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スポーツのこれからを描く

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Academic year: 2021

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−9− 本学科が10周年を迎えた2018年度は、体育・ スポーツ界がその方向性を定める転機の年として 私たちの脳裏に刻まれると思っている。 ご存知のようにこの2018年は競技をまたいで いくつもの不祥事が明るみに出た。日本大学アメ リカンフットボール部における危険タックル問題 を皮切りに、相撲界では力士間の暴力事件から協 会内部の確執にまで発展した。体操界では師弟間 の体罰に端を発して協会内部の偏った権力構造が 浮き彫りになるなど、各問題あるいは事件が各メ ディアを通じて世間を賑わせたのは記憶に新し い。 これら一連の不祥事を「まさかこんなことが行 われていたなんて」と、青天の霹靂のごとく感じ た人は少ないだろう。「やっぱりそうだったか」 あるいは「そういうことってありうるかも」と、 薄々は感づいていた人が大半だったはずだ。2012 年に桜宮高校バスケットボール部での、顧問の体 罰により生徒が自殺するといった悼ましい事件が 起きたことが思い出され、「まだ続いていたか」 と落胆する人もいるだろう。 スポーツ界には言葉のそれを含む「暴力」が未 だ根強く残っている。この厳然たる現実をあらた めて再認識させられたのが2018年だった。悲し みや怒りを禁じ得ないのが私の素直な気持ちであ る。 これとは反対にグッドニュースもあった。 2019年1月25日、プロ野球横浜 DeNA ベイス ターズの筒香嘉智選手がアマチュア野球の指導方 法に関する記者会見を行った。指導者の暴言や罵 声、長時間にわたる練習、過密な試合日程など、 子どもを取り巻くスポーツ環境に疑義を申し立て た。旧態以前の指導方法がまかり通る極めて保守 的な野球界から、このような発言が為されたこと の意義は大きい。 また、言葉を含む「暴力」を、あってはならな いことだと前置きしつつも結局のところ容認する 態度を示すスポーツ経験者が多い中で、現役の トップアスリートが公の場で発言したことは注目 に値する。過去に指導者の「暴力」に耐え抜いた からこそ今の自分がいると捉えている同僚が多い 中で、こうした発言をするには相当な勇気が必要 だったと推測する。 さらに筒香選手は、ボーイズリーグ加盟の堺 ビッグボーイズという少年野球チームの副代表を 務め、多忙な日々の合間を縫って現場に足を運び 積極的に子供たちと接している。プロの世界とい う高みから高説を披瀝するだけでなく、現場感覚 を持ち合わせている点でも彼の発言には重みがあ る。 「新しい時代に対応して変わっているスポーツ もありますが、そうでないスポーツもあります。 僕は野球をやっているので、その立場から情報発 信をしていきたいなと思います。」 表向きには野球人口の減少を解消するという理 由がありつつも、それをはるかに超えて彼の視野 は他のスポーツに向けられている。 今季から米大リーグのシアトルマリナーズに移 籍した菊池雄星選手は、すかさず彼の呼びかけに 反応した数少ない一人だ。この発言を他人ごとと

スポーツのこれからを描く

平 尾   剛

神戸親和女子大学 発達教育学部 ジュニアスポーツ教育学科 教授 D11270_71002675_平尾.indd 9 2019/05/21 17:09:14

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−10− せず、自分も続かなければならないという趣旨の 発言をしている。彼に倣い、本学科もこの潮目の 変化を逃さずスポーツのこれからを創出していく 学生たちへの教育に真摯に向き合わなければなら ない。 指導のあり方や社会的な役割など、スポーツの これからを描くこと。これが10周年を迎えたジュ ニアスポーツ教育学科に与えられた使命であると 私には思われる。 D11270_71002675_平尾.indd 10 2019/05/21 17:09:14

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