが多いとされている3).さらに,流 れ盤構造を呈しており,当該現場では本災害時の崩壊を 含め,3度の崩壊していたことからも,当該斜面の安定 性が極めて低いことが推察される. 4)降雨履歴 当該地点より約3 km離れた気象観測所の気象データ から,当日は最大時間雨量9.5 mm/h,連続雨量45 mm のまとまった降雨が観測されている.当該斜面では常時 の湧水は確認されていないものの,災害当日には降雨が 観測されており,雨水浸透による強度低下が崩壊の誘因 となったものと考えられる. 3 一面せん断試験による地盤強度の推定 本災害では崩壊前の地質構造が不明瞭である.周辺の 現場環境から,風化表層土と軟岩で構成された地山で あったことがうかがえ,崩壊面に軟岩が露出しているこ とから,表層と軟岩層の境界もしくは軟岩層層内でのす べりが考えられる.本件の崩壊メカニズムを把握するた めに,それぞれの層および境界における地盤強度を室内 実験によって把握することにした. 災害現場の崩積土から採取した土砂および岩石を用 いて,土砂・岩石の物性を算出する.採取した試料は, 土砂と岩石が混在しているため,75 mmふるいにかけ, 通過試料を土砂とした(図6,図7).試験項目は粒径が 75 mm以下の土砂に対して含水比試験(JIS A 1203),土 粒子密度試験(JIS A 1202),最大・最小密度試験(JIS A 1224),粒度試験(JIS A 1204),土砂と岩石の両方に 対して定圧一面せん断試験(JGS 0561他)を実施した. なお,土粒子密度試験,最小・最大密度試験にはさらに 2 mmふるいにかけ通過試料を使用した. 土砂に対して行った土質試験結果を表1,粒度試験か ら得られた粒径加積曲線を図8に示す.75 mm通過試料 を土砂と定義した場合,礫分が約80%を占め,細粒分砂 まじり礫に分類された. 続いて,一面せん断試験によって崩壊土砂および岩石 の各層における土の強度(「みかけの粘着力c(kN/m2)」 及び「内部摩擦角ϕ(deg)」)を求めた.試験は「土砂と 土砂」,「土砂と岩石」,「岩石と岩石」に対して実施し,土 砂層,岩石層,層境における強度に着目した.また,そ れぞれの試験において,乾燥状態,湿潤状態,飽和状態 を再現し含水状態の変化による強度の違いについて検証 した.図9,図10に一面せん断試験機および各条件のせ ん断後の供試体写真を示す. 「土砂と土砂」は地盤工学会基準「土の圧密定圧一面 せん断試験方法(JGS 0561-2009)」4)に準拠し,「岩石と 岩石」は地盤工学会基準「岩盤不連続面の一面せん断試 験方法(JGS2541-2008)」5)に準拠して実施した.「土砂 と岩石」のせん断試験は,上盤を土砂とし,下盤の直径 5 cmの岩石と直径6 cmの容器の間に土砂を間詰めした 「土砂と岩石1」,これとは逆に上盤を岩石,下盤を土砂 とし,上盤の容器と岩石の間は石膏で固め,せん断面は 岩石のみとなるように石膏の厚みを調整した「土砂と岩 図6 採取試料 図7 土砂の粒度試験 図8 土砂の粒径加積曲線 図9 一面せん断試験機
石2」を実施した(図11).また,土砂の密度は相対密度 Dr=90%とした. 土砂および岩石の乾燥状態は炉乾燥による絶乾状態か ら常温に戻るまで放置した気乾状態とした.土砂の湿潤 状態は飽和度が約50%になるように調整し,岩石の湿潤 状態は供試体を24時間水浸させ,水中から取り出した. 土砂および岩石の飽和状態は,せん断箱の中を水で満た し,水中でせん断試験を実施した. 表2に一面せん断試験の概要,表3に各条件での圧密 圧力ごとのせん断強さをまとめる.図12に定圧一面せ ん断試験から得られた各条件の強度定数である粘着力cd および内部摩擦角ϕdをまとめる. 「土砂と土砂」,「土砂と岩石」,「岩石と岩石」のいずれ においても気乾から湿潤までは強度が増加し,さらに飽 和に近くなると強度が低下する傾向が確認された.湿潤 状態の「土砂と土砂」での一面せん断試験結果が最も強 い強度を示し,気乾状態の「土砂と岩石2」での結果が最 も低い強度を示した.本試験で得られた地盤強度定数に ついて,次章の解析結果を基に考察する.なお,「土砂と 表1 採取した土砂の土質試験結果 図11 土砂と岩石の一面せん断試験の概略図 表2 一面せん断試験の概要 図10 各条件での一面せん断の状況 「労働安全衛生研究」
岩石1」について,「土砂と岩石2」より大きい強度が得 られたが,下箱の岩石の周面に挿入した土砂との摩擦の 影響が考えられる. 4 修正フェレニウス法を用いた地盤強度推定 1)切土工における斜面安定計算について のり面工事の施工計画時または施工中に想定と異なる 事項が生じた場合,斜面が安全か否かを判断するために 斜面安定解析によって安全率を算出して評価することが ある.一般に切土対象となる地山は地質的不連続面や風 化・変質部を含むため,極めて複雑で不均一な構成と なり,有意な安定計算ができないとされている6).した がって,設計においては,道路土工切土工・斜面安定工 指針等に示される基準値を参考に,調査結果及び用地条 件等を総合的に判断してのり面勾配を決定する経験工学 的な設計が行われることが多い.また,上記の理由によ り,切土のり面の設計のための安定計算は地すべり地や 崩壊跡地等における切土を除いて一般に行わないが,施 工中あるいは工事完了後に変状の生じたのり面の復旧対 策工の設計の検討に用いることがある7). 本論文では,当該災害発生斜面がどの程度危険な状態 であったのか,また一面せん断試験で得られた強度定数 を参考値とした場合,崩壊に至る地盤強度を推定するこ とで,どの層からの崩壊であったのか検証するため,斜 面安定解析手法を用いた逆解析を実施した. 2)修正フェレニウス法 斜面安定解析手法には,簡易なものから高度な解析手 法まで様々な手法が存在する.実務においては計算の簡 便さから,すべり面を仮定してモールクーロンの破壊基 表3 各条件におけるせん断強さの結果 図12 垂直応力とせん断応力の関係と地盤強度
準を基に応力の極限平衡により安定性を計算する二次元 極限平衡法を用いることがほとんどである.二次元極限 平衡法は,直線すべり法,フェレニウス法,修正フェレ ニウス法,ビショップ法,ヤンブ法,スペンサー法,モ ルゲンステルン・プライス法など様々な手法がある.こ のうち日本の多くの斜面設計基準で採用されている「修 正フェレニウス法」を用いて逆解析を行う. 修正フェレニウス法の基となるフェレニウス法は 1927年にフェレニウスによって提案された斜面安定解 析手法である.斜面に対して円弧状のすべり面を仮定し て,すべり面上に作用する抵抗力と滑動力から安全率を 次式のように求める. = Fs 想定すべり面での抵抗力 想定すべり面での滑動力 (1)
したがって,安全率が1以上であれば,斜面は安定して おり,1未満の場合は崩壊する.厳密には仮定や計算に 誤差が存在するため,設計等で用いる場合は安全率が 1.2や1.3以上になるように設計する. 修正フェレニウス法の分割方法の模式図を図13に示 す.各スライス断面で分割し,それぞれの滑動力およ び抵抗力を算出し,それらの和によって安全率を算出す る.以下に導出式をまとめる. ⋅ − ⋅ ⋅ ⋅
φ +( )cos tan = { } sin c l W u b α Fs W α (2)ここに,Fs:安全率,c:粘着力(kN/m2),ϕ:せん断抵 抗角(内部摩擦角)(deg),l:スライスで切られたすべ り面の長さ(m),W:スライスの全重量(kN),u:間隙 水圧(kN/m2),b:スライスの幅(m),α:スライス円 弧中点から円の中心を結ぶ線と鉛直線のなす角(deg). 通常の順解析では,地質調査によって入力パラメータ となる地盤定数「粘着力c」と「内部摩擦角ϕ」を求め, 円弧の半径及び円の中心座標を変えることで,様々な想 定滑り面で安全率を計算し,その中で最も小さい安全率 を対象斜面の安全率とする.本事例では,既に災害が発 生しており,すべり面が確定できるため,そのすべり面 で崩壊を起こす(安全率Fsが1未満となる)地盤強度定 数の組み合わせを逆算する逆解析を行う. 3)解析断面図と解析条件 解析断面は,施工計画書より崩壊前の断面がわかって おり,さらに崩壊土量の多い断面として断面18を用い る.修正フェレニウス法は崩壊すべり面が円弧状となる ので,三次元レーザー測量から得られた崩壊断面から, もっとも近い円弧を選定した.結果を図14に示す.図 中の赤色のプロットが参考とした崩壊断面であり,特に 崩積土の影響が少ないと思われる上半分と円弧の重なり を重視し,緑色のプロットの円弧を得た. 修正フェレニウス法を始めとした分割法における斜面 の分割方法として,等幅分割と,等中心角分割が挙げ られるが(図15),より精度の高いとされる等中心角分 割を採用し8),100分割した.解析は水位がない場合と, 地表まで水位が上昇していた場合の2ケースについて実 施した.解析に用いたパラメータを表4に示す.解析上 の土の密度は,土砂の一面せん断試験時と同条件を想定 し,間隙水圧を考慮しない場合は,相対密度90%,乾燥 密度1.383 g/cm3,湿潤密度1.609 g/cm3,含水比16.3%, 飽和度46.3%とした.間隙水圧を考慮した場合は,最も 危険側となる地表面まで水位があることを想定し,相対 密度90%,乾燥密度1.383 g/cm3,湿潤密度1.869 g/cm3, 含水比35.3%,飽和度100%とした. 4)解析結果 ケース1の解析結果を図16に示す.粘着力cと内部 図13 修正フェレニウス法の概略図 図14 解析断面図 図15 修正フェレニウス法の分割方法 「労働安全衛生研究」
摩擦角ϕの組み合わせに応じた安全率曲面が示されてい る.これを上から見た投影図に安全率の等値線を引いた グラフを図17に示す.さらに,一面せん断試験で得ら れたそれぞれの粘着力cと内部摩擦角ϕをプロットした. 一面せん断試験の試験条件において,「土砂と土砂」は土 砂層内,「土砂と岩石」は土砂層と岩石層の層境界,「岩 石と岩石」は岩石節理における崩壊を意味する.投影図 中,安全率1を示す等値線を下回る粘着力cと内部摩擦 角ϕの組み合わせは,想定すべり面で崩壊が発生するこ とになる. 安全率1を上回ったプロットは土砂と土砂(気乾),土 砂と岩石1(湿潤),土砂と岩石2(湿潤),土砂と土砂 (湿潤)で,その他は1を下回る結果となった.ケース1 の解析は水位がないため,土塊の自重増加や間隙水圧に よる抵抗力のマイナス項がなく安全率を実際よりも過大 評価する可能性がある.「土砂と土砂」および「土砂と岩 石」での地盤強度結果は,気乾から湿潤にかけて強度が 高くなり,湿潤から飽和にかけて強度が低くなるという 結果であることがわかる.また「岩石と岩石」では水分 状態にそれほど依存しないことが確認できる.崩壊時に 現場に雨が降っていたことを加味すると,湿潤から飽和 への強度低下によって崩壊した可能性が高い.また,岩 石と岩石に対して実施した一面せん断試験は,成形後の 分離した岩石を使用したため,風化した岩石を必ずしも 正確に表現できていない可能性があり,岩石と岩石の間 の形状摩擦や,土の固着を考慮すると,みかけの粘着力 が得られた結果より高い可能性がある.なお,土砂と土 砂(湿潤)以外はすべて安全率1.2を下回り,一般的な 安全基準(1.2~1.3)を満たしていない.これにより当 該斜面は極めて危険な状態であったことがうかがえる. 次にケース2の解析結果を図18に示す.本ケースも 同様に,得られた安全率曲面の投影図に等値線を引き, 各条件の一面せん断試験結果をプロットした(図19). ケース2は,斜面が最も危険な状態を想定するため,現 実的ではないが地表面高さを地下水位としている.結 果は土砂と土砂(湿潤)以外のプロットが安全率1を下 回った.ケース2の等値線とケース1の等値線を比較す ると,ケース2は安全率が大きく低下しており,また等 値線が立ち上がっていることから,水位がない場合と比 較すると粘着力の影響が支配的になることがわかった. 本災害では,降雨浸透によって土の含水量が上昇し, 地盤強度の低下や間隙水圧による作用で,滑りに抵抗す る力が弱くなり,土塊自重の増加によって滑動力が増加 し崩壊したものと思われる.また,土砂層内,土砂と岩 石の境界,岩石層内のいずれの層でも安全率が1を下回 表4 解析条件 図16 ケース1における粘着力と内部摩擦角から求まる安全率 図17 ケース1における安全率の等値線と一面せん断試験結果 図18 ケース2における粘着力と内部摩擦角から求まる安全率 図19 ケース2における安全率と一面せん断試験結果の関係
り,崩壊が発生する可能性がある結果となったが,なか でも相対的に強度が最も低い「土砂と岩石」の境界から 崩壊した可能性が高い.土砂単体よりも,土砂と岩石の 層境界のせん断強度の方が低くなる結果は,山本ら9)が 実施した,まさ土単体とまさ土と花崗岩におけるせん断 強度試験において,まさ土単体に比べ,まさ土と花崗岩 における強度の方が低くなるという研究結果とも一致す る. 以上より,軟岩斜面において風化した表層と軟岩の境 界において斜面崩壊が発生した可能性が高く,その原因 として,「斜面勾配」,「斜面高さ」,「雨水」が挙げられ た.また,層境界が弱部になるため,地質構造が極めて 重要であり,斜面表層に平行な層をもつ「流れ盤」では, 特に危険と思われる. 5 岩盤斜面の掘削工事におけるリスク 1)岩盤斜面掘削工事における災害の統計 本章では,岩石斜面の掘削工事におけるリスクについ てまとめ,対策の概念を示す.1989年から2008年の土 砂崩壊・落盤等による死亡災害802件のうち,斜面工事 において斜面高さ,斜面勾配が判明した132件に対して 分析を行った.地質が「岩」に分類された42件の災害事 例の斜面勾配と斜面高さの関係を図20に示す.ここに, 安衛則356条の「岩盤又は堅い粘土からなる地山」の手 掘りによる地山の掘削基準を線で表す.図20に示した 死亡災害事例は手堀り,機械堀りの判別はしていない点 に留意する必要があるが,これに示す基準内での災害発 生件数が32件と全体の76%を占める結果となった.当 然,工法的な要因や施工手順の間違いなどによって発生 した災害もあるが,基準内にも係わらず被災した事例に は,適切な地盤調査や点検によって防げる災害が包含さ れていると推察する.安衛則356条では,手堀りによる 地山掘削における岩盤斜面の取扱は,「岩盤」との記載に 留まり,硬岩と軟岩の明確な区分はない.地盤の強度や 地質,地形を正確に把握することが重要であろう. 2)リスクアセスメントの概念 平成11年厚生労働省告示において「労働安全衛生マ ネジメントシステムに関する指針」が示され,平成18年 4月1日施行の労働安全衛生法において,労働安全衛生 関係法令に規定される最低基準としての危害防止基準を 遵守するだけでなく,「リスクアセスメント」が事業者の 努力義務として規定された.リスクアセスメントとは, 事業場にある危険性や有害性の特定,リスクの見積り, 優先度の設定,リスク低減措置の決定の一連の手順をい い,事業者は,その結果に基づいて適切な労働災害防止 対策を講じる必要がある.ここでいうリスクとは,人と ハザード(危険性または有害性)が同じ領域にある場合 に生じるものであり,リスクを低減するには,ハザード を無力化するか,人を近づけないというのが安全の基本 的な考え方である.リスク低減措置の優先順位は以下の ように示されている10). 1.設計や計画の段階における措置(本質改善) 2.工学的措置(ハード対策) 3.管理的措置(ソフト対策) 4.個人用保護具の使用 岩盤斜面掘削工事においても,当該リスク低減措置の 優先順位に従って実施するのが望ましい.ここでは,岩 盤斜面掘削工事におけるハザードの特定と対策について まとめる. 3)岩盤斜面掘削工事におけるハザードの特定と対策 岩盤斜面の崩壊原因は,地山の物性と地質,地質構造 の不連続性(層理,節理,片理,断層等)といった素因 と,掘削による地形の変化,発破振動による変状,応力 解放による変状,地山の露出等による風化,地下水また は地表水の浸透による強度低下,地震による外力といっ た誘因がある11).掘削工事において「崩壊し得る地山」 がハザードとなり,そのハザードの因子として,斜面形 状(高さ,勾配),固結度の低さ,亀裂,岩石の風化し やすさ,降雨による浸透水や地下水がある.したがっ て,これらハザードを調査・設計時や施工中に的確に把 握し,リスク低減措置を施すことが重要である. 岩盤斜面の掘削工事にあたっては,以下のプロセスが ハザードの特定やリスク低減措置の決定として重要であ り,それぞれについて現状をまとめる. ・地盤調査 ・調査に基づいた設計 ・ガイドラインに沿った点検 ・情報化施工 ・無人化施工 (1)地盤調査 岩盤斜面の調査では,崩壊の素因とな る地山の物性と地質,地質構造の不連続性(層理,節理, 片理,断層等)や亀裂,湧水などを把握することが望ま しい.岩盤の調査・試験は地盤工学会が定める地盤調査 の方法12)や種々の文献13‒15)が参考となる. また,本稿の災害事例で実施したような,不連続面で のせん断強度を基にした安定性評価手法について,地盤 工学会では室内実験によるせん断試験方法が基準化され ている5).ただし室内試験であり,試料は不連続面で完 全に分離できるものに限られる.また,山本ら9)は現場 にてせん断試験を実施する簡易現場せん断試験機を開発 している.これは周辺部の土を排除して残した土塊を一 図20 岩盤斜面で発生した死亡災害の斜面高さと勾配の関係 「労働安全衛生研究」
面せん断するものであり,実際の不連続面でのせん断と なる.小松らは16, 17),成形困難な軟岩の層理面を対象と して簡易原位置せん断試験方法を提案し,室内試験結果 と比較して実用上の精度を確認している.また,野口 ら18)は鉄道沿線斜面において,現場踏査によって得られ る情報から数量化解析を用いた安定評価手法を提案して いる.これら新たな調査手法や評価手法を検討し,より 正確な調査を進めていく必要がある. (2)調査に基づいた設計 調査を踏まえ安全を考慮し た設計が必要となる.具体的には,調査で得られた情報 を基に安定解析を実施する.安定解析手法には,本稿で も実施した簡易な計算方法によって斜面のすべりに対す る安定性を評価する極限平衡解析と,詳細に変形挙動や 破壊現象を追従できる有限要素法をはじめとした数値解 析がある. しかし現実には,限られた予算内では解析に必要な強 度を試験から求めるような調査が実施できないケースも 認められ,その場合は経験工学的な手法,すなわち各種 の基準に頼るところが大きい.特に地形的な要素である 「斜面勾配」と「斜面高さ」は斜面工事において目的に応 じた様々な基準が用いられている.国内の各機関で用い られている掘削勾配および高さの規制および設計基準を 表5に示す.本設を想定した基準がほとんどであり,土 砂と岩盤斜面を分けて規定した記述が多い.仮設(施工 中)について検討されているものにおいては「労働安全 衛生規則を満足しなければならない」旨の記載があるこ とが多く,安衛則第356条,第357条はどの条件におい ても最低条件として存在しており,事実上,労働安全衛 生規則が最低限遵守すべき基準であることがわかる.経 験工学的な設計をする場合には,調査結果に基いて施工 時においても十分に安全な斜面勾配や斜面高さで設計す る必要がある. (3)点検 「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関 するガイドライン」のとおり,「設計・施工段階別点検 表」,「日常点検表」,「変状時点検表」の3つの点検表およ び「異常時対応シート」を用いて,各段階における点検 を実施する必要がある.これらの斜面崩壊の危険性に関 する情報は発注者,調査・設計者,施工者が共有し,当 該斜面の異常が確認された場合には三者で安全性検討関 係者会議を開催し,点検結果に基づいた安全措置やハー ド対策を協議することが重要である. (4)情報化施工 地盤工学分野では不確実性の高い自 然地盤を相手にすることから,力学的手法の限界が認識 されており,モニタリングによって斜面動態を確認しな がら安全を見極め施工することが望ましい.この考え方 は古くは1969年にTerzaghi & Peck20)によって“
Obser-vational Procedure”として指摘されている.その後,「観 測施工」の考え方が日本にも広まり,1970年代には本格 的に導入され,「計測施工」,「情報化施工」と呼ばれ,安 定性と安全性に加えて合理性・経済性にも着目され,今 表5 国内の各機関で用いられる掘削勾配と高さの規定および基準(豊澤ら19)に加筆)
日の現場情報をフィードバックして設計変更を行う現在 のスタイルの情報化施工へと発展してきた21). また,2016年に国土交通省が打ち出した i-Construc-tion22)によってICT技術の積極的な活用が推奨されてい る.これまでの施工段階のみの情報化施工だけではな く,測量,設計・施工計画の策定,施工,検査,維持管 理の全ての工程においてICTの導入による土工全体の 効率化,省人化,これによる生産性の向上をはかること を目指している.当然,ICT技術の導入によって生産性 の向上だけではなく,安全性の向上も図られるものと期 待され23),これらを活用することで,リスク低減措置を 図れるものと考える. なお,著者ら24)は斜面動態モニタリングについて,情 報化施工における地盤技術者の設計・工法判断材料のほ か,急激な変状が認められたときの作業者の退避基準に も活用できることをまとめている. (5)無人化施工 リスク低減措置として,ハザード から人を遠ざけるという方法がある.つまり,施工現 場において斜面付近での作業を無人化施工によって実 施することで,リスクをなくすものであり,本質改善に あたる.無人化施工は1969年の富山県常願寺川の橋脚 復旧工事で使用された有線のリモコン式水陸両用ブル ドーザの投入が始まりとされており,無線化されたもの は1983年の遠隔操作型ドラグ・ショベルによる崩壊の 危険性が高い地山の掘削が始まりとされている.これら は人が視認できる近さに立ち,リモコンで操作するもの であったが,1970年から1980年代には映像におよる建 設機械の遠隔操作が開発され,実用化された25).さらに 1993年には1990年に発生した雲仙普賢岳の火山活動の 災害復旧工事のため,無人化施工の試験フィールド事業 が実施され,20年以上にわたり技術開発の結果,無人 化施工は実用的な工法として確立され,全国の災害復旧 工事や砂防工事へ展開が図られた.また,2016年に発 生した熊本地震により阿蘇大橋地区で発生した大規模斜 面崩壊の復旧工事では無人化施工を採用し,先に述べた i-Constructionによって三次元地形モデルを基盤とした 取り組みを実施している26). 斜面工事にあたっては,平成21年から22年に独立行 政法人労働安全衛生総合研究所が「斜面崩壊による労働 災害の防止対策に関する調査研究会」を開催しており, その報告27)の中で,無人ドラグ・ショベルによる掘削 や,吊りカゴ枠の設置,大型ブロック積み擁壁の施工技 術等がハード対策と挙げられることを示している.これ らはコストが高いというデメリットがあるが,安全性が 非常に高く,危険な現場や大規模な復旧工事では積極的 に活用されたい. 6 まとめ 本論文では岩盤斜面,特に軟岩斜面での掘削工事にお ける安全性の検討のため,実際の災害事例を基にハザー ドを特定し,さらにリスク低減措置についてまとめた. 以下に,本研究で得られた知見をまとめる. ・災害事例より,各層に着目した一面せん断試験と修正 フェレニウス法による斜面安定解析によって土砂と岩 石の境界が最も強度が弱く,層境界面で滑りやすいこ とがわかった.また本件で崩壊の原因となったのは, 掘削斜面が高かったこと,掘削斜面が急勾配であった こと,雨水の浸透による強度低下であり,設計時には これらに注意する必要があることがわかった. ・岩盤斜面で発生した労働災害による死亡災害の斜面高 さと勾配の関係を分析した結果,76%が安衛則356条 の基準内で発生していることがわかった.安衛則356 条は手掘り掘削時の基準ではあるが,正確なリスク低 減措置が求められることがわかった. ・岩盤斜面の掘削工事における崩壊災害のハザードは 「崩壊し得る地山」であり,そのハザードの因子とし て,斜面形状(高さ,勾配),固結度の低さ,亀裂,岩石 の風化しやすさ,降雨による浸透水や地下水がある. したがって,ハザードの特定やリスク低減措置として 地盤調査,その調査に基づいた設計,「斜面崩壊による 労働災害の防止対策に関するガイドライン」にそった 点検,情報化施工,無人化施工の活用といったプロセ スが挙げられる. 文 献 1) 例えば建設業労働災害防止協会.平成29年版建設業労働 安全衛生年鑑.2017; 178. 2) 伊藤和也,豊澤康男,井澤淳,高橋章浩,竹村次朗,日下 部治.斜面崩壊による労働災害の崩壊形態・原因の傾向お よび対策について.土木学会年次学術講演会講演概要集. 2010; 65: 69‒70. 3) 社団法人日本道路協会.道路土工切土工・斜面安定工指針 (平成21年度版).2009; 140. 4) 地盤工学会.地盤材料試験の方法と解説.土の圧密定圧一 面せん断試験方法.2009; 666‒699. 5) 地盤工学会.地盤材料試験の方法と解説.岩盤不連続面の 一面せん断試験方法.2009; 912‒944. 6) 日本道路協会.道路土工切土工・斜面安定工指針(平成 21年度版).2009; 135. 7) 日本道路協会.道路土工切土工・斜面安定工指針(平成 21年度版).2009; 153. 8) 地盤工学会.斜面の安定・変形解析入門̶基礎から実例ま で̶.2006; 318. 9) 山本哲朗,鈴木素之,寺山崇,原田博.斜面崩壊の素因と なる不連続面のせん断強度の評価方法.土と基礎.2001; 49‒7: 7‒9. 10) 建設業労働災害防止協会.建設業労働安全衛生マネジメン トシステムガイドラインの解説.2006; 90. 11) 公益社団法人土木学会. 岩盤斜面の安定解析と計測. 1994; 8‒14. 12) 地盤工学会.地盤調査の方法と解説.2009; 1223. 13) 土木学会.岩盤斜面の安定解析と計測.1994; 345. 14) 土木学会.岩盤斜面の調査と対策.1999; 370. 15) 日本道路協会. 道路土工 切土工・斜面安定工指針. 「労働安全衛生研究」
2009; 43‒86. 16) 小松順一,村岡洋,阿部真郎,三田地利之.軟岩切土法面 における岩盤崩壊の地質的素因と不連続面のせん断強度. 地すべり学会誌.2005; 41‒6: 39‒49. 17) 小松順一,及川洋,村岡洋,和賀征樹,佐藤直行,阿部真 郎.軟岩不連続面のせん断強さの測定を目的とした一面せ ん断試験機の試作と測定結果.地盤工学ジャーナル.2010; 6‒2: 351‒360. 18) 野口達雄,岡田勝也,杉山友康,木谷日出男,土田泰弘. 鉄道沿線の軟岩斜面の安定性評価手法.土木学会論文集. 2003; 149‒158. 19) 豊澤康男,伊藤和也.切土掘削工事現場における斜面崩壊 による労働災害の防止対策について.労働安全衛生総合研 究所特別報告.2007; 35: 141‒149.
20) Terzaghi K, Peck RB. Soil Mechanics in Engineering Prac-tice, John Willy & Sons, Inc. 1969.
21) 土木学会.岩盤斜面の安定解析と計測.1994; 17‒18. 22) 国土交通省.i-Construction~建設現場の生産性革命~. i-Construction委員会報告書.2016. 23) 建山和由.建設技術の新たなステージ~i-Construction~. 地盤工学会誌.2018; 66‒1: 3‒7. 24) 平岡伸隆,吉川直孝,伊藤和也,笹原克夫.斜面掘削中の 動態モニタリングによる退避判定の検討.土木学会論文集C (地圏工学).2017; 73‒4. 355‒367. 25) 古澤正紀.無人化施工に見る技術開発の歴史~情報化施工 技術・ICTの先駆けとなった各種の取り組み~.NETISプ ラス.2011; 2: 16‒23. 26) 中出剛,北原成郎,光武孝弘,野村真一.無人化施工技 術を核としたi-Constructionによる緊急災害対応̶阿蘇大 橋地区斜面防災対策工事̶.地盤工学会誌. 2018; 66‒1: 20‒23. 27) 独立行政法人労働安全衛生総合研究所.斜面崩壊による 労働災害の防止対策に関する調査研究会報告書.2010; 32‒42.
Risks during excavation work on soft rock slope
by
Nobutaka Hiraoka*
1and Naotaka Kikkawa*
1Labor accidents due to slope failure and rock fall are topics of high concern in occupational safety governance; such accidents usually occur during excavation works carried out on slopes. Excavation works on rock slopes are diffi-cult and hazardous because the slopes have varying geological and physical properties, different types of stratification, and a complex geometry. Therefore, many accidents occur during such excavation works on rock slopes.
In this study, we present a case history of a real-life labor accident due to slope failure on soft rock. We then extract the hazards and risks from the example and suggest preventive measures against the risks involved. The height of the slope, slope angle, ground water level inside the slope, and the boundary between the strata of the slope were consid-ered especially as factors of hazards. For proposing preventive measures against accidents, we must consider carrying out a ground survey, create a design for excavation based on the survey, conduct inspection of the slope, and follow the observational procedure in construction project.
Key Words: excavation work, slope, soft rock, hazard, risk
*1 Construction Safety Research Group, National Institute of Occupational Safety and Health, Japan