技術科教室 平
A Study of the′ rypewriting Efficiency Using a Voice‐
Activated]Keyboard
Seiji HIRATA*
The obiectiVe Of this study is to make it smooth to master tapping keys.The testees、 vere pupils of a iuniOr high school.The practice rnethod was a tte of the way that has been used for the blind people.The practice method、 vas to typing the alphabet keys and confirnl the results
of typing by personal computer's voice through the earphone,the keyboard and the display acreen being hidden to the testees. After the practice, typing speed by ordinary usage of personal computer、vas inspected.The results are obtained as fo■
owsi
(1) The practice effect is recognized,and the learning curve of typing speed is silnilar to the negative acceleration curve.
(2) There is the significant correlation between typing speed and lnemory of disposition of keys.
(3) This methOd has a special lnerit of the significant daily progress, compared、 vith the other twO practices.
1.は
じめ に 平成5年
度か ら実施 された中学校学習指導要領で は,技
術 。家庭科 に領域「情報基礎」が新設 さ れた。「情報基礎」の指導事項 の一つには,「コンピュータの基本操作がで きること。」Dがあ り,そ
の解説 として,中
学校指導書技術・家庭編 に「キーボー ドのキーの操作 については,い
わゆる文字 キー,テ
ンキー,
リター ンキー,カ
ーソルキー,フ
ァンクションキーな どの基本的な操作がで きる ようにす る。」2)と言己述 されている。 また ,「コンピュータに慣れ親 しむには,キ
ーボー ド操作が 自分 が思 うように行 えるようになることが必要である。」3),「キ_の
扱いに慣れるのが,コ
ンピュータに 慣れる秘訣 となる。」0と した文献 もあるように,キ
ーの操作 はコンピュータを用いる際の基本 であ ると思われ る。 路* 晴 田キーの操作 について,「『
1本
指入力』で は,入
力速度 の向上 とともに ミスタイプの回数が増カロす る傾向にあ り,疲
労 しやす く精神衛生上問題がある。」のという報告 もあるように,両
手の指 を用い て入力で きる と疲労が小 さいの は明白である。 それ も,キ
ーボー ドを見 ないで入力するブライ ン ド タッチ入力0が で きれば,デ
ィスプ レイ とキーボー ドとの間で視線 を頻繁 に変 える必要がないため, 疲労 はさらに河ヽさ くなる。ブライン ドタッチ入力 の習得 に関す る書籍や ソフ トウェアが種々市販 さ れているが,そ
の習得 はかな りの時間 を要 し容易でない。普通 の練習で は,キ
ーボー ド上 の指 の動 きを視覚で確認 しやすいため,ブ
ライン ドタッチが習得 しに くい と考 えられ る。そこで本研究で は, キーの操作が円滑 に行われ ることを目的に,入
力 に関す る視覚 を使用で きないようにした上で入力 したキーはイヤホンか らの音声で確認す るとい う方法でブライン ドタッチ入力 を練習 し,そ
の効果 を調べた。鳥取県立鳥取盲学校 においては,「全盲者が コンピュータを効果的に活用で きるのは,音
声表示 による ところが大 きい。」0との見地か ら,目
の不 自由な児童・ 生徒 にパーソナル コンピュー タ (以下,「パ ソコン」 という。)を
ワー ドプロセ ッサ として指導する際 に,入
力 した文章 を機械が 読み上 げる方法 を用い効果 を上 げている。視覚のための知覚イ ンパルスは後頭葉で識別 され,聴
覚 の場合 は側頭葉で識別 され る。というように,視覚が得た情報の場合 と聴覚で得た情報の場合 とでは, 感覚器官だけでな く到達す る大脳 における場所 も異 なる。入カ キー を視覚で確認す る場合 と聴覚で 確認す る場合 とで,練
習の効果 に差があるのか どうか興味深い。2.方
法 本研究 は,英
字キーの入力について行った。英字キーは,ア
プリケーションソフ トウェアを用い る場合での機能の選択や実行に使用されることがよくある。 また英字キーは,プ
ログラミング言語 の入力や,パ
ソコンをワー ドプロセッサ として使用するときなどに日本語の読みをローマ字で入力 する場合に用い られ,使
用頻度が高い。 また本研究では,単
語や文章を入力するのではな く,パ
ソ コンが発生する乱数により無作為に選ばれた入力を促す1個
の英字 を確認 したらできるだけ早 くそ のキーを入力 し,正
しい英字キーが入力されると瞬時に新たな英字の入力が促されるという過程を 繰 り返 えす。 ブライン ドタ ッチ入力 の練習 とその 検査 は,被
験者 を鳥取大学附属 中学校 第3学
年の男子生徒 とし,昭
和63年11 月の 6日 間,同
中学校 の放課後 に技術 室で行 った。表1は同期間に行 った, 「各す旨のホームポジションと担当キー との指導」,「各練習」,キーの配置の記 憶 を調べ る「記憶検査」,キ
ー入力の速 度 を調べ る「入力検査」な どの事項 の 順序 を示す。 また,期
間中は同表 に示 す時間以外で はキーボー ドを操作することを避 けるよう指導 した。 なお本研究で使用 したパ ソコンはNECの
PC‐9801で あ り,作成 したプログラムは同社のN88‐日本 語BASIC(86)に
よった。 表1
練習・検査の 日程1
日 目 2日 日以降 ① ホームポジション,各
指 の担当キーの指導 (15分) ② 入力検査 ③ 記憶検査 (3分以内) ④ 各練習 (20分) ⑤ 入力検査 ⑥ 記憶検査 (3分以内) ① 記憶検査 (3分以内) ② ホームポジション,各
指 の担当キーの確認 (3分) ③ 各練習 (20分) ④ 入力検査 ⑤ 記憶検査 (3分以内)2.1
各練習 入カキーを音声で確認す る練習 の効果 を調べ るため,デ
ィスプレイの表示 を行 う2通
りの練習 と 比較 した。被験者 は,各
練習 ごとに5名ずつの被験者 とし3つのグループを設 けた。 図1は 3つのグループの練習状態 を示す。視覚Aグ
ループでは,通
常 にパ ソコンを使用す る状態 すなわち視線 をキーボー ドに も向けられ る状態で,入
力 を促す英字 を1行
当た り40文字 の設定 にお いてディスプレイのほぼ中央 に表示す る。入力 したキーの名称 も同様 の設定で入力 を促 された英字 の隣に表示 し,入
力の正誤 は視覚で確認す る。視覚Bグ
ループは,キ
ーボー ドにカバー をしてキー 図1
各練習の状況 の操作が被験者か ら見 えない ようにした上で,入
力 を促す英字及び入力 したキー をデ ィスプレイに 視覚Aグ
ループ と同様 に表示 し,入
力 の正誤 は視覚で確認する。 そして聴覚 グループは,視
覚Bグ
ループ と同様 にキーボー ドにカバーをしてキーの操作が被験者か ら見 えないようにした上で,デ
ィ スプレイの画面表示 を行 わず入力 を促す英字 を音声でイヤホンに指示 し,入
力 したキーの名称 もイ ヤホンを介 して聴覚で確認す る。 図2は
,聴
覚グループの練習 に用いた, 入力 を促す英字及び入力 したキーの名称 を 音声で知 らせ るシステムを示す。同図の音 声分析・ 合成部 はパ ソコンの拡張スロッ ト とこ拡張ボー ド(SCARAB製
, AUDIO-98
XX)と
して納め られる。同図のシステムで は,あ
らか じめマイクロホンで入力 した各 キーの名称 を発音す る声 をサ ンプ リング周 図2
キーの名称 を音声で知 らせ るシステム 波数16k Hzでデジタル化 し音声分析・合成部 のメモ リに畜 えた後 に,入 カ キー ごとの異 なった音声 フ ァイル としてフロッピーディスクに言己録 してお く。 キーの名称 の音声 を発生 させ るときは,逆
にフ ロッピーディスクか らすべての音声 ファイルを音声分析・ 合成部 のメモ リに転送す る。そのメモ リ か ら入力 を促す英字 キーの名称 の音声 ファイルを読 み出 し,音
声 として出力す る。 また,入
力 した キーの名称 を音声で発生す るときも,音
声分析・ 合成部のメモ リか ら読 み出 し出力す る。2.2
検査 検査 は,記
憶検査 と入力検査 とを行 った。記憶検査 は,キ
ーボー ドのキー配置図に26個の英字 キ ーの名称 を書 き込 ませ る内容であ り,結
果 を26点満点で点数化 した。記憶検査 は,各
日の練習前 と 練習後 に行 った。入力検査 は,各
グループ とも通常 にパ ソコンを使用す る状態すなわち視覚Aグ
ル チ ック ン 視覚Aグループ 視覚Bグループ 聴覚グループ―プの練習状態 と同様 に
,デ
ィスプレイに1個
ずつ無作為 に指示 され る英字 を60個入力する時間を 測定 し入力速度 (入力数/分
)を
求 める内容であ り, 1日
目の練習前 と各 日の練習後 に行 った。2.3
各指のホームポジシ ョンと担 当キー との↓旨導 ブライン ドタッチ入力 を習得す るには,各
指のホームポジションと担当キー とを知 ってお く必要 がある。そこでFキ
ー とJキー との上面の一部分 に厚 さ約0。3mllのビニルテープを張 り付 け,人差指 のホームポジションが触覚で容易 に確認で きるようにした上で,各
指のホームポジシ ョンと担当キ ー との指導を,ブ
ライン ドタ ッチの練習及び検査の前 に,使
用するパ ソコンを用い,待J作したCAI
によ り行 った。このCAIは ,各
グループ とも練習初 日の練習前 に,通
常 にパ ソコンを使 う状態で15 分間行 った。 また,各
指 のホームポジションと担当キー は, 2日
日以降の練習前 にも3分
間で確認 させた。3.結
果 と考察
御
釘
︱
︱
︱
叶
︱
︱
︱
軒
︱
︱
︱
誹
︱
︱
生
註
︵ I ︶ I 建 図3は
,記
憶検査 の結果 を各 日ごとにグループ 別 の平均値で示す。同図で は各 グループ とも,練
習前の得点が前 日の練習後 の得点 よ り小 さい場合 が見 られ るが,こ
れ は,前
日の練習後か らの時間 経過 に伴 う忘却が表れているといえる。同図で は, 学習効果 は,各
グループ とも 1日 日に最 も大 き く 表れ,日
が経過するにしたがって槻ね小 さ くなる 傾向がある。 しか し,日
が経過す ると初 日より大 きな得点が得 られ るようにな り, 3日
日以降 はほ ぼすべてのキーを記憶で きている。学習効果 を表 す学習曲線 は,一
般 に作業 の種類やその難易度, 学習者 の能力や意欲 な どによって型が異 なるが, 図3は
,各
グループ とも,練
習の初期 に急速 な進 歩 を示すが練習が続 くと進歩が遅 くなるので,学
習能力が作業の困難度 に比 して比較的大で,練
習 意志がIE盛の時にみ られ る とい う消極的加速度曲 線りに類するといえよう。 表2は
,図
3の各 日の練習前 と練習後間の得点 に有意差があるか どうかを調べ,有
意差が認 め ら れた ものを示す。各 グループ とも有意差 は 1日 目と2日 目に認 め られ るが,他
の 日には認 め られな い。 また表3は,図
3における練習後 の得点 について,前
日に対 する各 日の平均値 の差 の検定 を行 い有意差が認 められた ものを示す。各 グループ とも1日 目と2日 日間のみ5%水
準 の有意差が認 め られ る。 図4は
,毎
日の入力検査の結果 をグループ別 の平均値で示す。同図において,視
覚Aグ
ループで は4日目の速度が 3日 目のそれ よ り小 さ く,視
覚Bグ
ループで は 2日 目の進歩が最 も大 きい。また, 聴覚 グループで は5日 目, 6日
日で も小 さ くない進歩が見 られ る。 しか し1日目か ら6日目まで全 般 を概観す ると,各グループ とも日が経過するに従い入力速度 は大 きくなるが前 日か らの進歩 は徐々ρ
ん
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p
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脚
脚
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″ π ∝ Ⅸ r 観 L 炉 〃 ノ ′ ′ ツ U 白回O
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欝覆
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葺詈
欝覆
欝盪
欝震
1日目 2日目 3日目 4日 目 5日目 6日目 図3
記憶検 査結果 プ プ 一 一 プ ル ル 一 グ グ ル表
2
記憶検査における各 日の練習前 と練習後間の平均 値の差の検定 チ 値 視覚A
視覚B
聴覚 1日 目の練習前一練習後間 2日 目の練習前一練習前間 6.51事■ 6.35・準 4.07・・ 2.17単 2,71キ 2.23与 注)1.孝
:5%で
有意,料
:1%で
有意2.自
由度 はいずれ も4 記憶検査における各 日の練習後 と翌 日の練習後間の平均値 の差の検定 チ 値 視覚A
視覚B
聴覚 1日 目の練習後-2日
目の練習後間 3.17・ 注)1.ホ
:5%で
有意2.自
由度 はいずれ も4 に小 さ くな る傾 向が ある と見 な され,学
習 曲線 は記憶検査 と同様 の消極 的加速度 曲線 に類 す る と思 われ る。なお入力検査 は,最終 的 に は本研 究 の記憶検査 やタイプライ タに関す る技能 習得 曲線のの よ うに,学
習 の進 歩 が物理的 に困難 な状 態 に達 す る と予想 され るが,図
4で
は練習期 間が短 いためそ れ まで に は至 って ない。 表4は
,図
4にお ける1日 目の練 習 前 と練 習後,及
び前 日に対 す る各 日の平均値 の差 の検 定結果 を示 す。 同表 で は,視
覚Aグ
ル ー プ と視覚Bグ
ルー プで は有意差が認 め られ ない 日が あ るが,聴
覚 グルー プで は,原
因 は明 らかで ないが有 意差 が各 日に認 め られ注 目され る。 表4
入力検査における平均値の差の検定結果 サ 値 視覚A
視覚B
聴覚 練習
前
-1日
目の練習後間 1日 目の練習後-2日
目の練習後間 2日 目の練習後-3日
目の練習後間 3日 目の練習後-4日
目の練習後間 4日 目の練習後-5日
目の練習後間 5日 日の練習後-6日
目の練習後間 9.354■ 1.24 3.79** 3.00+ 3.93*4 6.23** 3.22準 0.41 2.37・ 0.68 1.45 2.53* 2.30* 0.35 4.09・・ 0.60 3.414 3.75キ・ 注)1.準
:5%で
有意,*↓:1%で
有意2.自
由度 はいずれ も4 練習前1日目2日目3日目4日目5日目6日目 図4
入 力検査結果 表3 ︵く \ 卜 ︶ 超 照 R く 。 :視 覚Aグループ ロ :視 覚Bグループ ロ :聴 覚グループ図5は
,図
3の
記憶の得点 を″,図
4の
入力速度 をTと
し,両
者 の関係 を各グループ別 に 1日 目 の練習前 と各 日の練習後 について表す。 また図5は
,入
力速度Tの
,記
憶 の得点〃への回帰直線 も 示す。図5で
の記憶 の得点〃 と入力速度Tと
の相関係数 を各 グループ別 に求 める と,視
覚Aグ
ルー プは0。982,視
覚Bグ
ループは0.852,聴
覚 グループは0.964とな り,そ
れぞれ1%水
準, 5%水
準,1%水
準(いずれ も げ =5)の 有意 ある相関が認 め られ る。なお3グ
ループのデータをすべて合わせ て,入
力速度Tの
,記
憶 の得点″への回帰等式 を求 めるとT=13.1+1.16″
とな り,相
関係数 は0.929(1%水
準で有意,ガ
=19)と なる。 これ らの結果か ら,本
研究 においてはキー配置 の記憶 の進 歩でキー入力 の進歩 を推測で きるといえる。 ︵く \ 絲 ︶ 礫 悩 照 R く 聴覚グループ T=134+1.14″ 視覚Bグループ T=17.3+098〃 視覚Aグループ T=761+1.41〃 。:視 覚Aグループ □:視覚Bグループ ロ:聴覚グループ 5 10 15 20 2526 記 憶 の 得 点 ノ(点) 糾3
聟G
ヽ 2 型 1 1日目2日目3日目4日目5日目6日目 図5
記憶の得点 と入力速度 との関係 図6
進歩の比率 ―――:記憶の得点,一一―:入力速度 ○:視覚Aグ ループ,□:視覚グループ,■聴覚グループ 図3, 4で
は,各
グループの生徒 の能力が異なるので,各
練習間の効果の比較が困難である。そ こで練習効果 を各練習間で比較す るため,図
6に, 1日
目の練習前の記憶 の得点及 び入力速度 を1 とした各 日の練習後の記憶 の得点及 び入力速度,す
なわち両者の進歩の比率 を示す。図6か
ら,記
憶 の得点 の進歩の比率 は,入
力速度 のそれに比べ早 く大 きくなることがわか る。 また同図で は,記
憶 の得点 と入力速度 とも 1日 目の練習後 における順位が最終 日まで続 いているが,記
憶 の進歩の比 率が最 も小 さい視覚Aグ
ループが入力速度で は最 も大 きい進歩の比率 を示 している。 これ は,入
力 検査が練習形態 とは異なるグループの生徒 の中には入力検査で戸惑 う者 も少な くなかったことか ら, 入力検査が視覚Aグ
ループの練習形態 と同 じであった ことが一因であると思われる。各練習間に統 計的な有意差があるか どうかを調べるため分散分析法10を用いると,1日
目の入力速度 のみ5%水
準 の有意差(F=4.08,げ
=2,12)が認 め られ,聴
覚 グループは,視
覚Aグ
ループには及 ばないが視覚Bグ
ループよ リキー入力の練習効果が大 きい といえる。4.結
論 パ ソコンのキーポー ドのキーの操作を円滑に行 うことを目的に,ブ
ラインドタッチ入力を,キ
ー ボー ドとディスプレイの表示 とが見えないようにし,入
力を促す英字及び入力 したキーの名称 をイヤホンか らの音声 によ り確認 して練習 した。 プライン ドタッチ入力 を