学と産の連携による基盤ソフトウェアの先進的開発:e-Society基盤ソフトウェアの総合開発プロジェクトの生い立ち
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(2) 特集. 学. と. 産. の連携による基盤ソフトウェアの先進的開発. については,桑原洋議員(当時, (株)日立製作所取締. た.そこで, 「社会基盤ソフトウェア」に関する構想を,. 役副会長)を中心に, 白川英樹議員(筑波大学名誉教授,. このリーディング・プロジェクトの 1 つとして位置づけ,. ノーベル賞受賞者)も担当されていた.. 最終的に平成 14 年 8 月の文部科学省から財務省への本 構想にかかわる概算要求の内容を次のように固めた.. 他省庁との調整. ●プロジェクト名:e-Society 基盤ソフトウェアの総合. 文部科学省としての「社会基盤ソフトウェア」のテー. ●研究開発のターゲット:世界最高水準の高度情報通信. マ設定に関する大枠の方針が決定すると,次に問題とな. システム形成のための鍵となるソフトウェア開発を実. るのは,他省庁との調整であった.上記の 3 つのサブテー. 現させ,いつでもどこでも誰でも安心して参加できる. マは,①は経済産業省,②は経済産業省と総務省,③は. 情報技術(IT)社会を構築.. 開発. 総務省との関連が深く, 同様な内容で申請をしたのでは,. ●経済・社会での活用に関する具体的ビジョン:産業界. 冗長性の観点からも問題が起こる可能性がある. そこで,. からのニーズに基づくソフトウェアの研究開発を推進. 次の段階として,文部科学省,総務省,経済産業省の間. することで,年間市場規模約 7 兆円の創出を期待.. でのテーマの擦り合わせを総合科学技術会議の桑原洋議. ●研究の概要:産業界からのニーズに基づき,大学等が. 員のもとで行うことになった.. 持つ研究ポテンシャル,人材養成機能を最大限活用す. その過程で,平成 15 年度の情報通信分野における概. ることで,研究開発と研究者養成を一体的に推進.具. 算要求事項として,経済産業省,総務省,文部科学省と. 体的な研究領域は,先に述べた①,②,③の 3 領域.. も一致して,(1) 高信頼性ソフトウェア,(2) コンテン. 以上の概要からも明らかなように,産業界との強い連. ツ関係,(3) モバイル・ユビキタスネットワーク関係(た. 携を前提とする内容であり,特に,産業界のニーズに基. だし,ヒューマンインタフェース関係を含む)の 3 つの. づいた最終的な成果およびその成果による市場規模のビ. テーマが重要であると強く認識していることが明らかに. ジョンを明示している.このように,文部科学省の概算. なった.結果として,これらの 3 本柱のテーマの必要性・. 要求事項としては,従来の枠組みとは大きく異なる新た. 緊急性等を総合科学技術会議に強くアピールしていく観. な形態の事業が,このリーディング・プロジェクトを契. 点から,この擦り合わせは貴重な機会となった.さらに,. 機として開始されたと言えよう.. 3 省間で同じ柱を立てながらも,具体的なテーマに関し ては棲み分けをして概算要求をする方策を練る必要があ るため,その調整を行う観点からも重要な機会となった.. 事前評価を経て実現の運びへ. このような戦略的な調整は,現時点においても,より. 本要求事項を実現する上での次の重要な関門が,総合. 積極的になされるべきであり,情報通信分野全体の予算. 科学技術会議を中心に行われる評価,さらには文部科学. 増加に繋がるものと考えている.. 省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の事前評 価であった.これらについても土居範久委員長,情報課. リーディング・プロジェクトとして. の職員をはじめとする多くの方々のご支援を得て,おお. 平成 14 年 1 月 29 日の情報科学技術委員会に端を発. たとえば,領域③に関しては,テーマの絞り込みを余儀. して構想が固まる中で,それを実現するための財政的な. なくされ, 「人とコンピュータの対話技術の開発」のみ. 裏付けをどのように確保するかが,大きな課題になって. を推進することになった.. きた.総合科学技術会議は, 「平成 15 年度の科学技術に. 以 上 の よ う な 過 程 を 経 て, 実 施 の 運 び と な っ た. 関する予算,人材等の資源配分の方針」 (平成 14 年 6 月. 「e-Society 基盤ソフトウェアの総合開発プロジェクト」. 19 日総合科学技術会議決定)において,我が国の経済. が,産業界との連携を重視したリーディング・プロジェ. を活性化する観点から,実用化を視野に入れた研究開発. クトという新たな枠組みの特性を活かしつつ大きな成果. プロジェクトを戦略的に推進することが必要であるとし. を得て,平成 19 年度末をもって終了したことは,筆書. て,それに資する産官学の関係者の強力な推進体制によ. にとっても非常に大きな喜びである.. るプロジェクトを立ち上げるべきとの方針を出した. 文部科学省は,これらの総合科学技術会議の方針を受 けて,その趣旨に合致するためのいくつかの要件を満た す研究開発課題群を「リーディング・プロジェクト」と して,平成 15 年度概算要求の主要事項とすることになっ. 1232. 情報処理 Vol.49 No.11 Nov. 2008. むね高い評価を得ることができた.ただし, その過程で,. (平成 20 年 7 月 31 日受付) 西尾章治郎(正会員) [email protected] 1980 年京都大学大学院博士後期課程修了.工学博士.現在,大阪大 学理事・副学長.文部科学省科学官(研究振興局),本会理事等を歴任. データベースシステム,マルチメディアシステムの研究に従事.本 会論文賞等を受賞.本会フェロー..
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