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負の重みを用いたメジアンフィルタによる帯域フィルタの性質

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愛知工業大学研究報告 第39号 B 平成 16年 99

負の重みを用いたメジアンフィルタによる

帯域フィルタの性質

On a

B

e

h

a

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i

o

r

o

f

W

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g

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h

t

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橋 之 口 幸 一 郎

1)

田 口 文 子

1)

井 研 治

1)

Kouichirou HASHINOKUCHI1)

Fumiko TAGUCHI1)

Ke

i INOMOT01)

Abstract : Although linear filters show effective peげormancein many applications, there are certain situations when it is impossible to find an acceptable linear filte仁Forexample

in many applications the spectrum ofthe desired signal and of

the noise overlap and

therefore

frequency selective behavior of linear filters can not produce the desired results. In some of these cases, nonlinear filters can be used. In this paper, weighted median filter admitting negative weights, which is abbreviated as NWMF, is considered. These weights are calculated by using spectral optimization technique and are derived using FIR filter coe冊cients.

steady state response of NWMF for sinusoidal input signal shows as a notch filter or frequency elimination filter with narrow bandwidth. 1 はじめに 非線形フィルタによる周波数分析の試みとしてメジア ンフィルタに負の重みを組み合わせ、その白雑音応答を 調べた。またメジアンプイノレタの出力がゼロとなる条件 について考察を行った。 なお、この研究は情報通信工学科における平成

1

5

年 度の卒業研究として行われたものである。 2 フィJレタ[1] フィルタは希望する周波数帯域の波だけを通し、他の 波を防止するもので電気通信においては欠くことのでき ないものである。フィルタが使われている例として、ス ピーカに入る周波数を分ける定抵抗分波ファイルや、ラ ジオ受信機に使われている中間周波フィノレタなどがある。 信号が通過する帯域を通過域、信号が通過しない帯域 を阻止域と呼ぶ。しかし、実際に得られるフィルタの周 波数特性は、通過帯域と阻止帯域の他に遷移域と呼ばれ る帯域が存在する。

2' 1 FIRフィルタ (FiniteImpulse Response fil旬r)[2]

ここではメジアンフィノレタによって帯域フィルタを実 現するが、その際FIRフィルタの係数を用いる。 この FIRフィルタはディジタノレフィルタの一種で次 のような特徴を有する。 1)愛 知 工 業 大 学 工 学 部 情 報 通 信 工 学 科 @ 出力から入力へのフィードパックがないので、 常に安定である。 @ 完全に正確な直線位相特性を実現できる。 @ 周波数領域での鋭い減衰特性を実現する場合、 高い次数のフィノレタが必要となる。 2.2 メジアンフィルタ メジアンプイノレタは、非線形フィルタの代表的なフィ ノレタであり、インパルス雑音を除去する性質を持ってい る。奇数個のデータを大きい順に並べたとき、中央の位 置にくる値を medianといい、このフィルタは、その値 を出力とするフィルタである。入力を

X

1

X

2・・・

X

n とした時出力

Y

は、

Y

=

MED[X

1

X

2

X J

で表せる。ここでMED[]は、中央の値を取り出す演算 を表す。 このメジアンプイノレタは低域通過フィルタとなる。 2・3 重み付きメジアンフィルタ[3J 負の重み(整数)を使ったメジアンフィノレを用いること により、 LPF、HPF、BPF、BEFなどのフィノレタを設 計することが可能になる。負の重み付きメジアンフィノレ タの出力の計算方法は、まず負の重みと対応しているサ ンプル値の符号を反転させる。反転させた各サンプノレ値

(2)

100 愛知工業大学研究報告、 第39号B、 平成16年、 Vo1.39・B、M町.2004 を対応する重みの値だけ複写し、大きい順にソートし、 その中から中央の位置にくる値を出力するフィルタであ る。式で表すと出力

Y

は、

Y=MED~玖 <>X

j

W

2

<>X

2

WN<>X

N]

で表すことが出来る。ここで

0

は複写演算を表す。 重みがすべて1の時には通常のメジアンフィノレタとな る。 2・4 設計 重み付きメジアンフィノレタを設計するためには最適な 重みを決める必要がある。 重みの決定方法[4]をフローチャート図

1

に示す。 図1重みの決定方法 2・4・1 希望の周波数特性を決める 実験では、周波数帯域を16個に分割したBPFを設計 した。例として、図2に分割数 4の周波数特性を示す。 分割数4の時の周波数特性は、周波数帯域を 4等分に 分割する。 0 2 5 0 5 0 7 5 1 f o 0^~. .25 ^0'..5 ^~. 0.75 ~〆 A1 • 0 0 4 5 0 h o h 5 i〆 f 0 0 . 2 5 0 5 0 7 5 1 f 図2分割数 4の周波数特性(遷移域=0) 2・4・2 FIR係数を計算 希望の周波数特性になるように、ソフトウェアMatlab のfi.rls関数を用いた最小2乗法により FIR係数を決定 する。 FIR係数は小数点を伴う実数値である。 2

4

3 確率(ssp)を計算[3] FIR係数の絶対値をとり整数化すると、いくつかの候 補が挙がる。 非線形フィルタにおいて、入力サンプルのうちのどれ か1つを出力することを「選択」で示し、平均 2乗誤差 で非線形フィノレタの出力と一致する線形 FIRフィルタ を見出すことができる。線形FIRフィルタ係数は、対応 する非線形フィルタと統計的性質が密接な関係を持って いる。今、非線形フィノレタの出力 Yが入力サンプル ](j と等しくなる確率をp(y=

xJ

とすれば、実際最も近い線 形フィルタの重みはお= p(Y=xJを満たす。ここで用い た PβT

=

.

x

ジ の こ と を サ ン プ ル 選 択 確 率(sample selection probabilities:SSp)と呼ぶ。 SSPの計算には、多くの非線形フィルタを分析するた めに用いられているMallowの理論を利用して行う[4]0 2司4・4 メジアンフィルタの重みを選ぶ 計算したSSPとFIR係数との2乗誤差を計算し、そ の誤差が最小となるものを選ぶ。その重みにFIRフィル タ係数の符号を乗算し、重みとして採用する。 2乗誤差を計算する際、SSPとFIR係数の大きさを規 格化して比較する必要がある。規格化の方法は、 FIR係 数は正a負の符号があるため絶対値の総和が1となるよ うに規格化する。 SSPは確率のため総和が1になってい る。 負の重み付きメジアンフィルタは、この重みを用いて 設計する。 3. 実験 実験ではフィルタ次数m =l1、遷移幅0、分割数16 の帯域通過フィルタを設計した。フィノレタ次数は、入力 されるサンプル値の個数を示している。設計した負の重 み付きメジアンフィルタに白色Gauss雑音、 sln波を入 力し、検証を行った。 3. 1 白色 Gauss雑音による出力スペクトラム 入力信号には、 50種類の白色 Gauss雑音を用いた。 これを、設計した重み付きメジアンフィルタ入力し、各 帯域の出力信号からスペクトラムを計算し、パワ平均を 求めた。ある白色Gauss雑音による出力スペクトラムを 図3に図示する。また図 4は 50種類の平均をとったス ペクトラムのパワ平均を示す。この図にはFIRフィルタ の特性を破線で併記した。

(3)

負の重みを用いたメジアンフィルタによる帯域フィルタの性質 101 120 120 120 90 80 100 100 70 80 80 80 60 50 60 60 40 40 40 40 30 20 20日11111".lJ

州酬」

2:~鵬糊糊叫

20 10 n 0.5

0.5 帯域番号: 1 2 3 4 120 120 120 120 100 100 100 100 80 80 80 80 60 60 60 60 40 40 40 40 20 20 20 20

0.5 0.5

0.5 5 6 7 8 120 120 120 120 100 100 100 100 80 80 80 80 60 60 60 , .

I~ 制l.t

60 40 40 40 40 20 1. 1 品d 20 1.1.を 20 20 9 10 1 1 1 2

r

-

-

-

-

-

-

l

1 00 ~ ~ 1 00 ~ ~ 1 00 ~ H 1 00 80 ~ ~ 80 ~ ~ 80 ~ IIH 80 60 ~ dlllll ~ 60 ~ 111111 ~ 60 ~ IIIIIH 60 40 ~ 1111111111 -1 40 ~ .111111111~ 40 ~ II~_ 40 20 ~ .1 I 1 1 " 1 UlI~lllrlllW 1. 20 h . .1..1"1 1 ,[,ll!, IUIIlIIIIIIIYH 20 ~ 1.I1.111111U 20

。叫緋謝~

0.5 1 0 0.5 1 0 0.5 1 0 0.5 13 14 15 16 図3白色ガウス入力に対する出力スペクトラム

(4)

102 愛知工業大学研究報告、 第39号B、 平成16年、 Vo1.39也、 M町.2004 70 7 0 7 0 7 0 60 6 0 6 0 6 0 5 0 5 0 40

4 0 3 0 3 0 3 0 2 0 2 0 2 0 10 10 10

0.5

0.5

0.5 帯域番号: 1 2 3 4 70 70 7 0 70 60 60 6 0 60 50 50 5 0 50 40

40 40 40 30 80 3 0 80 20 20 2 0 20 () 10

f

0.5 0.5

0.5 5 6 7 8 7 0 70 7 0 7 0

白0 6 0 6 0 5 0 50 5 0 5 0 4 0 40

ケえ

λ

4 0

40 3 0 80 3 0 3 0 2 0 20 20 2 0 10 10 10

0.5 9 10 11 12 70 7 0 70 7 0 60 6 0 白0 6 0 50 5 0 5 0 5 0 40

4 0 品

l

¥

40 40 3 0 3 0 30 3 0 20 20 20 2 0 10

0.5 13 14 15 16 図4スペクトラムのパワ平均 (実線:メジアンプイノレタ 破線:日Rフィノレタ) 図4のスベクトラムを見ると周波数全体が 16等分さ 3・2 iE弦渡による出力波形 れ、それぞれの指定した周波数帯域を取り出すことがで 1) 周波数150[Hz]のSlll波をAl

D

を介してPC上 きていることが分かる。 に構築したメジアンプイノレタに加え、 D/Aからの出 2.3で設計した周波数特性とスペクトラムのパワ平均 力を観察する。その様子を図5に示す。 を比較すると、ほぽ似た形になることから、重み付きメ フィルタの出力は、 Slll波の正の最大値部分がへ ジアンフィルタで帯域通過フィルタを実現できるものと こむ形になり、負の部分はとがった形になった。 Slll いえる。 波は信号の前後に関係があるため、非線形フィノレタ であるメジアンフィルタでは入力波形と同じ波形を 出力することはできない。

(5)

103 よって、メジアンプイノレタの出力が常に0になるには、 位相0でサンプルされる時、 負の重みを用いたメジアンプイノレタによる帯域フィノレタの性質

=lMJ@-)

の関係が成り立つ場合である。 実験ではm=llを採用しており、いくつかのnについ てその周波数を調べると次の表のようになる。

f

n f O. 18 2 0.36 3 O. 55 . . . : 一方3.22)では、企24/64で出力が=0となったことか ら、正弦波 1周期は 5.3点で、サンプルされており、 M F の次数が 11であることを考え合わせるとほぼ2周期が 取り込まれている。 これは上の表でn=2に相当している。 2)メジアンをサンプルする正弦波の位相が 0でない場合 0<古〈

τ

となる 6を考え、これでサンプル内での位相 のずれを表すことにする。 この時、簡単のため 3点の M Fを考え、その出力がど うなるか考えてみる。 ・

0=0

の場合 2) 1周期のサンプリング点数が異なるSID波64個を 入力信号として用いる。その入力信号を重み付きメ ジアンプイノレタの分割数 4番目のフィノレタで操作し てシミュレーションを行う。サンプリング間隔は、 1 [Hz]を1周期2点、O[Hz]を1周期∞点のサンプリ ング点数に規格化して行う。 このとき規格化周波数が24/64の正弦波を入力し た時、出力がほぼ0となった。 このことは、重み付きメジアンプイノレタは非線形 フィルタであるものの特定の周波数を除去する性質、 つまりノッチブイノレタとしての応用を示唆している。 図5sin波の入力(上)と NWMF出力(下) 4. 考察 メジアンプイノレタの出力が0になる場合について簡単 な考察を加える。 1) サンプル個数を(m:奇数)とする。正弦波が、奇関 数として、かつメジアンが位相0でサンプルされる場 合、出力は0となる。

…の制¥

-'--~vL

引にパ

o

~

7

t

X I メジアンフィノレタの出力

=

Xo これは1)で考えた場合に相当している。 X_1 . 0< 0労 の 場 合 .τ

-

e

.

・ .1 E E 2 2 このとき、メジアンフィルタへの入力が移動して、い くつかの入力データが捨てられでも同じデータが入力さ れれば一連のサンプル値m個の内容は不変であり、この ときも出力=0となる。 このサンプリング条件: ・正弦波(=Asin2πft)のn周期がちょうど m個 (=MFの次数)の点数でサンプルすることになる0 ・サンプル間隔をτ、正弦波の周期を

T

とすれば、 正弦波のn周期がちょうど m個のサンプノレに相当する条件より、 メジアンプイノレタの出力

=

X

o

円 A J

d d

勺 血

n

O B

A

となり、一般に0にならない。 nT=mτ

斤=ういを得る。

これより

(6)

M町.2004

F

A

mvd/

/

A

χ

Vo1.39・B、 -規格化 2乗平均

-一

τ

一 一

平成16年、 第39号B、 愛知工業大学研究報告、

_2

r

2勺 伊 豆 ず 必 ず

-

-

;

J-

巧国~.l ~/"

示子山

2n

7r Slll-一一一

1-

m

2n

7r

m

τ -c

+o

=τ+

104 d=巧 の 場 合 X

2nπ

=1 - sinc一一一

m

とX_1の絶対値は同じであり、

=Asin 2

7

i

f

x

o メジアンフィルタの出力

=

X

o

n窓内周期数 m:MF次 数 1.5 となる。 このとき出力は最大となる。 w 的 2 0.5 X 1

4

8

〈τの場合

2 1.5 n/m 0.5 図6メジアンフィルタの正弦波応答 この値はうらによって図6のように変化する。。で考 τ

+0

X_1

-

"

察 し た 条 件 日11-n=2であったからうら=0.18より、 メジアンフィルタの出力

=

X

約0.2の規格化 2乗平均(残留成分)を伴うことがわかる。

=Asin 2

7

i

f

o

となる。 残留成分を小さくするにはうらを小さく選ぶことが これらを踏まえて、 6が - 巧 巧 の 間 を 一 様 分 5. まとめ ここでは負の重み付きメジアンプイノレタによって帯域 通過フィルタを実現する方法を詳述した。 また、正弦波入力を例に選び出力が0になる条件を考 察した。特に帯域フィルタが実現できることは負の重み 付きメジアンフィルタに代表される非線形フィノレタによ って周波数分析が行えることを示しており、今後の進展 が待たれる。 肝要である。 3) 布すると仮定する。このとき、 位相によるメジアンフィルタ出力の 2乗平均(単位時間 当たりの)は、次式で与えられる。

j

l

A

.

s

i

n

2

7r

τ

一方、振幅

A

の正弦波はパワ

A

h

であるから、位相に 起因するMFの2乗平均を振幅で規格化したものは、

(7)

負の重みを用いたメジアンフィルタによる帯域フィノレタの性質

1

0

5

参考文献 [1] 三 上 直 樹 :fデ ィ ジ タ ル 信 号 処 理 入 門 マ イ コ ン 時 代 の 波 形 処 理 技 術 の 基 礎 と 応 用 」 CQ出版株式会社 (1989) [2] 中 村 尚 五 :

r

ピギナーズデジタルフィノレタ」 東京電機大学出版局 (1989) [3]Ilya Shmulevich e七 al. : f Spectral Design of Weighted Median Filters Admitting Negative

Weigh七s.J IEEE Sinal Processing 1瓜ters

Vo1.8

No.12

Dec. (2001)

[4] S.Agaian et al. fBinary Polynomial Transforl11s

and Nonlinear Digital Filters.Jpp.266

Marcel Dekker

Inc. (1995)

参照

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