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では 実際の産婦人科学会のガイドラインのシューマでございますが 左側の白い四角のところに適応疾患が書いてありますが 適応がありますと患者さんの状態として 全身状態の良好 持続出血がない 体重 45kg以上 採血時 Hb 値 10g/dL 以上を目安としております 先ほどの自己血採血の自己血学会ガイド

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Academic year: 2021

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Q2 貯血式自己血の産科領域における適応疾患は?

東京都立墨東病院 輸血科

 藤 田   浩

墨東病院、藤田です。 産科疾患適応に関しましては、昨年の日本産婦人 科学会及び関連団体から出されました産科危機的出 血ガイドラインに、その適応疾患が記載されており まして、それを参考にしていただきたいと思います。 その内訳は、1つはまれな血液型、2つ目は大量 出血のリスクが高い疾患となっております。大量出 血のリスクが高い疾患と申しますと、産科疾患の中 では前置胎盤、低置胎盤が多くを占めております。 その他、巨大子宮筋腫合併、帝王切開既往、癒着胎 盤の疑い、羊水過多、巨大児誘発分娩、多胎などで ございます。 右のスライドには前置胎盤を示してありますけれ ども、正常では胎盤は子宮口、子宮の出口のところ に付着するものではなくて、それをふさぐように胎 盤が付着する位置異常を一番右側のように全前置胎 盤、部分的、辺縁的に付着しているものが、部分あ るいは辺縁的付着と呼ばれています。 低置胎盤というものは、いろいろな定義がありま 東京都立墨東病院 輸血科 藤田浩 平成23年10月8日 10回東京都輸血療法研究会 スライド1

大量出血をきたす可能性がある

産科疾患

産科危機的出血ガイドラインより 貯血式自己血採血の適応 前置胎盤の分類 大量出血のリスクが高い疾患 前置胎盤・低置胎盤 巨大子宮筋腫 帝王切開既往 癒着胎盤疑い 羊水過多 スライド2 (座長:田中先生) それでは、2題目「貯血式自己血の産科領域における適応疾患は?」についてお話いただきます。 産科の危機的出血ではガイドラインが作成されるなどして注目されていますが、産科領域での自己血も 最近増えてきています。また産科では特別な配慮をして自己血を採らなければいけない事情もあり、ガイ ドラインの中でも触れられていますが、そのような点も含めてご発表をお願いしたいと思います。東京都 立墨東病院輸血科の藤田浩先生ですが、最近都立病院の中で精力的に輸血医療に携わっている先生です。 どうぞよろしくお願いいたします。

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では、実際の産婦人科学会のガイドラインの シューマでございますが、左側の白い四角のところ に適応疾患が書いてありますが、適応がありますと 患者さんの状態として、全身状態の良好、持続出血 がない、体重45㎏以上、採血時Hb値10g/dL以上を 目安としております。 先ほどの自己血採血の自己血学会ガイドラインで は11g/dLとなっておりますけれども、妊婦の場合 は生理的貧血等がございまして、その基準が1少な くなっているのが特徴であります。それを満たしま すと、妊娠28週を目安に鉄剤が投与され、出産予定 日の5週前から貯血を開始いたします。 一 回 の 採 血 量 は200 ~ 400mL、 施 設 に よ っ て 300mLという施設もありますけれども、当院では 400mL採っております。採血の前・中・後のバイタ ルサインに注意し、先ほどの説明にありましたよう に、血管迷走神経反射の有無に注意、配慮いたしま す。 最後に、この産科のガイドラインの特徴でありま す採取時にはノン・ストレステストを実施すること が望ましいと記載されております。 ノン・ストレステストというのは、胎児心拍監視 のことで、胎児の心拍をモニタリングしながら採血 を行うということが望ましいと明記されておりま す。その後、日本輸血学会の東北支部例会で発表さ れたものですけれども、自己血貯血時の血管迷走神 経反射にともなって胎児除脈を合併した症例が報告 されております。今日、急きょ、その胎児心拍をつ けましたが、別の方ですが、この方もVVRを起こ しまして、血圧が回復した30秒後に子宮収縮ととも に胎児心拍が、150から70、80に低下したもので、 3分ほどでもとに戻った例です。 以上、産科的な疾患摘要とその安全性に関する手 順についてご説明いたしました。

ノン・ストレステスト(NST)

自己血貯血時に血管迷 走神経反射と胎児徐脈を 合併した1症例 藤島直仁ら 日本輸血細 胞治療学会雑誌 565):657. 2010 スライド4

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それに関しまして、当院の事例をご紹介しながら、 その疾患について適応、安全性について考えてみた いと思います。 当院の事例ではガイドラインの前と後で比較して おります。まず採血する前にヘモグロビン値を比 較しましたけれども両者ともヘモグロビン10.6g/dL で、ガイドライン施行後の採血ヘモグロビン値に関 する条件は変わっておりません。 ただ変わったことはガイドライン適応疾患を明確 にしていただいたことによって赤字に示されている ように子宮筋腫合併と双胎、双子の割合が3~4% だったのが、両方とも20%に増加している点が挙げ られます。もちろん前置胎盤、低置胎盤はパーセン テージでは下がっているようにみえますけれども、 症例数の関係で、多い疾患の位置はゆるがないこと になっております。 これはガイドライン前後の月平均の症例数および 採血数を示しております。 先程の発表では、自己血の症例数が減っていると いうことでありますけれども、産婦人科のガイドラ インが出て以降は、当院では、他の疾患の採血数は 減ってきているのですけれども、産科的な疾患は増 加しております。 近隣の産婦人科医院から双子といえば自己血に適 応、例えば例を出しますとそのようなことで、紹介 患者数が増えてまいりまして、月平均でいきますと

産科危機的出血ガイドラインの影響

(1)採血前ヘモグロビン値

採血前Hb(g/dL) ガイドライン前 2005年8月- 2010年3月

10.6±0.06

ガイドライン後 2010年4月- 2011年7月

10.6±0.07

ガイドラインの採血前ヘモグロビン値:Hb 10g/dL以上 スライド5

産科危機的出血ガイドラインの影

響(2)適応疾患の占める割合

ガイドライン前 ガイドライン後 前置胎盤 低置胎盤 まれな血液型 癒着胎盤 子宮筋腫合併 双胎 その他 57% 13% 8% 4% 4% 3% 11% 35% 13% 3% 0% 21% 23% 8% スライド6

産科危機的出血ガイドラインの影響

(3)症例数・採血回数

月次症例数 月次採血数 月次症例数 ガイドライン前 2005年8月- 2010年3月 2.0±0.2 ガイドライン後 2010年4月- 2011年7月 3.9±0.6* 月次採血数 ガイドライン前 2005年8月- 2010年3月 3.6±0.4 ガイドライン後 2010年4月- 2011年7月 6.3±0.9* *:p<0.05 vs. ガイドライン前 *:p<0.05 vs. ガイドライン前 スライド7

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採血場所もノン・ストレステストを行うというこ ともありまして、従来輸血科のドナーチェアーで 採っていたものを病室のベッドで採ることになりま した。往診で採血するようになっております。 左側には血管迷走神経反応の発症率をみたもので すけれども、ドナーチェアーでみますと、むしろ姿 勢が固定されてしまうこともありまして0.5%、病 室に伺うことによってガイドライン後は101回の採 血の事例ですけれども0%となっております。 もう1つ産科の自己血の問題点としましては、廃 棄血が比較的この疾患に比べて多いということが挙 げられますけれども、ガイドライン前の場合は採血 単位数対使用単位数の比は0.8程度、2割ぐらい廃 棄があることがあるですが、ガイドライン後は0.7 若干増えております。この内訳は、双胎等で使われ ずにすんだということで例に挙げられるように、他 の疾患でも使わずにすんだという例が比較的多いこ とであります。 「同種血の使用はどうなのか?」ということで、 これも試験例ですけれども、約5年間の症例で158 例の胎盤位置異常で、貯血群と非貯血群、それぞれ 前置胎盤と低置胎盤のような胎盤の位置異常につい て、同種血併用率、使用率をみたものであります。 どちらの胎盤位置異常も、非貯血群ですと16.7%か ら24%同種血を輸血していることがわかります。逆 に裏返してみると、70から80%は、輸血しないです んでいるということも意味します。 これに対して貯血群は、それに比べて同種血輸血 併用率が低いのですけれども、中には低置胎盤が前 置胎盤より多く同種血をしているという実態もあり まして、なかなか同じ胎盤異常でも、同種血を併用 する臨床的な意味合いというものは、なかなか単純 では理解できない部分があると考えております。

産科危機的出血ガイドラインの影響

4)血管迷走神経反応・使用数

血管迷走神経反応 使用単位数/採血単位数 比 ガイドライ ン前 ガイドライ ン後 採血姿勢 採血場所 半座位 輸血科 臥位 病室 採血後 補液 有 有 血管迷走 神経反応 0.5% 1/207 0/101 0% 使用単位数/ 採血単位数 ガイドライン前 0.79±0.03 ガイドライン後 0.68±0.05* *:P=0.07

同種血使用

同種血 使用率 前置胎盤 貯血群 非貯血群 1.2%(1/86) 24%(12/50) 低置胎盤 貯血群 非貯血群 6.2%(1/16) 16.7%(1/6) 平成17年8月-平成23年7 月までに、当院で手術を 受けた胎盤位置異常連 続158例(前置胎盤136例、 低置胎盤22例)を対象 非貯血例では、貯血例に 比較して、同種血使用率 は高い。 非貯血例は、警告出血が あり、緊急手術例が多い。 スライド9

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適応疾患というのは、産婦人科学会等で定められ ているものがありまして、まれな血液型、大量出血 のリスクの高い疾患がございます。 全身状態が良好で、Hb10g/dL、ノン・ストレス テストを実施しながら採血することが求められてお ります。 その中で自己血廃棄症例や同種血併用例の検証が 今後とも必要で、適応疾患別の総貯血量の明記がな いことが、どれくらい採っていいかということも定 められておりませんし、採血の姿勢、臥位がいいか、 側臥位がいいかということも、VVRの発症を抑制 する立場から今後検討していかなければいけないこ とだろうと思っております。 以上です。

まとめ

ガイドラインに沿った適応疾患を選択する。 大量出血のリスクが高い疾患 前置胎盤・低置胎盤、巨大子宮筋腫、帝王切開既往 癒着胎盤疑い、羊水過多、巨大児誘発分娩、多胎 まれな血液型 全身状態良好・持続出血なし 採血前Hb 10 g/dL以上、体重45kg以上 NST実施採血 自己血廃棄症例や同種血併用例の検証が必要 適応疾患別 総貯血量が明記がない スライド10 (座長:田中先生) 藤田先生、ありがとうございました。 産科疾患での貯血式自己血について、ガイドラインのご紹介から先生の施設での実際のやり方などを簡 潔にお示しいただきました。ではフロアーの方からご質問ありますでしょうか? では、私の方から質問をさせていただきます。先生の施設では、採血姿勢と採血場所をちょっと変えら れて、VVRの発生率が下がったということでしたが、採血場所を変えたのはノン・ストレステストをや るために変えたということでしょうか? それとも別の理由でしょうか? (藤田先生) やはり、ノン・ストレステストは特殊な機械ですので、産科病棟でシステム的な環境も配慮して病室で 行う必然性が生じました。 患者さんとして楽なメリットとしては、輸血科に来ずして採ることができ、終わったあともゆったりと した姿勢でいられるということがメリットだと感じております。 (座長:田中先生) 採血姿勢もドナーチェアーの半座位から臥位に変えたということもありましたけれども、これは産科の 方はおなかが大きいので、臥位にすることで負担が減り、楽でより安全性が上がるというふうに考えてよ ろしいのでしょうか?

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の重さで低血圧の原因になるといわれておりますので、多少なりいろいろ工夫をしながら、患者さんの症 状をみながら姿勢を決めておりますけれども、それはなかなか産婦人科医でない自分にとってはいつも難 しく感じているところです。 (座長:田中先生) はい、ありがとうございます。 他にフロアーの方から、ご質問のある方はいらっしゃいますか? (座長:松﨑先生) 産婦人科の方にも採血した後に輸液はされるのですか? (藤田先生) ガイドラインの前後とともに、自分が輸血科で採血した患者さんは全部で500mL点滴しています。 漏れた方には水分の追加をお願いしています。 (座長:松﨑先生) それと、NSTの心拍のデータもお出しいただきましたけれども、採血中にもしものことが起こると、 採血を中止することになりますか?どう対応されますか? (藤田先生) 低下したら中止なのですが、まず低下する前に必ずVVR疑いのバイタルサインの変化がありますので、 ちょっとでも症状が出たら、気持ち悪いとか、身震いするとか、顔色がおかしいとか、そういう事前に察 知して採血を止めて点滴をするようにしております。 胎児心拍が、先ほども示した通り1例、初めてなのですが、やはり母体の変化が先であります。 (座長:松﨑先生) 胎児というのは母体に守られているので、母体に何か起こらないと胎児に何かは起こらないということ で、先に母体の方に変化がくるだろうということですね。 (藤田先生) 血圧が下がる前に感知してあげて対処することが大事だろうと思っております。 (座長:田中先生) では、最後に、私からもう1つだけ質問させてください。 最後のスライドでもお示しになられましたが、自己血の適応症例や貯血量について、検証が必要という ことですが、同じ病態、例えば前置胎盤、低置胎盤などでも、かなり出産時の出血量が違っていて、平均 値を出しても、それが個々の患者さんにどれだけ当てはまるか判断が難しいことがあります。そこで先生 の施設では、総貯血量をどのように決めていらっしゃるのか。 また、自己血の適応症例については産科の先生からの依頼に基づいてということなのか、あるいは事前

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に打ち合わせをしておいて輸血科と産科の間で、こういう症例では採るとか採らないとか、何か取り決め 等があるのか。 2点教えていただきたいと思います。 (藤田先生) まず2番目の方からお答えしますが、自己血の適応は産科医に依存していまして、その症例を通じて採 血前ヘモグロビンとか、採血量についての意見を上申することはあります。 2点目の適応疾患の総採血量に関しまして、まず廃棄量が多いのは双胎が主かなと思いまして、産婦人 科の部長と相談して、全例双胎を採るのではなくて、胎盤位置異常を合併したものとか、リスクが高いも のに絞ってはどうかというディスカッションを今いたしております。 癒着胎盤のない胎盤位置異常に関しましては、800ccが妥当な線ではないかと思って、当院ではやって おりますけれども、今後、産科の方のリスク指針が明確になって、これは1200がいいとかですね、これは 400でいいとかということが、産科の進歩とか治験が積み重なった段階で、また総採血量を検討していき たいと思っております。 (座長:田中先生) ありがとうございました。 本日のQ&Aは、牧野先生には「貯血式自己血輸血は本当に安全か? 安全性確保のために行うことは 何か?」と、藤田先生には「貯血式自己血の産科領域における適応疾患は?」をまとめていただきました。 特に牧野先生から、膨大なデータを簡潔にお示しいただけて、皆さんの日々のお仕事にこれからお役立て にいただけるものがあったのではないかと思います。 また産科的な自己血については検討すべき点がありますけれども、現時点ではガイドラインにそってや るというのが安全性を確保するということにつながると思います。 それでは、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。 ありがとうございました。

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