エネルギー利用技術の最前線 ∼電気の新たな価値の創出に向けた取り組み∼ ◆
ヒートポンプの有用性を示す
ハウスや温室を利用する施設園芸分野では、省エネルギーや温室効果ガス排出削減のた めに石油暖房機に代わって、エネルギー効率が高いヒートポンプへの熱源転換が期待され ています。しかし、同一の条件で、石油暖房機とヒートポンプの消費エネルギー量や作物 の収量などを直接比較した例はほとんどなく、需要家にはヒートポンプを導入するメリッ ト が よ く 理 解 さ れ て い る と は い え ま せ ん で し た。 そ こ で、 両 者 を 多 面 的 に 比 較 す る た め、 冬期の温室内でトマトを栽培し、加温装置の違いがエネルギー消費量やトマトの生育、品 質に与える影響について検討しました。試験は、 群馬県内にある2棟の同型の小型温室 (床 面積: 82㎡)のそれぞれにヒートポンプおよび石油暖房機を設置して行いました。その結 果、ヒートポンプのエネルギー消費量は、石油暖房機に対して約 30%と実測され、ヒート ポンプの使用により、少ないエネルギーで栽培できることが実証されました(資料①・ 85 ペ ー ジ )。 と こ ろ で、 冬 期 の ヒ ー ト ポ ン プ 利 用 で は、 室 外 機 に つ い た 霜 を 取 る た め の 除 霜 運転によってエネルギー利用効率の低下が懸念されていたことから、除霜運転が起こりや すい夜間の平均成績係数(COP)を解析しました。COPとは空調装置のエネルギー利 ◆はじめに
電力中央研究所では、農業分野における電化推進を通して電力需要の拡大と地域産業の 活性化に寄与するため、植物工場や施設園芸におけるヒートポンプやLED照明の活用に 関する研究開発を進めています。今回は、施設栽培におけるヒートポンプの有用性、寒冷 地におけるヒートポンプの多目的利用、震災からの復興支援、さらに、LEDの利用によ るサニーレタスとスイートバジルの機能性成分の増量技術、葉菜類の光応答メカニズムの 解明などの研究成果を紹介します。エ
ネ
ル
ギ
ー
利用技術
の
最前線
∼
電気
の
新
た
な
価値
の
創出
に
向
け
た
取
り
組
み
∼
シ リ ー ズ第
3回
農業電化
に
関
す
る
研究
の
紹介
一般財団法人電力中央研究所 次世代電力需給マネジメント特別研究チーム 電力・エネルギー価値創造グループ 職住環境マネジメントユニット 上席研究員 博士(農学) 後藤 文之 氏 上席研究員 博士(農学) 庄子 和博 氏用 効 率 を 示 す 指 標 で す。 解 析 の 結 果、 平 均 C O P の 変 動 幅 は、 機 器 定 格 値 の ほ ぼ プ ラ ス マ イ ナ ス 30% 内 だ っ た こ と か ら、 冬 期 の ヒ ー ト ポ ン プ 利 用 に お い て も、 エ ネ ル ギ ー 利 用 効 率 への影響は限られると考えられました。 次に、 ト マ ト の 生 育 量( 開 花 日 や 収 量 な ど ) と 品 質 ( 糖 度、 ビ タ ミ ン C 含 有 量 な ど ) を 調 査 し ま し た。 そ の 結 果、 調 査 し た 項 目 で は ヒ ー ト ポ ン プ と 石 油 暖 房 機 を 利 用 し た 栽 培( ヒ ー ト ポ ン プ の 除 霜 運 転 を 含 む ) に 顕 著 な 差 は 認 め ら れませんでした。 以 上 の 結 果 か ら 、石 油 暖 房 機 か ら ヒ ー ト ポ ン プ へ 熱 源 転 換 し た 場 合 、 栽 培 作 物 の 生 育 や 品 質 な ど へ 影 響 を 及 ぼ す こ と な く 、エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 大 幅 に 低 減 で き る 可 能 性 が 示 さ れ ま し た 。 ◆
寒冷地におけるヒートポンプの多目的利用
ヒートポンプは、エネルギー効率が高いことから、冬期の石油消費量が多い寒冷地ほど 代替効果が高いことが知られています。また、ヒートポンプには、暖房のほかに冷房や除 湿という石油暖房機にはみられないすばらしい機能があります。ただ、残念なことに、こ れ ら の 機 能 に つ い て は、 一 部 の ※ 花 卉( か き ) を 除 き ほ と ん ど 利 用 さ れ て い な い の が 現 状 です。そこで、寒冷地、特に東北地方での園芸施設におけるヒートポンプ普及に資するた めヒートポンプの特長である冷房・除湿効果に着目し、年間を通したヒートポンプの効果 的な活用法の提案につなげる研究を行いました。研究は、 前項と同じ温室を用いて、 冷房 ・ 除湿運転による温室内の温熱空気環境の変化を把握するとともに、作物の病害発生の抑制 効果を定量的に評価しました。 最初に、春・秋期夜間の温室内の高湿度による病害発生の抑制に資するため、冷房・除 湿運転を検討しました。その結果、冷房・除湿運転では、室内温度が低下し冷房の設定温 度になるとヒートポンプ運転が停止するため、継続して湿度を低く保つことは困難なこと から、次に、室内温度を一定に維持しつつ除湿を行うため冷房と暖房の併用運転について ※花卉(かき) :観賞用になるような美しい花をつける植物の総称 資料① ヒートポンプと石油暖房機を熱源にしてトマト栽培をした時のエネルギー消費量 ヒートポンプ 石油暖房機 16,384 16,384 58,408 58,408 0 20,000 40,000 60,000 80,000 単位(MJ:メガジュール)エネルギー利用技術の最前線 ∼電気の新たな価値の創出に向けた取り組み∼ 検 討 し ま し た。 そ の 結 果、 夜 間 に 一 定 間 隔 で 冷 暖 房 の 間 欠 運 転( 15分 × 4 回 ) を 行 う こ と に よ り、 相 対 湿 度 を 低 く 保 ち に く い 低 温 下 に お い て も 温 室 内 の 湿 度 を 90% 以 下 に 保 つ こ と が 可 能 と な り ま し た。 次 に、 ト マ ト の 重 要 病 害 で あ る 灰 色 か び 病 の 発 生 抑 制 に 対 す る 冷 暖 房 の 間 欠 運 転 に よ る 除 湿 の 効 果 に つ い て 検 討 し ま し た( 資 料 ② )。 灰 色 か び 病 の 発 生 状 況 ( 葉、 実 の 病 徴 の 割 合 ) を 定 量 的 に 示 す た め、 全 株 に お い て 病 害 の 程 度 を 6 段 階 に 分 け て 発 生 指 数 と し て 評 価 し た と こ ろ、 ヒ ー ト ポ ン プ 運 転 温 室 で は 病 害 は ほ と ん ど 発 生 し ま せ ん で し た( 発 生 指 数 = 0・ 11)。 一 方、 除 湿 な し の 温 室 で は、 全 て の 栽 培 区 で 灰 色 か び 病 が 発 生 し た 株 が 認 め ら れ ま し た( 平 均 発 生 指 数 = 1・ 27)。 以 上 の 結 果 か ら 、 ヒ ー ト ポ ン プ の 冷 暖 房 で 除 湿 す る こ と に よ っ て 、 ト マ ト 栽 培 に お い て 灰 色 か び 病 の 抑 制 効 果 を 定 量 的 に 示 せ る 可 能 性 を 見 い 出 す こ と が で き ま し た 。 な お 、 冷 房 に つ い て は 、 夏 期 の 夜 間 を 対 象 に し て ト マ ト の 収 量 増 加 や 高 品 質 化 を 狙 っ て 研 究 を 続 け て い ま す 。 ◆
震災からの復興支援
農林水産省では、東日本大震災からの東北地方の復興支援を目的に、2012年度から 3年間「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」を推進しました。その中で、ヒー トポンプを利用した省エネ型施設園芸の普及を進めており、この一環として、当研究所は ヒートポンプのCOPを指標としたエネルギー効率の評価と、ヒートポンプ適用時の栽培 作物の有用(食味や機能性)成分の実測を目的とした研究を受託しました。 2 0 1 2 年 度 は 、 地 下 水 や 地 中 熱 を 熱 源 と す る 地 中 熱 ヒ ー ト ポ ン プ の C O P を 栽 培 現 場 で 測 定 す る 方 法 を 開 発 し ま し た 。 2 0 1 3 年 度 は 、 地 中 熱 ヒ ー ト ポ ン プ と 空 気 熱 ヒ ー ト ポ ン プ の C O P お よ び 運 転 時 の 温 熱 空 気 環 境 の 測 定 を 実 施 し 、 両 者 の エ ネ ル ギ ー 効 率 の 評 価 を 行 い ま し た 。 空 気 熱 ヒ ー ト ポ ン プ は 空 気 を 熱 源 と す る た め 、 除 霜 に 起 因 す る 断 続 的 な 発 停 を 繰 資料② ヒートポンプによる除湿の有無による病害発生の比較 除湿有り 除湿なし 0.11 0.11 1.27 1.27 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 病害の発生指数り 返 し 、 常 時 C O P が 大 き く 変 動 し ま し た 。 典 型 的 な 運 転 条 件 に お け る 夜 間 平 均 の C O P は 2 ・ 6 で し た 。 一 方 、 地 中 熱 ヒ ー ト ポ ン プ は 、 除 霜 の 必 要 が な い た め C O P は 一 定 と な る 傾 向 が み ら れ 、 典 型 的 な 運 転 条 件 で は 、 夜 間 平 均 C O P は 3 ・ 2 で し た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 空 気 熱 ヒ ー ト ポ ン プ の C O P の 向 上 に は 、 機 械 的 な 除 霜 対 策 や 運 転 方 法 の 改 善 が 有 用 で あ り 、 改 善 に よ り 空 気 熱 ヒ ー ト ポ ン プ に お い て も 、 寒 冷 地 に 適 し た 地 中 熱 ヒ ー ト ポ ン プ と 同 程 度 の エ ネ ル ギ ー 効 率 で の 利 用 が 期 待 で き る と 考 え ら れ ま し た 。 2 0 1 4 年 度 は 、 栽 培 作 物 で あ る キ ュ ウ リ を 対 象 と し て 食 味 成 分 を 分 析 し ま し た 。 そ の 結 果 、 秋 期 栽 培 で は 冬 期 栽 培 の 3 倍 も 機 能 性 成 分 で あ る シ ト ル リ ン ( ア ミ ノ 酸 の 一 種 ) を 蓄 積 す る こ と を 明 ら か に し ま し た 。 ◆
サニーレタスとスイートバジルの機能性成分の増量技術
近 年 、 超 高 齢 化 社 会 の 到 来 や 国 民 の 健 康 志 向 の 高 ま り を 背 景 に 、 ポ リ フ ェ ノ ー ル や ビ タ ミ ン な ど を 多 量 に 含 む 機 能 性 野 菜 を 求 め る 消 費 者 意 識 が 高 ま っ て い ま す 。 当 研 究 所 で は 、 植 物 工 場 の 要 素 技 術 開 発 の 一 環 と し て 、 人 工 光 源 を 活 用 し た 葉 菜 類 の 可 食 部 分 の 増 加 、 徒 長 ( 枝 や 茎 が む だ に 伸 び て し ま う こ と ) の 抑 制 、 機 能 性 成 分 の 増 量 な ど を 可 能 と す る 光 質 制 御 栽 培 技 術 の 開 発 を 推 進 し て い ま す 。 サ ニ ー レ タ ス は サ ラ ダ 用 途 と し て 食 卓 で 広 く 利 用 さ れ て い る 葉 菜 類 の 一 つ で す が 、 ガ ラ ス 温 室 な ど の 栽 培 施 設 に お い て 水 耕 栽 培 を 行 う と ア ン ト シ ア ニ ン ( ポ リ フ ェ ノ ー ル の 一 種 ) 蓄 積 が 十 分 に 進 行 し な い こ と が 多 く 、 商 品 価 値 の 低 下 が 問 題 と な っ て い ま し た 。 そ こ で 、 植 物 栽 培 用 蛍 光 ラ ン プ の 波 長 と 照 射 時 間 帯 に 着 目 し て サ ニ ー レ タ ス の 商 品 価 値 の 改 善 方 法 を 検 討 し た と こ ろ 、 温 室 栽 培 条 件 で は 、 夜 間 に 青 色 光 を 照 射 す る こ と 、 も し く は 青 色 光 と 紫 外 線 を 併 用 照 射 す る こ と に よ り 、 成 長 を 損 な う こ と な く ア ン ト シ ア ニ ン 合 成 を 大 き く 促 進 で き る こ と が 分 か り ま し た 。 次 に 、 人 工 光 型 植 物 工 場 に お け る サ ニ ー レ タ ス の 栽 培 を 想 定 し て 、 L E D を 用 い て 連 続 光 条 件 に お け る 赤 色 光 と 青 色 光 の 割 合 が ア ン ト シ ア ニ ン 蓄 積 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 し た と こ ろ 、 ア ン ト シ ア ニ ン 含 量 は 青 色 光 の 割 合 が 高 ま る ほ ど 大 き く な る こ と を 明 ら か に し ま し た 。 ス イ ー ト バ ジ ル は 生 葉 だ け で な く 乾 燥 バ ジ ル や 香 料 と し て も 利 用 さ れ る 代 表 的 な シ ソ 科 ハ ー ブ 野 菜 で す 。 ス イ ー ト バ ジ ル の メ タ ノ ー ル 抽 出 液 を 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ( 化 学 的 ・ 物 理 的 な 性 質 や 相 互 作 用 を 利 用 し て 、 物 質 を 分 離 さ せ る 装 置 ) で 分 析 し た と こ ろ 、 ロ ズ マ リ ン 酸 、 チ コ リ 酸 、 カ フ ェ 酸 の 三 つ の ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 が 検 出 さ れ ま し た が 、 ス イ ー ト バ ジ ル に 含 ま れ る ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 の 含 有 量 は レ モ ン バ ー ム や ロ ー ズ マ リ ー な ど の ほ か の シ ソ 科 植 物 に 比 べ て 少 な い こ と が 分 か り ま し た 。 そ こ で 、 ス イ ー ト バ ジ ル の ポ リ フ ェ ノ ー ル 含 量 を 高 め る こ と を 目 標 に 植 物 栽 培 用 蛍 光 ラ ン プ の 波 長 と 照 射 方 法 を 検エネルギー利用技術の最前線 ∼電気の新たな価値の創出に向けた取り組み∼ 討 し た と こ ろ 、 白 色 光 を 連 続 的 ( 昼 夜 照 明 ) に 照 射 す る こ と で ロ ズ マ リ ン 酸 、 チ コ リ 酸 、 カ フ ェ 酸 が 共 に 増 加 す る こ と が 分 か り ま し た 。 ◆
葉菜類の光応答メカニズムの解明
農林水産省では、科学的根拠に基づいたLEDなどの光利用技術を確立し、新しい農業 技術の体系化と高度化に資することを目的に、2009年度から5年間「生物の光応答メ カニズムの解明と省エネルギー、コスト削減技術の開発」を推進しました。その中で、千 葉大学を中核機関とする 「野菜などの光応答メカニズムの解明および高度利用技術の開発」 の課題が設定され、当研究所は「葉菜類の光応答メカニズムの解明」を受託し、最新のL ED光源を導入して光質と光強度が葉菜類(レタス、コマツナ、ホウレンソウ)の成長と 有用成分蓄積に及ぼす影響の解明に取り組みました。本稿ではサニーレタスの生育と機能 性成分向上に関する検討結果について紹介します。 本 研 究 で は 、 4 0 0 n m ( ナ ノ メ ー ト ル ) ~ 7 0 0 n m の 可 視 光 領 域 に お け る 葉 菜 類 の 光 質 応 答 反 応 を で き る だ け 詳 細 に 調 べ る た め 、 光 合 成 有 効 光 量 子 束 密 度 ( 植 物 の 光 合 成 に 有 効 な 可 視 領 4 0 0 n m ~ 7 0 0 n m の 光 の 単 位 時 間 、 単 位 面 積 当 た り の 量 子 数 の こ と : 資料③ サニーレタスの草姿と葉色の変化に及ぼすLED波長の影響 葉が着色 紫LED 青LED 緑LED 赤LED 徒長 葉面積の増大 405 450 470 510 520 530 620 640 660 680 PPFD 100 200 300 波長Photosynthetic Photon Flux Density : 以 下 P P F D と 略 し ま す ) で 3 0 0 マ イ ク ロ モ ル 毎 平 方 メ ー ト ル 毎 秒 ( µmol m -2 s -1 ) の 出 力 が 可 能 な 10種 類 ( ピ ー ク 波 長 ( n m ) : 4 0 5 、4 5 0 、 4 7 0 、 5 1 0 、 5 2 0 、 5 3 0 、 6 2 0 、 6 4 0 、 6 6 0 、 6 8 0 ) の 植 物 栽 培 評 価 用 L E D 光 源 ( I S L - 3 0 5 X 3 0 2 型 、 シ ー シ ー エ ス ㈱ ) を 新 規 製 作 し ま し た 。 サ ニ ー レ タ ス の 栽 培 試 験 は 以 下 の 手 順 で 行 い ま し た 。 ま ず 、 種 子 を 吸 水 さ せ た ウ レ タ ン キ ュ ー ブ に 播 種 し 、 白 色 蛍 光 ラ ン プ ( P P F D 1 2 0 µmol m -2 s -1 、 14時 間 日 長 ) の 下 で 10日 間 育 苗 し ま し た 。 植 物 栽 培 評 価 用 L E D 光 源 を 設 置 し た 人 工 気 象 室 ( 気 温 25℃ 、 相 対 湿 度 60% 、 C O 2 濃 度 9 0 0 p p m ) に 苗 を 定 植 し 、 光 強 度 を 3 段 階 ( P P F D 1 0 0 、 2 0 0 、 3 0 0 µmol m -2 s -1 ) に 設 定 し て 連 続 光 条 件 で 水 耕 栽 培 を 行 い ま し た 。 定 植 7 日 後 ( 播 種 17日 後 ) に 植 物 体 を サ ン プ リ ン グ し て 生 育 調 査 お よ び 機 能 性 成 分 有 量 の 測 定 を 行 い ま し た 。 生 育 調 査 の 結 果 、 サ ニ ー レ タ ス は L E D の ピ ー ク 波 長 と 光 強 度 の 違 い に 敏 感 に 応 答 し て 、 草 姿 と 葉 色 を 変 化 さ せ る こ と が 分 か り ま し た ( 資 料 ③ ・ 92ペ ー ジ )。 紫 L E D ( 4 0 5 n m ) と 青 L E D ( 4 5 0 n m ~ 4 7 0 n m ) で は 、 葉 に お け る ア ン ト シ ア ニ ン 蓄 積 に よ る 着 色 が 促 進 さ れ ま し た 。 ま た 、 4 0 5 n m ~ 4 7 0 n m の 波 長 領 域 で は 、 波 長 が 短 く 、 光 強 度 が 強 い ほ ど サ ニ ー レ タ ス の 生 育 が 阻 害 さ れ る こ と が 分 か り ま し た 。 緑 L E D ( 5 1 0 n m ~ 5 3 資料④ サニーレタスの主要ポリフェノール蓄積に及ぼすLED波長の影響 アン ト シア ニ ン 含 量 ク ロロ ゲン 酸 含 量 チ コ リ 酸含量 0 5 10 15 FL 405 450 PPFD100(光強度:弱) 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 青 緑 赤 PPFD200(光強度:中) PPFD300(光強度:強) 470 510 520 530 620 640 660 680 0 5 10 15 0 0.2 0.4
青LED 緑LED 赤LED
紫LED 高い 高い 高い 高い 全て高い 高い 高い 高い 高い 高い
エネルギー利用技術の最前線 ∼電気の新たな価値の創出に向けた取り組み∼ 0 n m ) で は 、 波 長 が 長 く 、 光 強 度 が 弱 い と 葉 が 糸 状 に 変 形 す る 徒 長 が 発 生 し ま し た 。 一 方 、 赤 L E D ( 6 2 0 n m ~ 6 8 0 n m ) で は 、葉 面 積 が 増 大 し て 地 上 部 重 が 大 き く な り ま し た 。 サ ニ ー レ タ ス の 葉 に は ア ン ト シ ア ニ ン が 多 く 含 ま れ て い ま す が 、 ほ か に 含 有 す る ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 を 調 べ る た め に 、 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 質 料 分 析 ( H P L C / M S 分 析 ) を 実 施 し た と こ ろ 、 ク ロ ロ ゲ ン 酸 と チ コ リ 酸 が 多 く 含 ま れ て い る こ と が 分 か り 、 さ ら に カ フ ェ オ イ ル リ ン ゴ 酸 、 ジ カ フ ェ オ イ ル 酒 石 酸 お よ び ジ カ フ ェ オ イ ル キ ナ 酸 が 少 量 検 出 さ れ ま し た 。 そ こ で 可 食 部 に 含 ま れ る 主 要 ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 の 変 化 を 調 べ た と こ ろ ( 資 料 ④ ・ 94ペ ー ジ )、 ア ン ト シ ア ニ ン と ク ロ ロ ゲ ン 酸 の 含 量 は 青 L E D ( 4 5 0 n m ~ 4 7 0 n m ) で 高 く 、緑 L E D ( 5 1 0 n m ~ 5 3 0 n m ) と 赤 L E D ( 6 2 0 n m ~ 6 8 0 n m ) で は 低 く な り ま し た 。 一 方 、 チ コ リ 酸 の 含 量 は 、 P P F D 1 0 0 µmol m -2 s -1 で は 青 L E D だ け で 高 く な り ま し た が 、 P P F D 2 0 0 µmol m -2 s -1 で は 5 3 0 n m ~ 6 2 0 n m を 除 く L E D で 高 く 、 P P F D 3 0 0 µmol m -2 s -1 で は 全 L E D で 高 く な る こ と が 明 ら か に な り ま し た 。 以 上 の よ う に 、 サ ニ ー レ タ ス の 成 長 と 有 用 成 分 蓄 積 は 光 質 ( 波 長 ) と 光 強 度 ( P P F D ) に 大 き く 影 響 さ れ る の で 、 適 切 な 光 質 制 御 を 実 施 す る こ と で 生 産 性 と 付 加 価 値 の 向 上 が 可 能 で あ る こ と が 示 さ れ ま し た 。 今 後 は 、 本 知 見 を 活 用 し て 生 育 ス テ ー ジ ご と に 適 切 な 波 長 を 決 定 す る と と も に 、 複 数 波 長 に 対 す る 作 物 反 応 に 関 す る 知 見 に つ い て も 蓄 積 し て い く こ と で 、 人 工 光 型 植 物 工 場 に お け る 葉 菜 類 の 生 産 性 向 上 に 寄 与 し て い き た い と 考 え て い ま す 。