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相対論多重項計算によるリン酸塩ガラス中の重希土類イオンの吸収・蛍光スペクトル

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Academic year: 2021

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(1)相対論多重項計算によるリン酸塩ガラス中の.  重希土類イオンの吸収・蛍光スペクトル 教科・領域教育学専攻  自然系コース(理科).       M10192F      藤原 章子 1.はじめに.  希土類イオンを添加した蛍光体は、白色LEDや. α法により分子軌道を算出した。得られた結果から. 光ファイバー増幅器など、多岐に渡って用いられて. 相対論DVME法により多重項エネルギー準位を求. いる。これらの蛍光体の開発は実験主体で行われて. めた。また、準位問の遷移確率を求め、理論吸収ス. おり、実験で得られたパラメータを用いて光学特性. ペクトル、理論蛍光スペクトルを算出した。. の解析が行われてきた。しかしながら、近年では、. 2.2希土類イオン添加リン酸塩ガラスの作製. 希土類元素に現れる相対論効果を考慮した配置間.  実測のスペクトルを測定するために、溶融急冷法. 相互作用計算法である相対論DVME法により、希. を用いて希土類イオン添加リン酸塩ガラスを作製. 土類イオンの電子状態の解析が可能となった。この. した。原料としてCa(H2P04)2・H200.04[mol]を用. 方法を用いると、結晶中の希土類イオンだけでなく、. い、希土類イオンが2mol%となるよう希土類酸化. 類似した結晶構造から作成したクラスターを用い. 物を添加した。この混合粉体を1150℃2時間溶融し. て、リン酸塩ガラス中のPr3+、Nd3+およびTb3+の. た後、冷却固化させることでガラス試料を得た。得. 電子状態が解析できることが報告されている。. られたガラス試料について吸収・蛍光スペクトルを.  本研究では、第一原理計算である相対論DVM1E. 測定し、これを実測スペクトルとした。. 法を用いて、リン酸塩ガラス中のEr3+、Dy3+、. 3.結果・考察. Tm3・の電子状態を算出し、吸収・蛍光スペクトル.  Er3+イオンのモデルであるH15ErP6024クラスタ. の解析を試みた。. ーについて算出した多重項エネルギー準位図とDi. 2.研究方法. eke Diagramを図.1に示す。Dieke Diagramは. 2.1 リン酸塩ガラス中の希土類イオンの電子状態計算. LnC13の実測吸収・蛍光スペクトルを基に作成され.  ガラスの短距離構造は、結晶の結晶構造と類似し. た図であり、実測スペクトルの解析によく用いられ. ていると考えられることから、メタリン酸希土類結. る。算出した多重項エネルギー準位は比較的よく縮. 晶[Er(P03)3,Dy(P03)3,Yb(P03)3]の構造を基に、. 退しており、縮退した準位におけるエネルギーギャ. 中心に希土類イオンを配置し、これにP04四面体. ップの底はDieke Diagramとおおよそ対応してい. が6つ結合した構造単位LnP6024151を切り出した。. ることが分かった。そこで、次に理論吸収スペクト. また、クラスター全体の電荷の中性化をはかる為、. ルの算出を行った。その結果を図.2に示す。比較. これに水素15個を配置して終端補正し、H15LnP6. のため、リン酸塩ガラス中のEr3+の実測吸収スペ. 024クラスターを構築した。結晶構造の報告がない. クトルも併せて示している。図中谷ピークの帰属を. Tm3+については、イオン半径が近いH15YbP6024. 示しているが、理論吸収スペクトルは多重項エネル. クラスター中のYb3+をTm3+に置換し、イオン半径. ギーからピーク帰属を行い、実測スペクトルのピー. にあわせてTm−0間距離を変えてクラスターを作. ク帰属は類似する実験の文献値を引用した。実測ス. 成した。これらのクラスターを用いて、相対論DVX. ペクトルでは紫外・可視領域に複数のピークが見ら.

(2) れる。それらのうち吸収の大きな2.38,3.29eVの        拠物. ピークは2H11’2,4G11’2に帰属されている。理論ス.        筥。,’。.        玖且茗炉胴.        や碗        ミε湘. ■. ペクトルでは、同様に複数ピークが見られ、強度の.      !ミH。拍. 大きなピークが3.4eVに現れる。このピークは. ■一一■〕∼1. 4G11’2,4Gg’2,4K15∫2に帰属され、実測スペクトルの. 重]咋。。ミ. 3.29eVのピークに対応するものと考えられる。他. Iiii仰蝋,咋舳      ・咋,ボ.        ま6職.      \’S鈍 田. 識     箏,’ミ. 〕・1。’。.        な. ■一一一一コ^1舳. 一】’1峨.  ↓        41蝋. のピークについてもその本数や帰属は実測スペク トルにほぼ対応していることから、このクラスター. はガラス中のEr3+周辺構造をある程度うまく再現. 〕・1帖、、. できていることが分かった。また、DiekeDia餌am.        占1湖         纈蛸徴P亜0軸クラスタ・’書デル. Oi伽Di・9舳   の多醐エネル払顯. 図.1多重項エネルギー準位図 46〃。. ..{...亭..〕......  1.5. 図.3に示す。比較のため、励起波長315nmのア. Q∼;1一一一一. ルカリホウ酸塩ガラス中の趾3+の実測蛍光スペク.  1.2 ω =. 4序ラフ,一一’. 蛆 o.9 .o. ..二1箏. き. 名O.6. トルの文献値を併せて示す。実測蛍光スペクトルは、. 。・一・・…・…. 磨G;二二ニー. く. 4つの皿3+由来のピークが見られる。理論蛍光スペ.  o.3. 6.O[・05. o一・も・・}・・… ・一一. │」一’・軌. ・・2・6gア2・・…. Q. 4S。.孝2一一一.一. 機4.0E−05. 繍. クトルに現れるピークは、実測スペクトルと対応す るものの、複数の遷移の足し合わせによるものであ ることが分かった。このような遷移は、Dieke Dia. 2∼。. 除. `、戸,..何ユエー、.....二F・1・。. 翻. クは複数の遷移によるものであることが分かった。. 次に、理論蛍光スペクトルを算出した。その結果を.  1.8.  0. からは帰属することが難しいが、実際には主なピー. gramだけでは帰属することはできない。特に、2P3∫2,. 蟻2.㎝・05. 2G712から基底状態以外への遷移が見られ、理論計 O.OE“OO.   。  i  妻冊舳・13  4  5. 算により正確な帰属が行えた。. 図.2リン酸塩ガラス中のEr3+の吸収スペクトル. 4.結論.   (a)実測スペクトル(b)理論スペクトル. メタリン酸希土類結晶構造から作成したモデルク. 咋〃・→41峨      (a). ラスターを用いて、リン酸塩ガラス中のEr3+、Dy3+、. Tm3+の理論吸収・蛍光スペクトルを、相対論DV ME法により算出した。その結果、Dy3+、Tm3+で は多重項エネルギーの縮退が解けていたため、用い. }、. o. たモデルクラスターが妥当でないことが分かった。 Er3+については実測にほぼ対応した吸収スペクト.  ユ.2E・04  ユ.O匡・04 1・・. 1□n・・ヨ4,. ‘09パ∼…ρ. ルが得られ、蛍光スペクトルについては文献にある. u■・・. 遇舳・05 懇. ピーク帰属の他に、基底状態以外への遷移によるピ. 冷6・幌棚 武. ークが複数存在することが分かった。このように、. 蝉4−o竃・05. 適切なモデルクラスターを構築し、相対論DVME.  2.雌・05 −  O.O圧’幻O  ・….    2.5       ヨ       3.5.       En6rg洲eV】. 図.3ガラス中のE㎡十の蛍光スペクトル (a)実測スペクトル(b)理論スペクトル. 法を用いることで、リン酸塩ガラス中の希土類イオ ンの電子状態が得られることが明らかになった。.         主任指導教員  尾關   徹         指導教員    小和田 善之.

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