• 検索結果がありません。

通報に関する統一窓口(ROC:Ritsumeikan Open Counter(仮称))設置および処理・教訓化システムの構築

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "通報に関する統一窓口(ROC:Ritsumeikan Open Counter(仮称))設置および処理・教訓化システムの構築"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Ⅰ.研究の背景

1.大学をめぐる学生・大学院生・父母・校友・教職員 に関わる問題の多様化と現状 (1)問題となる事象 大学をはじめとする高等教育機関では、学生・大学院 生・父母・校友・教職員(以下、ステークホルダー)の 各構成員それぞれに、問題となる事象が発生することが ある。これまでのマスコミの報道などから、その対象と なる事象を概観すると、学生や大学院生では、①講義内 容やレベル、私語問題など、講義や教員に対する不満、 ②窓口対応、電話応対、質問に対する回答の質の低さな ど、事務室(窓口)や職員に対する不満、③盗用やデー タ改ざんによる論文作成・研究発表など教育研究の環境 における不正、④ハラスメント、⑤学内での暴力や恐喝、 強要などの犯罪行為、⑥有害物質などの紛失・放置や環 境汚染などが上げられる。 また父母では、子弟である学生・院生が受ける先述の ような事象のほか、大学に関する噂や風説や、個人情報 の取り扱いに関する問題などが推測される。校友では、 大学に関する新聞等の報道内容や大学の様々な取り組 み、各種校友組織で見聞きする問題に対する提言や提案、 苦言的な問題があげられる。教職員では、補助金などの 公的資金の不正使用問題をはじめとして、ハラスメント 問題、個人データ・重要データの流失、人事労務問題や 業務上行われる不正・不適法・犯罪行為などのほか、内 部にいてこそ知る情報が錯綜することによる混乱も問題 の一因となると考えられる。 これらの事例は本学が組織体である限り、発生しない とは保障できない状況にある。 (2)問題への対処の現状 上記のような問題に関して、一般的には、ステークホ ルダーそれぞれが、関連部課、窓口に連絡したり、報告 Ⅰ.研究の背景 1.大学をめぐる学生・大学院生・父母・校友・教 職員に関わる問題の多様化と現状 2.一般社会、民間企業における状況 3.大学における「通報窓口」「通報制度」の必要 性 Ⅱ.研究の目的 Ⅲ.研究の方法 Ⅳ.研究内容 1.他大学等に関する調査 2.民間企業における「お客様窓口」の仕組みの調 査 Ⅴ.政策提起 1.前提 2.統一的窓口の設置と処理システムの構築につい て 3.統一窓口としての通報受付窓口の設置と問題解 決 4.問題解決担当(者)を中心とする問題解決シス テム 5.結果・経験・教訓の情報収集と教訓化 Ⅵ.研究のまとめ Ⅶ.残された課題

通報に関する統一窓口(ROC:Ritsumeikan Open Counter

(仮称)

)設置および処理・教訓化システムの構築

真島 國浩

伊藤  昇

前田 秀敏

櫻井 裕美

総 務 課 課 長

総 務 部 次 長 大学行政研究・研修 センター専任研究員 総 務 課 課 長 補 佐

論文

(2)

したりする。しかし、ステークホルダー自身が、当初か らその問題の解決を期待せず放置すること、連絡するこ とに付随する手続きの面倒さなどから連絡や報告をしな い場合も想定できる。具体的には、学生の場合、事務室 には言いにくい、ややこしい問題にかかわりたくない、 面倒だ、卒業するまでの辛抱、卒業できればいい。父母 や校友に関しては、連絡してもしょうがない。教職員に ついては、自分には関係ない、上司ににらまれたくない、 問題提起してもとりあげてもらえないのではないか、本 当にこれが問題であるのかどうかわからない等の意識が 報告、連絡を躊躇させることにつながると考えられる。 また、問題の内容が複雑でどの窓口に相談、連絡したら よいかわからない状況もあると考えられる。 一方で、連絡、報告がなされた場合でも、その連絡・ 報告を受けた個々の者によって、その問題の質的評価に 差があり、その反応や対応が異なり、大学としての統一 的な対応ができない状況という問題もある。例えば、受 けた者が聞いただけにとどまり放置する可能性、適切な 部署へ連絡、報告された場合でも対処方法が決められて ないため解決が先送りされたり放置されたりする可能性 がある。 (3)問題の「潜在」から「顕在」への転換 連絡、報告しない場合はもちろん、連絡報告した場合 では、大学から明確な問題に対する「回答」・改善が得 られなければ、潜在的な大学への不満、不信として長く 記憶されることになる。これらの記憶や経験がやがて社 会的評価に影響する可能性もはらんでいる。 さらに、このような問題の対処の現状は、大学への連 絡、報告を諦め、外部(文部科学省などの所管省庁やマ スコミなど)へ通報させてしまうということになること も考えられる。 2.一般社会、民間企業における状況 このような問題は大学にだけ限られたものではない。 三菱自動車の欠陥隠しや東京電力原発点検記録改竄、雪 印・不二家の食品管理問題、多数の企業による賞味期限改 ざん問題等はまだ記憶に新しい。これらの企業は、内部告 発によって事件が発覚し、経営に壊滅的な打撃をうけた。 一連の不祥事を受けて、民間企業では、近年、CSR (Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)や コンプライアンス(Compliance、法令遵守)、そして企 業倫理基準という概念を意識的に経営に取り入れてい る。それは、企業は企業単体で存在しえるものではなく、 社会の一員として社会に対し責任があり、社会規範や社 会の倫理観にあった経営、法令を遵守した企業活動を行 わなければ、企業として経営を維持できないという認識 からである。 いくつかの企業は、企業活動のなかで社会的責任や法 令遵守を担保するため、不正や不法行為が行われないよ うにするため危機管理体制を強化している。具体的には、 内部統制の機能と体制を強化し、問題を早期に発見し解 決して社会的責任をはたし、経営に対する影響をできる 限り少なくするため、内部告発制度や内部通報制度を整 備する企業が増えてきている。また、国も会社法の改正 で内部統制を企業に要求し、内部告発者や通報者を保護 する「公益通報者保護法」を制定し、CSR や企業のコン プライアンスの確立を要請している。 また、企業の不祥事だけでなく、欠陥製品や製造物責 任(PL 法)など、ステークホルダー(主には株主や顧客) の意見や要望、クレームに対する対応の「間違い」によ って、企業がその価値を下げ、結果として企業の信頼と 存続が危ぶまれることがおこっている。とくに顧客満足 度を重要視する企業は、「お客様窓口」を設置し、顧客の 不満や苦情を集約し、迅速に処理し、顧客ロイヤリティ を高めるとともに、それらを集約し、商品、サービスの 改善や付加価値を高めることに利用したりもしている。 3.大学における「通報窓口」「通報制度」の必要性 上記「2.」のような、企業におけるその存続を危う くするような危機の状況を大学に引き寄せて考えると、 外部的な要因による志願者の大幅な減少による財政的危 機を除くと、大学が組織ぐるみで大掛かりな不正行為を 行い情報を操作しそれを隠蔽すること、あるいは大学教 育の質が確保できず、進路就職といった卒業生の将来展 望が全く確保できないような場合に限ると考えられる。 しかし、大学においては、社会的評価のために利益操作 を行う必要性がなく、毎年入試による社会的評価の「洗 礼」をうけ、教育研究と経営という牽制的、分権的組織 構造であるため、大学が組織ぐるみで不正行為を行った り、進路就職が確保できないほどに教育の質が低下する ような重大な問題が突然顕在化することは考えにくい。 もちろんそのようなことが全く発生しないとは言い切れ ないが、一つの大きな問題がある日、突然、発生して大

(3)

学の存続が危うくなるというよりも、複数の不正行為や 教育の質の「低さ」の問題が重複若しくは連続して発生 することにより、ステークホルダーの潜在的不信が顕在 化し、社会的評価や評判を低め、志願者減、定員割れを 招き、それがさらに社会的評価、評判を低めるという負 のスパイラルにより、徐々に大学の存続が危うくなると いうことのほうが、実態であると考えられる。 こうした現実から、大学の危機管理は、たった1つの 事件、事故により決定的に大学の存続が否定される危険 の予防と対策を検討することも重要ではあるが、不正行 為や教育の質の「低さ」に至る問題を発生させないよう にすること、さらにはそれらの問題が重複し、あるいは 連続して発生し、それが継続的に進行しないようにする ことに焦点を当てるべきであると考える。 一つの重大事故の裏には 29 の軽度の事故があり、そ の裏にはヒヤリ・ハッとする出来事が 300 ある(ハイン リッヒの法則1))といわれている。この法則を敷衍する と、29 の軽度の事故と 300 のヒヤリ・ハッとする出来事 をどのようにつかまえ、どう的確に解決し、再発しない ようにするか、さらにそもそもそのような問題が起こら ないよう抜本的に改善・改革するかが重要である。また、 そのことが大学の存続が危ぶまれる社会的評価や評判の 失墜という、「一つの重大な事故」を防止あるいは予防 することにもなる。 以上から、大学の危機の芽を早い段階でつみ、一段高 い教育と研究の質の追求へむかっていくための内部統制 制度の確立と、発生した問題を迅速に把握し、的確かつ 迅速に、また組織的、統一的に解決するための制度の確 立が必要と考える。前者の内部統制制度については、す でに現在学園において「監査に関する検討委員会」を立 ち上げ、内部監査(内部統制)について検討をおこなっ ている。具体的には、業務を執行する者と業務を監査 (監視)する者を分離し、それぞれの責任を明確にする ことや、その監査により実行性をもたせるためのチェッ ク体制の確立などを中心に議論を開始している。 このため、本研究は後者に焦点をあてる。後者の部分 は、大学では「ヒヤリ、ハッとする出来事」の処理、あ るいは解決が中心となるので、企業における「内部告発 制度」「内部通報制度」の要素を入れつつ、「お客様窓口」 制度に近い考え方を中心に考えた方が実情にあい、かつ 実効性があり、日常的に教育研究、管理運営の改善・改 革につながると考える。さらに言えば、それらの解決・ 改善の中で、教職員がステークホルダーの視点、特に学 生・大学院生の視点と父母・校友などのネットワーク形 成・社会的評価の視点から、日常の自己の業務を点検、 見直し、自発的に改善・改革をしていくことが期待され る。この自発的な改善・改革こそが、「危機」の組織的 防止、予防の力であると考える。そのために、問題の発 生から解決までの過程や方法を通じて得られる経験や教 訓を教職員で共有化し、自分の業務に反映させることが できるような仕組みを検討する必要がある。

Ⅱ.研究の目的

学生・大学院生・父母・校友・教職員が問題を感知し たときに、その問題を容易に通報・報告できる窓口 (「通報窓口」)を設計するとともに、通報された問題に 対する適切な対処・対応システムを構築する。 また、問題を対処・対応する過程や結果を通じて得ら れる経験や教訓等を共有化するシステムを構築する。

Ⅲ.研究の方法

1.他大学等に対する調査 (1)訪問調査(京都大学・日本大学) (2)資料調査(福井大学) (3)日本私立大学連盟のアンケート調査 2.民間企業における「お客様窓口」の仕組みの調査

Ⅳ.研究内容

1.他大学等に関する調査 研究をすすめるにあたって他大学を調査したところ、 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラ イン(実施基準)(2007 年2月 15 日)」により公益通報 制度が本格的に設置され始めようとする前であったた め、公益通報制度を設置している大学もさほど多くない 状況であった。2007 年 11 月 15 日の文部科学省への公的 研究費の管理・監査の実施状況の報告を前に急遽設置す る大学が増えてきている。それも、公益通報に関するも のがほとんどであり、本研究の目的である学生や院生の 不平不満や苦情あるいは意見を専門に受付けるような窓 口を設置しているところはほとんどなく、いくつかの大

(4)

学が検討課題として置いている状況であった。 (1)日本大学 訪問日: 2007 年7月 10 日(火) 訪問部署:総務部総務課 応対者:総務課長・法務課長 内  容 ①公益通報制度について ・公益通報者保護法の制定に合わせて内閣府が用意し ている公益通報者保護法の制度案を利用して設計し た。 ・学内規程ではなく総務部作成の内規として作成し、 運営状況を見て規程を検討する。 ・公益通報者保護法の主旨が、善意の通報者を保護す るためのものであることから、従来の窓口を活用す ることを第一に考えた。また、窓口を一つ決めておく ことで通報しやすくなると考え、人権相談室に窓口を 設置した。その窓口は、本部などの目に付きやすい場 所や通常教職員が利用しないような場所ではなく、教 職員が健康診断で利用する建物内におき、そこに当該 教職員がいることがなんら不思議でない場所とした。 ・応対の担当は総務部が行い、総務課長・法務課長や 人権相談室長など複数名を配置した。 ・調査は調査チームで行い、総務部長が調査開始の判 断者である、また通報者への通知は総務部からおこ なう。是正措置の指示は総務部から直接おこなうの ではなく機関会議などを通じて勧告する。 ・年5∼6件の通報・相談がある。内容は研究費や経 理関係、人事関係となっている。通報内容に対する 調査の必要性と不正の目的を持った通報を防止する ため、匿名通報はできるだけ避けるように呼びかけ ている。 ②学生相談センターについて ・全学の機関として学生相談センターを設置し、各キ ャンパスからの相談内容を集約する。 ・各キャンパスに配置されている保健室がそのキャン パスでの窓口となり、学生からの相談を受ける。カ ウンセリングの必要な相談が多いため保健室として いる。 ・学生が認知したコンプライアンスに関する問題は、 学生から直接上記公益通報窓口に通報させるのでは なく、学生相談センターや保健室に通報させ、一度 職員というフィルターを通してから公益通報サイク ルにのせる方法をとっている。 ③他の制度との関係について ・ハラスメント問題は別途人権相談室にハラスメント 関連の相談室を設置している。 (2)京都大学 訪問日: 2007 年6月 12 日(火) 訪問部署:業務監査室 応対者:業務監査室事務局長(課長) 内  容 ①公益通報制度 ・国の公益通報者保護法の制定に合わせて基本的に国 の制度案を利用して設計した。(2006 年4月) ・窓口は業務監査室におき、責任者を総務担当理事と している。調査は、業務監査室が実施する。ただ財 務関連の場合は財務部門、労務・人事関係の場合は、 その部門の担当者が調査等に参加することもある。 ・この1年間で5件ほどの通報があった。内容は研究 費と人事に関することであった。 ・学生、院生は公益通報者保護法には予定されていな い対象者であるので、積極的に広報などを通じて通 報などのアナウンスは行っていない。ただ学生・院 生から不正に関する通報があった場合は、排除はせ ず対応する。 (3)福井大学(資料調査) 3学部(教育地域科学部、医学部、工学部)3研究科 (教育学部研究科、医学系研究科、工学研究科) 学生・院生数:4,956 名 教職員数:1,416 名(内職 員 798 名)(07 年5月) 「何でも相談窓口」の設置 ・2005 年に設置。学生自らの行動を待つ体制から、 積極的な窓口開設を検討。 ・学生の履修、学生生活、生活上の問題、就職、進路、 人間関係、ハラスメントなど日常生活の中でいろい ろな問題を受付ける ・学生だけでなく教職員や保護者、一般の方からの相 談や問い合わせを受付ける。 ・「何でも相談窓口」は職員(2名)、学生の協力に より運営(2005 年開設当初) ・窓口で受けた相談等は、内容に応じて対応する部課

(5)

や相談室、教員等へつなぐ。 2006 年度後期(半年)の受付状況は、のべ 3,027 名(月 平均500名程度)で、その多くが学生や保護者からの奨学 金の相談や施設借用の申込、学校施設の利用案内、教職 員の施設備品貸与関連のとなっており、コンプライアン ス問題は1件となっている。相談される内容から見ると、 福井大学で設置されている「何でも相談窓口」は、本学 における学生センターや学部事務室(学びステーション) や保健センターなどでおこなわれている相談事項や質問 対応の一次的受付窓口も担っているようであり、本研究 が予定している窓口機能は付随的なもののようである。 (4)私立大学連盟:「情報公開、公益通報者保護法等 コンプライアンス(法令遵守)への対応に関するアン ケート」の抜粋 (2007 年1月 15 日) 124 校中 77 校の回答(62.1%) ①公益通報者保護に関する規程の有無 調査当時の状況としては、3割の大学で公益通報者保 護制度を設置もしくは検討する段階であった。現在、 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラ イン(実施基準)(2007 年2月 15 日)」の関係で、ほと んどの大学で設置されていることが考えられる(図1)。 ②対労働者の通報窓口の所管部署 対労働者(教職員)の通報を受け付ける窓口の設置部 署としては、人事部門が多い。これは、多くの労働者が 受ける不正が人事や労務関係に集中することが考えられ るため窓口もそこにおいているものと考えられる。 一方、業務監査部門に置く大学も多い。これは、公益通 報を処理していく上では、客観的に第三者的に解決する必 要があり、業務監査室は、大学内部ではあるのだけれども、 客観的な立場から業務を見ることができるからだと考えら れる。なお、総務部門は「その他に含まれている(図2)。 ③対学生・大学院生の通報窓口の所管部署 対学生・大学院生の通報窓口の所管部署は、主に学生 の活動をサポートする部課である学生生活関連部署が多 い。先の日本大学のように学生相談センターの職員のフ ィルターを通してから公益通報のルートに乗せるという 手法をとるところが多いと考えられる。 また、対労働者(教職員)と同じ人事窓口や業務監 査窓口で公益通報を受け付けるところも一定数あること が読み取れる(図3)。 ④公益通報保護制度の学内周知方法 周知方法としては、ホームページが一番多い。またチ ラシなど紙媒体による周知も多いことがわかる(図4)。 対労働者の通報窓口の所管部署 30.4 30.4 21.7 0 10 20 30 40 a. 人事所管部局 b. 業務監査所管部局 c. その他 % 図2 対労働者の通報窓口の所管部署 対学生・大学院生の通報窓口の所管部署 21.7 13.0 4.3 8.7 21.7 0 10 20 30 a. 人 事所管部 局 b. 業 務監 査所管部 局 c. 学 生生活 ・厚生 所管 部局 d. 学 生相 談所管部 局 e. そ の他 % 図3 対学生・大学院生の通報窓口の所管部署 公益通報者保護に関する規定の有無 d.規程等はない 70.1% a.規程がある 7.8% b.整備中 22.1% c.内規はある 0.0% 無回答 0.0% 図1 公益通報社保護に関する規程の有無 公益通報者保護制度の学内周知方法 8.7 30.4 26.1 21.7 34.8 0 10 20 30 40 a.ポ スタ ー掲示 b.チ ラシ 等配 付 c.ホー ムペ ージ 掲載 d.そ の他 の方法 e.周 知し てい ない % 図4 公益通報保護制度の学内周知方法

(6)

⑤通報の受付方法 通報をどのように受け付けるかでは、あらゆる手段を 用いて通報をしてもらえるように受付方法を準備してい る(図5)。 どの受付方法が多く利用されているか、またそれぞれ の受付方法の長所短所を調査し、この後の改善とする必 要があると考える。 ⑥ハラスメントや個人情報保護の問題 私立大学においては、ハラスメントや個人情報保護の 問題を中心に検討がすすんでおり、多くの大学が取り組 みを行っている状況である。一方で「公益通報者保護」 に関する取り組みは遅れているのが 2007 年1月段階で の状況であった。 2.民間企業における「お客様窓口」等の仕組みの調査 (1)「お客様窓口」から問題解決まで(A社:製造業) ①お客様窓口と公益通報窓口 お客様窓口は、自社製品を購入した顧客が、製品や自 社社員の対応などに対して苦情や意見を受付ける窓口で ある。公益通報窓口は、自社の従業員や派遣労働者、取 引先の従業員が、自社の役員や従業員の不正(法令違反) 行為について通報する窓口である。もちろんお客様窓口 から法令違反行為が発覚することもあるが、2つの窓口 は物理的にも機能的にも別である。 ②お客様窓口における問題解決に向けたシステム お客様窓口で受けた苦情や意見は、窓口の統括責任者 に集約され、その内容により処理をする。内容が社員の 対応や電話応対等の対応の不手際問題は、所属部署の上 司に報告し、対処することになる。必要に応じて苦情の 内容を社員で共有化し注意喚起をおこなう。 自社製品の重大な欠陥につながる苦情や意見について は、社長直轄の問題解決会議(仮称)を開催し対応方針 の指示を受ける。解決に向けて検討を開始する場合は、 お客様窓口部門に設置している問題解決担当がリーダー シップを発揮して、問題の洗い出しおよび解決の方策を 関係部門とともに検討していく。 ③問題解決担当者 問題解決担当(者)は、問題解決のプロセスの中で、 お客様の立場にたちつつプロフェッショナルとして対応 をすることができる各部門での業務経験を有するもので 構成されている。 (2)お客様からいただいた苦情や意見の解決と共有方 法(B企業:サービス業) ①お客様に対する解決後の対応 お客様窓口で受付けた苦情や意見について社内におい て一定の解決や解決方針を見出したときは、可能な限り 連絡をいただいたお客様に連絡し直接説明をする。また 改善に関する意見等は、連絡をいただいたお客様への連 絡とともにホームページや機関紙等で顧客一般に広報す る。 ②社内への共有化方法 お客様からいただいた意見や苦情などは、すぐに社員 で共有化できるようイントラネットを構築している。接 客中にお客様に指摘された点や意見、苦情などは、イン トラネット内の専用ページに書き込み、その情報をタイ ムリーに全社員が読むことができる。あわせて、社内報 を活用し、お客様の意見をまとめ社員に配布している。 通報の受付方法 4.3 73.9 65.2 65.2 73.9 65.2 0 20 40 60 80 a.電話 b.メール c.ファックス d.手紙 e.面談 f.その他 % 図5 通報の受付方法 材料仕入 部門 製造部門 営業部 販売部 商品開発 部門 共 同 し て 問 題 解 決 ・ 改 善 企画部門 社長 問題解決会議(仮称:社長直轄)月1回開催 お 客 様 窓 口 お 客 様 問 題 解 決 担 当 ︵ 2 ∼ 3 人 の チ ー ム ︶ で 行 動 苦 情 等 等 図6 お客様窓口の構造(A社の場合)

(7)

Ⅴ.政策提起

政策のイメージは図7の通りである。 1.前提 この調査研究を開始した以降に、2007 年7月から新 しく立命館大学ハラスメント防止体制が発足した。また 研究者の研究費等の不正使用防止のための新しい体制が 構築された。現在、公益通報者保護法に基づいて新しい 制度・規程等の検討がすすめられている。今回の政策提 起は、こうした制度および今後構築されるであろう制度 との連携を前提としている。

2.統一的窓口(ROC:Ritsumeikan Open Counter(仮 称))の設置と処理システムの構築について (1)大学が日常的に、かつ早期に学生や大学院生等 に発生している問題を把握し、学内のイニシアチブに よって解決するためにも、容易に、かつ安心して通報 できる窓口およびシステムを構築する必要がある。そ のため、以下の点を満たす窓口およびシステムの構築 を目指す。 ①通報しやすい通報窓口および対応・処理システム ②組織として適切かつ統一的に対応・処理できるシス テム ③対応・処理方法が明確なシステム (2)処理システムを担う部門として、常務理事(総 務担当)または総務部長の下に、通報受付窓口、問題解 決担当、情報収集部門を置く、各部門には統括する責任 者として専任職員を置き、必要な人数体制で業務をおこ なう。 3.統一窓口としての通報受付窓口の設置と問題解決 現在、ステークホルダー、特に学生の苦情や意見など を聞く窓口は学部事務室や学生部の窓口など複数存在す る。連絡通報する者が問題の内容によって窓口を特定し 連絡通報することは、その問題分野の担当として問題解 決に向けて直接性と即効性と専門性が発揮でき大変有効 である。しかし、いままでならば問題とされてこなかっ た事項が問題として取り上げられるようになってきてい ることや、発生する問題が複雑化し、また複合的に発生 することが多くなり、相談、連絡しようと思う者が容易 に連絡窓口を特定することが難しくなってきている状況 もあると思われる。そのために、各セクションにおかれ た各窓口のほかに、ステークホルダーが意見や苦情など 問題を内容に関わらず連絡・相談できる統一的窓口とし て通報受付窓口を設置する。 企業の「お客様窓口」のように、問題の内容に関わら ず連絡・相談できる統一窓口を設置することで、ステー クホルダーに開かれたチャンネルが増える。そのことに より学生等は自分の抱える問題を解消する手段が増え、 またどこに通報すべきかと思案する必要もなく容易に連 絡相談することができる。一方で、問題の連絡、通報を 受ける大学にとっては、複合的な問題を統一窓口で受け ることによって単独の部課ではなく関係する複数の部課 での解決にむけて受付段階で判断し行動することができ る。また窓口で判断して処理をしていくことによって、 誤って問題を所管する部課以外の窓口へ連絡相談される ことを避けることができる。 (1)通報受付窓口の設計 ①窓口設置場所 統一した通報・相談窓口は、学内に置き職員が担当す る。学生や大学院生などの相談のしやすさを考えキャン パスごとに置くことも検討する。有効窓口の設置場所に ついて問題になるのは、教職員の問題通報窓口である。 学内教職員が通報を受けると、通報者である教職員にと って顔見知りに通報することになり、通報しにくい。し かし、高等教育内容に精通した者を大学外部に確保する ことは困難であること、外部に通報窓口を置くというこ とは、学内では処理できないことを公にしているのと同 じことであること、匿名を含めたさまざまな方法により ハラスメント 防止委員会 学生 大学院生 校友 父母 教職員 教訓・経験の共有化 受付窓口 学生部 教学部 公益通報 理事長・総長 関連部課 問題解決 担当 政 策 提 起 な ど を 通 じ て 解 決 人事課 常務理事(総務担当) 総務部長 結果・経験・教訓 教職員 情報収集 部門 常任理事会・常務会・部次長会議 など 図7 通報窓口と対応システム(案)

(8)

通報を認めること、国が定める「公益通報者保護法」を 受けて整備する学内諸規程により、正当な内容により通 報をした者の秘密保持および不利益な扱いを防止できる こと、などから学外ではなく学内に通報・相談窓口を設 置し、職員が担当する。 他大学の例でも公益通報窓口は学内に置くことが多 い。(調査参照) ②受付方法 相談・連絡・通報のしやすさを追求し、電話、メール、 文書、FAX、面談など様々な方法により受け付ける。ま た、目安箱のような投書箱を設置する。 (2)通報受付窓口の役割と問題解決 通報受付窓口では、窓口に寄せられる事項の内容を聴 取し書類にし、後述の問題解決担当(者)の判断により 問題の解決にもっとも適した部課や窓口に問題の解決を 依頼する。第一次の判断がもっとも重要であるので、責 任をもって判断できるものが判断する体制とする。たと えば、教職員の法令違反、重大な不正行為に関する問題 (公益通報)は公益通報処理システムに処理を依頼し、 ハラスメント問題に関してはハラスメント防止委員会に 処理を依頼する。 複数の部課に関わる問題や関連部課だけでは解決でき ない全学的な問題や大きな問題であると問題解決担当者 が判断した場合は、問題解決担当が中心となって解決す る。また、各関連部課において容易に解決できない問題 や頻発しておきる問題などの場合は、問題解決担当(者) は、問題個々の対処解決ではなく、関係機関あるいはそ の責任者と根本的な解決方法を検討し、常任理事会等の 機関会議に提起し問題解決を図る 4.問題解決担当(者)を中心とする問題解決システム (1)問題解決担当(者)の任務 問題解決担当(者)は、過去に発生した問題やさまざ まな経験・訓練を背景に問題解決にあたることのできる ものが担当し、通報の質、重大性の第一次判断者である とともに、組織的に統一した適切な解決を図る責任を有 する。 (2)処理、解決過程の監査(チェック機能) 通報者が安心して問題を通報できるように、自分の通 報した問題がどのように処理されるのかが明確にわかる システムを構築する。そのために問題解決担当は、問題 の処理や解決の依頼を受けた部課がどのように対応する のか、またどのように処理解決したのかを把握し、必要 であれば通報者や一般に知らせる。 ①通報受付窓口から関連部課に依頼された問題の処理 解決状況の進捗管理を行う。 ②処理結果を把握し、履行の必要があるものは履行の 有無を点検、確認する。 このような監査機能を通じて、組織的に統一した適切 な解決、対応を担当する。 (3)問題提起機能 問題解決担当(者)は、複数の部課に関わる問題や関 連部課だけでは解決できない全学的な問題や大きな問題 の解決にむけて、必要な関連部課等の責任者を招集して、 問題解決案を検討する責任を有する。 5.結果・経験・教訓の情報収集と教訓化 教職員がさまざまな問題に対して対処・対応する過程 等で得られる経験や教訓を全教職員で共有化するシステ ムとして、情報収集等管理部門を置く。情報収集部門は、 重要な問題や軽微な問題の解決結果、「一報制度」等に よって解決された問題に関する情報、法務や危機管理に 関する情報などを一括して管理し、必要に応じて全教職 員の共有情報として発信し、問題対応(危機管理)能力 の強化を図るとともに、教職員の業務に反映できるもの とする。情報収集管理部門は、法務室・危機管理室と協 力して、問題発生から解決までの経験や教訓に関する情 報を集約し、蓄積しノウハウ、ハウツウを分析する。 これは、現状のように解決した者やそれに関わった者 だけが、その経験や教訓を持っているという状況では、 問題を共有化し教職員全体で適切な業務計画作成や運営 をする契機をなくすものであるから、いったんすべての 問題に関する情報を集約し、必要に応じて全教職員の共 有情報として発信し、教職員の業務に反映できるように する。 (1)集約の方法 問題解決担当者や協力して解決した部課は、解決した 過程や内容を意見を沿えて文書にし、情報収集管理部門 に報告する。また、各部課の窓口において相談や発覚し た問題と解決結果を担当した職員は、報告メモを作成し、

(9)

所属長と情報収集管理部門に報告する。 (2)共有化の方法 情報収集管理部門等が必要と判断した場合、下記にあ げる秘密保持に抵触しないように加工し、ケーススタデ ィとして全教職員が閲覧できる状況にする。 方策としては、外部の者が閲覧できないようなセキュ リティーをかけたイントラネットを構築し、そこで閲覧 できるようにする。また、職員研修等でもこれら情報を 活用して職員の業務力量養成に役立てる。 (3)秘密の保持 ただし、共有化する事項については、個人情報保護や プライバシー問題に触れないように配慮する。そのため に集約された情報の公開・非公開原則を定める ①個人情報および個人が特定されるような情報につい ては原則非公開とする。 ②通報・相談者がはっきりしている場合は、原則とし て当該通報・相談者に結論・結果を報告する。 ③社会的、一般的に公表するかどうかは問題の内容に より常務理事(総務担当)が判断する。

Ⅵ.研究のまとめ

1.研究の意義 本研究の目的である、統一窓口設置と対処・対応方法 のシステム化、対処・対応等の経験、教訓の共有化の二 点は以下のような意義を有している。 1.統一窓口設置と対処・対応方法のシステム化 「通報窓口」を設置し、対処・対応方法をシステムと して構築しておくことで、大学の対応(危機管理)能力 の強化をはかる意義は以下の点にある。 ①問題を受付ける窓口を一つ設けることで、通報に対し て組織的に統一した対応ができる。 ②問題を抱く者が容易に通報できる窓口を構築すること で、大学側で問題を日常的に、かつ早期に把握するこ とができる ③問題を早期に把握することで、学内のイニシアチブで 迅速に問題を解決でき、必要な対策を打つことができ る。 ④現在ある各セクションにおかれた窓口の他に統一窓口 を設置することで学生の意見や苦情などの問題を集約 できるチャンネルを増やすことができる。 2.問題を対処・処理する過程や結果を通じて得られる 経験や教訓を共有化 ①問題を対処・処理する過程や結果を通じて得られる経 験や教訓を集約することで、その対応策や予防策を蓄 積でき、マニュアル化や対応方針策定に活用すること ができる。また、大学内に問題対応と危機管理の専門 的知識と力量を形成することができる。 ②集約された経験や教訓、蓄積された対応策や予防策を 各教職員で共有化することで、大学として問題に対す る組織的に統一した対応をおこなうことができる。 ③集約された経験や教訓、蓄積された対応策や予防策を 各教職員が共有化することで、教職員自身が自ら問題 発見能力をもち、より自発的、自主的に問題を予防す るような業務設計を行うことができる。 「1.」は、大学として的確、迅速な問題対応によって 社会的評価を上げることにつながり、「2.」は、不正行 為をはじめとする問題発生の抑制力となることができ る。 2.まとめ 問題の内容に関わらず連絡・相談できる統一窓口を設 置し、容易に学生等の意見や問題を収集するチャンネル を増やすことで、学生等の意見をより多く集約する機会 をえることができ、そのことによって大学の運営に学生 等の意見を反映させることができるといえる。 また、寄せられた問題を解決に導く責任ある体制、シ ステムを設置することが大学の評価の向上につながると 考える。そして、その解決の過程で得られた経験や教訓 を全教職員で共有化することで、より自発的な業務力量 養成につながり教職員の力量養成につながると考える。

Ⅶ.残された課題

(1)通報受付窓口で対応する職員の通報される問題 の質を見極める力量養成 本制度においては、通報受付窓口で対応する者が、窓 口に寄せられるさまざまな問題を的確に適正に処理する ことが重要となってくる。そのため、窓口で対応する者

(10)

が問題の本質を見極め適切に対応できるようにするため の力量養成が必要である。 (2)本制度の全学的な位置づけ。 本制度を通して集約した学生等の意見や問題を、全学 的にどのように生かしていくのか。他の制度との関係で 整理する必要がある。 以上 【注】 1)「ハインリッヒの法則」

Industrial Accident Prevention− A Scientific Approch (1931)

(11)

Establishment of a single contact point for information, the provisionally named

Ritsumeikan Open Counter (ROC), and development of a system for processing and

learning lessons from complaints.

MASHIMA, Kunihiro

(Assistant Administrative Manager, Office of General Affairs)

ITO, Noboru

(Senior Researcher, Research Center for Higher Education Administration)

MAEDA, Hidetoshi

(Deputy Manager, Division of General Affairs)

SAKURAI, Yumi

(Administrative Manager, Office of General Affairs)

Keywords

Customer service desk, reception desk, information gathering, problem solving, learning lessons, sharing

Summary

Universities do not have an integrated function for considering complaints and grievances from their stakeholders (undergraduate and graduate students, parents, alumni, faculty and staff). Although it is important for universities to prepare for a single major risk, correctly and appropriately solving the countless problems that arise every day can also be regarded as preventing major risks that might occur at universities.

For this reason, we are integrating the previously disparate contact points for dealing with complaints and grievances. This will enable the university to respond in an integrated fashion and arrive at integrated solutions. The reasons that problems arose, how they were solved, and any conclusions will also be documented, and the accumulation of this information will enable even more integrated solutions.

By establishing this integrated contact point/organization, which will listen to problems, make requests to the departments responsible, promote solutions, accumulate experiences and lessons learned, and provide information to be shared by faculty and administrative staff, these experiences and lessons learned will become structured. We may anticipate that this process will have the remedial effect that individual faculty and staff members will review their own work in light of these lessons learned and experiences.

(12)

参照

関連したドキュメント

Section 3 is first devoted to the study of a-priori bounds for positive solutions to problem (D) and then to prove our main theorem by using Leray Schauder degree arguments.. To show

In the paper we derive rational solutions for the lattice potential modified Korteweg–de Vries equation, and Q2, Q1(δ), H3(δ), H2 and H1 in the Adler–Bobenko–Suris list.. B¨

Wro ´nski’s construction replaced by phase semantic completion. ASubL3, Crakow 06/11/06

特定原子力施設の全体工程達成及びリスクマップに沿った

※ 本欄を入力して報告すること により、 「項番 14 」のマスター B/L番号の積荷情報との関

「練馬区廃棄物の処理および清掃に関する条例」 (平成 11 年練馬区条例第 56

汚染水処理設備,貯留設備及び関連設備を構成する機器は, 「実用発電用原子炉及びその

の会計処理に関する当面の取扱い 第1四半期連結会計期間より,「連結 財務諸表作成における在外子会社の会計