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慢性疼痛患者の痛みに対する主観的評価と神経生理学的反応

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Academic year: 2021

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慢性疼痛患者の痛みに対する主観的評価と神経生理学的反応

金原一宏*,1),伊澤伸太郎1),寺田和弘3) 1)聖隷クリストファー大学,2)リハビリテーション中伊豆温泉病院,3)寺田痛みのクリニック 【はじめに】 我が国の臨床における疼痛評価は,患者自身が記載をする問診表形式が多い状況である.慢性疼痛患 者の評価では,多くが急性疼痛と慢性疼痛を同じ痛みとして扱い,適切な痛みの治療ができない状況で ある.慢性疼痛は,侵害受容の病的増大だけでは説明できず,脳内で生成される情動が痛みを強く修飾 し,中枢神経の可塑的な変化に至り発症する.慢性疼痛の原因は,中枢神経の可塑的変化であり,痛み の主観的評価が,どのように神経生理学的反応を反映するかを明らかにすることが重要になる. 【目的】 本研究の目的は,慢性疼痛患者の痛みの主観的評価(NRS,MPQ,PCS)と神経生理学的反応(GSR, NIRS) の関連を検討するため,痛みの主観的評価が,神経生理学的反応をどのように反映するかを明らかにす ることである.痛みの主観的評価と神経生理学的反応の関連を分析することは,中枢神経レベルの痛み の情報伝達機構を評価できる可能性がある. 【方法】 対象は慢性疼痛患者 29 名で痛みの不安を基準とし,痛みの高値群と低値群の 2 群に分けた.測定プ ロトコルは,セミファーラー位で,安静 4 分の後,実験で施行する右前腕部に定量の痛み刺激(電気刺 激装置)を与え,対象者は痛みを経験する.その後,痛み刺激を 1 分ごとに,3 回与え測定を終了する. 測定終了後に主観的評価測定(アンケート:Numeric Rating Scale :NRS,McGill pain questionnaire: MPQ,Pain Catastrophizing Scale:PCS)を行い実験終了とした.実験を通して,神経生理学的反応測 定を行った.神経生理学的反応は,大脳辺縁系活動(扁桃体)の指標となる皮膚電気抵抗(Galvanic Skin Response:GSR) (MP100 BIOPAC Systems 社製)と,不安,恐怖の認知に関連する眼窩前頭前野領域の Oxy-Hb 値(情動反応と関連)(光トポグラフィ装置 ETG-7100 日立メディコ社製),Heart Rate Variability (HRV)を測定した.なお,本研究は聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認を得て実施した. 【結果と考察】 慢性疼痛患者の特徴は,低値群では GSR と破局的思考である PCS 反芻で関連を示し,高値群では GSR と NRS 痛み強度,NRS 痛み不安,NIRS と PCS 無力感,MPQ 評価的要素と関連があった.慢性疼痛患者の脳 活動は,これまで長く痛みを感じていることで,すでに脳の可塑的な変化を生じている可能性が高く, その要素は感情的要素や破局的思考が痛みの主要因であった.今回の痛み刺激は急性疼痛であったが, 痛みは痛みの脳関連領域である Pain Matrix で処理され,これまでの痛み経験をふまえ認識したと考 えられ,PCS との関連を示した.MPQ 評価的要素は,慢性疼痛患者の NIRS と関連があった.ゆえに慢性 疼痛患者の主観的評価における神経生理学的反応の特徴について,慢性疼痛患者は,破局的思考を中心 とした項目が関連を示した. 【結論】 本研究は,慢性疼痛患者の痛み刺激に対する神経生理学的反応と主観的評価との関連を分析した.主 観的評価と神経生理学的反応に関連した項目は,中枢神経系の可塑的変化と関連があり,本研究から得 られた主観的評価の MPQ 評価的要素,PCS 反芻,PCS 無力感,NRS 痛み強度,NRS 痛み不安の項目は,慢 性疼痛患者の神経の可塑的な変化を示す評価になり得ると考えられた.

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