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このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

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世帯の年間収入格差が拡大

高齢者世帯の格差は中長期的には縮小傾向

○ 総務省「全国消費実態調査」によると、二人以上の世帯の年間収入格差は拡大が続いている。世帯 主の年齢階級別にみると、おおむね年齢の上昇とともに格差が拡大する ○ 現役世帯の格差は中長期的に拡大しているが、直近の調査では縮小した。高齢者世帯の格差は中長 期的には縮小傾向だが、所得再分配効果の向上や、高齢無職世帯の割合の上昇等が要因とみられる ○ 政府が推進する働き方改革では格差問題に関する政策も実施される見通しであるが、実効性のある 改革の推進が期待される

1.はじめに

近年、世界的に「格差」に対する注目度が高まっている。日本でも格差や貧困が話題になることが 多いが、5年に一度実施されている総務省の「全国消費実態調査」の2014年調査における所得分布等に 関する結果が昨年公表された。以下では、同調査結果のうち、二人以上の世帯における年間収入の格 差に注目し、これまでの調査結果と比較した。

2.二人以上の世帯の年間収入格差が拡大

総務省「全国消費実態調査」によると、二人以上の世帯における年間収入のジニ係数は上昇が続い ており、2014年調査では0.314となった(図表1)。 図表 1 年間収入のジニ係数の推移(二人以上の世帯) (資料)総務省「全国消費実態調査」(2014年)より、みずほ総合研究所作成 0.271 0.280 0.293 0.297 0.301 0.308 0.311 0.314 0.26 0.27 0.28 0.29 0.30 0.31 0.32 1979 84 89 94 99 2004 09 14 (ジニ係数) (年) 小 大 格 差 政策調査部上席主任研究員 堀江奈保子 03-3591-1308 naoko. horie@mizuho-ri.co.jp

政 策

2017 年 1 月 11 日

みずほインサイト

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2 このジニ係数は、所得等の格差を示すときに用いられる指標であり、所得等が完全に平等に分配さ れている場合に比べて、どれだけ分配が偏っているかを数値で示す。ジニ係数は、0~1の値をとり、0 に近づくほど格差が小さく、1に近づくほど格差が大きいことを表す。したがって、年間収入のジニ係 数が上昇しているということは、格差が拡大していることを意味する。

3.高齢者世帯ほど格差が大きい傾向

二人以上の世帯について、2014年調査で世帯主の年齢階級別の年間収入のジニ係数を比較する。 世帯主の年齢が30~39歳のジニ係数が最も低く0.223であるが、40歳代以降60歳代までは年齢とともに ジニ係数が上昇して60~69歳では0.339となり、全体の平均0.314を上回る。70歳以上については60~ 69歳より低下し0.305となっている(図表2)。 一般に、収入格差は年齢の上昇とともに拡大する傾向があるが、これはそれまでの稼得能力の差が 累積する形で反映されることによる。また、60歳以上については、60歳定年を定める企業が多いなか 60歳で退職して賃金がなくなる人がいる一方で、60歳以降も働き続ける人もおり、世帯主が60歳未満 の世帯と比較して賃金の有無による収入格差が拡大する。このため、高齢化に伴い高齢者世帯の割合 が高まっていることが(図表3)、全体の格差を拡大させる一因になっている。 図表 2 世帯主の年齢階級別の年間収入のジニ係数(二人以上の世帯、2014 年) (資料)総務省「全国消費実態調査」(2014年)より、みずほ総合研究所作成 図表 3 世帯主の年齢階級別の世帯分布の推移(二人以上の世帯) (資料)総務省「全国消費実態調査」(各年版)より、みずほ総合研究所作成 0.314 0.227 0.223 0.249 0.284 0.339 0.305 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 平均 30歳未満 30~39 40~49 50~59 60~69 70歳以上 (世帯主の年齢階級) (ジニ係数) 2.0 2.4 3.2 4.3 4.3 11.5 15.0 15.5 17.5 19.8 19.6 18.7 20.4 24.0 28.5 18.5 21.1 24.4 24.7 24.0 24.8 24.4 22.2 19.3 17.0 23.5 18.3 14.3 10.2 6.4 0 20 40 60 80 100 2014年 2009年 2004年 1999年 1994年 (%) 30歳未満 30~39 40~49 50~59 60~69 70歳以上

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3 また、前回2009年調査と2014年調査を比較すると、世帯主が60~69歳の世帯ではジニ係数が上昇し ているが、その他の年齢階級では全て低下している(図表4左)。しかし、2014年調査における世帯主 60~69歳の世帯が全世帯に占める構成比が24.8%(2009年調査では24.4%)と高いことから(前掲図 表3)、同世帯のジニ係数の上昇が2014年の平均のジニ係数を押し上げた。 なお、20年前の1994年調査と2014年調査を比較すると、世帯主が50歳代までの全ての年齢階級で ジニ係数が上昇しており、この20年でみると現役世帯の年間収入格差は拡大している(図表4右)。

4.高齢者世帯の年間収入格差は縮小傾向

高齢者世帯の年間収入は、平均と比較して格差が大きい傾向があることは前述のとおりであるが、 この20年間でみると高齢者世帯の収入格差は縮小傾向が続いている。世帯主が60~69歳と70歳以上の 世帯について年間収入のジニ係数の推移をみると、1999年調査以降は、おおむね低下が続いており、 唯一ジニ係数が上昇しているのは、2014年調査の世帯主60~69歳の世帯である(図表5)。 図表 4 世帯主の年齢階級別の年間収入のジニ係数(二人以上の世帯) 【2009 年と 2014 年の比較】 【1994 年と 2014 年の比較】 (注)1994年の世帯主の年齢階級別のジニ係数は、世帯主の年齢階級、年間収入十分位階級別1世帯当たりの年間収入より、 みずほ総合研究所が計算。 (資料)総務省「全国消費実態調査」(各年版)より、みずほ総合研究所作成 図表 5 平均と世帯主 60 歳以上の年間収入のジニ係数の推移(二人以上の世帯) (注)1994年~2004年の世帯主60~69歳、70歳以上のジニ係数は、世帯主の年齢階級、年間収入十分位階級別1世帯 当たりの年間収入より、みずほ総合研究所が計算。 (資料)総務省「全国消費実態調査」(各年版)より、みずほ総合研究所作成 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 2009年 2014年 (ジニ係数) 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 1994年 2014年 (ジニ係数) (世帯主の年齢階級) (世帯主の年齢階級) 0.297 0.356 0.383 0.301 0.336 0.347 0.308 0.336 0.343 0.311 0.314 0.327 0.339 0.310 0.305 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 平均 世帯主60~69歳 世帯主70歳以上 1994年 1999年 2004年 2009年 2014年 (ジニ係数)

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4 特に、世帯主70歳以上の世帯のジニ係数については、1999年調査以降徐々に低下しており、1994年 調査の0.383から2014年調査では0.305となった(前掲図表5)。また、同世帯のジニ係数は2004年まで は全体の平均を上回っていたが、2009年調査でほぼ同程度となり、2014年調査では平均の0.314を下回 る水準にまで低下した。

5.高齢者世帯の格差縮小の要因

高齢者世帯の年間収入格差が縮小している要因としては、まず、社会保障制度等による所得再分配 効果の向上が挙げられる。おおむね3年に一度実施されている厚生労働省「所得再分配調査」では、当 初所得と再分配所得(当初所得から税と社会保険料を控除し、社会保障給付を加えたもの)が公表さ れているが、所得再分配による高齢者世帯の所得の改善率が高まっている。 「所得再分配調査」は前述の「全国消費実態調査」とは調査年が異なるが、近い年でみると1995年 調査では、世帯主70歳以上の世帯の「所得再分配係数」(当初所得に対する再分配により増えた所得額 の割合、(再分配所得-当初所得)/当初所得)は86%であった。これに対して、2013年調査の「所得 再分配係数」は、世帯主70~74歳の世帯で121%、75歳以上の世帯では182%と、1995年調査と比べて 大きく拡大しており、社会保障給付による所得再分配効果が上がっている1 また、高齢者世帯のうち、無職世帯の割合が上昇していることも高齢者の世代内の収入格差の縮小 に寄与していると考えられる。「全国消費実態調査」により世帯主が70歳以上の世帯(二人以上の世帯) のうち無職世帯の割合をみると、1994年調査では64%であったが、2014年調査では77%まで拡大して いる。また、世帯主の年齢が70~74歳と75歳以上の高齢者世帯(65歳以上の夫婦のみ世帯)について、 有業者の有無別の平均年間収入をみると、「有業者あり」の世帯は600万円台であるが、「有業者なし」 の世帯は300万円台にとどまっている(図表6)。 世帯主が70歳以上で有業者がいる世帯では、有業者の職業は、会社役員、フルタイムの正社員、 図表 6 高齢夫婦のみ世帯の有業者の有無別の平均年間収入(2014 年) (注)65歳以上の夫婦のみ世帯。 (資料)総務省「全国消費実態調査」(2014年)より、みずほ総合研究所作成 32% 72% 37% 76% 58% 53% 0 100 200 300 400 500 600 700 有業者あり 有業者なし 有業者あり 有業者なし (万円) 稼働所得 公的年金 私的年金 その他 【世帯主70~74歳】 【世帯主75歳以上】 632 368 671 362

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5 短時間労働者、自営業者等の様々な働き方が想定される。年金収入が主な収入源である無職世帯と比 較すると、有業者がいる世帯は相対的に収入格差が大きくなることから、無職世帯の割合の上昇(有 業者がいる世帯の割合の低下)が世帯主70歳以上の世帯の年間収入格差の縮小の一因となったとみら れる。 なお、2014年調査で世帯主が60~69歳の世帯(二人以上の世帯)のジニ係数が上昇した(前掲図表5) 要因としては、70歳以上の世帯とは反対に無職世帯の割合が低下したことが考えられる。「全国消費実 態調査」により世帯主が60~69歳の世帯のうち無職世帯の割合をみると、2009年調査では41%であっ たが、2014年調査では37%とやや低下している。

6.おわりに

本稿では、「全国消費実態調査」の結果から二人以上世帯の年間収入格差についてみてきた。同調査 によると世帯の年間収入格差は拡大が続いているが、世帯主の年齢階級別にみると、足元では世帯主 が60~69歳の世帯を除き格差が縮小しているほか、世代内の格差が大きい高齢者世帯の格差が中長期 的に縮小傾向にあるなど、一部で格差縮小の傾向がみられることを確認した。ただし、高齢者世帯の 年間収入格差が縮小している要因が所得再分配効果の向上だけではなく、無職世帯の割合の上昇も影 響しているとみられることを考えると、格差の縮小を必ずしも前向きにのみ評価することはできない。 労働力人口の減少が見込まれる日本においては、就業意欲のある70歳代の人々の就業促進も検討すべ き課題であるといえよう2 また、同調査によると、単身世帯も含めた全世帯の「1人当たりの可処分所得」(等価可処分所得3 のジニ係数や、「相対的貧困率」(全人口のうち、等価可処分所得が貧困線4を下回る人数の割合)は 2009年調査までは上昇していたが、2014年調査では若干低下しており、他の指標からも最近の格差縮 小の様子を伺うことができる。しかし、貧困線は2009年調査の135万円から2014年調査では132万円に 下がっているなど、全面的に状況が改善したというわけではない。 2015年以降、安倍政権はだれもが活躍できる社会「一億総活躍社会」の実現を目指しており、 2016年9月には、「働き方改革実現会議」が設置された。同会議では、同一労働同一賃金の実現など非 正規雇用の処遇改善、賃金の引き上げ、格差を固定化させない教育の在り方、高齢者の就業促進など、 格差問題に関するテーマも議論されており、今後、改革関連法案が国会に提出される見通しである。 将来の格差拡大を防止するとともに、格差の固定化を回避するためにも実効性のある働き方改革を推 進していくことが期待される。 1 「所得再分配調査」による社会保障給付には、年金等の現金給付のほか、医療保険等の現物給付も含まれる。 2 内閣府「平成 25 年度 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査結果」(全国の 60 歳以上の男女に対する調査)に よると、仕事をしたいと思う年齢は「働けるうちはいつまでも」が 30%と最も多い。また、「75 歳ぐらいまで」が 10%、 「76 歳以上」が 3%を占めており、70 歳以降も働きたいと考える高齢者は少なくない。 3 世帯人員が多いほど 1 人当たり生活コストを抑制できること等を調整するため、世帯の年間可処分所得を当該世帯の 世帯人員数の平方根で割って算出したもの。OECD の国際比較で用いられている算出方法。 4 等価可処分所得の中央値の半分の額。 ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに 基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。

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