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平成28年度宮崎県地域防災計画修正の主な概要
1 水害時の避難・応急対策等の強化
平成27年9月関東・東北豪雨災害を受けた中央防災会議防災対策実行会議「水害時の避難・応急対 策検討ワーキンググループ」の報告を踏まえて修正(H28.5)された防災基本計画を反映する。 ①風水害に強い地域づくり・県民の防災活動の促進 主な修正概要 資料 3-1対照表 ・共通対策編を参照することとしていた、風水害編に県民の防災対策の促進に関する記載 を新設。≪風水害編≫ ・【市町村】増加する水害リスクに備えるため、「早期の立退き避難が必要な区域」からの 迅速で確実な避難を求める。≪風水害編≫ ・【県・市町村】住民に対して保険・共済への加入等の事前の備え等について普及啓発を 行う。≪風水害編≫ P37 P37 P37 ②実効性のある避難計画の策定 主な修正概要 対照表 ・【市町村】災害の想定に応じて、近隣市町村の協力を得て、避難場所を近隣市町村に設 けることも想定する。≪地震編、共通編≫ ・【市町村】避難誘導等警戒避難体制の計画に際し、水害と土砂災害、複数河川の氾濫等 の複合的な災害の発生を考慮する。≪風水害編≫ ・【市町村】ハザードマップ等の作成・配布時に「早期の立退き避難が必要な区域」を明 示するよう努める。≪風水害編≫ P4、P21 P36 P37 ③適切な避難行動を促す情報伝達 主な修正概要 対照表 ・【市町村】指定緊急避難場所の誘導標識を設置する場合は、日本工業規格に基づく図記 号を使用するよう努める。 ・【市町村】住民の避難勧告等の伝達に当たり、多様な手段を複合的に活用した迅速かつ 的確な伝達に努める。≪風水害編≫ ・【市町村】避難時の周囲の状況等により、「緊急的な待避」や「屋内安全確保」といった 適切な避難行動を住民がとれるよう努める。≪風水害編≫ ・避難勧告等発令ガイドライン(内閣府)の修正に基づき、避難指示を「避難指示(緊急)」 に、避難準備情報を「避難準備・高齢者等避難開始」に名称を変更する。≪風水害編≫ P5、P22 P39 P40 P36 他 資料12 ④被災生活の環境整備 主な修正概要 対照表 ・【市町村】避難所毎に運営マニュアルを作成し、避難所の良好な生活環境を確保するた めの運営基準等を明確にしておく。 ・【市町村】避難所運営マニュアルの作成、訓練等を通じて、住民の避難所の運営管理に 必要な知識の普及に努める。≪地震編、共通編≫ ・【県】DMAT(災害時派遣医療チーム)の活動終了以降の医療提供体制の確保・継続 を図り、その調整には災害医療コーディネーターを活用する。≪地震編、共通編≫ ・【市町村】住民の主体的な避難所運営を可能とするために配慮するとともに、NPO等 専門性を有した外部支援者等の協力が得られるよう努める。≪地震編、共通編≫ P4、P21 P5、P22 P11、P28 P13、P30 ⑤ボランティアとの連携・協働 主な修正概要 対照表 ・【県・市町村・社会福祉協議会 他】 社会福祉協議会、NPO等のボランティア団体等との情報を共有する場を設置し、連携 のとれた支援体制を展開するよう努める。≪地震編、共通編≫ P17、P34
2 熊本地震を踏まえた修正について
修正事項が「1水害時の避難・応急対策の強化」と重複するものがあるが([再掲]と表示)、熊本 地震を踏まえた検討からも所要の修正が必要な事項であるため別途整理した。 ①市町村の災害対策体制 熊本地震で起こった事象・課題 主な修正概要 対照表 ・自治体庁舎の被災やBCPにおける 代替庁舎の未指定等により、初動対応 が混乱するなど災害対策業務に支障が 生じた 【市町村】 ○市町村BCP策定に係る重要な要素の明確化 業務継続計画の策定等に当たっては、少なくと も首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集 体制、本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁 舎の特定、電気・水・食料等の確保、災害時にも つながりやすい多様な通信手段の確保、重要な行 政データのバックアップ並びに非常時優先業務 の整理について定めておくものとする。 ≪地震編、共通編≫ P3、P203 ②避難所に関する事項 熊本地震で起こった事象・課題 修正概要 対照表 ・指定避難所である体育館の天井の落 下や内部施設破損、周辺道路の通行止 め、大雨による土砂災害の恐れにより 使用不能となった。 【県・市町村】 ○避難所の安全性の確保 避難所に指定された施設について、県・市町村 は、構造物の耐震化に加え、天井材等の非構造部 材の脱落防止対策や家具の転倒防止対策等を推 進する。≪地震編、共通編≫ P5、P22 ・避難所の収容人数を大幅に上回る避 難者が発生し、県内のホテル、旅館等 を避難者に提供。県外のホテル旅館等 に対しても要配慮者を中心に受入の要 請があった。 【市町村】 ○指定避難所以外の避難場所の確保[再掲] ・市町村は、あらかじめ協定等により、旅館やホ テル、企業の福利厚生施設等を確保しておく。 ・災害発生時には、避難所として指定された施設 以外の施設についても、管理者の同意を得て避難 場所として開設する。また、高齢者、障がい者、 乳幼児、妊産婦等の要配慮者に配慮して、被災地 以外の地域にあるものを含め、旅館やホテル等を 避難場所として借り上げる等、多様な避難場所の 確保に努める。≪地震編、共通編≫ P4、P21、 P12、P29 ・知識や経験不足による手探り状態の 避難所運営や、避難所運営に被災者の 積極的な参画が得られず、自治体職員 に過度な負担がかかった。 ・避難所内のプライバシー確保、衛生 問題、高齢者への対応等が課題となっ た。 【市町村】 ○避難所運営マニュアルの策定等[再掲] ・市町村は、避難所の円滑な運営のために各避難 所毎に避難所運営マニュアル等を作成し、作成に 当たっては住民の自治による避難所開設・運営、 要配慮者や男女共同参画等の視点にも配慮する ものとする。 ・市町村は、マニュアルの作成、訓練等を通じて、 避難所の運営管理のために必要な知識等の普及 に努めるものとする。この際、住民等への普及に 当たっては、住民等が主体的に避難所を運営でき るように配慮するよう努めるものとする。 ・市町村は、避難所の適切な運営管理のため、避 難者、住民、自主防災組織、避難所運営について 専門性を有した外部支援者等の協力が得られる よう努めることとし、被災者が相互に助け合う自 治的な組織が主体的に関与する運営に早期に移 行できるよう、その立ち上げを支援するものとす る。≪地震編、共通編≫ P4、P21 P5、P22 P12、P29 ・車中避難者や庭先避難者(テント生 活等)が多数発生するとともに、自主 避難所が住民独自で開設され、避難所 【県・市町村】 ○避難所外避難者対策 ・市町村は、避難所の運営に当たっては、避難所 P13、P30
4 外の被災者への支援が行き届かなかっ た。 ・車中泊や避難所生活などでの身体的 負担による病気が原因で亡くなった震 災関連死が多数発生した。 で生活する避難者だけでなく、個々の事情により 避難所以外で避難生活を送る者も支援の対象と し、在宅避難者に対する自治会や行政職員等の見 守り機能を充実させるとともに、特に要配慮者等 に適切な情報や物資、サービスが行き届くよう必 要な措置を講じることとする。 ・車中泊等、指定避難所以外で避難生活を送る被 災者を把握するため、防災関係機関はもとより、 NPOやボランティアと連携して被災者の把握 に努めることとする。 ・在宅避難や車中泊等やむを得ず避難所に滞在す ることができない被災者に対しても、食料等必要 な物資の配布、保健師等による巡回健康相談の実 施等保健医療サービスの提供、正確な情報の伝達 等により、生活環境の確保が図られるよう努める こととする。≪地震編、共通編≫ P13、P30 P13、P30 ③被災者支援に関する事項 熊本地震で起こった事象・課題 修正概要 対照表 ・市町村の体制不足により住家の被害 認定や罹災証明の発行が遅れ、被災者 の生活再建に影響が生じた。 【県・市町村】 ○罹災証明書発行体制の整備 ・市町村は、各種の支援措置を早期に実施するた め、遅滞なく被害の程度を調査し、被災者に罹災 証明書を交付するものとする。 ・県は、市町村における職員育成や体制整備を促 進するため、市町村に対し、住家被害の調査の担 当者のための研修機会の拡充等により、災害時の 住家被害の調査の迅速化を図ることとする。 ・県は、住家等の被害の調査や罹災証明書の交付 について、被災市町村に対し必要な支援を行うと ともに、市町村において調査・判定方法にばらつ きが生じることのないよう調整を図ることとす る。≪地震編、共通編≫ P18、P35 ・熊本県内の 15 市町村において、罹災 証明の発行手続きの迅速化や支援メニ ューの申請漏れ防止のため被災者情報 を一元管理する「被災者台帳システム」 を取り入れた。 【市町村】 ○被災者の生活再建支援 市町村は、被災者の支援漏れを防ぐため、被災 者台帳を作成し、被災者の援護の総合的かつ効果 的な実施に努めるものとし、大規模災害における 被災者支援業務の円滑な実施のため支援システ ムの導入についても検討することとする。 ≪地震編、共通編≫ P18、P35
5 ④物資の供給に関する事項 熊本地震で起こった事象・課題 修正概要 対照表 ・熊本県では、本震後、最大で約 18 万 人が避難し、被災者からの物資の要請 には十分対応できず、特に食料や水、 毛布等が不足した。 【県・市町村】 ○県・市町村の備蓄体制の強化 平成 28 年 12 月に南海トラフ地震の被害想定を 踏まえ県・市町村等の備蓄目標等を定めた「宮崎 県備蓄基本指針」を策定したことから、備蓄の基 本的な考え方等について計画に反映する。 ≪地震編、共通編≫ P6~P10 P23~27 ・国の物資支援は、発災直後は自治体 からの要請を待たず、食料など生存に 必要な物資を中心に届けるプッシュ型 支援から、時間の経過とともに、避難 所ニーズに応じたプル型支援に移行す る必要が生じたが、刻々と変化する被 災者のニーズの変化に対応した物資提 供が困難であった。 ・受け入れた物資の仕分け・管理等の ノウハウ欠如、人員不足により、発災 当初、被災自治体の物資集積拠点に物 資が滞留した。 【県・市町村】 ○広域受援計画の策定 県及び市町村は、災害の規模や被災地のニーズ に応じて円滑に他の地方公共団体や防災関係機 関、ボランティア等から応援を受けることができ るよう、受援のための組織、受援に関する連絡・ 要請の手順、受援業務、応援機関の活動拠点、応 援要員の受入体制等について受援計画を定める こととする。≪地震編、共通編≫ ○荷役・輸送体制の確立 避難所に物資がスムーズに行き届くように、 県、市町村、物流関係事業者、NPO等の役割分 担を明確化し、それぞれがその特性を最大限に発 揮しながら協働できる仕組みの構築及び物資の 発注状況や輸送状況等の情報を共有できる仕組 みを検討する。また、物資輸送拠点での荷役の要 員確保及び支援物資の緊急輸送を円滑かつ確実 に実施するため、物流関係事業者等との協定の締 結を推進する。≪地震編、共通編≫ ○物資拠点等における運送事業者等の活用 県及び市町村は、必要に応じ、緊急輸送に係る 調整業務等への運送事業者等の参加、物資の輸送 拠点における運送事業者等を主体とした業務の 実施、物資の輸送拠点として運送事業者等の施設 を活用するための体制整備を図るものとする。 ≪地震編、共通編≫ P11、P28 P14、P31 P15、P32
6 ⑤広域支援の受入に関する事項 熊本地震で起こった事象・課題 修正概要 対照表 ・熊本県や県内市町村には、発災直後 から全国の自治体が被災地支援に入っ たが、被災市町村では、当初危機管理 体制を含む行政機能が著しく低下して いたため、支援を要する業務や必要人 員数の把握等が困難であった。また、 応援職員の受入れやそれを活用する体 制が整っておらず、応援職員を十分に 活用できていない状況も見受けられ た。 【県・市町村】 ○広域受援計画の策定[再掲] 県及び市町村は、災害の規模や被災地のニーズ に応じて円滑に他の地方公共団体や防災関係機 関、ボランティア等から応援を受けることができ るよう、受援のための組織、受援に関する連絡・ 要請の手順、受援業務、応援機関の活動拠点、応 援要員の受入体制等について受援計画を定めも のとする。≪地震編、共通編≫ P11、P28 ・本県は、熊本地震発生後、支援対策 本部を設置し、被災地への物資の供給 や職員の派遣、NPOと連携した支援 を行ったが、被災県の情報収集や応援 体制等について事前に具体的な検討が なされていなかった。 【県・市町村】 ○広域応援計画の策定 県及び市町村は、他の地方公共団体からの応援 要請がなされた場合に効果的な応援を行うこと ができるよう、実施体制、応援に関する連絡・要 請の手順、職員の派遣、物資の提供等について応 援計画を定めるよう努めるものとする。 ≪地震編、共通編≫ P11、P28 ・市町村社会福祉協議会の災害ボラン ティアセンターで募集する一般ボラン ティア以外の熟練した災害ボランティ ア団体等との連携を想定できていなか ったため、避難所の運営支援をNPO 等に要請するなどの適切・効果的な対 応ができなかった。 また、発災当初は、支援に入った災 害ボランティア団体について市町村や 市町村社会福祉協議会に認識や面識が なく、連携や区域内での活動が円滑に 進まないケースがあった。 【県・市町村・社会福祉協議会 他】 ○ボランティア・NPOとの連携[再掲] 県及び市町村は、社会福祉協議会、地元や外部 から被災地入りしているNPO・NGO等のボラ ンティア団体等、情報を共有する場を設置するな どし、被災者のニーズや支援活動の全体像を把握 し、連携のとれた支援活動を展開するよう努める とともに、ボランティアを行っている者の生活環 境について配慮するものとする。≪地震編、共通 編≫ P17、P34
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