小児用医薬品開発の
現状と課題
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
規格基準部/レギュラトリーサイエンス推進部
大串 洋子
平成28年6月25日 医療薬学フォーラム2016/第24回クリニカルファーマシーシンポジウム
本発表は発表者の個人的見解に基づくものであり、PMDAの公式見解を示すものではありません。
シンポジウム3 進展する小児用製剤開発の現状と取り組み
–小児用製剤のポイントを知る-
PMDAの紹介
小児用医薬品開発を取り巻く環境
海外の取り組み
日本の取り組み
今後の課題
2
PMDAの紹介
小児用医薬品開発を取り巻く環境
海外の取り組み
日本の取り組み
PMDA:
独立行政法人
医薬品医療機器総合機構
PMDAと厚生労働省
科学的な判断
(例)
医薬品等の審査・調査、治験相談
副作用報告の受理、情報収集・整
理・調査・分析
副作用情報の提供
救済給付金の支給、拠出金の徴収
行政措置等の実施
(例)
審議会への付議、最終的な
承認判断
安全対策の企画・立案
回収・緊急安全性情報発出
指示等安全対策措置の実施
救済判定
リバロ
PMDA HP
http://www.pmda.go.jp/
PMDAメディナビ
すでに約
14
万人
の方が
登録されています!
登録は簡単!!
いつも
最新
の安全性情報をお知らせ
どこよりも
速く
情報を配信
登録は
無料です!
緊急安全性情報(イエローレター)
安全性速報(ブルーレター)
DSU
医薬品・医療機器等安全性情報
PMDAからのお知らせ
回収情報 クラスⅠ
使用上の注意の改訂指示通知
承認情報(審査報告書)
その他の重要情報
等
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営している
医薬品医療機器の
安全性情報
などに関するメール配信サービスです
PMDAの紹介
小児用医薬品開発を取り巻く環境
海外の取り組み
日本の取り組み
今後の課題
8
添付文書上の「小児」
※平成27年5月現在。PMDA医療用医薬品 情報検索で「効能又は効果/用法及び用量」に「小児」を含むものをカウント10
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600添付文書数
「小児」あり
「小児」なし
なぜ小児用医薬品はTherapeutic Orphanと言われているか?
添付文書に小児の用法・用量が明記されていない
安全性および有効性における十分なデータがない
しかし、臨床での必要性に迫られ、使用せざるを得ない
製薬企業にとっては採算性が低く、
開発の困難性が高い
Therapeutic Orphan
Shirkey HC, Therapeutic Orphans. J Pediatrics. 1968; 2: 119-120. Editorial comment
対象が新生児から思春期以降まで多様で幅広く、医薬品の剤形や
薬物動態などに関して各年代に応じた検討が必要となる
臨床試験の計画及び同意取得等に小児特有の配慮を要する
対象患者数が少なく、1人あたりの投与量も少ない
本邦だけの特別な問題ではなく、
世界共通の課題
ICH E11 ガイドライン
小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス
(2000年12月15日医薬審第1334号)
1. 背景
「現在、医薬品の小児患者のために適切に評価され小児患者に
対する適応を持つ医薬品は限られている。小児への使用が想定
される医薬品については、小児集団における使用経験の情報の
集積を図ることが急務であり、成人適応の開発と並行して小児
適応の開発を行うことが重要である。また、成人適応の承認申
請中又は既承認の品目について、引き続き小児の用量設定等の
ための適切な臨床試験(治験、市販後臨床試験)の実施が望ま
れる。」
ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for
ICH E11 ガイドライン
一般原則
小児患者には、小児のために適切に評価された医薬品が用
いられるべき
小児患者の各年齢層での情報や、小児用製剤の開発が必要
成人の開発段階において、小児集団を開発計画に組入れる
べき
小児患者の全人性(well-being)を害することなく、小児
患者における医薬品の効果についての知見を得るべき
この責任は企業、規制当局、医療関係者及び社会全体が分
かち合うものである
2.2 小児用製剤
小児に対して正確な投与を可能にし,コンプライアン
スを高めるためには小児用製剤が必要である
様々な製剤,例えば液剤,懸濁剤やチュアブル錠が種
々の年齢の小児患者に対し必要もしくは望まれる
注射用製剤では,投与量が正確かつ安全に投与される
ような適切な濃度の製剤を開発すべきである
ある種の添加物によっては,その毒性は小児の年齢群
間又は成人との間で異なることがある
PMDAの紹介
小児用医薬品開発を取り巻く環境
海外の取り組み
日本の取り組み
今後の課題
14
米国の取り組み
年
規制
内容
1997
Food & Drug Administration
Modernization Act (FDAMA)
− 任意の小児開発に対してインセンティブ(6ヶ
月の販売独占権)を規定
1998
Pediatric Rule
− 新薬における小児開発の義務化(特定条件下)
2002
Best Pharmaceuticals for
Children Act (BPCA)
− 優先審査の規定
− Office of Pediatric Therapeutics (OPT) 設立
− Pediatric Advisory Committee 設立
2003
Pediatric Research Equity Act
(PREA)
− 新薬における小児開発(評価)義務を規定
2007
FDA Amendments Act
(FDAAA)
− BPCAおよびPREAの延長
− Pediatric Review Committee (PeRC)設立
− 添付文書への小児試験結果記載義務化
2012
FDA Safety and Innovation
Act (FDASIA)
− BPCAおよびPREAの恒久化
米国の取り組み
BPCA
PREA
任意
未承認薬も含む全ての活性成分に適用さ
れ、成人の効能(疾患)に限定されない
オーファン医薬品にも適用
インセンティブ:6ヶ月の販売独占権
優先審査
義務
新有効成分、新効能、新剤形、新投与経路で
開発/審査中の成人の効能(疾患)のみが対
象
オーファン医薬品は除外
インセンティブ:なし
通常審査
Written Requests (WR)
- FDAが提案する小児試験概要
- FDAは企業からのProposed Pediatric
Study Request (PPSR)提出に基づき、或
いは自主的にWRを発行する
Pediatric Study Plan (PSP)
- 企業が作成し、FDAと合意する小児試験概要
- 原則として第Ⅱ相試験後に提出
- 『小児用剤形の開発計画』の項あり
- Waiver(免除)、Deferral(猶予)あり
NDA S ubmis s ionPhase Ⅰ Phase Ⅱ Phase Ⅲ Post marketing
M a rk e ting A pprov a l
WR issued (BPCA)
PSP modificationsPSP
Agreed PREA
requirements
16
欧州の取り組み
年
規制
内容
2007 Paediatric Regulation
(Regulation (EC)
1901/2006 )
− Paediatric Committee (PDCO)設立
− 新薬における小児開発(PIP提出)の義務化
− インセンティブ
※の規定
Paediatric Investigational Plan (PIP)
- 企業が作成し、EMAと合意する小児開発計画
- 第Ⅰ相試験終了後に提出
- 承認申請時(成人)の添付資料にEMAと合意
したPIPを含める
- 『剤形』の項あり
- Waiver(免除)、Deferral(猶予)あり
※インセンティブ − 新薬/特許期間中の医薬品:6ヶ月の特許補完 証明( Supplementary Protection Certificate :SPC)期間延長 − オーファン指定医薬品: 2年の市場独占期間追 加 − 特許切れの既承認医薬品:Paediatric Use Marketing Authorization(PUMA)による8年 の小児開発データ保護と10年の販売独占権 NDA S ubmis s ionPhase Ⅰ Phase Ⅱ Phase Ⅲ Post marketing
M a rk e ting A pprov a l PIP modifications
世界で実施中の小児臨床試験数
www.clinicaltrials.gov 掲載情報
Search Terms:pediatrics, Funder type:Industry
Include only open studies and exclude studies with unknown status (平成28年5月25日時点) ※国内治験については全てを網羅していない可能性があります
小児対象開発の義務化に伴い
欧米では小児臨床試験が多い
PMDAの紹介
小児用医薬品開発を取り巻く環境
海外の取り組み
日本の取り組み
再審査期間
再審査期間の延長(10年)
-
再審査期間中に、必要に応じ小児等における有効性、安全性並びに適
切な用法・用量等に関する情報を収集するための十分な調査を実施す
ること
(1999年2月1日医薬発第107号)-
小児への使用が想定される医薬品について、承認申請中又は承認後引
き続き小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合にあっては、
再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長する
(2000年12月27日 医薬発第1324号)日本の取り組み 1
小児用医薬品開発を
法的に義務付ける規制はない
20
薬価
小児加算(5~20%)
-
小児に係る効能効果/用法用量が含まれ、比較薬が小児加算適用されて
いない新規収載品(国内で小児効能・効果に係る臨床試験を実施してい
ない場合等を除く)
(2016年2月10日保発0210第1号)日本の取り組み 2
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議
(平成22年2月~)
未承認薬使用問題検討会議・小児薬物療法検討会議を発展的に改組
欧米では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬
品や適応について、その開発を促進し、日本の医療現場で早期に使
用できるようにする取り組み
特定領域治験等連携基盤整備事業(平成22年度~24年度)
小児治験ネットワーク
全国31の小児医療専門機関により構成
事業採択機関:国立成育医療研究センター
治験を実施しやすい環境づくり
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議
4
34
15
104
29
185
12
5
84
1
81
63
22
98
9
108
1
43
1
4
1
16
0 50 100 150 200 250 300 350 400 小児WG担当 要望全体 小児WG担当 要望全体 小児WG担当 要望全体 第 Ⅲ 回要望 第 Ⅱ 回要望 第 Ⅰ 回要望 医療上の必要性が高い 医療上の必要性は高くない 検討対象外 検討中 既に開発中会議の検討状況
会議で検討され、承認された事例
承認日 販売名 有効成分 内容 H28.5.13 セルセプトカプセル250他 ミコフェノール酸 モフェチル ループス腎炎(成人、小児) H27.5.26 ソル・コーテフ注射用100mg他 ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム 気管支喘息(成人、小児) H26.11.18 インデラル錠10mg他 プロプラノロール塩酸塩 右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制(乳幼児) H26.8.29 ソル・メドロール静注用40 mg他 メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム 治療抵抗性のリウマチ性疾患(成人、小児) H26.5.23 塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g バンコマイシン塩酸塩 ①MRCNSによる敗血症等,②MRSA 又は MRCNS 感染が疑われる発熱性好中球減少症 (成人、小児、乳児、新生児) H26.5.23 アレディア点滴静注用15mg他 パミドロン酸二ナトリウム水和物 骨形成不全症(小児) H25.6.14 ハイカムチン注射用1.1mg ノギテカン塩酸塩 小児悪性固形腫瘍 H25.3.25 カンプト点滴静注40mg他 イリノテカン塩酸塩水和物 小児悪性固形腫瘍 H24.11.21 ザイボックス錠600mg他 リネゾリド 敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎(小 児) H24.8.24 ディオバン錠20mg他 バルサルタン 高血圧症(小児) H24.6.22 レニベース錠2.5他 ゼストリル錠5他 ノルバスク錠2.5mg他 エナラート細粒1%他 エナラプリルマレイン酸塩 リシノプリル水和物 アムロジピンベシル酸塩 エナラプリルマレイン酸塩 高血圧症(小児) H24.5.25 ケイツーシロップ0.2% メナテトレノン 新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防 H24.5.25 インデラル錠10mg他 プロプラノロール塩酸塩 期外収縮(上室性,心室性),発作性頻拍の予 防,頻拍性心房細動(徐脈効果),洞性頻脈,新 鮮心房細動,発作性心房細動の予防(小児)24
小児治験ネットワーク
特定領域治験等連携基盤整備事業
(平成22年度~24年度)
特定の疾患や患者集団における複数の医療機関の連携が必要な治験等において、
○ 治験依頼者との連絡、窓口機能の一元化
○
中央治験審査委員会(
IRB)機能
○ 実施中の治験等の進捗管理 等の機能を果たす「特定領域治験等連携基盤」を整備
・
窓口機能が一元化され、効率的になり、コストが減少
。
・ 複数機関に散在する被験者情報が一元的に管理されるた
め、
症例集積の予測が可能
となる。
・ 依頼者が
個々に
医療機関と契約する必要
があり、
負担が大きい
。
・ 治験等の進捗管理の一元化がされておらず、
事業概要
特定領域治験等連携基盤
依頼者が個々の
医療機関と契約
従来の治験実施体制
・窓口機能の一元化
・中央IRB機能
→負担大
依頼者
(企業)
依頼者
(企業)
国立成育医療研究センターを中心とした連携体制
PMDAの取り組み 1
小児医薬品ワーキンググループ(小児WG)
小児医薬品をめぐる問題点を整理し、海外との情報交換等を通じ
て、審査迅速化及び開発促進の方策のための調査等を行う
平成23年11月設置
医薬品審査関係部
安全対策関係部
次世代審査等推進室
他関係各部
事務局(レギ部)
(全体進行管理)小児WG
Stakeholders:厚生労働省、業界団体、アカデミア等
http://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/cross-sectional-project/0007.html
26
小児WGの活動
PMDA内の小児用医薬品開発に対する考え方の標準化・内
部発信、および外部発信
小児医薬品について考える会開催(2012年3月)
国内ステークホルダーとの連携・意見交換
AMED研究事業への協力、医療機関や業界団体との意見交換
海外規制当局との連携(International Collaboration)
FDA-EMA Pediatric Clusterテレカン(毎月)
FDAバイテレカン
国内外情報収集
FDA-WS, EMA-WS, DIA, INC, GRiP, TIGRE, etc.
承認・相談事例調査
国内外学会講演、論文投稿
2015年度:学会発表9件、論文投稿1件
106 114 130 132 135 119 115