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小学校教員とスクールカウンセラーの連携促進の可能性 : 児童の見方の異同に着目して

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Academic year: 2021

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(1)小学校教員とスクールカウンセラーの連携促進の可能一性        ∼児童の見方の異同に着目して∼ 学校教育専攻科 臨床心理学コース. M10076H 末田 陽祐         【問題の背景】.  文部科学省は1995年に公立中学校を中心にスクール カウンセラー(以下SC)制度を導入した。派遣される SCの数は毎年増加し,2008年には全公立小学校(約2万 校)への配置も計画的に進めることとなった。しかし, 木下(2010)は“全体を重視する学校の教育実践に対し て、個尊重の象徴としてのSCがどのようにつながって いくのかは難問である”と述べており,教員とSCの連 携には課題がある。.  連携を機能させていくために,多様な連携概念や教 員とSCの対応の違いが研究されている。石隈(1999) は,“コンサルテーション”という概念を,湊(2000) は“境界膜”という概念を,定森(2005)は,“カウ ンセリング”という概念を,亀口(2002)は,“コラ. ボレーション”という概念を提案している。高嶋ら (2007)(2008)は,PFスタディ風の質問紙や仮想事例の. 中に線を引くといった方法を用いて,教員とSCの対 応の違いを“視点”や“視座”に焦点を当て報告して いる。“視点”に関しては,教員は“指導”“解決志向”. が特徴的で、SCは“個の内面に焦点を当てる”“保留 する”が特徴的であることを報告している。“視点”を 生み出す“視座”に関しては,教員は“実際に観察で きるものに着目しながら、保護者や専門機関との連携 を視野に入れ,具体的で明確な方向性を持とうとす る。”ことが特徴的で,SCは“学校臨床経験が多くな ればなるほど,事例の見方や対応が多面的であり,よ り多くの情報を求め,総合的に全体を見渡そうとする” ことが特徴的であると報告している。  内田ら(2011)は“小学校において,SCは子どもの発 達に関する視点や発達障害に対する知識が必要だ”と 述べている。また,相澤ら(2009a)によると,小学校教. 活動をすることになる。教員のバイアスが入った情報 を参考にしながら,SC自身の観察等によって介入をし ていくことになる。尚,本研究ではSCを十分な人数 集めることができなかったので,臨床心理学専攻の大 学院生を心理臨床家と位置付け研究を進めることとし た。.           【目的】.  小学校教員からもたらされる情報を,心理臨床家や 別の小学校教員がどのような見方をしたのかを明らか にする。.           【研究】. 地.  小学校教員から見た「気になる児童」に対する,心 理臨床家と別の小学校教員の見方の異同を明らかにす る。. 撞 ・対象 A市の小学校教員11名(男性5名,女性6名, 5枝より抽出,平均教職年数9年4ヵ月(標準偏差4.2)). ・調査時期2011年3月∼4月 ・手続き 40名を対象に自由記述式質間紙を依頼し,. そのうちの11名から回答が得られた(有効回収率 27.5%)。すべてを分析対象とした。. ・質問紙の構成 以下の場面について,気になる児童 の回答を依頼した。①登校時 ②朝の会 ③授業時間 ④休み時間 ⑤給食時間 ⑥掃除時間 ⑦帰りの会 ⑧放課後 ⑨その他 ・分析方法 臨床心理学専攻の大学院生4名と現職の 小学校教員3名にて別々にKJ法を行った。 研究:結果              特定の場面 心. 社会的ル]ル. 理. 不特定の場面. 員がr気になる児童」と感じている児童のうち11.7% は発達障害の児童であるという。小学校のSCには, 発達障害の児童を見つけ,特別な支援へとつなげる役. 壁子!鮒. 価値観有. の. 価値観無. 割もある。. 呈.  文部科学省(2007)によると,小学校へのSCの来校 頻度は,週に1回が41.O%。月に2回から3回が59.o% である。その都度,SCは教員から児童の情報を得て.     友だち力. 行動制限有 行動制限無. Figure1 心理臨床家によるKJ法図解. …148一.

(2) ・調査時期2011年7月∼8月. 座ることができない. 多動・衝動. ・手続き 4名を対象に自由記述式質間紙を依頼。そ のうちの3名から回答が得られた(有効回収率75%)。. 歩き回る. すべてを分析対象とした。 ・質問紙の構成 小学校教員を対象に行った質問紙に、」. 私語. 「小学校でSCとして活動する際に心がけていること」. 偏食. を付加して回答を依頼。. 食事上の問題. ・分析方法 臨床心理学専攻の大学院生4名にてKJ. 粗末に扱う. 法を用いて分析を行った。. 積極性がない. 不適切な学習態度. 結果          児童の気分. 時間つぶし.               児童の特徴      場面を問わな. 親の手抜き. 理解力 心   い観察. 暴力を受けている. 理 肇. 家庭の影響 親の生活. 墓. 家を避ける. の ノ」・. 嚢. マイペース. 児童の気分 場面に注意し. 場にそぐわない動き. た観察. 食事.               一人でいる時      対人関係. 仲間関係. 貝.           1人でいる.               誰かといる時. の. 見 方. Figure3 SCの情報を心理臨床家によるKJ法図解. 輪に入れない. 考察  児童の活動場面を限定したりしなかったりする中で, 心理臨床家は児童の特性を理解しようとしている。ま た,児童の人との付き合い方も理解しようとしている。 児童をアセスメントしているのだと考えられる。. 返答なし. 元気がない         体の問題 暗い.           【総合考察】. Figure2 小学校教員によるKJ法図解.  小学校教員がr気になる児童」と見ている児童に対 する情報を,心理臨床家と現職の小学校教員は別のカ テゴリーをそれぞれで生成していた。カテゴリー名は 違うが,情報の見方には共通するところが多かった。 先行研究にあるように,教員とSCは別の視点をもっ ている。しかし,両者ともに児童を対象としている対 人援助職であり,同じ情報から児童を理解しようとす ると同じような見方になってしまうのではないか。見 方がほぼ同じであるという共通点を共有しながら,そ れぞれの専門分野に基づく知見や意見を伝え合うこと で,児童に対する理解が広がり,学校全体としてより. 盤  心理臨床家と小学校教員では作りだすカテゴリーは. よい教育につながっていくと考えられる。           【課題と展望】. 違うが,同じような見方をしていると考えられる。小 学校教員が作りだしたカテゴリーである「望んでいる のに消極的」以外は,カテゴリー名が違うが,内容は.  第1に,SCではなく臨床心理学専攻の大学院生を用. 非常に似ている。. ある。第2に,半構造化面接を用いて,小学校教員に r気になる児童」を具体的に答えてもらうことで,よ り小学校教員の印象に近い「気になる児童」を抽出す ることができるかもしれない。第3に,SCから見た「気 になる児童」に対する,SCや現職教員によるKJ法分 析を行うことで,それぞれの立場からの「気になる児 童」とその情報に対する見方を知ることができる。              主任指導教員 有園博子                指導教員 有園博子. 周りを支配 仲間を尊重しない さぼり. やるべきことをしない. 望んでいるのに消極的.          【予備調査】. 助  SCのr気になる児童」を心理臨床家がどのような見 方をするのか児童を確認する。. 撞 ・対象 小学校でSCとして活動をしている臨床心理  土3名(女性3名,平均SC経験9年4ヵ月(標準偏  差2.3)). いて,KJ法を行ったが,SCの人数を集めSCによる KJ法分類を行うとちがった分類がなされる可能性が. 一149一.

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