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ート調査を行い 離島における情報通信の基盤整備の状況や活用の現状 利用する上での課題等につ いて調査した 3ヒアリング調査アンケート調査で得られた回答でトピックス的な課題や意向を示したり すでに先進的な取り組みを進めている市町村や教育委員会 医療 福祉関連機関 情報通信関連事業者を対象に それらをよ

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要約(調査の概要)

1.調査の背景と目的

1-1.背景と目的

沖縄の離島地域における情報通信基盤整備については、ブロードバンド環境の整備や南北大東地区 等への海底光ケーブル整備が進められ、小規模離島を除く有人離島のほぼ全域がカバーされてきてい ることに加え、今後 FTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)サービスの整備充実が課題とされている。その一 方で、整備された基盤の利活用に関しては、インターネットの利活用程度にとどまり、情報通信基盤整備 が離島住民の経済的負担を軽減する観点から、離島住民の生活コストや移動コストの低減等にどのよう な効果を生むことができるのかについては十分な検討が行われていない。 本調査では、離島地域において実施された情報通信基盤整備の進捗を確認し、離島地域が本島地 域と比較して経済的に高コスト構造になっていることについて検証、課題を抽出するとともに、島ちゃびの 解消、つまり生活利便性の向上や生活コスト等低減および離島振興に向けた今後の情報通信基盤整備 の方向性や活用方策等の検討を行う。

1-2.対象離島

調査対象は、沖縄振興特別措置法第3条第3号、同法施行令第1条で位置づけられた離島(以下「指 定離島」という)54島のうち、有人離島39島とする。 表 離島類型による分類 圏 域 島 名 島数 “拠”の島 (中核拠点型離島) 宮古島、石垣島 2 “近”の島 (近距離型離島) 伊江島、渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島、津堅島、久高島、伊良部島、 竹富島、西表島、小浜島、黒島 11 “遠”の島 (孤立型離島) 伊平屋島、伊是名島、久米島、粟国島、渡名喜島、北大東島、南大東 島、多良間島、波照間島、与那国島 10 “接”の島 (付属型離島) 野甫島、水納島(本部町)、奥武島、慶留間島、池間島、大神島、来間 島、下地島、鳩間島 9 “微”の島 (極小離島) オーハ島、前島、水納島(多良間村)、嘉弥真島、由布島、新城島(上 地)、新城島(下地) 7

1-3.検討の手順

①各種資料の収集・整理 沖縄振興計画期間中の離島に関する文献、統計資料等の基礎データを収集、集計・整理し、離島に おける情報通信基盤の整備状況や生活コスト等の現状について分析した。 ②アンケート調査 対象離島を有する市町村、教育委員会、医療・福祉関連機関、情報通信関連事業者に対して、アンケ ㈱国建「沖縄における今後の離島振興策に関する調査 報告書」(H23.3)より

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ート調査を行い、離島における情報通信の基盤整備の状況や活用の現状、利用する上での課題等につ いて調査した。 ③ヒアリング調査 アンケート調査で得られた回答でトピックス的な課題や意向を示したり、すでに先進的な取り組みを進 めている市町村や教育委員会、医療・福祉関連機関、情報通信関連事業者を対象に、それらをより掘り 下げ、背景を確認することを目的にヒアリング調査を行った。 ④沖縄振興計画に基づき実施された取組や効果等の検証 上記①各種資料の収集・整理、②アンケート調査、③ヒアリング調査等をもとに、沖縄振興計画に基づ いて実施された情報通信の基盤整備や活用に関する取り組みの成果等について分析した。 ⑤活用方策及び今後の基盤整備の基本方向の検討 上記①各種資料の収集・整理、②アンケート調査、③ヒアリング調査等をもとに、情報通信の活用方策 や基盤整備の方向性、人材確保の展望等について検討した。 ⑥検討委員会の設置 専門家・識者からなる検討委員会を設置し、本調査の進め方および内容について審議した。

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2.離島における情報通信基盤の整備状況

2-1.ブロードバンド環境の現状

ほとんどの有人離島で、ブロードバンド環境が整備されてきたが、前島、オーハ島、水納島の人口 10 世帯以下の離島と、奥武島、大神島、由布島ではブロードバンドサービスは提供されていない。また、 FTTH が使用できる離島は石垣島と宮古島のみであり、離島間での格差がある。 表 ブロードバンド整備状況

2-2.モバイル通信環境の現状

各離島におけるモバイル端末のサービス提供エリアをキャリア・受信最大速度別に示したものであるが、 ※網かけはデータのない島である。 FTTH ADSL 無線方式 CATV 衛星+DSL 備考 伊平屋島 伊平屋村 × ○ × × × H17 野甫島 伊平屋村 × ○ × × × H19 伊是名島 伊是名村 × ○ × × × H17 伊江島 伊江村 × ○ × × × H17 水納島 本部町 × × ○ × × H19 津堅島 うるま市 × × ○ × × H19 久高島 南城市 × × ○ × × H19 粟国島 粟国村 × ○ × × × H17 渡名喜島 渡名喜村 × ○ × × × H17 座間味島 座間味村 × ○ × × × H17 阿嘉島 座間味村 × × ○ × × H18 慶留間島 座間味村 × × ○ × × H18 渡嘉敷島 渡嘉敷村 × × ○ × × H18 前島 渡嘉敷村 × × × × × 久米島 久米島町 × ○ × × × H17 奥武島 久米島町 × × × × × オーハ島 久米島町 × × × × × 北大東島 北大東村 × × × × ○ H19 南大東島 南大東村 × × × × ○ H19 宮古島 宮古島市 ○ ○ × ○ × 他事業で整備済 池間島 宮古島市 × × × ○ × 他事業で整備済 大神島 宮古島市 × × × × × 来間島 宮古島市 伊良部島 宮古島市 × × × ○ × 他事業で整備済 下地島 宮古島市 × × × ○ × 他事業で整備済 多良間島 多良間村 × × × ○ × 他事業で整備済 水納島 多良間村 × × × × × 石垣島 石垣市 ○ ○ ○ ○ × 他事業で整備済 竹富島 竹富町 × ○ ○ × × H18 西表島 竹富町 × ○ ○ × × H19 鳩間島 竹富町 × × ○ × × H19 由布島 竹富町 × × ○ × × 小浜島 竹富町 × ○ × × × H18 黒島 竹富町 × ○ × × × H18 新城島(上地) 竹富町 × ○ × × × H18 新城島(下地) 竹富町 × ○ × × × H18 波照間島 竹富町 × ○ × × × H18 嘉弥真島 竹富町 与那国島 与那国町 × ○ × × × H17 島名 市町村名 平成22年10月末現在 沖縄県「離島関係資料」(H23.1)より作成

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モバイル通信においては、ほとんどの離島で通話に問題はない。しかし、大容量のデータ通信には対応 していない地域・キャリアもある。モバイル通信に関しては民間事業者によって展開してきたこともあり、採 算がとれる見込みのない地域については整備が難しい状況である。しかし、近年はスマートフォンやタブ レットといった移動型端末の利用が増えており、備えつけの情報端末よりも持ち運びできる端末を利用し ての取り組みが適している分野もあることから、離島地域においてもモバイル通信環境の充実が必要にな ってくると考えられる。 表 モバイル端末の受信最大速度別サービス提供エリア ※1Mbps…1 秒間に 1 メガビット(100 万ビット)のデータ通信ができることを表す。 8 ビット=1 バイトなので、125 キロバイト/秒の通信速度ということ。 ※網かけはデータのない島である。 ※集落全てで使用可能:○/集落全てを網羅していないが使用可能:△/使用不可:× 各携帯電話会社 HP より作成 ウィル コム 144kbps 2.4Mbps 9.2Mbps ~ 6.1Mbps 800MHz (mova) 7.2Mbps ~ 14Mbps (FOMA) 14Mbps 14Mbps 42Mbps 7.2Mbps 伊平屋島 伊平屋村 ○ ○ × ○ ○ ○ △ × × 野甫島 伊平屋村 ○ △ × × ○ ○ × × × 伊是名島 伊是名村 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × × 伊江島 伊江村 ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ × △ 水納島 本部町 △ △ × ○ ○ ○ × × × 津堅島 うるま市 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × × 久高島 南城市 ○ ○ × ○ ○ ○ × × × 粟国島 粟国村 ○ ○ × ○ ○ ○ × 渡名喜島 渡名喜村 ○ ○ × ○ ○ ○ × 座間味島 座間味村 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ 阿嘉島 座間味村 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 慶留間島 座間味村 ○ ○ × ○ ○ ○ × × △ 渡嘉敷島 渡嘉敷村 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 前島 渡嘉敷村 ○ ○ × × × × × × × 久米島 久米島町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 奥武島 久米島町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × × オーハ島 久米島町 ○ × × × × × ○ × × 北大東島 北大東村 ○ ○ × ○ ○ ○ × 南大東島 南大東村 ○ ○ × ○ ○ ○ × 宮古島 宮古島市 ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ × ○ 池間島 宮古島市 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ 大神島 宮古島市 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × × 来間島 宮古島市 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 伊良部島 宮古島市 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 下地島 宮古島市 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ 多良間島 多良間村 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × × 水納島 多良間村 ○ ○ × × ○ ○ × × × 石垣島 石垣市 ○ ○ △ ○ ○ ○ △ △ △ 竹富島 竹富町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 西表島 竹富町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 鳩間島 竹富町 × × × × ○ ○ ○ × × 由布島 竹富町 ○ ○ × △ △ △ ○ × × 小浜島 竹富町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 黒島 竹富町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × × 新城島(上地) 竹富町 ○ ○ × × ○ ○ × × × 新城島(下地) 竹富町 ○ ○ × × ○ ○ × × × 波照間島 竹富町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ 嘉弥真島 竹富町 ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ × 与那国島 与那国町 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × △ NTTドコモ 離島名 市町村名 au ソフト バン ク

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3.離島生活の課題の整理

離島地域で生活する際に離島住民の負担の軽減を図り、定住人口の増加に寄与するための課題は 以下のように整理できる。 ①人口・世帯数 多くの離島において、人口減少、高齢化が深刻である。特に高齢層が 50%を超えると、いわゆる限界 集落としてコミュニティの機能維持が困難になるといわれており、人口維持や高齢化対策は多くの離島で 深刻な課題となっている。 人口規模の縮小は、ひとりひとりにきめ細やかなサービスが提供できるようになるというメリットがある半 面、コストの一人当りの負担が大きくなる、コミュニティ・産業活性化を促進する人材が限られる等のデメリ ットもある。 ②医療・福祉 宮古島、石垣島といった大型離島では、医療サービスの充実が進んでいるが、その他の小規模離島 については依然厳しい状況である。定期健診やリハビリ等を受けるために島外へ移動するケースもみら れ、移動にかかる労力やコストが離島住民の負担となっている。とくに高齢者にとって、介護が必要になっ た時点で島を出なければならないことは非常に大きな負担であると考えられる。 医療・福祉環境は、離島の定住促進の面から非常に重要な要素であり、島ごとの医療機関の維持およ び専門サービスへのアクセス向上が大きな課題である。 ③教育・保育 多くの離島において、中学校卒業にともなう進学・就職が人口流出のきっかけとなっている。高校・大学 へ進学した生徒はそのまま島外で就職する率が高く、島内に就職先がないため、島外進学者が就職でリ ターンすることができない状況であると考えられる。 また、アンケート・ヒアリングでは、離島地域においては、部活動の遠征費用や修学旅行等で一度沖縄 本島へ移動した後に県外へ移動するというように、沖縄本島在住者よりも交通費や宿泊費の負担がかか っているという意見もある。島外への進学・就職についても同様で、学費のみならず移動費用や島外で賃 貸する寮やアパートの家賃等も負担となっている現状がある。 一方で、地域において昔ながらの学齢前児童の見守りができることにより、保育所や幼稚園へ通わず 保育料が負担となっていないケースも見受けられる。 ④経済・産業構造 農林水産業に関しては、農業を基幹産業とする離島が多く、島の経済基盤として重要であるとともに沖 縄県内の生産拠点ともなっている。しかし、従事者の高齢化や放棄農地の増加、輸送コスト、販売力の弱 さなどの課題がある。輸送コストや販売力の弱さは伝統工芸産業にもあてはまり、材料・肥料の購入にも 商品の出荷にも搬送コストがかかることが、離島産業の大きな問題となっている。 観光産業に関しては、観光リゾート業が主力産業となっている島も多いが、島に還元される利益が薄い 構造が課題である。また集客や満足度向上のためには、情報発信や交通・宿泊施設などの環境の向上、

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観光メニューの充実なども必要であるが、小さな島では人材やノウハウが限られていることなどから十分な 状況ではないと考えられる。 ⑤交通基盤・物流 離島の不利性の多くが交通の制限や輸送コストに起因しており、島民の生活向上および産業振興のた めに、移動コストの低減が課題となっている。 ⑥生活物価指数・生活構造 離島地域では、自給自足やいわゆるおすそわけという近隣住民との付き合いがあることから、食料品に 関してのコスト負担はあまり大きくないと考えられるが、日用品や娯楽品等その他の品目に関しては輸送 コストがかかるため大きな負担となっている現状がある。品目や季節によっては、離島地域の方が安くなる 品目もあるが、多くの品目において那覇市との開きが大きい。とくにガソリンは那覇市と比較して 1 リットル 当り10 円以上高く、公共交通機関が少なく車移動の多い離島住民の負担となっている。 また、そもそも離島地域では日用品や嗜好品等の購入機会が少なく、島外へ出て購入するケースも見 受けられる。購入機会の確保と輸送コスト・移動コストの低減が課題である。 さらに、全国平均ではあるが、離島地域においては全国平均と比較して消費支出が低くなっているが、 それ以上に収入が低いという構造になっている。

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4.沖縄振興計画の評価

沖縄振興計画(平成 14~23 年度)は、これまで主として「本土との格差是正」としていたコンセプトを 「民間主導の自立型経済の構築」に転換している。情報通信基盤整備に関係する政策として、「情報格 差を解消するため、高速・大容量・低コストを実現する情報通信基盤の整備やそれらを利用しやすい環 境の整備を進め、県民生活の利便性の向上、産業の振興、行政事務の効率化等を図る」ことにより、高 度情報通信ネットワークの実現を目指している。具体的な内容として、以下の6つが挙げられている。 ①光ファイバ網やCATV網をはじめ、有線回線、衛星回線及び地上無線回線等をシームレスに 接続した、高速・大容量・低コストを実現する多様な情報通信基盤の整備 ②住民が高度な情報通信サービスや公共サービスを受けられる環境の整備を図るため、高速・ 超高速ネットワークの整備や地域公共ネットワークの整備を促進 ③離島・へき地における情報格差の是正に向け情報通信基盤の整備を促進 ④県と市町村間を結ぶ沖縄県総合行政情報通信ネットワークの整備拡充を推進 ⑤学校教育における情報化を推進するため、沖縄県総合教育情報ネットワークを整備拡充 ⑥次世代の先進技術を活用した情報通信基盤の県内への先行的な整備促進 沖縄振興計画第3 章「振興施策の展開」第 8 節「離島・過疎地域の活性化による地域づくり」において、 離島振興策がまとめられており、離島地域の情報通信分野に関して「光ファイバ網や CATV 網等の情報 通信基盤の整備を促進する」とともに「沖縄県総合行政情報通信ネットワークの整備拡充を進める」と位 置づけられている。 「沖縄振興の現状と課題―沖縄振興計画総点検結果―」(平成 22 年 内閣府沖縄担当部局)および 「沖縄振興計画等総点検報告書―沖縄振興の現状と課題および展望―」(平成22 年 沖縄県)では、計 画期間中の情報通信分野の実績について次表のとおり評価している。 表 両報告書における計画期間中の実績 報告書 実 績 「沖縄振興の現状と 課題」(内閣府) 情報通信基盤については、離島地域へのブロードバンド環境整備や南北大東地区 等への海底光ケーブル整備により、極小離島を除く有人離島のほぼ全域がカバーさ れた。 また平成23年の地上デジタル放送完全移行への対応として、先島地区・南北大 東地区で中継局など必要な施設整備を実施した。 「沖縄振興計画総点 検報告書」(沖縄県) 離島地域の情報格差を解消するため、県や市町村が事業主体となり、平成17年 度~平成19年度にかけて伝送路整備によりブロードバンドサービスが利用可能な環 境を整備した。 また、地上デジタル放送化にむけ、平成19年度~平成20年度にかけて沖縄本島 から宮古島までの海底光ケーブル設備の改修等を行い、先島地区への地上デジタ ル放送を開始した。南北大東地区における地上デジタル放送への移行についても海 底光ケーブル敷設等の伝送路を構築した。 この計画期間中に、「沖縄県離島地域ブロードバンド環境整備促進事業」(平成 17~19 年度)や「地 上デジタル放送推進事業」(平成 19 年度~)により、離島のブロードバンドの整備、地上デジタル放送移 行への環境が整ったことが確認できる。 また、平成 22 年度沖縄振興総合調査「沖縄における今後の離島振興策に関する調査」(平成 23 年

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国建)では、各離島市町村に沖縄振興計画の各分野の進捗状況についてアンケート調査を実施してい るが、振興事業で特に成果があったとして情報通信環境整備を評価している島が多い結果となってい る。 本調査において、各離島市町村に対して情報通信基盤整備の現状について満足しているかとアンケ ート調査を行ったところ、「満足」とする回答と、「やや不満」あるいは「不満」とする回答が半々であった。 CATV が整備されている離島では満足とする回答が 100%であるが、無線方式では半数以上がやや不 満と回答している。不満とする理由として、通信が不安定なことや通信速度が遅いことなどが挙げられて いる。 図 情報通信基盤整備の現状に対する満足度 <まとめ> 「沖縄県離島地域ブロードバンド環境整備促進事業」および「地上デジタル放送推進事業」により、極 小離島を除くほぼ全ての有人離島においてブロードバンドサービスが使用可能になったことから、沖縄振 興計画で位置づけられた基盤整備は一定の成果があったと評価できる。 しかし、今回のアンケート調査からは、離島地域では依然としてさらなる高速ブロードバンドサービス整 備のニーズが高いことがうかがえ、離島地域における情報通信基盤整備については、情報通信技術の発 展や地域のニーズに合わせてさらに整備や改良を進める必要性があるといえる。 0% 0% 0% 0% 50% 50% 100% 36% 50% 44% 0% 64% 0% 6% 0% 0% 0% 20% 40% 60% 80% 100% a)FTTH b)ADSL c)CATV d)無線方式 とても満足 満足 やや不満 不満

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5.情報通信の活用方策の提案(離島の生活利便性向上に向けて)

4章の2「情報通信分野の可能性(情報通信を活用して何ができるのか)」で整理した活用の可能性か ら抽出して、離島において有効と思われる情報通信の活用方策について提案する。抽出した基準は、先 進事例において効果的という結果がでていることや、アンケート・ヒアリングからよりニーズが高いと考えら れることなどである。

①テレビ会議システムを活用した高齢者の見守り

解決すべき課題 多くの離島において少子高齢化が進み、老夫婦世帯や高齢者の独り 暮らしが増加している。そのため、高齢者福祉の充実が課題となって いる。地域内での支援ができている離島については問題ないが、島の 規模が大きくなるほど、なかなか細部にまでは目が行き届かない状況 がある。 事業の概要 CATV網を活用し、タッチパネルのテレビ電話端末を高齢者宅や民 生委員宅、福祉・医療施設、公共施設、島外に住む高齢者の家族宅等 に設置するとともに、島内に高齢者をサポートするコールセンターを 整備する。このテレビ電話システムを活用しながら、従来からの離島 ならではの高齢者支援体制と連携して、高齢者等が安全で安心な生活 ができる環境整備を目指す。 構築するシステム ①テレビ会議システムネットワークの構築 ※タッチパネル  ビデオチャット機能  文字によるニュース表示機能  チャット呼び出し機能 ②コールセンターの設置 推進方法 【システムの構築・維持について】  システムの構築が必要なため、国や県からの補助金等を活用して システムの構築を行うことが必要である。  導入後の維持費等は、システムに加入している高齢者の島外に住 む家族から会費を徴収することによってまかなう仕組みを構築す る。 【コールセンターの設置】  コールセンターは、高齢者からの相談等を関係する各機関へ振り 分ける交換手の役割となる。設置にあたっては、島内にすでに同 種の事業を実施する事業者がある場合は、委託・連携を行う。  新たに立ち上げる必要がある場合は、当初は行政主導で立ち上げ たとしてもゆくゆくは民間で運営していくことが望まれる。 【関係者の連携】  事業の実施にあたっては、島内における高齢者の支援者や、高齢 者、高齢者の島外に住む家族の連携が重要になる。

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期待される効果 ①高齢者の安心の確保 テレビ会議システムを利用することにより、支援が必要な高齢者と サポートする側、島外に住む高齢者の家族とが顔を見ながらコミュニ ケーションをとることができ、高齢者の安心につながる。 ②島内の支援者の連携 また、コールセンターを通じて、民生委員や福祉施設など高齢者の 支援を行っている方々との連携が生まれることが期待される。 ③雇用の創出 コールセンターを新たに設置することにより、島内に雇用が生まれ る。

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②高齢者自身による健康管理の支援と、コミュニティ活性化

解決すべき課題 多くの離島において高齢化や人口減少が進んでおり、老夫婦世帯や 高齢者の独り暮らしが増加している。島内に医療機関のない離島にお いては、高齢者自らが日頃の健康管理を行う必要がある。 また、高齢化が進んだ離島においては地域の活力が低下しやすく、 活性化が課題となる。 事業の概要 地域の公民館に大型モニタやマイク等を設置し、圏域の拠点となる 病院とをつなぐネットワークを構築する。高齢者は、市販の計測機器 等を使用して毎日血圧や血糖値等の簡単な計測を行い、毎週決まった 日時に、公民館に集まって、モニタを使用したテレビ会議システムに より、医師へ計測した数値の報告、相談等を行う。 構築するシステム ①公民館へのモニタやマイク等機器の整備 ②公民館と圏域の拠点となる病院をつなぐネットワークの構築 推進方法 【機器等の設置】  設置にあたっては、地方自治体が各公民館へ大型モニタや通信用 のマイクを整備することが好ましい。  高齢者が使用する血圧・血糖値の計測機器は使いやすいものを選 定し、高齢者に購入してもらうことが考えられる。 【ネットワークの構築】  病院との通信には、専用ネットワークを設けるのではなく、スカ イプ等のインターネット接続を利用したテレビ会議システムの使 用が考えられる。  定期的な問診を受ける中で、詳細な検査や非常にプライベートな 相談が必要となった場合には、直接病院へ赴き診察を受ける必要 がある。その際の予約についても対応できることが望ましい。 【サポート体制】  区長や他の参加者による、高齢者に参加を促すための声かけや、 定期報告会へ参加しなかった高齢者の安否確認を行うなどのサポ ート体制も必要である。 期待される効果 ①高齢者の健康管理支援 定期的に問診を受けることが可能になり、体調の変化等の早期発見 につながる。また、自ら血圧等を計測し、他の参加者の状況を知るこ とにより、高齢者自身に健康管理の意識が芽生え、よい効果が生まれ ることが期待できる。 ②高齢者同士の交流の場の確保 報告会が定期的に集まる機会となることから、普段は自宅にこもり がちな方にとっても地域の人々との交流の場となることが考えられ る。交流することによって元気がでるといった効果も期待できる。 ③低価な予算 専用線や専用のシステム構築を行わず、なるべく流通している商品 やサービスを利用することにより、事業導入にかかるコストを抑え、 手軽に事業を導入できる。

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③大学・進学塾と連携したe-ラーニングによる学習機会の提供

解決すべき課題 大規模な離島を除いて、離島には小中学校の他に教育を受けられる 塾や家庭教師がほとんどおらず、教育に関する資源が乏しい状況であ る。また、島内には高校がないため、中学校卒業後には多くの児童が 沖縄本島や内地の高校へ進学することになり、島と都心部との教育格 差が深刻である。そのような格差を解消し、島の児童・生徒の学力を 向上させることが大きな課題となっている。 事業の概要 大学や民間学習塾と連携し、島内の児童・生徒を対象にオンライン 授業を提供する。それにより、島内の児童・生徒の学習機会を増やし、 学力向上へ貢献する。また、専用サイトにアクセスして、授業で出さ れた宿題についてチェックしたり、授業をもう一度見返して復習・質 問することも可能である。 構築するシステム ①授業会場への大型モニタやマイクの整備 ②オンライン授業ネットワークの構築  テレビ会議システムによる  宿題チェック機能  復習・質問のための相談チャット機能 推進方法 【機器等の整備】  授業で使用する大型のモニタについては、自治体が整備すること が好ましい。  授業に必要なテキスト等については受講者負担とする。 【ネットワークの構築】  インターネット接続を利用した授業のため、専用システムの構築 は必要ない。ただし、大学や進学塾への講師依頼といった人的・ 体制的ネットワークの構築が不可欠である。オンライン家庭教師 を実施する民間事業者もあり、委託・連携も考えられる。 【広域連携によるオンライン授業の実施】  事業導入時には、受講料や講師謝金といった授業実施にかかる経 費等について行政がサポートを行い、オンライン授業の効果等に ついて地域住民に体験・実感させることが望ましい。  事業が軌道に乗り行政のサポートが終わる際には、同じ授業を複 数の離島で同時に受講することにより、一人当たりの受講料が軽 減をはかることが考えられる。 期待される効果 ①学習機会の提供 離島の児童・生徒は教育を受ける機会が乏しい環境のなかに置かれ ており、全国レベルの学習機会を提供することにより、島内児童・生 徒の教育格差が解消される。 ②学力及び学習意欲の向上 本土の大学や進学塾等の授業を受けることにより、児童・生徒の学 力向上が期待できる。加えて、有名な進学塾の質の高い授業を受ける ことにより、学習に対する意欲が高まることが期待される。

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④教員支援システムの活用による教育の質の向上

解決すべき課題 複数の離島で構成された自治体では、学校間・教育委員会間の文書 のやりとりなどが煩雑になり、担当者の負担となるだけではなく、郵 送による文書の送付など時間のロスにもなっている。 事業の概要 島内の小中学校にブロードバンド・オープンモデルにより構築した 公務支援システムを導入し、教職員が出席や成績管理、一斉メールシ ステムなどを活用することで、小中学校の教職員の事務軽減支援を目 指す。 構築するシステム ①グループウェア機能  連絡掲示板、個人連絡、文書連絡、会議室、書庫(共有フォルダ) ②公務スケジュール機能  予定表、施設/備品予約、学校日誌、週案 ③児童生徒管理機能  出席簿・欠課簿、成績管理、通知表、調査書、指導要録 推進方法 【システムの構築】  市町村内全ての学校において専用のシステムを導入する必要があ り、ブロードバンド・オープンモデル(民間事業者のサーバーを 使用することで予算を低く抑えることができる)で実施したとし ても、導入時には膨大な費用が必要になると考えられ、国や県の 補助等を活用して整備を行う必要がある。 【庁内規程の変更や合意形成が必要】  教育委員会や学校が発行する文書には、通常公印が押されている が、システムを介して文章をやり取りする際には公印が押印でき ず電子署名となってしまう。そのような点について、庁内の合意 形成や規程の変更が必要である。  ブロードバンド・オープンシステムでは、役場や学校の外部のサ ーバーに接続する必要があるため、セキュリティに関する規定等 の変更が必要になることも考えられる。 期待される効果 ①教育の質の向上 システムを活用して出席簿や成績管理等を管理することにより、事 務負担の軽減を図る。そのため教員は、事務負担軽減により空いた時 間を教材研究にあてたりすることができる。また、離れた学校の教員 間の交流が容易になることで、教員間の勉強会等の実施が活発になる ことも期待できる。 ②時間ロスの軽減・コストの低減、資源の節約 教育委員会や各学校が出す文書等について、郵送するのではなくシ ステムを介して送付することにより、別の離島へ郵送する手間を減ら し、郵送に係る費用や時間のロスをカットすることができる。ペーパ ーレスにもつながる。

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⑤農協のヘルパー・機材等の予約管理システム

解決すべき課題 離島の主力産業である農業・漁業においては従業者の高齢化が進ん でいる。そのため、繁忙期にはヘルパーを頼んで収穫・植え付け等を 行う。ヘルパーの派遣は、農協が農家から日程と必要な人員を聞いて 調整を行っているが、調整に手間がかかっている。ハーベスター等の 機材の貸し出しについても同様であり、農協の事務負担を軽減するた めのシステムが必要となっている。 事業の概要 農家から携帯電話端末、あるいはパソコンを使用して、農協のサイ トにアクセスし、ヘルパーの空き状況をチェックする。空きがあれば、 そのまま予約申請することが可能であり、最終的に他の予約状況や実 績等をみながら予約が確定する。機材についても同様の仕組みが考え られる。 構築するシステム ①ヘルパー予約システム  月間のスケジュール機能  予約申請機能  農家データベース  ヘルパー依頼実績データベース ②機材予約システム 同上 推進方法 【システムの構築】  システムの構築が必要なため、県や自治体からの補助金等を活用 してシステムの構築を行うことが必要である。  システム構築にあたっては、高齢者でも使用できるよう簡単かつ 直感的な操作ができるようなものにする必要がある。  維持・管理に関しては農協の予算で実施することが考えられる。 【農協職員・農家への利用指導・促進】  農協内では、システムを操作・管理する専門のスタッフを配置す るのではなく、誰でも手が空いたときに操作できるようなること が好ましく、農協職員への使用方法の徹底等が必要となる。  また、システムを構築しても活用されなくては意味がないため、 システムの構築後には、各農家に対して使用方法のレクチャーや、 利用を促進するための働きかけが必要と考えられる。 期待される効果 ①農協の事務負担の軽減 ヘルパーや機材手配の管理をシステム化することで、農協事務員の 負担軽減を図り、より多くのヘルパーや機材のレンタル利用を促進す る。 ②農家のスケジュール管理への貢献 手伝いが必要な農家が直接サイトにアクセスして、ヘルパーの空き 状況や機材の使用可能日時といったスケジュールを一覧でみること ができるようになることで、それにあわせた農作業の計画が立てやす くなると考えられる。

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⑥離島からの窓口相談・書類申請システムによる利便性の向上

解決すべき課題 島内に役場のない離島では、役場への相談や書類申請、書類の受け 取りのためにわざわざ島を出て移動する必要がありコスト負担とな っており、その軽減が課題である。 事業の概要 公民館や離島振興センター等、島のコミュニティ施設に設置された 専用端末や、各家庭のパソコンから、島民がテレビ会議システムを使 用して、離島にいながら本庁職員への直接相談を可能にする。また、 住民基本台帳カードを使用して本人確認を行ない、両者に設置された プリンタを使用して必要な書類等を互いに提供・提出することができ る。 構築するシステム ①窓口相談システム ・テレビ会議システム ②住基カードと連動した書類の提供・申請 ・住基カード読み取りシステム ・プリンタへの情報送信システム 推進方法 【システムの構築】  住基カードと組み合わせたシステムの構築が必要なため、国や県 からの補助金等を活用してシステムの構築を行うことが必要であ る。  プリンタを使用した書類の提供については、セキュリティやシス テムの構築上、専用端末のみで実施可能とする。 【庁内体制の確立】  庁内に、テレビ会議システムを使用した相談に対応するための端 末や窓口を設ける必要がある。  相談内容は、介護・福祉・健康・教育・税金などの幅広い内容が 想定されるため、相談に対応する職員の教育や、専門課に振り分 ける等の連携が必要になる。 【住基カードの利用促進】  住民基本台帳カードの取得・使用を促進する必要がある。 期待される効果 ①移動機会の減少によるコストの低減 テレビ会議システムを利用して離島から役場へ相談できるため、移 動する機会を減らし、移動にかかるコストや時間のロスを解消するこ とができる。 ②行政サービスの質の向上 相談しながら書類の準備等が可能となるため、提出書類の記入ミス 等を減らし、自治体窓口業務の正確性やきめ細やかさを維持すること が可能となり、サービスの質の向上につながる。 ③自治体職員の意識向上 遠隔の住民とも直に対応できるようになり、また多くの住民と対応 する機会が増えることにより、住民の要望などの情報をタイムリーに 収集でき、住民サービスに対する意識向上が期待できる。

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6.人材確保の展望

これまで離島地域においてはブロードバンド環境が整備され、多数の情報通信関連事業が実施されて きた。しかし、事業終了後も継続している事例は少なく、基盤の整備や事業の導入が必ずしも地域に定 着していない実態が指摘されている。 情報通信基盤が整備されたとしても、地域で活用されなくては単なる宝の持ち腐れになりかねない。地 域の課題解決に向けて情報通信を活用するためには、情報通信を活用した企画提案を行うことができる 人材が不可欠であり、情報通信についての専門的知識だけではなく、地域のニーズ・課題と情報通信を 結び付ける発想・企画力が求められる。そのため各離島における人材育成が重要となる。 また、人材育成は役場の職員だけではなく、離島の地域住民も対象となる。地域住民は情報リテラシ ーを高め、個人の生活に情報通信を活用していくことが望まれる。 役場職員は、情報通信についてある程度の知識を持ち、拾い上げた地域のニーズと結びつけて企画 提案・実施することが望まれる。実施にあたっては、情報通信について高度な専門知識を持った人材が 必要になることが考えられるが、そのような人材を育成するためには時間と経費がかかることや、人口規模 の小さな離島においては人材育成が難しい状況が予想されることから、民間企業や教育機関等からの専 門人材の確保、近隣離島との連携を行うことも考えられる。 図 情報通信活用のための人材育成・確保の考え方 情報通信を活用していくための人材育成として、以下のような方法が考えられる。 ①専門知識を持つ人材確保の促進  情報通信基盤を整備したり、活用する企画等を発案しても、島内の人材不足により維持できないこと も考えられる。IT企業と契約して出向してもらうなど、情報通信に関する高度な知識を持つ人材を自 治体が積極的に確保し、島内の情報通信活用環境の維持や管理に努める。  また、離島においては、人材不足のために地域への先述したようなICT講習会等の人材育成が実施 できないことも考えられる。そういった視点からも、専門知識を持つ人材の確保は極めて重要であり、 確保した人材からの技術移転を図る。 上級 中級 初級 人材育成にはお金がかかるた め、積極的に専門家を確保あ るいは連携が必要 企画提案の中心となる地方自 治体職員への育成が必要 情報通信に関する知識 情報通信を使用して必 要なものを探せる人材 情報リテラシー教育 人 数 多 少 職員・地域住民・子供たちとも に育成が必要 情報通信についてある 程度の知識を持ち、活 用を提案できる人材 情報通信について高度 な知識を持ち、システム の構築等を行える人材

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 ①の専門人材が確保されれば、その人材を中心にして②以降の対応を図ることが可能であり、離島 において最優先に取り組む課題だと考えられる。 ②地域住民向けのICT講習会の開催  地域住民を対象にパソコン教室などを開催し、情報通信の使用方法等についてレクチャーを行う。  特に情報弱者となることが予想される高齢者についても、高齢者向けの講習会等を開催するなどサ ポートを行う。 ③庁内職員向けのICT利活用勉強会の開催・資格取得の奨励  庁内職員に対して、ICTの利活用のノウハウを持つ専門家や事業者等を講師に招き、勉強会を開催 し、職員の参加を義務付ける。また、単なる知識教育・技術教育で終わらせないために、勉強会等の 後には、実習や実務をとおして実践する機会を確保する。  庁内職員に対して、情報通信に関連する資格取得者には手当てを用意するなど、資格取得を奨励 する。 ④地域団体と連携した事業の実施(技術委託)  島の外部より専門家に委託して事業を実施する際などは、なるべく島内の商工会や観光協会といっ た各組織・団体、事業者を巻き込んで事業を実施することにより、地域全体への技術移転を図る。 ⑤小中学校における情報通信の活用・情報教育の強化  将来の情報人材をつくるためにも、島内小中学校の児童・生徒への情報教育を推進する。  授業においても積極的に情報通信を活用した授業を展開することで、教員や児童・生徒の情報リテ ラシーを高めることを図る。

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7.情報通信基盤整備の方向性

「沖縄振興計画の評価」で述べたように、離島地域においては、現在整備されている情報通信基盤より もさらに高速のブロードバンドサービス(光ファイバ)整備のニーズがあり、今後も情報通信技術の発展や 地域の活用ニーズに合わせて整備を進めていくことが考えられる。 今後の情報通信基盤整備の方向性として、以下のように考えられる。 ①離島に合わせて通信方式を組み合わせる 基盤整備にあたっては FTTH が整備されることが理想であるが、光ファイバケーブルを新たに整備し なくてはならず、コストがかさむことが懸念される。また、“微”の島や“接”の島といった小規模な離島にお いては、必ずしも大容量・高速の通信を必要としないこともある。そのような離島については、FTTH 整備 よりも、ひとつの電波塔で島内をカバーできる無線通信の方が適していると考えられる。 また、最近ではスマートフォンやタブレットといった移動型コンテンツの利用が盛んになっており、使用 する場所を制限されない無線通信の方が好ましい場合もあると考えられ、島の特徴や振興の方向性、接 続方式の特徴等を考慮して整備を進める必要がある。 離島類型の特徴にあわせた情報通信基盤整備の方向性(提案)を下記に示す。 表 情報通信基盤整備の方向性の提案 離島類型 基盤整備の現状 提案 “拠”の島 一部光ファイバが整備 ADSL/CATVも使用可能 圏域の拠点となる島で、都市的要素を持つ。近隣離島の 拠点となるにはFTTHが望ましいため、光ブロードバンドサービ ス提供エリアを拡大する。 “近”の島 ADSL/無線/CATVのいず れかが使用可能 観光を主力としている島が多く情報通信の活用ニーズは大 きいと考えられるため、島まで光ファイバを整備し、主要施設 や希望する事業者へはFTTH、その他は電波塔を利用した無 線方式でつなぐ。 “遠”の島 ADSL/光ファイバ/CATVの いずれかが使用可能 本島や拠点島から距離があり、離島らしい離島。自立性を 有する離島が多いことから、島までは光ファイバを整備、診療 所など主要施設にはFTTHでつなぎ、その他は電波塔を使用 した無線方式でつなぐ。 “接”の島 ADSL/無線/CATVのいず れかが使用可能 人口・面積ともに小規模な離島が多く、高齢化が進んでい る。現状で満足とするアンケート結果あり。 高齢者が直観的に操作できるタブレット等の使用が考えら れるため、無線通信のカバー範囲を拡大する。 “微”の島 無線あるいは未整備 (電気や水道等も未整備) ほぼ無人化している島が多く、基盤を整備しても活用され ない可能性が高い。 水納島や由布島へは無線を維持。 ②民間事業者と行政の連携による整備促進 先ほどから述べているとおり、離島地域では光ファイバを使用した基盤整備のニーズが高い。しかし、 光ファイバはADSLとは違い、新たに光ファイバ網を構築整備する必要があるため、民間事業者による基 盤整備では、採算が見込めない地域に対しては提供が困難な状態である。そこで、民間事業者の持つノ ウハウを活かしながら、IRU(※)や補助金等といった国・県からの支援に基づく整備促進が必要である。

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例えば、東京都は小笠原諸島の父島・母島へのブロードバンドサービス提供について、補助金を活用し て都が光ファイバケーブルの整備を行い、実際の運用・メンテナンス等を民間事業者が行う形で実施して いる。 また、離島地域では携帯電話やタブレット端末を使用できる環境はある程度整っているといえ、民間事 業者のモバイルサービス等も最大限に活用することも考えられる。 ※IRU…電気通信事業者が複数の条件を満たす賃貸借契約等により、他者が所有する光ファイバ等を調達した 場合は、当該の光ファイバ等を当該事業者が長期安定的に支配・管理しているものとみなして、当該事業者が 設置した設備として認める制度 ③維持・管理体制およびセキュリティ体制の確立 基盤を整備した後には、日常の維持・補修業務や災害時の復旧といった管理を行う必要がある。役場 が不具合発生時の一次対応を担う場合、職員の日常業務に支障が出る程大きな負担となっているケース もあることから、民間企業と連携して、維持・管理の体制をしっかりと確立することが望まれる。 また、昨年度は度重なる台風の影響により、離島地域の情報通信基盤へ障害が発生する事態が発生 した。民間事業者へのヒアリングでは、遠隔地である離島の障害復旧には時間を要する傾向があるため、 基盤整備の段階で主要な管路は地下化するなど、堅牢性を考慮した整備を検討する必要がある。 さらに、システム導入後の情報管理として、ウィルスや不正アクセス等のリスクを低減するため、セキュリ ティ対策についてもしっかりと体制を確保する必要がある。

参照

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