Carcin%gica/ Socie砂ofJapan
北海道のウチダザリガニ
Present status o f the alien signal crayfish
Pacifastacus leniusculus
in H o k k a i d o,
J a p a n池田幸資
l K o u s u k e Ikeda . 北海道におけるウチダザリガニの移入と対策の . 研究と得られた知識の現状 現状 北海道にウチダザリガニPacifastacus /eniuscu/us
が最初に放流されたのは, 1930年に東部に位置す る摩周湖であり C}II 井ら, 2009) ,その後,北海道 内の他の地域での報告は見られなかった. しかし 1980年代になると北海道東部の阿寒川水系でウチ ダザリガニが目立ち始め( 蛭田, 1986) ,その後は 急速に分布域を拡大し ,北海道東部の河川, 湿原, 湖招,ダム湖では広く生息が見られ CKawaiet a/.
,
2002),現在では北海道北部の天塩川水系,枝幸町 の河川,北海道中西部の支勿湖と洞爺湖でも分布が 確認されている CUsio ら, 2007). ザリガ ニ類は一 生を通じて淡水域で生活するので,これらの離散的 な分布域の拡大現象は人為的な放流に起因している と考えて良いだろう. 2006年には本種が環境省か ら特定外来生物に指定され,放流等が禁止されたた め,その後は新しく放流に由来すると見られる分布 域の拡大は見当たらないが,すでにウチダザリガニ が定着してしまった水系での分布範囲の拡大は継続 している. そこでは同時に環境省や地域の市民団体 によるウチダザリガニ駆除が精力的に行われ,相当 数がこれまでに除去されている. しかし根絶はもち ろん,一つの水系における個体数の半減といった明 確な除去の成果は見られていない. 1 バシフィックコンサルタンツ株式会社 干06ふー0807 札幌市北 7条西l丁目 2-6Pacific C onsultants Co., L T D, N o巾 7-Nishi 1-2-6,
Sap-poro
,
H okkaido 060-0807,
Japan E- mail : [email protected]五c.co・JP国内で得られたウチダザリガニの生物学的な情報 として,致死が見られる上限水温 C Nakata
et
a/.,
2002),在来の希少種であるニホンザリガニへの悪
影響 CNakata& Goshima
,
2006; Nakataet
a/.,
2004),
水草への影響を示したもの等がある C M atsuzaki,
et
a/.,
2009). 最近ではウチダザリガニの生息が底質 によって規定されている可能性を指摘するものがあ り( 山田ら, 2011) ,これらを集積・体系化するこ とにより,本種の効率的な除去,生息や繁殖抑制の 技術開発が待たれる. さて,ウチダザリガニの由来は,随伴する生物に より判明することがあり,その一つには, ヒルミミ ズ類( 別名ザリガニミミズ) がある . その名のとお りヒル( ヒル類) とミミズ( 貧毛類) の中間的な特 徴を持っており,環形動物門環帯類の一群で英名で crayfish w o r mと呼ばれ,多くは体長が数ミリで,ほ とんどがザリカoニ類への外部共生者である CGelder & Ohtaka, 2000). ヒノレミミズ類はザリガニ類への共 生率が大変に高く,大部分の個体は複数種のヒルミ ミズ類を共生させている. ヒルミミズ類は一般的に 地域ごとの固有性が高いため,移植により由来する 外来種のザリガニ類の地域個体群が存在する場合, この移植元を推定する手がかりになることが多い. また,ウチダザリガニは額角の形状が地域個体群に よって差異があるため,随伴生物の種組成と額角の 形状を組み合わせることにより,一層正確に,定着 した個体群の由来を推定することができる. この方 法によると,北海道内に分布するウチダザリガニの 由来はすべて摩周湖産と推定できる COhtakaet al.,
包本甲殻類学会勾制限w u m R I
節 制I
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図1 . ウチダザリガニ 川井 ・中田 (2009) を引用 2005) . 被害の現状と今後の方向性 ウチダザリガニを食用や肥料として利用して除去 活動の促進を狙う試みもある . しかし食用化や肥料 が黒字に結びつき除去が促進された,との報告は見 られない. また北海道のウチダザリガニが在来の生 態系や水産物に具体的な悪影響を与えた等の,いわ ゆる実害も報告例は極めて乏しい. 少数例のーっと して,釧路市の春取湖にはウチダザリガニが生息 し,これの分布域拡大に反比例して水草が減少し 天然記念物であるヒブナ Carassius auratus auratus の 産卵基質を無くする 事で繁殖に悪影響を与えている 例は分りやすい( 針生, 20 11 ). そのため各種の対 策が急がれているが,これが主な原因でヒブナが減 少したとの解析には至っていない. また同じ釧路市 の阿寒湖では特別天然記念物のマリ モA egagropila linnaeiが生息しており,ウチダザリガニがマリモに 穴を聞けて,そこで生活していた事が報道されてい る. しかし,ウチダザリガニがマリモを直接捕食し て減少させた等の実害の学術的な報告は見られてい
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伺r21 (2012)
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図2. ヒルミミズ類. 川井 ・大高 (2009) を引用. ない. また欧州ではウチダザリガニが川岸に大量の 巣穴を構築し,これにより 川岸がもろくなり ,河畔 林が流されやすくなる事で河川生態系が激変する現 象が報告されている( Nys
仕o m,1999). しかし,この ような例は見当たらず天然での巣穴の構築例すら見 当たらない. 今後,我々はウチダザリガニの除去自体に関して 再度,検討をする必要があるだろう. また,彼らの 在来生態系への悪影響についても,より正確な評価 を行うことが重要となる . 北海道全域のウチダザリ ガニを根絶させるのは現実点では極めて難しいの で,今後の方向性としては 「駆除の緊急性や必要性 の高い場所を抽出して優先的に行う」ことも視野に 入れる必要があるだろう. そして除去については, 根絶が難しいなら止める ,のではなく駆除を通じた 普及教育面を主目的に置き換えることも今後検討し なければならないだろう .園 語 辞
本原稿を作成するに当たり,平成 22 年度 W E C研
究助成を受けて実施した調査を参考にした. 記して 謝意を表する. また図 ! と図 2 は田中真理さんに作成していただいた.
圃 支一
語
Gelder, S., & Ohtaka, A., 2000, Description of n e w species and a redescription of Cirrodrilus aomorensis (Yama-guchi
,
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