協働性につながる保育の話 り合いに関する研究 ―職場内コミュニケーションと保育者効力感 との関係に焦点を当てて一 問題 と目的 近年、保育ニーズの多様化、複雑化 に伴 い、保育者の専門性の向上及び保育の質の向上が重要 な課題 とされている。研修等が必要であると考え られ るが、保育現場では職場内研修の機会が確保 されに く い状況 となつていることが推測 される。 職場内 コミュニケーシ ョンの機会の減少は、共通理 解の図 りにくさ、協働性の構築 されにくさな どにも導 かれ得 る。 このよ うな状況の中で、保育の専門性や質 を組織的に高めてい くために着 目されているのは、組 織 としての専門性 の向上である。 本研究において、「組織全体の保育の質や専門性 を高 めてい くために、保育者同士が各々の違いを尊重 しな がら、相互の信頼関係 を強め、協力 し合 える開かれた 関係 をつ くり出 し、組織 として高いモチベーシ ョンを 共有 した職員の集 ま りとなる関係性」を協働性 とす る。 協働性 につながる保育者 の語 り合いについて、 日常の 保育の語 り合い も本研究の視野に入れ、フォーマルな 対話、イ ンフォーマルな対話の両側面を多角的に捉 え ることとす る。 本研究では、保育実践の内的要因 として、保育者効 力感 の概念 を用いる。「他の職員 との協働関係 を構築で きる信念」に焦点を当てた 「協働的保育者効力感」及 び、協力 を通 じて問題 を解決 し、改善す ることができ るとい う集団の効力の感覚である「保育者集団効力感」 を「組織 を視野に入れた視点」として捉え、「保育者個 人に焦点を当てた視点」 との双方か ら検討す る。 研究 目的は、職場内コ ミュニケーシ ョンと保育者効 力感 との関係 について検証 してい くこととす る。 方法 調査対象:兵庫県内の幼稚園・保育所 。幼保一体 化園 (就学前の教育・保育を一体 として提 えた一貫 し た総合施設)・認定 こども園に勤務す る保育者 (施設長 人間発達教育専攻 幼年教育コース M130171 中山みき子 を除 く)338名 である。調査時期 :2014年 10月∼
H月
に行つた。手続き:事前に承諾 を得 られた施設及び個 人 に、質問紙の郵送及び直接配布 を行い、一部につ いては、施設長 に各施設への配布 を依頼 した。無記 名 自記式にて郵送によ り回収を行つた。施設 につい ては、同封 した個別封筒 (各自厳封)に
投入後、施 設毎に所定の封筒 にま とめて もらうよ う求めた。配 布施設 の うち一部については、施設長 に質問紙の回 収 して もらった。回答が得 られたのは、合計 297名 (回収率87.9%)で
あつた。調査内容:質問紙の構成 は、①個人的保育者効力感尺度(6項目)、②協働的保育 者効力感尺度(5項 目)、③保育者集団効力感尺度 (8項 目)、④仕事意欲尺度(8項目)、⑤フォーマルな対話頻度 (対話対象を 「全職員」、「4∼6人程度」、「2,3人
」、 「上司」とする4項目)、 ⑥フォーマルな対話充実度尺 度(15項 目)、⑦インフォーマルな対話頻度 (対話対象 を「同僚」、「上司」とする2項目)、③インフォーマル な対話充実度尺度(対話対象を「同僚」、「上司」とする各 10項 目)であり、回答方法は、①∼④、⑥、③については、 6段階評定を用いた。⑤、⑦については、7段階評定を 用いた。その他、フェイスシー トとして、所属、性別、 年齢、保育経験年数等の記入を求めた。 結果 と考察 キャ リア群 ごとに保育者効力感を高め るための職場内コミュニケーシ ョンのあ り方につい て考察を行つた。3群
(初任者群、中堅群、熟練群) の共通点は、以下の5点
である。①「フォーマルな対 話充実度」と「保育者集団効力感」との関連性は強い。 ②「フォーマルな対話充実度」の「意義ある語 り合い」 及び「語 り合いにおけるサポー ト」と「協働的保育者 効力感」とは関連がある。③全職員の「フォーマルな 対話頻度」の多さは、「保育者効力感」の高さとは、ほとん ど関連がない。④「インフォーマルな対話頻度 (上司)」 と「協働的保育者効力感」とは関連がある。⑤ 「インフォーマルな対話充実度(同僚。上司)」 と「保育 者集団効力感」とは関連がある。
3群
に共通 して示 されたことは、フォーマルな対 話の充実度が組織を視野に入れた保育者効力感 と関 連 していることである。全職員のフォーマルな対話 の頻度は、保育者効力感 と関連 しておらず、対話対 象を全職員 としなくとも、対話の充実度 (互いに発 言 しやすい雰囲気、支え合い、考えが広がる内容な ど)を
高めていくことが重要である。また、フォー マルな対話だけでなく、インフォーマルな対話の頻 度や充実度が要因となり、組織の一員 としての保育 者効力感に影響するものがあることも3群
に共通 し ている。 キャリア群ごとの特徴 としては、初任者群の組織 を視野に入れた視点では、①「フォーマルな対話充実 度」と「協働的保育者効力感」との関連性が、他群 より も強いことである。② 「協働的保育者効力感」 と関 連する職場内コミュニケーションの要因が、他群 と 比較 して多いことである。個人に焦点を当てた視点 では、①「個人的保育者効力感」について、初任者群は、 職場内コミュニケーションのあり方 との関連性が比 較的強いものが多いことである。特に保育経験年数 の少ない保育者にとつて「保育者効力感」を高めるた めには、「フォーマルな対話充実度」が重要な要素で あることが明らかとなった。②少人数での「フォーマ ルな対話頻度」が「個人的保育者効力感」と関連 して いることである。経験年数が少ない保育者の効力感 を高めるためには、フォーマルな対話の場を少人数 で編成するなど配慮が必要であることが考えられる。 中堅群の特徴 として、組織を視野に入れた視点で は、①「保育者集団効力感」と関連する職場内コミュ ニケーションの要因が他群よりも多いことである。 ②「同僚 とのインフォーマルな対話頻度」と、「協働的 保育者効力感」及び「保育者集団効力感」が関連 して いることである。個人に焦点を当てた視点では、保 育者効力感 に関連す る職場内 コミュニケー ションの 要因はほとん どない。 熟練群の特徴 として、組織を視野に入れた視点では、 ①職場内コミュニケーシ ョンが関連す る保育者効力 感 は、「保育者集団効力感」に偏つてお り、他の保育 者効力感 とは、ほ とん ど関連 がない ことである。② 「小グループによる対話頻度(フォーマル)」 と「保育 者集団効力感」とが関連 してい る。③「同僚 との対話 充実度」が「保 育者集 団効力感」に影響 を及 ぼす と言 えるが、頻度 は無関係であ り、知覚 されたサポー トの 重要性が うかがえる。 「協働的保育者効力感」と関連する職場内コミュニ ケーシ ョンの要因はほとん どないが、「上司とのイン フォーマルな対話頻度」は影響す るもの として、重要 な要因である。 全体のま とめ として、職場 内 コミュニケーシ ョン と保育者効力感 との関係は、キャ リア群によつて異 なることが明 らか となった。保育経験年数すなわち 保育者の発達段階に合わせた職場内コミュニケーシ ョンのあ り方を検討す る必要があることも示 された。 以上を踏まえて、協働性 につながる保育者の語 り 合いについて必要な点は、以下の とお りである。① 園の実態な どに合わせて、職場内コミュニケーシ ョ ンのあ り方を選択、実行、見直 しを行 うことである。 ②保育のキャ リアに焦点を当て、協働的保育者効力 感や保育者集団効力感が高め られやすいコミュニケ ーシ ョンのあ り方を工夫することである。保育者効 力感に効果 をもた らす職場内コミュニケーシ ョンは、 フォーマルな対話だけでもなければ、インフォーマ ルな対話だけでもない。一つの方法だけに固執せず に、生かせるであろ う職場内コミュニケーションの あ り方 を再検討、実行 し、協働性につながる保育者 の効力感を高めてい くことが望まれる。 主任指導教員 樹 │1和章 指 導 教 員 樹 │1和章協働性につながる保育の語 り合いに関する研究 ―職場内コミュニケーションと保育者効力感 との関係に焦点を当てて一 問題 と目的 近年、保育ニーズの多様化、複雑化に伴 い、保育者の専門性の向上及び保育の質の向上が重要 な課題 とされている。研修等が必要であると考えられ るが、保育現場では職場内研修 の機会が確保 されに く い状況となっていることが推測 され る。 職場内 コミュニケーシ ョンの機会の減少は、共通理 解の図 りに くさ、協働性の構築 され に くさな どにも導 かれ得 る。 このような状況の中で、保育の専門性や質 を組織的に高めてい くために着 目されているのは、組 織 としての専門性の向上である。 本研究において、「組織全体の保育の質や専門性を高 めてい くために、保育者同士が各々の違いを尊重 しな が ら、相互の信頼関係 を強め、協力 し合 える開かれた 関係 をつ くり出 し、組織 として高いモチベーシ ョンを 共有 した職員の集ま りとなる関係性」を協働性 とす る。 協働性 につながる保育者の語 り合いについて、 日常の 保育の語 り合いも本研究の視野に入れ、フォーマルな 対話、イ ンフォーマルな対話の両側面を多角的に捉 え ることとす る。 本研究では、保育実践の内的要因 として、保育者効 力感 の概念 を用いる。「他の職員 との協働関係 を構築で きる信念」に焦点を当てた 「協働的保育者効力感」及 び、協力 を通 じて問題 を解決 し、改善す ることができ るとい う集団の効力の感覚である「保育者集団効力感」 を「組織 を視野に入れた視点」として捉 え、「保育者個 人に焦点を当てた視点」 との双方か ら検討す る。 研究 目的は、職場内コミュニケーシ ョンと保育者効 力感 との関係 について検証 してい くこととす る。 方法 調査対象:兵庫県内の幼稚園・保育所 。幼保一体 化園 (就学前の教育 。保育を一体 として捉 えた一貫 し た総合施設)・認定こども園に勤務す る保育者 (施設長 人間発達教育専攻 幼年教育 コース M130171 中山みき子 を除 く)338名である。調査時期:2014年10月∼11月 に行つた。手続 き:事前 に承諾 を得 られ た施設及び個 人 に、質 問紙 の郵送及び直接配布 を行 い、一部 につ いては、施設長 に各施設への配布 を依頼 した。無記 名 自記式 にて郵送 によ り回収 を行 つた。施設 につい ては、同封 した個別封 筒 (各自厳封
)に
投入後、施 設毎 に所定 の封筒 にま とめて もら うよ う求 めた。配 布施設 の うち一部 については、施設長 に質問紙 の回 収 して もらつた。 回答 が得 られ たのは、合計297名 (回収率87.9%)で
あつた。調査内容:質問紙の構成 は、①個人的保育者効力感尺度(6項目)、②協働的保育 者効力感尺度 (5項 目)、③保育者集団効力感尺度(8項 目)、④仕事意欲尺度(8項目)、⑤フォーマルな対話頻度 (対話対象を「全職員」、「4∼6人
程度」、「2,3人
」、 「上司」とする4項目)、 ⑥フォーマルな対話充実度尺 度(15項 目)、⑦インフォーマルな対話頻度 (対話対象 を「同僚」、「上司」とする2項 目)、③インフォーマル な対話充実度尺度(対話対象を「同僚」、「上司」とする各 10項 目)であり、回答方法は、①∼④、⑥、③については、 6段階評定を用いた。⑤、⑦については、7段 階評定を 用いた。その他、フェイスシー トとして、所属、性別、 年齢、保育経験年数等の記入を求めた。 結果 と考察 キャ リア群 ごとに保育者効力感を高め るための職場内コミュニケーシ ョンのあ り方につい て考察を行つた。3群 (初任者群、中堅群、熟練群) の共通点は、以下の5点
である。①「フォーマルな対 話充実度」と「保育者集団効力感」との関連性は強い。 ②「フォーマルな対話充実度」の「意義ある語 り合い」 及び「語 り合いにおけるサポー ト」と「協働的保育者 効力感」とは関連がある。③全職員の「フォーマルな 対話頻度」の多さは、「保育者効力感」の高さとは、ほとん ど関連がない。④「インフォーマルな対話頻度 (上司)」 と「協働的保育者効力感」とは関連がある。⑤ 「インフォーマルな対話充実度(同僚。上司)」 と「保育 者集団効力感」とは関連がある。
3群
に共通 して示 されたことは、フォーマルな対 話の充実度が組織を視野に入れた保育者効力感 と関 連していることである。全職員のフォーマルな対話 の頻度は、保育者効力感 と関連 してお らず、対話対 象を全職員 としなくとも、対話の充実度 (互いに発 言しやすい雰囲気、支え合い、考えが広がる内容な ど)を
高めていくことが重要である。また、フォー マルな対話だけでなく、インフォーマルな対話の頻 度や充実度が要因とな り、組織の一員 としての保育 者効力感に影響するものがあることも3群に共通 し ている。 キャリア群ごとの特徴 としては、初任者群の組織 を視野に入れた視点では、①「フォーマルな対話充実 度」と「協働的保育者効力感」との関連性が、他群より も強いことである。② 「協働的保育者効力感」と関 連する職場内コミュニケーションの要因が、他群 と 比較 して多いことである。個人に焦点を当てた視点 では、①「個人的保育者効力感」について、初任者群は、 職場内コミュニケーションのあり方 との関連性が比 較的強いものが多いことである。特に保育経験年数 の少ない保育者にとつて「保育者効力感」を高めるた めには、「フォーマルな対話充実度」が重要な要素で あることが明らかとなった。②少人数での「フォーマ ルな対話頻度」が「個人的保育者効力感」と関連 して いることである。経験年数が少ない保育者の効力感 を高めるためには、フォーマルな対話の場を少人数 で編成するなど配慮が必要であることが考えられる。 中堅群の特徴 として、組織を視野に入れた視点で は、①「保育者集団効力感」と関連する職場内コミュ ニケーションの要因が他群よりも多いことである。 ②「同僚 とのインフォーマルな対話頻度」と、「協働的 保育者効力感」及び「保育者集団効力感」が関連 して いることである。個人に焦点を当てた視点では、保 育者効力感 に関連す る職場内コミュニケーシ ョンの 要因はほ とん どない。 熟練群 の特徴 として、組織を視野に入れた視点では、 ①職場内コミュニケーシ ョンが関連す る保育者効力 感 は、「保育者集団効力感」に偏つてお り、他の保育 者効力感 とは、ほ とん ど関連 がない ことである。② 「小グループによる対話頻度(フォーマル)」 と「保育 者集団効力感」とが関連 してい る。③「同僚 との対話 充実度」が「保育者集 団効力感」に影響 を及ぼす と言 えるが、頻度 は無関係であ り、知覚 されたサポー トの 重要性が うかがえる。 「協働的保育者効力感」と関連する職場内コミュニ ケーシ ョンの要因はほとん どないが、「上司 とのイン フォーマルな対話頻度」は影響するもの として、重要 な要因である。 全体のま とめとして、職場 内コ ミュニケーシ ョン と保育者効力感 との関係は、キャ リア群 によつて異 なることが明 らか となった。保育経験年数すなわち 保育者の発達段階に合わせた職場内コミュニケーシ ョンのあ り方を検討す る必要があることも示 された。 以上を踏 まえて、協働性 につながる保育者の語 り 合いについて必要な点は、以下の とお りである。① 園の実態な どに合わせて、職場内コミュニケーシ ョ ンのあ り方を選択、実行、見直 しを行 うことである。 ②保育のキャ リアに焦点を当て、協働的保育者効力 感や保育者集団効力感が高められやすい コミュニケ ーシ ョンのあ り方を工夫することである。保育者効 力感 に効果 をもた らす職場内コミュニケーシ ョンは、 フォーマルな対話だけでもなければ、インフォーマ ルな対話だけでもない。一つの方法だけに固執せず に、生かせ るであろ う職場内コミュニケーシ ョンの あ り方 を再検討、実行 し、協働性につながる保育者 の効力感 を高めてい くことが望まれ る。 主任指導教員 横川和章 指 導 教 員 横川 和章平成
27年
度
学位論文
協働性 につ なが る保 育 の語 り合 い に関す る研 究
一職場内コミュニケーションと保育者効力感との関係に焦点を当てて一
兵庫教育大学大学院修士課程 人間発達教育専攻 幼年教育 コース 中山みき子M130171
目 次
問題 と目的
1.問
題 の背景・ 。・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 。・・・・・・・ …1
2.保
育実践 の内的要 因 としての 「保 育者効力感」・・・・・・・・・ 。・ …2
3.職
場 内 コ ミュニケーシ ョン・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 54.保
育経験 と保育者効力感・職場 内コミュニケーション・・・・・・・・ ・ ・・ ・ 8 5。 目的 ◆。・・ 。・・・ 。・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・8
方 法 … … … ・ … … … ・ … 。 10 結 果 と考 察1.対
象者の属性 ・・・・・・・・・・・00・
・・・・・・・・・・・・13
2.保
育者効力感・仕事意欲 ・・・・・・・・・・・・・ 。・・・・・・ 。14
3.職
場内コミュニケーシ ョン0000。
。・・・・・・・・・ ◆・・ ・16
4.キ
ャ リア別の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0・ …19
5.保
育者効力感 と仕事意欲の関係 。・・・・・・・・・・・・ 。00・
…29
総 合 考 察1.結
果のま とめ・・・・・・・・・・・・・・・・・000。
・・・・ …30
2.3群
の共通点・・・・・・・ 。・・・・・・ 0・ ・・・・・・・・・ …34
3.キ
ャ リア群 ごとの特徴 。・ 。・・・・・・ 。・・ 。・・ 。・・・・・ …34
4.全
体のまとめ・・・・・ ◆・ 。・・・・0000。
・0000・
・・・ 。37
5。 今後の課題・・ 。・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・・・・・・ ‥38
引用文献 ・・ ・ 。・・ 。・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ 。。。・ ・・ ・・ 39 巻末資料 ・・ ・・・・ ・・ ・・・・・ ・・ ・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・41
問題 と 目的
1.問
題の背景 近年、保育ニーズの多様化、複雑化に伴い、保育者の専門性 の向上及び保育の質の向上が 重要な課題 とされている。保育の専門性や質向上のために、研修や 自己研鑽などが必要であ ると考えられるが、実際、保育所、幼稚園の多 くが、保育者の質の維持・向上を課題 として い るに も関わ らず 、職場 内研修 の実施頻度 は低 下 してお り (ベネ ッセ次世代育成研究 所,2012)、 職場内研修の機会が確保 されにくい状況 となっていることが推測 される。厚生労 働省 (2008)の『保育所保育指針解説書』によると、「保育所の専門性は、組織の理念や方 針等の共通理解、個人の主体性や意欲、職員間の信頼関係 と協働性、評価や研修等の計画的 な実施な どの要素によって向上す る」と述べ られているが、職場内研修の機会の減少は、職 場内コミュニケーシ ョンの機会の減少にもな り、手立てがなければ、共通理解が図 りにくく なることや協働性の構築がなされにくくなることが考えられ、専門性の向上の妨げとなる。 本研究では、保育の専門性や質の向上につながるであろ う職場における「保育の語 り合い」 に焦点を当て、職場内研修だけでなく、日常のコミュニケーシ ョンも含めて、職場内コミュ ニケーシ ョンを包括的・多角的に捉えてい くこととす る。職場内研修 などにおける保育の語 り合いのあ り方や質な どと共に、 日常の保育の語 り合いのあ り方 も共通理解や協働性 につ ながるものであると考えられ るか らである。 保育の専門性や質を高めてい く上で、着 目されているのは、保育者個人の専門性だけでな く、組織 としての専門性の向上である。香曽我部(2011)は
、保育者論において語 られ る 「保育者の専門性」を「①保育者の本質、②現代社会が保育者に求める専門性、③保育者集 団の中で求められる専門性、④保育者個人に求められ る専門性」の4つ
に分類 し、「個人の 専門性」だけでなく 「組織の一員 としての専門性」への意識 の拡張を示唆 している。 組織 としての専門性 と関連 して、『 幼稚園教育要領解説』(文部科学省,2008)には、「幼 稚園全体の協力体制を高め、きめの細かい指導の工夫を図るために、ティーム保育の導入な どが考えられる」ことや「複数の教師が共同で保育を行い、また幼児理解や保育の展開につ いて情報や意見を交換す ることによつて、一人一人の様子を広い視野からとらえ、きめ細か い援助を行 うことが可能になる。」 と、教師の協働体制の重要性 について述べ られている。 また、厚生労働省 (2008)の『保育所保育指針解説書』においては、改定の要点の うちの一 つである「保育の質を高める仕組み」として、保育所の課題について共通理解 を深 め、一人 の保育者 としてだけでなく、保育者全体の専門性の向上を図ることが求められている。 さらに、このことに関連 して、教師同士が各々の違いを尊重 しなが ら協力 し合える開かれ た関係 をつ くり出 してい くことが、教師の専門性を高めること (文部科学省,2008)や
、組 織 として高いモチベーシ ョンを共有 した職員の集ま りが保育所全体の保育の質を高めてい くこと (厚生労働省,2008)か
らも組織的な保育者の専門性 を向上 させていくためには、保育者の協働性が重要であると考えられる。 『 大辞林第二版』によると、「協働」とは、「①同 じ目的のために協力 して働 くこと。②物 や現象が互いに作用 し合い、また影響を及ぼ し合 うこと。交互作用。相制関係。共働。」 と い う意味である。保育所職員が共通理解を深め、相互の信頼関係が強まることで、自らの実 践への自己研鑽への意欲が高まる (厚生労働省,2008)との指摘があるように、保育者集団 の協働性は、保育者のモチベーシ ョンにも影響するもの と考えられ る。 よつて本研究においては、「組織全体の保育の質や専門性 を高めてい くために、保育者同 士が各々の違いを尊重 しなが ら、相互の信頼関係 を強め、協力 し合える開かれた関係 をつ く り出 し、組織 として高いモチベーションを共有 した職員の集ま りとなる関係性」を協働性 と す る。その上で、協働性につながる保育者の語 り合いについて探 るために、「保育者個人に 焦点を当てた視点」及び「組織 を視野に入れた視点」の双方について保育実践の内的要因の 側面に着 目し、職場内コミュニケーシ ョンとの関係 について検証 してい くこととする。
2.保
育実践の内的要 因 と しての「保育者効力感」1)効
力感の意義 西山(2009)は
、保育者 自身の内的な要因は、保育者の姿勢や態度 として現れ、広 く実 践の根底 を貫 くものであるが、日々の保育実践では捉 え難いことか ら、効力感に着 目してい る。そ して、効力感 を保育実践の原動力 として捉え、保育者 自身の確かな信念が根底にある ことで、行動の変容につながると述べている。 桜井 (1995)、 西山 (2009)に よると、効力感は、バンデューラの社会的認知理論の中核 をなす概念で、行動の遂行可能性の認知を意味する「ある課題を自分の力で効果的に処理 し た り、遂行できるとい う信念」である。効力感は、基本的には、ある具体的な行動に対する 課題特異的な期待を問 う概念であ り (西山,2009)、 バンデューラ(1985)は
、「どのよう にして個人の行動を引き起 こし、環境に関わる知識 を持つ よう生み出 してい くのか」とい う 問いを立て、「自分にはこのよ うなことがここまでできるのだ とい う考えを持つ」 とい う一 人一人の人間が持つ考えや判断や評価の働 きを自己効力 と呼んでいる。これは、つま り自信 や意欲の効能 とい うことであ り、達成や対処への可能感であるとか、自己遂行可能感な どと も呼ばれている。2)保
育現場における効力感 保育の現場においても、「保育者効力感」 とい う概念が提唱 されてお り、保育者効力感 と は、「保育場面において子 どもの発達に望ま しい変化をもた らす ことができるであろ う保育 者行為をとることができる信念」 と定義 されている (三木・桜井,1998)。 西山(2006)は、保育者の知識や経験に効力感が伴つた時、初めて個々の保育者のもつ力 量が保育実践 として現れ うるもの として捉 えてお り、多次元「人間関係」保育者効力感尺度を作成 し、調査 を行 つている。その結果、保育者効力感 の高い者 は、①指導の困難性 を低 く 見積 もつてい る こ と、②子 どもの人 とかかわ る力 を育 て る こ とに強い関心 を持 ってい るこ と、③効力感 とい う認知面が保育実践 とい う行動面 と連動 してい ることを明 らかに してい る。
3)組
織 の一員 と しての保育者効 力感(1)協
働 的効 力感 先 に述べ た保 育者効力感 は、教師効力感 の概念 に基づいて、保 育現場 にお けるもの とし て概念化 された ものである (三木・桜井,1998)。 小学校、中学校 、高等学校の教育現場 にお ける教師効力感 は、子 どもの学習 に望 ま しい変化 を与 える こ とがで きる とい う信念である が、淵上 。西村 (2004)は、従来扱 つてきた教師効力感 が学級経営や授業 に関す る教師の効 力感 に限定 され てい る と述 べ る と共 に、学校 内 にお ける協働 的 な人 間関係 の構築 について の効力感 の検討が不十分であることを指摘 してい る。彼 らは、協働的な人間関係 を構築でき るこ とも教師の重要な能力のひ とつである と考 えてお り、従来の効力感 に加 えて、学校組織 の改善を視野 に入れ なが ら様 々な教育問題 の解決 に向け、同僚 と協力 し合 う協働 を軸 とし た「教師の対人関係 、とりわけ他の教職員 との協働 関係 を構築できる信念」に焦点を当てた 協働 的効力感 についての認知構造 について検証 を行 つた。協働的効力感 の認 知構造 は、従来 か ら指摘 されて きた学校改善への意欲や教師間の協働 的な人間関係 の大切 さだけでな く、 管理職 との協力 関係や学校組織 にお ける地位 や役割 の違 い を認 め、その上でお互いに協力 し合 う関係 を形成 しよ うとす る信念 の重要性 を示 している。 保育現場 において も組織的な専門性や協働性 についての重要性 が示唆 され てい る今 、保 育者 の協働 を保 育 の専 門性 の一つ として捉 え、協働 の観 点 を含 めた保 育者効力感 について 検討 を行 うこ とは、意義 がある と考 え られ る。 しか し、幼児教育・保育 の分野 において、協 働 的効力感 に関す る研 究はな され ていない。 そ こで本研究 においては、「他 の保 育者 と協働 で きるとい う信念」 を協働的保育者効力感 として捉 えて検討 してい くこととす る。(2)集
団効 力感 組織 としての専門性 を提 えるためには、個人 の効力感 だけでな く、組織全体 としての効 力感 も重要 とな る。 このよ うな効力感 は、集団効力感 (conective ettcacy)と 呼ばれてい る。 バ ンデ ュー ラ(1997)に
よる と、集団効力感 は、協力 を通 じて問題 を解決 し、改善す る こ とができるとい う集団の効力の感覚である。本間(2011)は
、「集 団 として、課せ られ た 目標 を達成す るために必要な能力 を統合 し達成 に向けて実行す るメンバー同士の共有 した 知覚的信念」 と定義 している。それ は、チーム (集団、組織)に
課せ られ た仕事の遂行、達 成志向、メンバーの能力・技術への期待・予測・判断 と、達成へ の努力・見通 しに関す るものであ り、集団の相互作用 を経て獲得 され、集団認識 として共有 された信念であるとされ る。 類似 した用語 。概念 として、集合効力感、集約的効力感 、チーム効力感 な ど訳語 も定まって いないが、この よ うな集団効力感 の概念 は、学級 。学校、スポー ツのチームな ど、各種 の所 属集 団 。組織 な どを中心に、研究が進 め られ るよ うになつてきた (成田,2009)。 淵 上 。西村
(2004)は
、 中学校 。高等 学校 の教師 を対象 に、教職員 の協働 関係 によって 教師集 団の力量 を高 めるこ とが、教 師集 団 としての効力感 のあ り方 と深 く関わつてい るこ と明 らかに してお り、淵上(2005)は
、個人 レベル にお ける 自己効力感 と活動結果 の関係 は、集団 レベル において も適用でき、集 団効力感 は、集団の結果 を説明す る概念 として重要 な機 能 を果たす ことを示唆 している。保育 において も集 団効力感 が高い ことは、組織集団 と して保育実践 を効果的に遂行できることにつながると考 え られ る。 保 育・幼児教育の分野 では、協働 的効力感 と同様 にまだ研究がな されていない。そ こで、 本研 究において、組織 としての効力感 である集団効力感 にも着 目し、保育者集 団効力感 とし て考 えてい くこととす る。 以上 の こ とをま とめて、本研 究 にお ける保育者効力感 の捉 え方 を示 した ものが図1で
あ る。個人 としての効力感 である「個人的保育者効力感」と、組織 を視野に入れた 「協働的保 育者効力感」及び 「保 育者集 団効力感 」とに分 けて捉 えることによ り、保育者効力感 をよ り 明確 に位置づ け られ ると考 える。 保 育 者 効 力感 個人に焦点を当てた効力感 組織を視野に入れた効力感 個 人的 保育者 効 力感 保育者 集 団効 力感 図1
保育者効力感の分類 三木・桜井 (1998)は、保育者効力感が保育職の意欲や 自信 に関連があるもの として、保 育専攻短大生を対象に実習前後に調査を行 つた結果、実習後、保育者効力感が高い者は、保 育職への意欲や 自信が高いことを検証 している。保育現場においても保育者効力感は、保育 に対する意欲 に影響するものではないか と考えられる。そこで、本研究では、保育者効力感 と仕事に対す る意欲が どのよ うに関連 しているかも合わせて検証 し、保育者効力感の位置 づけを行 うこととする。3.職
場 内 コ ミュニケー シ ョン1)学
び合 いの場、支 え合いの場 と しての コ ミュニケー シ ョン 高木 (2009)は、保 育者 が普段取 り組 んでい る自分 の保 育 を見つ め直 し、考 えた ことや感 じた こ とを自分の言葉で語 り合い、学び合 える場 を設 けることが、保育者 を支 え、保育の質 を高 める支援 になる と述べてい る。また保育者 を支 える学びには、自分が考 えることを しゃ べ る機会があること、うなずいて聴いてもらえる場 を作ることが必要であ り、安心 して語 る こ とのできる同僚間の雰囲気や職員間での信頼感 の必要性 を述べてい る。 中山(2009)は
、保育者 間で良好 な人 間関係 を形成す るには、素直 に 自分の気持 ちを語 る こ とので きる環境 の中で、保育者 間でお互いに 自分の気持 ちや考 えを尊重 し合 える体験 を重ね るこ とが必要 であ り、ネガテ ィブな感情体験であって も、同僚保育者 と共有 し、学習 機 会へ と変 えてい くこ とができれ ば、成長 につ なが る体験 とな る と述べてい る。また同僚保 育者 か らの心理的な支 えを受 けることは、心の余裕 を持たせ 、保 育実践 を効果的に進 めるた めの大 きな要因 となることについて述べ、いかに保育者の感情の理解、共有 してい くか とい う視点の重要性 を指摘 してい る。 これ らか ら、職場 内の コミュニケー シ ョンには、学び合いや支 え合いがあ り、必要な要素 として、語 りやすい雰囲気、保育者 間 との関係性 、対話の質な どが考 え られ る。本研 究では、 この よ うな職場 内 コミュニケー シ ョンのあ り方が どの よ うに保育者効力感 と関連 してい る のか を検討 してい く。2)職
場 内 コ ミュニケー シ ョンの分類 職場 内 コ ミュケー シ ョンの分 け方 の一つ として、フォーマル コ ミュニケー シ ョン とイ ン フォーマル コ ミュニケーシ ョンの2つ
に大別す ることができる。『 大辞林第二版』による と、 前者 は、組織や集 団内で行 われ る、公式的かつ計画的 な コ ミュニケー シ ョンの ことであ り、 職 場 にお ける会議や業務報告 な どである。後者 は、組織や集 団内で行 われ る、非公式かつ偶 発 的な コ ミュニケー シ ョンの ことであ り、職場 にお ける雑談 な どで ある。 保育現場 において も、 フォーマル コ ミュニケー シ ョン とイ ンフォーマル コ ミュニケーシ ョンがあ り、前者 については、例 えば、職員会議 、研修や保育カ ンファレンスな どが挙げ ら れ る。また後者 については、例 えば、保育についての相談や休憩時間の談話 な どもここに入 る。本研究 においては、単なる計画や報告 、雑談な どではな く、子 どもとの関わ りな どに関 す る保育 についての語 り合 いを「保育 につ いてのフォーマル な対話」(以下、「フォーマル な 対話」)と
し、偶発的な保育者間の会話 の中で も、保育に関す るイ ンフォーマル な語 り合い を 「保育 についてのイ ンフォーマルな対話」(以下、「イ ンフォーマル な対話」)と
す る。 図1は
、保 育者 の コ ミュニケー シ ョンの分類 を示 した ものである。くフォーマル コミュニケーション
>
公式的、計画的に行われるもの 例:会議、報告会、職員朝ネLなど <インフォーマルコミュニケーション>
非公式、偶発的または、当事者 のタイミングで行われるもの}
保育に関係のないコミュニケーション 保育に関する コミュニケーション 職場内で行われるもの(公の場) 職 場 外 で行 われるもの (私的な場) 図2
保育者のコミュニケーシ ョンの分類 ※本研究において捉 える職場内コミュニケー シ ョンとは、燿"の
部分で ある。 フォーマル、インフォーマルを問わず、保育者間の対話において、学び合い場や支え合い の場があると考えられる。職場内コミュケーシ ョンを「フォーマルな対話」と「インフォー マルな対話」の2側
面か ら捉 えてい くことにより、保育者のニーズに応 じたコミュニケーシ ョンのあ り方が明確化 され るのではないか と考えられ る。3)フ
ォーマルな対話における学び合い、支え合い 保育現場において、「揺 らぎ・葛藤」(若林・杉浦,2005)を
経て、保育の枠組みを広げ ることのできる質の高い保育の語 り合いが求め られ、保育カンジァレンスの意義が示唆 さ れている。保育カンファレンスについて、森上(1996)は
、多様な意見が出ることによっ て、自分がそれまでになかった視点に気づき、自分が揺 さぶ られた り、自分の枠を広げた り す ることの方が保育者の成長に役立つ ことと意味づけている。若林・杉村 (2005)は、森上(1996)の
保育カンファレンスの特徴 を 「他のカンファレンス と異な り、論争をくり返 し1つ
の適切な正答を求めてい くものではなく、む しろそれぞれの保育士がある事例の問題 を自分ごととして とらえ、保育観 ない し、保育士 としての姿勢を再構築する場である」とま とめている。平山
(1995)は
、保育カンファレンス とい う場が、ひ とりよが りの実践 と省察に陥る危 険性 をカバー し、お互いの保育の見方、考え方をより豊かなものに し、園全体の保育の質を 向上 させてい くために有効であることを明 らかに してお り、更に保育者全員が保育や子 ど もに対する見方、考え方を共通理解 し、信頼関係 を築 く場 としても有効性を示 している。ま た、平山 (1995)は、保育カンファレンスが有効に機能するために各々の保育者や保育者集 団に求められ る要素を次の3点
挙げている。①保育者の姿勢 (保育観の方向性、問題意識、 向上心、柔軟性など)、 ② リーダー (園長、教頭、主任など)を
中心に作 られてい くことが 求められ る保育者集団の関係 (民主的な集団、対話的な人間関係、受容的な脅威のない雰囲 気)、 ③ リーダーの役割 (各々の保育者が抱えている課題 を見極め、課題の洞察に自分で導 かれるように し、保育者全体の課題 として捉えるよ うに援助することな ど)で
ある。これ ら は、保育カンファレンスが有効に機能するために必要な要素であ り、無条件に保育カンファ レンスが有効であるとは限 らないことが述べ られている。 阿部(2013)は
、発達障害のある子 どもをはじめとした 「気になる子 ども」の保育にお いて望ま しい結果を生み出すために必要なことを行 うことができる信念 を 「気になる子 ど もの保育者効力感」としている。コンサルテーシ ョンのスタイルを巡回相談の中核 となる保 育士による協議 を中心に開発す ることによ り、参加 した保育士の気 になる子 どもの保育者 効力感の向上につながったことを報告 している。 これ らの研究から、語 り合いの質を高めることは、保育者同士の関係性の構築や保育の質 を高めることにつなが り、学び合いの機会を通 して、保育者効力感を高め合えるのではない か と考えられ る。また語 り合いを充実 させ るためには、保育者個人の姿勢や保育者同士の関 係性、語 りやすい雰囲気な どの必要性が示唆 されてお り、職場内コミュニケーシ ョンのあ り 方 として着 日してお くべき視点である。4)イ
ンフォーマルな対話における学び合い、支え合い 文部科学省 (2008)の『 幼稚園教育要領解説』において、教師間の協力体制 として、幼児 一人一人の実情を捉えて育ててい くためには、教師間の協力が大切であ り、教師同士が 日頃 か ら連絡を密 にすることが必要であることが述べ られている。このことから、フォーマルな 対話だけでなく、インフォーマルな対話の必要性 もうかがえる。 インフォーマルな対話は、当事者同士のタイ ミングでできるとい う利点があ り、また同僚 に相談 したいことについて、焦点を絞つて対話す ることができることか ら、問題の解決 に導 かれやすいことや、ソーシャルサポー トが実行・受領 されやすいことが考えられる。また、 イ ンフォーマルな対話は、語 りやす さや内容の密にな りやす さが考えられる。これ らの利点 を活かす ことができれば、保育についての語 り合いが職員間で拡張することや増加す るこ とにより、保育者同士の関係性や組織 としての協働意識 につながってい くのではないか と 考えられる。4.保
育経験 と保育者効 力感・職場 内コ ミュニケー シ ョン 西 山 (2006)は、保 育者効力感 の研 究 において、調査対象 の保育者 を経験年数 に よ り3群
(初任者群 :0∼5年
、中堅群 :6∼15年
、ベテ ラン群:16年
以上)に
分 け、群 間の相違 を 検討 した結果、「人間関係 」保育者効力感 は、初任期 に最 も低 く、 中堅か らベ テ ランに至 っ て高まることが検証 されてお り、保育経験 との関係 が示唆 されてい る。 秋 田(2000)は
、保育者 の発達段階モデル の 中で、「自分の能力 よ りも控 えめに して周 囲 に合わせ る段階」、「自分 を信頼 し、同僚 としての職場 での関係性 ができる段階」、「視野が広 が り、相手 に合わせ なが らも自分 らしい保育 を行 うことができる段階」な どの段階があるこ とを示 してお り、年齢や経験年数、職場 でおかれ る立場 な どによって生 じる変化や危機 につ いて述べてい る。その中で、保育観 の違 いな どの異質 さ、「よさ」 を他の保育者 と模索 し合 つて、対話す ることによ り、生まれ る絆があ り、それが保育者 としての 自分づ くりの発達過 程 である と述べてい る。この ことか ら、保 育者 の発達段階 に合 つた コ ミュニケー シ ョンのあ り方 は相違があるのではないか と考 え られ る。 以上 の ことか ら、保 育者 の経験年数や職場 での立場 な どに よつて、抱 えてい る課題 な どが 異 な り、職場内 コ ミュニケー シ ョンにお けるニーズや あ り方 も異 なって くる と考 え、保育経 験年数 (キャ リア)を
検討 の視点 として加 えてい くこ ととす る。 5,目的 様 々な職場 内 コ ミュニケー シ ョンの特徴 を活 かす こ とに よ り、保 育者 のモチベ ー シ ョン や 協働性 の向上 につ なが るこ とが考 え られ る。保育体制や保 育者 の専門性 の発達段階 に合 ったフォーマルな対話0イ ンフォーマルな対話 にお けるそれぞれの特徴 を活か し、コ ミュニ ケー シ ョンを図 ることによ り、組織 としての効力感 につなが り、協働性 を高 めることができ るのではないか と筆者 は考 えている。 協働性 を高めるためには、保育 に対す る協働 的な姿勢 が基盤 となることが考 え られ る。保 育者 が相互 に能力 を高 め合 お うとす る姿勢 、支 え合 お うとす る姿勢 の根源 とな る保 育者効 力感 を中心に検証 してい く。つ ま り、一保育者 としての保 育 にお ける効力感 だけでな く、組 織 の一員 として、他 の保育者 と協働 できる とい う信念 「協働 的保 育者効力感」に着 目す る。 また組織全体が協働 に向けて共有 してい る信念「保育者集 団効力感」について も捉 えること とし、「どのよ うな職場 内の コ ミュニケーシ ョンのあ り方が協働 の根源 となる効力感 の向上 につ なが るのか」について解明す ることとす る。そ こで、協働性 につながる保育の語 り合い として、本研究における目的は以下の点である。 ・ 保育者効力感 について、「組織 を視野 に入れた視点」 と 「個人 に焦点を当てた視点」か ら、 どのよ うな職場 内 コ ミュニケーシ ョンが保育者効力感 に関係す るのかを明 らかに す る。 ・保育経験年数 (キャ リア)の
違 いにお ける「職場 内 コ ミュニケー シ ョン と保 育者効力感との関係」について明 らかに し、キャリアに合つた職場内コミュニケーシ ョンのあ り方 についての示唆を得 る。
。保育者効力感 と仕事に対する意欲 との関係を明 らかにし、保育者効力感の位置づけを行 う。
方法 調査対象 兵庫県内の幼稚園・保育所 。幼保一体化園 (就学前の教育・保育を一体 として捉えた一貫 した総合施設)・ 認定 こども園に勤務する保育者 (施設長を除 く
)338名
である。 調査時期2014年
10月 ∼11月 手続き 事前に調査協力の承諾を得 られた施設及び個人に、質問紙の郵送及び直接配布 を行つた。 一部については、施設長に各施設への配布 を依頼 した。 無記名 自記式にて郵送により回収を行つた。施設については、同封 した個別封筒 (各自厳 封)の
投入を依頼 し、施設毎に所定の封筒 にまとめてもらうよう求めた。配布施設の うち一 部については、施設長により質問紙の回収 をしてもらつた。 回答が得 られたのは、合計297名 (回収率87.9%)で
あつた。 調査内容 質問紙は、以下の内容か ら構成 されていた。 ① 「個人的保育者効力感尺度」は、「子 どもの発達を見通 した援助をすることができると 思 う。」、「子 どもの経験や興味 。関心を踏まえ、様々な遊びや活動 を展開 してい くこと ができると思 う。」な どの6項
目である。三木・桜井(1998)の
「保育者効力感」の概 念を参考にし、『幼稚園教育要領解説』(文部科学省,2008)及
び『保育所保育指針解説 書』(厚生労働省,2008)か
ら専門性 に関する用語を引用 し、独 自に作成 したものであ る。回答方法 としては、「とてもあてはまる (6点)」 「あてはまる (5点)」 「どちらか と 言えばあてはまる (4点)」 「どちらか と言えばあてはまらない (3点)」 「あま りあては まらない (2点)」 「まつたくあてはまらない (1点)」 の6段
階評定を用いた。 ② 「協働的保育者効力感尺度」は、「園全体の保育の中で自分の役割を意識 し、行動する ことができると思 う。」「他の保育者 と子 どもや保育について情報交換を進んで行 うこと ができると思 う。」な どの5項
目である。淵上・西村(2004)の
「協働的効力感」の概 念を参考にし、『 幼稚園教育要領解説』(文部科学省,2008)及
び『保育所保育指針解説 書』(厚生労働省,2008)か
ら協働性 に関す る用語 を引用 し、独 自に作成 したものであ る。回答方法 としては、「とてもあてはまる (6点)」 「あてはまる (5点)」 「どちらかと 言えばあてはまる (4点)」 「どちらか と言えばあてはまらない (3点)」 「あま りあては まらない (2点)」 「まつたくあてはま らない (1点)」 の6段
階評定を用いた。 ③ 「保育者集団効力感尺度」は、「子 どもの発達理解や援助について、保育者みんなで対 応 してい くことができると思 う。」、「大変な仕事でも、保育者みんなで励 ま し合つて取 り組むことができると思 う。」などの8項
目である。本郷(2005)の
集団効力感尺度の 10④ 概念 を参考 に、『 幼稚園教育要領解説』(文部科学省
,2008)及
び『 保育所保育指針解説 書』(厚生労働省,2008)か
ら専門性や協働性 に関す るもの を引用 し、独 自に作成 した ものである。回答方法 としては、「とて もあてはま る (6点)」 「あてはまる (5点)」 「ど ち らか と言 えばあてはまる (4点)」 「どちらか と言 えばあてはま らない (3点)」 「あま りあてはま らない (2点)」 「まった くあてはま らない (1点)」 の6段
階評 定 を用 いた。 「仕事意欲尺度」は、「毎 日の仕事にや りがいを感 じる。」「今 の仕事は 自分の能力 を発 揮 で きる仕事 だ と思 う。」な どの8項
目である。保育者効力感 と仕事 にお ける意欲 との 関連 を検討す るこ とで、保 育者効力感 の位 置づ けを行 うもので ある。看護 師用 に作 られ た佐野・ 山 口(2005)の
仕事意欲尺度15項
目の うち、保 育 に適用できると考 え られ る ものを8項
目選 び、一部 「看護 」を 「保育」と変更 して用 いた。回答方法 としては、「と て もあてはまる(6点
)」 「あてはまる (5点)」 「どち らか と言 えばあてはまる(4点
)」 「どちらか と言 えばあてはま らない (3点)」 「あま りあてはま らない (2点)」 「まつた くあてはま らない (1点)」 の6段
階評定 を用いた。 「フォーマルな対話頻度」は、対話の対象 を「全職員」、「4∼6人
程度 (以下、小 グル ー プ)」、「2,3人
(以下、少人数)」、「上 司」の4項
目についてそれぞれ の回答 を求 めた。 回答方法 としては、「ほぼ毎 日 (7点)」、「週2,3回
程度 (6点)」、「月 1回程度 (5点)」、 「2ヶ月 に1回
程度 (4点)」、「学期 に1回程度 (3点)」、「年 に1回程度 (2点)」 、「ま った くない (1点)」 の7段
階評定 を用いた。 「フォーマル な対話充実度尺度」は、「話 し合いを進行す る保育者 は、発言 しやすい雰囲 気 をつ くつてい る。」、「他 の保育者 の発言 を聞いて、保育の考 え方が広がる。」な どの 15 項 目で あ る。保 育 の語 り合 い に関す る文献 (平山,1995;森
上,1996高
木,2009;中
山,2009;若林 。杉浦,2005)の内容 を参考 に し、また保育者3名 (保育経験年数;1年
未満 、満 11年、満25年
)か
ら職場 内 コ ミュニケー シ ョンについての聞き取 りを行い、 独 自に作成 した ものである。 回答方法 としては、「とて もあてはまる(6点
)」 「あては まる (5点)」 「どち らか と言 えばあてはまる (4点)」 「どちらか と言 えばあてはま らな い (3点)」 「あま りあてはま らない (2点)」 「まった くあてはまらない (1点)」 の6段
階評定 を用いた。 「イ ンフォーマル な対話頻度」は、対話対象 を 「同僚」、「上司」 とし、それぞれ について 回答 を求 めた。回答方法 としては、「ほぼ毎 日 (7点)」、「週2,3回
程度 (6点)」、「月 1回程度 (5点)」、「2ヶ月 に1回
程度 (4点)」、「学期 に1回程度 (3点)」、「年 に1回 程度 (2点)」、「まつた くない (1点)」 の7段
階評定 を用 いた。 「イ ンフォーマルな対話充実度尺度」 は、対話対象 を 「同僚」、「上司」 とし、「保育につ いて思つた ことを何で も話せ る。」「保育で困つていることについて話 を聞いて くれ る。」 な ど各10項
目である。保育の語 り合いに関す る文献 (高木,2009;中山,2009)の内容 及 び職場用 ソー シャルサポー ト尺度 (小牧・ 田中,1993)を参考 に し、また保 育者 3名 ⑤ ⑥ ⑦ ③(前述 と同 じ
)に
聞 き取 りを行い、独 自に作成 した ものである。 回答方法 としては、「と て もあてはまる (6点)」 「あてはまる (5点)」 「どちらか と言 えばあてはまる (4点)」「ど ち らか と言 えばあてはま らない (3点)」 「あま りあてはま らない (2点)」 「まつた くあて はま らない (1点)」 の6段
階評定 を用 いた。 ⑨ そ の他、フェイス シー トとして、「所属」「性別」「年齢」「保育経験年数」等 の記入 を求 め た。 9 “結 果 と考 察
1.対
象者の属性 回答者297名
の うち、回答に大きな不備のある者を除いた253名
(有効回答率 74.8%) を分析対象 とした。対象者の属性は、表1の通 りである。 表1
分 析 者 の属 性 と人 数 所 属 保育所188 (74.3%)
幼保一体化園20 (7.9%)
幼稚園18 (7.1%)
認定こども園2 (0.8%)
無答25 (9.9%)
所属 の公私 私 立 公立 無答 137 ( 54.1%) 73 (28.9%) 43 ( 17.0%) 性 別 女性 男性 無答 240 (94.9%) 9 ( 3.6%) 4 ( 1.6%) 年 齢 20-29清誠 30∼39清誠 40∼ 49歳 50∼59歳 60歳 以上 無答 保育経験年数 0∼満2年39 (15.4%)
満3∼満5年42 (16.6%)
満6∼満15年94 (37.2%)
満16年 ∼満25年57 (22.5%)
満26年 以上15 (5.9%)
無答6 (2.4%)
101 (39.9%) 59 (23.3%) 47 (18.6%) 41 (16.2%) 2 ( 0.8%) 3 ( 1.2%) 132.保
育者 効 力感・ 仕 事意 欲 個人的保育者効 力感尺度の因子分析 個人的保 育者 効力感6項
目の因子分析 (重み付 けのない最小二乗法)を
行 った結果 を表2 に示 した。すべての項 目が第1因
子 に高い因子負荷量 を示 してお り、説 明率63.9%で
ある こ とか ら、1因子構造 と判断 した。高い負荷量 を示す6項
目の平均値 を因子 の尺度得点 とし て用いた。 また α係数 は、.89と 内的整合性が確認 された。 表2
個人的保者効力感の因子分析結果 因 子1
子どもの発達を見通した援助をすることができると思う。.82
2
子ども自らが生活していく力を援助することができると思う。.77
4
子どもの経験や興味・関心を踏まえ、様々な遊びや活動を展開していくことができると思う。 .763
子ども同士の関わりを見守り、育ち合う関係づくりをすることができると思う。.76
5
園内外の環境を生かし、保育の環境構成をしていくことができると思う。.72
6
保護者の気持ちに寄り添いながら子育て支援に取り組むことができると思う。.70
協働 的保育者効 力感尺度の因子分析 協働 的保 育者効力感5項
目の因子分析 (重み付 けのない最 小二乗法)を
行 つた結果 を表3 に示 した。すべての項 目が第1因
子 に高い因子負荷量 を示 してお り、説明率62.8%で
ある こ とか ら、1因子構造 と判 断 した。高い負荷量 を示す5項
目の平均値 を因子のえ度得点 とし て用いた。 また α係数 は、.85と 内的整合性 が確認 された。 表3
協働的保育者効力感の因子分析結果 因 子 他の保育者と協力して、クラスや学年などの枠を超えた保育ができると思う。 園全体の保育の中での自分の役割を意識し、行動することができると思う。 ひとつのクラスで起こつた問題を園全体の課題として、改善策などについて考えることがで きると思う。 他の保育者が困つている状況に対し、保育のフォローを自ら行うことができると思う。 他の保育者と子どもや保育についての情報交換を進んで行うことができると思う。 7 5 4 4 5 ・ 7 ・ 7 ・ 7 ・ 7 ・ 6 14保育者集 団効 力感尺度の因子分析 保育者集 団効力感 尺度
8項
目の因子分析 (重み付 けのない最小 二乗 法)を
行 つた結果 を 表4に
示 した。すべ ての項 目が第 1因子 に高い因子負荷量 を示 してお り、説明率77.7%で あ ることか ら、1因子構造 と判断 した。高い負荷量 を示す全8項
目の平均値 を因子の尺度得 点 として用い た。 また α係数 は、。92と内的整合性 が確認 された。 表4
保育者集団効力感尺度の因子分析結果 因 子 保育者みんなで、保育の専門性を高めていけると思う。 子どもの発達理解や援助について、保育者みんなで対応していくことができると思う。 保育に困難が生じたときでも、保育者みんなの力があれば解決できると思う。 保育者みんなで互いに保育のサポートやフォローができると思う。 保育者みんなで保育について創意工夫ができると思う。 何かを決めるとき、保育者みんなで十分に話し合えると思う。 大変な仕事でも、保育者みんなで励まし合つて取り組むことができると思う。 どんな仕事でも保育者みんなで協力できると思う。 89 89 84 83 81 .80 .80 .78 仕事意欲尺度の因子分析 仕事意欲尺度8項
目の因子分析 (重み付 けのない最小二乗法)を
行 つた結果 を表5に
示 した。すべての項 目が第1因
子 に高い因子負荷量 を示 してお り、説明率61.0%で
あること か ら、1因子構造 と判 断 した。高い負荷量 を示す全8項
目の平均値 を因子の尺度得′点として 用 いた。 また α係数 は、.92と内的整合性 が確認 された。 表5
仕事意欲尺度の因子分析結果断
一︲
毎 日の仕事にやりがいを感じる。 今の仕事から得る充実感は心地良いと感じる。 今はこの仕事を続けていきたいと思う。 今の仕事は自分の能力を発揮できる仕事だと思う。 今の仕事は自己を成長させるものだと思う。 仕事上かなり困難な問題があつても、頑張つてやりとげたいと思う。 よりよい保育を追及していきたいと思う。 担当する仕事について、更に高度な知識や技術を身につけたいと思う。 6 6 1 8 0 8 9 4 ・ 8 ・ 8 ・ 8 ・ 7 ・ 7 ・6 ・ 5 ・ 5 15保育者効力感・仕事意欲の平均値 保育者効力感・仕事意欲の平均値を因子 ごとに示 したものが、表
6で
ある。 表6
保育者効力感口仕事意欲の各因子の平均値 個 人的 保育者 効 力感 協働 的 保 育者効 力感 保 育者 集 団効 力感 仕事意欲 4.32 (0.60) 4.39 (0.69) 4.64 (0.84) 4.81 (0.74)():"
3.職
場 内 コ ミュニケー シ ョン フォーマルな対話充実度尺度の因子分析 フォーマルな対話充実度15項
目の因子分析 (重み付 けのない最小二乗法,プ
ロマ ックス 回転)を
行 つた結果、3因
子 を抽 出 した (表 7)。 第 1因子 は、「話 し合いのテーマは、保育 の現状 に適 した ものである。」、「話 し合いの 目的は明確 である。」、「様々な子 どもへの関わ り 方 にふれ ることができ、保育 に活 かせ る。」、「他 の保育者 の発言 を聞いて、保 育 の考 え方 が 広 が る。」な どの項 目に因子負荷量が高 く、意義 ある語 り合い として捉 え られてい ることか ら、「語 り合いの意義」の因子 と命名 した。第2因
子 は、「素直 に 自分の気持 ちを語 ることの で きる雰囲気である。」、「互いの考 えを交わ し合 える雰囲気である。」、「話 し合い を進行す る 保 育者 は、発言 しやすい雰 囲気 をつ くつてい る。」 な どの項 目に因子負荷量が高 く、語 りや す い雰 囲気 として捉 えてい ることか ら、「語 り合 いやすい雰 囲気 」の因子 と命名 した。第 3 因子 は、「保 育で困つてい るこ とについて話 を聞いて も らえる。」、「保育 に活かせ る専門知識 に関す る情報 を提供 して もらえる。」、「保育の良 さを評価 して もらえる。」な どの項 目に因子 負荷量が高 く、語 り合 いにおいて、支 えて もら うこ ととして捉 えてい ることか ら「語 り合い に よるサポー ト」の因子 と命名 した。それぞれの因子のみに高い負荷量 を示す項 目の平均値 を各因子 の尺度得点 として用いた。また α係数 は、「意義 ある語 り合 い」は。93、 「語 り合い の雰囲気」は。93、 「語 り合いにお けるサポー ト」は.93と 内的整合性 が確認 された。 16表
7
フォーマルな対話充実度の因子分析結果 因 子 意義ある語り合い12
話し合いのテーマは、保育の現状に適したものである。 11 話し合いの 目的は明確である。13
様 々な子どもへの関わり方にふれることができ、保育に活かせる。14
他の保育者と共に保育の振り返りができる。15
他の保育者の発言を聞いて、保育の考え方が広がる。 語り合いの雰囲気3
素直に自分の気持ちを語ることのできる雰囲気である。4
互いの考えを交わし合える雰囲気である。2
発言しやすい雰囲気をつくる工夫がある。1
話し合いを進行する保育者は、発言しやすい雰囲気をつくつている。5
真剣に語り合える雰囲気である。 語り合いにおけるサポート8
保育で困つていることについて話を聞いてもらえる。7
保育の良さを評価してもらえる。9
保育に活かせる専門知識に関する情報を提供してもらえる。10
保育に関する問題解決のための方法を一緒に考えてもらえる。6
保育についての励みになる。 J4 .26 -.10 -.07 -.07 .10 .49 .09 .08 .39 .13 07 .09 .01 -.03 8 2 1 0 2 0 6 7 7 2 5 2 5 2 0 1 0 0 1 4 2 1 3 4 1 一 一 イ ンフォー マル な対話充実度 (同僚)尺
度 の因子分析 イ ンフォーマル な対話充実度 (同僚)10項
目の因子分析 (重み付 けのない最小二乗法) を行 つた結果 を表8に
示 した。すべての項 目が第1因
子 に高い因子負荷量を示 してお り、 説 明率92.3%で
あるこ とか ら、1因子構造 と判断 した。高い負荷量を示す全10項
目の平均 値 を因子 の尺度得点 として用 いた。 また α係数 は、。96と内的整合性 が確認 され た。 表8
インフォーマルな対話充実度(同僚)尺度の因子分析結果 因子 12
同僚に保育について思つたことを何でも話せる。4
同僚に自分から保育の悩みを相談することができる。5
同僚と保育について真剣に語り合える。3
同僚に保育の愚痴を言える。1
同僚に保育について素直に自分の気持ちを語ることができる。6
同僚との会話は、保育についての励みになる。7
同僚に保育の良さを評価してもらえる。8
同僚は保育で困つていることについて話を聞いてくれる。10
同僚は保育に関する問題解決のための方法を一緒に考えてくれる。9
同僚は保育に活かせる専門知識に関する情報を提供してくれる。 .90 .89 .84 .84 .84 .77 .75 .75 .67 .63 17イ ンフォー マル な対話充実度 (上司
)尺
度の因子分析 イ ンフォーマルな対話充実度 (上司)10項
目の因子分析 (重み付 けのない最小二乗法) を行 った結果 を表9に
示 した。 すべての項 目が第 1因 子 に高い因子負荷量 を示 してお り、説明率74.3%であるこ とか ら、 1因子構造 と判断 した。高い負荷量を示す全10項
目の平均値 を因子 の尺度得点 として用い た。 また α係数 は、.96と 内的整合性 が確認 された。 表9
インフォーマルな対話充実度(上司)尺度の因子分析結果断一︲
10 9 8 6 7 5 4 1 2 3 上 司は保育に関する問題解決のための方法を一緒に考えてくれる。 上 司は保育に活かせる専門知識に関する情報を提供してくれる。 上 司は保育で困つていることについて話を聞いてくれる。 上 司との会話は、保育についての励みになる。 上 司に保育の良さを評価 してもらえる。 上 司と保育について真剣に語り合える。 上 司に自分から保育の悩みを相談することができる。 上 司に保育 について素直に自分の気持ちを語ることができる。 上 司に保育 について思つたことを何でも話せる。 上 司に保育の愚痴を言える。 .93 .93 .90 .89 .80 .79 .75 .71 .67 .57 18る 。 職場内コミュニケーシ ョンの頻度 口充実度の平均値 職場内コミュニケーシ ョンの平均値及び標準偏差を因子 ごとに示 したものが、表 10で あ 表