資産効果,ストック・フロー及びマクロ・モデル
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(2) . 資 産 効 果, ス ト ッ ク o フ ロ ー 及 び マ ク ロ. 久 保 田. 〈目. 義. o. モ デル. 弘. 次〉. は じ め に. 1 , 貨幣政策と2つの利子論 1 , 1 メ ッ ラ ー ・ モデ ル. 1 . 2 メッラー・モデルの拡張の可能性 2 , 減税を伴う買オペ政策 2 , 1 マンデル・モデル…外部貨幣経済. 2 . 2 マンデルの内部貨幣経済 2 , 3 一般化された政府の予算制約を伴うマンデル・モデル 3 , 開放経済における貨幣政策 3 , 1 買オペ政策の国際収支への効果 3 . 2 財政赤字が貨幣で融資されるときの国際収支効果 3 , 3 平価切り下げの効果. む. す. び. は じ め に. 我々 がマクロ・モデルを構築する際に注意しなければならないことは資産効果をどのように処理 するかである, 民間部門の実質資産価値の増加 はその部門の消費及び投資行動に影響を与える, そ の増加の消費行動への影響は恒常所得の増加と同様に説明される, 恒常所得の上昇は家計 の消費支. 出を増加させる, 実質資産価値が定常値 にあり, 所望値と現実値が一致しているならば, 実質資産 価値が一定値となるので, 資産効果は観察されない, アーチ ボルトニリプシー〔2〕 が適切に指摘し. ているように, 実質資産効果は動学過程のみで観察される現象である, マクロ・モデルが構築され るとき, 実質資産効果は短期的現象であること に注意する必要がある,. マクロ・モデル分析に於て我々が注目するのは民間部門の実質資産価値であって, 政府のその価 値ではない. 例えば, 政府が保有している資産価値が増加し, 民間のその価値が一定 であるなら ば ,. その資産価値の増加は経済実体には影響しないであろう, 実際には, 政府がその価値を増加させよ うとするとき には, 民間の実質資産価値は減少するのが普通であろう,. 民間部門の行動に実質資産価値は影響するであろうが, いかなる資産の増加もその経済活動 に影 響するのであろうか. いかなる資産が民間の資産として勘定されるのかによって資産効果に違いが 生じる. また, 正味の総資産 効果が考慮されるのか, それとも個々の資産市場が考慮さ れるかによっ て, 民間の行動に与える資産効果は違 ってくる, 正味の総資産効果が考えられるならば, いかなる 資産が増加しようとも, その民間活動への効果は同じであろう. しかし, 個々の資産 の変化 がそれ.
(3) . 久保田 義 弘. ぞれ異なっ た効果をもたらすときには, ある資産の増加の効果と他の資産の効果は異なると考えら れ る,. 本稿では, 正味の資産効果のみが分析される, 個々の資産市場に於ける資産 効果の分析はなされ ない, 故 に, 民間資産のいかなる頃日の価 値 (及び数量) の変化も同じ効果をその行動に与える, また, 本稿では, 民間部門も政府部門も資産を保有 し, その保有比率は政策 的 に変 更されうると仮 定される, 政府部門 は公開市場で資産を購入したり売却したりすることによっ て, マクロ経済の運. 行を制御しようとする. このとき, その資産の保有比率の変化を通じてその運行が制御されると推 測される, その保有比率の変 化をもたらす公開市場操作 が経済実体に影響することを最初に指摘し た の がメ ッ ラ ー 〔8〕 で あ.る, 彼 の 考 え を 発 展 さ せ た も の の 1 つ と し て マ ン デ ル ・ モ デ ル が あ る,. 10 〕 は政府の民間への利子支払い移動が個人所得税率或し・は利潤税率の低下によっ てな マン デル 〔 されるかによっ て, 公開市場操作の経済実体に与える効果が異なることを指摘した. マンデル・モ. デルは財政政策の違い が経済活動に異なっ た影響を与えることを強調するに到っ た, 本稿の第3節で開放経済に於ける買オ ペ政策が国際収支に与える効果が分析される. 我々 はこの. 政策の分析の際に民間部門の所望された流動性比率は一定不変であるというメッラ ーの考えを想定 し て い る,. 1, 貨幣政策と2つの利子論 1. 1. メ ツ ラ ー ・ モ デル. メ ッラー 〔8〕 は家計の貯蓄 が実質資産価値に依存する体系に於て貨幣 が経済に供給される手段 の相違 によっ て, 貨幣が中立的であっ たり非中立的であったりすることを展開した. 貨幣が中立的 な場合には, 貨幣ストック量の変化 は民間の実質資産価値を一定 に保ち, 非中立的な場合には, そ のストックの変化 はその実質価値の変化を随伴している, 学説史的にはメッラーは古典 派の利子論とケイン ズの利子論とを統合させるものである. 民間部. 門の実質資産価値水準を変 えない貨幣ストックの変化 は市場利子率には影響しない, このとき, 市 場利子率 は実物要因で決定される利子率である,貨幣ストックの中立性 がそこでは達成されている, 民間部門のその実質価値を変える貨幣政策は市場利子率に影響する. このとき, 市場利子率は貨幣 、古典派 の利子論( 1 }と呼び 後者をケイ ンズの利子論と呼ん 要因で決定される. メッラー は前者を、 、 、 , で い る.. 彼の主張の根拠が那辺にあるかを彼のモデルに則して探求してみよう, そのモ デルは財貨・サー ヴィ ス市場, 労働市場及 び金融 資産市場から構成されている, そこでは伸縮価格, 完全雇用及び貨. 幣錯覚なしの仮定 がおかれている, 一定の労働力 が賦存する閉鎖経済が想定されている. 金融資産 として は貨幣及 び株式(Common St ock)が扱われている. 経済主体は家計, 企業及び中央銀行で ある, 中央銀行 は株式を保有し, これを市場で売買することによっ て貨幣ストック量を直接的に変 えることができる, 労働市場がいつも均衡するように貨幣賃金率は変動する, 彼のマクロ・モデルは財貨・サー ヴィ ス市場及 び金融資産市場の均衡によ って示される. 前者の. 市場均衡 はフロー均衡を, 後者はストック均衡をそれぞれ示している. そのフロー均衡は貯蓄・投 資の均等で表わされ, そのストック均衡 は実際の資産構成比と所望された比 が等 しいときに達成さ れる, 彼のモデルは,.
(4) . 資産 効果, ス ト ック ・ フ ロ ー 及 び マク ロ・ モ デ ル. 〔1〕. S(r, w)= 1(r) L(r); m/九 a. ( 1 ) ( 2 ). W÷= 入 a 十 m. ( 3 ). a … c y。/r. 4 ( ). と表わされる, ここでrは利子率(株式の収益率) , mは民間に保有され る貨幣の実質価値, a は株 a 式の実質価値, 凡 は民間に保有される株式の実質価値, Wは民間の総実質資産価値 y。は完全雇 ,. 用下での実質所得, cは一定の利潤分配率, S は貯蓄の実質価値, 1 は投資の実質価値 である, , こ の モ デ ル は, 所 与 の 入 (0 ≦A≦ 1) のもとで 市場利子率 総実質資産価値 実質貨幣価値及 , , ,. び実質株式価値を決定する体系である, しかし実際には, 総実質資産価値及び実質株式価値は利子. 率のみに依存するので, 所与の んの もとでは, そのモデルは利子率及び実質貨幣価値を決定する体 系に誘導される. そのモデルは, 、 , ◆ 」. 丁 S(r, え c y \. r 十 m)= 1(r). Sr> O L(r)= m/九 c yO L < 0. SW< 0. lr< ○. と変形されるゆここ に於てんが 財貨・サーヴィ ス市場及び資産市場の均衡に影響すること .が理解さ. れる. つまり, 民間保有の資産価値の変化が均衡市場利 子率に影響することがわかる, しかし 完 , 全雇用及び伸縮価格が仮定されると, 外生的な貨幣ストックの変化は実質貨幣及び実質資産価値 に は影響を与えない, 貨幣ストックと物価水準は比例的に変化し, その数量の変化は均衡市場利子率 に全く影響を与えない, ただ, A の大きさを恒常的に変化させる貨幣政策 のみ が経済実体に影響を. 及 ぼす.. 貨幣ストックの変化が公開市場操作を通して生じるとき, 貨幣政策は市場利子率 に影響する. 貨 幣政策は民間部門の実質資産価値を変 えることによ っ てそれに影響を与える, 買オペ政策が均衡市場利子率 に影響することを見てみよう, 中央銀行は株式を公開市場 で購入す る, 民間が保有している実質株式価値をA a, 中央銀行が保有しているその価値を(1-A)aとす る. 中央銀行はその保有比率 ん を操作し貨幣ストック水準を変える, このとき, 民間部門から中央 銀行へと移転する利 子収入はl ump ‐ sum t ax による減税によっ て民間部門に戻されていると仮定す. る. このとき, 民間部門の実質所得は一定水準 に維持される, 体系 〔r〕 から. (1ー1) a m/a凡 ; 〔-(L 「 m/んa r)S a十(S -S 一 a/r- 」)m/入2a〕 /EDI? (1ー2) a r/a凡 = ←S m 以 2aーS な〕 >0 /IDI が得られる, ここで. ID1 二. (L 一 m/八 c y, )+(s - Swえ a/r ー 1 ) /え a > ○. である, 買オペ政策 が均衡市場利子率を引き下げることが意味されている, Sw=0であるならば, 買オペ政策はその利子率には影響しない, このとき市場利 子率は実物利子率になる, 体系〔1’ 〕に於てm…M/Pであることを考慮すると, 貨幣ストックの外生的変化の均衡利子率及. び物価水準に与える効果は.
(5) . 久保田 義 弘. /aP3…Af=0 a r/aM; 〔S M/八一S Mゑ〕 1 /PLrM( ← 靴 (LrM/ 馴 op) ap/aM=T7 rT 品. と 表 わ さ れ る, こ こ で. 〕 ir s ぷ yo /r2 )/rcyoP2. IAI;-SWM(L -M/ん cyOP)/P2-rM(S -l r s. /r2 )/八 c yoP2 A C′yo. である. これを考慮すると, a p/a. P/M,. すなわち. 譜 ・¥-1. が得られる, 物価水準は貨幣ストック に比例して変化する, 貨幣ス トックの外生的変化は市場利子 率には影響しない, 市場利子率 は実物要因によっ て決定される利子率である. 外生的な貨幣ストッ クの変 化は伸縮価格下では総実質資産価 値を変化させないので, その外生的変化は市場利子率には 影響しない. メッラー は民間部門の総実質資産価値を恒常 的に変化させる貨幣政策 が経済実体 に影響すると考 えている, 彼はそのような政策として買オ ペ (売オペ) 政策をあげている, 、買オペ政策は民間部門. の流動性保有を増加させる. この増加はインフレーショ ンを惹起し, 総資産実質価値を減少させる, 3 } この減少は貯蓄を大きくする, よ っ て, 市場利子率は低下する‘. 1, 2 メ ツラー・モデルの拡張の可能性 メッラー・モデルは所与の労働力サー ヴィス が完全 に雇用されるように貨幣賃金率が伸縮的な貨 幣経済である, このモデルを労働サーヴィ ス が可変的になる経 済に拡張することは可能である. 労. 働供給が完全雇用水準に固定される 経済だけではなく, その供給が家計の最適化問題の結果として 導出される方向に拡張すること が望まれる. メッラー・モ デルにおける投資と資本ストックの関係は暖昧である, 彼のモデルでは物的資本ス. i ト ッ ク 水 準 は 一 定 不 変 で あ る, 他 方, 純 投 資 は正 と な っ て い る, そ の モ デ ル が Stat onaryStat e均. 衡状態のみを分析するなら ば, 純投資水準はゼ ロであろう, 故に, そのモデルはその均衡状態を示 すことはない. 彼のモデルが資本ストックの変化が無視される程に短い期間を扱うものなら ば, そ のモデルは一 時的均衡の状態を表わすことになろう, そのモ デルを資本ストック が変化する経済に. 適用する場合には, そのモ デルは修正される必要がある. 彼の公開市場操作 について考えてみよう, そのモデルでは貨幣及 び株式のみ が資産とし取りあげ られ, その操作の効果 が分析されている, 中央銀行の買オペ政策が株式と通貨の交換するところに 非現実性 があるよう に思われる,公開市場操作が国債と通貨の交換を通 してなされるとき,メッラー と同じ結果を得ること ができるのであろうか, 株式と国債 (公債) が民間にとっ て完全代替である. なら ば, メ ッラーと同様の結果を得ることができる, 彼のモデルを貨幣, 株式及び債券からなる 3 資産モデルに拡張すること が必要とされる, それら資産間の代替性の違いの程度が公開市場操作の ) 効果の差違をもたらす冬 彼 の Net Wor i th Do t n について調 べ る. 彼のモデルの特徴 は貯蓄が総実質資産価値と負の関 c or. 係にあるという前提である. この前提は適切であろうか. アーチ ポル ド;リ ブシー〔2〕がすでに指 摘しているように, ストック ・フロー均衡に経済があるとき, 総資産価値 は貯蓄には影響しない. z 隣解放 の増加及 び減少の消費(すなわち貯蓄) し か し, メ ッ ラ ー は パ テ ィ ン キ ン〔13〕と 同 様 に Ne.
(6) . 資産効果, ストック・フロー及びマクロ・モデル. 水準に影響すると考えている,. Net「Wor in によ る と,各々 の 経 済 主 体 の Net「Wor thDoctor th を集 計 して, 経 済 全 体 の NetWor th. を導出する. この Doc i t or nの欠点は各々の資産市場 の均衡が充分に考察されえない所にある. その Doc i t or n は各々の資産市場におけるストック・フロー均衡 を充分に考慮に入れてはいない, 経済全. 体 の Net「Wor th が ゼ ロ で あ ろ う と も,各々 の 資 産 市 場 が ス ト ッ ク・フ ロ ー 均 衡 の 状 態 に ない な ら ば , 資産 効 果 は生 じ る, Net・Wor in はこ れ を 見 逃 し て い る, あ る 資 産 市 場 にお い て 所 望 ス ト ッ thDoctor. ク水準と実際のストック水準が一致してはいるが, 他の資産市場 に於てそれらの水準が一 致してい ないならば,その不均衡 はそれ自身の資産市場 ばかりではなく すべての資産市場での各々 のストッ ,. ク水準にも影響する, 各々の資産市場 のストック調整に各々 のストック水準が影響されるマクロ・ モデルの構築 へと進められるべきであろう. メ ッ ラ ー・モ デ ル はス ト ッ ク・フ ロ ー 均 衡 体 系 で あ る の で ア ー チ ポ ル ドニリ ブ シー の 問 題 に直 面 , す る, Net 汎ror th Doc i t o r n のもとでは, ストック・フロー均衡状態 にある限り 総資産価値は貯. , 蓄水準 に影響しないことになる, そのモデルが Ne t Worth Doc i t o r n に固守する限り, 資産効果は その均衡では観察されえない, よって, そこでは総実質資産価値と貯蓄の関係 について確定したこ とを言えない, さらに, そのモデルでは貯蓄がいかなる資産形態 で保有されるのかについて何も言. 及されていない. 貯蓄の増加は各経済主体の資産数量の増加としてあらわれるが 彼のモデルでは , , こ の フ ロ ー 変 数 が ス ト ッ ク 変 数 に は連 結 さ れ てし・な い つ ま り 彼 の モ デ ル で は財 貨 ・ サ ー ヴィ ス , ,. 市場の均衡 (フロー均衡) と金融資産 市場の均衡 (ストック均衡) の相互関連が充分 に考察されて い ない・. 別の視点からメ ッラー・モデルの拡張の可能性 について考えてみよう, メッラーは内部貨幣と外部貨幣を区別していない, 彼は中央銀行の貸借対照表を考慮 に入れずに 買オペ政策が市場利 子率を低くするという結果を得 ている, 中央銀行 の貸借対照表は M/P = (1 一 入)c y。. と表わされる, これが考慮されると, 買オペ政策 は民間の総資産価値 には影響しないであろう し . かし,中央銀行と多数の商業銀行から構成される銀行組織を通じて貨幣が供給されているときには , 中央銀行の買オペ政策がその資産価値を変えるかどうかはわからない,中央銀行は銀行券( f i tmoney) a を発行でき, その発行権に相当する貨幣ストック を増加させることが出来る この意味で中央銀行 . 券は民間の資産価値の構成要因となろう, 公開市場操作を通じて銀行券が供給されるとき その操 , 作 によ っ て 民 間 の Net Wo h は影響される. しかし, 商業銀行の預金創出はその Ne t r w r hでは t→ t or ない。 中央銀行と多数の商業銀行から構成される銀行組織における実質貨幣 残高は M/P = β H/P. ここで β は貨幣乗数, Hは中央銀行券, つまりh i ‐ r ed money gh powe , で あ る. β は人 々 の 現 金・ 預金比率及び商業銀行 の預金・準備金比率によって決定される. Hは中央銀行 の銀行券発行権の強. さ に対 応 す る. h igh ‐powerd money の増 加 は, 貨 幣 ス ト ッ ク を増 加 さ せ, Ne t Wo thを増加させ r る, β の変化も貨幣ストックを変化させるが, しかし, この変化の原因について我々 は充分に知る こ と はで き な い,. 銀行組織が株式の (1-ぇ) の割合を保有しているとき 民間の総資産価値 は , , (1 ー 3) W = ん a 十 β 日/P と定義されよう. 中央銀行の貸借対照表は (1 一 入)a = 日/P. と表わされる, これが考慮されると, 民間の実質資産価値 は.
(7) . 久保田 義 弘 W = 〔(1 一 β)九 十 β〕 a. (1 - 4). β≠ 1. と表わされる, その価値はぇ に依存してい るので, 買オペ政策は民間の 総実質資産価値に影 響する ことになる, 銀行組織 が組み込まれたマクロ・モデルへと拡張される 必要があろう. メッラー・モ デルを拡張する際に注意す べきことがさらに1つある. それは投資行動についてで ある. 彼のモ デルでは株式は実物資本に対する請求権である, 彼のモデルでは, a 三 c y。/r = R K/r. という関係 が成立している. ここでRは実物資本 一単位当りの実物収益(その限界生産 性)であり, Kは実物資本ストック である, また, 彼のモデルでは企業利潤 はす べて配当されると想定されてい る. 株式一 単位当りの配当をp とし, 株式の枚数をEとす ると, /r p E/r = c y。 とい う関係が得られる. よって p E/r = R K/r. 、′ ′ が得られる, ここでp/r … qeと す る, こ の qeは ト ー ビ ソ、q と 知 ら れ て い る, B = K が 仮 定 さ れている, 故に, qe =. R/r. という関係 が成立する, qe<1のとき, 市場利子率(株式の収益率)が実物収益よりも大きいの で, 投資 は減少する, 逆の場合には, 投資需要 は増加する. qe=1のとき, 投資需要はゼロとなり, 経 済 は Steady State の 状 態 に あ る.. メッラー・モデルで は純投資が正であるので, qe>1である, 民間の実質資産 価値 は W = m 十 九 qeK. (1 - 5). と表わされる. さらに, 中央銀行 が CommonSt ock を保有せずに国 債のみで公開市場操作に取り組 むなら ば, 民間の実質資産価 値 は W ; qeK 十 九 b 十 m = qeK 十 九 b十 β 日/P (1 ー 6) と表わされよう. ここでbは国債の実質価値である. 民間の資産価値を(1-3) , (1-5)或いは(1-6)の定式化によるかという選択は , (1-4) )と(1-6)に於て, 貨幣と国債が完全に代替 的である ( 1-5 ろう 分析目的によって異なるであ , と考えられるなら ば, 我々 は(1-5)の定式化を採用するであろう.. 2. 減税を伴う買オペ政策 2 . 1 マンデル・モデル…外部貨幣経済 メッラーは買オペ政策が実行される際に, 民間部門から中央銀行に移転する利子収入 が減税とい う方法で民間部門に払い戻される ことを仮定している. 彼はこの払い戻しの方法の差違の効果につ 1 0〕 はその仮定に修正を加えてメッラーとは異なった いて充分な考察を与えていない. マンデル 〔. 結論に到 達している, 買オ ペ政策が実行され, 減税によ って民間部門の実質所得を一定に保つ方法 としてメ ッラー は雇用所得税率の低 下を仮定しているのに対し, マ ンデルは減税が雇用所得税率の みではなく, 利潤所得税率の減少によってなされる場合についても考察し, 両ケースでは, 買オペ 政策の市場利子率に与える効果が異なることを示した, モデルの構造は基本的にはメッラーのものと同じである が, マ ンデルは金融資産として公債 (永. て公開市場 操作をおこな 久債) , 株式及び貨幣を取りあ げている. 中央銀行 はその債券の売買によ っ. 6. ・.
(8) . 資産効果, ストック・フロー及びマクロ・モデル. ぅ. 公債と株式とが完全代替であると仮定さ れている, マンデルは, 減税が雇用所得税で なされるときには買オペ政策 は市場利子率を下落させ, それが 利潤所得税でなされるときにはその政策は市場利 子率を上 昇させるという結論を導き出した. マ ン デ ル ・ モ デ ルキま ′. 〔1 1〕. S(r, m 十 A)= 1(r, t ) p A = B(r, m) A 三(1 ーtp)c y. S >o lt p< O r + 入 b/r. sm, SA< 0 1 <O B >O Bm> O. と示される, ここでmは実質貨幣価値, Aは実質資本価値, t は利潤所得税率 ぇ は民間 に保有さ , p れる公債の比率, bはその債券の実質価値, である, 第1の方程式は財貨・サーヴィ ス市場の均衡 , 第2の方程式は資本市場 の均衡, 第3のは実質資本価値 の定義をそれぞれ表わしている, その体系 は S(r, m 十(1 ー t )c y r 十 九 b/r)=1(r t ) p 、 丁 , , p (1 一 t )c y r+ ん b/r=B( m) p. と変形される, この体系からマンデルの主張 を明らかにする, 最初に, 減税が雇用所得税 のみでなされる場合の買オペ政策の経済実体に与える効果を吟味して. みよう, 家計の利子収 入 bが政府 の雇用所得税による減税に等しい. このとき (2- -1). ‐c)y。 A b = tw(1-. という関係が得られる. ここでt wは雇用所得税率であ る. マンデル体系は S(r, m 十(1 - tp)c y r 十 tw(1 - c)y。 )= 1(r, tp) 「 「 , (1 - tp)c y。/r 十 tw(1 - c)y。/r = B(r m) ,. と変形される. この体系 により, Sm - Bm. sr- SA(1 - tp)c y。/r2- lr - B -(1 - tp)c y. dm. d. dr r2- tw(1 - c)yo/r2 d. - SA(1 - c)y。 d tw -(1 - c)y。/r. が得られる, これより, (2-2) a r/a t、 = 〔- S 1 - c)y r-SA(1-c)y,Bm〕/IA’1 > 0 IA’1=-Sm(B 十(1 - tp)c y,/r2十 tw(1 -c)y,/r2) 十 Bm(Sr- SA(1 - tp)c y。/r2- 1 )> 0 が得られる, これは雇用所得税の低下を伴う買 オペ政策が市場利 子率を低下させることを意味して いる, twの低下は財市場に超過供給をもたらし, IS曲線を右下に移動させ, 同時に資本市場に超 ’ 過供給をもたらし, KK曲線を右下 に移動させる, 〔1 1 〕 は(図-1) によって表わされる. I S曲.
(9) . 久保田 義 弘. 線 は財貨・サーヴィ ス市場の均衡を表わし, K K曲線は資本市場の均衡を表わ している, IS { - }. S. K ←). { } +. 汁 ). 『. 生じている, その体系 は局所的に安定な体系で あ る,. つぎに, 減税が利潤所得税率の低下によって なされる場合の効果について調 べる,この場合,. 」 K. 曲線の上の領域では財市場に超過供給 があり, KK曲線の上の領域で は資本市場に超過供給 が. 家計の利子収入は政府の利潤所得税の減少に等 しい, つ ま り, - 3) え b = t c yo (2 ー p. L 1. (図--). m. 1〕 は という関係 が成り立つ, 体系 〔1. S(r, c y。/r)= 1(r, tp) c y。 /r = B(r, m). m. と変形される, これより, o - Bm. sr- SAc y。/r2- 1. dm. - Br- c y。 /r2. dr. が得られる. 利潤所得税の減少を伴う買オペ政策は ’ー < o (2-4) a r/a tp= お Bm/- A’ I A’1=Bm(S - SAc y。/r2- 1 )>0 と示される.それは市場利子率を上昇させる,t pの減少. 1~〜 dt p ^ 0〉. r. は財市場に超過需要 をもたらすのみである. マン デル. { -. 1. 体系では企業の投資は税率引き後の利子率に基づいて. S. 1“〕 は (図-2) のように表わされる, なされる, 〔1 その体系は局所的に安定な体 系である,tpの減少 はI. S曲線を上方 に移動させる,. 0. (図-2). 2 . 2 マンデルの内部貨幣経済 マンデルの外部貨幣経済では, 買オペ政策 が均衡市場利子率に影響するか どうかを財政政策の違 いに求めている. 雇用所得税による減税は民間の総資産価値を減少させるので, 貯蓄は増加し, 財. 貨・サーヴィ ス市場に超過供給をもたらし, 市場利子率の低下 が意味される. また, 資本市場に於 ても超過供給 が生じるので, この市場を再 び均衡させるには, 市場利子率 は低下しなけれ ばならな. し・ ,.
(10) . 資産効果, ストック・フロー及びマクロ・モデル. 減税 が利潤所得税でなされる場合には,民間の総資産価値は買オペ政策によっ て影響されないが,. しかし, 投資がその税率低下によって増加するので, 市場利子率は上昇すると考えられる, l マンデルの外部貨幣経済モデルでは中央銀行の貸借対照表が考慮されてはいない.この銀行の Ba ance. Shee tには負債項目としての貨幣及び公債しか記入されておらず,その資産項目には何も記入されて いない, その銀行 はその債券を公開市場で売買する, その制約式は, M/P=(1-ぇ)b/r (2-5) M=(1-A)B/r あるい は l hは と表わされる, これが考慮されると, 民間の Ne t÷Wea t m 十 A = b/r 十(1 - tp)c y. r. と変形される. マン デル体系は. 皿. S(r, (1 - tp)c yo白 十 b/r)= 1(r, tp) (1 ー tp)C y r 十 九 b/r=B(r, ( 1一九)b/r). と表わされる, 減税が雇用所得税でなされるとき, つまり (2-1) が考慮されると, 〔 1 1 1 〕 の体系 は s(r, (1 - tp)c y r + b/r)= 1(r, tp) , r L(1 - t )c y /r 十 t (1- c)y /r = B(r b/r 十 t (1 - c)y /r) 。 w o , o w p. と変形される, ここに於いてb/r=B/Prが考慮されると, この体系より, 、. -SAb/r2. ( )cy r2+b/r2 ) S-1 - ( 1‐tp. Bmb/r2. -(1-tp )cy r2-tぬ-c)yo /r2-B一B.b/r2+Bmt証‐c)yo /r. り ′ る. dtw. が 得 られる,ここでBr- Bmb/r2> 0が仮定されると ,. 係数行列の行列式-D’1は負となる, これを考慮する. ← ) ( + ). と,. (2 - 6) =〔 (SAb/r2 )(1-c)y, /r〕/1D’i>0 ar焔 輪 . が 得 ら れ る.こ の体 系 の 均 衡 は Saddl e ‐ point になろう,. twの減少は資本市場に超過供給をもたらすので,KK 曲線は右下に移動する.. 0. (図一3). P. つぎに減税が利潤税からなされる場合について調 べ る, (2ー3) が考慮されると, 〔m〕 の体系は. S(r, (1 - tp)c y。/r+ b/r = 1(r, tp) , 「 L c y /r = B(r b/r - t c y /r) 。 , p 。. と変形される. これより.
(11) . 久保田 義 弘 ′. 、. u -Qb. SA /rp. B m b/rp \m. sr - -lr-( /r2-SAb/r2 1-tp )cy。 -cy r2-Br-Bmb/r2-Bmtpcyo /r. n U 1 . ー ー r ^ ” ′. d tw . が得 られる, これより (2 - 7). /r2P-Bmb/rp(ltp十 ar/a tp= 〔SABmbc yo. cy. /1か’1<0 r〕. ’1<0である t の減少 は財貨・サーヴィ ス市場 に超過供給をもたらし 資本市 が得 られる, ID’ . 。 , 場 に超過供給をもたらす. IS曲線 は右上に移動し, KK曲線は左上に移動する. 2 . 3、 一般化された政府の予算制約を伴うマンデル・モデル 政府予算制約式を一般的にして, 買オペ政策の経済実体への効果を分析してみよう.. 政府の予算制約式は. (2 - 8) tpc yo十 tw(1 ー c)yo十 twえ b = ん b と 一 般 さ れ る, 民 間 の Wea l th は (2ー9) W; M/P十(1- tp)c y. と表わされる. (2-8)と(2-9)より,. r十(1 - tw)え b/r十(1ー tw)(1 ー C)yo/r. (2 - 9’ ) W÷= M/P 十 yo/r. が得られる, このときのマンデル体系 は. t ,対 さ ry 惟t G の 鴻パー 町 回{きこ ; 霜至 ; る ; t. と表わされる, こ れ よ り, Sm. 2 sr- -l - r-SAyor/r. - -Bm. - - 〔(1- -tp)c y. lt , c y。 /r. dm. -c)yo/r)+ Br 〕 r2十(1 - tw )(え b/r2十(1-. 0. (九 b r/r 十(1 - c)y/r). …. 0. dr. 三 村. -(1 - tw )b/r. ’とすると ID’ ’ ’1>0が得られる 故 に が得られる, 左辺の係数行列をD“ , , , (2-10) a r/a九 =(一Sm(1-tw)b た )1D…1>0. が得られる. 民間が保有 している債券数量を少なくする買オペ政策 は資本市場 に超過供給をもたら IV〕 のマン デル体系 は(図-4) に表わされる, この体系 は局所的に安定する. 買オペ政策 は す, 〔. KK曲線を右下に移動させる,故に外部貨幣経済のもとでの買オペ政策は市場利子率を低下させる,. 10.
(12) . 資産 効 果, ス ト ック ・ フロ ー 及 びマク ロ・ モ デ ル. H S ( ) 十. K. (図一4). l つぎに内部貨幣経済に於て買オペ政策の経済実体に与える効果を分析する. 中央銀行のba ance. hee t(2-5)が考慮されると, マン デル体系は s. 富も 一対 激止 坤 〔 v 〕{洋品詩型塵おえ謡 . と表わされる ここで債券の実質価値 が固定されているならば 所与の 入 のもとで 財貨・サー ヴィ , , , l tと資本市場の均衡によって物価水準とA ス市場の均衡によ って決定され,中央銀行のba anceshee が同時に決定されることになる, 債券の名目価値が固定されている場合のマン デル体系は,. 警部 並ぶ論響 ;;&{も き. ’ 〔V 〕{. 准 附 。-凋. め. と表わされる. この体系に於て内生的に決定される変数 は物価水準及び市場利子率である, 買オ ペ 〕 より, 政策の市場利子率に与える効果を考察してみる. 〔V’ \. Sr-lr‐SAyoた2. SA (1一入)b/rP .(1一入) 1-t 九)bハP. l tp Cy. (1ーc)yo /r2ーBrr (1ーt Cy。ハ2十(1ーtm )入bハ P十(1 ) ‐tw /. O r. dp. 人 b r 十(1 ー c)yo /r. dr. SAb/r -(1 - tw )b/r. が得 られる, 買オペ政策の効果は. P 〔(1ーtw)十Bm(1一入)〕/ICr> 0 と示される. ここでCは左辺の係数行列でIC1はその行列式である,(Bm-1)入 十Bm>0であ 〕 の体系は(図‐ 3 ると仮定できるであろうから, ICI<0であろう, 〔V’ )に表わされ, その均衡は もたらす, 買オ は資本市場と財貨oサーヴ 買オペ政策 になる ス市場に超過供給を Sadd lepo i t ィ n , (2 一11). a r/a九 = SAb2/. 11.
(13) . 久保田 義 弘. ペ政策 はIS曲線を右上に移動させ, KK曲線を右下 に移動させる, KK曲線の方がよりその影響 をうけるであろうから, 買オペ政策 は市場利子率を引き下げる, 外部貨幣経済であろうとも, 内部貨幣経済であろうとも, 買オペ政策 は均衡市場利子率を引き下. げる, このことは, 市場利子率が貨幣的現象であり, 貨幣政策が市場利子率の変化を通じて経済実 体に影響できることを意味している. 我々 は閉鎖経済 に於ては買オペ政策さ らに一般的 には公開市 場操作が均衡市場利子率に影響すると結論づけてよい であろう.. 3 , 開放経済における貨幣政策 3 . 1 買オペ政策の国際収支への効果 閉鎖経済に於て, メッラー は公開市場操作が市場均衡利 子率に影響することを最初に指摘した,. その操作が民間の総資産価値或いは民間と政府の間の資産構成を変えるときに, それは市場均衡利 子率に影響することが明らかにされた. 開放経済に於て公開市場操作 は市場均衡利子率さらに経済実体に影響するのであろうか. 本節で はメ ッラーの命題 が開放経済に拡張されるかどうかが考察される, 当該国が小国であると仮定され. る. このとき, 国際的な物価水準及び利子率は外生的に与えられる, 小国モデルはメッラー・モデ ルと同 じであるとしよう, つまり, 財貨・サーヴィス市場, 貨幣市場及び金融資産 (株式) 市場か. らそのモデルは構成されている, 財貨・サー ヴィ ス市場 はIS曲線で示され, 貨幣市場及び株式市 場の均衡 は流動性比率が所望水準にあること によっ て表わされる, 小国に賦存する実物資本ストックの価値をqeKとする.ここではK=Eが仮定されている,また, e q =1が仮定される,民間によ っ て保有されるその大きさをKpと し,中央銀行が保有する大きさを Kgとし, 外国に居住する人々によっ て保有される大きさをKfとする. 5 }は 中央銀行による買オペ政策( , (3 - 1) m = Kg よ っ て, d m = d Kg= - d Kp を意味する. 実物資本ストック が一定である ので, dKg=-dKpとなる, このように買オペ政策は 民間の総資産価値を一時的に小さくする, 所望された流動性比率よりも実際のその比率は大きく な. る. 所望流動性比率が (3 - 2). L(r*)K P = M/P … m. と表わされる. 買オペ政策の後の流動性比率をLqとすると, dm十L(r* )ま くp )十 > L 『) Lた K -dK p p. 豊三畿ずL. となる, これは実際の流動性比率が所望比率よりも大きくなることを意味している. 民間部門の貨幣ストックが所望比率以上よりも大きく なると, 民間はその余分のストックで証券. を買い戻すであろう, 民間部門の流動性比率の増加 は自国の証券或いはそれと完全代替な外国証券 を買い戻すであろう, そして民間部門は所望された流動性比率を回復するであろう. このようにし て民間部門は買オペ政策以前の資産構成及びその水準を回復する.. 買オペ政策が民間部門の資産構成及びその水準に影響しないとしても, その政策は政府部門の資 産水準をあげる. 政府部門 に証券保有による利子・配当収益 がもたらされる. 政府部門がこの収益 を減税という方法で民間部門に移転させるならば, 民間の可処分所得は増加する. この増加は, (3 - 3). 12. r*qeKf.
(14) . 資産 効 果, ス ト ッ ク ・ フ ロ ー 及 びマク ロ・ モ デ ル. と表わされる. i 可処分所得の増加は Abso t rp on を大きくするので, 貿易収支は悪化する,買オペ政策 は民間部門 の外国の証券購入を刺激するので, 利子収支は改善する. この収支は, (3 ー 4). BSニ ー r*qeKf. と表わされる, これは丁度政府部門から民間部門に移転される利子収入である. この大きさの可処 分所得 が民間で増加する, 資本収支は悪化する. この収支は, (3ー5) Bk= qed Kf. と表わされる, 買オペ政策 は金融資本の流出を大きくするので, その収支は悪化する, 3 , 2 財政赤字が貨幣融資されるときの国際収支効果 財政赤字 が貨幣 のみで融資される場合の効果を考察してみよう, この効果は貨幣ストックの外生 的変化の効果に同じである. 財政赤字に相当する貨幣 (つまり通貨) ストック が民間部門 に供給さ れると, その資産価値は増加するであろう, 民間部門の所望流動性比率が一定不変であるので, その供給増加は証券に対する超過需要をもた らす, その増加をdmとすると, dm=dwが得られる, というのは, (3-6) w = m 十 qeKp と定義されるので, ここではqe=1である, また, 所望流動性比率はm/Kp=L(r* )と与えられる の で, w =(1 + L)Kpが 得 ら れ る. こ の 関 係 よ り d m 二(1 + L)d Kp; d m. が求め られる, また, 証券の需要増がqedKp=dmな1+L)であるので, 民間部門の資産価値の. 増加分は. d m - qed Kp= d m - d m 尺 1 十 L)=(L/(1 + L))d m > 0. と表わされる. 貨幣ストックの外生的増加の国際収支に与える効果を調べる,この増加は一時的に民間部門の wea l h t. ion を大 きく す る の で, 貿 を大きくするので, 民間の消費需要 は大きくなる, こ の こ と は, Absorpt 易収支は悪化する, また貨幣ストック の増加は外国証券に対する需要を大きくするので, 移転(サー. ヴィ ス) 収支は改善する, 民間部門の wea l h が増加すると, 民間部門の貯蓄は減少する. その貯蓄Sは t S = Y - C + r*qeK‐ f. と定義されよう, ここでYは完全雇用水準によっ て与えられる産出水準である, Cは民間の消費支 l hの増加となる, その増加は貯蓄水準に及 び外国証券 出である, 貨幣ストックの外生的増加は wea t. 需要に影響するであろう. d s = -(a C/aw)dm十 r*qed Kf. が得られる, dKf=dm/(1+L)であるので, これは d s = -(a C/aw)dm十 r*(dm尺1+L) ). と変形される, これより (3-7) a s/a m=-(a C/a m)十r*/(1+L)<0 が得 られる, これは, 貨幣ストックの増加の貿易収支への効果が移転収支への効果を凌駕すること i )として与えられ, 財政支出は先決されており, 民間 を意味している, 貿易収支はY-(Abso t rp on l hに依存していないならば, BT (貿易収支) への貨幣ストック変化の効果は, の投資水準 が wea t d BT= -(a C/a m)d m と し て 与 え ら れ,. 13.
(15) . 久保田 義 弘 (3 - 8). dB. d m = -(a C/am). という関係が得られる. 故に, その増加 は経常収支を悪化させることになる. 貨幣ストック増加の資本収支への効果について考えてみよう, 資本収支は BK= qed Kf. と表わされる, 民間部門の資産価値の増加を貯蓄と定義すると, 貯蓄 は S … d m 十 qed Kp. と 表 わ さ れ る. こ こ で m/qeKp= L(r*)を 考 慮 す る と, S =(1 + L)qed Kp が 得 ら れ る. qed Kp= qed K - qed Kfで あ る の で, S =(1 十 L(r*))qe(d・K - d Kf ). と 変 形 さ れ る, こ こ で はd K = 0 で あ る の で,. S = -(1 十 L(r*))qed Kf; -(1 + L(r*))BK. が得られる, これより. (a s/a w)d m = -(1 + L(r*))(a BK/a w)d m. が導出される. これより. (a BK/a w)d m = -(a s/aw)dm尺1+L(r* )). が得られる. (a s/a w)< 0 で あ る の で, (3 - 9) (a BK/a w)d m > 0. となる, これは, 貨幣ストックの外生的増加が資本収支を改善することを意味する, 貨幣ストックの外生的増加は予期せざる政府の移転支出の増加のためにもたらされる, その支出 は期初に決定されるので, 期間内では一定不変の大きさになる, その期間内では外国為替価格は- 定不変であるので, 物価水準は一定不変である. 故に, 名目貨幣ストックの変化と実質貨幣ストッ. クの変化 は同じ大きさ になる.. 3 . 3 平価切り下げの効果 小国に於て平価切り下げは物価水準の上昇を意味する, このことは実質貨幣残高の価値の低下を. もたらす.この価値の減少は一時的に wea l h l thの減少をもたらし,民間部門の資産構成を変える,wea t. . W = M/e P*十 qeKp. と示されるとき, 平価切り下げはM/eP*を小さくする. ここでe は外国為替価格, P*は外国の物 価水準である.aw/a e = - m/e < 0 より,平価切り下げは民間部門の wea l hの減少をもたらす. t. この減少 は貯蓄を増加させ, 消費を減少させる, この減少は Abso i t rp on を小さくするので, 一 時的 には貿易収支は改善する. 民間部門は実質貨幣残高の減少に相応して資本ストックの保有を減少させようとする. 社会全体. に賦存する資本ストック は一定不変であるので, 国内の民間部門に保有されていた資本ストック は. 外国の住民によ っ て保有きれよう, このことは資本 の流入を意味する. 故に, 資本収支は改善する が, サー ヴィ ス収支は悪化する,. 14.
(16) . 資 産 効 果, ス ト ッ ク・ フロ ー 及 びマク ロ・ モ デ ル. む. す. び. 公開市場操作 が民間部門の資産構成及びその水準に影響するなら ば, それは均衡利子率に影響す ることを説明し, さらに, 公開市場操作と財政政策 (例えば利 子支払いに等しい減税) が併用され. るマンデル・モデルの拡張が試みられた. そして, 第3節ではメッラー・モデルの開放経済への拡 i 張 を 試 み た. こ の 節 はさ ら に compl cate な モ デ ル 構 築 の 基 礎 と さ れ る.. しかし, 公債が民間部門の資産ではないという立場をとる Neo‐Ricardian の 主 張 によ る と, 公 債 を通じた公開市場操作は経済実体に少 しも影響しないことになる, この主張の基本的前提は公債が l 民間の資産でないということである.さらに,政府部門の利子支払いは民間部門への増税( ump ‐ sum. 6 }は資 本 市 場 が 完 全 で ian の 命 題{ tax)によ っ て 相 殺 さ れ る と い う 仮 定 が お か れ て い る. Neo ‐Ri card. あり, 政府債 が民間の資産で なく, さらに政府支出が民間の効用水準 に影響しないという限定され た状況のみに成立すると考えられる, 本稿では, 公債(政府債)が民間の資産でありうるという認識に 基づいて分析 が試みられている, 本稿の第1節及び第3節では政府部門 (中央銀行を含む) が民間. 資産 (株式) を保有するメッラー・モデルが示されている.. 註 、古典派′ ′ はDRi doの考えを受け継ぐ通貨主義の立場をとる古典派であろうと思われる, 詳細に ( 1 ) メッラーの 、 r . ca 、古典派′ ′を研究すると 貨幣数量の変化が市場利子率に影響することを認めている人もいる. 短期に於てその数量 、 , の の変化は市場利子率及び実物変数に影響することをソーソトソ及びヒュームは認めている, 〕 より, 所与のん 及び貨幣ストックのもとで, ( 2 ) 体系 〔1’ \. . t d. ′ A が得られる,この左辺の係数行列をA とする,I AI=-(L -. 2 M/八 c yop)(Sr- 1で-S、 YA c y r) /r2 )十(-rM/入 c y。 〔(SWM/r2 )バS -lr- Swえ C y。 P2 〕<0である,角括孤の中の第1項目は )/Lr一M/Acyop) 財貨・サーヴィス市場を均衡させる利子率と物価水準の組み合 わせを表わす曲線の勾配であり, その2項目は金融資産市場を 均衡させる両変数の組み合せを表わす曲線の勾配である. 前者 の曲線をIS曲線とし, 後者をLL曲線とする. ISは右下り であり, LL曲線は右上りである, IS曲線の右上半分ではそ. 0. P* (図一5). P. の市場に超過供給が生じ, その左下ではその市場に超過需要が 生じる, その市場に超過需要があると, 市場利子率は下落し, 物価水準は上昇する. LL曲線の左半分上の領域では所望され た流動性比率が現実のその比率よりも小さい. このとき, 市場 〕 利子率は下落し, 物価水準は上昇する, (図-5)に体系〔1’. の動学的特性が記されている. SS線に経済が位置するときの lepo 〕の動学体系はs i tをもつことになる, みに, 経済は均衡点に向い, それ以外は不安定になる, 体系〔工’ add n * * P こ の 体系において比較静学分析を試みる. 貨幣ストックの外生的増加は初期の (r , ) のもとで, 財貨, サー ヴィス市場に超過需要をもたらす, よって, IS曲線は右上に移動する, また, その増加は金融資産市場において, 15.
(17) . 久保田 義 弘 所望流動性比率よりも現実のその比率を大きくする. 初期の(r* )のもとでは, 貨幣市場に超過供給をもたら , P* す, LL曲線は右下に移動する, ぇ を小さくする買オペ政策を調べる. ん が小さくなると, 民間の資産価値が小さくなるので, 財貨, サーヴィス 市場に超過需要をもたらす. IS曲線は右に移動する, んの減少は所望流動性比よりも現実のその比を大きくする. ので, 貨幣市場に超過供給をもたらすので, LL曲線は右に移動する, ぇの減少は市場利子率を引き下げるが, し かし, 物価水準を上昇させるか下落させるかは定かではない, 入の減少のLL曲線に与える効果がその IS曲線に. 与える効果よりも小さいときには, 物価水準は下落する. 一般 には, a p/aん = 〔一 Swc y. r(Q ーM/九 C OOP)十 r M(S ー 1 ーSwえ c y r2 )/r2Cy。 〕” AI?. である. { 3 ) メッラーは民間部門の総実質資産価値が大きくなるか小さくなるかに着目して, 貨幣政策が経済実体に影響を与 えるかどうかを判断している, これに対し, Wood〔 20 〕 は中央銀行の資産(より正確にはその貸借対照表)を考慮 に入れて, メッラーの買オペ政策の効果について疑問を投じている, その銀行が保有している資産に対する請求権 として通貨を見倣すならば, (1-八)a=m という関係が成立する, これをw=ん十mに代入すると, a;W. が得られる, このと き体系 〔1’ 〕 は, S(r, a)=1(r). 1 」 ÷(r); ;(1- A ry A. (1 - え)aニ ニム 江”). となる.買オペ政策 は民間の資産価値を変えることができない,市場利子率は実物要因のみで決定される貨幣ストッ クが先決変数であるので, Pはんと同時に決定される, ( ) メ ッ ラ ー・モ デル で はCommons 4 t ockと公債が完全に代替的であると仮定されるので,中央銀行がCommonstock を保有すると仮定しても問題にならないであろうが, 我々はそれと公債とを区別し, 公債によって買オペ政策がな されると想定する, このとき買オペ政策が民間の総実質資産価値に影響するであろうか. その価値は w = a + え b十β 日/P と示される, 中央銀行は買オペ政策によってh i dnloney であ る の で, ‐ r gh powe (1ーん)b=日/P とその制約式は示される, これを考慮すると, 民間の総資産価値は W =a 十 〔 (1十β)え+β〕 b と表わされる, 故に, 公開市場操作は民間の総実質資産価値に影響を与える.. ( ) 買オペ政策が外国に居住する人々からの証券購入によってなされるならば, dm=-qedKfとなる, このとき, 5 自国の民間部門の wea l hは不変である, しかし, 政府の wea l hは増加する, 政府がその収益に相当する減税をお t t こなうならば, 民間部門の可処分所得は増加する. さらに, 政府が内生的に取り扱われるならば,政府から民間部門に移転される利子は民間部門の wea l hの一部と t. 見徴される, つまり, 民間部門がそれを資本化するならば, 政府が保有している資産は最終的には民間部門に帰属 す る こ と に な る, r*qedKの資本価値はqedKgとなる, このときの買オペ政策は, d m =qed Kg= -qed Kp. であ り, 民 間 の wea l th は w 二qe(Kp十 Kg ). と定義される, これより,. d w =qe(d Kp十d Kg )十dn .. が得られる. dKg十dKp=0として買オペ政策は与えられるので, dw=dm. で あ る,. ( ) この命題は最初Bar 6 1 〕の教科書にその命題の前提等々は詳しく 5 t〔 r o〔3〕 によって学界に紹介された, Sar gen 16.
(18) . 資産効果, ストック・フロー及びマ ク ロ ・ モ デ ル. 記さ れ て い る. Sargent はlumpsum tax の 下 で,. 公開市 場 操 作 がi l r re evant であ る こ と を示 して い る の に対 し,. 本稿では税率の変化を伴う公開市場操作について議論を展開させた, 今日の経済社会に於て,l umpsum tax の適 用範囲は限定されるであろう, 本稿は19 84年7月 に北海道大学経済学部にて報告したものを全面的に改稿 したものである.. 参考文 献 〔1〕 〔2〕 〔3〕. ” ’ ’ Syed l i llnterestTheory eron C1ass ca :Comment 2βの”の呪た ,Ahmad , Metz , A粥〃たα7. 尺eひれひ 1981 71( )pp ,vol , ,1092-93 , “ Archi bald D i iqueof Lange and t :A Cr ,G, ,andR,G,Lipsey , Monetaryand Value Thery ” 尺勿 卿ひ げ Eco伽 朔ば inkin Pat S i l 2 - れd 6( 1 9 5 8 1 2 2 ) c e s v o pp , , , , , t tA ’ ’ 力zぼれαZ f po妨げ Barro th? c郷 βの“捌 け,vol q ,RJ. , re Government Bonds Net Weal .. 1974 82( )pp .1095-1117 . 〔4〕 〔5〕. 〔6〕 〔7〕 〔8〕 〔9〕 〔10〕 〔11〕 〔12〕 〔13〕 〔14〕 〔15〕 〔16〕. t t C1 in te ower ,and M.L.Burs ,R.▽▽ , on The lnvariance of Demandfor Cash and other Assets “ 尺のZ 28( 1960 32‐36 )pp gw げ Ecの如;欄c sr zdi e s , . , ,vol. Hi 1脳 のγ cksJ,R, sのi s i” 脳わ” e如か 7 , .143‐54 , Cd輝雄 Es . , London ,o×ford ,1969 ,pp t t “ George f l H i h R I A d h T h t t t t 〆 ea sse an e eory o n eres, 廓”粥 qf Po熔化αZ , orw c , Eのれo加夕 1962 70( )pp , ,157‐69 , ,vol t t “ A7%8暫定α7 Me i K h M l C i r etzer on 1 ass callnterest Theory: Com ment 2 Eの7 2の喝た , on , , 尺e諺偽り ‐ l 1 1 9 8 1 1 7 0 9 4 9 5 ( ) v o p p , . . , “ “ Metz l l th ′ 常北〆 βのれ助 砂, t erJ.R. , Wea ,Saving ,andthe Rateoflnteres , 膚”〆“メ ザ Po/ 1 州 5 9( 1 9 5 9 3 1 1 6 ) vol pp , . . tThe Structure of Taxes o en “ ---,t ions , p ‐Market operat ,andthe Rateoflnterest, Harvard U. P, idge Z例解d R物8 7 s) .345‐62(CD/ ,Cambr ,1973 ,pp ( t “ A Mundel l R h P b l i T D b C l T t t u c r r t e e o o a e n ome a x c e s p , . , , , ,andthe Rateoflnteres , l Z 68( 1960 )pp わz ‘〆“〆 q f Pがズ z棚/ Eのれα卿y . .262‐66 , ,vo “ l Ni M W l h d M i A Revi t t z r ehansJ, e e e n a c r o e n a a c o om c s : ew,“ 和 雄 加‘qfEの“似れば c , , , 乙すね’ 1 一 l 1 6( 9 8 8 4 9 カ 5 7)pp 惚 メa vo. . . ”Pr ’ ’ Pat inkin i D F 1 i b i l i d Ful I Employment t c e e x a n 2のり zた Reりをw y , Eの7 ,, , , A粥”たの7 , l 1 4 4 - 3 8( 9 8 5 3 6 4 )pp vo, , , ---, 窺わ7 〃” ””d P“ce 2の’ s , New York, Harperand Row,1965 , , 肋を〆 ,seconded “ “ 力 粥〃” f Eの“の吻た LZ ---, Money and Weal i i l th t 7 Z 云 : A Rev ew Ar c e 惚 ” 〆 B 〃 q , , ,vol 1 1 4 ‐ 1969 0 6 0 ( )pp , , Sargent i dge J c Mαα鑑co”窃喝た Z物のフ γ , ,T, , Dツ”の“Z .92 , Harvard U,P, ,Cambr ,1987 ,pp ‐303 , t t Tobi i l i br ium Approachto Monetary Theory “ おzぼれαZqf 脳わ〃砂 J n , , A GeneraIEqu , , , Cγ司法 αれd Bα“戯れg vol 1( 1969 )pp , .15-29 ,. 〔17〕 〔18〕. 一--, As l l 207卿ば c A駈れZか c”m〆のめ7 s鑑 Ac 2α 7ば Eco7 ackwe .74‐96 . , B1 ,1980 ,pp t tMone andFinanceinthe Macroeconomi “ 一-- P c rocess ‘瑠 〆 qf 肌oれa y v , , Cr可# , おz l 14( 1982 )pp αれd Bα7 2履れg vo . .171一204 .. 17.
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(20)
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