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多音字と辞書指導 ―「塞翁馬」を事例として―

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Academic year: 2021

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(1)Title. 多音字と辞書指導 ―「塞翁馬」を事例として―. Author(s). 吉田, 勉. Citation. 国語論集, 17: 167-171. Issue Date. 2020-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11241. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 多音字と辞書指導. ――「塞翁馬」を事例として――. はじめに 『淮南子』人間篇を出典とする故事成語「塞翁馬」は、従来、多く の高校生用 国語教科書に取り上 げられており、漢文 入門期の定番 教 材 の一 つに数えられる 一。本 稿 は、入 門 教 材 として扱 われること の多い、この 「塞翁馬」を例として、やはり入門期になされるべき、漢 和 辞 典 の使 い方 の指 導 ― ― 辞 書 指 導 について、具 体 例 を示 しつつ、 その効 果 的 なあり方 を摸 索 す るものである。漢 和 辞 典 を正 確 に用 いることは、言 語 活 動 を営 む上 で必 要 不 可 欠 とも言 えるほどに重 要 な技 術 であると考 える。本 稿 では、特 に多 音 字 と呼 ばれる現 象 に注目して、これを論ずることとしたい。 ) (. 吉. 田. 勉. (. (. ). な文字を通称して多音字と呼んでいる。 かかる現 象 が見 られるのは、元 来 、一 字 一義 であった漢 字 が、字 義 の分 化 に伴 って、原 義 と派 生 義 とを区 別 す るために字 音 の一 部 を変化させたためだと考えられている 四。 なお、ここに注意 すべきは、いわゆる漢 音 ・呉 音などとの別である。 右の現象は、これらの日本漢字 音とは全く別の、その漢字が元来有 す る読 み分 けである。再 び 「 楽 」字 に例 を取 れば、 「音 楽 」の意 味 を 表す場合、それに対応する字音は、漢音・呉音ともに 「ガク」であり、 「たのしむ」の場合も、やはり漢音・呉音ともに 「ラク」である。つまり、 漢音なら漢音の中で、呉音なら呉音の中で、このような読 み分けが 存 在 しているのである。漢 音 と呉 音 とは、それぞれが一 つの体 系 を 成 し、相 互の字 音の相違は、時 代や 地域の差による相違であるのに 対して、ここにいう多音字の字音の相違は、一つの字音の体系中での、 意味を区別するための相違であることに注意しておきたい。 多 音 字 が漢 音 ・呉 音 等 と全 く別 のものであることについては、現 代中国語の共通語、いわゆる普通話の場 合を考えることによっても、 理 解 す ることができるだろう 。普 通 話 においても、や はり多 音 字 の 読 み分 けは存 在 す る。三 たび 「 楽 」字 を例 とす るならば、 「音 楽 」の 「たのしむ」の場 意 味を表す 際には "yuè" yueの四 声 と発 音さ れ、 合には "lè" leの四声 と発音されて、確かに発音の相違と意味の相 違 とが対 応 しているのである。字 音 の別 と言えば、我々 日 本 人はま. ) (. 一 多音字について ここにいう 多 音 字 とは、複 数 の字 音 を持 つ漢 字 のことである 二。 多 音 字 は、一般 に、字 音 の相 違 が字 義 の相 違 とも対 応 していて、特 定の字音で読むことにより、それに対応する字義を表すことになる。 よく知られる例としては 「楽」の字を挙げることができる。 実際に 「 楽 」の字 を用 いた熟 語 を考 えてみよう 。 「 音 楽 」という と きと 「歓楽」というときとでは、それぞれ 「ガク」と 「ラク」という具合 に 「楽」字の字音が読み分けられる。そして、それぞれの意味は、 「ガ ク」がまさしく 「音楽」を指し、 「ラク」が 「たのしむ」ことを指す、とい う よう に、字 音 の相 違 が意 味 の相 違 にも対 応 している 三。このよう. −167− ) (. ) (. ).

(3) ず、漢音・呉音・唐音などを想起するのであるが、ここに取り上げる 多音字は、それらとは異なる性質のものであることに気をつけたい。 しかしながら、国 語 としての漢 文 を考 える際 に留 意 したいのは、 現代 中国 語で多音字とされる字と、日 本語における字 音の読み分 けとが、必 ず しも一 対 一 で対 応 していないことである。例 えば 「伝」 の字 は、現 代 中 国 語 では 「 伝 える」の意 味 を表 す 場 合 には "chuán" の二声 と発音し、 「列伝」などの伝記・著作の意味を表す場 chuan の四声 と発音して読み分けるが、日本漢字 合には "zhuàn" zhuan 音 では、いず れの意 味 を表 す 場 合 でも漢 音 は 「 テン」、呉 音 は 「 デン」 であり、両者を区別していない。これとは逆の場合もあり、 「易」の字 は、 「 容 易 」と 「 改 易 」という 熟 語 中 に用 いられたとき、日 本 漢 字 音 「エキ」= 変 化 す る と読 み ではそれぞれ漢 音で 「 イ」= たや す い と 分けるが、現代 中国 語ではこれらはいずれも "yì" yiの四声 と発音 さ れ、発 音 上 の区 別 がない。国 語 の問 題 として考える場 合 には、日 本の漢字音で読 み分けがなされるものを取り上げるべきであろう。 次 節 以 降 では、専 らそのよう な例 に限 って、多 音 字 を考 えてゆくこ ととする。 (. )(. (. ). ). (. 近 塞 之 人、死者 十九。此 独以 跛之故、父 子相保。故福之為禍、 禍之為福、化不可極、深不可測也。 このう ち、日 本 漢 字 音 において読 み分 けがなさ れる多 音 字 を列 挙し、それぞれの字音とそれに対応する字義とを示せば、以下の通 りである。字音は漢音による 六。 なんじ、接続詞としての しかして、など ①而 一 ジ 二 ドウ あたう 能に同じ ②難 一 ダン むずかしい、わざわい、なじる、など 二ダ 植物が茂るさま、おにやらい 儺に同じ ③塞 一 ソク ふさぐ、みちる、など 二 サイ とりで、さいころ、など にげる、うしなう、ほろびる、わすれる、など ④亡 一 ボウ 二ブ ない 無に同じ 、なかれ 毋に同じ 、など とむらう、あわれむ、など ⑤弔 一 チョウ 二 テキ 到来する、善良なさま、など 打ち消しの ず・ない、花の萼 ⑥不 一 フ 二ヒ 大いに 丕に同じ 三 フウ 文末に置いて ~やいなや 否に同じ ⑦居 一 キョ 住む、時間が 過ぎる、住まい、など 二キ 疑 問 や 感 嘆 の語 気 を表 して ~ か 乎 に同 じ ⑧数 一 ス・スウ かず、規律、罪状をかぞえ挙げて責める、など 二 サク しばしば、はやい、せわしい 三 ショク 細密なさま ⑨能 一 ドウ あたう、~できる、能力のあるさま、など 二 ダイ 耐えられる 耐に同じ 三 タイ かたち 態に同じ ⑩家 一 カ いえ、居住する、など 二コ 女性に対する尊称、しゅうとめ ) (. (. ). (. )). (. (. (. ). ). ). ). (. ). ). ). 二 「塞翁馬」と多音字 それでは、実際に 「塞翁馬」を例として、その中に含まれる多音字 を見てゆこう。以下に、参考として 「塞翁馬」の出典部分を掲げる 五。 なお、返 り点 ・送 り仮 名 は、本 稿 の内 容 とは直 接 関 わらないことか ら省略した。 夫禍福 之 転而 相 生 、其 変難見 也 。近塞上之人、有善術者。馬 無故亡而入胡。人皆弔之 。其父曰 、 「此何遽不為福乎。」居 数 月 、其 馬 将 胡 駿 馬 而 帰 。人 皆 賀 之 。其 父 曰 、 「此何遽不能為 禍乎。」家富良馬。其子 好騎、堕而折其髀。人皆弔之。其父曰、 「此何遽不為福乎。」居一年、胡人大入塞。丁壮者引弦而戦、. −168− ) (. ))))))))))))))))))))))) (((((((((((((((((((((((. (. (. (. (. (. )). (. ). (. ). (. ). (. ).

(4) )))))))))) ((((((((((. ⑪堕 一 タ おちる、廃する、おこたる 二キ こぼつ、こわす ⑫折 一 セツ 折りまげる、屈服する、早死にする、など 二 ゼツ 値を割り引く、損をする ⑬大 一 タイ おおきい、おおいに、最上の、など 二タ 巨大なさま ⑭丁 一 テイ 十干の第四位、わかもの、遭遇する、など 二 トウ 丁丁と重ねて おので木を切る音、など ⑮跛 一 ハ 一方の足が不自由なこと 二ヒ 片足で立つ 先 に引 用 した 「 塞 翁 馬 」の本 文 は僅 か百 四 十 七 字 であるが、その 中 からでも、右 に示 したよう に合 計 十 五 もの多 音 字 を挙 げること ができる。この他に、日本漢字音では読み分けがなされないものの、 多 音 字 と認 められるものがさ らにもう 十 五 あり 七、意 外 にも多 音 字が多いことに気づかされる。 しかしながら、右 に列 挙 した字 音 と字 義 とを一 瞥 しても分 かる よう に、日 常 生 活 において、我々 がこれらの読 み分けの全 てを意 識 しているとは限らない。むしろ、そのほとんどが、普 段 の言 語 生 活の 意 識 にも上 らないものであろう 。そこで、次 節では実 際 の辞 書 指 導 の例 を考 えながら、多 音 字 について授 業 で取 り上 げる方 法 について 考えてみたい。 (. ). ) (. 三 辞書指導の実際 前節では 「塞翁馬」の中の多音字を網羅的に掲げたが、すでに述べ たよう に、その全 てが日 常 生 活 に緊 密 に結 びついているとは考 えら れない。ここでは、教材の表題ともなっている 「塞」字を例として取り 上げ、実際に辞書指導を行う手順を考えてみたい。 漢 和 辞 典 の使 い方 は、漢 文 の授 業 全 てに関 わることであるから、. なるべく早 い段 階 でその用 法 を共 有 しておくことが望 ましい。本 教 材を扱うに当たって、まずはじめに 「塞翁 馬」あるいは 「塞翁が馬」と 板書することになるだろう。その際に 「塞」字を取り出して、 「この字 の音 読 みは何 です か」と発 問 す る。当 然 、 「 サイ」という 字 音 は、本 教材を指示 す る時 点ですでに用 いているから、すぐに挙がるだろう。 重 ねて 「 別 の音 読 みを知 っています か」と発 問 す る。 「ソク」という 字 音 が自 然 に挙 がればよいが、そうでない場 合 には、黒 板 に 「閉 塞 」と いう熟語を書き記して、回答を促すことが効果的だろう。 このよう に、まず は発 問 によって 「 塞 」字 には 「 サイ」と 「 ソク」とい う二つの字音があることを確認する。 次 に、漢 和 辞 典 を用 いて、教 室 全 体 で 「 塞 」字 を検 索 す るよう に 指示 す る。その際 、漢 和 辞 典が一般 的 に部首 ごとの配 列になってい ること、したがって、部 首 索 引 を用 いることが正 統 的 な使 用 法 とも 言えるが、字音や字 訓がすでに判明している際には、音訓索引を用 いると検 索 が速 いことなどを助 言す るとよいだろう 。普 段、高校 生 にとって、漢 和辞典を引く機会は滅 多にないだろうから、基礎的な ことではあるが、この点は丁寧に確認しておきたい。なお、電子辞書 の場合には、手書きの文字を自動的に認識し、検索してくれる機能 が付 いたものも多 い。便 利 な機 能ではあるが、最 初はや はり部首 引 き・音 訓 引きの使 い方 を確 認 す るよう にしたい。 「塞」は土部 の十画 である。 こう して目 的 の 「塞 」字 にたどり着いた後 は、 「サイ」「ソク」という 字 音 ごとに、どのような字 訓 ・意 味があるかを、漢 和 辞典の記 述 を もとに確 認し、板書してまとめる。その際には、本稿ですでに述べた ように、この字音の相違は、漢音・呉音などとは別ものであることを 説明し、注意を促すとよいだろう。また、板書の内容には、以上のこ とに加えて、それぞれの字音を含む熟語をも記すことで、効果的に 学習内容の定着を図ることができるだろう。. −169−.

(5) 以下に板書の案を示す。 【板 書 案 】 塞 ㊀〔音〕サイ 〔訓〕とりで 〔意味〕辺境のけわしい要害の地・国境地帯 〔熟語〕要塞・城塞・塞外・出塞・険塞…… ふさ が-る ㊁〔音〕ソク 〔訓〕ふさ ぐ-・せ く-・ 〔意味〕ふさぎとめる・みちる 〔熟語〕閉塞・充塞・脳梗塞・塞栓症・抜本塞源…… ※↑漢音・呉音とは別の読み分け このように、 「塞」一字を例として多音字を考察するだけでも、漢 字の性質や、それが日 本語の語彙の構造・特色といかに深く関聯し ているかを自覚し、再考するきっかけになるだろう。 また、 『論語』の冒頭、 子 、曰 はく、学 びて時 に之 を習 ふ、亦 た説 ばしからず や 。朋、 遠方より来たる有り、亦た楽しからずや。人、知らずして慍ら ず 、亦 た 君子 な ら ず や 。 は、多くの生徒が中学校等で学習し、すでに知っているところであろ う。これを機会として 「説ばし」や「楽し」と読む 「説」「楽」についても、 同 様に漢 和辞典 を用いて、字 音と字訓、意味 等の関係 について考え、 板書にまとめたい 八。そうすることで、字音と字訓・意味との関係に ついて、より一層、知識の定着を図ることができるだろう。 加えて、右のような一連の作業を通して、多音字という現象が意 外 にも多 く見 られるものであることに注 意 を促 したい。その際 、前 節で示したように、手元にある 「塞翁 馬」の短文の中にも、実は多く の多 音 字 が含 まれることを話 題 とす るならば、学 習 者 の興 味 を引 き起こすこともできるだろう。 このよう に、多 音 字 の学 習 を通 じて、漢 語 の特 性 を考えるきっか. けを作 ると同時に、漢和辞典の使 い方を改めて学習し直すことは、 これ以降の漢文の学習を進 めるに当たって、有意義な導入となると 考えられるのである。. おわりに 筆 者 は高 校 時 代 、友 人 と 「易 化 」の読 み方 を話題 にしたことがあ った。恥 ずかしながら、当 時 は漢字 についての知識 が不 足していたた め、結 局 、結 論 は出 ず じまいだったよう に記 憶 している。しかしその 後 、大 学 で中 国 思 想 を専 攻 してす ぐに、漢 和 辞 典 を引きさ えす れ ば、否、むしろそうするまでもなく、 「難易」という熟語を考えさえ す れば、このような語の読 み方は簡 単 に知 ることができることを悟 った。 本 稿で論じた内 容 は、あるいは周知 のことに属 す るかも知れない。 しかしながら、高 校 時 代 の筆 者 がそうであったよう に、漢 和 辞 典 の 引 き方 を改 めて学 ぶ機 会 は、実 のところ稀であるよう に思 われる。 多 音 字 を手 がかりとして漢 和 辞 典 の使 い方 を再 確 認 す ることは、 漢和辞典の有用性を再確認するとともに、生徒一人一人の生涯に わたる言語活動を豊かにするためにも、有効なことであろう。一時 期、ニュースで頻繁に取り上げられた 「忖度 タク 」などの語を見るに つけ、その思 いを新たにする。ここに、あえて多音字と辞書指導とい うテーマ取り上げた次第である。. (. ). 注 一 二 〇 一 八 年 度 の教 科 書 をもとに調 査 を行 った 「 教 科 書 に取 り 『漢文教室』第二〇四号、大修館 上げられている故事成語一覧」 書店、二〇一八年 によれば、 「塞翁馬」は七社十種の教科書に採 「 朝 三 暮 四 」十 録 さ れている。これは 「四 面 楚 歌 」十 社 十 四 種 、 社十三種 、 「 胡 蝶 之 夢 夢 為 胡 蝶 」九 社 十 一 種 、 「先従 隗始」. −170−. ) (. ) (. ). ). (. (. ( (). ). ). (.

(6) 八社十一種 に続いて、五番目に多い。 二 多 音 字 は、当該 漢字 それ自 体を指 して呼 ぶ名 称であるが、この 現 象 を指 す 場 合 には 「 破 読 」「 破 音 」また 「 一 字 両 読 」などとも呼 ぶ。 三「 楽 」にはこの他 に 「 ゴウ」という 字 音 もあり、この場 合 は 「欲 す る」「愛好する」という意味に対応する。 四 詳しくは、中国語学研究会『中国語学新辞典』光生館、一九七 「 破 音 」の項 執 筆 は戸 川 芳郎 、及 び洪 誠『訓 詁学 講義 ― 〇年 の ― 中国 古 語 の読 み方 』森 賀 一 惠 ・橋 本 秀 美 訳 、アルヒー フ、二 〇 〇三年 第二章第四節を参照。 五 引用本文 は 『漢文大系』第二十巻 富山房、一九七七年増補版 所収 の 『淮南鴻烈解』により、字体は通行のものに改めた。 六 字 音の認 定 には、漢 和 辞典 ごとに多 少の相 違がある。本 稿での 多 音 字 の調 査 に当 たっては、佐 藤 進 ・濱 口 富 士 雄 編『 全 訳 漢 辞 海』第四版 三省堂、二〇一七年 を用いた。 七 夫 ・転 ・相 ・其 ・見 ・上 ・有 ・父 ・何 ・為 ・将 ・帰 ・好 ・騎 ・九 の十 五 字。 例 えば 「 好 」は、現 代 中 国 語 で 「 よい」の場 合 には "hǎo" haoの三 「好む」の場合には "hào" haoの四声 と発音するが、日本漢 声、 字 音 漢 音 ではどちらの場 合 も「 コウ」という 字 音 で読 む。なお、 右 に掲 げた十 五 字 のう ち 「 父 」字 は 「 漁 父 辞 」「 梁 父 吟 」等 の場 合 に、伝 統 的 に 「 ホ」と読 んで男 子 の美 称 や 老 人 の意 に解 す ること があり、これについて 「 フ」と区 別 して読 み分けることの意 義 を主 張 す る専 論 もあるが 松 浦 友 久「「漁 父 」の読 音 について― ― 訓 読 学・音読学における破音の機能――」 『中国文学研究』第二十五 期、早稲田大学中国文学会、一九九九年 、本稿では注 六 に示 した方 針 に従 い、多 音 字 としては掲 出 しなかった。松 浦 論 文 は字 音 を読 み分 けることの意 義 を考える上 で示 唆 に富 む。参 照 さ れ たい。. ) (. 八 ここに 『 論 語 』を取 り上 げたが、中 国 においては、古 くから多 音 字 を弁 別 して経 典 の読 み方 を規 正 す る意 識 があったと考えられ る。南 北 朝 から 唐 代 にかけての学 者 、陸 徳 明 が著 した 『経典釈 文 』も、そう した著 作 の一 つで、儒 家 の経 典 と 『 老 子 』『 荘 子 』につ いて、多 音 字 を中 心 にその発 音 を注 記 している。 『 論 語 』冒 頭 の 「説 」「 楽 」については、それぞれ 「音 悦 」「音 洛 」と注 記 して、 「エツ」 「ラク」と読 む、つまり 「説 く」や「音 楽」といった意 味ではなくして 「よろこぶ」という 意 味であることを示 している。なお 「音 洛 」に続 いて譙 周 と い う 学 者 の 説 を 引 き 「 悦 は深 く 、 楽 は 浅 い」 と、 よ ろ こ び の 程 度 の 相 違 を 説 明 し て いる こ と は 興 味 深 い。 こ の 他 に 「 内 側 か ら の よ ろ こ び を 悦 と い い 、 外 側 か ら の よ ろこ び を 楽 と いう 」 と い う 一 説 を も 記 して い る 。. () (. ) (. ) (. ) (. ). ). ). (よしだつとむ/北海道大学文学院博士後期課程). −171−. ) (. ) (. ). ). (. (. ). (. (. (. (. (. ). (. ). (. ). ) ). (. ) (.

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