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青年期における過剰適応傾向の変容に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)青年期における過剰適応傾向の変容に関する研究 ’学校教育学専攻 学校心理学コース.       M08040F 眞野 洋輔          問題と目的. 3.調査内容:石津(2008)のr青年前期用過剰適.  過剰適応は「良い子」の適応状態であると考えら.   応尺度」を使用した。この尺度は,①「自己抑制」. れる,アンバランスな適応状態である。適応概念から.   ②「自己不全盛」③「人からよく思われたい欲. 過剰適応を捉えると,外的適応に偏重し,内的適応を.   求」④嘲待に沿う努力」⑤r他者配慮」の5. 損なっている状態であるといえる。また過剰適応は,.   因子,計33項目からなり,「よくあてはまる」か. 病理の前段階.として捉えられることが多く,過剰適.   ら「まったくあてはまらない」までの五件法で. 応の人間は,一見適応的に見えてもその内面に大き.   回答を求めた。対象者が大学生であることから,. な問題を抱えている。実際に学校現場では,不登校児.   質問項目における解釈の拡散を防ぐために項目. の多くが過剰適応状態を経験していると考えられて.   内容を簡潔にして,実施した。. いる。さらに近年は,r空気を読む」ことが,学校生.    また,青年前期と後期における各段階での過. 活のなかで強く求められ,過剰適応的な態度を冗長.   剰適応傾向を調べるため,調査を二回に渡って. していると考えられる一。.   実施し,一回目は現在(青年後期)の考え方につ.  過剰適応は,自己と向き合い新たな自分を創造時.   いて回答してもらい,二回目は中学生時代(青年. 期である青年期により問題として形骸化しやすい。.   前期)を回想してもらって回答してもらうよう. 青年期は,友人関係など周囲の環境が大きく変動す.   にした。なお,①十②は過剰適応の内的側面得点,. る時期でもあり,外的な環境に左右される過剰適応.   .③十④十⑤は外的側面得点である。. も大きく変化していくことが,推測される。過剰適応. 4.結果と考察. の変化の過程及び変化の要因を検討することで,過.  石津(2008)の手順を璋襲し;33項目全てに対. 剰適応傾向が強い青年への適切な援助を模索する必. して因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行っ. 要があると考えられる。. た。モの結果,石津(2008)とほぼ同様の因子構造が.  本論では,過剰適応傾向が強い青年への適切な対. 得られた(自己抑制α=.88,自己不全盛α=.80,人か. 応に示唆を与えることを研究目的として以下の研究. ら良く思われたい欲求α=.83,期待に沿う努力α. を行った。. =.80,他者配慮α=.69)。因子分析によって得られた.           研究I. 28項目の総得点を『過剰適応傾向』得点と.し,青年. 1.目的:青年期前期と後期における過剰適応の内. 前期での『過剰適応傾向』得点をもとに平均点十1SD.  容について調査し,その違いを統計的に検討す. 以上をH群,平均点一1SD以下をL群,その間をM.   ることを通じて,青年期を通した過剰適応の変. 群とした。.  化の内容を明らかにすること。.  独立変数を青年前期過剰適応傾向群分け(H群・. 2.方法:. M群・L群),時期(青年前期・青年後期)として,. (1)調査対象:A県B大学に通う大学生182名. 従属変数を各下位尺度得点とした被験者内X被験者.        (男子57名,女子125名)一. 間の混合計画による分散分析を行った。. (2)調査方法:質問紙調査,集団実施.  群分けと時期の交互作用が,有意であったため. (3)調査時期:200X年1月下句・2月上句. 丁止ey法による下位検定を行った。その結果,『過.        200X年11月下旬. 剰適応傾向』では,H群で有意に得点を減少してお. 一86一.

(2) り岨1,17g)=30.61,〆.o01),L群で有意に得点が増加して. 一方で,青年期以前に形成された対人対処方略に起. いた倣1,17g)=14,11,〆.oo1)。『内的側面』では,H群で. 因する「プレ青年期型」の強い過剰適応傾向は,弱め. 有意に得点を減少していた(如,17g)=17.OO,〆.Oo1)。『外. るための要因が見出されなかった。. 的痴面』では,H群で有意に得点が減少しており,.  M群の語りからは,「両親」への承認欲求を起因と. (如,17g)=15.74,〆.oo1),L群で有意に得点が増加してい. するrプレ青年期型」の強い過剰適応傾向が見られ. た(夙1,179)昌22.11,〆.O01)。. た。また,「青年期型」の強い過剰適応傾向は,青年.  青年前期に『過剰適応傾向』が「強かった」とい. 中期の「被いじめ体験」も要因となる・ことが示され. うH群は,青年前期に比べて後期に『過剰適応傾向』. た。一方で,過剰適応傾向を高めない要因として,青. がr弱くなったjと感じていた。一方で,青年前期に. 年期以前に形成されたと考えられる「自己を大切に. 『過剰適応傾向』がr弱かった」というL群は,青年. する姿勢」が見出された。青年中期の外的な援助に. 前期に比べて後期に『過剰適応傾向』が「強くなっ. よって,過剰適応傾向を中庸なレベルで維持する例. た」と感じていた。このことから,青年前期に『過剰. として「先生」による援助の一例が得られた。. 適応傾向』が異なっていても,青年後期になると,群.  L群の語りからは,青年前期と後期で弱い過剰適. 間差はあるがM群の水準に収束していくことが示. 応傾向を示していても,その内容が「プレ青年期型」. され,『外的側面』でも同様の変化が見られた。『内. からr青年期型」の弱い過剰適応傾向へと質が変化. 的側面』では,H群のみが青年後期に比べて前期に. していく可能性が示された。また,r祓いじめ体験」. をしても同時期に「安心感を伴った友人関係」を築. 「強かった」と感じていた。.  一方で変化をしてもH群が1V[群を得点で下回る. いていることが過剰適応傾向の強化を防ぐことが示. という群間差をひっくり返すような変化はなく,3群. された。. の得点による群間差は青年前期から後期を通して保.           総合考察. たれたままであった。相対的に捉えると,青年前期に.  研究Iと研究■から得られた結果から,過剰適応. おける過剰適応傾向の地位が,青年後期でも維持さ. 傾向牟持つ青年には,『自己抑制』が強く『自己不全. れることが示唆された。. 盛』も高い傾向を見’出すことができた。また,過剰適.           研究皿. 応傾向を高めることのない青年は,r自己を大切にす. 1.目的1個人の語りから,過剰適応傾向に影響を与. る姿勢」を持っていると考えられる結果となった。  過剰適応傾向が強い青年には,「自己を大切にする.   える要因を検討すること. 姿勢」を持一たせるように関わることが大切である。. 2.方法:. (1)調査対象:A県B大学に通う大学生14名. 周囲が青年を受け入れ,青年自身も自身を受容する.        (男子3名,女子11名). ことができるようになれぱ,青年は『自己不全盛』を 減少させ,『自己抑制』せずにのびのびと成長できる. (2)調査方法:半構造化面接. (3)調査時期:200X年3月上句・5月下句. 、素地を養うことができる。青年の過剰適応傾向の背. 3.調査内容:中学時代,高校時代,大学時代における. 景を正しく見出し,適切な対処を通して,成長に寄与. 自身が感じていた他者からの評価とそれに対する自. することが大切であると思われる。. 己評価に関する内容。過剰適応傾向に関する内容。 4.結果と考察.  研究Iで用いた青年前期過剰適応傾向群分けH. 任指導教員 小林 小夜子. 群に属していた李生の語りから,青年期での経験に. 指導教員 松本 剛. よって形成された対人対処方略に起因するr青年期 型」の強い過剰適応傾向は,r安心感を伴った友人関 係」を獲得していくことで弱まる傾向が見出された。. 一87一.

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