社
会
系教
科
教
育
学
会
『社
会
系教
科
教
育
学研
究
』
第
3号1991
(PP.
65
―70)
社会科学の社会認識方法論に関する一考察
一
公
民
科
(政
治
・経
済
・社
会
)
と
の
関
連
を
中
心
に
−
The Methodology of Understanding of Society
on Social Science and Civic Education
1。は
じめに
社会科教
育学を厂
社会認識
を通
して市
民的資質を育
成す
る教育」を基本理念とする教育学であると一応定
義
しておこうO
(注1
)
社会科教育
を考
える場合パ ̄
なにを
」教えるかとい
う側
面では
,
専門の社会科諸科学
と密接に関連
してい
る
。高校の公民科でいえば,
「政治
・経済」は政治学,
法学
,経済
学,
社会学など,
「倫理
」は倫理学,
哲学
な
どというように各専門科学と深
くかかわ
っている
。
各専門科学の
研究成果
をそのまま教えるのでは
ない
ことはいうまでもないが
,
少なくとも各専門科学の社
会認識の
方法論
と根底において関連せ
ざるを得ない
。
社会科教
育は
,
「どう教
えるか」という側面では,
教
育学や心理学
と密接に関連
しているが
,
今回は,そ
の教授方法
論に関することは全て割
愛
したい
。
また
,
社会認識教育の
方法論と
して,
経験主義の立
場をとるの
か
,社会科学主義をとるのか,
問題解決学
習がよいの
か等々の問題もあるが,
これ
らも割愛した
い。
したが
って,
本稿
ではもっぱら社会科教
育における
社会認識
と関連す
る社会科学の社会認識
論に
しぼって
考察
した
い
。社
会科が社会現
象を対象とする限
り,ま
た社会認識
を問題とする限
り
,社会科学に
よる社会現
象の分析
,
方法論とかかわ
る
ことを否定できな
いから
である
。そこで,
本稿では,
地歴科は除き,社会科学
とよ
り密接な関係にある公民科と中学校の
公
民的分野
,
とくに
,
高校公
民科の
「政治
・経済」と
「現代社会」
の政治
,
経済
,社会分野に
しぼ
り,
それ
ら
と関連
をもっ
ている社会科学
(今回は社会学
,経済学,行動科学)
において
,社
会認識の方法
論をどうとらえているかを
考察
した
い
。そこで,
それ
らにつ
いて,
K.
マルクス,
M.
ウェーバー
,
T.
パー
ソンズ,
そして行動科学の
順に論述
してい
く。
2. Karl Marx
の
場合
まず
マル
ク
ス
の
場
合か
らみ
てみ
よ
う
。彼
は
,
社会科
学の
方法
を
自然科
学
の
それ
とま
った
く同
じと考
えて
い
― 65
―
宮
崎
和
夫
(親和女子大学)
るの
だろうか
。つま
り,
社会現象を対象
とした
場合の
科学的認識
と自然現象
を対象と
した場合の
それ
と全
く
同じと考
えていたかというと
,
彼の
場合は否といえよ
う
。自然科学的認識の
場合は,
初めか
ら終
りまで,
ど
こまでも対象は
自然であ
り
,
物であ
り続
ける
。その
中
で自然現象の法則が明らかに
され
て行
くわ
けで
ある氈
社会現象について
,
彼の
場合は,例
えば,
「資本論」
においては
「商品
」からは
じめて,
最も現実的な
「階
級
」という規
定性
をおびた諸個人,
つま
り人間で終っ
ている
。この
ように社
会認識では物からは
じまって,
人間で終るわけである
。第4編での余剰価値の
生
産認識の
ところで物
と物との関係
を辿
りながら
,ある
決定的な論理段階
で人間の
姿が現われ
,アポ
リアが乗
り越
えられ
る
。物と物
との
関係
つま
り自然現象と同
じ
よ
うにみ
える
ところの現象
を
,
それ
は実は
人と人との
関係であるというに絶
えず
翻
案
して
い
く認識
方法
をとっ
て
いる。
そ
して
,
マルクスは次第に経済学批判
という仕事に
集
中してい
って,
内的つま
り人間
的な諸動機
から発す
る諸個人の行
動の
法則性の
問題
を視野の外においてし
ま
って
いる。この
ことにつ
いて大塚
久雄は
「マルクス
が階級的人間
を現実に真の
人格
的人間にまで開放す
る
ために不可欠な観念的手段
,
つま
り地図の
うち,最小
限度に必要なもの
,
その第
一に着手
され
るべきものと
して経済学批判の
仕事に集
中
した
。しか
しもっとマル
クスが長生き
して
いたならば
,
他の文化諸領域におけ
る人間行動の
固有の法則性の探
求へ
と進ん
でいったの
ではな
いかと思われ
る
。
(
」
・2
)
と述べ
ている。
マルクスの
場合
,
上部構造の相
対的独
自的運動を指
摘するものの
,
上部構造は経済
的な基礎から根底的な
制約を受けているという
Oそれ
だけが常に強調
され
て
いて
,
上部構造の運
動,
つま
り
「 ̄
固有な法制性」それ
自体に
ついては
,積極的には何
もいわれ
ていない。
疎外の
下にある経済
生活,
そう
した経済
生活
以外の
さま
ざまな文化領域に
関
して
,
人間の社
会生活は,ど
の
ような固有な,
法則的動きを示すか
,また政治現象
は,法意識は,
芸術の場合は,歴史の場合はどうか。
と もかく,そうし た経済生活以 外のさ まざ まな文 化 領 域 にお ける人 間 の社 会生活 に「 固有な法則 性」 を究 明 しよ うという場 合 に,資 本主 義 社 会 につ い て み て さ え,人 間を物 化さ れたもの として取 り扱 う方 法 ,つ ま りマ ルクスの方法で は,社会現象 の認識や研 究 は限 界 を きたさざ るをえな いのであ るO 3. Ma χ Weber の場合 M. ウェー バーは,経済以外 の文 化 領域 にお け る 「固有 な法則性」 の社会科学 的追求 を 可 能 にす る 方 法 を明 らかにしたといえ よう。 この点 か ら,彼をと り あ げて みたい。 彼 は,経済現象 に関する厳密 に経済 学 的 な分析 の実 り は十分 で はな かったが,(経 済社会 学 的 分析 は鋭くかっ 体系 的です ばらしい が) 他面,具 体 的 な人間 の多 面的な姿 を視野 の中にお きなが ら,社 会 現 象を 科学的に追求 しう るよ うな方法を築 き上げ たとい え よう。 ウェ ーバーによる と,人 間を 単 に政治 的,経済 的 な 利害状 況の中で 。それと の関連 の面で のみ捉え るの で はなく,経済 という文化領域 の「 基 礎 的 な重 要 性」を 十分 に認 めな がら も,そ の他の文化領 域,マ ル ク スの い ういわ ゆる上 部構造 に当 る ものの中に も,深 くか か わりを もって いる具体 的な人間諸 個人 の多面 性を十分 に視野の うちにお きな が ら,科学的 方法論を うち たて よう とし た。 さ まざ まな文化 領域にお ける社会現象 は経済 に制約 されな がらも,そ れには還元し きれない ,そ れぞ れ に 「固有 な法則性」 にした がって独自 の動 きを す る。 そ れば かり でなく,そうした他 の文化 領域 にお ける 独 自 な動 きがまた,経済 の動きを 逆 に 制約 す る。 例 え ば , 政治 や法の世界で も,経済 から外へ踏 みでた他の 文化 諸領 域で は,社会 現象 はあ らわに人 間 と人 間の関 係 と して 現わ れて くる。 そ の場 合,経済学 の方法を ただ 延 長す るこ との みで は ,そ うし た 社会 現 象 が 経済 的 に ー一 つまり物 と物 との関 係と みえ るような経済 的事態 によって一一 根底的 に制約さ れてい ること は追求 で き ても,経済現象 か ら相対的 に独立 している社会諸 現 象 の動 きを,そ のものと して 追求 す るこ と はで きな い。 つ まりそ こで は人 間 の疎外現象を通 じて科学的認 識が 成立 する とい うだけで は,も はや社 会現象を把握 し き れない。 マル クス流 の物 と物 との関係とし て追 求して いく経済学 の方法を ただ延長す るだけで は,経 済以 外 の他 の社 会現象 の「 固有な法則 性」 を積極 的に明 らか にしてい く道 が見 失われてし まうこと になる。 まさ に こ うしだところ にウェ ーバーの方法 の 有効 性 が あ る。 経 済学 によ って明 らか にさ れるよ うな経済的利 害状 況 によって深 く制約さ れて はいて も,それと は相 対 的 に 独 自 な 行 動 を す る な ま の ま ま の人 間 諸 個 人 ,そ こ で は , もう 物 と物 と の関 係を 追 求 す る よ う な 方 法 で は な く,・ど う し て も な ま の ま ま の 人 間 諸 個 人 の行 動 を そ の ま ま 因 果 的 に と ら え るよ う な 方 法 が必 要と な って く る。 ( こ の点 に関 し て は,後 述 す る 行 動 科 学 と T . パ ー ソ ン ズ の章 を 参 照 ) そ のよ う な 具 体 的 な 人 間 諸 個 人 ,そ の行 為 の 軌 跡 と も い う べ き社 会 現 象 を 対 象 と し な が ら,ど の よ う に し て ,因 果 性 の 範 疇 を 使 用 し つ つ ,科 学 的 認 識 を 成 立 さ せ る こ と が で き る か と い う こ と が 彼 の 社 会 科学 方 法 論 の中 心 課 題 で あ っ た 。 彼 は,普 遍 的 に 妥 当 す る 関 係 概 念 と し て の 法 則 を 追 求 す る よ う な 認 識 方 向 と , もう 1つ 歴 史 的 意義 を もつ 個 性 的 な 事 物 概 念 と し て の固 体 を 把 握 し よ う と す る認 識 方 向 とを 峻 別 す る。 し か し ,彼 は ,法 則 追 求 の認 識 方 向 を 自 然 科 学 に ,個 体 把 握 の認 識 方 向 を 社 会 科 学 に 結 び つ け て し ま お う と い う の で は な い 。 む し ろ , こ の 2 つ の認 識 の方 向 は ,自 然 を 対 象 と す る 自 然 科 学 の場 合 に も,人 間 の 営 み を 対 象 と す る 社 会 科 学 の 場 合 に も,ど ち ら に も同 じ よ う に み ら れ る と す る。 そ の点 で は,自 然 科 学 も社 会科 学 も同 じ で あ る こ と を力 説 し て い る 。 そ し て 社 会 現 象 は 生 き た人 間 諸 個 人 の 社 会 的 行 動 の 軌 跡 に ほ か な ら な い か ら,お よ そ 社 会 現 象 の 中 に は , 人 間 行 動 に お け る 目 的− 一 手 段 の連 関 ,い わ ゆ る テ レ オロ ギ ー,目 的 論 的 な 関 連 が 奥深 く含 ま れてお り ,従 っ て 社 会 現 象 の中 で は。自 然 現 象 の場 合 と ち か っ て , 目 的− 一 手 段 の目 的論 的 な 関 連 と い う も の を 辿 っ て い く こ と が で き る と す る 。 し か し ,目 的論 的 関 連 の追 求 は ,原 因 一 一 結 果 の 関 連を 辿 って い く 因 果 関 連 の追 求 と は ,相 互 に 本 質 的 な 関 わ り あ い を も ち な が ら も,そ れ 自 体 とし て は , 全 く 別 のこ とだ と い う 。 目 的 論 的 な 関 連 は因 果 関 連 と は異 な る も ので あ る か ら ,社 会 現 象 の 中 に い く ら そ う し た 目 的 論 的 な 関 連 を 追 求 し て も ,そ れだ けで は , 自 然 科 学 が 科 学 で あ る と い う よ う な 意 味 に お い て ,科 学 的 認 識 は,従 っ て す ぐ れ た 意 味 で の 社 会 科 学 と い う も の は ,ど う し て も成 立 し な い 。 社 会 現 象 を 対 象 とし な が ら , ど う し た ら因 果 性 の範 疇を 使 用 し ,十 分 に 科 学 的 と 呼 ぶ に ふ さ わ し い 認 識 を 成 立 さ せ る こ と が で き る の か とい う 難 問 に対 し て ,「 目 的 論 的 関 連 の因 果 関 連 へ の組 み か え 」 と 大 塚 久 雄 教 授 が 名 づ け た よ う な 着 想 が で て く る ので あ る 。 匚社 会 学 一 一 社 会 科 学 一 一 は ,社 会 的 行 為 の主 観 的 と思 わ れ る意 味を 解 明 しつ つ , 理 解 し ,そ れ に よ っ て , そ の 経 過 と影 響を 因 果 的 に 説 明 し よ う と す る 学 問 で あ る」 と ウェ ー バ ー自 身 は の ぺ て い る が 。社 会 科学 的 認 識 の 場 合 に は ,自 然 科 学 に は み ら ― 66 ―
れ
ない動機の意味理解
ということが
つけ加わ
ってくる
ことに
なる
。
ウェ
ー
バーの場合,
社会科学的認識の成立根拠とし
て
,経験的規則性
と動機の意味理解
という2つを重視
してお
り
,
この複眼的方法は,
歴史一一そこには理論
による把握
を越
えた偶
然的
,
非合理
な要因が本質的な
もの
と
して含まれ
ている
一一そのものに立ち向かって
お
り
,
その
ことを
H.
Hガースは,匚
理念と利害状況
の社会学
(社会科学)
」と巧みに評
しているが
,
ウ
ェー
バーは
,
理念と利害状況,
この両者の相関と緊張の関
係
として歴史をみ
ているわ
けである
。
このように
,
ウ
ェーバー
の場合には,
その独自な社
会科学方法論によって理論的視野が経済を越
えてさま
ざまな文化領域にまでおよび
,
それ
によって
「固有の
法則性
」を把握する可能性
をつ
くりだ
した
。そ
してそ
の
点で
,
ウ
ェーバーの
「社会学」はマルクスの場合よ
りも
いっそう射程距離が大き
くなっているといえよ
しか
しながら
,その複眼的方法論はいいのである
が
,
その相
互作用,
その
プロセス
,その機能分析とい
う点では
,
必ず
しも明解
とはいえな
い点が
ある
。そこ
で
,
次に相互作用と機能分析論の観
点から,
T.パー
ソンズ
をみ
てみ
よ
う。
4. Talcott Parsons
の場合
パ
ー
ソンズは,
社会現象
を人間行為の側
面か
らとら
えようとし
,次の
4つの視
点からア
プロー
チ
して
いる
。
第
一は,
行動有機体と
してである。行動有機体の主要
な構造的
レファランスは
,
種型
(スペシータイ
プ)’
で
あって
,
これは,
その種に特徴的な遺伝的素材の種々
なコン
ビネ
ーシ
ョンと環境条件の結果
を含んで
いるユ
ニ
ークな有機体の
素質を通
じて作用する。
第
2は
,
象徴
的に組織
され
た文化パターンである。
人間は言語を学習
し
,
それ
を使用す
る能
力をも
つこと
によって
,
特定の象徴体
系を学習
し,
自らの行為に意
味を付
与することができる
。文化体
系の主要
なパター
ニングは
,
幾世
代もかかって形成され
るもの
であり,
それは
常に比較
的大きな集
団によって共有
され
て
いる
。
そのため
,
個人は文化体
系を創造することができず,
それは個人によって学習され
るものである
。文化の
変
容に対
して
,個
人はかな
りマー
ジナルな創造
的な貢献
をす
るにすぎない
。こう考
えると,
一方では
,遺伝的
な種
型によって課せ
られた
限界
内で
,他方では,文化
のパタ
ー
ニングに
よる範囲内で,
一定の諸個人と集団
とは構造化
された行動体系を個々別々に発展させる機
会
をもっている
。ここから,
人間行為の第
3の側面で
あるパー
ソナ
リティが
形成され
る
。
それは
,特
定の
文化体
系のコンテクス
トにおける
学習に
よって形成され
る
。そのため
,
人間有機体が習
得
した行動体系と
してのパ
ー
ソナ
リテ
ィは相互に
共通
の特徴
をもつようになる
。他
方,
人間
有機体とその環
境一一自然的
,
社会的,
文化的一一とは,相互の個別
的対応
という観
点か
らすれ
ば
,
つねにユニーク
なもの
である
。その結
果,
パー
ソナ
リティは曇哇
的な特徴
を
も備
えるように
なる
oこの意味ではパ
ー
ソナ
リテ
ィは
,
文化とその
文化に特有な行為パタ
ーン
とそのユニーク
な変形であ
り,
それ
は有機体にも文化にも還元
し得な
いものである。
第
4は
,社会的相互作用の
過程
である
。それは,相
互作用
を行なう個人のパ
ー
ソナ
リティや文化体系のパ
タ
ーンと密接な関係
をも
っているが,
分析
的にはこれ
らと独立
している
。この独立性は,
社会関係が葛藤を
生
じ解体をもたらすポテンシャル
を持っているため
に,
それ
らを統合
していくことが
必要
とされる
ことに
由来
している。
この
ように人間行
為を4つの側面から構成
され
てい
るとみ
ると同時に
,
それ
らから
1つの
<体
系>が形成
され
ていると考
えるのである
。そ
して
<体
系>と
して
の人間行為は
,
文化体
系,
社会体
系,
パー
ソナ
リテ
ィ,
有機体の
4要素から成
り
,
4要素はそれ
ぞれ
ん人間行
為体系の
下位体系を構成すると考
えられ
ている
。
さらに
,
これ
ら4つの
下位体
系は,
一般
的な行為体
系存続のための
4つの機能的命令に照応
している
。そ
れ
らは①
<体
系>の最高次の
<統治
>ある
いは統制パ
タ
ーンの維持に関す
る機能
②体系の
内的統合
③環
境との関連に
おける
目標達成
への志向
④環境の
広範
な条件
への
よ
り一般
化された適応である。これ
らの機
能はそれぞれ Latent-Pattern Maintenance
and Tension Management, Integration,
Goal
Gratification,
Adaptation,
と名づけられ
,
その頭
文字
をと
ってL
I
G
Aと略
され
ている
。
社会体
系は
,
これ
まで述べ
てきた行為体
系の
一下位
体系であって
,
人格
性を備
えた複
数の
人間の
<社会作
用
>を通
じて形成される行為体系を意味するのであ
る
。さらに社会体系が
形成
されるメカニズム
として,
その社会の成
員としてふ
さわ
しい行為様式や価値体系
を備
えた人間
として
,
個
人の
人格
を形成
していく社会
化と
,
一定の価値,規範が社会構
成員の諸活動を統合
する制度化が
あげられる
。す
なわち,
社会体
系をパー
ソナ
リティ体
系と行動有機体の欲
求を充足す
る体
系と
して
,また文化体
系によって規制され
る体
系と
して位
置づけるのである。
ノ
゛
−ソンズ
は,社会体系内での過程はすべ
て前述の
L
I
G
Aの
4つの機能的命令に従
うとする。
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そ の 第一 は ,文 化 の 持 続 的 一 貫 性 を 保 ち , さ ら に 社 会 的 場 面 の な ん ら か の部 分 に生 じ たく ひ ず み> や パ ー ソ ナ チ テ ィ の内 部 に 生 じ た 緊 張 を 緩 和 す る 機 能 で あ る 。 そ れ は ,そ の社 会 体 系 に 制 度 化 さ れ て い る 価 値 体 系 に う ま く 合 致 す る よ う な 能 力 を そ の成 員 に 内 在 化 さ せ る 役 目 を もっ て い る 。 こ れ は 社 会 体 系 の 機 能 で あ り ,こ れ に対 応 す る下 位 体 系 を < 信 託 体 系 > と 呼 ぶ 。 こ の機 能 を 社 会 で 受 け もつ 制 度 とし て教 育的 ・ 宗教 的 ・ 文 化 的 諸 制 度 が あ げ ら れ る。 第 2 は ,社 会 体 系 が有 効 に 機 能 し て い く よ う に 社 会 の 構 成 単 位 間 の 関 係 に つ い て ,そ の 連 帯 を 維 持 す る 機 能を 果 たす も の で あ る。 す な わ ち ,よ り 上 位 の 体 系 で あ る 社 会 体 系 が 内 部 葛 藤 を 起 こ し た り ,内 部 調 整 が う ま く い か な か っ た り す る こ と の な い よ う に ,行 動 を 統 制 す る 役 目 を もつ 。 こ れ は社 会 体 系 のI 機 能 と 呼ば れ, こ れ に 対 応 す る 下 位 体 系 を< 社 会 共 同 体 > と 考 え た。 第 3 は ,社 会 体 系 の目 標 達 成 を 受 け もつ 機 能 で , こ れ は 社 会 体 系 の 集 合 的 な 目 標 を 達 成 す る 能 力 を 最 大 に す る 役 目 を 果 た す も ので あ る 。 こ れ は ,社 会 体 系 の G 機 能 と 呼 ば れ ,こ れ に 対 応 す る 下 位 体 系 が< 政 治 体 > で ,こ の 機 能 を 受 け もつ の は 政 治 制 度 で あ る。 第 4 は,社 会 体 系 の目 標を 達 成 す る と い う目 的 に か な う よ う に 環 境 を 統 制 す る 機 能 で あ る 。 す な わ ち , 目 標 達 成 に 必 要 な 用 具 を 調 達 す る機 能 で ,こ の機 能 は 社 会 体 系 のA 機 能 と 呼 ば れ ,こ れ に対 応 す る 下 位 体 系 が < 経 済 体 > で あ る 。 こ の 機 能 を 受 け もっ も の は 経 済 的 制 度 で あ る と す る 。 。 要 す る に 人 間 の 行 為 を ① 個 人 を 焦点 と し た パ ー ソ ナ リ テ ィ 体 系 ② 行 為 者 の 相 互 作 用 を 焦 点 と し た 社 会 体 系 ③ 行 為 の要 素 と し て の 文 化 体 系 の 3 つ に 区 別 し , 行 為 と い う 観 点 か ら社 会 現 象 を こ の三 体 系 の 相 互 連 関 と し て 包 括 的 に 認 識 し よ う と い う の で あ る。(゛ ) こ の よ う に ,パ ー ソ ン ズの 方 法 論 は ,構 造 の 機 能 分 析 は ,ち 密 で す ぐ れ た も の で あ る が ,し か し な が ら , パ ー ソ ン ズ は 構 造− 一 機 能 分 析 と称 し な が ら ,構 造 と 機 能 を 分 離 し た 上 で ,も っ ぱ ら構 造 の 機 能 に対 す る 奉 仕 が 考 え ら れ ,構 造 そ の も の が も つ 独 自 の運 動 が 解 明 さ れ て い な い と 思 わ れ る。 と もあ れ ,パ ー ソ ン ズ は ,社 会 体 系 を 複 数 の 行 為 者 の 相 互 作 用 ( 人 間 の社 会 的 行 為 ) の 体 系 と み た わ け で あ る が ,こ れを さ ら に進 め ,人 間 の行 為 ・ 行 動 に 焦 点 を あ て , そ れ も ウ ェ ー バ ー の と こ ろ で ふ れ た よ う な , な ま の ま ま の 具 体 的 諳 個 人 の行 為 を 総 合 的 に と らえ よ う と す る ,認 識 の社 会 科 学 的 方 法 と し て ,次 に 行 動 科 学 を あ げ る こ と がで き よ う。 5 。行 動 科学 の 場 合 今 日 ア メ リ カ を 中 心 と す る 社 会 学 , 心 理 学 , 経 済 学 ,人 類 学 の一 部 で は ,全 て の社 会 現 象 がつ ま る と こ ろ 個 々 人 の 社 会 的 行 動 に 還 元 さ れ ると こ ろ か ら社 会 現 象 を 扱 う社 会 諸 科 学 を 行 動 の研 究 に お いて 統 合 す る こ と が 目 指 さ れ て い る。 そ れ は ,行 動 が 社 会 現 象 の 唯 一 の 顕 在 変 数 で あ り ,社 会 現 象 の観 察 ・ 測 定 は 結 局 人 間 の 諸 行 動 の観 察 ・ 測 定 に 帰 せ ら れ る か らで あ る 。 で は, そ の人 間 の諸 行動 を 科 学 的 に 観 察 ・ 測 定 す る 行 動 科 学 と は ど ん な も の で あろ う か 。 1954 年 シ カ ゴ 大 学 「 行動 科 学 研 究 委 員 会 」 の 発 表 に よ る と 「 行 動 科 学 は< 人 間 の 本 性 > (The nature of humanity) を 中 心 課 題 と す る 。 そ の 本 性 は 法 則 性 の 客 観 的 な記 述 に よ っ て 理 解 さ れ る も ので あ る。 行 動 科 学 の 研 究 対 象 は人 間 を 個 人 ,一 次 集 団 , あ る い は 中 間 的 ( 二 次 的) 集 団 ,マ ス社 会 ,そ し て 文 明 の レ ベ ル ま で ,広 い範 囲 に わ た る べ き で あ り ,そ の ど れ か 一 つ の レ ’`゛ル の対 象 ,研 究 手 段 ,研 修 戦 略 に 還 元 し よ う と い う 試 みで は な い 。 」 と し て い る。 こ の 報 告 は ,心 理 学 ,人 類 学 ,社 会 学 を 行 動 科 学 の 中 心 領 域 と み な し て お り ,ま た 行 動 科 学 は, そ の 第 1 の境 界 で は生 物 学 に ,第 2 の境 界 で は 自 然 科 学 と 数 学 の モ デ ル ,お よ び 行 動 のよ り一 般 的 な諸 概 念 に , そ し て 第 3 の 境 界 で は 人 文 諸 科 学 と 接 し て い る 。 さ ら に , 行 動 科 学 が 自 然 科 学 か ら人 文 科 学 に い た る 広 い 関 心 の 巾 を もっ こと を 要 求 す る と 同 時 に ,そ れ が 特 定 の 科 学 的 モ デ ル を 強 制 的 に 押 しつ け ,歴 史 学 ,人 文 科 学 の 諸 研 究 を 除 外 す る よ うな こ と が あ って は な ら な い と 戒 め て い る。 つ ま り ,行 動 科 学 の 自 然 科 学 化 や 歴 史 観 の欠 如 に つ い て 用 心 し て い る わ け で あ る が ,や は り ,行 動 科 学 は 自 然 科 学 を モ デ ル に す る考 え 方 の方 が 支 配 的 と い え よ う。 そ の 例 と し て, E. M. カ ー ク パ ト リ ッ ク を み る と , 行 動 科 学 の知 識 が 質 的 な 連 続 性 を も つ こ と を 前 提 と し ,社 会 科 学 の 概 念 と 理 論 を 自 然 科 学 の そ れ と同 一 に す る こ と が で き る し ,ま た し な け れ ば な らな い と い う こ と が 基 本 要 請 と な る。 こ の よ う な 知 識 の質 的 連 続 性 と単 一 な 普 遍 的 に 適 用 で き る科 学 的 方 法 と につ い て の 信 念 か ら , ア メ リ カ の社 会 科学 者 は 自然 科 学 者 の 方 法 と テ クニ ッ ク を採 用 し よ う と 思 い た っ た ので あ る と 述 べ て い る 。 そ こ で , カ ー ク パ ト リ ッ ク は , 例 え ば , 「 政 治 行 動 」 の 研 究 を 次 の よ う に 特 徴 づ け て い る。 (1 ) 研 究 の 基 本 単 位 と し て 政 治 制 度 を と り あ げ ず ,政 治 状 況 に お け る個 人 の 行 動 を 分 析 の基 本 単 位 と す る 。(2 )「 社 会 諸 科 学 」(Social Sciences) と 名 づ け , 政 治 学 と 社 会 科 学 の統 一 を 強 調 す る 。 (3 ) デ ー タ ー の 観 察 , −68 −
分 類 ,測 定 に関 す る よ り 精 密 な テ ク ニ ッ ク を 利 用 し , 発 展 さ せ る こ と を 主 張 し ,統 計 的 あ る い は計 量 的 な 公 式 化 を 強 く進 め る 。 (4 ) 政 治 科学 の 目 標 を 実 証 的 な 理 論 構成 に お く ,と し て い るO し か し 彼 自 身 も行 動 科 学 そ の も のが ,ま だ 自 然 科 学 と 同 じ よ う な 意 味 で の 人 間 行 動 の 「 科 学 」 に ま だ な っ て い な い こ と を 指 摘 し て い る。 ま た, H. D. ラ ス ウ ェ ル が 厂行 動 科 学 的 」 と い う と き ,そ れ は 厳 し い 観 察 と 結 び つ い た 匚体 系 理 論 」 の こ と で あ り ,そ の理 論 は 歴 史 的 デ ー タ ー に 目 を つ ぶ っ て は な ら な い し , ま た 観 察 は 現 代 の 事 実 の 自 然 観 察 ,実 験 研 究 に 隕 ら な い と し た の も,行 動 科 学 的 政 治 学 の 内 部 反 省 で あ る と同 時 に 行 動 科 学 全 体 に つ い て も あ て はま る戒 め で あ ろ う。 行 動 科 学 と 社 会 科 学 の 相 互 関 係 は , よ り 一 般 的 に は ,社 会 行 動 の 制 度 的 側面 と 心 理 的 側面 ,行 動 の マ ク ロ の レ ベ ル と ミ クロ の レ ベ ル の相 互 関 係 にあ て は ま る こ と で あ り ,特 に 行 動 科 学 が ミ クロ の レ ベ ル の デ ー タ 集 め の数 量 化 に か た よ る こ と が 指 摘 さ れ て い る の は , ア メ リ カ 的 行 動 科 学 の自 己 批 判 と し て 注 目 に 値 す る 。 行 動 科学 が , シ ス テ ム論 ,情 報 科 学 ,サ イ バ ネ テ ッ ク ス,社 会 工 学 ,人 間 工 学 の 諸 分 野を コ ン ピ ュ ー タ の 使 用 ,数 学 モ デ ル の構 成 に よ っ て 開拓 し , 自然 科 学 を 手 本 と す る数 量 化 に集 中 し て い く 傾 向 を み る と き , こ の よ う な 反 省 は ま す ま す 必 要 にな る で あ ろ う。 次 に1962 年 ケ ネ デ ィ 時 代 に ,大 統 領 の科 学 諮 問 委 員 会 の 行 動 諸 科 学 小 委 員 会 が 出 し た報 告 書 「 行 動 諸 科 学 を 強 化 す る た め に 」 に よ る と ,行 動 科 学 の 社 会 的 影 響 と し て ,「 ̄人 間 の 本 性 につ い て の考 え 方 を 変 え つ つ あ る」 と い う 心 情 が 表 明 さ れ て お り ,行動 諸 科 学 は 厂基 礎 諸 科 学 」 と 厂応 用 諸 科 学 」 に 分 け ら れ て い るO 前 者 は 匚人 間 の 個 人 行 動 と 社 会 行 動 の 基 本 的諸 事 実 」 の 研 究 で あ り ,後 者 は ,そ の 応 用 と し て 教 育 ,精 神 衛 生 , 都 市 計 画 ,コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン ,発 展 途 上 国 の 問 題 を あ つ か う。 ま た 行 動 諸 科 学 と し て あ げ ら れ て い る の は ,心 理 学 ,人 類 学 ,社 会 学 ,経 済 学 , 政 治 学 , 言 語 学 で あ り ,パ ー ソ ナ リ テ ィ の発 達 ,動 機 づ け と 脳 ,諸 文 化 と 諸 社 会 ,思 考 過 程 が 例 示 さ れ て い る。 以 上 のよ う に 匚人 間 の 本 性 を 変 え る 」 た め の 人 間 行 動 の 研 究 によ っ て 匚社 会 を 変 え る」 と い う 発 想 は, ア メ リ カ 行 動 学 の 伝 統 的 な 個 人 主 体説 と 心 理 主 義 の反 映 で あ る。 従 っ て 心 理 学 ,人 類 学 ,社 会学 が そ の 中 核 領 域 と し て あ つ か わ れ る こ と に な る。 ま た 学 問 の 分 類 の 場 合 ,諸 科 学 の 厂行 動 的 」 側面 で は ,個 人 が 分 析 の 単 位 と な り , 匚社 会 的亅 側 面 で は諸 制 度 あ る い は「 ̄人 間 の集 合 体 」 が 分 析 の焦 点 と さ れ る。 こ の 匚行 動 的 」 匚社 会 的 」 と い う こ と の 意 味 が 不 明 −69 − 確だ と南博教授 は批判 してい たが,そのよ うな学 問論 的規定 にこだ わらず学 際的 にや れば よ い ので あ っ て , 「学 際的」と は,まさ にそのよ うな 諸 領域 の内 容 規定 など にこだわ らな い とこ ろ に こそ 真 価 があ る の であ り,現代 の社会現象 は,総 合的 にとらえなけ れば と ら え きれないところ まで きてい るといえよ う。 社会現象 を人間行動 の面か ら総 合的 に把 握する科学 として,行 動 科学 に期待 がかけ られる所以 であ る。 6。 む す ぴ 社 会 科 が 社 会 現 象 を 科 学 的 に 取 り 扱 う 教 科 で あ り , ま た 社 会 科 教 育 が 社 会 認 識 教 育 で あ り か つ 科 学 た ら ん と す る な らば , 当 然 , そ の 内 容 , そ の 方 法 に お い て , 社 会 科 学 と密 接 な 関 係 を も た ざ るを え な い わ け で あ る。 そ こ で, 社 会 科 学 と の関 連 , と く に そ の 社 会 現 象 の 捉 え 方 , 社 会 認 識 の方 法 論 に焦 点 を あ て て, みて き た わ け で あ る。 と り わ け, 高 校 公 民 科 の内 容 ( 政 治 ・ 経 済 ・ 社 会 的 分 野 ) と 関 連 の深 い 社 会 学 ,経 済 学 , 行 動 科 学 に し ぼ っ て 論 じ て き た ので あ る 。 ま ず K .マ ル ク スを と り あ げ ,上 部 構 造 ぺ 化 諸 領 域- は ,下 部 構 造 一 一経 済 構 造( 生 産 関 係 )-に よ っ て 制 約 を う け て い る と い う分 析 と そ の法 則 性 の 把 握 に 成 功 し て い る が ,上 部 構 造 そ の も の の 相 対 的 独 自 運 動 や 固 有 の 法 則 を 捉 え き っ て い な い 。 つ ま り ,一 言 で い う な ら ば ,史 的 唯 物 論 に は , 社 会 構 造 論 と 歴 史 哲 学 の 悪 し き結 合 が 残 存 し て い る と い う と い い す ぎ で あ ろ う か 。 次 にM .ウ ェ ーバ ー は ,そ の 上 部 構 造 , 文 化 諸 領 域 に お け る 匚固 有 の法 則 性 」 の追 求 を 可 能 に す る方 法 を つ く り あ げ た こ と , マ ル ク ス・の よ う に 物 と 物 と の 関 係 ,つ ま り 物 化 で は な く ,あ る 時 に は人 と人 と し て と ら え て ゆ く ,人 間諸 個 人 の行 動 を そ の ま ま 因 果 的 に と ら え る 方 法 の必 要 性 ,つ まり ,経 験 的 法 則 性 と 動 機 の 意 味 理 解 と い う 複 眼 的 方 法 論 と 「 目 的 論 的 関 連 の因 果 関 連 へ の 組 みか え 」,「 ̄理 念 と利 害 状 況 の 社 会 学 」 と い う方 法 の 優 位 性 に注 目 し た 。 そ し て 第 3に , ウ ェ ー バ ー の 影 響 を 受 け て い る が , T .パ ー ソ ン ズ のL I GA 法 によ る人 間 行 為 , 社 会 現 象 の 体系 的把 握 論 を と り あ げ た。 こ の パ ー ソ ン ズ は上 部 構 造 と下 部 構 造 の 相 互 作 用 を 構 造 と 機 能 分 析 に よ り ,巧 み に と ら え る方 法 は 成 功 し て い る が , 構 造 と 機 能 を 分 離 し す ぎ ,や や 構 造 の 機 能 に対 す る 奉 仕 が 考 え ら れ す ぎ ,構 造 そ の も の が もっ 自。発 的 運 動 が 解 明 し き れ て い な い 点 に問 題 を 感 じ る。 最 後 に ,パ ー ソ ン ズ も関 係 し て い る が, E. M. カ ー ク パト リ ッ ク,バ ナ ー ド ,B . ベ レ ル ソ ン, G. A.