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フィルダムの上流斜面保護用の捨石について

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Academic year: 2021

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フィルダムの上流斜面保護用の捨石について

木 村 勝 行

大 根 義 男

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KIMURA

Yoshio OHNE

フィルダムの上流斜面の保護工法としては,現在捨石工法が最良であるといわれている.しかし,捨石工 法に使用される捨石の粒径および粒径分布等について,その基準が確立されていない.そこで筆者らは種々 の捨石材料を用い,斜面こう配および波高と局期等の関係を実験により求め,波のはい上り高さや斜面上の 流速分布等から,その抵抗性を検討した.この結果,効果的な捨石材料の粒径や粒径分布は斜面こう配およ び(波高) / (周期)2によって異なることが判明した.

1

.

まえがき フィルダムは我国で年間約

1

0

0

位も築造されている. フィルダムの最も大きな特性は「ダムサイトの地質,地 形および築堤材料の条件を選ばない」点である.コンク リートダムに適したダムサイトがほとんど開発されつく されてしまった今日,フィルダムの乙の特性は,ますま す大きな意味をもってきている.また最近における土質 工学の目ざましい進歩,施工機械の大規模化などがこの 傾向にいっそうの拍車をかけ,従来なら当然コンクリー トダムが建設されたであろう場所にまでも,フィルダム が進出するほどになってきている.ところで,フィル夕、、 ムの上流斜面は,波浪によって堤体が侵食されたり,貯 水位急低下時に堤体材料が流出したりするので,これら 図 1 実 験 概 要 造 波 に対して何等かの保護を施とさなければならない.保護 工法としては捨石,張石,フ守口ツク,鉄筋コンクリート ライニング,アスフアJレトライニングなどが挙げられ る.このうち経済性,耐久性,施工性などを総合すると 捨石工法が最良であるるいわれている.しかし捨石工法 に限らず,これらの工法について現在のとζろ,その厚 さ,粒径などに関する基準が確立されていない園したが って従来は単に個々の材料が波浪によって勤かないこ と,堤休の土粒子が吸出し作用によって流出しないζと などが条件となっているに過ぎなかった.乙の

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;jめその 設計,施工に際しては絶えず,乙れらの事が討議され, そのつど,種々の見解が述べられている.そこで筆者ら は先ず捨石工法をJ1i(.り挙げ,捨石材料として最も効果的 ケミカノレフイノレタ

(2)

1

1

8

な捨石の粒径および粒径分布を,波の高さおよび周期と 波の斜面直前の流速およびはい上り高さの関係から見い 出すべく実験を行なってきた.その実験結果を報告す る.

2

, 実験方法 実験は図

-1

に示しであるように,造波水そう内

l

乙高 さ70二m,幅90加のダムを作り,捨石層の材料と波高,周 期および斜面乙う配をいろいろに変えて行なった.捨石 100 図-2 粒 径 分 布 曲 線

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dso(mm) d60/dlO A一一一一一 14.7 17.1/ 6.5= 2.63

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閉 山 過 百 分 率 40 30 20 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 粒 径 (mm) 15 20 30 40 層に使用した材料は,ふつうの砂利をフノレイにかけ,各 粒径の配合比を変えて作ったものである.図

-21

と各材 料のフlレイ分析曲線を示す.

7

種 類 の 材 料 と も , 比 重 2.62~2.63 ,単位体積重量1.

6

3

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ni'~ 1. 66/ rrI. 空ゲキ 率36.55ぢ~38.0%である.前面水深は各実験とも 30 加で ある.なお,流速はプロペラ式の正逆流速計で,波高は 抵抗式波高計で測定した。表

1

は男験一覧表である. 表

-1

中の波高およびはい上り高さは実験中の平均的な イ直をとってある. 克喰番号① ③の実験は周期 T=0.8秒と一定に保っ て,波高H を変化 (4.5二~;~11.0~m の範盟〕させた時の, 試料 (A,B, C, D, E),斜面ζう配(1: 1.5, 1: 表

- 1

実 験 2.0, 1: 2.5)およびH/T2(0.070~0.172) と流速およ びはい上り高さとの関係を調べたものである. 実験番号 S~ ②の実験は T=1.2秒と一定lこ保ち,日 を変化させた時の試料 (E,F, G) ,斜面ζう配 (1 :15,1:2.0.1:2.5) およびH/T2(0.030~0.075) と流速およびはい上り高さとの関係、を調べたものであ る. 実験番号~~@の謁験は日をほぼ一定 (9.2cn; ~10.0 CIII)1己保ち, Tを変化 (0.8,0.9, 1.0, 1.1, 1.2秒) させた時の

G

試料斜面こう配および H/P (0.Oô5~O. 156)とはい上り高さとの関係、を調べたものである. 覧 表 試料名 実験番刀 斜面こう配 d50 切開j d60/dlO 波 高H(cm)局期T(sec) はい上り高さR (cm) (m/sec' ) H/T' R/H ① 1 : 1.5 14.7 2.63 6.2 目。8 5.0 0.097 0.81 ② 匂 1; 1; 8回日 11 6.4 目日139 。目72 ③ 1

11 11 9.6 11 6.7 0.150 0.70

(3)

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1・2.5 1

11 6.2 // 3. () 0.097 () .48 ト一一 ⑥ 1

11 11 7.2 /1 4.4 0.112 0.61 性豊 /, 11 1/ 8.1 11 5.6 0.127 0.G9 ⑬ 11 1/ 1/ 11.0 11 6.7 0.172 0.61 ⑭ 1 : 1.5 17.3 2.24 5.5 1; 4.4 0.086 0.80 ⑬ 1/ 1/ 1/ 7.5 /1 6.1 目。117 0.81 ⑬ 1/ 11 // 8.5 1/ 7.8 0.133 0.92 ⑬ /1 11 /1 9.5 11 8.9 0.148 目。94 ⑬ ! 1・2.0 /1 11 5.0 1; 3.1 0.078 0.62 ト ⑩ /1 1; /1 7.5 // 4.9 0.117 。.65 E ⑩ // 1; 11 8目5 // 6.2 0.133 0.73 ⑥ // // 1/ 9.5 // 6.7 0.148 0.71 ⑫ 1 : 2.5 // // 5.4 /1 3.3 0.084 0.61 ⑬ // // 1; 6.5 // 3.7 0.102 0.57 ⑭ // 1/ 11 7.8 // 4.8 0.122 0.62 ⑮ // // 1; 10.0 // 5.9 0.156 0.59 日一一ーーーー ⑮ 1 : 1.5 11 // 6.8 1.2 6.7 0.047 。.99 ⑫ 1/ 1/ 1/ 8.0 // 8.3 0.056 1.04 ⑮ /1 1/ 1/ 9.3 // 10.0 0.065 1.07 ⑬ 1 : 2。目 /1 // 6.0 1/ 4.5 0.042 0.75 E ⑮ 1/ 11 /1 7.3 /1 5.8 0.051 0.79 ⑥ 11 1/ 1; 9.5 // 7目1 0.066 0.75 ⑫ 1 : 2.5 11 1; 5.8 /1 3.3 目。040 0.57 ト一一一一 ⑧ // 11 1; 7.5 // 4.8 0.052 0.64 ⑬ 11 /1 /1 9.3 // 5.9 目。065 0.63 @ 1 : 1.5 18.5 2.15 6.0 11 5.0 0.042 0.83 ⑮ 11 11 1; 8.0 1/ 6.9 0.056 0.86 ⑧ /1 1; 1; 9.4 11 8.9 0.065 0.95 ⑮ 1 : 2.0 1/ // 5.4 /1 4.0 0.038 0.74 F ⑩ 11 1/ 1/ 7.8 11 5.8 0.054 0.74 ⑩ 11 11 1/ 9.7 /1 7.1 0.067 0.73 ⑪ 11 /1 5.8 // 3.0 0.040 0.52 ⑫ 11 1/ /1 7.5 1/ 4.5 0.052 0.60 ⑬ /1 // 1/ 9.8 11 5.6 0.068 0.57 ⑬ 1 : 1.5 16.5 1.89 5.9 /1 3.9 0.041 0.66 ⑬ /1 /1 // 7.8 // 6.1 0.054 0.78

(4)

日二日

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:1.5 20.8 1.65 6.7 11 3.9 0.105 0.58 1; 11 9.3 1; 5.0 0.145 0.54 ⑫ ;1 11 11 10.0 1; 6. 7 0.156 0.67 ⑫ 11 11 11 10.8 11 7.2 0.169 0.67 ⑧ 1 : 2目。 11 1; 6.0 11 2.7 0.094 0.45 ⑫ 11 11 11 6.8 11 3.6 0.106 0.53 C 竺⑫

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(5)

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3

.

実験結果および考察 捨石材料として最適なものは,同一条件下において, 流速をおそく与えるもの,かつまたはい上り高さと波高 との比 (R/H)の値の小さいものであると考えて実験結 果に考案を加えてみる. 図-3 A (1 : 1.5) H o 6.2c 70 図←4 A 、1: 2.0)H o 6.5 図-5 A ' 1 : : 2.5)H o 6.7cm 60 会 念 里 会 x δ 五 g μ 百 8

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(8)

図-24 図-25 図-26 G (1 : 1.5) H G (1 :2.0) H G(1:2.5)H 70 o 5.9cm 70 o 5.6cm 70 o 5.2cm 、 低 x 9町2 生認 3誕時 x 9.2 x 9.7 60

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O2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 O2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 O2 4 6 8 10 12 14 16 18 2C 泌 さ cm 深 さ cm 傑 さ cm (1) 流速について 実験番号①'"'-'~の実験を示す図 -2~ 図一16~ζ おいて 全般的にいえるととは, H/T2の値が大きくなるにした がって,対応する流速の値も大きくなる傾向にあるとい う乙とである.そ乙で H/T2の値の大きい (流速のは やい)実験(図中の×印のもの)に注目してみる. 図 -2"7~図-29は図-3~図 17の×印の実験を斜面乙 図-27 図-'-28 70 1:L5(T=0.82ed 70 H/T2 o A 0.150 60 d B 0.156

) ("C 0.156 岨 D 0.143 全 .. E 0.148

.

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30 4

う配別にまとめたものである.H/T2の値が全部同じで はないので上述のような判定で最適な捨石試料は決め難 いが,不適当な試料ならば挙げる乙とができる.すなわ ち

1

5

分の斜面乙う配には

B

C

試料,

2

割には

D

試 料そして2割 5分には A試料が不適当である. 図-29 70 1: 2.5 (T= 乱8sec) 1 : 2.0 (T=O. 8sec) H/T~ H/T' 。A 0.148 。A 0.145 t::.B 0.156 60 .Q, B 0.144 x. C 0.159 )'c, C 0.152 • D 0.148 • D 0.172 畠 E 0.148

.

.. E 0.156 50 ,cJz448e/0c 8- . a)(. .l

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2 4 6 8 10 12 14 16 18 2O O2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 O2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 深 さ cm 同様にして実験番号③~⑧の実験を示す図-18~図-26を検討してみる.試料別にみると, E試料でほ 2割 5 分の斜面乙う配における×印の実験 (H/T2の値の大き いもの)に対応する流速の値が大きいくらいで,その他 のものには斜面乙う配およびH/T2の値による流速の差 がほとんどみられない.

F

試料については

E

試料に述べ たことがそのままあてはまる

.G

試料についてはH/T2 の大きい値 (x印)に対応する流速の値を問題とすれば 深 さ cm 深 さ crn よい.乙れらの乙とから

1

5

分および

2

割の斜面こう 配

l

とは

G

試料,

2

害'IJ

5

l

とは

E

試料が不適当であるとい える. (2) はい上り高さについて 実験番号① ⑧の実験による H/T2とR/Hの関係が 図 -30~図-32に示されている.とれらの図からは H/ T2とR/Hとの定性的な関係はつかみ難い.しかし前 述のように向一条件下でR/Hの値を小さく与える試料

(9)

A

B

C

D

E

。一一唱 tトー--<1 栄一ーー一世 酔ーーー--嘩 ---ー晶 図 32 (1 : 2 _5)

舟 ー _

_

.

.

.

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d L / ¥ , 、 、 、 、官-',

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〆ヤイ

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メーーム/

'- -図-31 (1 : 2.0) 図-30 (1 : 1.5) 0.30 0.080 0.100 0.120 0.140 0.160

H/T'

(m/sec') 1.00 0.90 0.40

70 0.60 0.50 0.080 0.100 01.20 0.140 0.160

H/T'

(m/sec') 0.080 0.100 0.120 0.140 0.160 日

/

T

'

(m/sec') 図-35 (1 : 2.5) / / ム

xG

:/ / 図-34(1 : 2.0) 図-33 (1 : 1.5) 1.1 1.0 0.6

0.8

O

.

7

0.07 0.06 。 目 04 0.03 m 山 ハ HU 0.06 0.05 0.04 0.5 0.03 0.06 0.07

H/T'

(m/sec') 0.05 0.04 0.03 F 円 υ n H U ハ H υ H/P (m/sec') H/P (m/s巴c') の関係を図図 -33~ 図 35iと示す.斜面こう配別にみる と,

3

試料とも傾向がまったく同じであるととがわか る.すなわち

1

5

分の斜面ζう配に対しては,

H/

T2 の値が大きくなるにしたがって対応する R/Hの値も大 きくなっでいき, 2割および2割5分の斜面こう配に対 しては, H/T2の値が 0.05近傍までは対応するR/Hの値 も大きくなっているが0.05以上のH/T2の値については R/Hの値は小さくなっていっている.試料の捨石材料 が捨石材料として最適なものであるとするならば, Tニ 0.8秒と一定であるからやはり H/T2の値に対応する R/Hを問題にすべきであろう. そうすると

1

5

分の 斜面乙う配には

E

試料,

2

5

l

こは

D

試料が不適当で ある.

2

割の斜面こう配にはとりわけ不適当であるとい う試料はないが,

c

試料が他の試料よりは適当であると いえる. 同様にして実験番号@~⑫の実験による H/T2 と R/H

(10)

図-36

0

.

9

0

.

8

0

.

7

0

.

6

0

.

5

0

.

0

6

0

0

.

0

8

0

0

.

1

0

0

0

.

1

2

0

0

.

1

4

0

0

.

1

6

0

H/T2

(m/ s

e

c

2

)

の適否をのべるならば,

1

5

分の斜面乙う配

l

と対して は

G

試料,

2

割および

2

5

分の斜面乙う配に対しては

F

試料が適するといえる. 図-36はは実験番号③ ⑧の実験による H/T2をR/H との関係である.とれまで述べてきた H/T2とR/Hとの 関係は

T

を一定に保って

H

を変化させた場合のものであ ったが,図 36に示されているのは Hをほば一定に保っ てTを変化させた場合の R/HとHj'f2の関係である.図 から

G

試料は

1

割5分の斜面こう配に適しているζとが わかる.乙の図で興味深い乙とは,従来,いかなる斜面 ζう配に対してもH/T2の値が大きくなるにしたがって R/Hの値は逆に小さくなっていくとしていたのである が,本実験でその逆の結果も得られたととである.

4

.

あとがき フィルダム上流斜面保護に使用される捨石材料につい ての種々の実験と考察を加えてきたが.結論できること は最適な捨石材料は対象とする斜面ζう配によって異な る.さらにH/T2によっても異なるというζとである.特 lとH/T2の値については,例えば H/T2=O.10であって もそれが通常の風波による場合と暴風雨による場合とで は,意味するところが全く異なるということである。し たがって,今後は暴風雨時の波浪を対象とするなどの限 定した実験の結果の積重ねが必要と恩われる. 参 考 文 献

1

.

農林省農地局 土地改良事業計画設計基準 第3部 設 計 第1編フィルダム 2. SHRARD, J.L., WOODWARD, R. L., GIZINSKI

S.F. and CLEVENGER

W.A. Earth and Earth幽RockDams

John Wiley and Sons

Inc.

3

.

大根,西堀,木村 フィルダムの斜面侵食につい

参照

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