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在宅におけるパーキンソン病患者への理学療法介入効果の検証

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 148 44 巻第 2 号 148 ∼ 149 頁(2017 年) 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 大. 部),⑤左側大. 部下端(左大. 部)の 5 ヵ所とし,テー. プと伸縮性のバンドにて固定した。. 在宅におけるパーキンソン病患者への理 学療法介入効果の検証.  今回の計測は,5 ヵ所同時に計測し,サンプリング周波数 100 Hz に設定し,加速度センサと角速度センサの 2 つのデー タを採用した。各センサは歩行計測前に重力加速度に対して の補正を行い,専用のデータ送受信装置を取りつけたノートパ. 1). 2). 上村 豊 ,国分貴徳 ,金村尚彦. 2). ソコン(Lenovo,Thinkpad240s)にデータが送られ,専用の labVIEW アプリケーションに転送された。. 1).  計測された加速度データ,角速度データより,アプリケー. 2). ション(スポーツセンシング社,姿勢推定アプリケーション,. オリーブ訪問看護ステーション駒場 埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科. 3D 可視化アプリケーション)を使用し,回転行列を用いて各 キーワード:パーキンソン病,特異値分解,長期介入効果. センサの相対角度を算出した。本研究では,仙骨部に対する, ①後頭部,②胸部,③右大. 部,④左大. 部との相対角度と⑤. 目  的. 胸部に対する後頭部との相対角度の 5 ヵ所の相対角度をそれぞ.  パーキンソン病(Parkinson’s disease:以下,PD)のすくみ足. れピッチ角,ロール角,ヨー角のオイラー角を姿勢角として用. や突進現象などの歩行障害は発症後比較的早期から認められる。. いた。また,取りつける毎にセンサの取りつけ位置が異なるた.  PD 患者に対する理学療法の効果. 1‒3). のほとんどが即時効果. についての報告であり,その対象患者の姿勢や関節可動域およ 4). め,今回は歩行開始前 10 秒間の静止立位時の相対角の平均値 を求め,データの補正を行った。. び筋機能といった機能的側面を含めたものは少ない 。.  本研究では右踵接地時から次の右踵接地時までの 1 歩行周期.  実際の臨床場面では,筋固縮などの筋緊張異常が要因となって. をデータの解析に使用し,往路 3 m までの歩行の歩き始めか. の関節可動域制限や筋機能低下により,全身的な身体機能低下を. ら右下肢の 3 歩目から連続する 2 歩行周期を抽出し,それぞれ. 認め,結果として動きづらさが生じている症例は非常に多い。. 1 歩行周期に分けて使用した。今回は踵接地時期の右大.  そこで今回,本研究においては,在宅の PD 患者を対象とし. 垂直方向の加速度の波形特性を捉えることと動画による踵接地. て,筋緊張異常や加齢により二次的に起こる関節可動域制限お. 時の映像を関連づけて,1 歩行周期を同定した。. よび筋機能低下に対する長期的な理学療法介入が歩行能力に及.  また,計測時の動画を用いて,課題遂行の所要時間と歩数を. ぼす影響について,9 軸モーションセンサを用いた歩行評価に. 算出した。理学療法実施内容は,筋緊張異常や加齢により二次. よって明らかにする。. 的に起こる関節可動域制限および筋機能低下に対して,上下. 方  法. 肢,体幹の関節可動域練習,ストレッチ等を中心に行い,今回. 1.対象. の症例は 1 回 1 時間を,1 週間に 2 回実施した。.  対象は PD 患者 5 名としたが,そのうち 4 名は期間中に体調.  今回は対象者が 1 名となったが,理学療法試行前後で 2 ∼ 3. 不良による入院などの理由で経時的にデータの収集が困難と. 回を 8 ヵ月間計測することができたため,計 76 歩行周期のデー. なったため,今回は 8 ヵ月間データ収集が可能であった 1 名の. タでの解析が可能であった。. データで解析を行った。. 解析方法.  今回データ解析を行った PD 患者(80 歳代,男性)は,発症.   算 出 さ れ た 歩 行 時 の 姿 勢 角 デ ー タ は 演 算 ソ フ ト(The. から約 6 年が経過し,Hoern & Yahr の分類は stage Ⅳ,指示. MathWorks Japan, MATLAB, Release 2014b)を用いて解析. 理解は良好で,屋内は自立歩行可能である。. を行った。.  本研究は研究の実施にあたり,対象者には研究内容について.  今回の歩行の解析として,三嶋ら. 事前にヘルシンキ宣言に基づき書面にて十分な説明を行い,同. による動作の類似と差異の抽出方法を用いた。この手法は,歩. 意を得た。. 行動作の身体各部位の姿勢角データを用いて特異値分解をする. 2.方法. ことで,個人間の歩行の類似成分と個人間の差異を構成する部.  今回の歩行計測は自宅内で行い,歩行路は直線距離 3 m の. 分を抽出することが可能であることを示している。三嶋らの報. ところに線を引き,計測開始前の 10 秒間は静止立位姿勢を保. 告を参考に,今回の解析方法を以下に述べる。. 持し,3 m 先の線の位置で方向転換して元の位置に戻るという.  試行毎の動作を表現するために,5 ヵ所の身体部位に取りつ. 条件にて実施した。歩行計測は,小型のセンサ(ロジカルプロ. けたセンサより算出した 3 方向の姿勢角の計 15 個の時系列デー. ダクト社,小型 9 軸ワイヤレスモーションセンサ,サイズ:. タからなる行列を作成する。. 40 mm × 20 mm × 30 mm,質量 30 g)を使用し,ビデオカ.  試行毎に 1 歩行周期の時間が異なるため,もっとも 1 歩行周. メラ(apple, ipad mini retina Wi-Fi ME280J/A 16GB)による. 期の時間の長いデータ N を基準とし,すべてのデータの時系. 動画撮影も併せて行った。計測時の歩行速度は快適歩行とし,. 列方向の長さをそろえた。今回は,N = 113 でそろえ,1 試行. 理学療法施行前後のそれぞれ 2 ∼ 3 回程度計測した。計測期間. が 15 × 113 = 1,695 とし,8 ヵ月間の全試行数 76 試行を横に. は 1 ヵ月毎に計測し,計 8 ヵ月間実施した。. 並べた行列 D(1,695 行 76 列)を作成し,svd 関数を用いて解. 5). 部の. が提案した特異値分解.  センサの計測部位は①後頭隆起上部(後頭部),②肩甲骨下. 析した。. 角高の胸椎部(胸部) ,③第 2 仙骨部,④右側大.  その解析により,特異値 S,1,695 行 1,695 列の行列 U,76. 部下端(右.

(2) 在宅におけるパーキンソン病患者への理学療法介入効果の検証. 表 1 試行 No. と計測時期と理学療法施行前後. 平均所要 時間(秒). 平均歩数 (歩). 1 ヵ月目. 前. 17.46. 35. 前. 1 ヵ月目. 後. 17.04. 36. 前. 18.33. 38. 計測時期. 理学療法施行前後. 1∼4. 1 ヵ月目. 前. 5∼8. 1 ヵ月目. 後. 2 ヵ月目. 表 2 各計測時期の平均所要時間と歩数 理学療法 施行前後. 試行 No.. 9 ∼ 12. 149. 計測時期. 13 ∼ 16. 2 ヵ月目. 後. 2 ヵ月目. 17 ∼ 18. 3 ヵ月目. 前. 2 ヵ月目. 後. 18.93. 37. 19 ∼ 22. 3 ヵ月目. 後. 3 ヵ月目. 前. 13.26. 27. 前. 3 ヵ月目. 後. 12.32. 26.5. 後. 4 ヵ月目. 前. 14.76. 29.7. 前. 4 ヵ月目. 後. 16.11. 32. 前. 13.97. 29. 23 ∼ 28 29 ∼ 32 33 ∼ 36. 4 ヵ月目 4 ヵ月目 5 ヵ月目. 37 ∼ 42. 5 ヵ月目. 後. 5 ヵ月目. 43 ∼ 48. 6 ヵ月目. 前. 5 ヵ月目. 後. 13.26. 28. 後. 6 ヵ月目. 前. 13.04. 26.7. 前. 6 ヵ月目. 後. 12.63. 28. 後. 7 ヵ月目. 前. 12.96. 26.7. 後. 12.18. 26.3. 49 ∼ 52 53 ∼ 58 59 ∼ 64. 6 ヵ月目 7 ヵ月目 7 ヵ月目. 65 ∼ 70. 8 ヵ月目. 前. 7 ヵ月目. 71 ∼ 76. 8 ヵ月目. 後. 8 ヵ月目. 前. 12.81. 27. 8 ヵ月目. 後. 12.29. 27. 行 76 列の V が算出される。また,行列 U の各列は左特異ベク トル ui,行列 V の各列は右特異ベクトル vi と表現され,それ ぞれの第 i 番目の要素は第 i モードと呼ばれている。 = 1,2, … ,76)とし,ここで σ i ≥ σ i ≥ … σ 76  特異値 S を σ(i i ≥ 0 とする。この特異値 σ i は各モードで抽出される特徴の試行 に依存しない寄与の大きさを示し,左特異ベクトル ui は各モー ドの運動の特徴を,右特異ベクトル vi は各モードが各試行に 対してどのように寄与しているかを示している。 結  果  データから算出された 1 歩行周期を 1 試行とし,歩行時期と 理学療法施行前後で計測した試行数を表 1 に示す。. 図 1 V1 と V2 の散布図.  また,それぞれの課題遂行の所要時間とその歩数を表 2 に示す。  今回,全 76 試行の 1 歩行周期を特異値分解して算出された. 意義は十分にあると推察される。. 特異値 S の結果より第 2 モードまでの結果を採用した。.  しかしながら,今回の結果のみでは必ずしも理学療法介入によ.  今回は各試行に対して寄与している右特異ベクトル vi の第 1. り歩行動作の変化が抽出されたとは断定できず,考えられる他の. モードと第 2 モードを用いて散布図を作図した。その結果,1. 要因との比較検討が必要であり,また身体部位の変化した点につ. ∼ 52 試行と 53 試行以降で歩行の変化が抽出された(図 1)。. いても解析していないので,少なくとも変化した前後での歩行動. 考  察. 作の変化を明らかにし,症例数を増やして検討する必要がある。.  今回の結果から,1 ∼ 52 試行と 53 試行以降との歩行におい. 謝辞:本研究を進めるにあたり,解析方法におけるご指導と協. て明らかな変化があったことが抽出され,表 2 より,歩行計測. 力を京都大学大学院工学研究科の中西弘明氏から頂戴したこと. 条件の所要時間の短縮や歩数の減少がみられることから,本症. に感謝申し上げます。. 例の歩行能力の向上が図られたことが示唆された。. 文  献.  歩行の変化が抽出された時期がちょうど 7 ヵ月目以降であ り,この前後で抗パーキンソン病薬の変更やその他の内服薬の 変更がないことを考慮すると,理学療法施行により歩行の変化 が抽出された可能性がある。  また,今回の結果では,理学療法施行前後での歩行の変化 がないことから,即時的な効果は得られにくいが,Hoern & Yahr の分類が stage Ⅳの症例においても 6 ヵ月の長期的な介 入により歩行能力の改善の可能性が示された。また 1 ∼ 52 試 行のデータから,少なからず歩行能力の大きな変化は抽出され ていないため,歩行能力は維持されている点においても,パー キンソン病患者の筋緊張異常や加齢により二次的に起こる関節 可動域制限および筋機能低下に対する長期的な理学療法介入の. 1)二階堂泰隆,佐藤久友,他:パーキンソン病患者に対する 後進歩行運動が姿勢と姿勢制御に与える即自効果.理学療 法科学.2011; 26(4): 549‒553. 2)羽崎 完,小山英央,他:パーキンソン病に対する腹臥位 療法の効果の検証.理学療法学.2007; 34: 654. 3)山出宏一,高橋精一郎,他:パーキンソン病患者に対する 逆説性歩行訓練における効率的歩幅の検討.理学療法科 学.2012; 27(5): 529‒533. 4)武澤信夫,中川正法:Unified Parkinson’s disease rating scale と三次元動作解析を用いたパーキンソン病患者のリ ハビリテーションの有効性の効果.Jpn J Rehabil Med. 2010; 47(11): 791‒800. 5)三嶋賢一,金田さやか,他:特異値分解を用いた動作にお ける個人間の類似と差異の抽出.電子情報通信学会論文誌 A.2011; J94-A(4): 293‒302..

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参照

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