1 連携のための関係機関のネットワークづくり
○ 平成 19 年度に内閣府が公表した、「高齢者の健康に関する意識調査」によると、多くの 高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域や自宅で生活し続けることを 望んでいることが分かります。 ○ 一方、高齢者が地域において安心して日常生活を営むことができるようにするためには、 高齢者やその家族の相談を受け適切な機関につなぐ体制の整備、要介護状態等になるおそ れのある高齢者への連続的かつ一貫性を持った予防給付対象サービスと介護予防事業の提 供、要介護高齢者への保健医療サービス・福祉サービス等の組み合わせによる支援等を実 施していく必要があります。 ○ このように、高齢者の健康状態に応じて、地域において、医療、介護その他の関係機関 が緊密に連携し、包括的な支援を実施していく仕組みが必要です。 ○ 各市町村に設置された地域包括支援センターは、地域住民や関係機関等によって構成さ れるネットワークを構築し、それを活用しながら包括的・継続的に高齢者の生活を支える 中核機関として位置付けられています。 ○ しかし、地域包括支援センターは、介護予防支援業務の負担が大きく、地域包括ケアシ ステムの構築に十分取り組めないところも見られます。 ○ ○ 地域包括支援センターが担うべき機能が十分発揮できるよう、職員に対する専門的な研 修の実施や適切な助言を行い、地域における包括的・継続的マネジメントの支援、総合相 談・支援、介護予防マネジメント機能の強化を図ります。 ○ 地域住民や関係機関によるネットワークの構築及び運営が円滑に行われるよう、引き続 き関係機関との連携強化に努めます。 現状・課題 施策の方向第2章 介護と医療、関係機関の連携
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≪ 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー の 概 要 ≫
○ 高齢者が住み慣れた地域で、安心してその人らしい生活を継続することができるよう にするためには、個々の高齢者のニーズや状態の変化に応じて、介護サービスをはじめ 様々なサービスが切れ目なく提供される必要があります。 地域包括支援センターは、こうした“地域包括ケア”の実現に向け、高齢者の生活を 支える役割を果たす中核機関として、相談からサービス調整に至る機能をひとつの機関 で発揮する、いわばワンストップサービスの拠点と位置づけられています。地域包括支援センターのイメージ
○ 地域包括支援センターには、原則として「保健師」「社会福祉士」「主任介護支援専 門員」の3種の専門職が配置され、それぞれの専門性を生かし、相互に連携・協働し てチームとして業務を行います(チームアプローチ)。 ○ 地域包括支援センターは、「総合性」「包括性」「継続性」という3つの視点を持ち、 以下の基本機能を担います。 (1)包括的支援業務 ① 介護予防ケアマネジメント業務 要介護状態になることをできる限り予防するために、本人ができることはでき る限り本人が行うことを基本として、利用者の主体的な活動と参加意欲を高める ことを目指して、二次予防事業対象者(介護予防事業)・要支援者(介護予防サ ービス)の双方を対象に、具体的な日常生活上の目標を明確にし、セルフケアや 主任介護支援専門員 社会福祉士 保健師等 ・センターの運営支援、評価 ・地域資源のネットワーク化 ・中立性の確保 ・人材確保支援 高 齢 者 虐待防止 介護サービス 民生委員 ボランティア 医療サービス ヘルスサービス 成年後見制度 介護相談員 地域権利擁護 行政機関、保健所、医療機関、児童 相談所など必要なサービスにつなぐ 介護支援専門員 主治医 ケアチーム 連携 包括的・継続的マネジメント ・日常的個別指導 ・支援困難事例等への指導・助言 ・地域での介護支援専門員の ネットワークの構築 総合相談・支援 介護予防ケアマネジメント ・アセスメントの実施 ↓ ・プラン(支援計画)作成 ↓ ・予防事業等の実施 ↓ ・再アセスメント 介 護 予 防 事 業 ・ 予 防 サ ー ビ ス 支援 多職種協働・連携の実現 主治医 マネジメント 居宅介護支援 事業所へ委託 する場合もあり 長 期 継 続 ケ ア マ ネ ジ メ ン ト 虐待防止・早期発見、権利擁護 多面的(制度横断的)支援の展開 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 運 営 協 議 会 権利擁護・相談を担う関係者 介護保険サービスの関係者 NPO等の地域サービ スの関係者 地域医師会、介護支援 専門員等の職能団体 利用者、被保険者(老人クラブ等) 包括的支援事業の円滑実施及 びセンターの中立性・公平性の 確保の観点から、地域の実情を 踏まえ構成員を選定する。 市 町 村 ご と に 設 置 ( 市 町 村 が 事 務 局 ) 地域包括 支援センター地域の公的サービス・介護保険サービスを適切に利用する計画を作成、達成状況 を評価し必要に応じて計画の見直しを行います。 介護予防事業、介護予防サービスいずれにおいても「個々の高齢者の自立支援」 が基本理念であり、一貫・継続したケアマネジメントを行うこととしています。 ② 総合相談支援業務 地域の高齢者の実態把握を行い、地域から支援を必要とする高齢者を見いだし、 相談につなげるとともに、適切な支援・継続的な見守りを行い、更なる問題の発 生を防止するために、地域における様々なネットワークを構築します。 個々の高齢者がどのような支援を必要としているかを把握し、地域における適 切なサービス、関係機関や制度の利用につなげる等の支援を行います。 ③ 権利擁護業務 独居の認知症高齢者等、世帯内に適切な意思決定をできる人がいない場合や、 高齢者虐待、リフォーム詐欺等他者からの権利侵害が疑われる場合などに、高齢 者の人権や財産を守る成年後見制度や、社会福祉協議会が行う日常生活自立支援 事業の活用などを支援します。 ④ 包括的・継続的ケアマネジメント業務 地域住民や関係機関等によって構成される人的ネットワーク(地域包括支援ネ ットワーク)を活用しながら、介護支援専門員、主治医をはじめ、地域のさまざ まな関係者が連携・協働することで、保健・医療・福祉その他の生活支援サービ スなどを含め、地域における様々な資源を活用し(「包括的」)、とぎれること なく(「継続的」)、施設・在宅を問わず地域における生活を支援します。 具体的には、種々のネットワーク構築や、医療機関を含めた関係機関との連携・ 協働体制の構築、地域の介護支援専門員支援などがあります。 (2)介護予防支援業務 介護予防支援事業所としての指定を受けて、介護保険における予防給付の対象と なる要支援者が、介護予防サービスの適切な利用等をすることができるよう、介護 予防サービス計画を作成します。 ○ 地域包括支援センターの責任主体は市町村であり、市町村が地域包括支援センター を活用しながら地域包括ケアを実現することになります。 そのため、市町村は、地域住民や関係機関からなる「地域包括支援センター運営協 議会」を設置し、センターの公正・中立性を確保するなど、地域包括支援センターの 運営を支援します。
2 介護と医療等の連携強化
(1)介護サービスにおける連携
○ 高齢者が要介護状態等となった場合、介護給付等対象サービスを中心に様々な保健医療 サービス及び福祉サービスを組み合わせながら、地域における日常生活の継続を支援する 体制を整備することが必要となります。 ○ 重度の要介護高齢者の在宅生活を支えるためには、日中・夜間を通じて、訪問介護と訪 問看護が密接に連携する必要があります。このため、訪問介護と訪問看護が短時間の定期 巡回型訪問と随時の対応を行う「定期巡回・随時対応サービス」が創設されました。 ○ また、看護と介護サービスの一体的な提供により医療ニーズの高い要介護者への支援の 充実を図る観点から、小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複数のサービスが一つの事業 所から提供される「複合型サービス」が創設されました。 ○ 加えて、平成 23 年の介護保険法等の一部改正により、介護福祉士や一定の研修を受けた 介護職員等によるたんの吸引等の実施が平成 24 年度から可能となりました。施設入所者の 介護度が重度化している状況の中、たんの吸引や経管栄養が必要となる要介護者の入所が 妨げられないように、たんの吸引等を実施できる介護職員等の養成について進めて行く必 要があります。 ○ 要介護高齢者等が退院した場合には、在宅での生活支援が円滑に行われるように配慮す る必要があります。このためには、医療機関と介護支援専門員等の間の情報共有が行われ、 ケアプランに適切に反映されることが求められています。(2)認知症高齢者にかかる連携
○ 認知症高齢者については、早い時期に認知症の診断を受けることによって、本人と介護 者の生活の質を高め、家族の介護負担の軽減や適切な介護サービスの提供が可能となると ともに、介護者が認知症の症状に気付き、適切な情報提供をすることにより、認知症の早 期発見につながることにもなります。また、施設に入所されている認知症高齢者が入退院 する場合においても、医療と介護との連携が必要です。 ○ 本県では、平成 18 年度からかかりつけ医に対して、適切な認知症診断の知識・技術や 家族からの話や悩みを聞く姿勢を習得するための研修を実施し、「もの忘れ相談医」とし て公表しています。 ○ 認知症診療を行っている専門の医療機関を調査し、「認知症に関する相談先一覧」とし て、公表していますが、さらに、県民や関係機関に広く周知するとともに、随時、内容の 見直し等により活用しやすい情報を提供していく必要があります。 ○ 認知症の悪化防止の観点からは、認知症症状だけでなく、身体合併症が悪化した場合の 適切な医療の提供が求められています。 現状・課題○ 平成 22 年度から平成 23 年度まで、医療と介護の連携強化に向け、関係機関が抱えてい る課題を共有し、今後の対応策を検討することを目的とした検討会を開催しました。その 中で、医療や介護の社会資源には地域差があるため、専門機関に関する情報提供の方法や 連携ツール、連携方法等について検討がなされました。
(1)介護サービスにおける連携
○ 24 時間対応の定期巡回・随時対応サービスが適切に提供されるよう、市町村での適 切な整備について技術的な助言を行います。 ○ 複合型サービスにより医療及び介護のニーズに応じた柔軟なサービスが円滑に提供 されるよう、市町村での適切な整備について技術的な助言を行います。 ○ 介護福祉士や介護職員等がたんの吸引等を実施する条件となっている研修を開催し、た んの吸引等を実施可能である介護職員等を養成するほか、事業者登録を行うなど、体制整 備を推進します。 ○ 入院医療から退院後の在宅復帰が円滑にできるよう、医療機関と居宅サービス事業所と の情報共有が行える体制整備を促進します。(2)認知症高齢者にかかる連携
○ 認知症を早期に発見し、早期の適切な対応を推進するため、「もの忘れ相談医」や認知 症専門医療機関、認知症の相談窓口等の情報を定期的に調査し、内容を更新のうえ、県民 や関係機関等に対して周知します。 ○ 地域におけるかかりつけ医同士の連携や、専門医療機関との連携のあり方等について、 検討会の内容を公表・周知するとともに、効果的な取組に関する情報を提供するなどして、 それぞれの機関を有効に活用できるよう努めます。 ○「もの忘れ相談医」や医療機関等の連携強化を図るための研修等を行い、認知症の早期発 見・早期対応の体制整備を推進します。 施策の方向1 県における相談・支援体制
(1)県介護実習・普及センター
○ 高齢者が地域において安心して日常生活を営むことができるようにするためには、高齢 者やその家族に生活上の様々な不安が生じた場合に、相談を受け、適切な機関につなぐ等 の対応を行う体制を整備することが必要です。 ○ 県介護実習・普及センターでは、福祉機器展示室を開設し、多様な福祉用具の展示を行 うとともに、相談員を配置し、相談等に対応しています。 ○ 市町村及び地域包括支援センター等で対応できない高度で複雑な福祉用具の活用及び住 宅改修についての相談に対応するため、福祉用具・住宅改修に関し専門的な知識を有する 者を登録し、地域や相談者の自宅等へ派遣しています。 ○ 県民介護講座を開催し、県民一般の介護に関する基礎的な知識や技術の普及を推進して います。 ○ 指導者として必要な知識・技術の習得に重点をおいた研修を実施し、地域福祉の中核と して指導的役割を担える人材の養成を推進しています。 ○ 高齢化が急速に進んでいることから、福祉用具及び住宅改修に関する相談体制の整備や、 介護知識や介護技術の普及により介護家族の負担の軽減を図っていく必要があるため、今 後とも相談体制の強化、研修内容を充実していくとともに、県介護実習・普及センターの 利用促進のため、PRしていく必要があります。(2)県高齢者総合相談センター
○ 県高齢者総合相談センターは、高齢者やその家族が抱える法律、医療、年金など様々な 心配ごと、悩みごと等に対する相談に応じていますが、年々、相談内容が高度化・専門化 する傾向にあります。 ○ 同センターが県北地域に位置しているため、他の地域からの相談件数が相対的に尐ない ことから、市町村への相談員の派遣による巡回相談会等を通して、県内すべての地域の高 齢者に対して相談サービスを提供できるようにする必要があります。( 3 ) 認 知 症 コ ー ル セ ン タ ー
○ 高 齢 者 の 増 加 に 伴 い 、 認 知 症 高 齢 者 も 増 加 し て い ま す 。 ○ 認知症高齢者が在宅での生活を継続していくには、本人や本人を支える家族の心身の健 康を保つことが重要となるため、平成 22 年度から認知症コールセンターを開設しています。 認知症介護の経験者が相談員となり、経験を生かした対応をしています。 現状・課題第2章 介護と医療、関係機関の連携
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○ 症状への対応、介護における悩みだけでなく、認知症に関する相談は多岐にわたります。 相談できずに抱え込んでしまう場合もあり、相談員の対応力強化が必要です。 ○ 広報に努めていますが、引き続き、認知症コールセンターについて、広く県民に周知し ていく必要があります。
(1)県介護実習・普及センター
○ 福祉用具の展示に加え、用具選定や住宅改修に関する相談に応じるとともに、関係機関 の協力を得て、福祉用具及び住宅改修について相談できる者を登録し、出張相談等を行え るよう相談体制の整備・強化を推進します。 また、障がい者の方の住宅改修についても相談体制の整備・強化を推進します。 ○ 研修等を通じて、県民一般へ介護に関する基礎的な知識や技術を普及していくとともに、 地域福祉の中核となる指導的役割を担える人材の養成を推進します。(2)県高齢者総合相談センター
○ 高齢者からの相談内容が高度化・専門化する傾向にあるため、相談員に対する研修の充 実に努めるとともに、県内全地域の高齢者に対する相談に応じるため、市町村に相談員を 派遣して実施する巡回相談会等の充実に努めます。( 3 ) 認 知 症 コ ー ル セ ン タ ー
○ 認知症コールセンターについて、市町村や関係団体と連携をとりながら、引き続き県民 へ周知します。 ○ 幅広い相談に適切に対応できるよう相談員の資質向上に努めます。 施策の方向・市町村
・地域包括支援
センター
2 市町村における相談・支援体制
(1)地域包括支援センター
○ 地域包括支援センターは、平成 18 年 4 月の介護保険制度改正により、地域の高齢者ケア の中核的拠点として創設されました。 平成 23 年 10 月現在、県内には 112 か所(直営 16 か所、委託 96 か所)が設置されてい ます。 ○ 地域包括支援センターでは、介護保険制度のほか、様々な制度や地域資源を利用した総 合的な相談・支援を行っています。(2)在宅介護支援センター
○ 平成 23 年 6 月現在、県内には 72 か所が設置されています。 ○ 在宅介護支援センターは、在宅介護等に関する総合的な相談に応じ、ニーズに即した各 種サービスが受けられるよう、行政機関やサービス実施機関、居宅介護支援事業所などと の調整を図る役割を担っていますが、地域包括支援センターを設置している市町村では、 廃止するところもあり、設置数は減尐しています。(3)市町村保健センター
○ 市町村保健センターは、地域住民に対し、健康相談、保健指導、健康教育、自主的な保 健活動の場の提供などを目的として設置された施設で、平成 23 年 6 月現在、県内に 70 か 所(健康管理センターを含む)が設置されています。(1)地域包括支援センター
○ 地域包括支援センターにおける相談・支援活動を支援するため、研修等により従事職員 の資質向上を図ります。 ○ 地域住民や関係機関によるネットワークの構築等が推進されるよう、コーディネート機 関としての機能強化を図るため、研修会を開催するなど、職員の資質向上を図ります。 また、関係機関の出席する会議等を活用し、情報を提供するなどして、関係機関との連 携強化を支援します。(2)在宅介護支援センター
○ 地域包括支援センターとの役割分担や相互の連携・協力を図りながら、地域の高齢者や その介護者等からの相談に応じ、必要な助言を行う機関として機能するよう、市町村に対 して助言を行います。 施策の方向 現状・課題○ 本来の在宅介護支援センターの業務を踏まえ、市町村等の意向を確認のうえ、地域包括 支援センターとの連携や役割分担を図ります。
(3)市町村保健センター
○ 地域における生活習慣病などの予防や健康づくりの拠点としての活用が図られるよう、 市町村に対して助言を行います。3 その他の関係機関等
(1)社会福祉協議会
○ 市町村社会福祉協議会は、地域住民の生活課題の解決に向けて、様々な相談に応じると ともに、住民のニーズを捉えた福祉サービスの提供や、ボランティア等の住民参加の促進 など多様な地域福祉活動を展開しています。 しかしながら、介護保険制度の導入など福祉サービスの充実が進む中、尐子高齢化や単 身世帯の増加等で、公的な福祉サービスでは対応できない課題は多様化しています。また、 東日本大震災により応急仮設住宅等での生活を余儀なくされている被災者への生活相談支 援など新たな課題が生じており、今後は、その課題に対応するため、地域住民の支え合い による体制を構築するなどの重要な役割を一層積極的に展開していく必要があります。 ○ 県社会福祉協議会は、県内の地域福祉推進のため、企画や調査、啓発、生活福祉資金の 貸付、経営指導、研修等の事業を実施しています。今後は、この機能をさらに充実させて いくとともに、地域福祉を推進する中核的な機関として、地域福祉活動の担い手である市 町村社会福祉協議会の活動を積極的に支援していく必要があります。 ○ 認知症や知的・精神障がい等により判断能力が十分でなく、日常生活を営むのに不安が ある方が地域の中で自立した生活を送れるよう、日常生活自立支援事業を実施し、福祉サ ービス利用のための手続き、日常的な金銭管理及び書類等の預かりを援助しています。 ○ 今後、さらなる高齢化の進展や障がい者の地域生活移行促進、東日本大震災と原発事故 による避難生活の長期化等に起因すると考えられる要介護認定者の増加等に伴い、日常生 活自立支援事業に対するニーズがますます高まると考えられるため、事業の充実を促進す る必要があります。(2)民生委員・児童委員
○ 民生委員・児童委員は、地域において援助を必要とする住民の様々な相談に応じるとと もに、必要な援助を住民の立場に立って、幅広く行っています。 ○ 最近では、「孤独死」対策や高齢者や児童への「虐待」防止、さらには災害時の要援護者 支援などに力を入れるなどの一翼を担うなど活動の場を広げています。 ○ こうした活動を通して、地域住民のニーズを早期に発見し、行政や関係機関との連絡、 現状・課題○ 今後も、地域において住民の立場に立った相談・援助を行うことが期待されているため、 活動に必要な知識や技術の習得を円滑に行えるよう、研修会や情報提供を充実させる必要 があります。
(1)社会福祉協議会
○ 市町村社会福祉協議会の事業展開への指導的役割を果たす県社会福祉協議会の活動が効 果的に実施されるよう支援するとともに、東日本大震災による新たな課題に対応できるよ う県社会福祉協議会及び市町村社会福祉協議会との連携を強化します。 ○ 県社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業については、今後も引き続き事業の 周知徹底を図るとともに、援助を必要とする方が住み慣れた地域で安心して暮らすことが できるよう、成年後見制度等の他制度との連携強化など適切な運用に向けて支援します。(2)民生委員・児童委員
○ 多様化・複雑化する住民ニーズに対応するため、民生委員・児童委員に対する研修の充 実に努め、活動の活性化を図るとともに、援助を必要とする住民への適切な助言や福祉サ ービスの情報提供が行えるよう、関係機関との連携を図ります。 施策の方向○ リハビリテーションとは、単に失われた心身機能の回復を図るだけでなく、本人の持つ 潜在的な能力を引き出して行動変容を促し、家庭や社会への参加を可能にすることにより、 生きがいのある生活を送れるよう支援するものです。 ○ 現在、リハビリテーションは、医療保険、介護保険、市町村事業等により様々な形態で 実施されていますが、高齢者や障がい者が家庭や地域社会において自立した生活を送るた めには、地域の中で高齢者等の様々な状況に応じたリハビリテーションが適切に実施され る必要があります。 ○ 地域において保健・医療・福祉等の関係者やボランティア等の住民がリハビリテーショ ンの立場から行う全ての活動を「地域リハビリテーション」といいます。 ○ 本県では平成 12 年度から地域リハビリテーション支援体制の整備に取り組み、平成 21 年 3 月に策定した「福島県地域リハビリテーション連携指針 2009」を基に推進しています。 ○ 本県では、平成 24 年 1 月 1 日現在、県地域リハビリテーション支援センター(県支援セ ンター)を 1 か所、地域リハビリテーション広域支援センター(広域支援センター)を 8 か所指定しており、そのほか、広域支援センターの協力機関として、相談支援活動を担う 「地域リハビリテーション相談支援センター」を 44 カ所指定し、地域リハビリテーション 支援体制の充実に取り組んでいます。 ○ また、居宅を訪問してのリハビリテーションの普及を図るため、理学療法士、作業療法 士等を配置して訪問によるリハビリテーションを実施している訪問看護ステーションを 「訪問リハビリ・ステーション」に指定しています。 ○ 本県の地域リハビリテーション支援体制が上記の連携指針に沿って整備されたことから、 この体制を維持・活用して関係機関相互の連携を強化し、地域における高齢者等の様々な 状況に応じたリハビリテーションの実施を促進します。