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ハッブルの法則と宇宙膨張を理解するための模擬実験

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Academic year: 2021

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ハッブルの法則と宇宙膨張を

理解するための模擬実験

14s1-010

岡本 瑞己

12s1-057

中山 義紀

(2)

2

目 次

要旨

1. はじめに

1.2 宇宙膨張理論

1.2 ハッブルの法則

1.3 ドップラー効果

2. 実験

2.1. ドップラー効果の実験

2.2 膨張宇宙の一次元模擬模型

3. 参考文献

(3)

3 要旨 遠方の天体からの特定の光の波長はドップラー効果によって大きく赤い方にずれていて、 このことを赤方偏移と呼ぶ。その赤方偏移の大きさは天体までの距離に比例していること をハッブルが発見した。この、遠方の天体ほど速く遠ざかっているというハッブルの法則 から宇宙は膨張しているという概念が導き出され宇宙の進化の理解が大きく進むこととな った。本研究ではハッブルの法則の証拠となったドップラー効果を音を用いて検証するこ ととした。そして、1 次元の宇宙膨張を模擬する模型を用いて宇宙の膨張がハッブルの法則 を自然に説明することを実証する。

(4)

4 1 はじめに 1.1 宇宙膨張理論 1915 年、アインシュタインが相対性理論を発表、その後すぐにアインシュタインの重力 理論の研究をしていた物理学者や数学者はアインシュタインの方程式に膨張する宇宙を表 す解があることを発見した。一方、1929 年にエドウィン・ハッブルは多数の銀河の赤方偏 移の量と、距離を測定した。赤方偏移はスペクトルから求め、銀河の距離はセファイド型 変光星の明るさを用いて決められた。そしてハッブルは後退速度が銀河までの距離に比例 して増加していることをしめした。それがハッブルの法則でありこれは宇宙が実際に膨張 していることの観測的証拠となった。 ここ20 年程の観測の進展により宇宙は図1のような経過を経て現在に至ったと考えられ ている。 図1.現在考えられている宇宙の模式図 出典:http://www.physics.okayama-u.ac.jp/~ishino/index.html

(5)

5 1.2 ハッブルの法則 1929 年エドウィン・ハッブルとミルトン・ヒューメイソンによって発表された、我々か ら天体が遠ざかる速さとその距離が比例することを表す法則である。天体の後退速度をv、 天体までの距離をD とすると

v = 𝐻

!

𝐷

となる。ここで比例定数H0はハッブル定数と呼ばれ現在の宇宙の膨張速度を決める。ハッ ブルの法則の発表以来ハッブル定数をいかに正確に求めるかが長い間の課題であった。し かし、ここ20 年程の間で行われた各種の観測結果よりハッブル定数は精度の高い数値とな った。ハッブル定数の最新の値は、68km/s/Mpc と定められ宇宙の年齢も 138 億年とされて いる。 図2.遠法の銀河の観測に大きく貢献したハッブル宇宙望遠鏡 出典:http://www.astroarts.co.jp/news/2007/01/30hst_acs/index-j.shtml

(6)

6 1.3 ドップラー効果 観測者に対して相対運動している光源からの光の波長は静止時の本来の波長より偏移し て見える。この現象は光だけでなく音波など一般の波動にも現れる現象である。観測者に 対して視線方向に速さvで遠ざかる天体を観測したときに測定されるスペクトル線の波長 をλ、静止時の本来の波長をλ0、光速度をcとする。さらにλ-λ0=Δλとおくと、ドップ ラー効果によるスペクトル線の偏移は 1 +𝛥𝜆 𝜆 = 1 +𝑣𝑐 1 −𝑣𝑐 である。とくにv<<c の場合には

!"

!

=

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(1) となる。天体スペクトルに観測されるスペクトル線の偏移をドップラー効果によると仮定 したときの視線方向の速さを視線速度という。視線速度の測定は連星における各星の軌道 運動、脈動変光星、新星、不安定大気を持つ超巨星などの大気の運動、さらに銀河回転な ど運動をともなう現象の研究に重要な手がかりを与える。また恒星大気中の原子の熱運動 あるいは乱流運動によるドップラー効果によってスペクトル線に幅を生ずる。この幅をド ップラー幅という。

(7)

7 2 実験 2.1 ドップラー効果の実験 音のドップラー効果の検証をする装置として、次のようなものを用意した。まず、最速 1分間に4000回転する回転モーターに、回転を30分の1に減速するギヤが装着され た回転駆動装置を用意した。その回転装置の中心に、アルミの回転棒を取り付け、半径105 cm 先に音源を設置した。音源としては、800 Hz と 1200 Hz の音を発する小型サイレンを 用意した。そして、この音源回転装置から10メートルほど先にマイクを設置し、マイク からの電気信号を、アンプに通し、オシロスコープに入力できるようにした。最後にオシ ロスコープが持っている高速フーリエ変換(FFT)の機能を使い、音の周波数ごとの強度 分布をオシロスコープのディスプレイに表示した。図3が、そのドップラー効果実測装置 の概観写真である。この写真奥の方に見えているのが、回転中の音源、手前左が回転駆動 モーターの回転制御装置、手前右がオシロスコープのディスプレイ部分である。 ドップラー効果の実測実験では、モーターの回転数を毎分600, 1200, 1800, 2400, 3000, 3600, 4000 と7段階に変化させていき、それぞれに対する音の周波数分布を測定した。減 速ギヤで回転数は30分の1にしていることと、音源の回転半径が105 cm であることを考 慮すると、7段階の回転数に対応する音源の回転速度は、2.2 m/s, 4.4 m/s, 6.6 m/s, 8.8 m/s, 11.0 m/s, 13.2 m/s, 14.7 m/s と計算できる。この最大回転速度は、時速 50 km にもなり自 動車並みの速度になっている。 音源がある速度で回転しているとき、その音を横からとらえるマイクに対してはドップ ラー効果が働き、音源がマイクに近付いてくる時には音の周波数は高くなり、マイクが遠 ざかる時には低くなる。オシロスコープがFFT をするのにある程度の時間がかかるので、 そのFFT の結果は、音源が1周回転する時の、マイクに対するいろいろな角度でのドップ ラー効果が積分されたものとなる。その結果、その周波数分布は、音源が静止していた時 の周波数のまわりに、マイクに近付く速度が一番大きい時の高周波数までと、マイクから 遠ざかる速度が一番大きい時の低周波までに、両側に分布が広がる。7段階の回転数に応 じた、この周波数分布の広がりを測定すれば、観測者から遠ざかる(または、近づく)速 度に応じて、ドップラー効果による周波数偏移の大きさがどう変わるかを見ることができ る。 次の図4から図10には、モーターの回転数を7段階に変えていった時、オシロスコー プFFT 機能によって得られた、サイレン音の周波数分布が示されている。横軸が周波数で 左の端が0Hz になっている。縦軸は、周波数ごとの音の強さに対応する。そこに主に見え ているピークは、サイレン音が持つ、ほぼ800 Hz と 1200 Hz の周波数成分である。それ らの分布の幅が、回転数が上がるにつれて広がっていっているのがわかる。 2つの周波数成分のうち、1200 Hz(各図の右側の高い山)について、分布の中心から高 い側への幅をオシロスコープの目盛り単位ではかり、その結果をモーターの回転数に対し て図示したものが、図11である。測定各点は、左下の原点から、ほぼ直線にのっている

(8)

8 ことがわかる。すなわち、音源の近づく速度(または、遠ざかる速度)に比例して音の周 波数がより大きく偏移している。回転数が小さい方で少し直線から外れてきているように 見えるが、これは、もともとの音源の音の周波数に少し広がりがあるためであると考えら れる。 この周波数の偏移量ともとの周波数との比は、音源の接近(後退)速度と音の速度(音 速)との比になる。(式(1)で表されたドップラー効果による光の波長の変位量に対する 式を周波数に対する式に置き換え、光の速度を音の速度に置き換える。)図4から10を見 ると、1200 Hz に対応する中心周波数の目盛りはほぼ29になっている。一方、図11で 読み取れるように、回転数4000の時、周波数の偏移量は1.2 になっている。従って、周 波数の偏移量に対するもとの周波数の比は、1.2 / 29 である。それに対し、モーター回転数 が4000の時の回転速度は14.7 m/s と計算されているので、14.7 / (1.2/29) m/s の式で音 速を求めることができ、355 m/s の値を得る。20℃での音速はおよそ 344 m/s であるので、 オシロスコープの画面を読み取る精度等を考えると、矛盾のない結果が得られたといえよ う。 図3.ドップラー効果の実験の概要(この後方にマイクがある)

(9)

9 モーターの回転数・・・600

図4.ドップラー効果(600)

モーターの回転数・・・1200

(10)

10 モーターの回転数・・・1800

図6.ドップラー効果(1800)

モーターの回転数・・・2400

(11)

11 モーターの回転数・・・3000

図8.ドップラー効果(3000)

モーターの回転数・・・3600

(12)

12 モーターの回転数・・・4000 図10.ドップラー効果(4000) 図11.ドップラー効果のグラフ 横軸はモーターの回転数、縦軸はオシロスコープのメモリで読んだ周波数のずれである。 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 4000

(13)

13 2.2 膨張宇宙の一次元模擬模型 20世紀のはじめころ、遠方の銀河からの光が赤い方にずれて観測されることが発見さ れ、その光の赤方偏移を、(上で実証試験をした)ドップラー効果によるものと考えて、「遠 くの天体ほど速い速度で遠ざかっている」というハッブルの法則が導き出された。そして、 これが、アインシュタインの一般相対性理論を宇宙に適用した時に導きだされる「宇宙は 膨張している」という可能性を、観測的に実証することとなった。 一般相対性理論を宇宙に適用したときに基本となる考え方は、銀河や星があることによ る局所的なゆがみを平均して、宇宙を大局的にとらえると、宇宙には特別な場所も方向も ないという考え方である(宇宙の一様性と等方性)。そして、その基本の考え方の上に、一 般相対性理論を宇宙に適用した「宇宙のアインシュタイン方程式」と言われる式が導き出 される。そこでは、大局的にとらえた宇宙空間に固定した座標(ものさし)を考え、宇宙 に存在するエネルギーや物質の量によって、そのものさしが伸びたり、縮んだりする様子 が数学的に解かれることになる。その解として、宇宙は膨張しているという解が自然に導 かれる。 ここでは、一次元の宇宙を考え、一次元のものさしが伸びていったときに、「遠方の天体 ほど、より速く遠ざかる」ことを視覚的に理解し、また、ものさし上のどの点からみても、 そこからみて「遠方の天体ほど、より速く遠ざかる」ことになっていることを実感するこ とを試みた。そのため、一次元の宇宙を模擬した模型を導入した。 一次元宇宙模擬模型では、平行に引いた11本の鉄道模型のレールの上に11台の模型 車両を用意した。その様子は、図12で見ることができる。図12の左右の方向にレール が走っており、このレールの方向が、想定する一次元宇宙の一次元方向である。そして、 平行して走っている11本のレールそれぞれに11台の車両が置かれている。図12では、 右の端に置いた。1台の車両の上にはモーターが置かれ、そのモーターを回すとそのとな りの車両が動き、2台のレール方向の相対距離が広がる駆動装置が用意されている。図1 2でいうと、図の一番下の車両はその一つ上の車両を動かす。そして、その一つ上の車両 は、その車両の上に置かれた駆動装置を使って、そのさらに一つ上の車両を動かす。それ が、次々と繰り返されて、一番上の車両まで動かされるようになっている。この11台の 車両のいるレール上の位置が、いわば、一次元宇宙のものさしの目盛りに相当する。 さて、一番下の車両を固定して、この11台の車両の駆動装置を一斉に動かすと、一番 下の車両よりそのすぐ上が左に動き、その動いた車両の駆動装置によりそのすぐ上が左に 動き、・・・と次々と上の車両が動いていって、ある時間たった時の図が、図13 である。 一番下の車両から見ると、すぐ上の車両は左方向に少し動き、その上は少し大きく動 き、・・・と、上の車両になるほど大きく左に動いていることが見て取れる。すなわち、と なりある2 台の車両の 1 次元方向の間隔(ものさしの隣り合う目盛りの間隔)がいっせい に広がっていった結果として、一番右はしの目盛りから見ると、より遠い左はしの目盛り との距離はより大きく離れていっていることになっている。同じ時間幅の間に、目盛り間

(14)

14 の距離は動いているわけだから、距離が大きく離れていっている2 点間ほど、それらの分 離速度が大きくなっていることになる。すなわち、遠い目盛りほど、より速く遠ざかって いることになっているわけである。 次に、全車両をレールの左端に置き、一番上の車両を固定して、全車両の駆動装置を一 斉に動かす実験を行った。その最初の状態が図14 で、ある時間たったあとの図が図 15 で ある。ここでも、駆動装置が行っていることは、図12、図13 の時と同じで、それぞれの 車両はその一つ上の車両を左に動かそうとして装置を動かしている。しかし、図14、図 15 の場合は、一番上の車両を固定したので、一番上の車両位置からみて、より遠くにいる車 両は、今度は右により速く遠ざかることになっている。 さらに、全車両をレールの真ん中に設置し、今回は真ん中のレールの車両を固定し、ほ かは、前2 例と同じやり方で、全車両の軌道装置をいっせいに動かすことをしてみた時の 写真が、図16 と、図 17 である。ここでは、真ん中の車両から見て、それより上は左に、 それより下は右に、やはり、遠いものはより速い速度で遠ざかったことが見て取れる。 これらから、宇宙の膨張は、宇宙のどの場所から見ても同じように観測されること、す なわち、宇宙の膨張に中心があるわけではないことが理解できる。

(15)

15 図12.ハッブルの法則1-1

(16)

16 図14.ハッブルの法則2-1

(17)

17 図16.ハッブルの法則3-1

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18 3.参考文献

http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/d_phys/research/infrared-astronomy.html https://www.astroarts.co.jp/news/2007/01/30hst_acs/index-j.shtml

参照

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