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巻頭言 ―演繹(deduction)帰納(induction)アブダクション(abduction)と教員養成スタンダード―

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Academic year: 2021

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巻頭言

―演繹(deduction)帰納(induction)アブダクション(abduction)と

教員養成スタンダード―

吉本剛典

兵庫教育大学地理学研究室の研究報告第 20 号に,修士論文と卒業研究の成果を掲載する ことができました。大学院学生の原 孝彰くんは高砂市の出身で,来る 4 月から兵庫県の 中学校社会科の教員となります。修士論文とこの研究報告「学校教員を対象とした GIS の 教育利用促進の検討」をベースに,これでもかと言うほどに地理情報システムを敷衍して くれるに違いありません。 学部学生5人の卒業研究と研究報告の主題は次のとおりです。 島津雄太郎くん 溜池の主,捕獲作戦 住元 麻耶さん 神戸大好き 冨田いずみさん 沖縄へ行き倒す 古谷 彰梧くん 古墳に興奮 南 和樹くん 近,安,美味,大盛 これらのテーマには地理学研究室の特徴が色濃く現れています。まず,全員が自分の一 番やりたいことをやったということです。修士論文や卒業研究は得られるものが大きいだ けに,何をやってもしんどいもんです。どうせしんどい目するんなら,やりたいことやっ たもん勝ちでしょう。幸い地理学の分野では,まぁ大抵のことはできます。それが地域を 対象とも方法ともして,現実世界と理論を徘徊する地理学の強味でもあります。私たち教 員は皆さんの興味あることを探り,それらを要素と関連に分解しつつ地理学的視点から組 み立て直すこと,適当にやっちゃいます。 もう一つの特徴は,全員の方法と内容において,地域のフィールドワークとその取り纏 めに努力を傾注したことです。論理的推論には演繹(deduction)と帰納(induction)の ほかに,アブダクション(abduction)というものがあり,聞き慣れないかもしれませんが, 仮説形成法とか,仮説的推論とか,発想推論とか言われることもあります。現実の問題を 発見したり解決への工程を見通したりするには結構有用で,身近なところではフィールド ワーク(と統計的分析)がまさにこれに当たるものと私は思っています。小理屈捏ね繰り 返す前に,やってみ,行ってみ,てなもんです。 このように優れた特徴を発露しながら確実にステップアップして,皆さん,普段見慣れ た世界を一段高い所から見渡せるようになったに違いありません。 本日,2015(平成 27)年 2 月 7 日(土),4年生最後の(したがって大学生活最後の)授業 である「 教職 実践演習 」が 敢行され まし た。お上 の命 により大 学の 教員養成 課程 では 2010(平成 22)年度入学生から「教職実践演習」と,そのプロセスとして「履修カルテ」が 必修化されています。これに対応するため兵庫教育大学では教員養成スタンダードなるも のを創設し,2008(平成 20)年度入学生から(例によって前倒しで)「履修カルテ」=「教 職のための学びの記録」を紙媒体で適用していました。2011(平成 23)年度入学生すなわち, この4年生たちからは CanPass ノートという e-ポートフォリオが導入され,「履修カルテ」 に相当する「学修成果シート」がシステム上に実現されています。学生たちは毎年毎年, 教員養成スタンダードに基づいて「学修成果シート」を CanPass ノートの中に作成し,自 分の学修を振り返らなければならないという訳です。

― ⅱ ―

(2)

教員養成スタンダードのそれぞれの項目(次頁参照)は,大学の教育方針や授業内容お よび教育職員免許法の求めるところはもちのろん,学外の両極にある中央教育審議会の答 申や実際の学校の要請も余すことなく網羅して(いると言われて)います。本学の学部学 生が卒業までに,教員になるために身につけるべき資質能力が高らかに謳いあげられ,ど れもこれも大事っちゃ大事ですが,さぁ大変です。 兵庫教育大学の教員養成スタンダード項目 5つの大項目 15 の中項目 50 の小項目 学び続ける教師 ─────┬─ 省察的実践 ( 1) ├─ 研究を通した専門性向上 ( 1) └─ 長期的視野に立つ職能成長 ( 1) 教師としての基本的素養 ─┬─ 社会人としての素養 ( 4) └─ 教師としての素養 (11) 子ども理解に基づく ───┬─ 子ども理解 ( 5) 学級経営・生徒指導 ├─ 学級経営 ( 4) └─ 生徒指導 ( 5) 教科等の指導 ──────┬─ 内容理解 ( 4) ├─ 授業方法・指導技術 ( 6) ├─ 授業計画 ( 2) ├─ 授業研究 ( 1) └─ 学習評価 ( 1) 連携・協働 ───────┬─ 他の教師との連携・協働 ( 2) └─ 保護者・地域等との連携・協働( 2)

― ⅲ ―

参照

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