健康に関わる今日的課題と食育
著者
阿部 としよ
雑誌名
生活科学論叢
巻
37
ページ
1-21
発行年
2006-03-10
URL
http://doi.org/10.14946/00001622
健 康 に関 わ る今 日的 課 題 と食 育
阿 部 と しよ
本 稿 は2005年8月 に本 学 で 開 催 さ れ た 夏 季 公 開 講 座 に お い て 筆 者 が 行 っ た 講 演 「健 康 に 関 わ る 今 日的 課 題 と食 育 」 の 内 容 を 若 干 改 変 しま とめ た もの で あ る。は じめ に
わ が 国 に お い て 少 子 高 齢 化 杜 会 到 来 と言 わ れ る よ う に な っ て 久 し い 。2005年 に は経 済 の 先 行 き が 明 る さ を増 して きた こ と と と も に 日本 の 人 口 が 減 少 に 転 じた こ と も報 じ ら れ た 。 こ れ ま で の 右 肩 上 が りの 時 代 か ら プ ラ トー な 時 代 或 い は な だ ら か な 右 肩 下 が りの 時 代 を迎 え て い る 。 ヒ トも少 し産 ん で 長 く生 き得 させ る 時 代 に な っ て い る 。 そ こ に は公 衆 衛 生 の 向 上 や 医 学 、 栄 養 学 な ど の 著 しい 進 歩 が 関 与 して い る 。 栄 養 の 専 門 家 で あ る 管 理 栄 養 士 に対 す る 社 会 の ニ ー ズ や 認 知 も 、 筆 者 が 国 家 試 験 で 資 格 を取 得 した1970年 代 か ら は 比 べ よ う に な ら な い もの と な っ て い る 。 絶 対 的 食 糧 不 足 の 時 代 か ら過 剰 の 栄 養 対 策 が も とめ られ る 時代 と な っ て い る 。 か つ て の 結 核 、 コ レ ラ な ど で は な い 国 や 地 域 の枠 を 超 え 、 人 類 の 脅 威 と な る 感 染 症 や 生 活 習 慣 病 が 健 康 を損 ね 死 を 招 く存 在 と な っ て い る 。 ま た 永 年 の 人 類 本 位 の 活 動 に よ っ て 地 球 環 境 は悪 化 し様 々 な ア レル ギ ー 性 疾 患 に よ っ てQOLを 損 な わ さ れ て い る 。 都 市 化 や 核 家 族 化 、 デ ジ タ ル 電 子 媒 体 ・情 報 の 氾 濫 、 食 の 外 部 化 ・個 食 化 、 拝 金 主 義 に加 え モ ラ ル の 著 しい 低 下 や 治 安 の悪 化 、 若 者 の 就 職 困 難 や 定 着 率 の 低 下 、 価 値 観 の 変 化 な ど は 結 婚 、 出 産 、 子 育 て な ど 、 ヒ トと し て の 本 来 的 営 み の 意 欲 や 人 間 性 を も減 退 させ て い る 。 種 々 の ス トレ ス や ヒ ト ・カ ネ ・モ ノ な ど家 庭 や 社 会 と の 不 適 合 か ら身 体 の 健 康 だ け で な く心 の 健 康 を損 ね 、 うつ 病 な どか ら 自殺 に 至 る例 も急 増 して い る 。 管 理 栄 養 士 は こ れ ら の 今 1 日的 課 題 に し っ か り対 峙 し、 客 観 的 指 標 を用 い て ア セ ス メ ン トを行 う、 科 学 的 根 拠 に 基 づ い た 指 導 ・教 育 を 行 う 、 そ の結 果 を 評 価 し ま た 次 の 活 動 に 繋 げ て 行 く とい っ た こ れ まで よ りグ レ ー ドア ッ プ した マ ネ ジ メ ン ト活 動 で 傷 病 者 の 治 療 や 国民 の 健 康 生 活 の 支 援 を行 い 、 社 会 に 貢 献 し て 行 く こ とが 多 い に期 待 さ れ て い る 。 11.少 子 高 齢 化 日本 人 の 平 均 寿 命 を 男 女 別 に1950年 頃 か ら約50年 間 の 推 移 を10年 ご と に 示 した もの が 図 ユで あ る 。 図1 日本 人 の 平 均 寿 命 ユ950∼1952年 で は 女 性:62.97歳 、 男 性:59.57歳 で あ っ た が1980年 頃 まで の30年 間 で飛 躍 的 に 伸 び 、2004年 で は 女 性:85.59歳 、 男 性:78.64歳 ま で に な っ て い る 。3.4歳 く ら い だ っ た 男 女 差 が50年 間 で2倍 以 上 に な っ て い る 。 図2に65歳 以 上 の 高 齢 者 を74歳 ま で の 前 期 高 齢 者 と75歳 以 上 の 後 期 高 齢 者 と を 区 分 して 全 体 の 人 口 に 占 め る 割 合 で示 した 。 図2 総 人 口 に 占 め る 高 齢 者 の 割 合 注) 平 成13年 及 び14年 は9月15日 現 在 、他 はユ0月1日 現 在 資料:平 成12年 まで は 「国勢 調査 」、平 成13年 及 び14年 は 「推 計 人 口」、 平 成17年 以 降 は 国 立 社 会 保 障 ・人 口問 題 研 究 所 「日本 の 将 来 推 計 人 ロー 平 成 ユ4年1月 推 計 」(中 位 推 計 〉
平 成17(2005)年 以 降 は 推 計 値 で あ る が5人 に1人 が 高 齢 者 とい う の が2005年 で 、10年 後 の2015 年 に は4人 に1人 と な る見 込 み で あ る 。 現 在65歳 が 高 齢 者 と さ れ て い る が 今 で は 高 齢 者 と い う に は そ ぐわ な くな っ て お り70歳 か ら高 齢 者 とす る べ きで は な い だ ろ うか? 定 年 も60歳 か ら65歳 へ 延 長 さ れ る こ とや 退 職 後 希 望 者 は70歳 ま で1年 ご との 契 約 に よ る ワ ー ク シ ェ ア リ ン グ就 労 も検 討 さ れ るべ き と考 え る 。 100歳 以 上 の 人 口 も2003年 に は2万 人 を超 え て い る 。 東 邦 大 学 の 後 藤 に よ れ ば2010年 に は5万 人 に 、 そ の 倍 の10万 に 達 す る の は2010年 後 半 と推 計 さ れ て い る 。 しか した だ 長 生 き を す れ ば よ い か とい う こ とで は な く健 康 で 長 生 きす る こ とが 重 要 な の で あ る 。2000年 に 平 均 寿 命 か ら傷 病 期 間 を差 し引 い た期 間 を 健 康 寿 命 と称 す る新 た な 寿 命 指 標 がWHOか ら示 さ れ た 。 世 界191力 国 を 調 査 し、 わ が 国 は74.5歳(男7L9歳 、 女77.2歳)で 健 康 寿 命 第 一 位 で あ る 。 今 後 も こ の健 康 寿 命 は 発 表 さ れ る 予 定 で 寿 命 の 量(長 さ)と と も に そ の 質 が 問 わ れ る 時 代 と な っ て い る 。 表1 健 康 寿 命 1999年 WHO発 表 (歳) (歳) 5 1 9 8 7 3 3 4 1 9 ■ ● ● ・ 5 , 甲 ● ● , O , 3 3 2 2 2 2 0 9 9 5 3333333222 ネ ア エ ル オ ピ ブダダナアイ 一レ オ バ ン ン ワ ビ ウ エ ラ チ リ ン ワ ガ ツ ン ラ ジ エ ・ ・ エ マ ジ ル ウ ボ ザ マ ニ シ
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出 生 数 万 入 aoo一 第1次 ベ ビー ブーム( 昭 和22∼24年) 第2次 ベ ビーブーム 最 高 の 出 生 数 (昭 和46-一一49年) 、d2 ss6.638人 2,091,983人 門 曵噛1、
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▼ 平成16年 240一 11 1翻 1 最低の出 生数 "1 1,110,835人 1 n 彊 ■ 圏 ■ _ 1 1 晶晶 噛 1 一 一 1 ■ 隔 隔 x し ■騨画' x 1 、 . 1■ M鞠ヒ ■ ■ 昌 ■■ 1 - ■ 闇 一 t 嘱 jflO一 1肉 1欄
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22 30 40 50 60 2 7 昭 和+・年 平 成 ・年 5 4 合 計 特 殊 出 生 数 3 2 1 ロ 出生数 一一 合計特殊 出生数 a 16http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw!linkou/gepPo/nengaiO4/images/zu1.gif
2004年 に は1.29に ま で 減 少 し、 全 体 の 出 生 数 は111万 余 と な っ て い る。 こ の 傾 向 は わ が 国 の み の も の で は な く先 進 諸 国 で 一 般 的 に み ら れ る傾 向 で フ ラ ンス や 韓 国 で も合 計 特 殊 出 生 率 が2.0を 下 回 っ て い る 。30年 前 頃 の わ が 国 で は 一 人 の 女 性 が 平 均3人 以 上 の 子 ど も を 出 産 して お り、 年 間 200万 人 く らい の 子 ど も が 誕 生 して い た 。 ユ970年以 降 、 平 均 寿 命 が9∼ ユ0歳延 び た こ と と引 き換 え に子 ど もの の 生 ま れ る 数 が 約 半 減 した わ け で あ る 。 表2に 都 道 府 県 別 、 年 齢3区 分 別 人 口 割 合 を平 成7(1995)年 と平 成12(2000)年 と比 較 して 示 し た 。 こ こ に 示 さ れ た3区 分 は14歳 以 降 つ ま り義 務 教 育 年 齢 が 終 わ る まで が 子 ど も 、65歳 以 降 が 高 齢 者 、 残 りの15∼64歳 が 就 労 可 能 の 年 齢 区 分 と い う こ と に な る 。 子 ど もの 大 部 分 が 高 校 に 進 学 し、 そ の 約 半 数 が 専 門 学 校 、 大 学 な ど に 進 学 して い る わ が 国 の 現 状 を考 え れ ば14歳 、15歳 の 区 分 も見 直 しが 必 要 と思 わ れ る 。 少 な く と も18歳 ま で を子 ど も未 就 労 期 、 ユ9∼69歳 の 約50年 間 を就 労 可 能 期 、70歳 以 上 を高 齢 期 とす る の が 現 実 的 で は な か ろ う か? 全 国 平 均 で平 成7年 と12年 を比 較 す る と65歳 以 上 が14.5%か ら17.5%と3ポ イ ン ト増 加 し0∼14歳 が15.9%か ら14.5%に1.4ポ イ ン ト減 少 して い る。 全 国 の 都 導 府 県 を み て み る と埼 玉 ・千 葉 ・東 京 ・神 奈 川 の 首 都 圏 と沖 縄 県 が 圧 倒 的 に65歳 以 上 が 少 な い の に気 づ か され る。 反 対 に こ の 区 分 が 多 い の は岩 手 ・秋 田 ・山 形 の 東 北 県 、 長 野 、 鳥 取 ・島 根 ・山 口 の 中 国 県 、 徳 島 ・香 川 ・高 知 の 四 国 県 、 大 分 ・鹿 児 島 な どの 九 州 県 で あ る 。 これ ら を概 観 し て 首 都 圏 な どか ら遠 隔 地 に 高 齢 化 率 の 高 い 地 域 が 点在 して お り、 こ れ ら の 地 域 で 特 に 医 療 ・保 健 ・福 祉 の 施 策 や 専 門職 が 必 要 と され て い る こ とが 示 唆 さ れ て い る 。 しか し そ れ と裏 腹 に 医 師 、 看 護 師 、 薬 剤 師 、 介 護 福 祉 士 、 管 理 栄 養 士 な ど コ メ デ ィ カ ル の 専 門 職 を養 成 す る 施 設 は 多 くな い 。 高 齢 化 率 と 人 口 と は 反 比 例 の 関 係 で 就 労 先 の確 保 の 問 題 が 常 につ き ま と表2 年 齢 別 人 口 の 割 合 表 年 齢(3区 分)別 人 口 の 割 合 一 都 道 府 県(平 成7年 ・12年 〉 (%) 年7 成 平 上 以 歳65 5 8 0 0 5 6 8 4 2 8 6 1 2 0 0 3 9 2 7 1 0 3 8 9 1 1 7 9 1 9 1 欄3 7 4 8 0 9 2 5 6 8 8 7 3 6 4 7 7
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http://www.stat.go.jp/data/kakusei/2000/soku hvu/img/toll-a.gif -一一一5う が 、 四 国 、 中 国 、 九 州 な ど か ら の 入 学 者 促 進 に 力 を入 れ る こ とで 地 域 間 格 差 を是 正 し公 衆 栄 養 や 公 衆 衛 生 の 維 持 向 上 に 貢 献 す る こ と もわ れ わ れ の 使 命 で は な い だ ろ う か? 図4に 大 正 時 代 か ら推 計 も含 め2050年 ま で の 前 述3区 分 の 年 齢 人 口構 造 の 推 移 を 示 した 。 人 口 減 少 、 少 子 高 齢 化 に よ っ て 国 の 勢 い が 衰 え マ イ ナ ス 事 項 ば か り懸 念 さ れ る が 人 口 と して は 1960∼1970年 の 右 肩 上 が りの 時 期 に戻 る わ け で あ る 。1億 余 りの コ ンパ ク トな 人 口 で や れ る こ と を 着 実 に や っ て い く発 想 の 転 換 が 必 要 で は な い だ ろ うか 。 本 学 学 生 達 も や が て は 日本 や 世 界 を担 う存 在 と な る わ け で 活 躍 の 場 は む し ろ 拡 が っ て い る の か も しれ な い 。 図4 わ が 国 の 人 口 構 造 の 推 移 (千 人) Yao,000 120,000 100,000 1945(臼 召孝020)年 7.2aa万 人1 戦 争 に よ る減 少) 現 在.2003(平 成15)年 121762万 人 :1111 2006(平 成18)年 12,774万 人 (人口 の ピー ク) 65歳 以上 人口 1967(昭 和42)年 1瀦 搬 人台へ) 門U O OO 一 〇 ∩U O ハU ∩ } 量 , , 0 0 06 4 2
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0--14歳 人 口 (a1929 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2014 2020 2030 2040 2050大正9)(昭和5)(15) (25) (35) (45) (55)(平成2)(12) 〈22) (32> (42) (52) (62))(年) 資 料:2003(平 成15)年 まで は 総 務 省 統 計 局 「国 勢 調 査 」、 「10月1日 現 在 推 計 人 口」、2004(平 成16)年 以 降 は国 立 社 会 保 障 ・人 口 問題 研 究 所 「日本 の 将 来推 計 人 口(平 成14年1月 推 計 〉」 注;1941(昭 和16)∼1943(昭 和18)年 は1940(昭 和15)年 と44(昭 和 ユ9)年 の 年 齢3区 分 別 人 口 を中 間補 完 した 。1946(昭 和21)∼71(昭 和46)年 は 沖縄 県 を含 ま ない 。 2.老 い と メ ン タ ル ヘ ル ス 命 あ る も の は い つ か 必 ず 年 老 い 、 様 々 な疾 病 や 事 故 な ど に よ っ て 命 尽 き る 時 が 来 る 。 図5に わ が 国 の 外 来 患 者 の 統 計 を前 述 年 齢 区 分 の う ち 就 労 可 能 年 齢 を2分 割 し て4区 分 別 に し、 1984年 か ら2002年 ま で9年 ご と に 示 した 。1993年 に は 合 計 数 が 増 加 して い る が ま た 減 少 し て2002 年 は ユ984年 と小 差 に な っ て い る 。 こ れ ら の グ ラ フ か ら18年 間 に お け る各 年 齢 区 分 の 外 来 受 診 の 動 向 が よ くわ か る 。64歳 未 満 の 年 齢 区分 に お い て は い ず れ も患 者 数 が 減 少 し、65歳 以 上 の 高 齢 者 で 1.7倍 近 くに 増 加 して い る 。 同 じ 区 分 、 同 じ年 で 入 院 患 者 を み て み る と 図6の よ う に な る 。 入 院 患 者 の 合 計 は1984年 か ら1993年 ま で の 勢 い は 少 し衰 え が あ る もの の 増 加 し続 け て い る 。 そ の 内 訳 は 外 来 患 者 統 計 と 同 じ傾 向 が 示 さ れ て い る。 特 に65歳 以 上 の 患 者 数 の増 加 が 著 し く外 来 統 計 と 同 様1.7倍 に な っ て い る 。 こ れ ら外 来 ・入 院 の 実 態 を疾 患 ・障 害 の 分 類 別 受 療 率 で み る と図7の よう に な る 。2002年(平 成1の の 結 果 と比 較 の た め に1996年(平 成8)の 結 果 と を併 記 し た 。 外 来 受 診 が 減 少 して い る の で グ ラ フの 山 も平 成14年 の ほ う が 全 体 的 に低 く な っ て い る 。 両 年 と も 疾 患 ・障 害 の 受 療 状 況 は ほ ぼ 同 様 の 傾 向 を 示 して い る。 胃 ・腸 な どの 消 化 器 系 疾 患 が 最 も多 く、 次 い で 心 臓 を 中 心 と した 循 環 器 系 疾 患 が2大 受 療 疾 患 系 で あ る 。 そ の 次 に は 骨 ・関 節 疾 患 、 呼吸 器 系 疾 患 が 続 き第5位 に歯 補 綴 ・口 腔 疾 患 が きて い る 。
図5 外来患者数
図6 入院患者数
図7 日本人の受療率
歯 や 歯 茎 の 衛 生 管 理 は 虫 歯 の 予 防 を 中 心 に 向 上 して き た こ と か ら近 年 、 虫 歯 は 減 少 して い る。 しか し歯 茎 の 管 理 不 十 分 や 食 生 活 の 変 化 な ど に よ っ て 歯 肉 炎 ・歯 槽 膿 漏 な ど の 歯 周 病 に よ っ て 歯 を失 う割 合 が 増 加 して い る 。 身体 の 寿 命 は 著 し く伸 び て い る の に比 して 歯 の 寿 命 や 口 腔 の 健 康 度 は延 び て い な い 。8020運 動 が 提 唱 さ れ て 久 しい が 今 や9020、10020の 時 代 に な っ て い る。2005年 秋 に 介 護 保 険 が 改 正 され た が 、 改 正 の ひ とつ の ポ イ ン トが 歯 や 歯 茎 を 中 心 と し た 口 腔 健 康 の 向 上 と咀 噛 機 能 の 回 復 で あ る 。 図8に 男 女 別 に 上 顎 右 側 の 主 な歯 の 寿 命 を調 査 実 施 年 ご と に 示 した 。 7図8 歯の寿命
こ の 上 顎 右 側 は平 均 的 に最 も寿 命 が 短 い 部 位 で あ る。 こ れ を見 る と1987年 よ り1999年 の 方 が 各 歯 と も寿 命 が 延 伸 し て い る 。 男 女 で は こ こ10年 余 りの 間 、 そ の 差 は 縮 ま っ て い る。 い ず れ も男 子 の 歯 の 方 が`長 生 き'で あ る。 しか し1999年 調 査 で も平 均60歳 程 度 の 寿 命 な の で あ る 。 男 女 の 平 均 寿 命 が2004年 で78.64歳 、85.59歳 で あ る こ と か ら比 べ る と余 りに 短 命 で あ る。 図9に75歳 以 降 の 後 期 高 齢 者 の 歯 の 保 有 調 査 結 果 を 示 し た 。1999年 の 結 果 で あ るが 平 均 保 有 数 は75∼79歳 で0.01 本 、80∼84歳 で7.41本 で あ る 。20歯 以 上 の 保 有 者 割 合 は75∼79歳 で17.5%、80∼84歳 で13%と4.5 ポ イ ン ト減 少 して い る 。85歳 以 降 の 高 齢 者 の 統 計 が 示 さ れ て い な い の は 国 が 行 う調 査 と して は甚 だ 不 十 分 で あ る 。 食 べ る こ と は 生 き る こ とで あ りブ レ ン ダ ー 食 や チ ュ ー ブ 栄 養 で 永 く生 き得 た と して 真 の 幸 福 と は 言 い 難 い 。 自 分 の 歯 ま た は 人 工 歯 の 機 能 を 活 用 して 食 べ る とい う営 み を 維 持 し 食 べ る 楽 しみ を 味 わ う こ と が 大 切 な の で あ る 。 人 間 と し て のQOLを 担 保 した 長 寿 こ そ 理 想 とす る も の で 、 口 腔 の 健 康 は 最 も基 本 と な る もの と考 え る 。100歳 以 上 の 長 寿 者 が 今 後 ま す ま す 増 加 す る こ と が 予 測 さ れ て い る わ け で 調 査 の ス ケ ー ル や 統 計 の表 し方 な ど も高 齢 社 会 に 適 合 した もの に改 め て い く必 要 が あ る 。 歯 周 病 は 生 活 習 慣 病 で あ る が 管 理 栄 養 士 の 養 成 の 場 で は こ の 辺 の 理 解 や 教 育 が 不 十 分 で は な い だ ろ う か?管 理 栄 養 士 は 咀 瞬 や 嚥 下 を 口腔 学 的 に 掘 り下 げ 栄 養 ・健 康 と の 関 係 を 科 学 的 に 学 修 し、 歯 や 歯 茎 の 健 康 を 保 持 しユ00歳 に な っ て も 自歯 で 食 べ る こ と で 生 活 を 堪 能 で き る 人 が 一 人 で も多 くな る よ う支 援 して い か な け れ ば な ら な い 。図9 歯の保有状況
(本} 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 Q 一_ 3.01 ■ ヨ 7.d1 學 ■ ■ ■ 一 一 一 冨 ■ 一一一 37.5 13 一 ■ 一 一 層 墨 75^-79歳 80∼84歳 (%) 20 18 16 94 12 10 8 s 4 2 0 [コ 平均保 有歯 数 → ド20歯 以 上保 有者 割 合 次 に 介 護 の 状 況 と単 身 の 世 帯 状 況 に つ い て 述 べ る 。 図10に 女 性 の 介 護 認 定 者 数 、 図11に 男 性 の 介 護 認 定 者 数 を 、 要 支 援 を含 む 介 護 度 別 に 示 した 。 女 性 も男 性 も要 介 護1の 認 定 者 数 が 圧 倒 的 に 多 い 。 女 性 で は 要 支 援 が 次 い で 多 い が 男 性 は 要 介 護 2、3の 方 が 要 支 援 よ り多 い 。 全 体 的 に 女 性 の 方 が 男 性 の 約2.5倍 で あ る 。 年 代 区 分 で は80歳 代 が 多 い 。 介 護 保 険 が 改 正 さ れ る に至 る原 因 は様 々 あ るが 、 こ れ ま で の よ う に 手 厚 く介 護 す る こ と で 却 っ て 要 介 護 度 を上 げ て し ま う傾 向 が あ る こ とが 調 査 で 明 ら か に さ れ た 。 こ れ ま で の よ う な今 あ る機 能 を 維 持 して い くだ け の 介 護 中 心 の施 策 で は今 後 の 高 齢 社 会 を 乗 り切 っ て い く こ とが 困 難 で あ る と結 論 づ け られ た か らで あ る 。 米 国 な ど で 既 に 実 施 さ れ て い る よ う に 高 齢 者 に対 して 積 極 的 に筋 肉 トレ ー ニ ン グ を行 う こ とが 打 ち 出 さ れ た の で あ る 。 筋 肉 は 幾 つ に な っ て も トレー ニ ン グ 効 果 が 認 め ら れ 米 国 で は 医 療 施 設 だ け で な く高 齢 者 住 宅 や 介 護 施 設 に も筋 肉 トレ ー ニ ン グ の た め の様 々 な機 器 が 備 え ら れ た トレ ー ニ ン グ 室 が 備 え られ て い る 。 筋 肉 トレ ー ニ ン グ に よ っ て 転 倒 や 骨 折 も減 少 し 自 立 した 生 活 が 可 能 と な る の で あ る。 ま ず は 現 在 の 要 介 護1の 認 定 者 数 を半 減 させ る こ と を 目指 して 設 備 や ヒ ト、 トレ ー ニ ン グ メ ニ ュ ー の 開発 な どハ ー ド ・ソ フ トの 充 実 に 努 力 し て い か な け れ ば な ら な い 。 ま だ ま だ 周 知 さ れ て い な い こ とか ら啓 蒙 活 動 に努 め 、 有 酸 素 運 動 や レ ジ ス タ ンス ・ トレ ー ニ ン グ を一 般 ジ ム や 医 療 施 設 だ け で な くデ イ サ ー ビス で も 受 け られ る よ う に した い もの で あ る 。 栄 養 士 ・管 理 栄 養 士 も こ の よ うな 高 齢 者 の トレ ー ニ ン グ に つ い て の 知 識 や 技 術 を修 得 して 健 康 運 動 指 導 士 な ど の 資 格 を 取 得 す れ ば 運 動 の 専 門 家 と して の 道 が 拡 が る 可 能 性 も あ る 。 9図10女
性の介護認定者数
図11男
性の介護認定者数
こ の よ う に 様 々 な福 祉 ・医 療 を受 け て も ヒ トに は 死 が 訪 れ る。2003年 の 人 口 動 態 統 計 に よ れ ば 男 女 と も死 因 の1位 は 悪 性 新 生 物 、2位 は 心 疾 患 、3位 は脳 血 管 疾 患 、4位 は肺 炎 に な っ て い る 。 約50年 前 の1950年(昭 和25年)で は 死 因 の1位 が 結 核 、2位 が 脳 血 管 疾 患 、3位 が 肺 炎 ・気 管 支 炎 で あ っ た 。 更 に50年 前 の1900年(明 治33年)で は1位 が 肺 炎 ・気 管 支 炎 、2位 が 結 核 、3位 が 脳 血 管 疾 患 で あ っ た 。 時 代 が 遡 る に つ れ 栄 養 状 態 の 良 否 か らの 体 力 や 衛 生 の 問 題 が キ ー ワ ー ドと な る 感 染 症 に よ っ て 死 亡 す る割 合 が 高 い こ とが わ か る 。 しか し近 年 、 死 因 で 問 題 と な っ て い る の は 自殺 の 著 しい 増 加 で あ る 。 自殺 は1954年(昭 和29年) 頃 に は死 因 の 第10位 で あ っ た 。 そ の 後 徐 ・々に順 位 が 上 が り、70年 代 半 ば か ら90年 代 前 半 ま で の20 年 間 、 第7位 で あ っ た 。1996年(平 成8年)以 降 第6位 に ま で 増 加 して い る 。 年 代 別 に 死 因 を 第3位 ま で 抽 出 して 表3 自殺 者 と年 代 み る と 、 男 女 計 で10代 で は 第2位 、20 代 ・30代 で は 第1位 で あ る 。 死 者 数 か ら い く と2003年 の 統 計 で は10代:567 人 、20代:3079人 、30代:4255人 、40 代:5060人 、50代 8019人 で あ っ た 。 こ れ ら を 合 計 す る と2万 人 を 優 に超 え る 。 わ が 国 全 体 の 自殺 者 は 既 に3万 人 を 越 え て お り、 特 に働 き盛 りの40代 ・ 50代 の 男 性 自殺 者 が 多 い こ と が 今 日的 特 徴 で あ る 。 遅 き に 失 して い る感 もあ る が 緊 急 に 充 分 な 対 策 が 講 じ られ な け れ ば な ら な い 。 国 立 精 神 ・神 経 セ ン タ ー 精 神 保 健 研 究 所 で は 所 内 に 自 殺 予 防 対 策 支 援 ペ ー ジ 事 務 局 を 設 置 し て ネ ッ ト上 に 「い き る 」 と い うHPを 立 ち 上 げ て い る 。 予 防 対 策 や う つ 病 対 策 、 研 究 報 告 書 な ど か な り分 厚 い 情 報 コ ンテ ン ツ が 用 意 さ れ て い る 。 そ の 中 のWHOの コ ン テ ン ツ を紹 介 す る 。 WHO自 殺 予 防 の 手 引 き に よ れ ば2000年 に は 世 界 で1001
位
2 位
3 位
1∼4歳不慮の事故
先天奇形 ほか
悪性新生物
5∼9歳不慮の事故
悪性新生物
その他新生物
10歳 代不慮 の事故
自殺
悪性新生物
20歳 代臼殺
不慮 の事故
悪性新生物
30歳 代自殺
悪性新生物
不慮 の事故
40歳 代悪性新生物
自殺
心疾患
50歳 代悪性新生物
心疾患
自殺
60歳 代悪性新生物
心疾患
脳血管疾患
70歳 代悪性新生物
心疾患
脳血管疾患
80歳 代悪性新生物
心疾患
脳血管疾患
万 人 が 自殺 して い る と記 さ れ 、わ が 国 の 自殺 率 は 世 界 諸 国 の 中 で1(粒 に ラ ン ク さ れ て い る 。WHO
の 調 査 で 自殺 者 は 気 分 障 害(う つ 病)、 ア ル コ ー ル 依 存 症 、 統 合 失 調 症 な ど の 障 害 を複 数 抱 え て
い る こ とが 判 明 して い る。
10代 の 自殺 者 も少 な くな い が 、こ こ10年 く らい の 間 に 摂 食 障 害 が 急 激 に 増 加 して き て い る 。1689
年 に 英 国 のMorton, R,がnervous consumption:神 経 性 消 耗 病 に つ い て 報 告 を行 っ た が 、 こ れ が 摂 食
障 害 の 最 初 の 報 告 と さ れ て い る 。Anorexia Nervosa:ネ 申経 性 食 欲 不 振 症(い わ ゆ る 拒 食 症)とBulimia
Nelv。sa:神 経 性 過 食 症 、 そ の 他 特 定 不 能 の 摂 食 障 害 の3つ に大 き く カ テ ゴ リー さ れ て い る。 中 で も予 後 が 悪 く時 に 死(自 殺)に 至 る確 立 が 高 い の がAnorexia Nervosa:神 経 性 食 欲 不 振 症 で あ る 。 わ が 国 に お け る 疫 学 調 査 は ユ980年頃 か ら医 療 施 設 に対 す る か た ち で 行 わ れ て い る が 、10代 後 半 か ら20代 の 女 性 を 中 心 に こ こ20年 余 りで 約4倍 に 増 加 して い る 。 慶 応 義 塾 大 学 の 渡 辺 講 師 が 中 心 に な っ て 行 わ れ た厚 生 労 働 科 学 研 究 で は 、 神 経 性 食 欲 不 振 症 を 「思 春 期 や せ 症 」 と命 名 して い る 。 パ イ ロ ッ ト研 究 を経 て 平 成14年 度 か ら北 海 道 か ら九 州 ま で の 中 高 一 貫 校15校:ユ409名 を対 象 に 頻 度 調 査 が 開 始 さ れ た 。そ の 結 果 、思 春 期 や せ 症 と診 断 さ れ た の は 中 学1年 ∼ 高 校3年 で2.3% で あ っ た 。 こ れ は 学 校 保 健 統 計 調 査 にお け る 喘 息 や ア トピ ー 性 皮 膚 炎 な ど、 ア レ ル ギ ー 性 疾 患 の 罹 患 率 と ほ ぼ 同 レベ ル で あ る 。 思 春 期 や せ 症 が 重 要 な の は 高 い 死 亡 率 を伴 う と い う こ と で あ る 。 渡 辺 に よれ ば6∼10%が 死 に至 る 。 こ れ ま で は10代 後 半 頃 か ら発 症 して い た が 、 近 年 は低 年 齢 化 が 進 み 小 学 高 学 年 ∼ 中学 で の 発 症 が 増 加 して い る 。20代 で は 身 体 の 成 長 が 終 わ っ て い る の で 身 体 の 器 質 的 影 響 は そ れ 程 大 き くな い 。 しか し成 長 過 程 の 未 成 熟 の 時 期 に適 度 な 栄 養 が 補 給 さ れ な い と様 々 な 臓 器 障 害 を 来 た し深 刻 な 合 併 症 を 引 き起 こ す 。 エ ネ ル ギ ー摂 取 へ の こ だ わ り、 痩 せ す ぎ て い る に も拘 わ らず ま だ 太 っ て い る と感 じ る認 知 障 害 、 肥 満 恐 怖 、 下 剤 乱 用 な ど多 様 な 病 態 を呈 し、 心 身 症 と言 う こ と も 出 来 る。 個 人 情 報 は 充 分 保 護 さ れ る べ きで あ る が 、 養 護 教 諭 や 栄 養 教 諭 (職員)、 心 理 カ ウ ンセ ラ ー 、 ホ ー ム ドク タ ー 、 精 神 科 医 な ど の 連 携 の あ り方 を見 直 し、 適 切 な シ ス テ ム 構 築 と早 期 治 療 が 求 め ら れ る。自殺1件 生 じる こ とで 最 低 で も6人 が 深 刻 な 影 響(精 神 的 ・ 経 済 的 等)を 受 け る と さ れ 、 残 され た 者 へ の 支 援 も大 き な 課 題 で あ る。 管 理 栄 養 士 も た だ フ ィ ジ カ ル 面 だ け で な くメ ン タ ル ヘ ル ス に つ い て も正 しい 知 識 を持 っ て 、 他 専 門 職 と連 携 し な が ら職 務 に あ た ら ね ば な ら な い 時 代 で あ る 。 3.食 事 の 現 状 と 肥 満 国 民 の 栄 養 摂 取 状 況 は 厚 生 労 働 省 で 所 管 さ れ 毎 年11月 に 実 施 さ れ て い る 国 民 健 康 栄 養 調 査 を み れ ば 集 団 と して の お よ そ の 状 況 が 把 握 で き る。 図12に 明 治 時代 か ら2002年 ま で の 約90年 間 に わ た る エ ネ ル ギ ー 、 蛋 白 質 、 脂 質 の 摂 取 状 況 を示 した 。 一11一
図12 国民栄養の状況
佃) 2500 2004 lsoa yOOO goo a 1915年1925年 唱 暫 ・ 唱 「:
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l 一 (g) 90 60 70 60 5D 40 [コ エネ ル ギ ー iレ 蛋 白質 → ←脂 質 1910∼1920∼1935年1946年1955年1965年1975年1985年1995年2002年 3d 20 10 0 国 民1人 ユ日 当 た りの エ ネ ル ギ ー は1910∼1915年 で も2114Kcal、1920∼1925年 で は こ こ に 示 し た 年 度 で 最 高 値 の2308Kc訊1で あ っ た 。 明 治 、 大 正 時 代 に は 電 気 や ガ ス な どの 機 器 も 自 動 車 な ど も ほ と ん ど な く、 一 般 国 民 は 家 事 活 動 や 移 動 、 外 で の 仕 事 な ど も 肉体 に頼 っ て 行 っ て い た で あ ろ う 。 よ っ て2308Kcalで も決 して 多 い 量 で は な か っ た の か も しれ な い 。 残 念 なが ら こ の 時 代 で は 年 齢 別 、 労 作 別 エ ネ ル ギ ー 量 な ど は示 さ れ て い な か っ た し両 年 の 日本 人 の 体 位 を知 る こ と も困 難 で あ っ た 。 筆 者 が 知 り得 た 数 値 と して 栄 養 所 要 量 の 前 身:昭 和16(1941)年 栄 養 要 求 量 標 準 が あ る 。 こ の 算 定 基 礎 と な っ た 日本 人 の 標 準 体 位 は2ユ∼30歳 男 性 で 身 長160.Ocm、 体 重55.4kg、 同 年 齢 区 分 の 女 性 で は 身 長148.Ocm、 体 重49kgで あ っ た 。 こ れ よ り20∼30年 遡 る 訳 で 同程 度 か 若 干 低 値 で は な か ろ う か? 次 に 身体 活 動 別 の 必 要 量 を 比 較 して み る 。1941年 発 表 の 年 齢 別 、 男 女 別 、 労 作 別 要 求 量 に よ る と、21∼30歳 ・男 性 ・中等 労 作 の エ ネ ル ギ ー(当 時 は 熱 量)は2500Kcal(当 時 は カ ロ リ ー)で あ っ た 。 労作 強度 区分 は5つ あ り、軽 等 ・中等 ・比 較的重 労作 ・重 労作 ・最 重労 作 とな っ て い た 。2005年 発 表 の 食 事 摂 取 規 準 算 定 の 基 礎 と な っ た 日本 人 の 基 準 体 位 は18∼29歳 男 性 で 身 長 171.Ocm、 体 重63,5kg、 同 年 齢 区 分 の 女 性 で は 身 長157.7cm、 体 重50kgで あ る0男 女 と も 身 長 で 9∼10cm、 体 重 で は 女 子 で1kg、 男 子 で8kgの 差 が 生 じて い る 。 身 体 活 動 レベ ル は 低 い(工)・ ふ つ う(皿)・ 高 い(皿)の3区 分 と実 に シ ン プ ル で あ る 。 身 体 活 動 レベ ル ふ つ う 伍)の 推 定 エ ネ ル ギ ー 必 要 量 は18∼29歳 男 性 で2650Kcalと さ れ て い る 。 身 長 で11cm、 体 重 で8kgの 差 が あ る に も 関 わ らず150Kcalの 差 に 止 ま っ て い る 。 こ こ か ら み て も以 前 の 日本 人 に 比 べ 現 代 人 が 如 何 に 肉 体 を使 わ ず 生 活 して い る か とい う の が わ か る 。 第 二 次 大 戦 直 後 に2000Kca1を き っ た こ と もあ っ た が そ の 後 は 増 加 し、1975年 に は 戦 後 で ピ ー クと な っ て い る 。 しか し80年 代 、90年 代 、2000年 代 と 漸 減 し て2002年 で は1930Kcalと2000を き っ て い る 。 こ の エ ネ ル ギ ー と類 似 の 変 化 を示 して い る の が 蛋 白 質 で あ る 。 さ す が に 明 治 、 大 正 時 代 で は エ ネ ル ギ ー は そ れ な りに 摂 取 可 能 で あ っ た が 、 蛋 白質 は絶 対 量 が 不 足 で1920∼1925年 で も68.4 9で あ っ た 。 この よ う な 蛋 白質 が 足 りな い 時 代 か ら 国 民 の ほ と ん ど が 常 時 空 腹 状 態 とい う苦 しい 時 代 を経 て 、 お 金 さ え 出 せ ば い つ で も満 腹 す る まで 食 べ ら れ る飽 食 時 代 へ と移 っ て い っ た の で あ る 。 今 問 題 と な っ て い る過 食 、 運 動 不 足 な ど か ら く る様 々 な 生 活 習 慣 病 の 栄 養 素 に お け る ひ とつ の 原 因が 脂 質 の 摂 取 で あ る 。 統 計 の 関 係 で1935年(昭 和10年)の 数 値 が 不 明 で あ る が 蛋 白 質 の 下 に 位 置 す る 折 れ 線 で 示 した 。 戦 争 直 後 の1946(昭 和21)年 ま で10g代 で あ る。 よ っ て 脂 質 の エ ネ ル ギ ー 比 は6∼7%と い う 低 さ で あ っ た 。 こ れ がX955年 か ら1975年 に か け て 急 激 な 増 加 が み ら れ る 。1990年 代 か ら50g代 後 半 で 推 移 し1エ ネ ル ギ ー 比 は25%を 超 え て い る 。 こ こ50年 余 りの 間 で 実 に4倍 に ま で 増 加 して い る 。 こ の よ う な 蛋 白 質 、 脂 質 と い っ た 栄 養 素 の 増 加 は 食 品 で 言 え ば どの よ う な食 品 群 で 支 え ら れ て い る の だ ろ う か?図13に 図12と 同 様 の 年 度 区分 の 国 民 健 康 栄 養 調 査(以 前 は 国 民 栄 養 調 査 〉 に お け る食 品 摂 取 の 概 要 を示 した 。 棒 グ ラ フ 下 か ら穀 類 、 芋 類 、 豆 類 、 野 菜 類 の植 物 性 食 品 と 肉 ・魚 介 ・卵 ・乳 を ま と め た 動 物 性 食 品 の 順 で 示 し た 。 エ ネ ル ギ ー を は じめ と して 日本 人 の 栄 養 的 ベ ー ス と な っ て き た の は 穀 類 で あ る 。1946年 に は 若 干4009を 切 っ た が1965年 頃 ま で は ほ ぼ1人1日4009を 維 持 して い た 。1食 平 均 ユ30gを超 え る 穀 類 が 摂 取 され て い た の で あ る 。 精 白米 に 換 算 す れ ば1人 ユ 日2合5勺(2.6カ ッ プ)と い う こ と に な る。 しか し70年 代 か ら穀 類 摂 取 が 激 減 し、 代 わ り に動 物 性 食 晶 が 穀 類 を も凌 ぐ程 摂 取 され る よ う に な っ て 来 た の で あ る。 エ ネ ル ギ ー や 食 物 繊 維 、 ミネ ラ ル 、 ビ タ ミ ン類 な ど の 給 源 で あ っ た 芋 類 が 戦 前 の1/2に ま で に 減 少 し て い る 。 油 脂 類 は 示 し て い な い が 動 物 性 食 品 群 は 良 質 の 蛋 白 質 の 給 源 で あ る だ け で な く脂 質 も多 く含 ん で い る 。 動 物 性 食 品 を加 工 し て 食 事 とす る が 、 そ の 調 理 加 工 に 特 化 した 触 媒 の よ う な 存 在 が 油 脂 類 な の で あ る 。 油 脂 は 食 品 の 味 や 舌 触 り おとし を ま ろ や か に し 、 特 に蛋 自 質 性 の 食 品 と合 わ す と高 蓬 な 嗜 好 や 欲 求 規 範 も惑 わ せ 疑 め る魔 法 仕 掛 け の 食 材 で あ る 。 こ の 誘 惑 に は ま る と な か な か抜 け 出 せ な く な る 。 脂 質 摂 取 が 習 慣 化 され て し ま う所 以 が こ の 辺 に あ る と考 え る 。 日本 人 の 死 因 の 第 一 位 は が ん で あ り、 近 年 、 肺 が ん や 結 腸 が ん が 胃 が ん を 凌 駕 し始 め て い る 。 こ れ ら の が ん や 高 脂 血 症 な ど を 予 防 す る た め に は 動 物 性 食 品 の 摂 取 を抑 制 し、 穀 類 を ベ ー ス と して 芋 ・豆 ・野 菜 ・果 実 ・海 藻 ・きの こ な ど も意 識 し て 摂 取 して い く よ う努 力 しな け れ ば な ら な い 。 油 脂 類 も量 や エ ネ ル ギ ー 比 だ け で な くそ の 中 身 、 脂 肪 酸 や コ レ ス テ ロ ー ル の 指 標 レベ ル で の 栄 養 管 理 や 栄 養 教 育 の 時 代 を迎 え て い る 。 一一13
図13 食品摂取の状況
図12に 示 さ れ て い る よ う に 集 団 と し で の 日本 人 の エ ネ ル ギ ー 摂 取 は 低 下 して お り摂 食 量 が 減 少 傾 向 に あ る と思 わ れ る が 、 肥 満 者 は 男 性 を 中 心 に 増 加 して い る 。 国 民 健 康 栄 養 調 査 の 際 に 身 体 の 計 測 や 食 生 活 ・'運動 の 習 慣 、 血 圧 、 血 液 の 生 化 学 検 査 も実 施 して お りこ れ らの デ ー タ蓄 積 が な さ れ て い る 。1995年 ま で は 皮 下 脂 肪 計 を 用 い た 計 測 に よ り肥 満 ・痩 せ を判 定 して い た が そ の 後 は BMIの み に な っ て い る 。 図 ユ4.15に1973年 か ら の 年 代 別 の 肥 満 者 割 合 を男 女 別 に示 した 。 図14肥 満 者 の 割 合(男 性) 図15肥 満 者 の 割 合(女 性) % 5 0 5 σ 5 0 く 3 3 2 2 1 1 x- x一\
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口◇-1973年(昭48) 噌 一 冒983年(昭58年} 噛 一ig93年1平5) →←2002年 く平14) 皮 下 脂 肪 厚 は 男 性:40mm以 上 、 女 性:50mm以 上 を肥 満 と して い る 。 BMに 基 づ く判 腿 準 は 日本 肥 満 学 会 が ガ イ ドラ イ ン を 示 して い る 。WHOの 規 準 と や や 異 な る が25以 上 を 肥 満 と し て い る 。1973年 以 降 、 皮 下 脂 肪 計 に よ る 判 定 で な くな っ て い る の で 示 さ れ た 数 値 を直 接 つ な げ て 考 察 で き な い が 、 男 性 で は30代 の 肥 満 者 が 増 加 し て い る。 女 性 で は60代 、70代 の 肥 満 者 が 増 加 し て い る もの の20代 か ら40代 の 若 い 世 代 の 肥 満 減 少 が 顕 著で あ る。 男 性 の 肥 満 と若 い 女 性 の痩 せ の 二 極 化 現 象 が 示 唆 さ れ て い る 。 こ れ らお と な の 状 況 は 子 ど もの 身 体 に も反 映 して 来 て い る 。1980年 頃 よ り肥 満 児 へ の 関 心 が 高 ま っ た と記 憶 し て い る が 、 様 々 な 指 導 や事 業 が 展 開 され て き た もの の 成 果 が 上 が っ た と は 言 い 難 い 。 お と な に はBMIが 適 応 され て い る が 成 長 途 上 に あ る 子 ど も に は 適 応 し に く い 指 標 で あ る。 子 ど も に は標 準 体 重 と の 比 較 に よ る肥 満 度 が 指 標 と して 用 い られ て い る。20%以 上 の 体 重 過 剰 を肥 満 と して い る が 筆 者 は 、 こ れ が 健 康 教 育 上 適 当 な ラ イ ン で あ る か 検 討 す る こ と も必 要 な の で は な い か と考 え て い る 。 図16に 学 校 保 健 統 計 調 査 に 基 づ く肥 満 傾 向 児 の 出 現 率 を1990年 と2004年 と を 比 較 して 示 した 。 6歳 か らユ4歳ま で の 小 学 生 、 中 学 生 を 男 女 別 に示 し た 。 い ず れ の 年 齢 に お い て も男 子 が 女 子 よ り 高 値 で あ る 。6歳 の 時 点 で 男 女 差 は ほ と ん ど無 い が8歳 以 降 急 激 に 増 加 して い る の が わ か る 。 肥 満 傾 向 児 は12歳 が 男 女 と も に ピ ー ク で あ る 。1990年 か ら の14年 間 で1.5ポ イ ン ト程 度 増 加 し て い る 。10歳 以 降 に お い て 女 子 が14年 前 の男 子 の グ ラ フ軌 跡 と合 致 して い る の も興 味 深 い 。 関 東 や 近 畿 な ど よ り東 北 地 域 に 肥 満 児 が 多 い の が 最 近 の 傾 向 で 、 都 市 部 に 多 く農 山 村 部 に 少 な い と い っ た か つ て の 傾 向 に 大 き な 変 化 が 起 こ っ て い る 。 図16 肥 満 傾 向 児 子 ど もの 肥 満 は お と な に な っ て 発 症 す る と 思 わ れ て い る生 活 習 慣 病 の 低 年 齢 化 に 拍 車 を か け て い る。高 血 圧 や 高 脂 血 症 、尿 糖 な ど も珍 しい こ とで は な い 。明 らか な過 食 が 主 因 で あ る 。朝 ・昼 ・ 夕 の3回 の 食 事 だ け で な く間 食 や 夜 食 な ど節 目 の 無 い 、 所 謂 ダ ラ ダ ラ食 い の 生 活 習 慣 こ そ が 元 凶 で あ る 。 外 食 を含 む 家 庭 の 食 事 や 生 活 全 般 の 改 善 を す る こ とが 大 切 で あ る が 、 学 校 給 食 につ い て は ど うだ ろ うか?学 校 給 食 は こ れ まで か ら厚 生 労 働 省 の 栄 養 所 要 量 が 改 定 さ れ る の を 受 け て 文 部 科 学 省 が 学 校 給 食 の 栄 養 所 要 量 基 準 を改 定 して きて い る 。2005年 に食 事 摂 取 基 準 の 改 定 が な さ れ 一15一
た が そ の 前 年 に 学 校 給 食 の 栄 養 所 要 量 基 準 が 一 部 改 定 さ れ て お り、 現 在 は そ れ が 継 続 さ れ て い る 。 か つ て は 国 全 体 の 栄 養 水 準 が 低 か っ た の で 学 校 給 食 が 栄 養 補 給 の 面 で 果 た す 役 割 は き わ め て 大 き か っ た 。 ミネ ラ ル や ビ タ ミ ン に お い て は 、 子 供 た ち が 摂 取 す べ き1日 量 の50%も の 量 が 基 準 化 さ れ て い た 。 しか し最 近 は カ ル シ ウ ム を 除 き1日 の1/3程 度 に お さ え ら れ て い る。 学 校 給 食 は 安 価 な 給 食 費 で 安 全 な食 材 を選 び 、 栄 養 基 準 を満 た し た 薄 味 の お い しい 食 事 で あ る と い う こ と は 大 方 の 評 価 で あ ろ う。 しか し少 な い 時 間 に 少 な い 調 理 員 に よ る大 量 の ク ッ ク サ ー ビ ス は 制 限 も多 く、 選 択 性 の 不 十 分 さ 、 ひ とつ の 副 食 に多 す ぎ る 食 材 、 短 す ぎ る 食 事 時 間 に よ る 早 食 い 助 長 、 和 食 に 牛 乳 飲 用 な ど食 文 化 無 視 、 母 親 の 食 の 外 部 依 存 助 長 、教 師 の 指 導 力(意 欲)不 足 な ど 、 様 々 な 問 題 を保 有 して い る 。 脂 質 摂 取 を 抑 制 した り調 理 法 の 幅 を広 げ る た め に も コ ン ビ オ ー ブ ン な どの 機 器 は 是 非 と も設 置 し た い 。 こ れ に よ っ て し っ か り摂 取 した い 魚 や 野 菜 な どの 焼 き物 や オ ー ブ ン料 理 、 蒸 し物 な ど も可 能 に な る 。 共 同 調 理 場 、 所 謂 給 食 セ ン タ ー の 場 合 、 こ れ らの 機 器 類 も か な り 設 置 され 始 め て い る が 、 学 校 ご と に 調 理 さ れ て い る単 独 校 で は 非 常 に 少 な い 。 単 独 校 方 式 は きめ 細 か な 調 理 ・対 応 が 可 能 な 一 面 、米 飯 に和 風 お か ず とい う献 立 調 理 に適 合 しに く い。1950年 、1960 年 頃 の 質 よ り量 主 眼 の コ ッペ パ ン に 洋 風 お か ず 中心 の 献 立 調 理 に適 合 した 平 釜 設 備 か ら脱 却 で き て い な い の で あ る 。 地 方 自 治 体 は お し な べ て 税 収 が 減 少 し、 年 間180回 程 度 稼 動 の 学 校 給 食 施 設 や 調 理 員 増 員 に お 金 を投 入 す る こ とは 難 し い 。1990年 代 まで は 省 コ ス トの た め に 単 独 校 方 式 か ら セ ン タ ー方 式 に集 約 化 さ れ る こ とが 一 般 的 だ っ た が 、 そ の 後 は 既 存 の 施 設 の ま ま 物 資 調 達 、 調 理 、 洗 浄 な どの 業 務 を委 託 化 す る 流 れ が ひ た ひ た と押 し寄 せ て い る 。 栄 養 豊 富 な 給 食 を10∼15分 で 残 さず 食 べ き る と い う こ と を長 年 続 け れ ば 早 食 い の 傾 向 に 陥 る こ と も否 定 で き な い 。 しか し学 校 給 食 だ か ら こ そ や れ る と い う こ と も数 多 くあ る 。 集 団 にお け る食 事 マ ナ ー の 習 得 や 苦 手 食 材 の 克 服 、 食 物 や 自 然 へ の 感 謝 と 畏 敬 な ど個 食 で は 得 ら れ な い 事 柄 が 付 随 して い る。 離 婚 な ど に よ る 単 親 家 庭 の 児 童 ・生 徒 も増 加 し て お り栄 養 職 員 や 調 理 員 が 心 の 支 え で あ る とい う事 例 も あ る 。 良 き に つ け 悪 し き に つ け 、 給 食 に 纏 わ る 思 い 出 が 学 校 生 活 の 思 い 出 で あ る とい う人 も少 な くな い 。 学 校 給 食 は こ れ まで 教 育 委 員 会 所 管 課 を 中心 と し た 閉 鎖 社 会 を維 持 し て きた 。 体 制 と して 外 部 か ら の 情 報 開 示 要 求 や 評 価 を受 け付 け て こ な か っ た の で あ る 。 こ うい う体 制 は 様 々 な 方 針 や 事 業 を 推 進 す る 上 で 効 率 よい 面 も あ る が 内 部 に お い て 問 題 解 決 能 力 を醸 成 出 来 な い 虚 弱 な 体 制 に 陥 る 可 能 性 も 大 き い 。 発 想 の 転 換 を 図 り外 部 か ら の 評 価 ・提 言 も受 け 入 れ 、 情 報 の 共 有 化 に よ っ て よ り よ い 学 校 給 食 の 実 現 に 努 力 し て い か な け れ ば な ら な い 。 4.ア レル ギ ー 性 疾 患 近 年 、成 人 に お い て は 花 粉 症 、 子 ど も に お い て は 喘 息 や ア トピ ー性 皮 膚 炎 な ど、 ア レ ル ギ ー 性 疾 患 に悩 む 人 が 増 加 し て い る。 子 ど も の 気 管 支 喘 息 は文 部 科 学 省 の 学 校 保 健 統 計 調 査 で 毎 年 調 査 さ れ て きて い る 。 図17に1980年 か らの 気 管 支 喘 息 の 子 ど も達 の 出現 率 を 男 女 平 均 で 示 した 。
図17 気管支喘息児出現率
幼 稚 園 児 、 小 学 生 、 中 学 生 、 高 校 生 の 順 に示 され て い るが 、 そ の 出 現 率 が 最 も高 い の は1980年 を 除 い て小 学 生 で あ る。1990年 まで は 、 ほ ぼ1%以 下 の 範 囲 に お さ ま っ て い た が 、 そ の 後 急 激 な 増 加 傾 向 を示 して い る。1980年 か ら2003年 ま で の 変 化 をみ て み る と 、 小 学 生 以 降 で7倍 に増 加 し て い る 。2005年 の 速 報 に よれ ば 幼 稚 園 児(5歳)1.58%、 小 学 生3.27%、 中 学 生2.67%、 高 校 生 1.71%と 小 学 生 の 罹 患 が 著 し く1980年 の8倍 に至 っ て い る 。 か つ て 喘 息 は 中 学 生 に な れ ば 治 る病 気 と言 わ れ て い た 。 しか し今 は 治 り に く く、 却 っ て 重 症 化 した り、 成 人 後 発 症 し、 著 しいQOL低 下 を 引 き起 こ す と い っ た 例 も多 くな っ て い る。 喘 息 の ほ か ア レ ル ギ ー 性 疾 患 と して ア トピー 性 皮 膚 炎 、 ア レ ル ギ ー 性 鼻 炎 、 ア レ ル ギ ー 結 膜 炎 な どが 知 ら れ て い る 。 こ の 中 で 重 篤 化 して 心 の 病 気 を も伴 う こ とが 懸 念 さ れ る ア トピ ー性 皮 膚 炎 に つ い て 述 べ る こ と とす る 。 ア トピ ー性 皮 膚 炎 は わ が 国 に お い て1980年 代 頃 よ り顕 在 化 して き た 疾 患 で あ る 。 少 し古 い 調 査 で あ るが 地 元 兵 庫 県 の 学 校 医 を 中 心 と した 全 県 に わ た る 大 規 模 調 査 が 行 わ れ た の で 紹 介 し た い 。 1988∼1989年 に 県 下 小 学 校76校 、 中 学 校48校 、 高 等 学 校17校 を対 象 に 実 施 さ れ て い る 。 児 童 ・生 徒 の 数 は 小 学 生36653人 、 中 学 生26784人 、 高 校 生19431人 と 非 常 に大 規 模 で あ る 。 学 校 の 養 護 教 諭 に対 し て 質 問 表 配 布 し 回答 を得 る とい う手 法 で 実 施 され た も の で 、 か な り精 度 が 高 い 調 査 と言 え る 。こ の 結 果 、ア トピ ー性 皮 膚 炎 で あ る と さ れ た 割 合 は小 学 生9.2%、 中 学 生7.0%、 高 校 生5.6% で あ っ た 。 喘 息 同 様 小 学 生 で の 有 病 率 が 最 も高 い 。 こ の 後 追 跡 調 査 が 実 施 さ れ て お れ ば ア トピ ー 性 皮 膚 炎 に 関 す る 秀 で た コ ホ ー ト研 究 に な る が 、 残 念 な が ら行 わ れ て い な い 。 対 象 人 数 は か な り 少 な い が1996年 に 学 校 保 健 会 に よ り全 国 規 模 の 調 査 が 実 施 さ れ て い る 。 全 国10都 道 府 県46校 の 調 査 協 力 校 を対 象 に 実 施 され て い る 。小 学 生1655人 、 中学 生1914人 、 高 校 生2919人 の う ち ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 と答 え た 割 合 は小 学 生21.5%、 中 学 生17.$%、 高 校 生17.2%で あ っ た 。1年 以 上 前 の 状 一17一況 も含 む 疾 患 の 有 無 に つ い て の 回 答 で あ る の で 兵 庫 の 調 査 と は や や 異 な る面 もあ る が 、 飛 躍 的 に 増 加 して い る こ とが う か が え る 。 ア レル ゲ ン と して は 家 ダ ニ 、 ハ ウ ス ダ ス ト、 花 粉 、 食 品 、 動 物 な ど 種 々 の もの が あ り、 紫 外 線 、 気 候(温 度)、 汗 、 対 人 関係 か ら生 じる ス ト レス な ど も症 状 悪 化 の 因 子 で あ る 。 こ の よ う に ア トピ ー性 皮 膚 炎 は 多 因 子 疾 患 で あ りそ の 治 療 は 皮 膚 科 的 、 ア レル ギ ー 学 的 に 行 わ れ て い る 。 症 状 に 応 じて ワ セ リ ン や 塗 布 薬 、 内 服 薬 な ど を う ま く併 用 し ス キ ン ケ ア ー を優 先 し衣 食 住 全 般 を シ ン プ ル ・ク リ ー ン に 心 が け れ ば 、 コ ン トロ ー ル は 可 能 で あ る 。 ま た 子 ど も の 成 長 に 従 っ て ア ウ トグ ロ ー 出 来 る こ と も あ る 。 しか し国 立 精 神 ・神 経 セ ン タ ー 精 神 保 健 研 究 所 の 安 藤 ら の研 究 に よ れ ば ア トピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 の う ち10∼20%が 皮 膚 科 的 、 ア レル ギ ー 学 的 治 療 に 不 適 合 を 示 す と さ れ て い る 。 本 稿 で は 既 存 の 診 断 ・治 療 だ け で は カ バ ー し きれ な い 今 日 的 側 面:心 身 医 学 か ら ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 を 捉 え 、QOLの 回復 や 治 療 に 貢 献 す る 目 的 の 研 究 を紹 介 す る 。 厚 生 労 働 省 の 心 身 症 研 究 班 は1990年 か ら ス タ ー ト し今 日 ま で 様 々 な 成 果 を あ げ て い る 。 特 に 1999年 ∼2001年 に は 診 断 ・治 療 ガ イ ドラ イ ンが 作 成 さ れ た 。2004年 に発 行 され た ダ イ ジ ェ ス ト版 に よ れ ば 慢 性 痺 痛 、 緊 張 型 頭 痛 、 偏 頭 痛 、 摂 食 障 害 、Functional Dyspepsia、 過 敏 性 腸 症 候 群 、 ア トピ ー 性 皮 膚 炎 、 気 管 支 喘 息 、 心 身 症 的 愁 訴 を有 す る不 登 校 が 心 身 症 疾 病 と され て い る 。 ア トピ ー 性 皮 膚 炎 の 心 身 医 学 的 診 断 基 準 はA狭 義 の 心 身 症 、B1ア トピ ー 性 皮 膚 炎 に 起 因 す る 不 適 応 、 B 2ア ト ピ ー性 皮 膚 炎 の 治 療 ・管 理 へ の 不 適 応 の3つ に 区 分 さ れ る 。 これ に 区 分 す る た め の 方 法 と して 問 診 、 心 理 テ ス トな どが あ る 。 こ の 問 診 時 な ど に 補 助 的 に 用 い られ る 一 種 の ア ン ケ ー ト調 査
に 心 身 症 尺 度(Psychosomatic Scale for Atopie Dermatitis)が 考 案 され て い る。
ユ.ス トレス が あ る と ア トピ ー 性 皮 膚 炎 が ひ ど くな る。 2.ア ト ピ ー性 皮 膚 炎 の た め に何 を す る の も面 倒 に な る 。 3.き ち ん と治 療 し て い る の に 、 ど う し て よ くな らな い の か わ か ら な い 。 4.怒 り を感 じ始 め る と痒 み が 強 くな る 。 ・ 5.ア トピ ー 性 皮 膚 炎 が あ る た め に 、 人 間 関 係 が 余 計 に難 し くな っ て い る 。 6.な ぜ ア トピ ー性 皮 膚 炎 の 症 状 が ひ ど くな る の か 説 明 が つ か な い 。 7.イ ラ イ ラや 不 安 を紛 らわ す た め に皮 膚 を掻 く。 8.な ぜ 私 だ け が ア ト ピ ー性 皮 膚 炎 で こ ん な に 苦 労 し な け れ ば な らな い の だ ろ う と 思 う 9.ア トピ ー 性 皮 膚 炎 の 症 状 が 悪 くな る の で は と不 安 で 薬 を使 い す ぎ る 。 10.く や しい こ とや 腹 が 立 つ こ と 、 悲 し い こ と を我 慢 して い る と痒 み が 起 こ る 。 11.ア トピ ー性 皮 膚 炎 が よ くな る ま で 自分 は 何 もで き な い と あ き らめ て い る 。 12,医 者 の 指 示 通 り に や っ て きた の に よ くな ら な い 。 13.ア トピ ー 性 皮 膚 炎 の た め 、 人 の 視 線 が 気 に な る 。 14.自 分 の ア ト ピー 性 皮 膚 炎 は 決 して よ くな ら な い と思 う。
の14の 項 目 が 設 け られ 、 そ れ ぞ れ に つ い て 該 当 す る程 度 を6段 階 で 答 え る よ う に な っ て い る 。0 点 か ら5点 ま で 評 点 を つ け 総 合 計 や 障 害 、 コ ン トロ ー ル 不 能 感 な どの カ テ ゴ リ ー 別 に合 計 を算 出 す る 方 式 で あ る 。 そ の 得 点 の 大 小 よ っ て 要 注 意 、 特 に 注 意 な ど の ラ ン ク分 け で 評 価 し治 療 に役 立 て る 。 心 身 症 的 ア プ ロ ー チ は患 者 の 閉 じた 心 を開 か せ 、 心 の 声 に傾 聴 し辛 さ に 共 感 す る こ と が 基 本 で あ る 。 医 師 や カ ウ ンセ ラ ー な ど と良 好 な 関 係 を築 い た 後 、 認 知 ・行 動 療 法 な ど を 試 み る の が 常 道 と思 わ れ る 。 子 ど もの 疾 病 も 医 学 の 進 歩 に よ っ て 治 療 効 果 が あ げ ら れ て い る も の もあ る が 、 都 市 化 、 核 家 族 化 、 少 子 高 齢 化 、 電 子 媒 体 ・情 報 氾 濫 な どの 現 代 的 環 境 に暴 露 さ れ て い る が 故 に 心 が 病 み 、 単 に 身 体 か らの ア プ ロ ー チ だ け で は 治 療 出 来 な い 疾 病 も増 加 して い る 。 花 粉 症 を は じ め と して 今 や 国 民 病 に な りつ つ あ る ア レル ギ ー 性 疾 患 に つ い て も 管 理 栄 養 士 ・栄 養 士 は 充 分 な知 識 を学 修 し、 人 間 性 を磨 きつ つ 、 集 団 だ け で な く栄 養 カ ウ ン セ リ ン グ な ど個 別 対 応 で 支 援 して 行 か な け れ ば な ら な い 。 5.食 育 2005年 は食 育 元 年 と い っ て も よ い 。2005年6月 に 食 育 基 本 法 が 公 布 され7月15日 に 施 行 さ れ た 。 前 文 、 第 一 章 か ら第 四 章 まで と 附 則 とか ら構 成 さ れ て い る。 前 文 に は わ が 国 の 食 の 現 状 、 健 康 上 の 課 題 と食 育 基 本 法 に 寄 せ る期 待 お よ び 制 定 理 由 が 述 べ られ て い る。 次 に そ の 抜 粋 を 示 した 。
食育基本法
前 文 抜 粋 二 十 一 世 紀 に お け る我 が 国 の 発 展 の た め に は 、 子 ど もた ち が 健 全 な 心 と身 体 を 培 い 、 未 来 や 国 際 社 会 に 向 か っ て 羽 ば た く こ とが で き る よ う に す る と と も に 、 す べ て の 国 民 が 心 身 の 健 康 を確 保 し、 生 涯 に わ た っ て 生 き生 き と暮 らす こ と が で き る よ う に す る こ とが 大 切 で あ る。 子 ど もた ち が 豊 か な 人 間 性 を は ぐ くみ 、 生 き る 力 を 身 に つ け て い くた め に は 、 何 よ りも 「食 」 が 重 要 で あ る 。 今 、 改 め て 、 食 育 を 、 生 きる 上 で の 基 本 で あ っ て 、 知 育 、 徳 育 及 び体 育 の 基 礎 とな る べ き も の と位 置 付 け る と と も に 、 様 々 な 経 験 を 通 じて 「食 」 に 関 す る 知 識 と 「食 」 を 選 択 す る 力 を 習 得 し、 健 全 な食 生 活 を 実 践 す る こ とが で き る 人 間 を育 て る食 育 を推 進 す る こ とが 求 め られ て い る。 も と よ り、 食 育 は あ ら ゆ る 世 代 の 国 民 に必 要 な もの で あ る が 、 子 ど も た ち に対 す る 食 育 は 、 心 身 の 成 長 及 び 人 格 の 形 成 に大 き な影 響 を 及 ぼ し、 生 涯 に わ た っ て 健 全 な 心 と 身 体 を培 い豊 か な 人 間 性 を は ぐ くん で い く基 礎 と な る も の で あ る 。 一19-一第 一 章 に は15の 条 文 が 配 さ れ 、 こ こ を 見 れ ば 食 育 基 本 法 の 骨 子 が 理 解 で きる 。 目 的 な どが 幾 重 に も述 べ られ て い る が 第4条 に は 、 食 育 推 進 は 国 主 導 で な く民 間 団 体 な ど多 様 な 主 体 の 参 加 ・協 力 で 、 地 域 特 性 に 応 じて 展 開 して い くこ と と さ れ て い る 。 食 育 は 学 校 教 育 に の み 委 ね られ た もの で な く家 庭 、 地 域 、 学 校 、 官 民 あ げ て 推 進 して い か な け れ ば な ら な い と い う こ とで あ る 。 時 同 じ く して 、 食 に 関 す る指 導 体 制 整 備 の た め に学 校 教 育 法 等 の 一 部 が 改 正 さ れ 、 栄 養 教 諭 制 度 が2005年4月 よ り開 始 さ れ た。 北 海 道 、福 井 、 高 知 な どで27名 の 栄 養 教 諭 が 任 用 さ れ て い る 。 大 学 な ど で 栄 養 教 諭 養 成 カ リキ ュ ラ ム に 基 づ い た教 育 は始 ま っ た ば か りで 栄 養 職 員 か ら の 職 種 転 用 で あ る 。 学 校 栄 養 職 員 は 第 二 次 大 戦 の 後 、 全 国 で 学 校 給 食 が 再 開 さ れ て 必 要 に せ ま ら れ 、PTA 雇 用 な どの 不 安 定 な 雇 用 態 勢 な が ら徐 々 に 増 え て い っ た 。1950(昭 和25)年 に は 全 国 で276名 で あ っ た が 、2004(平 成16)年 に は12138名 と な っ て い る。 小 学 校 に5566名 、 共 同 調 理 場 に3797名 、 中 学 校 に1315名 が 配 置 され て い る 。 特 殊 教 育 諸 学 校 を除 き児 童 ・生 徒 数 に 対 す る定 数 枠 が 定 め ら ・れ て お り1校1名 の 必 置 義 務 は 適 用 さ れ て い な い 。2010年 まで の 第8次 改 善 計 画 に よ れ ば 単 独 校 で 児 童 ・生 徒520人 以 上 に1名 と さ れ て い る 。 市 町 村 か ら県 費 職 員 へ の 切 り替 え が な さ れ た 昭 和 50年(1975年)当 時 、 単 独 校 で 児 童 ・生 徒2500人 以 上 に1名 で あ っ た こ と か らす れ ば 少 子 化 に対 応 して 改 善 さ れ て い る 。2004年 現 在 、 単 独 校 方 式 の小 学 校 で は 学 校 栄 養 職 員1名 で 平 均2.0校 を 、 中 学 校 で は1,9校 を担 当 して い る。 共 同 調 理 場 で は平 均4∼5校 を ユ人 で 担 当 し て い る。 栄 養 教 諭 は 教 育 職 で あ り行 政 職 な ど に 準 じ ら れ て い る 栄 養 職 員 と異 な り給 与 水 準 も高 く財 源 確 保 が 必 要 で あ る 。 経 験 を積 ん だ 学 校 栄 養 職 員 で あ れ ば 質 ・量 と も栄 養 教 諭 と同 様 の 活 動 が 可 能 で 、 栄 養 教 諭 配 置 の 必 然 性 が 感 じ ら れ な い 面 も あ る 。 ま た 学 校 給 食 の 委 託 化 と引 き換 え に栄 養 教 諭 任 用 が 行 わ れ る よ う な こ と も可 能 性 と して あ る 。 経 済 の 見 通 しが 明 る くな りつ つ あ る も の の 、 自治 体 の 財 政 状 況 が 大 き く好 転 す る こ とは 期 待 で き な い 。 今 後 の 学 校 給 食 の 運 営 や 栄 養 教 諭 の 任 用 な ど に つ い て 、 各 自治 体 の 考 え 方 が 問 わ れ る 時 を 迎 え て い る 。 文 部 科 学 省 の 食 に 関 す る指 導 目標 と か つ て の 筆 者 の 小 学 校 で の 指 導 の 様 子 、 栄 養 三 色 ソ ング を 示 して 本 稿 を 終 わ る 。