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一面せん断試験によるコムギ根量が作土のせん断強度に及ぼす補強効果の評価

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2016 年 7 月 20 日受理 連作責任者:連絡責任者:友部 遼       ([email protected]

一面せん断試験によるコムギ根量が作土の

せん断強度に及ぼす補強効果の評価

友部 遼・村上 章

京都大学大学院農学研究科(〒 606-8502 京都府京都市左京区北白川追分町) 要旨: 転び型倒伏を予測するためには,根と土の混在する領域(以下,「根混じり土」と呼ぶ)のせん断強度を把 握することが重要である.土のせん断強度は,粘着力と内部摩擦角により表現され,これらを強度定数という. 強度定数を簡易に計測できる試験に,一面せん断試験がある.根混じり土の強度定数は土の強度定数に根による 補強効果を加えた値として理解されるが,作物の根混じり土の強度定数および補強効果の計測例は少ない.本研 究では,作物根を含む根混じり土のせん断強度を把握することを目指し,コムギ根混じり土を対象に,異なる土 壌水分と根含有量を有する試料に対して,一面せん断試験により強度定数の測定を試みた.測定では,根混じり 土および土の不撹乱試料を同一圃場内より採取し,含水比を調整して供試した.結果として,地際部断片を含む 試料において試験精度の低下が確認されたほかは,含水比や根乾物含有量の違いによらず,高精度で強度定数を 得ることが可能であった.また,根による土の補強効果は,主に粘着力の増加として認められ,現地含水比では 10~25 kPa 程度の増加が確認されたが,高含水比(塑性含水比)ではほとんど認められないことが明らかとなった. キーワード:転び型倒伏,せん断補強効果,一面せん断試験,コムギ,コンシステンシー

緒言

作物単収を安定的に高く維持する上で,倒伏は重要な問 題である.倒伏は,作物体地上部が風雨等の外力を受けた 結果,地上部または地下部が変形することにより,作物体 が倒れ伏す現象である.倒伏は世界各地でしばしば発生し, 発生が著しい場合,収穫作業の妨げ,収穫物の品質悪化お よび収量の低下を引き起こすため,作物単収の維持・向上 に対する障害となる(Berry et al. 2004). 倒伏は,地上部がたわむまたは折れることによるもの,お よび地下部に変形が生じるものに分類され(例えば,Berry et al. 2003,2004),後者は転び型倒伏と呼ばれる.転び型倒 伏の発生の有無や程度は作物体の形態的・物理的特性のみ ならず,土のせん断強度にも影 響を受ける(Baker et al. 1998).せん断強度とは,材料がせん断破壊に至るせん断応 力を意味する.せん断応力とは,第 1 図上図に示すように 材料をせん断した際に,材料内部のせん断面に沿って生じ る応力である.また,転び型倒伏は根と土の混在する領域 にせん断変形を生じる,不可逆な現象である(Scott et al. 2005).そのため,転び型倒伏が一度発生すれば,発生以降 収穫期に至るまで先述の悪影響が持続する.根と土の混在 する領域の力学挙動の予測が困難であるため,転び型倒伏 の予測評価は未だに発展していない(Berry et al. 2004). 転び型倒伏を理解し,予測するためには,根と土の混在 する領域(以下,「根混じり土」と呼ぶ)のせん断強度を 把握することが重要である.土や根混じり土のせん断破壊 の代表例として,自然斜面における地すべりが挙げられる. 地すべりは,斜面のせん断強度を上回るせん断応力が土中 の至るところに生じた結果,第 2 図に示すように斜面のせ 第 1 図 せん断強度およびせん断強度試験の例.

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論 文

(2)

ん断破壊が連続したすべり面が生じることで引き起こされ る.そこで,自然斜面における地すべりを予測・評価する ため,土および根混じり土のせん断強度が計測され,自然 斜面のせん断強度の推定が試みられてきた.転び型倒伏に おいても,せん断破壊が生じると考えた.転び型倒伏は地 下部の押し倒し抵抗モーメントに対して地上部モーメント が上回ることによって生じる(例えば,島田ら 2002).地 下部にモーメントが伝達されれば斜面のすべり破壊と同様 にせん断応力が生じ(第 3 図),せん断応力がせん断強度 を上回れば,地下部のせん断破壊によって転び型倒伏が発 生すると考える. 土および根混じり土のせん断強度は,せん断応力の生じ る面に垂直にかかる応力(垂直応力)に比例することが知 られ,比例式を特徴付ける切片及び傾きが強度定数となる. 比例式は, Mohr-Coulomb の破壊基準式(または破壊線) と呼ばれ,次式で表される.         (1) ここに,τ は破壊面に生じるせん断応力,σ は破壊面の垂直 応力である.ϕ および c はそれぞれ内部摩擦角,粘着力と 呼ばれる.第 1 図下図に示すように,Mohr-Coulomb 破壊線 の切片が粘着力,傾きが内部摩擦角であり,これら 2 つを 総称して強度定数と呼ばれる.これらは,土または根混じ り土の材料ごとのせん断強度特性を表すパラメータとなる. 土および根混じり土の強度定数は,一面せん断試験によ り簡易に計測できる.一面せん断試験とは,第 1 図に示す ように,せん断箱と呼ばれる上下に分かれた金属製の箱に 土(または根混じり土)試料を封入し,垂直に圧力を載荷 しつつ,上下せん断箱をずらすことにより,土試料をせん 断し,その際の最大のせん断強度を測定するものである. 一面せん断試験を一つの材料に対して 4 回以上の異なる垂 直応力の下で実施することで,前述の Mohr-Coulomb 破壊 線および粘着力および内部摩擦角の各強度定数を得る(地 盤工学会 2011). 転び型倒伏を想定した場合,2 つの強度定数のうち粘着 力がより重要となる.転び型倒伏が問題となる作物におい て,根は非常に垂直応力の小さい(高々 10 kPa 程度である) 地表部に分布する.土および根混じり土のせん断強度は垂 直応力に比例するため,垂直応力の小さい領域においては, 土および根混じり土のせん断強度はほぼ切片である粘着力 に等しい.このため,転び型倒伏の発生する領域の土及び 根混じり土のせん断強度特性を主として代表する強度定数 は,粘着力であるといえる. 根混じり土の粘着力は,根を含まない土の粘着力に,根 による補強効果を加えた値として求められてきた(例えば, 執印 2009).根混じり土では,根が土中に混入することによ り,繊維の補強効果(Gray et al. 1983)と同様に,根の引張 抵抗と根 - 土境界面の周面摩擦がせん断強度の増加に起因 する.この補強効果は破壊基準式の強度定数である内部摩 擦角および粘着力の増大として定量的に見積もることがで きる(例えば,執印 2009).樹木根や牧草などの土の補強効 果は,これまでに Waldron(1977),阿部(1996),山田ら(2000), 北原(2010),執印(2009)によって実測されており,粘着 力に対する補強効果が次式のように評価された.        (2) ここに,c soil+ root(kPa)は根混じり土のせん断試験結果か

ら得られた粘着力,csoilは同条件下で,根の混入がない土 第 2 図 斜面内部のせん断応力およびせん断強度試験 の例. 㻨ᩳ㠃䛾⮬㔜䝰䞊䝯䞁䝖䛻䜘䜛ᆅ┙ෆ㒊䛫䜣᩿ຊ䛾౛> 㻨୍㠃䛫䜣᩿ヨ㦂䛻䜘䜛䛫䜣᩿ᙉᗘィ 㻪 䛩䜉䜚㠃 ⮬㔜䛻䜘䜛䝰䞊䝯䞁䝖 䛫䜣᩿ᛂຊ 䛫䜣᩿ᛂຊ 第 3 図 転び型倒伏時のせん断応力およびせん断強度 試験の例. 㻨ᆅୖ㒊䝰䞊䝯䞁䝖䛻ᑐ䛩䜛ᆅୗ㒊䛫䜣᩿ᛂຊ䛾౛㻪 㻨୍㠃䛫䜣᩿ヨ㦂䛻䜘䜛䛫䜣᩿ᙉᗘィ 㻪 䛩䜉䜚㠃 ᆅୖ㒊ᰴඖ ᆅୖ㒊䝰䞊䝯䞁䝖 ᰿ ᰿ ᆅୗ㒊䛫䜣᩿ᛂຊ 䛫䜣᩿ᛂຊ ᆅ⾲㠃

(3)

のせん断試験結果から得られた粘着力であり,Δ croot (kPa) は前者から後者を差し引くことにより求められる,根によ る土の補強効果である.以下,補強効果はこのΔ croot(kPa) を意味する. 作物の根を含む根混じり土に対しても,根混じり土の強 度および補強効果を計測することは重要である.根混じり 土のせん断試験および補強効果の計測は,主に自然斜面に おける樹木根の補強効果を検討する目的に行われてきたた め,作物では未だ根混じり土の強度および補強効果の計測 例は少ない.しかし,先述の通り,転び型倒伏の予測評価 を目指す上で,根混じり土のせん断強度および根による土 の補強効果を把握することは重要である.その上で,これ まで自然斜面の根混じり土に対して行われた,一面せん断 試験によるせん断強度定数および補強効果の計測が,作物 の根を含む根混じり土に対しても可能であるかを検討する 必要がある.なぜならば,自然斜面における地すべりと転 び型倒伏は力学現象としては類似しているものの,スケー ルの差異,土質条件および垂直応力のスケールに大きな差 異があるため,作物の根を含む圃場土に対して,自然斜面 を想定して構築された一面せん断試験が実施可能である か,また Mohr-Coulomb の破壊基準が適用可能であるかは 明らかでないためである. 本研究では,一面せん断試験により強度定数および補強 効果を計測できるかを検討するため,下記の 3 点を調べた. (1) 作物において一面せん断試験による根混じり土の強度 定数の計測が可能であるか,(2)根の補強効果の計測が可 能であるか,(3)(2)において補強効果が測定可能である 場合,補強効果と土壌水分量や根量との関係はみられるか, の 3 点である.(1)に関しては,一面せん断試験により垂 直 応 力 - 最 大 せ ん 断 応 力 関 係 を 求 め, 回 帰 直 線 と し て Mohr-Coulomb 破壊線を得たときの決定係数が十分に高い 値(> 0.99)であれば,一面せん断試験による強度定数の 計測が十分に可能であるといえる.一方で,決定係数が低 い場合,または試験手順上に支障が生じれば,一面せん断 試験の適用が困難であることを示唆する.また,(2),(3) においては,補強効果が正の値として見積もられれば,作 物根を含む根混じり土においても補強効果を見積もること が可能であり,先行研究と同様に補強効果と根形質や土壌 水分条件との検討が期待される. 本研究では,コムギ根混じり土を対象検討とした.その 理由として,コムギが重要な作物であること,しばしば転 び型倒伏が発生し問題となること(例えば,Baker et al. 1998),不撹乱土供試体の採取が容易であること,および 細根が一様に分布し,連続体近似が適用しやすいことが挙 げられる.

材料および方法

含水比,根の有無,サンプリング深さの相異なる合計 16 ケースの試験を行った.試験ケースの内訳を第 1 表に 示す.一面せん断試験の供試体は, (I)コムギ株元地点よ り採取された供試体,および (II)欠株地点より採取され たものの 2 種類の供試体を,それぞれ (i)現地含水比(18 %)または(ii)塑性限界含水比(28 %)に調整した.以 上の区分に加えて,相異なる 4 種類の深さより得られた供 試体を供試した.一面せん断試験については各ケースに対 し 4 個または 5 個の供試体をそれぞれ異なる垂直応力のも とで試験を行い,垂直応力 - せん断強度関係の回帰直線よ り強度定数を得る. また,ケースごとに,土のせん断強 度定数,根混じり土の強度定数を計測し,その差より補強 効果を見積もった. 以上のせん断試験に加えて,コムギ 株元地点の供試体に対しては,試験後に土単位体積あたり の根の乾物含有量を計測した. 試験手順を下記に示す.材料として,京都大学大学院農 学研究科附属京都農場内畑圃場(京都市)において栽培さ れたコムギ(品種:ニシノカオリ)の根域,および同一圃 場内の欠株地点の作土層を対象とした.播種は 2013 年 11 月 27 日,サンプリング日は,2014 年 5 月 3 日(開花開始 から 3 日後)であり,5 月 4 日に液性限界・塑性限界試験を, 5 月 5 日から 5 月 21 日に渡り 1 供試体ずつ一面せん断試 験を行った.サンプリング地点は, ①生育中庸で作条方向 に連続する 9 個体,および ②同一圃場内で,雑草の繁茂 のない欠株地点,の 2 地点を対象とした.現場において, 地際部から深さ 8 cm までの層を 2 cm ずつ,計 4 層を圧密 リング(内径 6 cm,高さ 2 cm の金属製のリング)により 採取した(第 4 図).サンプリングの手順は以下の通りと なる.地上部を刈り取った後,1 株ごとに,株の中心が圧 密リングの中心と一致するように圧密リングを置き,圧密 リングを地面に対して垂直に挿入し,1 つ目の圧密リング が完全に地中に埋まった後に,次の圧密リングを真上から 同様に挿入した.これを 4 回繰り返すことで,深さ 8 cm まで連続して圧密リングを挿入した.その後,周囲の土と ともに圧密リング及びその中にある土を掘り起こし(第 5 図), 余分な土を丁寧に除去した上で,ソイルナイフ及び カッターナイフを用いて,圧密リング間の土を切り離すこ とで,根混じり土の供試体を,撹乱を防ぎながら採取した. 採取した供試体は乾燥や腐敗を避けるためラップに包み, 冷蔵庫にて保存した.また,同時に①,②両地点からそれ ぞれ乱した土を採取し,土の塑性限界・液性限界試験(JIS 第 1 表 試験ケース番号の一覧 ⌧ᆅྵỈẚ 㧗ྵỈẚ㻚 ᅵ ᅵ㻗᰿ ➨㻝ᒙ㻔㻙㻜㻚㻜䡚㻙㻞㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻞ᒙ㻔㻙㻞㻚㻜䡚㻙㻠㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻟ᒙ㻔㻙㻠㻚㻜䡚㻙㻢㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻠ᒙ㻔㻙㻢㻚㻜䡚㻙㻤㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻝ᒙ㻔㻙㻜㻚㻜䡚㻙㻞㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻞ᒙ㻔㻙㻞㻚㻜䡚㻙㻠㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻟ᒙ㻔㻙㻠㻚㻜䡚㻙㻢㻚㻜㼏㼙㻕 ➨㻠ᒙ㻔㻙㻢㻚㻜䡚㻙㻤㻚㻜㼏㼙㻕 䜿䞊䝇㻝㻙㻝 䜿䞊䝇㻝㻙㻞 䜿䞊䝇㻝㻙㻟 䜿䞊䝇㻝㻙㻠 䜿䞊䝇㻟㻙㻝 䜿䞊䝇㻟㻙㻞 䜿䞊䝇㻟㻙㻟 䜿䞊䝇㻟㻙㻠 䜿䞊䝇㻞㻙㻝 䜿䞊䝇㻞㻙㻞 䜿䞊䝇㻞㻙㻟 䜿䞊䝇㻞㻙㻠 䜿䞊䝇㻠㻙㻝 䜿䞊䝇㻠㻙㻞 䜿䞊䝇㻠㻙㻟 䜿䞊䝇㻠㻙㻠

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A 1205)を行った.供試土の採取時の含水比ならびに液性 限界・塑性限界を第 2 表に示す.ここに,含水比は土の固 相の質量(土粒子の質量)に対する土壌水の質量の比を意 味する.土の強度試験は土の圧縮を伴うため,気相を含め ない含水比により土壌水分状態を代表させることが一般的 である.このため,本研究においても含水比を土壌水分の 指標として用いる.サンプリング後,試験直前に含水比を 塑性限界または現地含水比に調整し,一面せん断試験器(第 6 図 )のせん断箱に供試体を封入した後,ケースごとに 4 または 5 回,異なる垂直応力をかけて一面せん断試験を 行った.試験後に,コムギの根域において採取した供試体 に対して,供試体を水洗いして根を洗い出し,3 日間風乾 ののち 70℃にて 48 時間炉乾燥し,乾物重量を計測した. 欠株地点において採取した供試体に対しては,念のため, 一部の供試体に対して根の混入の有無を確認したところ, 根の存在がほとんど視認されなかった.そのため,根乾物 重量の測定は行わなかった.試験終了後,一面せん断試験 (JGS 0561)の結果の整理方法に則り,得られた垂直応力 -せん断応力関係から Mohr-Coulomb 破壊線を求め,せん断 強度定数 c および ϕ を算出した.なお,結果の整理にあたっ て,c が僅かに 0 (kPa)を下回る場合は,c を 0 (kPa)と して回帰直線を求めた.

結果

一面せん断試験により得られた垂直応力 - 最大せん断応 力(せん断強度)関係の例を第 7 図に示す.例では,同一 ケースにおいて 4 個の供試体に対して,それぞれ 4 種類の 相異なる垂直応力の下でせん断強度を計測し,その回帰直 線として Mohr-Coulomb 破壊線を得た.強度定数である粘 着力と内部摩擦角はこの直線の切片と傾きから算出され る. 同 様 に し て 各 ケ ー ス に お い て 得 ら れ た 強 度 定 数, Mohr-Coulomb 破壊線の決定係数,および根乾物含有量を 第 3 表に示す. 供 試 体 に 地 際 部 断 片 の 混 入 し た 一 部 の ケ ー ス で は, Mohr-Coulomb 破壊線の決定係数は 0.99 を大きく下回った. 回帰直線の決定係数は通常は 0.99 程度であるが,ケース 1-1,3-1,3-3,4-2 ではより低い値となった.このうちケー 第 5 図 サンプルの回収. 第 7 図 Mohr-Coulomb の破壊線の一例. 第 6 図 一面せん断試験器. 第 4 図 圧密リングによるサンプリング. 第 2 表 塑性限界・液性限界試験結果 . ᾮ ᛶ 㝈 ⏺   ረ ᛶ 㝈 ⏺   ረ ᛶ ᣦ ᩘ    䝁䝮䜼ᰴ ඖ ᆅ Ⅼ    Ḟ ᰴ ᆅ Ⅼ   

(5)

ス 1-1,3-1,3-3 においては,試験後の観察により,地際 部断片が混入していることが確認された.混入した地際部 断片は直径 1.0 ∼ 3.0 (cm)程度であり,本試験において 許容される最大粒経である 2.0 (mm)を大幅に上回る大き さであった.また,地際部断片と土の間に亀裂が生じた. これは,地際部断片の応力と土の応力が不連続となってい ることを示している.よって,土または地際部に集中的に 応力が生じることで,該当供試体のせん断強度が低下また は増加し,一面せん断試験の精度を低下させるに至ったと 考えた.なお,ケース 4-2 においては,粒大の大きい小石 の混入があったことにより,同様にしてせん断試験の精度 が低下したと考えられた.一方で,上記のケースを除く試 験においては,決定係数が 0.99 以上であり,精度よく一 面せん断試験を行うことができた. 現地含水比においては,全層において根混じり土の粘着 力が土の粘着力を上回ったことが確認された.一方で,高 含水比においては,根混じり土と土の粘着力の間に明瞭な 差は認められなかった.各ケースにおいて,表層のせん断 強度を示す粘着力 c は第 8 図の通りである.ただし,図中 の黒抜き,白抜きはそれぞれ根混じり土,土の粘着力であ ることを示す.現地含水比における根混じり土(ケース 1) および土(ケース 2)の粘着力を比較すると,全層におい て根混じり土の粘着力が土の粘着力を上回る.一方で,高 含水比における根混じり土(ケース 3)および土(ケース 4) の粘着力を比較すると,根混じり土と土の粘着力の間に明 瞭な差は見られなかった.なお,ケース 3-3 においては 20 (kPa)程度の大きな粘着力が計測されているが,これ は先述の供試体の不均一性によるものと考えられた. よって,根による補強効果は現地含水比において 10 ∼ 25 kPa 程度と見積もられたが,高含水比においては認めら れなかった.横軸に示す各層ごとに,コムギ株元地点の粘 着力を c soil+rootとし,欠株地点の粘着力を csoilとして,こ れらの差として根による補強効果Δ croot を縦軸に表した図 を第 9 図に示す.全層において,10 ∼ 25 (kPa)程度の粘 着力が認められ,特に 1 層目および 4 層目でより高い値と なった.このうち,1 層目は根混じり土のせん断試験にお ける決定係数が小さいため,1 層目の補強効果の測定精度 は低いと考えられる.一方で,2 ∼ 4 層目においては,根 混じり土および土のいずれのせん断試験においても決定係 数は十分に高いため,精度よく補強効果を見積もることが できたと考える. 現地含水比において,補強効果と根乾物含有量との間に は明瞭な傾向は認められなかった.現地含水比における各 層ごとの補強効果Δ crootと根乾物含有量との関係を第 10 第 8 図 含水比,地点,深さ別の粘着力 c. 第 9 図 現地含水比,各深さにおける補強効果Δ croot.. 第 10 図 根乾物含有量 - Δ croot関係 (kPa). 第 3 表 一面せん断試験による強度定数,決定係数, および根乾物含有量 . 㻌 ྵ Ỉ ẚ ᥇ ྲྀ ᆅ Ⅼ 㻌 ᥇ ྲྀ ῝ 䛥㻌 ヨ 㦂  䜿䞊䝇 ␒ ྕ  F N3D ᷑ GHJ 5  ᰿ ஝ ≀  ྵ ᭷ 㔞  PJFP ⌧ ᆅ ྵ Ỉ ẚ  䝁䝮䜼ᰴ ඖ ᆅ Ⅼ  FP      FP      FP      FP      Ḟ ᰴ ᆅ Ⅼ  FP      FP      FP      FP      㧗 ྵ Ỉ ẚ   䝁䝮䜼ᰴ ඖ ᆅ Ⅼ  FP      FP      FP      FP      Ḟ ᰴ ᆅ Ⅼ  FP      FP      FP      FP     

(6)

図に示す.第 10 図より,2~4 層目において根乾物含有量 および補強効果の差がともに小さかったこと,および 1 層 目が地際部断片を含むことで著しく乾物含有量が著しく大 きいことが示された.また,回帰直線の決定係数も小さく, 本結果からは根乾物含有量と補強効果の間に明瞭な関係は 認められない. さらに,他方の強度定数である ϕ においては,ケース間 の差が無視できる程度に小さかった.全ケースを通じ強度 定数 ϕ の値は 29.9~40.9 (deg.)となった.地表部で想定さ れる垂直応力は 0~10 (kPa)程度であることから,内部摩 擦角の差により生じるせん断強度の差は高々 3.0 (kPa)で ある.よって,粘着力と比較してせん断強度に及ぼす影響 は無視できる程度である.

考察

地際部断片の混入した供試体(ケース 1-1,3-1,3-3) および礫の混入した供試体(ケース 4-2)においては,土 中にクラックが生じたため,一面せん断試験による強度定 数の計測に支障が生じた.このことは,樹木根を対象とし た先行研究では指摘されておらず,コムギ地際部を含む領 域を一様と仮定してせん断したことに特有の事実である. ゆえに,地際部断片の混入するごく表層部,および礫の多 い圃場においては,一面せん断試験による強度定数の計測 に支障が生じることが確認された. 一方で,地際部断片が存在せず,礫層の混入の少ない根 混じり土においては,含水比や根量によらず,一面せん断 試験による強度定数の計測が精度よく行えることが示され た.地際部断片の混入しなかった根混じり土,および礫の 混入の少ない圃場土においては回帰直線の決定係数が十分 に高いことから,一面せん断試験を用いた土の破壊基準の 適用が可能であることが示された. 根による土の補強効果は,主に粘着力の増加として認め られ,現地含水比(18 %)において 10~25 (kPa)程度確 認された.一方で,補強効果は,塑性含水比程度の高含水 比(28 %)へと上昇させることで明瞭でなくなった.こ のことから,補強効果は含水比の上昇により減少すること が示唆された.現地含水比における根混じり土および土の 粘着力の比較より,現地含水比においては全層において根 混じり土の粘着力が土の粘着力を 10 ∼ 25 (kPa)程度上回 る結果を得た.この粘着力の差から,根による補強効果を 見積もることができた.一方で,塑性限界含水比程度の高 含水比に調整した試験においては,根混じり土の粘着力と 土の粘着力の間に明瞭な差は見られず,高含水比において は根による補強効果が認められなかった.先行研究(北原 2010)においては,樹木根の現地引き抜き試験から,高含 水比条件下においても根による補強効果の存在が示唆され ているが,本研究ではその原因を明らかにするには至らな かった. 今後,根乾物含有量と補強効果の関係を検討するために は,十分な反復回数を確保することが必要である.また, 根量の指標を吟味する必要があることが示唆された.第 10 図によれば,プロット数が 4 点と少なく,プロットの 偏りも生じている.加えて,根乾物含有量と補強効果の間 には明瞭な関係は認められない.明瞭な関係が認められな かった理由の一つとして,根含有量の指標として根乾物含 有量を用いたことで,地際部断片を過大に評価した点に問 題があったと考えた.本研究においては,計測が容易であ ることを理由に,根含有量の指標として体積当たり根乾物 重を用いた.先行研究(例えば,執印 2009)においては 密度の高い断片を根量として過大に評価しないよう,根含 有体積や,根長密度が用いられている.したがって,今後 補強効果と根含有量との関係を調査する際には,根長密度 を用いることで,地際部の影響を過大に評価することを避 ける必要がある.また,地際部と土の接触面で不連続面が 生じたことから,一様でない領域においては植物体 - 土間 の接触面を別個に評価する必要があると考える.

謝辞

本研究の実施にあたり,京都大学農学研究科の白岩立彦 教授をはじめとする作物学研究室の皆様には,研究へのご 助言および試験区画や材料のご提供など,多大なご協力を 頂きました.ここに記して,深謝申し上げます.また,長 期にわたって熱心なご指導を下さった同農学研究科の藤澤 和謙准教授に厚く御礼を申し上げます.

引用文献

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Estimation of Reinforced Shear Strength by Wheat Root System using Direct

Shear Tests

Haruka Tomobe1), Akira Murakami2)

1) Agricultural and Environmental Engineering, Faculty of Agriculture, Kyoto University

(Kitashirakawa Oiwake-cho, Sakyo-ku, Kyoto 606-8502, JAPAN)

2) Division of Environmental Science & Technology, Graduate school of Agriculture, Kyoto University

(Kitashirakawa Oiwake-cho, Sakyo-ku, Kyoto 606-8502, JAPAN)

Summary: It is important to understand the shear strength of rooted soil to estimate root lodging of crop plants. The shear

strength of soil is expressed by the cohesion and friction coeffi cients, which are called the strength coeffi cients. The direct shear test is one of the simple procedures for measuring the strength coeffi cients. Strength coeffi cients are understood as the sum of the strength coeffi cients of the soil and the reinforcement of the roots. There have been few studies done on the strength coeffi cients of rooted soil which includes the roots of cereals and the reinforcement of the roots of cereals. In this paper, we attempted to conduct direct shear tests using rooted soils which comprise the roots of wheat under different water contents and different mixing amounts of roots in order to understand the shear strength of rooted soils which contain the roots of cereals. In the measurements, the rooted soils and the soils without stump were sampled from the same cultivated fi eld. The water content of the samples was adjusted before conducting the direct shear tests. As a result, the accuracy of the strength coeffi cients was low for the samples which included pieces of wheat stumps. In contrast, the accuracy of the strength coeffi cients was high for the samples absent of any pieces of stump under any water or root content conditions. In addition, the effect of shear reinforcement against cohesion was mainly confi rmed. It was confi rmed at 10~25 kPa under a moisture weight percentage of 18%; however, it was hardly confi rmed under a percentage of 24~28%.

Key Words:Root lodging, Shear reinforcement effect, Direct shear tests, Wheat, Soil consistency

Journal of Crop Research 61:33-39(2016) Correspondence: Haruka Tomobe ([email protected]

参照

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