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真のインタラクティブAIへの忘れていた熱い思い

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Academic year: 2021

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559 人 工 知 能  30 巻 5 号(2015 年 9 月) 当時の指導教員であった安西祐一郎先生のご指導のもと,学部生時代から縁あって人とインタラクションする知能 ロボットの研究を行ってきた.1990 年代前半当時に人の命令に従って動くロボットは存在していたが,人とロボット のインタラクション自体に注目して研究をしたのは世界的に見ても草分け的な取組みだったと思われる.そのような プロジェクトの中で当時筆者は,センサ情報から得られる状況に応じて人の発話を解釈するロボットの研究を行った. 以来,人がいて,人の目の前に機械があり,人と機械の双方の間に共有された環境(状況)が存在する場面を題材に 研究を行ってきた.人工知能システムでこの三つの要素の間のインタラクションを成立させるにはさまざまな問題を 解決する必要がある.特に人を機械とインタラクションする気にさせることは,やってみると難しく,いまだに未解 決の重要な技術課題である.インタラクションを成立させることは,昨今の人工知能ブームで沸き立っている技術を 単純に並べるだけではどうも解決できないと思われる.真のインタラクティブな人工知能の実現は,今後も継続的に 研究すべき課題の一つだと考えるのでここで紹介したいと思う. インタラクションとは何か? ルーシー・A.サッチマンは,すべてがうまくいくように事前にお膳立てされたやり 取りは,バッチ処理であって,インタラクションではないと述べている.やり取りの間に齟齬が起きる可能性が常に あり,齟齬が起きないように常にお互いが調整し合い,また,齟齬が起きた場合にも修復できることが前提となって いるやり取りが真の意味でのインタラクションである.例えば,状況に応じて常に動的に変化する相手の興味対象を モニタし,相手の興味対象をシステムが注視していることを人にわからせ,興味対象が異なっていたことを察知した 際には,今までの会話内容自体を修正する能力が知能ロボットには必要となる.また,興味対象のモニタや,注視行 動の視覚化,インタラクションの齟齬の修正は,実時間で行う必要があり,非常に早いレスポンスで人工知能システ ムが問題解決しなければならない.しかしながら,知能ロボットの研究を例にとると,機械学習・音声対話・環境認識・ タスクプラニングなど各タスクに関する機能の開発に注力され,人とのインタラクション自体は,固定的なターンテ イキングを基本としたバッチ処理である.特に,そのやり取りは,スイカ割りをするために目隠しした人とのものに 近い.スイカ割りでは,相手に指示が通るには通るが,相手も同じ環境に注目している気がしない.多くの知能ロボッ トとのやり取りも,命令はロボットに通じ,ロボットはその命令を実行してくれるが,同じ環境を共有してやり取り している感覚が希薄である.さまざまな知能ロボットや知能システムのデモンストレーションやビデオを見るたびに, スイカ割りのインタラクションに通じる違和感を筆者は常にもっていた.しかし,2006 年頃から多くの人が人とロボッ トのインタラクションの研究をするようになり,あまりにも多くのスイカ割り的な研究事例を見る中で筆者自身もこ の違和感を問題視することを忘れてしまっていたように思う. 1980年代から 90 年代前半にかけて人とインタラクションできる機械をつくることは,人工知能分野およびヒュー マンコンピュータインタラクション分野双方の大きな目標だった.この二つの研究分野はこの大目標に対して異なる アプローチを取ったように思われる.人工知能分野は,状況に依存して創発的に行動するエージェントの研究を行い, 真に人とインタラクションできる知能システムの開発に舵を取った.一方,ヒューマンコンピュータインタラクショ ン分野の方は,機械の使用場面(状況やタスク)に応じて,機械の内部状態や入力形式を人にとってわかりやすいも のにすることで解決しようとした.しかしながら,1990 年代中頃から後半にかけての Web の登場によって人工知能 分野は,創発型のエージェント研究よりも,大量なデータからの機械学習やデータからの知識獲得といった方向にシフ トした.一方,ヒューマンコンピュータインタラクション分野は,人にとってわかりやすい入出力をもつ機械の実現 という方向を極めていった.真のインタラクションを実現する知能システムに関する研究は,現時点で手薄になって いる感が強い. センサから人の行動や人の態度を認識する技術や,小型のセンサやアクチュエータを用いたロボットの技術は,現在, 1990年代と比較にならないほど進んでいる.当然のことながら,ディープラーニングをはじめとする機械学習の技術 も進み,人手をかけずに精度の良い知識モデルを構築することも可能になりつつある.ここで誌面をお借りして言い たいのは,最新の技術を用いて,真のインタラクティブな知能システムの構築に再度チャレンジすべきだということ である.現時点の人工知能ブームで可能になっている技術の応用だけに留まらずに,真のインタラクィブシステムを 構築するためにはどのような問題意識をもって研究に挑むべきなのかを考え,次の時代の目標に据えるべきである.

真のインタラクティブ AI への

忘れていた熱い思い

今井 倫太

(慶應義塾大学)

巻頭言

参照

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