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口演抄録(2日目)

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(1)

2

日目︶

O-7-1

Le Fort Ⅲ型骨延長術後に Le Fort Ⅰ型骨切り術を施行した Apert 症候群の 1 例

1)山形大学医学部附属病院 歯科口腔外科,2)山形大学医学部附属病院 形成外科,3)酒田市病院機構日本海総合病院 歯科口腔外科

○中村麻里奈

1)

,遊佐 和之

1)

,菊池 憲明

2)

,櫻井 博理

3)

,尾 崎  尚

1)

,吉田 雪絵

1)

,北畠健一朗

1)

橘  寛 彦

1)

,飯野 光喜

1)

A case of apert syndrome treated by Le Fort Ⅰ osteotomy after Le Fort Ⅲ distraction

osteogenesis

1)Department of Dentistry and Oral Surgery, Yamagata University Hospital, Yamagata 2)Department of Plastic and Reconstructive

Surgery, Yamagata University Hospital, Yamagata 3)Department of Dentistry and Oral Surgery, Nihonkai General Hospital, Yamagata

○M

ARINA

NAKAMURA

1)

, K

AZUYUKI

YUSA

1)

, N

ORIAKI

KIKUCHI

2)

, H

IROMASA

SAKURAI

3)

, H

ISASHI

OZAKI

1)

, Y

UKIE

YOSHIDA

1)

, K

ENICHIRO

KITABATAKE

1)

, H

IROHIKO

TACHIBANA

1)

and M

ITSUYOSHI

IINO

1) 【緒言】Apert 症候群は先天性頭蓋骨癒合による尖頭と高度の合指趾を伴う常染色体優性遺伝疾患である。頭蓋・顎顔面形 態では,眼間離開,眼球突出,鼻根部低形成,扁平顔面等の頭蓋底の狭窄に由来する特徴的な顔貌を呈する。上顎は低形成 で歯列弓は著しい V 字型を呈する。このような顎骨だけでなく頭蓋を含む顔面骨の形態異常を有する患者では,通常の上下 顎骨形成術では咬合や顔面形態の改善は望めない。今回,われわれは Le Fort Ⅲ型骨延長術後に Le Fort Ⅰ型骨切り術を行 い,良好な咬合関係を得られた Apert 症候群の 1 例を経験したのでその概要を報告する。【症例の概要】患者:1994 年 10 月出生。頭蓋顔面の変形ならびに合指趾症,軟口蓋裂が認められ Apert 症候群と診断され,生後 1 か月で頭蓋形成術が施行 された。生後 3 か月に軟口蓋裂の加療を目的に当科を初診し,1 歳 8 か月時に口蓋形成術を施行した。12 歳より骨格性反対 咬合に対する術前歯科矯正治療を開始した。16 歳時に Le Fort Ⅲ型骨延長術を施行した。両側頰骨部に創内型骨延長装置を 装着し,術後 8 日目より 14 日間で 12mm の骨延長を行った。17 歳時に隆鼻術施行後,骨延長後に残存した開咬症の改善を 目的に Le Fort Ⅰ型骨切り術を施行した。19 歳時に抜釘術を施行したが,現在まで後戻りなく顔面形態および咬合関係は安 定している。【結語】Apert 症候群の 1 例に対し,Le Fort Ⅲ型骨延長術にて中顔面の劣成長を改善後,Le Fort Ⅰ型骨切り 術にて咬合関係を改善した。2 段階にわけて施行することにより,良好な顔面形態および咬合関係を獲得することができた。

O-7-2

下顎骨延長(成長期)と上下顎同時移動術(成長終了後)を施行した Hemifacial

microsomia 症例

1)東京歯科大学 歯科矯正学講座,2)東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座,3)東京歯科大学 口腔がんセンター

○坂本 輝雄

1)

,加藤 真麻

1)

,有 泉  大

1)

,石井 武展

1)

,末石 研二

1)

,藤本 侑子

2)

,成田 真人

2)

髙野 伸夫

2,3)

A case of the patient with Hemifacial microsomia performed mandibular distraction

osteogenesis and maxillo-mandibular osteotomy

1)Tokyo Dental College, Department of Orthodontics, 2)Tokyo Dental College, Department of Oral and Maxillofacial Surgery, 3)Oral

Cancer Center, Tokyo Dental College

○T

ERUO

SAKAMOTO

1)

, M

AASA

KATOH

1)

, D

AI

ARIIZUMI

1)

, T

AKENOBU

ISHII

1)

, K

ENJI

SUEISHI

1)

, Y

UUKO

FUJIMOTO

2)

, M

ASATO

NARITA

2)

and N

OBUO

TAKANO

2, 3)

【目的】Hemifacial microsomia は,歯科矯正学的には正面セファロで顔面非対称,咬合平面の傾斜がみられ,それらの改 善が治療目標となる。今回われわれは顔面非対称の改善のために 6 歳時に下顎骨延長を,18 歳時に上下顎同時移動術を施 行したので,その概要を報告する。【症例】初診時年齢 4 歳 8 か月の女児で,右側 Hemifacial microsomia,Pruzansky 分 類 Type 2 である。上下乳歯列で,顔面非対称を呈する(オトガイの偏位:6 mm,咬合平面の傾斜:7°)が,咬合関係は 良好であった。6 歳 4 か月時に,千葉県こども病院形成外科にて下顎骨延長を行った。延長器は Zurich type ramus distractor,Latency period 5 日間,延長は 1 日 1mm で 17 日間(17mm),延長方向は下顎枝と平行である。延長中,咬 合関係を維持し,咬合平面の傾斜を改善するため,上顎歯列に Trans-palatal arch,下顎歯列に Lingual arch を装着し, 上顎右側臼歯と下顎左側臼歯にエラスティックを装着した。また,Consolidation period は 7 か月であった。その後,成長 を経過観察していたが,思春期成長とともに顔面非対称を呈したため(オトガイの偏位:2 mm,咬合平面の傾斜:8°), 18 歳 7 か月時に上下顎同時移動術を行った。その後術後矯正を行い,19 歳 8 か月時に保定装置を装着した。【結果および 考察】社会的適応から,就学前に骨延長を施行したが,咬合関係を損なうことなく顔面非対称が改善された。しかし,そ の後の患側と健側下顎枝の潜在的成長の不調和のために,思春期性成長スパートとともに顔面非対称が再発し,上下顎同 時移動術を行った。そのため,成長中に骨延長を施行する際には,顎骨の成長終了後に再度骨切りが必要になる場合があ ることを伝えておく必要がある。

(2)

2

日目︶

O-7-3

呼吸改善のため乳幼児期に下顎骨延長したロバンシークエンス症例の長期経過

1)聖マリア病院 矯正歯科,2)千葉大学大学院医学研究院 形成外科

○森 下  格

1)

,三川 信之

2)

Long-term prognosis of the mandibular distraction osteogenesis for Robin sequence

infant with dyspnea

1)St.Mary's hospital, Orthodontic department, 2)Chiba University Graduate School of Medicine Department of Plastic and

Reconstructive Surgery

○T

ADASHI

MORISHITA

1)

and N

OBUYUKI

MITSUKAWA

2)

【目的】小下顎症を主徴とするロバンシークエンスは新生児期の呼吸困難に対して気管内挿管,気管切開など様々な気道 確保と呼吸の安定化を試みられてきた。当院形成外科では乳幼児期に気道拡張による呼吸改善を目的とした下顎骨延長術 を行ってきた。これによって下顎骨体部の前後径は一時的に増大し呼吸の改善を見た。それから 10 年経過し,顔面骨格 および歯列咬合についての形態的予後を評価した。【方法】当院形成外科にて乳幼児期に呼吸改善のため下顎骨延長術を うけ 10 年経過し,矯正歯科治療を目的として検査をうけた 5 例(男 3 例,女 2 例)の側面頭部 X 線規格写真を資料とし て分析に利用した。手術時年齢は 0 歳 2 か月から 3 歳 7 か月,検査時年齢は 10 歳から 14 歳 6 か月だった。対照の標準値 は小児歯科学会報告の線分析・角度分析結果を用いた。【結果】頭蓋の大きさに対して上顎・下顎の前後径の大きさを評 価の指標として N-S:A'-Ptm'(FH 平面投影):Cd-Gn の距離の比を求めた。11 歳 0 か月男子の標準値は 1:0.70:1.62,10 歳 8 か月女子の標準値は 1:0.68:1.60 であるのに対して,調査対象の男子の個々のデータはそれぞれ 1:0.70:1.42,1: 0.66:1.54,1:0.67:1.57 であり,女子は 1:0.59:1.53,1:0.72:1.41 であった。唇顎裂も併発した 1 例は上下顎ともに 小さく前歯部反対咬合を呈していた。他の 4 例は相対的上顎前突であり,2 例では再び骨延長術を受けていた。【結論】下 顎骨延長術後,顎顔面骨格は順調に成長を見せるものの元来持ち合わせた個体差によると思われる多様な経過を示した。 例数が少ないので統計的な評価はできないが,頭蓋に対する上顎の大きさはほぼ標準であるのに対し,下顎はすべての例 で標準を下回った。乳幼児期での骨延長は,咬合に対する影響の予測は困難であり,残った不調和に対して矯正歯科治療 は必須と考えられた。

O-7-4

骨形成不全症を伴った 52 歳女性の下顎前突症患者に対し下顎枝垂直骨切り術を施

行した 1 例

新潟労災病院 歯科口腔外科

○高山 裕司,武藤 祐一

A case of Intraoral Vertical Ramus Osteotomy in Mandibular Prognathism with

Osteogenesis Imperfecta ; 52-year-old female

Department of Dentistry and Oral︲Maxillofacail Surgery, Niigata Rousai Hospital

○Y

UUJI

TAKAYAMA and Y

UUICHI

MUTOH

【緒言】骨形成不全症(以下 OI)は骨の脆弱性を主症状とし,発生頻度は 0.0016~0.005% と言われるきわめて稀な遺伝性 の疾患である。今回,私たちは先天性骨形成不全症を伴う 52 歳,女性の下顎前突症患者に対し下顎枝垂直骨切り術(以 下Ⅳ)を施行し,良好な経過を得られた 1 例を経験したので報告する。【症例】患者;50 歳 女性。初診;2011 年 11 月。 主訴;咬合不全。既往歴;先天性骨形成不全症にて,9 ~ 11 歳:左上腕骨 5 回骨折,13 ~ 18 歳:右大腿骨 5 回骨折,48 ~ 49 歳:胸椎圧迫骨折 2 回。骨密度 YAM46% と低値。現病歴;以前より反対咬合であることを自覚していたが,今回初 めて治療を希望し,某矯正歯科医院受診したところ,外科的矯正治療の適応との診断,当科を紹介された。現症;身長 145cm,体重 35kg。顔貌はオトガイの左側偏位がみられ,overbite -2 mm,overjet -4 mm。セファログラムでは, ANB -2 度だった。CT 所見;下顎枝は薄く,下顎管は左右とも外側皮質骨に癒合していた。臨床診断;顎変形症(下顎 前突症・下顎非対称)。処置および経過;平成 25 年 12 月,52 歳時に両側 IV 施行,移動量は右側 6 mm,左側 3 mm setback,経過良好にて術後 11 日目退院。退院後は,開口訓練と術後矯正治療を継続し,術後 2 年で開口量 36mm, overbite 2 mm,咬合状態良好であり,CT でも骨の治癒良好であった。【考察】OI 患者に顎矯正手術を施行したとの報告 は散見されるが,そのほとんどが下顎枝矢状分割術(以下 SS)である。しかし,SS の固定部には顎運動時に応力が集中 しやすく,過去にはスクリューの破折や緩みが生じたとの報告もあることから術式の選択には慎重にならざるを得ない。 本症例では下顎管の走行のみならず,下顎小舌が下顎枝後縁から十分離れており,近位骨片の幅を十分に確保し,接触面 積を大きくすることが可能と考え,IVRO を選択したが,骨片固定装置に付随する応力集中が避けられる点からも SS より 優れていると考えられた。

(3)

2

日目︶

O-7-5

顎変形症手術を施行した顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの 1 例

1)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻展開医療科学講座 顎口腔再生外科学,2)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医 療科学専攻展開医療科学講座 歯科矯正学

○川崎 貴子

1)

,大場 誠悟

1)

,藤村 裕治

2)

,三浦桂一郎

1)

,南里篤太郎

1)

,吉田 教明

2)

,朝比奈 泉

1)

A case of facioscapulohumeral muscular dystrophy with facial deformity

1) Department of Regenerative Oral Surgery, Unit of Translationall Medicine, Graduate School of Biomedical Sciences, Nagasaki

University , 2)Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Unit of Translationall Medicine, Graduate School of Biomedical

Sciences, Nagasaki University

○T

AKAKO

KAWASAKI

1)

, S

EIGO

OHBA

1)

, Y

UJI

FUGIMURA

2)

, K

EI-ICHIRO

MIURA

1)

, T

OKUTARO

MINAMIZATO

1)

, N

ORIAKI

YOSHIDA

2)

and I

ZUMI

ASAHINA

1)

【緒言】顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は,主に顔面,肩甲部,肩,上腕部の筋力を進行的に低下させる常染 色体優性遺伝性疾患である。顔面筋が障害されると閉眼力低下や口唇閉鎖不全などを来たし,ミオパチー顔貌といわれる 独特の顔貌を呈する。今回われわれは,外科矯正手術を目的に受診し,術前の精査で FSHD と診断された患者に対して, 下顎枝矢状分割術を施行し良好な結果を得た 1 例を経験したので報告する。【症例および経過】患者は 32 歳の女性。咬合 不全,口唇閉鎖不全を主訴に当院矯正歯科を受診し,顎変形症の診断のもと 2 年前から術前矯正治療を開始した。側貌は convex type であり,右側上顎大臼歯部の欠損およびそれに伴う右側下顎大臼歯部の挺出を認め,前歯部開咬を呈してい た。顔面表情筋や口輪筋などの動きの制限が認められたため,鎖骨頭蓋異骨症や Anderson 症候群などの全身関連性疾患 が疑われたが,種々の検査により否定された。その後,左上腕二頭筋の針筋電図での筋原性変化があり,筋生検の結果よ り FSHD の臨床診断を得た。医科各科への十分なコンサルトのうえ,全身麻酔下で SSRO を施行した。現在術後 3 年経過 しているが,骨格的に安定しており,咬合も補綴処置により再構成されており良好な状態を保っている。顔面表情筋や口 輪筋などの筋力回復は認められず,自力での口唇閉鎖は不能であるが,FSHD の症状の増悪は認めていない。【考察】筋 ジストロフィーには様々なタイプがあり,今回われわれが経験した FSHD は筋ジストロフィーの大半を占めるデュシェン ヌ型などの性染色体劣性筋ジストロフィーと比べると症状は軽度である。手術による FSHD の増悪が危惧されたが,現在 新たな顔面筋の運動障害はなく咬合も安定しており経過良好である。今回,筋ジストロフィーのタイプによっては顎変形 症手術の支障にならないことが示唆された。引き続き厳重な経過観察を継続している。

O-8-1

外科的矯正治療後の顔貌予測システムの臨床的評価

1)徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔顎顔面矯正学分野,2)六甲アイランド甲南病院 歯科口腔外科

○阿部 直樹

1,2)

,黒田 晋吾

1)

,古谷 昌裕

2)

,田中 栄二

1)

Clinical assessment of date-based facial prediction system for orthognathic surgery

1)Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate

school, 2)Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Rokko Island Konan Hospital

○N

AOKI

ABE

1,2)

, S

HINGO

KURODA

1)

, M

ASAHIRO

FURUTANI

2)

and E

IJI

TANAKA

1)

【目的】われわれは,外科的矯正治療を行った 400 例の術前および術後顔貌のデータベース(DB)と顔認証システムを利 用して,術前の正貌および側貌の顔面写真から,術後の顔貌予測を行うソフトウェアを新たに開発した(OrthoForecast, ミウラ,広島)。今回,本ソフトウェアの精度検定を行い,臨床での有用性について検討した。【方法】研究対象として DB から無作為に抽出した,顔面非対称症例(非対称群),骨格性Ⅱ級症例(Ⅱ級群),骨格性Ⅲ級症例(Ⅲ級群)の各群 15 症例を用いた。正貌において鼻翼,口角,顎角など 9 つの特徴点と左右口角を結んだ口角線と左右顎角を結んだ顎角 線,側貌において頰部,口唇,オトガイ下点など 12 の特徴点と眼点,上唇および軟組織 B 点による軟組織突出度を定義 し,OrthoForecast による予測顔貌と実際の術後顔貌の近似性を定量的に評価した。さらに 37 名の被験者が予測顔貌と実 際の術後顔貌を視認にて比較し,“同じ”から“別人”まで 5 段階に評価した。【結果】予測顔貌と術後顔貌における特徴 点の位置の違いは,非対照群の正貌で 3.1±1.4mm,側貌で 2.9±0.8mm であった。同様にⅡ級群の正貌では 2.7±0.9mm, 側貌で 2.1±1.6mm,Ⅲ級群の正貌では 1.8±1.2mm,側貌では 1.7±1.0mm であった。また全ての計測角における予測顔貌 と実際の術後顔貌の差は 1.0°以内であり,有意差は認めなかった。これらのことから,いずれの群の正貌,側貌において も良好な予測顔貌が得られていたと考えられる。また視認による比較では,50% 以上の画像が“同じ”または“よく似て いる”,と評価されたことから,主観的にも高い評価が得られていた。【結論】OrthoForecast は,外科的矯正治療の術後 顔貌予測において高い精度を持ち,臨床的に有用と考えられる。

(4)

2

日目︶

O-8-2

下顎骨後方移動による手術前後の軟組織変化

九州歯科大学健康増進学講座 顎口腔機能矯正学分野

○福留 由貴,一田 利道,野代 悦生

The change of soft tissue following mandibular setback surgery

Department of Health Promotion, Division of Orofacial Functions and Orthodontics, Kyushu Dental University

○Y

UKI

FUKUDOME, T

OSHIMICHI

ICHIDA and E

TSUO

NODAI

【目的】近年,外科的矯正治療の技術が進歩し,骨格的な不調和の是正のみならず,術後の安定した咬合の構築や審美的 な改善が計られるようになった。これまでにも手術前後の軟組織について多くの研究がされているが,術前と術後 6 か月, あるいは術後矯正治療終了時との比較がほとんどであり,術前から術後の比較的短期間の軟組織変化についての報告は少 ない。今回われわれは術前から術後 3 か月までの軟組織の厚み変化について検討を行ったのでここに報告する。【方法】九 州歯科大学附属病院矯正歯科所蔵の資料のうち,2008 年 2 月から 2011 年 4 月にかけて当病院にて両側下顎枝矢状分割術 を行った骨格性下顎前突症患者 30 例(男性 13 名,女性 17 名)の側面頭部 X 線規格写真を用いた。撮影時期は術前(以 下 T1),術後 1 週(T2),術後 3 か月(T3)であった。通法に従ってトレースし,T1 から T4 までの重ね合わせを行い硬 組織上および軟組織上の計測点を設定しその距離を算出した。また T1 時の値を基準とし,T2,T3,T4 時の変化を求めた。 【結果】A 点における変化は T1 から T2,T2 から T3,T3 から T4 においてそれぞれ +2.0%,-4.1%,-0.5%,上顎中切 歯間歯槽突起最前点では-2.5%,-9.0%,+1.4%,下顎中切歯間歯槽突起最前点では +34%,-19%,-1.0%,B 点では +8.0%,-11%,+0.4%,オトガイ部最前方突出点では +16%,-3.0%,+1.0% となった。【考察】術前から術後 1 週におい ては下顎骨上の大きな変化があるがその変化率には差が見られた。また術後 1 週から術後 1 か月においては口唇周囲で減 少しているが,オトガイ部では減少率は小さく,術前から術後 3 か月を通じて下顎中切歯間歯槽突起最前点およびオトガ イ部最前方突出点では術前よりも有意に大きかった。以上により各治療期間での軟組織変化は部位ごとにその変化は異な ることが示唆された。

O-8-3

非接触型三次元曲面形状計測装置を用いた顎矯正手術前後の外鼻形態の変化に関す

る検討

国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科

○高鍋 雄亮,黒 川  仁,田山 道太,丸 岡  豊

Study for changes of the nose figure following orthognathic surgery, using

three-dimensional laser light scanner

Division of Dentistry/Oral and Maxillofacial Surgery, National Center for Global Health and Medicine

○Y

USUKE

TAKANABE, H

ITOSHI

KUROKAWA, M

ICHITA

TAYAMA and Y

UTAKA

MARUOKA

【目的】顎矯正手術前後の顔面軟組織変化は,側面頭部 X 線規格写真や正貌規格写真の重ね合わせなどを用いて二次元的 に評価されている。CT を用いる方法もあるが,X 線被爆の問題や再現性の観点から様々な問題点が指摘されてきた。今 回われわれは,非接触型三次元曲面形状計測装置 VOXELANⓇを用いて,当科にて顎矯正手術を行った患者に対し外鼻形

態変化の評価を行った。【症例】対象は上下顎骨形成術(Le Fort Ⅰ型骨切り術と下顎枝矢状分割術)および下顎骨形成術 (下顎枝矢状分割術)を施行した患者のうち同意の得られた 37 例である。Le Fort Ⅰ骨切り術では全例で alar base cinch

suture が施された。術前と術後約 3 か月のデータの解析,顔面形態の重ね合わせを行い,鼻翼幅径,鼻翼基部幅,鼻周 長,鼻高の形態的変化の検討を行った。鼻周長は鼻尖を通る鼻翼間距離とし,全ての解析は VOXELANⓇ付属ソフトの 3D Survey にて行った。【結果】37 例の内訳は,下顎骨形成術単独症例が 22 例,上下顎骨形成術症例が 15 例であった。 下顎骨形成術単独での平均変化量は,鼻翼幅径-0.22mm,鼻翼基部幅-0.002mm,鼻周長 +0.028mm,鼻高 +0.33mm で あり,外鼻形態の変化はほとんど見られなかった。上下顎骨形成術においては鼻翼幅径 +2.65mm,鼻翼基部幅 +2.05mm, 鼻周長-0.37mm,鼻高-0.48mm と鼻の広がりは認めるものの,鼻高,鼻周長に大きな変化はなかった。【結語】三次元 曲面形状記憶装置 VOXELANⓇは X 線被爆がなく簡便に撮影でき,高い精度で顔面の三次元的変化の解析に有用であると 考えられた。本技術は 2015 年 1 月より厚生労働省先進医療 A の届出済みである。

(5)

2

日目︶

O-8-4

Le Fort Ⅰ型骨切り術を用いた上下顎同時移動術を施行した顎変形症患者の外鼻形

態変化について

1)広島中央矯正歯科,2)宮本形成外科

○鶴田 仁史

1)

,宮本 純平

2)

,宮本 義洋

2)

Nasal morphology changes after undergoing two-jaw surgery combined with Le Fort Ⅰ

osteotomy

1)Hiroshima Central Orthodontic Office, 2)Miyamoto Plastic and Reconstructive Surgery

○H

ITOSHI

TSURUDA

1)

, J

UNPEI

MIYAMOTO

2)

and Y

OSHIHIRO

MIYAMOTO

2)

【緒言ならびに目的】Le Fort Ⅰ型骨切り術を用いた上下顎同時移動術によって,咬合のみならず顔貌の改善がもたらされ るものの,手術後の外鼻変形は整容的観点からは無視できない。そこで,鼻尖と鼻翼形態の変化について検討した。【資 料および方法】Le Fort Ⅰ型骨切り術を用いた上下顎同時移動術を施行した症例のうち,治療前後の資料の不備がない 36 例について,正貌ならびに側貌顔面写真から鼻尖と鼻翼形態の変化を,また,側貌顔面写真から治療前後の顔の傾斜の変 化を評価した。さらに,上顎骨の移動様式,唇顎口蓋裂の有無,主たる診断名などとの関連についても検討した。【結果】 上顎骨の移動様式は,左右的傾斜の改善 30 例,左右方向の回転 17 例,前方移動 14 例,後方部の挙上 12 例,時計方向へ の回転 3 例,後方移動 1 例であり,多くがこれらの組み合わせによるものであった。主たる診断名は,下顎前突が 16 例, 顔面非対称が 14 例,開咬が 4 例,下顎後退が 2 例であり,このうちには唇顎口蓋裂が 4 例,顔面骨多発骨折後変形治癒 が 2 例,Hemifacial hyperplasia が 1 例含まれていた。術後に,鼻尖が上向いた(upturned)のは 28 例,垂れ下がった (drooping)のは 2 例であった。鼻翼が横に広がった(widening)のは全例で,両側性が 31 例,片側性が 5 例であった。 鼻翼が挙がった(elevation)のは 18 例で,すべて片側性であった。また,治療後に顔が上向きになった(upward)のは 17 例,下向きになった(downward)のは 10 例であった。術後に生じた外鼻変形に対して鼻翼幅縮小術を施行した症例 もあった。【考察】主たる診断名や上顎骨の移動様式にかかわらず,術後外鼻変形は少なからず生ずることや,修正手術 の可能性についても,患者には事前に説明しておくことが肝要である。

O-9-1

当院における顎矯正手術の周術期口腔衛生管理

専従歯科衛生士の立場から

1)洛和会音羽病院 京都口腔健康センター,2)洛和会音羽病院 口腔外科

○藤井 玖美

1)

,横尾 嘉宣

1,2)

,高嶌 森彦

1,2)

,森  宏 樹

1,2)

,今井裕一郎

1,2)

,横江 義彦

1,2)

,飯塚 

忠彦

1,2)

Perioperative oral hygiene management for orthognathic surgery in Rakuwakai Otowa

Hospital

1)Kyoto Oral Health Care Center, Rakuwakai Otowa Hospital, 2)Oral and Maxillofacial Surgery, Rakuwakai Otowa Hospital, Kyoto

○K

UMI

FUJII

1)

, Y

OSHINOBU

YOKOO

1,2)

, M

ORIHIKO

TAKASHIMA

1,2)

, H

IROKI

MORI

1,2)

, Y

UICHIRO

IMAI

1,2)

,

Y

OSHIHIKO

YOKOE

1,2)

and T

ADAHIKO

IIZUKA

1,2)

【目的】洛和会音羽病院では,平成 24 年 4 月より口腔外科専従歯科衛生士が配属され,口腔外科入院手術症例に対する周 術期口腔衛生管理の全てを手がけている。中でも顎変形症関連手術は約 4 割を占めており,矯正装置や顎間固定等による 特殊な口腔内に対し,歯科衛生士による介入は必要不可欠である。入院前から退院後までの保清指導に専従歯科衛生士が 重要な役割を担っており,本発表では,当院での周術期口腔衛生管理と歯科衛生士の業務内容について報告する。【対象 および方法】平成 24 年 4 月から平成 26 年 12 月までに当院における入院手術症例は 656 例,うち顎変形症関連手術(抜 釘を含む)患者 265 例に介入を行った。術前検査時から歯科衛生士が口腔衛生指導を行うとともに,口腔外科医との連携 を開始する。入院時にはスケーリング施行と共に術後の保清指導を行い,感染予防の重要性を理解して頂く。また入院中 は患者自身で創部を軟毛ブラシ(ホームケア歯ブラシⓇ),矯正装置の部分には磁気口腔洗浄機(ハイドロフロス)で清 掃をして頂き,退院後の生活上での指導も行う。さらに,手術前カンファレンスへの参加,周術期管理の流れをマニュア ル化することで手法や手順の統一化を行っている。【結果および考察】歯科衛生士が術前検査の早い段階から介入を行う ことにより,退院後も患者自身での自己管理が可能となり,術後 2 週間での口腔内環境は良好に保たれている。歯科衛生 士間での情報共有を行うことで患者の状況に合った指導が可能であり,感染予防にも大きな役割を担っていると考える。 一方,目視が難しい創部の清掃に対する視覚媒体の使用や歯科衛生士の担当制など,指導方法のさらなる改善を要すると 考える。【結論】顎矯正手術の専従歯科衛生士による周術期口腔衛生管理は,良好な口腔衛生状態の獲得,維持に貢献で きると示唆される。

(6)

2

日目︶

O-9-3

下顎枝矢状分割術でのデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムの至適投与量は?

ランダム化比較試験

東京医科大学医学部 口腔外科学分野

○虻川 東嗣

A randomized trial to identify the most effective dose of dexamethasone in sagittal split

osteotomy

Tokyo Medical University Department of Oral and Maxillofacial Surgery

○H

ARUTSUGI

ABUKAWA

【目的】下顎枝矢状分割術(以下 SSRO)は,短期的ではあるが術後に口腔顔面の浮腫,疼痛,およびオトガイ神経麻痺を 生じる。術直前のステロイドの点滴投与はこれらを軽減することが報告されている。しかし,ステロイドの至適投与量は 明らかではない。本研究の目的は,SSRO における浮腫,開口障害,およびオトガイ神経麻痺を軽減させるために最も効 果的なデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(Dex)の投与量を明らかにすることである。【対象と方法】対象は東京 医科大学病院歯科口腔外科・矯正歯科にて両側 SSRO を施行し,倫理委員会の指針により研究参加の同意の得られた 24 名とした。除外基準は SSRO に加えてオトガイ形成術が行われた患者および SSRO と同時に智歯の抜歯が行われた患者と した。研究方法は二重盲検法によるランダム化比較試験とした。くじ引きにより無作為に Dex 16mg 群,Dex 8 mg 群, 非投与群の 3 群に振り分け,手術開始直前に静脈内点滴投与した。評価項目は,a)術前と比較した術後 24 時間の CT に よる咬筋の厚さの変化,b)術前と比較した術後 24, 48, および 72 時間の開口量の変化,c)術前と比較した術後 48 時間の Semmes-Weinstein pressure aesthesiometer によるオトガイ神経の知覚変化,d)術前と比較した術後 24 および 48 時間 の白血球数,好中球数,リンパ球数,および CRP の変化とした。統計解析は ANOVA(Bonferroni's multiple comparison test)により行った。【結果】24 名の患者の解析を行った。統計的内訳は Dex 16mg 群 8 例,Dex 8 mg 群 8 例,非投与群 8 例であった。検討項目 a)の CT による術後 24 時間の咬筋の厚さの増加率は平均で,16mg 群(24.6%),8 mg 群(35.3%), 非投与群(30.8%)で,16mg 群が非投与群に比較して有意に低値であった(P < 0.05)。検討項目 b,c,d は各群におい て統計学的有意差を認めなかった。【結論】SSRO の術後において Dex16mg の術前静脈投与が,咬筋の浮腫を軽減させる ことが明らかになった。

O-9-2

顎矯正手術を施行した精神遅滞(MR)患者 2 例の周術期管理について

1)東京歯科大学 口腔病態外科学講座,2)東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座,3)東京歯科大学 口腔病態外科学講座

○福田有美香

1)

,濱田 裕嗣

2)

,菅原 圭亮

3)

,村松恭太郎

2)

,渡 邊  章

2)

,高野 正行

2)

,齊 藤  力

2)

柴原 孝彦

2)

Perioperative care of orthognathic surgery with mental retardation

report of two

cases

1)Department of Oral Pathobiological Science and Surgery, Tokyo Dental College, 2)Oral and Maxillofacial Surgery, Tokyo Dental

College, 3)Department of Oral Pathobiological Science and Surgery, Tokyo Dental College

○Y

UMIKO

FUKUDA

1)

, Y

UJI

HAMADA

2)

, K

EISUKE

SUGAHARA

3)

, K

YOTARO

MURAMATSU

2)

, A

KIRA

WATANABE

2)

, M

ASAYUKI

TAKANO

2)

, C

HIKARA

SAITO

2)

and T

AKAHIKO

SHIBAHARA

2)

顎矯正手術では術後に開口制限や食事制限など患者が受けるストレスは大きいため,精神遅滞(MR)患者に対する顎矯 正手術は健常者と比べてより安全で周到な周術期管理が求められる。しかし MR 患者では咬合安定により患者の QOL 向 上および家族の負担軽減を図ることができるため,以前から顎矯正手術を行ってきた。今回,術前から医療従事者間で周 術期管理計画を綿密に立案・施行し良好な経過を得た 2 例を経験したので報告する。【症例および結果】症例 1:23 歳男 性。低体重児で生下。既往歴は下垂体性小人症,貧血,白血球減少症,呑気症,痛風,高尿酸血症。現在は福祉施設に勤 務し家庭生活における自立がみられ中等度 MR と推測した。下顎前突症・顔面非対称に対して下顎枝矢状分割術を施行, 強固に骨接合をした。ライン類の自己抜去,多動,気分障害などの有害事象が危惧されたため,母親付添で入院し,紙お むつやコミュニケーションボードを使用した。ストレスと急性呼吸障害のリスクを軽減するため術後は顎間牽引のみとし た。術前より顎間ゴムの使用を習慣化させたため開口制限はスムーズであった。術後に口腔清掃不良を認めた。咬合は安 定し,呑気症が軽減した。症例 2:17 歳男性。脳室周囲白質軟化症で軽度 MR を示した。下顎後退症に対して下顎枝矢状 分割術を施行,強固に骨接合をした。症例 1 の経験および患者の指示の理解力を考慮し,紙おむつとコミュニケーション ボードは使用する必要がなかった。それ以外は症例 1 同様の管理を施行した。術後の咬合は安定し,咀嚼可能なものが増 えた。【考察】危惧すべき有害事象に対し,術前に周術期管理計画を立案・施行したことで有害事象の発現を軽減できた。 MR 患者に対する顎矯正手術は患者や家族にとって有意義なものであり,今後増加すると予想される。MR の程度や個人 差に合わせた周術期管理計画を立案・施行することが重要であると考える。

(7)

2

日目︶

O-9-5

術前 CT 画像により中頭蓋窩くも膜囊胞が確認された 1 例

1)明海大学歯学部 病態診断治療学講座 口腔顎顔面外科学分野 1,2)防衛医科大学校病院 歯科口腔外科,3)明海大学歯学部 形態機 能成育学講座 歯科矯正学分野

○川口 祥子

1)

,田草川 徹

1)

,吉川 秀明

2)

,龍田 恒康

1)

,竹 島  浩

1)

,川尻 朱美

3)

,真野 樹子

3)

須田 直人

3)

,嶋 田  淳

1)

,田村 暢章

1)

A case of the middle cranial fossa arachnoid cyst was confirmed by preoperative CT

image

1)Meikai University School of Dentistry, Department of Diagnostic and Therapeutic Sciences, Division of First Oral and Maxillofacial

Surgery, 2)National Defence Medical Colledge Hospital Department of Oral and Maxillofacial Surgery, 3)Meikai University School of

Dentistry, Department of Human Development and Fostering, Division of Orthodontics

○S

HOKO

KAWAGUCHI

1)

, T

ORU

TAKUSAGAWA

1)

, S

HUMEI

YOSHIKAWA

2)

, T

SUNEYASU

TATSUTA

1)

, H

IROSHI

TAKESHIMA

1)

, A

KEMI

KAWAJIRI

3)

, M

IKIKO

MANO

3)

, N

AOTO

SUDA

3)

, J

UN

SHIMADA

1)

and N

OBUAKI

TAMURA

1)

【緒言】くも膜囊胞とは,くも膜にできた被膜の中に髄液が局所的に貯留している状態であり,その発症原因は不明で,先天的な 疾患と考えられている。また,無症状に経過することが多いために偶然発見される事が多いとされている。発生頻度は人口の 0.1 ~ 0.3 % といわれ,稀な疾患のひとつである。今回,顎変形症の診断のもとに撮影した CT 画像から中頭蓋窩くも膜囊胞を認めた 1 例を経験したので,その概要を報告する。【症例】21 歳女性。既往歴,家族歴ともに特記事項なし。骨格性下顎前突症に対して 両側下顎枝矢状分割術を施行予定であった。術前に撮影した CT 画像から今回,左中頭蓋窩付近に law density area を認めた。 近脳神経外科に診療情報提供を依頼し,中頭蓋窩くも膜囊胞との診断を得た。付近の白質に非特異的白質病変も認め,脳波によ り精査を行うも異常所見は無く経過観察となった。2014 年 5 月 20 日,全身麻酔下に両側下顎枝矢状分割術を施行した。術中,術 後に異常所見等認めず,経過良好のために退院となった。【考察】くも膜囊胞は,頭痛,けいれん,また視神経圧迫による視力障 害などの神経圧迫症状,水頭症をきたすものは頭蓋内圧亢進症状(頭痛,嘔吐など)を認める事もある。今回は無症状であった が,くも膜囊胞ではてんかん発作が 7.5% ~ 33% の頻度で認められる点から周術期管理に慎重な対応を迫られる。また,基本的 には周術期管理を行う上で,頭蓋内圧:Intracranial Pressure(以下,ICP)の急激な上昇を避ける配慮が必要となる。今回,全 身麻酔中では,1.N2O は血管拡張作用により ICP 上昇因子と成り得る 2.揮発性吸入麻酔薬は,脳酸素代謝率を低下させるが, 脳血流量を増加させる 3.Hyperventilationにすることで ICPは低下する 4.循環血液量を考慮して,高浸透圧製剤の使用 5. 頭位を水平位ではなくヘッドアップ気味に維持する。以上の項目について麻酔時を主に文献的考察を行ったので報告する。

O-9-4

トラネキサム酸投与が顎矯正手術の術中出血量に及ぼす影響 

第 2 報

東京都立大塚病院 口腔科

○市川 秀樹,吉田 秀児,齊藤シオン,伊藤 亜希,田中 潤一

The effect of tranexamic acid on blood loss in orthognathic surgery part2

Department of Stomatology, Tokyo Metropolitan Ohtsuka Hospital

○H

IDEKI

ICHIKAWA, S

HUJI

YOSHIDA, S

HION

SAITO, A

KI

ITO and J

UN-ICHI

TANAKA

【目的】トラネキサム酸は抗プラスミン作用を有する合成アミノ酸で,線溶亢進が関与すると考えられる出血に対し広く 使用されている。術中の使用に関しては,人工関節置換術や冠動脈バイパス術などで出血量を軽減させる報告がみられる が,顎矯正手術における報告は少ない。そこでわれわれは,顎矯正手術時にトラネキサム酸を投与することで術中出血量 を軽減できるか否かについて検討し第 23 回日本顎変形症学会学術大会で報告した。今回,二重盲検によるランダム化試 験を開始し,投与量の検討を行ったのでその概要を追加報告する。なお,本研究は当院倫理委員会で承認を受けており, 利益相反はない。【方法】対象は,2006 年 1 月から 2014 年 12 月までに当科で顎矯正手術を行った患者のうち唇顎口蓋裂 などの先天奇形を伴わない 230 例で,その内訳は下顎骨形成術 146 例,上下顎骨形成術 84 例であった。2013 年 4 月から は本臨床試験に同意が得られ,適応基準を満たした症例に対し封筒法を用い,トラネキサム酸投与群と非投与群に分類し た。投与群では加刀時に 10mg/kg ないし 20mg/kg を静脈投与し,総出血量(ml)および手術時間あたりの出血量 (ml/min)をそれぞれの群で比較検討した。【結果】平均総出血量は,20mg/kg 投与群では下顎骨形成術:83.9±55.5ml, 上下顎骨形成術:228.7±137.8ml であった。10mg/kg 投与群においては下顎骨形成術:115.0±71.4ml,上下顎骨形成術: 232.9±105.2ml となり平均値としては 20mg/kg 投与群の方が低値であるも両群間で有意差を認めなかった。しかし,手術 時間あたりの出血量は 10mg/kg 投与群に比べ 20mg/kg 投与群の方が減少している傾向を示した。【考察】加刀時の投与 量が 10mg/kg ではトラネキサム酸の効果が十分に出現しないと考えられた。今後は,トラネキサム酸投与のタイミング に関して検討を継続する予定である。

(8)

2

日目︶

O-9-6

顎矯正手術後の SIRS 発症に関連する因子の検討

国立国際医療研究センター病院 歯科口腔外科

○黒 川  仁,高鍋 雄亮,田山 道太,丸 岡  豊

Clinical study for factors related to systemic inflammatory response syndrome after

orthognathic surgery

Department of Dentistry and Oral Surgery, National Center for Global Health and Medicine

○H

ITOSHI

KUROKAWA, Y

UUSUKE

TAKANABE, M

ICHITA

TAYAMA and Y

UTAKA

MARUOKA

【目的】全身性炎症反応症候群(SIRS : systemic inflammatory response syndrome)は,侵襲の種類にかかわらず,サイ トカインを中心とした免疫―炎症反応による非特異的な全身生体反応を把握するための臨床概念である。臨床的に簡便・

迅速な診断が可能であるため,重症患者のスクリーニングとして広く浸透している。顎矯正手術は,完成された術式が多 く患者に対する外科的侵襲は比較的少ない。しかしながらその一方で,敗血症に移行するような重篤な病態に至る報告も 存在する。そこで今回われわれは,当科で施行した顎矯正手術における SIRS の発生状況およびそれに関連する因子につ いて検討したので報告する。【方法】当科で 2007 年 1 月より 2014 年 12 月までの計 8 年間に施行した顎矯正手術 157 例の うち,代表的な術式である下顎枝矢状分割術(以下,SSRO)84 例,Le Fort Ⅰ型骨切り術(以下,L Ⅰ)+SSRO 48 例, 計 132 例を対象とした。なお,馬蹄型骨切り術,オトガイ形成,抜歯術など他の術式を併用した症例および術中に予期せ ぬアクシデントがおきた症例も除外した。性別,手術時年齢,手術時間,術中出血量,麻酔方法,ドレーン留置の有無な どを検討項目とし,術後の SIRS の発症状況を調べた。【結果】SIRS は全症例中 24 例(18.2%)で発症しており,SSRO 群 では 11 例(13.1%),LⅠ+SSRO 群では 13 例(27.1%)であった。非 SIRS 発症群と比較し,SIRS 発症群では術中出血量 は多く,男性の占める割合が高かった。低血圧麻酔を施行した症例は全 13 例あり,そのうち SIRS 発症例は 1 例(7.7%) のみであった。【考察】SIRS 発症と関連する因子を把握することで,術後重篤な合併症の予見性を高めることができる。 低血圧麻酔症例では,SIRS 発症割合は低下していたことから,低血圧麻酔が SIRS 発症予防の一助となる可能性が示唆さ れた。今後もより安全な手術施行のため,更に検討を行う予定である。

O-10-1

Mandibular autorotation concept (Ⅰ) 

下顎を切らない上下顎同時移動術

1)横浜市立大学附属市民総合医療センター 歯科・口腔外科・矯正歯科,2)横関矯正歯科クリニック,3)東京医科歯科大学大学院医歯学

総合研究科 咬合機能矯正学分野,4)横浜市立大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能制御学分野

○大 村  進

1)

,横関 雅彦

2)

,藤田 紘一

1,3)

,村田 彰吾

1)

,高 須  曜

1)

,山下 陽介

1)

,渋谷 直樹

1,3)

本田 康二

3,4)

,臼見 莉沙

3)

,米満 郁男

3)

,島崎 一夫

3)

,岩井 俊憲

4)

,小野 卓史

3)

,藤 内  祝

4)

Mandibular autorotation contept (Ⅰ) 

Maxillo-mandibular repositioning without mandibular osteotomy

1)Department of Oral and Maxillofacial Surgery/Orthodontics, Yokohama City University Medical Center, 2)Yokozeki Orthodontic

Clinic, 3)Orthodontic Science, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University, 4)Department of Oral and Maxillofacial Surgery,

Yokohama City University Graduate School of Medicine

○S

USUMU

OMURA

1)

, M

ASAHIKO

YOKOZEKI

2)

, K

OICHI

FUJITA

1,3)

, S

HOGO

MURATA

1)

, H

IKARU

TAKASU

1)

,

Y

OSUKE

YAMASHITA

1)

, N

AOKI

SHIBUTANI

1,3)

, K

OJI

HONDA

3,4)

, R

ISA

USUMI

3)

, I

KUO

YONEMITSU

3)

,

K

AZUO

SHIMAZAKI

3)

, T

OSHINORI

IWAI

4)

, T

AKASHI

ONO

3)

and I

WAI

TOHNAI

4)

【目的】変形性顎関節症(OA)や開咬を伴う骨格性上顎前突症の外科的矯正治療において,進行性下顎頭吸収(PCR)等 が原因と考えられる術後の後戻りの防止は,顎変形症治療における重要な課題となっている。Mandibular autorotation concept (MAC) とは,術後の下顎の後戻りや PCR 発症の防止を目的に,Mandibular autorotation (MA)を計画的に利 用して上下顎を目的の位置に移動する,骨格性上顎前突症の治療概念である。手術の設定に際しては,上顎の上方移動に 伴って下顎が,設定した回転中心(RC),RC からの距離・回転角度および下顎下縁平面角によって決められた回転軌道上 に移動することが基本となる。MAC では顎態の違いにより Le Fort Ⅰ(LF Ⅰ)型骨切り術単独,LF I に上顎前方歯槽部 骨切り術もしくは両側下顎枝矢状分割術を併用することで,下顎ないし関節頭に対する外科的侵襲を最小限にした手術が 可能となる。【症例】手術時年齢 39 歳の女性。前歯で噛めないこと,下顎の後退感を主訴に来院。下顎頭吸収に伴う high angle と下顎骨の時計回りの回転を認めた。cephalometric prediction と 3D-CT による予測から上顎骨移動量は,上方に 5 mm,後方に 3 mm であった。咬合器上で下顎を MA させると,FMA は 3° 減少,OJ および OB は適切な値となった。 上顎骨の移動固定後に,術前に計画した位置に下顎がオートローテーションし,自然なタッピングが可能であることを確 認した。【結果および考察】MA によって骨格性上顎前突症を改善する試みは 1980 年代より報告が散見されるが, cephalometric prediction 通りの下顎移動が得られないとの報告が多く,一般的な手術方法としての概念が確立されていな い。MAC は,下顎の移動を計画的に達成することで術前の設定通りの顎間関係獲得が可能とすることから,術後の後戻 りが懸念される骨格性上顎前突症に対する有用な治療概念の一つになると思われる。

(9)

2

日目︶

O-10-2

当科における馬蹄形 Le FortⅠ型骨切り術の骨切線設計の工夫

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔顎顔面外科学分野

○西山 明慶,吉岡 徳枝,伊原木聰一郎,銅前 昇平,岸本 晃治,志 茂  剛,佐々木 朗

Modification of Le FortⅠ with horseshoe osteotomy in our department

Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences

○A

KIYOSHI

NISHIYAMA, N

ORIE

YOSHIOKA, S

OICHIRO

IBARAGI, S

HOHEI

DOMAE, K

OJI

KISHIMOTO,

T

SUYOSHI

SHIMO and A

KIRA

SASAKI

近年,馬蹄形 Le Fort Ⅰ型骨切り術の適用により,開咬やガミースマイル症例において上顎骨の大きな上方移動も容易に 得られるようになった。一方,本術式においては,臼歯の歯根損傷や口蓋粘膜損傷など,通法の Le Fort Ⅰ型骨切り術に は見られない偶発症を考慮する必要がある。当科ではこの点に留意し,偶発症を回避するために,三次元 CT 画像診査や 三次元実態模型により症例毎の解剖学的特徴を把握することに加え,上顎歯列骨片の移動様式に応じて馬蹄形骨切り線の 設計や手技に若干の工夫を加えている。今回われわれは,これらの工夫について症例を提示し報告する。(1)開咬症例に 対する後方小骨片馬蹄形骨切り開咬症例は後方部では,大きな圧下量を必要とするが前方ではほとんど圧下を必要としな い症例が多い。この場合,口蓋横断部を通常より後方に置く事が可能である。口蓋矢状方向の骨切り線が短縮される結 果,歯根損傷のリスクが軽減される。さらに口蓋の後方は口蓋横断部の骨も薄く骨切りが容易である。(2)上顎カント症 例に対する片側馬蹄形骨切り片側のみの大きな圧下が必要な上顎カント症例においては両側を馬蹄形にする必要はない。 圧下側のみに馬蹄形骨切を加え,非圧下側は鼻腔底骨切りで対応可能であるので歯根損傷リスクが一側のみに半減される 利点がある。(3)ガミースマイル症例に対する前方骨削除先行馬蹄形骨切り前歯部の圧下量が多いガミースマイル症例で は鼻腔容積減少を避けるために口蓋横断部をより前方に置く必要がある。歯槽部近くの口蓋骨は厚みがあり口蓋横断部の 骨切は盲目的操作になりがちである。そこで,まず歯列側の骨を圧下量を目安に削除し,視野を確保するとともに残存骨 を薄くでき,横断部の骨切をより容易にする事が可能である。以上のように症例に応じて若干の工夫を加えることで,安 全に予定通りの移動を達成することが可能であった。

O-10-3

前歯部歯肉骨膜の血行を温存した Le Fort Ⅰ型骨切り術

1)北里大学医学部 形成外科・美容外科学,2)池本形成外科・美容外科,3)ふかわ矯正歯科,4)いなげ矯正歯科

○山崎 安晴

1)

,池本 繁弘

2)

,杉本 孝之

1)

,武 田  啓

1)

,府川 俊彦

3)

,稲毛 滋自

4)

Le Fort I osteotomy that the blood supply of anterior teeth gingiva periosteum was left

1)Department of Plastic & Aesthetic Surgery School of Medicine, Kitasato University, 2)Ikemoto Plastic & Aesthetic Surgery Clinic, 3)

Fukawa Orthodontic Office, 4)Inage Orthodontic Office

○Y

ASUHARU

YAMAZAKI

1)

, S

HIGEHIRO

IKEMOTO

2)

, T

AKAYUKI

SUGIMOTO

1)

, A

KIRA

TAKEDA

1)

,

T

OSHIHIKO

FUKAWA

3)

and S

HIGEYORI

INAGE

4)

上顎歯列幅径の調整目的に Le Fort Ⅰ型骨切りと同時に上顎正中を二分割する場合や,上顎の突出の改善目的に Le Fort Ⅰ型骨切りに上顎前歯部歯槽骨切りを併用する場合など上顎骨に多分割が必要とされる症例が増えている。そのような多 分割症例では如何に前歯部の血行動態を確保するかが重要であるとわれわれは考えている。当科では上顎多分割症例にお いては 2011 年から前方歯肉骨膜を残す切開で Le Fort Ⅰ型骨切り術を行っている。今回,歯科矯正治療が終了した 2 症例 を報告する。【症例 1】初診時年齢 43 歳男性で,前歯部で噛めないことを主訴に紹介来院した。側貌は convex type でオ トガイの後退を認めた。手術は 44 歳時に上記の切開法で Le Fort Ⅰ型骨切り術に併せて上顎骨正中を二分割し,上顎第一 大臼歯間を 5.0mm 拡大した後に上顎大臼歯 5.0mm 挙上した。また上顎第一大臼歯と第二大臼歯には頰側歯槽骨コルチコ トミーを追加した。下顎は上顎大臼歯部の挙上によって反時計回りにオートローテーションさせ,オトガイ形成を行っ た。術直後から前歯部や臼歯部の血行動態に問題なく,術後 4 年の現在,骨癒合や咬合も安定して経過している。【症例 2】 初診時年齢 17 歳男性で上顎前歯の突出と長貌を主訴に紹介来院した。側貌は convex type でオトガイの後退を認めた。 手術は 19 歳時に同様の切開で Le Fort Ⅰ型骨切り術に併せて上顎両側第一小臼歯抜去後,前歯部歯槽骨切りにて上顎前歯 部を後退させた。上顎は梨状孔縁で 10mm,右上顎結節部 7 mm,左上顎結節部 4.5mm それぞれ挙上した。下顎骨は下顎 枝矢状分割術で最終咬合を確立した。術後 2 年,骨癒合や咬合等特に問題なく経過している。【結語】Le Fort Ⅰ型骨切り 術に際し前方歯肉骨膜を残す切開法は術視野の確保に工夫を要するが,多分割手術時の前歯部に安定した血行動態を確保 するため必要な手技と考える。

(10)

2

日目︶

O-11-1

Molar intrusion and Jaw deformity

1)Smile-with Dental Clinic, Seoul, Korea, 2)SAS Orthodontic Centre Ichiban-Cho Dental Office

○Unbong BAIK

1)

and Junji SUGAWARA

2)

Recently, as the advance of orthodontic miniscrew, molar intrusion became possible. The molar intrusion can be used not only for partial intrusion of extruded molars for the prosthesis or implant but also for total intrusion of molar for open bite correction. If open bite decreases by molar intrusion, total facial height decreases and chin point can be advances in retrognathic patient. The skeletal change can be achieved by orthodontic teeth movement.

【Objective】To search the relapse rate and dento alveolar changes after mandibular molar intrusion.

【Materials and methods】9 adult open bite patients who successfully treated by mandibular molar intrusion. The amount of intrusion, relapse, and dentoalveolar changes were measured on cephalometric radiographs, panoramic radiographs, and dental casts. Result : the average amount of intrusion of the mandibular first and second molars was 1.7mm and 2.8mm, respectively. The average relapse rates were 27.2% at the first molars and 30.3% at the second molars. There were no significant changes in crestal bone heights, clinical crown length, or root length. Counterclockwise rotation of the mandible and decrease of anterior facial height were observed during treatment. 【Conclusion】molar intrusion is valid modality to correct open bite. The relapse rates were 27.2% at the first molars

and 30.3% at the second molars. There were no significant changes in crestal bone heights, clinical crown length, or root length.

O-10-4

サージェリーファースト・アプローチによる顎変形症治療の経験

1)自治医科大学 形成外科,2)銀座アベニュー矯正歯科

○菅原 康志

1)

,加持 秀明

1)

,野寺 義典

2)

Surgery first approach in orthognathic treatment

1)Jichi medical univestiy, department of plastic surgery, 2)Ginza avenue orthodontic clinic

○Y

ASUSHI

SUGAWARA

1)

, H

IDEAKI

KAMOCHI

1)

and Y

OSHINORI

NODERA

2)

【目的】サージェリーファースト・アプローチ(以下 SFA)は,2006 年ごろよりアジアを中心に始められた顎変形症治療 のアプローチで,その特徴は術前矯正を行わないことにある。われわれの施設では 2009 年より SFA を開始し,現在まで に 82 症例に行ってきた。今回,経験症例の患者背景と治療期間に関する検討を行ったので,有用性と問題点について報 告する。【症例】SFA を施行し,矯正治療の完了した 32 症例を対象とした。内訳は,女性 27 例,男性 5 例であり,手術 時年齢は,25.2 歳(18 ~ 38 歳)であった。疾患の内訳は,下顎前突 18 例,上顎前突 6 例,上下顎前突 7 例,顔面非対称 1 例であった。施行術式は,Le Fort I 型骨切術(以下 L1)5 例,下顎矢状分割術(以下 SSRO)18 例,L1 および SSRO 9 例であった。【結果】術前矯正期間はすべて 1 か月以内であり,術後矯正期間は 17.5 か月(4 ~ 49 か月)であった。術 後矯正治療の通院回数では,15.9 回(4 ~ 64 回)であった。術後に矯正装置を付けた症例が 4 例あった。妊娠や患者側の 理由による術後矯正の一時中断が 3 例あり,これらを除くと術後矯正期間は 14.3 か月(4 ~ 32 か月),通院回数は 12.2 回(4 ~ 28 回)であった。再手術を行った症例はなかった。【考察】SFA は 1.術前矯正に伴う咬合および審美性の悪化の防止, 2.審美の早期改善,3.全矯正期間の短縮,を利点として有す顎変形症治療のアプローチの一つである。一方で,術後骨 固定の安定性が得られにくいため,後戻りのリスクや,歯軸傾斜の修正前で正確な手術計画を立てにくいといった問題点 もある。しかし軟部組織条件を考慮した無理のない骨移動を計画することと,1.25mm 厚の強固なプレートを用いた骨固 定により,矯正困難となるような後戻りはなく最長 28 回の術後矯正で治療を終了できた。

(11)

2

日目︶

O-11-2

下顎枝矢状分割術後の早期プレート抜去症例の骨癒合に対する検討

1)東京医科大学 口腔外科学分野,2)文京ながはま矯正歯科,3)すずき矯正歯科

○古賀 陽子

1)

,斉藤美紀子

1)

,河野 通秀

1)

,虻川 東嗣

1)

,長濱 浩平

2)

,鈴 木  巌

3)

,近津 大地

1)

Evaluation of osseous healing in patients with early removal of fixed plates after SSRO

1)Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Faculty of Medicine, Tokyo Medical University, 2)Bunkyo Nagahama Orthodontic

Clinic, 3)Suzuki Orthodontic Clinic

○Y

OKO

KOGA

1)

, M

IKIKO

SAITO

1)

, M

ICHIHIDE

KONO

1)

, H

ARUTSUGI

ABUKAWA

1)

, K

OHEI

NAGAHAMA

2)

,

I

WAO

SUZUKI

3)

and D

AICHI

CHIKAZU

1)

【目的】下顎枝矢状分割術(SSRO)における近位骨片の復位に関しては議論の多いところである。われわれの施設では, ミニプレートを用いた近位骨片の固定を行っている。しかし,術後に若干の咬合偏位や顎関節症状を生じる場合があり早 期にプレートを抜去する症例を経験している。今回われわれは,SSRO 施行後の早期プレート抜去症例の骨癒合に関する 検討を通常の症例群と比較検討した。2010 年 4 月~ 2014 年 12 月の間に,顎変形症と診断された 89 例に対して SSRO 施 行後に早期プレート抜去術を行った 15 例のうち検討可能な 7 例を対象とした。症例の内訳は,両側 SSRO を施行した 6 例, 片側に SSRO,反対側に下顎枝垂直骨切り術を施行した 1 例であった。対照群には両側 SSRO を施行しプレート抜去を行っ ていない 7 例を用いた。【対象と方法】近位骨片と遠位骨片の骨癒合状態を,術前と術後 6 か月の CT 画像(水平断)を用 いて CT 値を計測した。また,近位骨片の外側への跳ね上がりを術直後と術後 6 か月の CT 画像(水平断)上で,AP 線 に対して両側第二大臼歯遠心歯頸部間の垂線を下顎骨幅の距離として計測した。CT 解析ソフトは OsirixⓇを用い,統計に は t 検定を用いた。【結果】早期プレート抜去率は 16.9 %,プレート抜去までの平均日数は 16.4 日であった。近位骨片と 遠位骨片の骨癒合部における CT 値は,対照群が 115HU,プレート抜去群は 217HU と高値を示したが有意な差は認めな かった。また,近位骨片の跳ね上がりは,対照群は-0.74mm,プレート抜去群は-0.37mm と 2 群間に有意な差は認めな かった。プレート抜去後は通常のゴム牽引による咬合誘導を行い全例良好な咬合関係が得られた。【結論】術後の早期プ レート抜去は骨癒合遅延や骨片の跳ね上がりを生じることのない,術後矯正による歯への負担を軽減できる有用な方法の 一つであると考えられた。

O-11-3

下顎枝矢状分割術と下顎枝垂直骨切り術における骨性治癒過程の経時的比較検討

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔腫瘍治療学分野

○六反田 賢,松下 祐樹,山田 慎一

Comparison of healing process in the Sagittal splitting ramus osteotomy and Intraoral

vertical ramus osteotomy

Department of Clinical Oral Oncology, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences

○S

ATOSHI

ROKUTANDA, Y

UUKI

MATUSHITA and S

HIN-ICHI

YAMADA

【目的】下顎枝矢状分割術(SSRO)は,安定性が高いとされるが,下顎神経知覚異常の出現が多い手術法である。一方, 下顎枝垂直骨切り術(IVRO)は,知覚異常の出現が少ない手術法とされる。しかし,SSRO と比較し治癒過程や安定性に 劣るとされ,近位骨片跳ね上げによる下顎角部の突出も問題とされる。そこでわれわれは,術後骨性治癒過程の比較と IVRO 後の近位骨片跳ね上げについて,経時的に観察した。【方法】対象は 2012 年 7 月から 2014 年 9 月までに長崎大学附 属病院口腔外科において,SSRO あるいは IVRO が施行された症例のうち,術後 CT を経時的に撮影できた 11 例とし,画 像上で検討を行った。移動量は SSRO で 3.5 ~ 8 mm,IVRO で 3 ~ 12mm であった。【結果】IVRO 術後の骨切り部の治 癒過程は,仮骨による骨片同士の連続性が認められ,さらに仮骨の添加が進んだ後に,周囲骨と同様の厚みに吸収され, 皮質骨へ置換する様が認められた。一方,SSRO 術後の骨切り部の治癒過程は,海綿骨部と皮質骨部のいずれも徐々に仮 骨を認めるようになり,その後周囲骨と同様に変化していく様を認めた。SSRO と IVRO 術後の骨切り部の変化は,いず れも術後 3 か月の同時期に仮骨様 CT 像が出現し,術後 6 か月で骨片間隙が仮骨様 CT 像で満たされ,術後 1 年で周囲骨 と同様の CT 像となったことからいずれの術式を選択した場合にも大きな差異はない可能性が示唆された。IVRO 術後の 近位骨片跳ね上げの実態:術直後から近位骨片内側と遠位骨片外側がほぼ全面で接していた。全ての症例について,近位 骨片跳ね上げによる骨の突出は認められなかった。【結論】SSRO,IVRO とも骨性治癒過程に大きな差異はない可能性が 示唆された。IVRO 術後の近位骨片跳ね上げについて,考慮する必要性は低いことが示唆された。

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