福山型先天性筋ジストロフィーにおけるGross Motor Function Measure の信頼性と妥当性
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(2) 440. 理学療法学 第 43 巻第 6 号. 表 1 福山型先天性筋ジストロフィー症における運動機能レベル 1985 年大川改変 10) レベル 8 −階段昇降可能 (装具の要不要を問わない.手すりの使用可.ただし手引き,体幹支えは除く) レベル7−平地での手放し歩行可能(装具の要不要を問わない) レベル6−平地でつかまり歩行または手引き歩行可能(装具の要不要を問わない) レベル5−つかまり立ち可能(長下肢装具使用は除く.短下肢または靴型装具は可) または四つ レベル4−いざり. い移動可能. い移動可能(その方式は問わない). レベル3−座位でのその場廻り可能 レベル2−お座り可能(自力での座位保持可能) レベル1−首の座り一応可能(真の首の座りである必要はなく,直立位での安定があればよい). 自力での座位保持不能 レベル 0 −首の座り不能. これらをレベルの判定に含めると種々の矛盾が起こって くることから,レベルに加えられていない ら. 13). 10)13). 。上田. は具体的な例として,レベル 1 ∼ 5 のすべてで,. 対象および方法 1.対象. 寝返りが可能,不可能の両方が存在することを説明して. 当院通院中の福山型先天性筋ジストロフィー児者 38. いる。このことから,寝返りはレベルを確立する座位な. 名で,性別は男性 20 名,女性 18 名,年齢は 3 ∼ 20 歳で,. どと並行するものではなく,レベルの規程因子に含むと. 平均(SD)10.5(3.9)歳であった。気管切開術の施行. 大きな矛盾が生じることがわかった. 14). 。運動機能レベ. や呼吸器を常時必要とする者は除外した。. ルは FCMD の典型的な運動機能を用い,端的に評価を. 本研究は東京女子医科大学倫理委員会(受付番号. するには適しているが,運動機能全般を総合的に評価す. 1841)の承諾を得て行い,対象者とその保護者には書面. るものではない。. にて研究内容と方法を十分に説明し,同意の署名を得た。. 藪中. 15). は,患者の問題を理論的に推理しながら評価. を進め治療方針を決定していく過程において,治療目標. 2.方法. は測定可能で機能的なものでなければならなく,客観的. 同意を得られた対象者に対し,GMFM を用い粗大運. または標準化された評価の実施の必要性について述べて. 動機能を評価し,それと同時に運動機能レベルを確認し. 16). も様々な疾患における運動障害. た。常に保護者が同席し,場所や検者に慣れるために十. およびその帰結を科学的に記述するためには妥当性,信. 分に時間をかけ,すべて 1 名の理学療法士が GMFM の. 頼性,反応性,実用性などの条件を備えた普遍性のある. マニュアル. 尺度の必要性について述べている。. だせるように各自興味のある玩具等を使用することは可. これらのことからも,機能が向上する上昇相と進行に. 能とした。. よる低下相をもち,多様な症状に加え,生涯において獲. GMFM の再現性の検討のため,7 ヵ月以内に 2 回目. 得できる運動機能も定頸が困難な場合から歩行獲得まで. の評価が可能であった 10 名は GMFM を 2 回施行した。. いる。また,高橋ら. 8‒10)13)14). 17). に則って評価を行った。最大能力を引き. にとって,定量化された運. GMFM は,5 歳児なら遂行可能な運動課題 88 項目の. 動機能評価尺度は,重症度や年齢に伴う変化を客観的に. 達成度を観察により判定する。テスト項目は,行う肢位. 捉えることを可能とし,方針の決定上重要である。. ごとに分けられ,発達の順番に並べられている。臥位と. 運動障害およびその帰結を科学的に記述するために標. 寝返りの領域が 17 項目,座位の領域が 20 項目,四つ. 準化された評価尺度のひとつである粗大運動能力尺度. いと膝立ちの領域が 14 項目,立位の領域が 13 項目,歩. GMFM は脳性まひにおける運動発達の変化を捉えるこ. 行・走行・ジャンプの領域が 24 項目の 5 領域,合計 88. と幅広い FCMD. 17). が,ダウン症. 項目で構成されている。採点は,できるが 3 点,部分的. 候群をはじめ他の疾患の評価尺度としての検証もなされ. にできるが 2 点,少しだけできるが 1 点,まったくでき. とを目的に考案された評価尺度である ている. 16)18)19). 。そこで本研究は,FCMD の粗大運動機. 能の評価尺度として GMFM の信頼性,妥当性を検討す ることを目的とした。. ないが 0 点で,得点の合計をその領域の総点で割って算 出する各領域のパーセント得点を用いる. 17). 。.
(3) 福山型先天性筋ジストロフィーにおける GMFM の信頼性と妥当性. 441. 表 2 GMFM の結果(N = 38 名) 平均値(SD) (%). 0 点の占める割合 (%). 最小値 (%). 最大値 (%). 臥位 ・ 寝返り. 36.0(26.8). 8.0. 0. 88.2. 座位. 37.8(25.1). 13. 0. 75.0. 2.6(10.1). 92. 0. 52.4. 四つ. い. 立位. 0.1(0.4). 97. 0. 2.6. 歩行. 0(0). 100. 0. 0. 総合. 15.0(10.9). 7.5. 0. 42.6. 3.分析方法. り移動が 11 名,レベル 5 のつかまり立ちまたは四つ. GMFM の結果は 5 領域と総合の計 6 つについて,平. い移動が 1 名であった。. 均と最小値,最大値,0 点の占める割合を示した。運動 機能レベルは各レベルの人数を示した。. 3.信頼性,妥当性. 信頼性は,2 回の評価が可能であった対象者に対しテ. 対象者の 90%以上が得点できなかった四つ. ス ト リ テ ス ト 法 を 用 い, 級 内 相 関 係 数(intraclass. 立ちの領域以降の 3 領域を除外し,総合,臥位と寝返り. correlation coefficient;以下,ICC(1.1))で相対信頼性. の領域,座位の領域の 3 つについて分析を行った。. を算出した。また絶対信頼性は,2 つの測定値の差の標. 信頼性は,テストリテスト法の対象者は男性 8 名,女. 準偏差(SDd)を用いて,測定の標準誤差(standard error of measurement;以下,SEM)を SEM=SDd/. いと膝. 性 2 名,計 10 名で,年齢は 4 ∼ 13 歳,平均(SD),7.8 (3.2)歳で,運動機能レベル別にはレベル 1 が 2 名,レ. の式を用い算出した 20)。88 項目の内的整合性は,全対. ベル 2 が 2 名,レベル 3 が 1 名,レベル 4 が 4 名,レベ. 象者にて Cronbach’sα 係数で算出した。. ル 5 が 1 名であった。評価間隔は平均(SD)4 ヵ月(2.2). 妥当性は,併存的妥当性を現存の FCMD の運動機能. であった。ICC (1.1)は総合で 0.96,臥位と寝返りの領. を評価しうる唯一の方法である運動機能レベルと. 域で 0.98,座位の領域で 0.99 といずれも高い検者内信. GMFM の総合,各領域について Spearman の相関係数. 頼性を示した。測定の標準誤差(SEM)は総合で 2.1%,. を用いて検討した。構成概念妥当性は,GMFM の総合,. 臥位と寝返りの領域で 4.3%,座位の領域で 2.4%であっ. 各領域について Spearman の相関係数を用いて年齢と機. た。内的整合性は Cronbach’sα 係数が 0.96 と高い内的. 能との関連性から検討した。. 整合性を示した。. 統計学的分析は統計ソフト SPSS(Ver.18.0)を用い,. 妥当性は GMFM と運動機能レベルとの相関を検討し. 有意水準は 5%とした。. た結果,総合は r = 0.95(p < 0.01) ,臥位と寝返りの 領域は r = 0.90(p < 0.01),座位の領域は r = 0.93(p. 結 果. < 0.01)であった。それぞれの領域における構成概念妥. 1.GMFM の結果. 当性について年齢と機能との関係を用い検討し,同時. 表 2 に GMFM の 5 領域と総合の 6 つそれぞれの得点. に,臥位と寝返りの領域,座位の領域それぞれの得点と. について,平均,最小値,最大値,0 点の占める割合を. 年齢との関係を散布図にした(図 1) 。結果,総合が r. 示した。臥位と寝返りの領域は平均(SD)が 36(26.8) %,. = ‒ 0.72(p < 0.01),臥位と寝返りの領域が r = ‒ 0.75(p. 0 点の占める割合が 8%,座位の領域は平均(SD)が. < 0.01)でかなり強い負の相関を示した。座位の領域は. 37.8(25.1)%,0 点の占める割合が 13%であった。それ. r = ‒ 0.70(p < 0.01)でかなり相関はあるが,散布図よ. 以降の領域では 0 点の占める割合が高く,四つ. り,座位の領域は年齢にかかわらず 0 ∼ 10%の低得点. いと膝. 立ちの領域は 92%,立位の領域は 97%,歩行・走行・ ジャンプの領域は 100%で,大部分が四つ. い以上の機. 能を獲得していなかった。. グループと 40 ∼ 60%の高得点グループに分かれた。 考 察 本研究の目的は,FCMD の粗大運動機能評価尺度と. 2.運動機能レベルの結果. して GMFM の信頼性と妥当性を検討することであっ. 運動機能レベルは,レベル 0 の首の座り不能が 6 名,. た。結果,高い信頼性と妥当性が確認された。. レベル 1 の首の座りが 7 名,レベル 2 のお座りが 9 名,. 信頼性には,同じ対象者に評価を 2 回行い,その一貫. レベル 3 の座位でのその場廻りが 4 名,レベル 4 のいざ. 性をみようとする再現性があり,これはテストリテスト.
(4) 442. 理学療法学 第 43 巻第 6 号. 上かつ 1 に近い結果が得られ,高い信頼性が確認され た。絶対信頼性は,総合 2.1%,臥位と寝返りの領域 4.3%,座位の領域 2.4%で,それぞれの測定の標準誤差 が明確にできた。88 項目による Cronbach’sα 係数は 0.96 で高い内的整合性が確認できた。 2 回の評価が可能だった対象者が 10 名で,また評価 間隔が平均 4 ヵ月と長いことは本研究の限界と考えてい る。希少疾患のため,遠方からの通院が多く,通院頻度 に合わせ評価を施行したためである。しかし,先行研 究. 8)9)13). からも,FCMD の運動機能は緩徐な変化を認. め,特に 3 ∼ 8 歳は運動機能の維持期であり,対象者の 平均年齢が 7.8 歳ということからもその時期と一致して いる。また運動機能レベル 0 以外の 1 ∼ 5 レベルの 5 つ のレベルすべてを対象とした。 併存的妥当性は FCMD の運動機能を評価可能な唯一 の方法である運動機能レベルとの相関を検討した。結 果,GMFM の総合は r = 0.95,臥位と寝返りの領域は r = 0.90,座位の領域は r = 0.93 でいずれもかなり強い 相関を示し,高い併存的妥当性が確認できた。運動機能 図 1 GMFM;臥位と寝返りの領域 / 座位の領域における年 齢と得点との関係 散布図から座位の領域は「低得点グループ=座位不可能」と 「高得点グループ = 座位可能」に分かれる傾向があった.. レ ベ ル と の 間 に, 高 い 妥 当 性 を 得 ら れ た こ と か ら, GMFM は FCMD の粗大運動機能評価尺度として適し ていることが確認できた。端的に判断が可能である運動 機能レベルと,全 88 の評価項目により運動機能全般を 総合的に捉えられる GMFM を併用することは,客観的 な FCMD の運動機能評価を可能としたと考える。. 法を用いる。2 回の評価から得られた測定値間の相関の. 構成概念妥当性として,GMFM の領域ごとに年齢と. 強さを係数で表す信頼性を相対信頼性といい,これは. 能力の関連について分析した結果,総合は r = ‒ 0.72,. ICC を用いて算出できる。相対信頼性を表す信頼係数. 臥位と寝返りの領域は r = ‒ 0.75 とかなり強い負の相関. は,0 ∼ 1 の範囲をとり,1 に近いほど信頼性は高くな. を認め,年齢とともに機能が低下する傾向を示した。今. る. 21). 。それに対し,測定値の中にどの種類の誤差が,. 回は横断的な検討で,個人の年齢的変化を捉えられない. どの程度混入しているかを検討する信頼性を絶対信頼性. が,臥位と寝返りの領域が年齢とともに機能が低下する. という。絶対信頼性は,測定値が内包する誤差の範囲を. 傾向は,図 1 の散布図も示している。その要因として関. 測定方法と同じ単位で示し,真の変化を明確にする方法. 節可動域制限の影響が考えられる。FCMD の関節可動. である. 20). 。また,内的整合性とは,評価法を構成する. 域制限の特徴について,大澤は,膝関節,股関節,足関. 各項目が同じ概念を測定しているかを検証する方法で,. 節の順で関節拘縮が出現し,膝関節は 1 歳 6 ヵ月,股関. Cronbach’sα 係数で算出する。これは,0 ∼ 1 の範囲を. 節は 3 歳で対象者の約 8 割に屈曲拘縮が出現すると報告. とり,内的整合性が高いほど大きくなる. 21). 。. している. 8). 。また乗松は早期より拘縮を認め,経過とと 12). を,. 妥当性は,本来測定したいものを捉えているかについ. もに上肢より下肢の拘縮が著しい傾向になること. て検討することで,最良と考えられる外的基準との相関. 上田もレベル 2 ∼ 4 の立位,歩行が不能の場合,股・膝. をみることを基準関連妥当性といい,そのうち,既存の. 関節拘縮および足関節尖足内反が進行する. 外的基準と相関が認められることを併存的妥当性とい. ている。早期からの膝関節,股関節の屈曲拘縮は,臥位. う。また構成概念妥当性は,評価したい概念的属性の構. 領域における腹臥位での頭部を直立させる・前腕支持等. 成に対し評価法の適合を検討するものである. 21). 。相関. 14). と報告し. を困難とし,寝返りも含めた運動機能へ影響を与える可. 係数は,1.0 ∼ 0.7 はかなり強い相関,0.7 ∼ 0.4 はかな. 能性が十分に考えられる。. り相関がある,0.4 ∼ 0.2 はやや相関がある,0.2 以下は. 座位の領域は,図 1 の散布図が示すように,0 ∼ 10%. 相関がほとんどないと解釈できる. 22). 。. の低得点グループと 40 ∼ 60%の高得点グループの 2 グ. 本研究の信頼性は,検者内信頼性が,総合 0.96,臥位. ループを形成し,これは座位保持の可能,不可能をあら. と寝返りの領域 0.98,座位の領域 0.99 で,すべて 0.9 以. わしていると考えられた。可能なグループの年齢幅は 3.
(5) 福山型先天性筋ジストロフィーにおける GMFM の信頼性と妥当性. 443. ∼ 13 歳と幅広いことから,一度座位を獲得すると年齢. できるとは限らない。FCMD にとって,いざりは唯一. に影響を受けず,その機能を維持しやすい傾向が確認で. の実用的移動手段となり得る場合も多く,FCMD のた. きた。大川らは,9 つの運動機能レベルのうち,レベル 1,. めに作成された運動機能レベルではひとつのレベルを形. 2,4,7 は長くとどまりやすいと報告している。レベル. 成している。本研究の対象者 38 名においても運動機能. 2 の座位保持とレベル 4 のいざりが含まれることより,. レベル 5 のつかまり立ちもしくは四つ. 座位レベルでの機能を維持しやすい傾向が同様に示され. 名に対して,レベル 4 のいざり. ている。座位姿勢は股関節屈曲外転外旋,膝関節屈曲位. あった。GMFM では評価できない FCMD 特有の粗大. をとりやすく,FCMD の特徴である下肢の屈曲拘縮の. 運動機能について,今後も検討を継続することが課題と. 影響を受けにくいためと考えられた。つまり,FCMD. 考えている。. は運動機能レベル 4 以下が多い中,運動機能レベル 2 ∼ 4 が拘縮の影響を受けにくい座位であることは,運動機. い移動可能は 1. い移動可能は 11 名で. 結 論. 能レベルのみでは機能変化への感度が低くなる可能性が. 本研究は FCMD に対する粗大運動機能評価尺度とし. 考えられる。これらのことからも,GMFM の使用は,. て GMFM を用いるにあたりその信頼性と妥当性を検討. 寝返りや起き上がりなど基本動作を含む運動機能全般の. し,ともに高い信頼性と妥当性が得られた。FCMD の. 評価が可能となり,それに加え 4 段階の採点で運動機能. 運動機能を現す唯一の方法として用いられている運動機. を段階的に評価できる意味は大きいと考える。. 能レベルと GMFM を併用することでより FCMD の運. 本研究の対象は,四つ. 動機能の変化を捉えることを可能とした。. いとつかまり立ちが可能な運. 動機能レベル 5 が 1 名のみで,他はいざり移動可能な運. GMFM の限界として,FCMD 特有の運動機能のいざ. 動 機 能 レ ベ ル 4 以 下 で あ っ た。 そ の た め, 今 回 は. りや腹臥位から体幹の回旋を伴わない割り座への起き上. GMFM の総合,臥位と寝返りの領域,座位の領域の 3. がりが含まれていないことが挙げられる。その特有な運. つについてのみ検討し,0 点の占める割合が 90%以上の. 動機能をどのように評価に加えられるかとともに,今. 四つ. 後,検者間信頼性の検討と年齢的変化について縦断的な. いと膝立ちの領域,立位の領域,歩行・走行・. ジャンプの領域単独の検討は行えなかった。. 研究の必要性が挙げられる。. Saito による FCMD 120 名を対象とした報告でも,運 動機能レベル 0 ∼ 1 の重症例が 23 名(20%),運動機能 レベル 2 ∼ 4 の典型例が 66 名(55%)に対し,レベル 5 ∼ 8 の軽症例は 31 名(25%)であり. 9). ,四つ. い以. 上の機能が獲得できる症例は運動機能レベル 4 の座位, いざりまでの発達を獲得する症例に比べ少ない。GMFM は各領域の点数を合計し,総点に対する%を平均したも のが総合となる。このうち対象児にとって,達成可能な ゴールと考えられる領域の%点数を合計し,ゴール領域 の数で除したものをゴール総合点と捉えることも可能で ある. 17). 。生涯獲得運動機能が未定頸から独歩可能まで. と幅広い FCMD にとって,領域ごとに分けられ,達成 可能なゴール領域のみでも検討が可能な GMFM は今後 臨床における評価,目標設定において個別性をもって使 用することに適していると考える。今回検討ができな かった四つ. い・膝立ちの領域以降については,今後軽. 症例を追加し検討したい。 また,本研究の限界として,検者間信頼性の検討と粗 大運動の年齢的変化について縦断的な検討がなされてい ないことである。また,FCMD の運動機能評価尺度と しての GMFM の限界として,正常な運動能力を基準に 作成されていることから,FCMD 児の特徴的な運動機 能であるいざり. い移動と腹臥位から体幹の回旋を伴わ. ない割り座への起き上がりが含まれていない。そのた め,GMFM では FCMD の運動機能能力すべてを把握. 文 献 1)福山幸夫:福山型先天性筋ジストロフィー─その発見から 現代的位置づけまで─.日本小児科学会雑誌.2008; 112: 139. 2)福山幸夫:福山型筋ジストロフィー研究の歴史と展望. BRAIN and NERVE.2008; 60: 43‒51. 3)福山幸夫:福山型先天性筋ジストロフィー発見の経緯.臨 床神経学.2007; 47: 739‒741. 4)戸田達史:福山型筋ジストロフィー.小児科診療.2006; 69: 517‒525. 5)倉橋浩樹:福山型先天性筋ジストロフィー.小児内科. 2003; 35: 926‒942. 6)戸田達史:福山型筋ジストロフィーの発見とその類縁疾患 における病態.蛋白質・核酸・酵素.2008; 53: 1771‒1780. 7)大澤真木子:福山型先天性筋ジストロフィーの日常管理. 医学のあゆみ.2008; 226: 367‒372. 8)大澤真木子,鈴木陽子,他:ZSZ 研究福山型先天性進行性 筋ジストロフィー症.日本筋ジストロフィー協会,東京, 1983,pp. 4‒15. 9)Saito K, Kobayashi M: Fukuyama congenital muscular dystrophy. Chapter3. In: Emery AEH (ed): The Muscular Dystrophies. Oxford Press, Oxford, 2001, pp. 39‒54. 10)大川弥生,上田 敏,他:福山型先天性筋ジストロフィー 症(広義)の運動障害の経過についての検討.リハビリ テーション医学.1985; 22: 197‒202. 11)山形恵子,藤本輝世子:先天性筋ジストロフィー(福山型) のリハビリテーション効果.東京女子医科大学雑誌.1993; 63: 440‒445. 12)乗松克政,幸福圭子,他:福山型筋ジストロフィー症児の 訓練について.筋ジストロフィー症の療養と看護に関する 臨床的,心理的研究.厚生省神経疾患研究委託費研究報告 書,1988..
(6) 444. 理学療法学 第 43 巻第 6 号. 13)上田 敏:先天性筋ジストロフィー症(福山型)のリハビ リテーション─ 50 例についての臨床的分析─.総合リハ ビリテーション.1975; 3: 51‒64. 14)上田 敏:福山型先天性筋ジストロフィーのリハビリテー ション.総合リハビリテーション.1987; 15: 793‒894. 15)藪中良彦:小児疾患の理学療法における臨床推論パラダイ ムを考える─脳性麻痺をモデルとして─.理学療法.2015; 32: 725‒733. 16)高橋秀寿,関 勝,他:Gross Motor Function Measure (GMFM) を 用 い た 小 児 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 治 療 の 検 討─文献的考察─.リハビリテーション医学.2005; 42: 475‒488. 17)Russell D:GMFM 粗大運動能力尺度(第 1 版) .近藤和泉,. 他(監訳),医学書院,東京,2000. 18)Russell D, Palisano R, et al.: Evaluating motor function in children with Down syndrome: Validity of the GMFM. Dev Med Child Neurol. 1998; 40: 693‒710. 19)Palisano RJ, Walter SD, et al.: Gross motor function of children with Down syndrome: creation of motor growth curves. Arch Phys Med Rehabil. 2001; 82: 494‒500. 20)下 井 俊 典: 評 価 の 絶 対 信 頼 性. 理 学 療 法 学.2011; 26: 451‒461. 21)SKETCH 研究会統計分科会:臨床データの信頼性と妥当 性.サイエンティスト社,東京,2005. 22)対馬栄輝:SPSS で学ぶ医療系データ解析.東京図書,東 京,2007,pp. 77‒86.. 〈Abstract〉. Reliability and Validity of the Gross Motor Function Measure in Fukuyama Congenital Muscular Dystrophy. Mikiko HASEGAWA, PT, MS Tokyo Women’s Medical University Hospital Osamu NITTA, PT, PhD Tokyo Metropolitan University Tetsuo IKAI, MD Tokyo Women’s Medical University. Objective: The aim of this study was to examine the reliability and validity of the Gross Motor Function Measure (GMFM) as gross motor function measure for Fukuyama Congenital Muscular Dystrophy (FCMD) patients. Method: Subjects were 38 FCMD patients (20 males and 18 females), and the average age was 10.5 years (3-20 years old). One physical therapist evaluated the motor function of all patients by using the GMFM, and at the same time, confirmed the motor function level in Fukuyama Congenital Muscular Dystrophy (motor function level). To investigate the reliability and validity, and to obtain measurement of the internal consistency at Cronbach’sα , the test retest method was utilized to calculate standard error of measurement (SEM) of interclass correlation coefficient (ICC). The validity examined the correlation between of GMFM and motor function level and the correlation of age and exercise capability in every aspect in coefficient correlation of Spearman. Results: All aspects were 0.96 or more in the ICC, and Cronbach’sα was 0.96, and SEM were 2.1 ‒ 4.3%. GMFM is correlated with all motor function level, 0.90 or more. From a scatter diagram, the relations of age with every aspect were able to be confirmed, the correlation was 0.70 ‒ 0.75. Conclusion: GMFM high reliability and validity as gross motor ability evaluation scale of FCMD could be confirmed. Key Words: Fukuyama Congenital Muscular Dystrophy, Gross motor function, GMFM, Motor function level in Fukuyama congenital muscular dystrophy.
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