国語科(小学校第5学年)
単元名 新聞記事を読み比べて、書き手の意図を考えよう
単元目標 【国語への関心・意欲・態度】 新聞記事の構成に着目して、さまざまな話題の記事を進んで読んだり、記事の書き方 から書き手の意図を考えたりしようとする。 【読む能力】 〇 同じ出来事を扱った新聞記事を、見出し、リード、本文、写真を比較しながら読み 比べることによって、それぞれの書き手の意図を読み取ることができる。 〇 新聞記事には書き手の意図(読み手に伝えたいメッセージ)があることを意識し、 記事の書き方を吟味しながら新聞を読むことができる。 【言語についての知識・理解・技能】 語句の意味や微妙な書き方の違いを理解することができる。 単元を構想するに当たって 4年生までに、読み比べを通して、書き手の立場から内容を読み取る学習をしてきた。5 年生では、発達段階も考慮し、「表現から書き手の意図を読み取る」という読み手の立場から の学習になる。この系統性を意識させながら学習させたい。 本単元では、「書き手の意図を読み取る力」を身に付けさせるために、記事の書き方に表れ た2社の新聞記事を比較しながら読み、それぞれの書き手の意図についての意見交換を行う。 指導計画(全7時間) (授業時間) 学習活動 指導上の留意点 第1次 (2) ○新聞の特徴や工夫を理解し、有 用性を実感する。 ○各社の記事の書き方の違いか ら課題意識をもつ。 ・複数社の新聞を教室に置き、新聞に親しむ 境づくりをする。 ・1日分の新聞の全面や同じ日に発行された 複数社の新聞の一面を掲示し、新聞の構成 や各社の違いを意識できるようにする。表現の違いから書き手の意図を読み取る授業
本事例の言語活動のポイント
① 実際の新聞記事を活用して、見出し、リード、本文などに着目させることで、新聞 記事の構成を捉えさせる。 ② 同じ出来事を扱った2社の新聞記事を読み比べることで、それぞれの書き方の違い から書き手の意図(読み手に伝えたいメッセージ)を読み取らせる。【資料 1 学習計画「書き手の意図を読み取る」】 第2次 (4) ○見出し、リード、本文、写真な どの共通点・相違点から書き手 の意図を考え、話し合う。 ・見出し、リード、本文、写真について、共 通点や相違点にマーキングをして、書き表 されている内容を比較しやすくする。 第3次 (1) ○各自が選んだ記事を読み比べ、 書き手の意図を読み取る。 ・書き表されていることの違いから、書き手 の意図を考え、話し合いをさせる。 指導の実際 1 系統性を意識する(第1次) 本単元では、2年生以降の読み比べ教材を振 り返らせながら、自分の選んだ記事について複 数社の記事を読み比べることが、学習の目的で あることを知らせた。このことにより、この単 元で身に付けることは何か、そのために具体的 に何をすればよいのかが明らかとなり、児童に 学習に対する目的意識をもたせることができ た。 実際の学習計画は、資料1のように示した。 計画を立てる前に、新聞記事の書き方の特徴を 示したので、その構成を基に読み進めていくよ うになっている。 2 言語活動の充実を図る(第2次) (1) A社とB社の記事を読み比べる 第2次は、新聞記事を「見出し」「写真」「リ ード」「本文」ごとに読み比べ、最後に記事 全体から書き手の意図を考える学習の流れ とした。資料2は、「リード」の読み比べで ある。主な手立てとして、同じ部分と異なる 部分を色分けさせた。そして、異なる部分に 着目し、そこから書き手のどのような意図が 感じられるかをノートに記入するようにし た。このノートを基に話し合い、書き手の意 図に迫るようにした。 読み比べをしていく中では、A社とB社の 書き方や表現の仕方の違いが分からない児 【資料2 リード文の読み比べのノート】
よろこび」など、大まかな捉えはできていた(資料3)。しかし、根拠となる言葉の押さ えが曖昧であると感じられたので、話し合いを通して書き手の使っている表現に再び着 目させ、読みを確かなものにした。 (3) 書き手の意図について意見交流をする 事前に児童の考えを確認したところ、写真を中心とする読みが多く見られた。写真だ けでなく、見出し、リード、本文の表現についても、書き手が何に注目し、どんなこと を伝えようとしているかなどを読み取るように指導した。また、意見を述べるときは、 根拠となる文章表現を挙げるように指示した。事前に、話し合いのキーワードを「A社: 風物詩」「B社:象徴的存在」と設定し、書き手によるアユの捉えの違いが分かるように した。 以下は、その時間の板書である。A社・B社の記事に使われている言葉が「風物詩」 「象徴的存在」と結び付いている。書き手の意図を表現の面からも明らかにすることが できた。 【資料4 黒板の中央にキーワードを書き、左右で比較しやすいようにした板書】 話し合いの前 の一人読み 【資料3 写真と本文の表現とを結び付けて】
【本時の振り返り「A社とB社の書き手の意図をまとめよう」】 A社は、本文にアユを風物詩と書いてあるから、アユは多摩川の初夏の季節らしい魚の 代表と考えている。初夏の季節を強調していると思います。B社は、多摩川の自然を楽し む人々や多摩川の自然や生き物を取りもどそうと努力した人々が中心で、アユは、自然が もどったことが分かる魚として出てきている。人々ががんばったから自然がもどったと伝 えたい。 3 学びの確認をする(第3次) 第3次は、学習内容を定着・活用させるとともに、単元全体の振り返りを行い、学んだ ことを意識化する段階である。 本次では、自分の選んだ複数社の新聞記事を読み比べて、その意図を捉える活動を行っ た。児童Aは、「郡上市でコキアという木が色づき、一面を赤く染めている」ことを取り上 げた記事を選び、2社の記事を読み比べた。 以下の資料5に示すように、A社は、人々が楽しんでいることを中心に書いていること、 B社は、コキアそのものの美しさを書いていることを、文章の表現や写真などから分析を することができている。第2次での学習を第3次での読みに生かすことができていること が分かった。 最後に、児童は単元の振り返りを書いた。単なる感想にならないよう、自分自身の言葉 で学習したことのまとめを書くように指示をした。振り返りをしっかりとさせることで、 これまでの学習を確認させ、定着を図ることができた。 【単元全体の振り返り】 <新聞記事の勉強をして身に付いたこと> ・同じことでも書く人によって意図(伝えたいこと)がちがう。 →ちがうところに気を付けて読むといい。 A社 笑顔 も染める 赤色 写真に保 育園児が 入っ てい た り 、 文 の 中 に保育園児 の 様 子 が 書かれてい た りする ことから、 だ れでも楽 しめることを伝えた い。 「笑顔 も 染める」 とい うの は、 人の 表 情 がこめら れて いる。 B社 まあるい 秋 コキアの 木につい てく わ し く 書 か れ て いる。 キ ャプショ ン に 「燃えるよ う な 赤 に 染まった コキア」 と書 いたり、 観 光客の 「 赤 くて きれ い」 と い う 言 葉も入れてあって、 コ キア の 美 しさを伝え たい。 【資料5 児童Aの新聞の分析結果(抜粋)】 キャプション・会話文に着目 している。 写真と文章表現に着目して いる。
考 察 ○ 「新聞記事を読み比べ、書き方に表れた書き手の意図について話し合う」という単元を 貫く言語活動を設定したことにより、学習が進むにつれて、言葉や文章、写真などの表現 の違いに注目し、書き手がなぜこの言葉や表現などを使ったか、その意図を考える態度を 身に付けることができた。 ○ 1単位時間あるいは単元全体において振り返りの時間を確保し、文章で書き表すことに よって、学習を深めることができた。 ○ 言語活動の設定は適当であったと判断するが、児童の個人差を考慮して、読み比べる具 体的な方法については改善の余地がある。 ○ 書き手の意図を読み取る学習は、新聞記事を資料として扱う社会科や総合的な学習の時 間などでも活用できる内容である。今後、国語科との関連を図りながら、他教科・領域にお いても、内容や要旨を的確に捉える力を伸ばしていきたい。