大都市圏郊外商業核 の発展 とモー タ リゼーシ ョン
一 滋賀 県草津市 の事例 ―
Development of Suburban Conllnercial Core and K/1otorization
in Metropolitan Area
一A Case Study of Kusatsu City,Shiga Prefecture一一
YAMASⅢ TA HirOki
キー ワー ド
:郊
外核,商
業集積,モ
ー タ リゼ ー シ ョン,大
都 市 圏,草
津 市 Key Wards I Suburban core, commercial accumulation, motorization,metropolitan area,Kusatsu city
は
じ め
:こ1.問
題 の所在 と研 究 目的 わが国の大都市圏を中心 と した地域への人 口・ 産業 の集中は,地
方都市 との経済的地域格差を拡 大 した。大都市地域では莫大 な資本投下 によるイ ンフラ整備 によって鉄道 。バスなどの公共交通機 関の発達が進む一方,地
方都市では人 回の郊外分散 と低い人 口密度を背景に公共交通機関は依然 と して未整備 な状況にあ り,当
該地域の居住者は 自家用車に依存 した生活 を強い られている。 こう し_ た現状の中で,大
都市圏郊外地域の都市 (以下,近
郊都市 とよぶ)は
,い
わば大都市 と地方都市の 中間に位置 している。そのため郊外居住者の 日常的な交通手段は公共交通機関と自家用車を 目的に あわせ て利用す るのが現状 となっている。つま り,一
部の大都市居住者あるいは大都市への通勤・ 通学者は発達 した公共交通網の利便性を享受できるが,地
方都市や近郊都市の居住者は 自家用車の 日常生活での利用が一般的になりつつあるといえよう。 以上のようなわが国における公共交通整備の地域間格差,モ
ー タ リゼーシ ョンの進展 は都市の地 域構造 にも大 き く反映 している。 とりわけ現在深刻 な問題 と して顕在化 しているのが,地
方都市 を 中心 と した中心市衡地衰退化の問題である。中心市衛地衰退化 には複雑でさまざまな背景が考え ら れているが,都
市問題 と して考えた場合,現
代のモータ リゼーシ ョン社会に対応 した都市基盤整備 の遅れや,建
物の老朽化 と店舗未更新 による商店街 の魅力低下,さ
らに居住人 口の郊外分散 とそれ にともなう大型店の郊外 出店 などがあげ られ る。大型店の郊外出店は,一
般的には主要幹線道路沿 樹 * 博 下 山 *鳥取大学教育地域科学部地域社会講座12
山下博樹:大都市圏郊外商業核の発展とモータリゼーシ ョンいに多 く
,幅
広 い商品構成 によ ってOne Stop Shoppingを 提供す ることで広範囲か ら多 くの集客 を 可能に している。近年では郊外 出店の大型店 においても集積 の利益 を求めて複数の大型店が同 じ敷 地内に位置 し共通の駐車場をもつシ ョッピングセ ンターや,複
数のカテ ゴリーキラーなどの有力店 舗か らなるパ ワーセ ンターが主流 となりつつあ り,単
独の ロー ドサイ ド型店舗はきび しい経営環境 に置かれている。これ まで近郊都市は大都市就業者の居住地 と して発展 してきた。産業集積の郊外化が著 しい欧米 では郊外核の形成 とそれ にともなう郊外の 自立化が進展 している (たとえば,Fujii and Hartshorn 1995)。 わが 国では産業集積 の郊外化が進んだ現在 の段階で も
,都
市間で差異はあ るが欧米のよう な郊外の完全 な自立化 には至 っていない。 しか し,居
住者の 日常生活 に密着 した小売商業や飲食業 は市場 と してのポテ ンシャルの高い近郊都市への進 出が顕著であ り,多
くの研究者 によってかか る 郊外地域への商業機能の集積 については分析・ 検討 され てきた (たとえば,生
田1990,拙著 1993 など)。 そのなかで筆者 (1991)は,大
都市圏郊外地域の ター ミナルと しての機能が強い都市で駅 を中心 と した都市機能の集積変化の状況を示 し,と
りわけベ ッ ドタウンと して急速 に発展 した都市 に比べ,歴
史的な核 をもつ都市ではその中心地が駅周辺 に移動す ることを指摘 した。 しか し,近
郊 都市の駅 を中心 と した中心市衡地での商業施設の立地状況や変化を取 り上げた研究が多 く行われ て きた一方で,来
衛者の属性や行動 との関連での分析は必ず しも多 くない。そこで本研究では近郊都 市化の著 しい滋賀県草津市を対象に,市
内における主要商業施設の立地動向と中心市街地の商業集 積の変化,さ
らに来街者行動の特性 とその変化について,と
りわけ近郊都市においても急速 に進展 しつつあるモー タリゼーシ ョンとの関連に着 目して調査 。分析 した。2.研
究 方 法 本研究では草津市の商業施設の立地 と中心市街地への来街者の特性の2つ
の面か ら分析・ 考察 を 行 う。商業施設の立地 については各種統計資料のほか,実
際の店舗立地 については筆者の現地踏査 結果 を用 いた。来衛者の特性 については,科
学研究費補助金 (地域連携推進研究費(2)研究代表者 矢野桂司)の
一部を用いて行 った草津市中心市衡地での「 草津市・ 来衡者調査 (1999年 11月 7・ 8日 実施 サ ンプル1468)Jと「 草津中心部駐車場利用者の行動実態調査 (1999年11月14日実施 サ ンプル653)」 の結果 を用 いた。 さ らに比較参考資料 と して筆者 らによ って1992年度 に策定 され た 『 草津 商業近代化地域計画策定事業報告書』の調査結果 を用 いている。 同報告書作成 において も 1999年度実施 の上記の両調査 と同 じ内容の調査が行われ てお り, 2回
の調査の比較・ 検討か らその 間の変化 を考察 した。 Ⅱ 草 津 市 の 商 業 集 積 の 特 性1,商
業集積の動 向 本研究で対象とする草津市は滋賀県南部の湖南地域に位置 し,古
くは東海道と中仙道の分岐点に 位置する宿場町として発達 した。鉄道の発達にともない宿場町としての機能が失われる一方で,高
度経済成長以後,繊
維・機械などの工業の発展にともない近接す る京都市の近郊都市としての性格 を強め,近
年では人口増加も著 しい (図 1)(D。 1889年の車津駅開設以後,草
津市の中心市街地は 宿場町の中核的な機能を担 った草津宿本陣が位置する本町地区とは草津川をはさんで対岸 に位置す鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第
2巻
第2号
(211C11) 図1
研 究 姑 象 地 域 る大路地区へ と次第にその中心を移 した。草津市は宿場町に起源 をもつ ことか ら旧来 より近傍の中 心 と しての機能をもち,特
に商業集積は古 くか ら発達 していた。中心市街地の現在の商店街は,本
町地区を貫 く本町商店街 とその延長線上に伸びる中ノ町商店街,北
中商店街,栄
町商店街 などか ら 構成 されている (図 2)。 高度経済成長期の1968年以後,近
郊都市化が進む中心市街地 には6店
の第1種
大規模小売店舗が 立地 した (表1)。 草津市 内に1992年までに立地 した大規模小売店舗 (以下,大
型店 とよぶ)の
う ち,店
舗面積3,000∬ 以上の第1種
大型店は 」R草
津駅東 口に位置す る平和堂草津店・ 西友草津店 。 エルテ ィ932の
3店
舗であ った。 これに対 して,店
舗面積500♂以上3,000沼 未満の第2種
大型店 は4店
舗でいずれ も中心市街地以外の周辺の市街地に立地 していた。その後,1998年
以後 に立地 し N I 十 1 † 1 0 櫛 地 路 道 線 心 道 国 榊 速 要 R 草 高 主 J 蒲 生 郡、/・ゝ ヽ
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′山下博樹 :大都市圏郊外商業核の発展とモータリゼーシ ョン 図
2
草津市中心市街地の商業環境 図中の1∼6, Pl∼
P10はそれぞれ表1,図
7に対応 している。 表1
草津市中心市街地の主要商業施設6
留∞
11箋
紺
主要商業施設1.平
和 堂 草津店2.シ
ョンピングタ ウン草津3.エ
アレテ ィ932
4.Aス
クエ ア5.草
津近鉄 百貨店6.ノ
ー ス・ ス クエ ア を 商店街p.調
査対象駐 車場A.史
跡 草津宿本陣0 300m
店 舗 名 吾舗 面 狂(面 核店舗名 性車場台費 開店 年月 備 考 1 平和堂車津店 平和堂 1968f〒 9月 西 友 1978f=11月 2000年2月 開謄 エルテイ932 力 り屋 1989年4月 4 ヽスクエア 32.59〔 平和堂 アヤハディオ 1996年3月 5 菫澄 折 鉄 百 告 店 菫 逮 折 螢 百 省 店 1997年9月 G ―ス・スクエア 赤 ち ゃ ん 本 舗 ア ヤ ハ デ ィオ 1998年10月 資料:『全国大型小売店総覧2000』東洋経済新報社 左端の番号は図2の 中の位置を示している鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第
2巻
第2号 (2001) 15
た大型店 のうち,第
1種
大型店は5店
でうち3店
舗が中心市街地 に立地す る一方で,第
2種
大型店 の11店全 てが郊外型 の立地傾 向を示 した (う ち, 1店
は1998年に閉店 した)。 その結果,郊
外 では 新たな店舗立地の進展 によって大型店の店舗面積 の総計は約4,600∬ か ら約3万
1,470ポ ヘ とおよそ2万
6,900ポ の増床で6.8倍 に増加 した。他方,中
心市街地の大型店の店舗面積 は約3万
3,800♂ か ら約8万
7,400ポ と約2.6倍の増加であ ったが,新
規立地 の店舗面積は3店
舗合計で5万
3,600ポ と 大幅 な増加 となった。1992年まで に立地 した大型店の平均店舗面積は,中
心市街地で約1万
1,270 ポ,郊
外では約1,160∬ であるのに対 して,1993年
以後 に新たに立地 した大型店 の平均 は中心市衡 地で約2万
140ポ,郊
外で約2,685沼 といずれ も店舗面積 の大規模化が認め られ る。 中心市街地 と郊外 に立地 した大型店は業態の点で も大 き く異 なる。中心市衡地 に立地す る大型店 はいずれ も衣料品 。雑貨・ 食料品を揃えた百貨店 あるいはスーパー,シ
ョッピングセ ンターの業態 であるのに対 して,郊
外立地の大型店は第1種
。第2種
のいずれ も食料品主体のスーパー,家
具・ 家電製品 。スポーツ用品 。書籍 などの専門店,あ
るいはホームセ ンターで,い
わゆるカテ ゴリーキ ラー的な要素が強い店舗が中心 になっている。 郊外型店舗の立地環境は大 き く2つ
のタイプに大別できる。第1は食料品スーパーにみ られ る住 宅地 に隣接 して立地す る,い
わば消費地立地 タイプであ り,そ
して第2は
各種のカテ ゴ リーキラー に代表 され る幹線道路沿いに立地指向す るアクセスポイン ト立地 タイプである。草津市では後者の 幹線道路沿いに立地 し,広
範囲か らの集客を可能 と しているロー ドサイ ド型店舗の進 出が近年急増 してお り,一
部では線的に連続 した集積地域 も出現 している。2.中
心市街地 の商業環境 の変化 草津市中心市街地 における商業環境は,前
節で述べたように相次 ぐ大型店 の立地 よ って大 きな転 換期 を迎 えたといえよう。中心市街地 における近年の大型店 出店 には2つ
の背景があると考え られ る。第1に,大
型店が出店可能 な空閑地が存在 していた ことである。1889年,当
時の湖東鉄道開通 を契機 に草津駅が開設 されたが,当
時の中心市衡地はかつての宿場町であった本町地区にあ った。 そのために草津駅周辺にはその後工場等が立地 し,近
年の工場撤退などによって中心市街地 に複数 の大規模空閑地が出現 した。第2に ,
」R草
津駅 は近郊都市・ 草津市の玄関 口であるとともに草津 駅か ら甲賀郡方面 に延びる」R草
津線のター ミナル駅 と しても機能 している。 こう した ことか ら中 心都市への通勤 。通学 に鉄道を利用す る多 くの乗降客が結節す るポイン トと して機能す る草津駅は 県内最大の乗降客数があ り,商
業立地の好適地 と しての条件を備えている。 これ までにも中心市街地には3店
の大型店が立地 していた。 しか し,近
年のAス
クエア・ ノース スクエア,近
鉄百貨店の立地は従来の3店
とは異 なった機能を中心市衡地にもた らした。すでに中 心市街地 に立地 していた3店
の大型店は,い
ずれ もGMS的
な食料品 。衣料品を中心 と した店舗で 商品構成 などの点では大きな違いはみ られ なか った。そう した3店
競合状況の中,近
鉄百貨店 はよ り高次の商品構成で対抗 し,こ
れまで高次の商品購買者が大津や京都 に流出 していた状況 に一定の 歯止めをかけ,草
津市中心市衡地の商業集積 をよ り上位 の階層 に位置づける働 きを果 た したといえ る。 またAス
クエア・ ノーススクエアの立地 は,そ
れ まで休 日には 自家用車での来街 によ って渋滞 が生 じるなどモータ リゼーシ ョンヘの対応 に十分でなか った状況に改善をもた らした。それ まで大 型店 に設置 され ていた駐車場の合計は930合のみであ ったが,Aス
クエア・ ノーススクエ ア,近
鉄 百貨店 の出店で新たに3050合分の駐車スペースを確保す ることになった。 このような急速 なモー タ リゼーシ ョンヘの対応は,中
心市街地への 自家用車による 日常的 な来街を可能 にす るとともに,そ
超 担 糎 色 吾 雫 揮 玉 吾 ・営 ヽ 趣 担 担 営 終 山下博樹 :大都市圏郊外商業核の発展 とモータリゼーシ ョン 図
3
中心市街地における商店街の店舗構成変化 の来街範 囲の拡大 をもた らす ことにもな った。 中心市衡地の中核部である草津駅周辺での急速 なモータ リゼーシ ョンヘの対応は,中
心市街地周 辺部 に どのような影響をおよば したのだろうか。中心市街地 には図2に
示す ように広範囲におよ応ミ 商店街が存在す るが,こ
こでは商店街 と しての機能性が高 くアーケー ドでの一体感のある耳ヒ中商店 街 (図2中
のa),栄
町商店街 (同b),中
ノ町 。中央商店街 (同c)の
3つ
の商店街 と近年変化の 著 しい本町商店街 (同d)を
分析対象 とす る。図3は
各商店街 の店舗構成の変化を表 している。北 中町商店街のなかには平和堂が立地 しているが ここには加えていない。商店街のなかに大型店 をも つ北中町商店街はこの4つ
の商店街の中では最 も集客力のある商店街 といえる。北中町商店街,栄
町商店街,中
ノ町 。中央商店街のいずれ も1992年 と1999年の比較ではそれぞれの店舗構成 にほとん ど変化が見 られ なく,実
際に栄町商店街で一部店舗の更新が進み美容院など対個人サー ビス店や飲 食店 の占める割合が増加 したほかには,店
舗更新の事例はほとん どない。他方,草
津駅か ら最 も離 れ る木町商店街では1992年以前か ら進行 していた商店街衰退化の傾 向がより顕著 とな った。具体的 には本町商店街 に位置 していた滋賀銀行草津支店が駅前に移転 したほか,図
4に
示す ように本町商 店街のうち,草
津駅 に比較的近い部分では買い回 り品 。最寄 り品店 を中心に店舗の占め る割合が比 買い回り品店 最寄 り品店 口飲 食 店 口対個人サービス店 ■娯楽関連店舗 口事 業 所 日住宅 口駐車・駐輪場 空 き 店 舗
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熙 買 い 回 り品 店匡匡霊 事 業 所
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史跡 草津宿本 陣
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図4
本町商店街 の店舗構成変化 主 ユ■│11 <醐 <醐=匿
璽
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ヨ
飲
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店
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車
場
空 き屋・ 空 き地
公
民
館
鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第2巻
第2号
(2001)醐
踵
璽
聞
鰯
鰻
Ⅷ
鰯
顧
國
幽欝
露
鰻
趨
囲
翻
鰯
霊
理
に
18
山下博樹 :大都市圏郊外商業核の発展 とモータリゼーシ ョン 較的高いが,南
に離れ るに従 って住宅,空
き屋・ 空 き地 などの非店舗 と しての利用率が高 くなって いる。北中町商店街でも住宅の占める割合が高いが,こ
ち らは建物の高層化 にともなって上層階で マ ンシ ョンと しての空間利用が進んだためで,低
層階は店舗や事業所 と して利用 されている点で本 町商店街 とは状況が異 なる。む しろ木町商店街では改修 の済んだ「 史跡草津宿本陣」を中心 に宿場 町と しての景観を保全 しなが ら,草
津市の観光物産館や衛道文化情報セ ンター,飲
食店の立地 など 観光地化としての整備が進め られており,今
後はそうした方向での店舗更新が進むことが予測される。 Ⅲ 中 心 市 街 地 来 街 者 の モ ー タ リゼ ー シ ョン1.来
街手段の変化 以上のように,車
津市中心市衛地では従来とは異なるタイプの大型店の相次 ぐ立地によって商業 環境は大きく変化 した。本章ではその中心市街地における商業環境変化の影響を,中
心市街地への 来街者特性の変化か ら考察する。新規に立地 した大型店がもたらした中心市街地のモータリゼーショ ンヘの対応に着 目して,
ここではとりわけ自家用車による来街者の動向に注 目したい9)。 まず,中
心市衡地への来街者のモータリゼーシ ョンの進捗状況を明らかにす るために,「来衛者 調査」の結果か ら車津中心市衡地への来街手段の変化を明らかにしよう (図5)。 1992年度の同調 査では,
自転車・バスによる来街が休 日36.0%,平
日40.0%と
ともに最も多い。 しか し,1999年
度 になると休 日22,7%,平
日23.9%と,い
ずれも大きく減少 している。同様にバスも92年度には休 日8,7%,平
日10.3%の
利用があったが,99年
度にはそれぞれ2,9%,4.0%へ
と減少 した。 他方,利
用が増加 している来衡手段として,
自家用車の急増があげ られ る。92年度では休 日18,8%,平
日15,2%で
必ず しも中心的な来街手段ではなかったが,99年
度では休 日34,4%,平
日28,0%
とほぼ倍増 した。同様に電車も92年度の休 日13.5%,平
日17.7%か
らそれぞれ20,6%,19.3%へ
と 100X92年
休 日92年
平 日99年
休 日99年
平 日垂藝 熙観
三
甕
鰯
I 徒 歩 口 自転車・バ イク 日′` ス 団電 車 口 自家用車 口その他 図5
草津市中心市街地への来街手段の変化席取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第
2巻
第2号
(2001) 増加傾 向にある。 これ らのことか ら,草
津中心市衡地への来街手段はモー タリゼーシ ョンの進展 に よって, 自転車・ バ イクやバスなどの利用 に変わ って 自家用車が一般的になりつつあ ること,さ
ら に電車の利用が増加傾向にあることとあわせ て考えると来街範囲の広域化が進展 していることが推 察され,旧
来 よりも高次の商業集積 としても機能 しているといえよう。 では,中
心市衡地の店舗や商店街 などのポイン ト別 に来街手段を分析す るとどうなるだろうか。 図6に
示す ように,中
心市衛地の店舗のうち最 もモータ リゼーシ ョンに対応 しているのは駅西 日に 位置す るAス
クエアである。Aス
クエアは2000台収容可能 な駐車場を整備 し,中
心市衡地 に位置す る店舗では自家用車による来店が約52%と
最 も高い。同調査で比較のために調査 した完全 な郊外型 店舗が7割
以上を自家用車による来店 によ って占め られている点 と比較す ると,Aス
クエアのその 割合は必ず しも大 き くないが,他
方で電車 による来店が22,1%(休
日)を
占めていることか ら,A
スクエアは大規模 な駐車施設を有す る一方で,駅
にも隣接 しているためにあ らゆる来街手段を用 い る来店者 にも対応できているといえる。 他方,駅
東 口に位置す る旧来か らのエルテ ィ・ 西友 。近鉄では, 自転車 。バ イク,電
車,
自家用 車による来店が相対的に多い。駅 か ら比較的離れた西友では電車が7.4%と
低 いが,
自転車・ バ イ クと自家用車による来衡者が77.8%を
占めている。駅 とペデス トリア ン・ デ ッキで結 ばれているエ ルテ ィと近鉄のうち,近
鉄はこの3つ
の手段 とも20%台
で,徒
歩 とバスによる来店 も10%台
と来街 手段力単分散 している。他方,エ
ルテ ィは 自転車 。バイクと電車が68.2%を
占めている。 この3つ
の 大型店 に共通 していることは電車や 自家用車を利用 した比較的遠方か らの来店が多い反面, 自転車 やバ イクなどを利用 した比較的近隣か らの来店者の割合 も多 く,
日常的な近隣か らの利用 も一定の 割合を占めていると考え られ る。 中心市街地 の各商店街 をみ ると,い
ずれ も徒歩 による来街が最 も多 く,商
店衡 によ って34.8%
か ら56.6%ま
で幅はあるものの,近
隣か らの来街者が中心であることが明 らかである。 これ らの商 店街への 自家用車の利用は,休
日でも3.7%か
ら18.8%ま
でで中心的な来街手段 とはいえない。他 方,電
車の利用が休 日では21,7%か
ら33.3%と
高い割合 を占めている。 このことは平 日では本町商Aス
ク エ ア
近
鉄
国徒 歩
□ 自転車・バイク
ロパ ス
ロ電 車
日自家用車
口その他
0%
20X
40%
60%
80% 100X
友 西 エザレティ932
本 町商 店 街 中 ノ町 商 店街 栄 町 商 店街 北 中町商 店 街 図6
草津市 中心市街 地への調査 ポ イン ト別来街手段20
山下博樹 :大都市圏郊外商業核の発展 とモータリゼーション 店街で半減す ることなどか ら草津宿本陣への観 光 目的の来街者が多 く応、くまれていることが推 察 され る。2.自
家用車利 用 の来街者 の変化 中心市街地への相次 ぐ大型店の立地によって 来街者が利用す る交通手段 に変化が進み,特
に 自家用車の利用が急増 した。では自家用車で中 心市衡地 を訪れ る来街者 はどのような行動をと るのだろうか。 ここでは1992年度 と99年度 に実 施 された「 草津中心部駐車場利用者 の行動実態 調査Jの
結果か ら考察 したい。 表2に
示すように自家用車利用の来街者の83. 表2
自家用車来街者の来街 目的 食事 レ ジ ャ ー 待ち合わせ 会
合 サービス・金融 仕
事 何 と な く 他都市へ行くため そ の 他 1 8 8 6 4 3 4 3 5 5 6 0 0 0 1 0 1 4 6.4 4.7 0.9 0.6 0.5 1.1 0.9 2.3 5.1
(%)
3%が
「 買い物」 を 目的と してお り, この割合 は92年 と比較す ると6.1ポイン ト上昇 している。 しか し,そ
の他の項 目の占める割合は相対的に低 い。そう したなかで,Aス
クエアや近鉄百貨店 などの 立地 によって幅広 い消費者層 に対応できる中心商業地へ と変化 した反面,周
辺の地域でア ミューズ メン ト性の高い施設が多 く立地 した ことなどか ら「 レジャー・ 娯楽」のために来街す る割合が低下 している。 また,「その他」の 目的での来街の内訳はパ ソコン・ ダンスなどの習い事や通 院な どが 中心 になっている。以上のことか ら,草
津中心市衡地は買い物・ 食事 などに特化す る一方,Park
and Rideの利用が微増 していることなど,か
ねてか ら指摘 されていたア ミューズメ ン ト性 は依然 と して低 く, 自家用車利用者にとっては買い物 など限 られた 目的を果たすための空間と して機能 して いると判断できる。 草津中心市街地のモータ リゼーシ ョンヘの対応 の進展 と多様 な店舗の立地は,よ
り広範 囲か らの 来街 を促進 した (図 7)。 これ まで草津市 内と中心市衡地 に隣接す る栗東町か らの来衡者 が72,7%
を占め比較的狭 い範 囲か らの来衡が多 くを占めていた。 しか し,99年
では両地区の 占め る割合 は53.8%と
大幅に低下 し,大
津市・ 甲賀郡・守山市か らの来街が18.3%か
ら31.8%と増加 した。 この ことは 自家用車を利用 して気軽 に来街できるようになったいわゆる利便性の向上 と, これ まで高次 の商品購入の際,大
津や京都を指向 していた消費者の一部が草津市中心市街地へ流入 したため と考 え られ る。 こう した 自家用車利用者が広範囲か ら来街す る一方で, これ まで 日常的に中心市衡地 を利用 して いた来衡者は どのような影響を受けているのだろうか。「 来街者調査」 によると「 毎 日」 あるいは 「週2∼ 3回
」の頻度で来街す る者の割合は,92年
の60.3%か
ら50.1%に
減少 した。他方,「自家 用車利用者」の場合, この頻度で来街す る割合 は40,3%か
ら40.0%と
変化はなく,む
しろ「 毎 日」 来衡す る割合は9.6%か
ら17.6%へ
とほぼ倍増 した (図8)。 これ らのことか ら,来
街範 囲の拡大 に よって来街頻度 の高い来衡者の占める割合が低 くなる一方で,モ
ータ リゼーシ ョンの進展 によ って 自家用車が中心市街地へ 日常的に来街す る者 にとっても主要 な来街手段になりつつあることが分か る。鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第
2巻
第2号
(2001) Pl:エルティ東 P2:エルティ西P3:駅
西 ロP4:西
友 P5:平和堂契約 P6:小汐 井神社P7:Aス
ク エ アP8:近
鉄P9:地
下P東
P10:地
下P西
1999年
平均1992年
平均 図7
自家用車来街者 の居住地 20% 4011 60% 80% 100% 図8
草津市 中心市街 地への来街頻 度3.自
家 用車利 用者 の行動パ ター ン 自家用車による来街はその利便性で優れ る一方,無
料で駐車できる駐車時間の制約を受けるなど, 中心市街地での行動 に影響をおよぼす要因も推察できる。 ここでは 自家用車利用者が中心市衡地で どのような移動や買い物 などの行動を行 ったのかを考察 したい。)。 大規模 な駐車場 をもつ店舗が増えた99年 に比べて,92年
には一般の来街者が利用できる駐車場は極 _群 ヽ 鞘 B 闘8猾Ⅸ漁ぶミ翠ぶ灘5役鳥 =■ 等 ― O― 茶 濁99年
園毎 日 □週2∼ 3回 口週 1回 □月2∼ 3回 口月刊回 □年数回 口初めて・その他22
山下博樹 :大都市圏郊外商業核の発展とモータリゼーシ ョン めて限 られていた。銀行 など駐車場をもつ店舗 もあるが利用できる時間帯が短いなど,実
際には利 用 しに くい駐車場 も多い。 こう したなかでエルテ ィ・ 平和堂 。西友が個別 にもつ駐車場以外 に一定 の規模をもつ中心市衡地 に位置す る駐車場 と して駅西 日駐車場 と小汐井神社駐車場がある①。大型 店の新規 出店 によって大幅に増加 した99年 の状況は先述 した通 りである。 以上のような中心市街地の駐車環境の改善のもと, 自家用車利用者の行動パ ター ンは大 きく変化 した (図9)。 92年 では大型店3店
のうち,駅
か ら最 も離れた西友では他 の店舗に寄 るなど中心市 衡地での回遊を全 くせず に駐車場 に戻 った 自家用車利用者の割合 (以下, 自店舗完結率 とよぶ)が
ア
999牢
他店舗への移動率-30%∼
――……10%∼ 29.9%
とう0--5%∼
9,9%
(霊
)自
店舗完結率80%以
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図9
自家用車来街 者の行動 パ ター ン鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第
2巻
第2号
(2001) 23
89.1%,99年
でも89.6%と高い割合を示 した。他の平和堂・ エルテ ィのこの割合はそれぞれ62.6%,
75,0%で
あったが,99年
には平和堂は74.4%に
上昇 したのに対 して,エ
ルテ ィは68。9%に
低下 して いる。エルテ ィの低下の要因と しては,駅
前 のペデス トリア ン・ デ ッキをはさんで正面 に近鉄百貨 店が立地 したために自家用車利用者が駐車時間を気にせずに移動できる店舗が増 えた ことや両店舗 では商品構成 に違いがあ り消費者にとっては商品選択の幅が拡大 した ことなどがあげ られ よう。A
スクエア 。近鉄百貨店 ともに自店舗完結率が91.8%,85。7%と
いずれ も高い。他方で この両店舗は 駅に近接 した立地条件であることか ら,他
の店舗の駐車場 などを利用 した 自家用車利用者が来店す るパ ター ンが多 く生 じるようにな った。 この ことは集客力の高いAス
クエア・ 近鉄百貨店 などが来 店者の多様 なニーズに対 して,One StOp Shoppingを 高い割合で実現 していることを表 している反 面,多
くの集客がありなが ら,中
心市街地の他の商店街 などへ環流す る自家用車利用者の減少を招 く原因にもなっている。 こう した なかで西友 は2000年2月に借地 の契約期間が切れた ことを契機 に 中心市街地か ら撤退 した。 このことによって草津市中心市街地の商業集積は駅を中心 と した コンパ ク トな空間に一層集中す ることになった。 しか しなが ら,駅
を中心 と した コンパ ク トな範 囲に店舗 が集中す ることは,駐
車時間等の制約を受ける自家用車利用者にとっては中心市街地での移動可能 な選択肢 を増やす ことにもなる。現実 に99年 では 自家用車利用者の行動パ ター ンは大型店 を中心 と した多様で複雑 な行動パ ター ンヘ と変化 しつつあ り,回
遊性の高い中心市街地へ と発展 させ る可能 性を秘めている。そのためには大型店間,あ
るいは商店街 との間で どのような相互補完的な関係 を 形成 し,魅
力的 な商業空間を創 りだす ことができるか,さ
らには 自家用車利用者が駐車時間を気 に せず に中心市衡地 を自由に行動できる駐車システムを構築す ることができるかということが重要 に なると考え られ る。Ⅳ
お わ り に
多 くの近郊都市がベ ッ ドタウンと して発展 し,初
期の段階か ら駅 を中心にコンパ ク トな中心市街 地を形成 したのに対 して,草
津市は中心市街地 に空間的なゆとりをもちなが ら大型店 を数多 く立地 させ るなど特異 な条件をもつ都市であることは間違いない。 しか し,近
年駅 を中心 と した地域構造 を強めつつあることなど,多
くの近郊都市 と同様 な方向性での変化を進めつつある。そう したなか でモータ リゼーシ ョンに広 く対応 した店舗を立地 させ,よ
り広範囲か らの来街者を集めることが可 能になった ことは,地
方都市同様 に商業集積の郊外化が進む近郊都市にとっても中心市街地再生の 大 きなヒン トとなるであろう。駅が中心都市への通勤・ 通学の結節地 となっている近郊都市にとっ ては,中
心市街地をより多機能で回遊性の高い多 くの市民に利用 され る空間 と して形成 され ること が強 く望 まれ る点であろう。 本稿を作成するにあたり平成11・ 12年度文部省科学研究費補助金地域連携推進研究費(2)(研究代表者: 矢野桂司)の
一部を使用 した。また,本
稿の骨子は2000年度 日本地理学会春季学術大会 (於 早稲田大学) において発表 した。山下博樹 :大都市圏郊外商業核の発展 とモータリゼーション
注
(1)京阪神大都市 圏 におけ る人 回10万 人以上 の都市 を対象 と した1990年 ∼1995年 の人 口増加率で,草
津市 は7.5%で上位5番目とな ってい る。 急速 な人 口増加 の要 因は 」R車
津駅周辺 で相 次 いだ大規模 マ ン シ ョン開発 と,1994年に新設 され た 」R南
車津駅 周辺 のマ ンシ ョン開発,同
じく1994年 に始 ま った立 命館大学 の車津市へ の一部キ ャンパ ス移転 に ともなう学生 マ ンシ ョンの増加 な どで ある (山下2000)。 また,2000年実施の国勢調査結果では,1995年∼2000年 の人 口増加率は,全
国で滋賀 県が最高であ っ た。 (2)本研究 で利用 した「 草津 中心部駐 車場利用 者 の行動実態調査Jで
は駐車場 を利用 した来 街者 を対象 に ア ンケー ト調査 を行 っているため に,車
の所 有形態 を区別 していない。 しか し,調
査結果 か ら仕事 な どの 目的での来街 は ご くわずかで あることか ら,本
稿 で は駐 車場利用者 を「 自家用車Jを
利用 した来 街者 と して考 え ることにす る。 (3)「草津 中心部駐 車場利用者 の行動実態調査Jで
は,ア
ンケー トの対象者対 して駐車場 に車を停めてか ら駐車場 に戻 って くるまでの移動経路 と買い物や飲食 な どを したポイン トを実際の地 図上に記入す る 項 目が あ る。 この項 目か ら各調査対象者が どの店舗 に立 ち寄 り, どこで買い物 を した のか等 の具体的 な行動 を把握す ることがで きる。 (4)この両駐 車場 はいずれ も24時 間利用 で きる。前者 は隣接す るホテルの契約駐車場であ るほか時間貸 し で も利用 で き,駐
車料金 が30分100円と割 安 で あ るため にホ テルの宿泊客や京都 な ど他都市へ行 く際 の利用 な ど比較 的長時間駐 車 の利用 が多 い。小 汐井榔社駐 車場 も同 じ料金体系であるが, こち らは平 和堂 と商店街 の一部店舗で一定金額 以上 の買 い物 をす ると無料駐車券 をも らうことがで き る。 また, 99年 時点では新たに車津駅 の地下 に市営駐車場が設置 され ているが,市
営 であ るため に買 い物 で の無 料駐 車 な どの便 宜が図 られ てい ない ことや,大
規模 な駐 車場 を もつAスクエアが近 い ことな どのため に利用 が伸 び悩 んでい る。参考 文献
生 田真人 (1990)大 都市 圏におけ る商業集積 の空間分析 ―商業立地変化の把握 に向けて一,季
刊経済研究, 13--3, pp.37--72. 拙著 (1991)東 京大都市圏におけ る近郊都市,八
王子・ 町 田両都市の都心部の変化,地
理 学 評論,64A-4,
pp.280--295。 拙著 (1993)東 京大都市圏におけ る周辺 中核都市 の成長,地
理科学,48-1,pp.1-19
拙著 (2000)京 阪神大都市圏 におけ る近郊都市 。草津市南部 の市街地形成 の特性― 」R南
車津駅 開設 と立命 館大学移転 のイ ンパ ク トー,京
都地域研究,14,pp 23-35,
Fujii,T, and Hartshorn,T.A,(1995) `The changing metropohtan structure of Atlanta, GeOrgia: locations of functions and regional structure in a multinucleated urban area' , Urban Gcography, 16-8, pp.680-707.