1
論 文】 UDC :351.
785 日本建築 学 会 構 造 系論 文報 告 築 第397 号・
1989 年 3 月東 京
市
建
築條例 妻
木
案
が
果
た し た
役
割
一
構 造 関連規 定
の成 立過
程
に関
する研 究
一
正 会 員 正 会 員石
平
川
田
孝
京
重
*子
* * 1.
は じ めに 1.
1 目的 構 造 規 定条文の歴 史 的 変 遷 を と ら える ことは,
現 在の 構造 規定の根拠を示す意味で重要であ る。その た めに は,
構造規定が,
いつ ど の よ う な背 景の もとで成 立 し た かに つ いて考 察す るこ と が ま ず 必要とな る。
大宝律 令 (701 年 )は,
日 本における建 築に か か わ る最 古の法で あ る と さ れて いる1)。
こ の法には,
構 造 規 定の原 型す な わ ち防 災, 中でも 防 火に関する規定が存 在す る。 しか し,
こ の 規 定の起 源は, さ らに さ かの ぼ る可 能性を も秘めて い る2・
3)。
現 在の よ う な安 全に基づ く構造 規 定が公 布さ れ たの は, 市街地 建築 物法が最 初で あ る が,
そ の発 端は東 京 市 建 築 條 例案にまで さ かのぼ ること がで きる。
明 治 時 代 中 期に, 東 京市区 改正委 員 会で検 討さ れた こ の案は, 東 京 市建築條例 妻木 案と呼ば れ る。 こ の案は結 局 案にと ど ま り,
公布さ れる ことは な か っ たが,
現 在の構 造 規 定の起 源を探る上で欠か せない存 在である。
これ まで に東 京 市 建 築 條 例 妻 木 案は, 主に都市計画分 野で詳 細に研 究さ れ て き た4』
8〕が, 構造 分 野に つ い て言 及し たもの は, 皆 無といっ て よい 9;。
これ らをふ ま え本研究は,
東京市 建 築 條 例 妻 木 案の構 造規 定の変遷 と その背景に着目 し,
そ れ らの成 立 過 程や その意義につ い て考察す る もの であ る。 な お,
本 論 文は,
昭和62 年度文部省科学 研究 費補助金の一
部を使 用し て お り,
本会の昭 和 62年 度 大 会z }・
関 東 支 部 研 究 発 表 会3] , 同じ く昭 和63
年 度 大 会1°J・
関 東 支 部 研 究 発 表 会川 に 発 表し た もの に手を加え たもの である。
1.
2 調査資 料 東京市建築 條 例 妻 木 案 (以 降 「妻 木 案 」 と略す)の関 係 資 料は,
日本 建 築 学 会 妻 木 文 庫に諸 外 国 建 築 条 例資料 と と もに所 蔵さ れており, そ の概 要はすで に発 表され て いる12} 。 その他,
東 京 都 公 文 書 館の内 田 祥三資 料 中に も 所蔵さ れて い る13}。
こ れ ら の資 料の中か ら,Fig.
1に示 す 7種 類 を 妻 木 案 草 案 と す る。
また,
検 討 作 業に使 用し Table1
条 文 構 成 と 条 文 数 分類 Ho 名称 (下段 は同内容の案 〉 条文敵 条 文 構 成 東 京 建 築 規 則 草 按‡197 第一
章 総 則〜
第 九章 罰則聖
東 京 建 築 規 則*2 初期 案 東 京 家 屋建 築 篠 例 妻 木 稿 110105 +罰 則 5 章 立 て な し 中 期 案 ◎ 東 京 家 屋 建 築 條 例 且05100 +罰則 5 第一
章 建築 認可 及検査,
第一
.
章,
第二章 構造 法,
罰則 東 京 家 屋 建 築 條 例 調 査 会 第一
次 会 決 議 9匪 鮪+罰 則 5 建築認 可及 検査,
第一
章,
第 二章,
罰則,
条 文番号紐 記 入 東 京 市 家 屋 建 築條 例紹 妻 木 稿 互59154 +罰 則 5 第一
章 綛 則〜
第 六 章 舵 則,
罰 則.
さ ら に建物の用途 別に規 定 東 京 家 屋 建 築 條 例 後 期 案 東 京 市 建 築條 例 1膿 ? 且89+罰 則 ? 第一
章 縮則〜
第 19章 雑 則.
最 後 欠 落.
用途別に章を設定 東 京 市 建 築 條 例 明治 廿七年 十二月=日 153 第一
章 總則〜
第二十章 罰則 柱:1
羅
纖 攤 數
乱
,
た妻 木 文 庫 中の 13種 類の作 業用資料も関 係 資 料と し て 考 察す る。
し か し,
妻 木 案 がこれ で すべ て で あ る とい う保 証は な く,
ま た年 代が記され てい る資 料は1
点 し か ない。 そこ で,
本 研 究で は既 往の年代 決定6 }を参 考とし,
条 文の分 析 (形 態 的 特 徴,
規 定 内容等 )か ら,
資 料の グルー
プ 分 けを行っ た。
こ れ をFig.
1 に示す。
以 降 , Fig、
1中の の資料を別 案 と記し,
初 期 案 以 降 も同 様に記す。
* 日本 女 子 大 学 助 教 授・
工博 # 日本 女子大 学 大学 院生 〔昭 和 63 年9月 10日 原稿 受理) 古↑
年 代 ー ↓Ψ
新 別 案棗韆 鸚轟
初期案 束曝
羅
谿 例 中期 案疉
懇 鰈
製
韈
韈
蕪
瓢
〔一
はTable 1 参 照 ) Fig.
1 妻木案の内容か ら み た グルー
プ分 け次に
,
妻木文庫・
内 田 資 料 中に現 存する, 外 国 条 例の 翻訳書 名をTable
2に示す。 本 論 文で は, 当 時の人々が 参 考と し た可 能性の高い,
これ ら翻 訳 書 を考 察 対 象と す る。
1.
3 妻 木 案の立案 当時の諸状況 妻 木 案 立 案 に か か わ る事 項 を 時 系列に し た がっ てTable
3に ま とめ た。
こ の頃は,
地 方条 例 が 相 次いで制 定され,
東 京では 警 視庁によ る諸々 の取 締 規 則が制 定さ一
32
一
Table 2 学会妻 木文庫中の外国 条例翻 訳 書
一
覧 団o 且 螺 鯉 且旦笠 チ カ・
1−」
一
一
國
一
.
1一
」
胤
.
.
.
广
1一
L875・
6・
且5F
幽
l l8η・
4・
9『
1
且即5,
6.
鹽6認 可‘
田77,
4.
且6認 可「
1.
建 築 條 洌 全 参 考 宵 様 々 な 条 例 を分 類 編 纂 した もの.
◎ 羅 馬 府 建 築 條 例 監.
B87.
2,
14 公 布.
ユ齟
躅 逸 聯 邦 巴 威 里 國 建 築 條 例 互880.
9.
19発 布.
}
.
一
伯 林 府 建 築 條 例 且認7.
LI5 と記 述が あ る.
佛 國 建 築 硯 則 類 纂 佛國 建築書第一
冊之内 第四巻と 第 十 編の2種類の翻訳,
年月日は様 々.
11
維 也 構 市 建 築 條 例「
麕8聞.
[2.
2の法 篠等.
1 英 國 首 府 寧 屋 條 例 拔 萃 1855年制定 条例,
田78 年改定条 例 を含む,
様々な条例か らの抜枠 翻訳.
.
2一
且 英 國 職 工 住 所 條 例 1875.
6.
29発布.
注:表 中 「学」の項 は.
学 会 妻 木 文 庫 中のガ リ販 刷 り資 桝の刪 数 を,
「都」 の項は、
都 公 文 召 館のガ リ版 刷 り貨 桝の冊 数 を示 す.
Table3
妻 木案作成 時期の世相 和 暦 立案 関連 学会関 連 世 相 明治 19・
造家学 会 (後の建築 学会 ) を設 立 明 治20.
2・
建 築 雑 誌 第2巻 「杭打 地形ノ話」に お い て 抗 上 保 持力 に 関 す る 諸算式掲載 明治 20.
9.
10・
文部省の依頼によ り,
地 震動 と建築 法 との関係 取 調委員 設置を決議 (学会 晨初の委員 会活 動) 明治 2且〜
・
r建築 學階梯 (上 中下巻 )』(中村達 太郎著 )出版 数 式 解 法 の 記 述 が あ る 明治21.
B.
16・
東京 市区 改正条 働公布 明治 2且、
10・
妻木 頼黄ド イ ツ から帰 国 明 治21.
11・
妻 木 頼 黄 東 京 地 方 裁 判 所 新 営 工 事 の建築主 任 を命じ られ る 明 治22.
1・
妻 木 頼 黄 東 京 府 庁 舎建 築 工 事 を 嘱 託 さ れ る 明 治22.
2.
ll・
大 日本 帝 国 慧 法 発 布 明 治22,
奮0,
9・
東 京市 区改正 委員会にr 東京市建 築條例 案」 (妻 木轌黄 立 案 )を 上提し,
建築 条例調 査委 員7名を選定 明 治22.
10.
29・
始て東 京家屋建築条例 起草の会 議 (森の日記による) 明 治23.
4.
21・
民 法 (財産篇 等 )公布 明 治23.
始 め・
海 軍 省建築 (コン ドル設計 )に 【型 錬鉄 梁,
生 子 鉄板によ る防火 床が使 用 され、
起工 明治 23.
5,
B・
横 河,
森の建 築条例へ の意 見が建築雑 詰に掲載さ れ る 明治24.
9・
横 河の建築条 例へ の意見が建築 雑誌に掲載 される 明治 24,
10,
2B。
濃尾 大地震.
欧米 式建 築技術 批判のきっ
かけ となる 明 冶25・
震災 予防 調査会を設置 明治2了・
震災 予防 調査会:震災 復興 建築指 針の立 案 に か か る 明 治27・
秀英 舎印 刷工場 (最初の鉄骨 建築 )(若 山鍾吉設 計) 明 治27,
6,
20・
東 京 大 地 震.
世 界 最 初 の 激 震 記 録 明 治27,
8・
日 清 戦 争 (〜
明 治29年3月 ) 明 治27,
8.
29・
謌 査 会 議 の 重 要 人 物 で あ る 森 林 太 郎 出 征 明 治27,
9,
22・
妻木頼 黄,
広島仮 議院の新築工事嘱 託さ れ広島へ出張 明治27.
10.
14.
・
広 島 仮 議 院 新 築 工 事 竣 工 明 治27,
10.
lri・
第7回 帝 国 籬 会 (臨 時 )広 島 に 召 集 明 治27,
12.
3・
「東 京 市 逹 築 倏 例」案 (妻 末 文 庫 中 で は 最 終 的 な 案 )の 日 忖 明治28・
この頃か ら 鉄 筋コ ンク リー
ト法 日 本 に紹 介 さ れ る 明治2n.
3・
震災予 防 調 査 会:木 造 耐 震 家 屋 構 造 要 領 が 建 築 雑 誌 に 掲 載 さ れ る 明 治39.
H.
5・
建 築 学 会 :東 京 市 の 依 頼 に よ り東 京 市 建 築 條 例 起 塙 委 員 会 を 設 置 注 :大 火 は 数 が 多 い た め,
こ こ では 省 略 し た.
れ て い た。
妻 木 案の主 要 内 容にか か わ る諸 状 況につ い て は文 献物こ詳しいが,
次の よ うな面から当 時の状 況を簡 単に とらえ て み た。
ユ.
3.
1 世相と行政の状 況 防火線路 並 屋 上 制 限に関す る布 達 (明 治14)が施 行 さ れてか ら 明治 19年 まで は,
500戸 以上 焼 失する大 火 は,
1件 程 度に抑え ら れてい た。
その後も大火は減っ て はい る も のの東 京に おいて何 度か発 生し てい る14)。
妻 木 案の主 要目的の 1つ が防火にある の も, こ れら度 重な る 大火の影 響と考え られ る。
そ の他, 中 部 地 方で は明 治 24 年に濃 尾 地 震が発 生して い るが,
東 京 地 方 を 襲 うよ う な大 規 模な災 害は みつ か ら ない。
当時の東京の建 築 行 政は, 東 京 府の他,
警 視 庁が 主に 担 当し て い た。
こ の ことは,
わが国の警 察が 「国家 行 政 の便宜に応 じて衛 生・
工場・
建 築・
社 会 保 険・
営 業 取 締等の職 務を行うのみ な らず,
これら の行 政 事 務に関 し て許可・
認 可と,
法 律の委 任に基づいて一
般 国民を 拘 束す る命 令を発す る権 限 も附 与さ れ て い た」15)とい うこと か らも明ら かで ある。 また,
明 治22年に は大日本 帝 国 憲 法が,
明治23年 に は民 法が公 布さ れ て い る。
中 期 案 の条 文 中の書き 込み には 「民 法 取 調へ…
(後 略)」と書か れ てい るもの が あ り,
こ れ は 日本の民法 を指す と考え ら れ る。
文 献η に よ れ ば, 中期案 の年代が 「明治 23 年後 半か ら明 治24
年前半」と さ れ て お り,
民法が23
年4
月 に公 布さ れ た後に こ の 書き 込 み が な さ れ た と考え ること も 可能で ある。 これ は中期 案 の年 代を知る 上で 1つ の手が か り にな る。
一
方 海 外で は, 伯 林で の建 築 取 締が最も早く1834年 (天 保5)であるls・
IT )。
妻 木 文 庫 中の 佛.
國 建 築 規 則 類纂 に も,
1672年 (寛 文 12)の条 例 等か な り古い もの が 記 載され ている、
少な く と も外国で は, 日本よ りもは る か に法令制定が早く, その体 系 も整っ て い た。
1.
3.
2 学 問と当 時の 建 設 状 況 当 時の 学 問状況を語る際に,
工.
部大学 校の存在は重要 であ る。 明治4
年に設け られ た 工部 寮工学校は, − 部 大 学 校を経て,
後年東京 大学工学 部に な る。
明 治 初 期,
工 部 省 時 代の建 築 学の高 等 教 育 機 関は 工部 大 学 校た だ一
校 で,
明 治 時 代 を 通じて ほ と ん ど唯一
の 大 学 教育の場で あっ た19 )。
こ こ で は,
材 料 強 弱 学(StTength ofMaterials
)t
, 家屋 構 造 (Building
Construction
)の講 義が行わ れ,
明 治12〜
13年 頃すで に, 強 度 試 験か ら構 造 計 算までが 教 え ら れて い た]C }。
世界の水 準に は及 ばないに し て も,
こ こ で学ん だ辰 野 金吾ら は, 当時の構造に関す る知 識 を か なりもっ て いた と考え ら れ る。
また建築 雑誌に は,
Table 3に示 す よ うに構 造 に関 す る記 事が.
早く か ら掲 載さ れて いる。
そ の他,
当時 出版さ れ た単 行 本に は,
『建 築 學 階 梯』’9),
『造家必携』2ω 等が あ り, 前 者は構 造 全 般につ い て詳し く,
床 材の大 き さ (根 太, 小 梁の断 面 寸 法 )や,
鋳 鉄 梁の断 壊 量の算 出式 (梁 中 央の荷 重・
耐 力 〉,
材 料の性 質 (材 料 強 度)が記さ れ てお り, 後 者は基 礎 構 造につい て記さ れ て い る。
これら か ら,
妻木案の立 案 以 前にす でに,
ある程 度 構 造 分 野に 関す る 知 識 が あっ た と推 測 され る。
ま た,
煉瓦・
石 造の建物の施工に際し, すで に杭 打ち 試 験 等が行わ れ てい た。
当 時は,
基 礎に対し極めて慎 重 な態 度を とっ てい た よ うである ls’
21 )。
さ らに,
煉 瓦 造に は早く か ら鉄 材が使わ れ て お り, 梁 材と し て1
型ビー
ム が使 用され てい た18 )。
L4
東 京 市 区 改 正 委 員 会に お ける検 討 東 京 市 区 改正委 員 会は,
明 治21年 8月の東 京 市区 改 正 条 例 発 布 後 作 られ た組 織で あ る22 〕。 こ こ で条 例 案が作一
成さ れ ること に な り
,
そ の作成者と して最 初に指 名 され たの は山口半六 であっ た が,
公務 多 忙の た め辞 退し, 妻 木 頼黄に嘱託さ れ た。 そ して,
妻 木が単 独で,
ある い は 妻木を中心 と し たグルー
プで,
案を作 成し,
芳 川 まで 提 出 し た。
その調査委 員とし て市 区 改正委 員か ら7名が 選 出さ れ,
その他 専 門 家が嘱 託さ れ,
条 文の調 査 検 討作業 を行っ た23)。Table 4 に示 し た のが
,
妻 木 案に か か わっ た人の 名前 と経 歴である。 Table 5は,
立 案 者 妻 木 を 除い たTabie
4
の委 員 を分 野 別に数え たもの である が,
官僚系の専 門 委 員が多い。
建築学 会に関 連の深い者は,
そう多く は な い。
Table 5中で, 衛 生・
建築分 野 以 外の菓 京 市 区 改正 委 員 と議 員は,
専門的な 発案・
修正等の作 業を行っ て い な いよ うで あ る24) . ま た,
当 時 学 会 や教 育 分 野で構 造 学 Table4 妻木案関係 者の経 歴 氏 名 芳 川 顕 正 長 与 専 蚤.
璽 前 由 利充 成 川 尚 義 銀 林 網 男 占.
市公.
.
威 犬 養 毅 芳 野 世 経 富田鉄之 助 角 田 真 平 ◎ 渡 部 温 臼 石 剛 佐 久 間 貞一
妻 木 頼 黄 ◎ 久 米 金 弥.
.
.
.
一
.
一.
.
@ 石 黒 五 十二 ◎ 森 林 太 郎.
.
.
.
◎一
中 潰 東一
郎 ◎.
森 田茂 吉 ◎ 杉 本 譬 視 (重嬉)◎ 辰 野 金 吾.
一
◎ 谷ロ直 貞 山凵 半 六 経 歴 柬 京 市 区 改 正 委 員 会 委 員 長.
内 務 次 官 (立案当 時 ).
漢学 と医 学 を 治め た.
東京府知 事.
司法大臣 内務大臣 を兼任(明治 2T−−
31 ).
最 初 調 査 委 員 長.
内 務 省 衛 生 局 長,
後 に 大 日 本 私 立 衛 生 会 会 頭.
官 界の大 物,
建 築 条 例の必 要 性 を 説 く 「惜 家 ノ説」を 執 筆.
,.
.
等 警 視.
新 潟 県 書 記 官 に 転 任 (明 治23〜
),
窪
一
貫禰 鮹 謝 :ズ講鑿
騨冀
毳
鸚難
鑽
鑢
纛
調 法 取 調 委 員 (明 治25〜
).
工 学 博 士.
査 東 京 府 市 部 会 議 員.
市 区 改 正 委 員 を 退 任 (明 )e23}.
衆議 院 議 委 員 (明 治23〜
).
文 部 大 臣 (明治31〜
).
員 東 京府市部会 議員.
後の漣築条 倒 調 査 委 員 長.
官 吏.
東 京 痢 知 事 (明 冶24〜
).
経 済 学 を 学 び,
後 に 日銀 副 総 裁,
貴 族 員 議 員 等.
東 京 市 会 議 員.
束 京 市 区 改 正委員.
衆議院議 員.
弁 護士.
東京 株 式 取 引 所 理 事 長 代 理.
東京市 会議員.
東 京市区改正委員 (明治as〜
),
東 京 市 会議員.
東京 地方裁 判所所属 弁護士.
途 中参加 (明治25年〜
) 束 京 市 会 議 員.
秀英舎(印刷業)社長,
途中参 加(明治25 年〜
) 内務省技 師(立案 当時〉、
工学 博士(明治34匿与.
).
官 庁 宮 繕 機 構の 充実に力 を 尽 くす.
辰 野 金 吾 と 対立す ること が多かっ
た.
柬 京 大 学 文 学 部 政 治 学 理 財学専攻卒.
内務省 参事官(明 治20〜
).
静岡県 書記官(明治25〜
).
内務晋記官 (明治25〜
).
農商 務次官等.
内 務 省技 師.
工学博士(明 治24授与 〉.
専門は土木工学.
第一
区.
ま.
木 監 督 署長,
海 軍 技 監 等 に 就 任.
河 川 砂 防 港 湾延堕蛍炉萸?彑r.
一
.
医 学 博 士,
作 冢 (森 臨 外 ).
衛 生 に 関 す る 多 くの論文 を 発 表.
陸軍 軍 医 縁 監 (明 治40).
文 学 博 士 (明 治42).
途 中 参加.
内樒省 衛生 局技 師.
医学 博士.
森 と同期生.
日本保 険 医学槝 会会長なと.
を 歴任.
ジ.
ヨン万次餾の子 供.
警視庁 警視.
諸製造所 及製造材 料貯蔵場の位 置 に 関 す る改 正 案の提 出 者.
警 視 庁 三 等 警 視.
束 京 市 区 改 正 委 員 (明 治23〜
).
工 部 大 学 校 造 家 学 科 第 且回 卒 業.
帝 国 大 学 工 科 大 学 教 授,
同 大学 長,
建 築 学 会 長 等 を 歴 任.
建 築 教 育,
学 会 活 動,
設 計 の 第且人者.
工学博 士(明治21授 与).
ユニ科大学磯械工学担 当教綬(明治 19〜
23).
忌箋雌 L 豊嫐 盥一一一一一一一一一一一
.
工学偉士 (明 治24授 与 〉.
学 校 設 計 に 功 績 が 多 く,
都 市 計 画 の 先 駆 音でも あ る,
最 初 に 立 案 を 依 頼 さ れ た が,
辞 遇,
注 表中 ◎ 印 は,
文 献 か らみ て,
専 門 的 発 書 を 行った と思 わ れ る者 を 示 ず.
Table5 妻木 案関係 者の分野 別 人 数34
一
を押し進 めてい たの は横 河 民 輔 や 曽禰 達 蔵,
中村 達 太 郎 ら と思わ れ る が,
検 討 作 業に は関 係し な か っ た よ うであ る。 妻 木 案の調 査 検 討の進め方につ い て は, 当 時の 建 築 雑 誌に興 味 ある論 説が い くつ か掲 載さ れ ている。 まず,
横 河 が条 例 審 議に建築学会の参加 が 必要だと述べ , 条例審 議の進め方につ い て, その秘 密 主義へ の批判を2 度に わ た り述べて い る。
「條 例二 就キ テハ…
ロニ ス ル人モ稀ナ ル…
今日 モ果シ テ編纂中ニ アル カ審 査中ニ アル カ ヲ知ル 能ハ ズ」25)と も述べ て い る。 ま た,
コ ン ドル 26〕や,
森2Tl ら も,
条 例 制 定の際に建 築 学 会 を 関 与 させ るよ う述べ て いる が,
取り入 れ ら れ な かっ たよ うで ある。 建築 条 例の 審議は,
学会とは距離をお い て進め ら れ た といえ よ う。
立 案 者および関 与し た者 を特 定す ること で, 妻木案の 構 造 規 定の特 徴 を とら え てみ たい。Table
4の専門委員 の中で少な く と も辰 野, 妻 木, 石 黒,
谷口の 4名は構造 規 定に何ら かの形で関与 した可能性が高い。 谷口 は機械 工 学 (応 用 化 学)が専門であ る。
機械を使用する製造場 (工 場)の規 定に関係し た可 能 性が あり,
そ の他の構 造 規定に関与し た と も考え ら れ る。 石 黒は土 木が専 門であ る。
辰 野は,
震 災 予 防 調 査 会で木 造 家 屋の耐 震 化 を 研 究す る な ど,
耐 震に詳 しい。 彼は,
濃 尾 地 震やイタリアの イ スキヤ島の震 害 調 査・
耐 震 規 定の研 究も行っ て い る2S )。
濃尾地 震の震 害 報 告 講 演に対 し て は, 辰野が鉄物や ボル トの大き さまで細か く質 問し てい るZ9}。
コ ト ま た,
後 期 案 に 「辰野 氏 出席迫 延ス1
」 (一
117条 ) ら とい う書き込み が残っ てい る。 その条 文は製 造 用 建 物の 梁と壁の結 着に関す る構造規 定で,
これに辰 野が,
お そ ら く 専 門家と して意見し,
検 討 し た もの と思わ れ る。 辰 野が構造 規定に関 与し た可 能 性は高い。一
方,
妻 木は建築の み な らず,
土木関係の仕 事 〔神 戸.・
横 浜 築港等 )も行い3°1,
築 港工事 用 材 料の コ ン ク リー
ト 調 査 (明 治 26) も行っ て い る/tl 1 。 また妻 木は, アメ リ カの ロハ ル トソ ン (おそ ら くR .H .
ロバー
トソ ン)の 事 務 所で働い て い た時, 当 時の ア メ リカ の最 先端の技術 つ まり鉄 骨 造 を見て お り , 鉄 骨に関す る知 識 をもっ てい た31 )。
妻 木 案に も, 鉄骨に関す る規定がい くつ か存 在す る。 例えば,
「鉄 製ノ柱 梁 等ハ 調 査局ノ検 査 済ニ ア ラ サ レハ 之ヲ用ユ ル ヲ得ス」 (一
33条 )や,
「鉄 製 柱 其他物ニ シ テ重量ヲ支 持セ ル物 料ハ 仕様書 中二 其 支持ス ル 柱 梁ノ強 力 斤 量 ノ成 算 ヲ署入 スヘ シ」 (一
35条)とい う規 定が ある。 し か しな が ら,
それ以 上 具 体 的に は規 定さ れ てい な い。 妻 木が立 案し た初 期 案 に おい て,
すで に こ れ ら の 規 定 が あ るこ と から,
妻 木の鉄 骨に関す る知 識をこ の 条 文に盛り込ん だもの と考え ら れ る。 鉄 骨 梁は当 時か ら 使用 さ れてい た が,
日本へ 本 格 的に鉄骨 造 建 築が取り入れ ら れ る前に, 鉄骨の柱梁に関 す る規 定が 存在 し たこと に な り
,
こ こに妻木の先見性を 認 め ること がで き る。2.
妻木案の特徴と その 変遷 2.
1 形態的 特 徴と変遷 妻 木 案の章 立て に注 目 する と,
中 期 案・
は統一
一
さ れ た章 立て に は な っ て い な いが,
別 案,
後 期 案・
・
で は建 物 用 途 別 等で統一
さ れ た章 立て に な っ て い る (Table
l参 照 )。
章 立て の ない もの は, 初 期 案 だけ であり,
か ら の中で一
番 原 始 的である とい わざる を 得ない。
次に,
妻 木 案の条 文 数に注目 す る と,Table
1
の よ う に各案で条文 数は異な る が,
Fig,
1の各 グルー
プ内では,
だい たい同じ よ う な数になっ ている。 妻木案で は単位 系に 尺・
寸・
斤を使用 し ている。
外国 条 例の 中で は チ カゴ府 建築 條 例 の翻 訳書だ け が,
尺・
寸 を使 用 して いる。 し かし,
チカゴ府 建 築 條 例 の条 文 インチ 中に は,
1ヵ所だけ 「寸 」と ふ り仮 名を ふっ て い る箇 所が存在する (1877 年条 例一
18条 第1 節)。
こ の ふ り仮 名は, 第 18条の 中でもこ こ 1ヵ所し か な く, また 「寸」 とい う語 がこ こで初めて出 現し た わ けで もない。
この イ ンチ が,
条例全 体に対して有効なの か, 第 18 条だ けか, あ るい は その箇 所の み有効か, これ を決定す る に は, こ の翻 訳資 料だ けで は不十分で あ る。
な お,
明治25 年の 建 築 雑 誌にアメ リ カ諸 都 市に お け る条 例の 高さ規定の紹 介 記事上T )が あ り,
「フ ヒ ラ デル フ ヒヤ」,
「サ ン フラン シ ス コ」,
「コ ロ ンビ ヤ」の壁 厚 規 定の一
部が,
表になっ て い る。
こ の う ちサン フ ラン シ ス コの規 定 値は, チカゴ條 例 の 1877年 条 例 第11,
16条の数 値と,
部 分 的に等し い もの が存 在する。
サンフランシ ス コの単 位は イン チで あり, 両条例の制定時期が 近い ことか ら, チ カ ゴ條例 の単位も,
すべ て がインチ,
ま たは フ ィー
トで あ る可 能 性 が大きい。
2.
2
内容の特徴と変遷 まず,
構 造 規 定 中の用 語に特徴が あ る。 例え ば,
漆 喰 塗,
蟻 掛,
塗 屋等の 語 句は,
妻 木 文 庫 中の外 国 条 例には み ら れ ない もの であり,
中には現 在 もそのま ま使 用さ れ て い る用 語も ある。
漆 喰塗の規定は,
「漆 喰 塗ニ ハ 石 灰 又ハ 蛎 灰ヲ原 料 トナシ苧 萄 或ハ 紙 萄ヲ加へ 之二 布 苔 鹿 角 菜ヲ混 和シタル モ ノ ヲ用ヒ又 敲 キハ 石 粉 割 栗 或ハ 大 坂 土 等ノ類 ト石 灰石羔セ メ ン ト等ヨ リ成 立セ シ モ ノ ヲ用ユヘ シ」(一
改88条 )という もの で ある。
日本 古 来の構 法 であるが,
原 料の混 和につ い て の規 定である。
また蟻 掛 は,
当 時は地 震に効 果 的だ と考え ら れ て お り3Z },
耐 震 を 意 図し た可 能性が ある。一
方, チ カゴ府 建 築 條 例 の用 語と類 似して い る用 語 も多く存 在して い る。
別 案 か ら後 期 案 に至る,
構 造に か か わ る用 語の い くつ か を取り出し たのがTable 6である。
用 語の修正 が 何 度も行わ れて いる の が目立つ 。 その例は,
強 力 斤量,
Table 6 構造関 連 用 語の変 遷 野 1 壁 QO ○ ○ ボ ル ト (ボ ル ト) O ○ 工 (工 字 形 〉 ○ ○ 強力 斤 量 ノ成 算丁
.
1.
.
1 幽「
.一
一
一
一
.
抗 力 ノ 計 算.
一
一
一
一
○.
一
一
「
一
一
一
○一
一
.〒
.
σ冒16 ’
匿’
u
”’
で∫’
貸 量 ○ ○ oOoX 重 量 O ○ OO ○ ○ イ ン キ リ シ ホ ン トー
一
匿
匿
一
一
−−−−■
一
一
一
一
一
罰
フ レ ミ シホヲ ン ト一
一
一
.
一一
Ω.
○一
一
一
一
.一
一
.
一
.一
.
一
.
一.
.
广
.馳」
.
i
釣 鉄 物一
7r一
−罰
1−−−.
.
一
匿
一
一
.
鐵 鉤一
一
.
.
一
一
一
一
一
.
.
一
一
.
一
一
一
繋 キ 鐵 物一
一
.
.
一
一
一
.
.
一
○一
一
一
一
.
一
.
一
一
.
Oi’
一
一
一
ヒ
ー
凵
.
○一
一
.
一
.
.
」
.
○一
.
一
.
.
.
.
一
.
.
.
.
O.
.
一
一
.
.
一
.
一
−T−一
.
.
〇 繋 鉄 物 ○ ○ o ○ oo 蟻 掛 ○ Qoo 糴 持 ○ ○ Q0o セ リ 持 O ○ 迫 持 ○ 足 代 ○ ○ ○ ○ 脚 代 O ○ OO ○凵
「
皿L−
○ 震 災 防 禦 △ 注 :○ は 梅 造 規 定 の 条 文 中 に あ る も の,△ は 書 き込み 中にあ る もの,
×は 抹消さ れてい る ものを示す.
糴 持 等で,
各々抗 力や迫持に変化して い る。 ま た,
鉄材 に関し て は,
同じ条 文 中で釣 鉄 物か ら繋 キ 鐵 物まで 3回り
に わ た り用 語が変化して いる。一
方,
用 語が変 化し な かっ たの は,
軒蛇腹,
間仕切 壁等である。
荷 持 壁にっ い て は,
用 語 自体は変 化して いないが,
途 中か ら使 わ れなくなっ た。 「工」 字 形と は,
「出 入口及 窓ノ上ニ ハ 鉄 梁ヲ架シ頭 壁ノ貫量ヲ支持セ ル コ ト ヲ得ベ シ其 形ハ エニ シテニ 筒ヲ 平 行 線二 据 付 「ホル ト」ニ テ結 構スヘ シ」 (一
34
条) とい う規 定 中に存 在し,
鉄 梁の形の こ と,
つ まり当 時 使 用され て い た1
型ビー
ム を指す と考え ら れ る。
その他, 「フ レ ミ シ ホ ヲン ト」,
「インキリ シ ホン ト」 は煉 瓦の積み方 を表して おり,
方法をこの 2っ に限ると い う規 定 (一
29
条 )で あ る。 前 者はフ レ ミッ シュ ボン ドつ ま りフ ラン ス積みの ことであり,
後 者はイングリッ シュ ボン ドつ まりイギ リス積み の ことで ある。
すな わち,
こ れらが な まっ て,
さら に昔の表 記 方 法に し た が い濁 点 を と る と,
妻 木 案のよ うに書ける。
文 献18)に よ れば,
「わ が国に お ける建 築 壁 体 用の積み方は従来の知見か ら す れ ば フ ラ ン ス積み (Flemish−bond
>と イ ギ リス 積み (English−bond
)の.
二っ に大別す るこ と がで き る」と 述べ られ てい る こ と,
ま た文 献33} で は,
煉瓦の積み 方 が 5 種 類記載 され て お り,
こ の 中の 「フ レ ミ ツ シ積 (Flemish
Bond
)」が 「フ レ ミ シ ホ ヲン ト」に近い こと も,
上記の根拠 と な ろ う。 ト u ま た妻 木案に は,
石 灰々泥の材 料 混 合 比 を定めた規 定 が あ る が,
材料強度を数値で定め た規 定は ない。
し か し,
積 載 荷 重につ いて は,
数値で規 定して い る。 すなわ ち,
「住居 用建物,
演 説 堂 及 多 人 數 集 合スル建 物,
大 斤ノ荷 物 等ヲ貯 藏ス ル 場所 等」に対し,
各々 75斤 /尺z (4gokg
/m2 ),120
斤 /尺z (784kg
/mz },
150斤 /尺2 (980 kg/m2 ) を支持する林 を築造するとい う もの であ る。 た だ し,
外 国 条 例や妻 木 文 庫お よ び それ以 外の書 物も含め て,
今の一
ところこ の規定の値を裏付け る根 拠は み Table7 つ かっ てい ないc 別案 か ら後 期案 に至 る構 造 規 定 中 の数値の変化は
,
よ り厳しい方 向にい く もの,
よ り緩和す る方向にい く もの,
数 値 が 不変の もの,
最終 的に抹 消 さ れて し ま う もの,
あ るいは言い方や単位が変わ るもの等様々 に分 類で きる。
これ らの う ち,
内 容が より厳 し く な る もの,
ある い は条 文 自体が途 中で抹 消さ れ るもの が多いe 例え ば厳し く なっ た も の とし て,
「凡ソ住 居又営 業 用ノ建 物ニ シ テ間口 三十 五 尺 以 上アル トキハ 必 間 仕 切 壁 ヲ 築 造ス ル カ 又ハ 鉄 梁 用後 壁 卜締合 ス ヘ シ…
(後略)」 (一
第 2 章第 15条) とい う条文が あ る。
上 記の 「三 十 五 尺」 が,
中 期 案 で は 「六間 」(36尺の こと),
後 期 案 では 「三十六尺 」と な りい っ た ん緩 和さ れ る が,
後 期 案 で は 「三十六 尺 」と書か れ た上に六 を塗りつ ぶ し て い るので,
「三十 尺 」で あり,
より厳しくなっ てい る。一
方, 抹 消され た規 定の 中に は,
積 載 荷 重 値な どの重要な規 定も含ま れ て い る。
3.
規定条文の背景 3.
1 外 国条 例の 影 響 妻木文庫中の 外国 条例一
の第ユ の特徴は,
形 態 面 での不 統一
で あ る。 チ カゴ條 例 と参 考 書 は,
内 容が 墨書き であ りサ イズも大きいの に対し,
◎一
まで は体 裁の揃っ た印 刷 物であ る。 参 考 書 の体 裁と,
内 容と が 別 案 に対 応 すること,
そ してチカ ゴ條 例 の条 文が参 考 書 に も載っ てい る こと
か ら,
チ カゴ條 例 と参 考 書 は別案 に付随す る資料で あ り, ◎一
とは性 質が異 な る と考え ら れ るIU}。
次 に,
算 出式 等の数 式 が ない こ と,
壁厚 や,
工事 方 法,
提出図面等の規定が詳しい こと, 全体的に も か な り詳 細 な規定で あ るこ と,
精神規 定的な もの が あ ること等が,
外 国 条 例の 内容 面か ら み た特徴で あ る。
妻 木 案が,
妻 木 文 庫 中の外 国条 例を参 考と し たこと は 事 実であるが,
条 文をな らべ て比 較し て み て も,
外 国 条 例か ら その ま ま引 用し た規 定は,
次に述べ る よ うに,
数 え る ほどしか ない。
多くの条 文は引 用の際に修 正 が 加え ら れ てい る。
妻 木 案の 構 造 規 定と, 外 国 条 例の 構 造 規 定 内 容をTable
7にま とめた。
妻 木 案の項 目 を中心 と して取り上 げた た め,
妻 木 案の方に○ 印が多い の は当 然で あ る が,
外 国 条 例では規 定 して いないものが多く,
全体とし て外 国条例の構 造規定の項 目と は異なっ て いる。 資料一
の他に,
イタ リ アの イス キ ヤ や,
マ ニ ラ,
主 要 内容に関す る妻 木 案と諸 外 国 条 例との比較 資 科 構 造 蘭 連 規 定の内 容 妻 木 案 妻 木 案 妻 木 案 妻 木 案 妻 木 案 妻 木 案 6 妻 木 案.
チ カ ゴ 参 考 害 羅 馬 巴 威 里 伯 林 佛 國 雄 也 納 英 國 遺 飄 の・
臼も む 0 ○ 構 造 図 面 (構造 的仕様遊書き出す)○ o ○ ○ ○ ○ ○ ○ OO ○ Q.
計 算 書の提 出 (構 造 計 算 を 含 む ).
.
.
oo ○ ○ ○ ○ ○ ○ o噛
、
.
高 さ 制 隈 (上 限 を 寇 め た 規定〉 O 豆.
Ω q Ω.1「 .
構 造制限 焜定 (不燃質 構遣 を除く〉○ o ○10
.
○…
.
一
〇 Ω.
o ○.
、
「
心
−.
尸
.
qO 地 盤に関す る規定 (地 質等 ) ○ 地 形 (地 業と基礎 杭 打 を含む) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ Q ○ ○ ○ o 迫 時 (輾 持 ) に 関 す る 規 定 oo ○ ○ ○ o ○ 積 戟荷重に関 す る規定 (数傾 規定 ) ○ 積 載荷重 (床・
壁の負 重力 規定)」
○ o Ω ○.
9
Q、
屋 根材の重 量に関す る規定90一.
.
、
.
一
.
馳 .
.
.
木 製柱 梁の径・
寸法に関する規定 ○ 0.
「
金 物 (ボ ル ト等 )の 使 用 規 定 Oo ○ ○ Q60 ○ 筋かい の使 用に関する規定 ○ 土 台,
土台 と柱の緊結 ○ 防の切り欠きに関す る規定66
.
一
.
..
一.
.
一
O 接 合,
結合,
継手,
結 梅 Q ○ ○ ○ oo00 ○ 土蔵 造・
塗 屋造にお け る土の厚 ざ ○ o ○ ○ oO 壁厚 (壁の種類によ らず) oo ○ oo00oo oo0o 問仕 切壁の設置等に関 する規定 ○ ○ o ○ ○ 0O ○ o 荷持壁の設置等に 鬩 す る規 定 ○ ○ ○ ○馳
.
i.
−..
.
煉 瓦・
石の積み方 (繋 維等 〉 0 ○ 9、
Ω、
Ω』
亟.
○.
.
−1一
幽
.
、
.
○ ○ 軒蛇腹の支持等に関す る規定 ○ ○ Ω Ω.
P Ω一
6
:.
.
鉄梁に関ず る規定 ○ Oo01Q
○ O一
.
.
L.
L
π.
二.
.
.
: 鉄柱に関す る規定.
.
一L.
.
.
.
.
.
一
『
○ Oo ○ ○ ○ o.
一
.
.
.
.
一.
一
鉄 製 柱 梁 の 検 査 義 務 に 関 す る 規 定 o ○ ○ 煙突の構造に閏 す る規 定 ○ ○ ○ O ○ ○Q
o ○ ○ 材墨 灰泥の混糞等 )規定 o譱
○ ○ oo ○ ○ O ○ 工事 方法(脚代 )に関す る規 定−
○ ○ ○ ○ o ○ o ○ 工事 方法 (脚代 以外)に関する規定 ○ o oo ○ O ○ O o0oO ○ 注:各 内容に関連す る条 文が あるもの にはOをつけ た (条文の意 味や語句ま で等しい ということでは ない),
英 鬮 職 工 住 所 條 例 は、
該 当 ず る 規 定 が な い た め 省 略 し た.
リスボン等の諸 都 市における,
耐 震・
高さ規 定が雑 誌一
ヒ で紹 介さ れ て い る1T・
an )が, 妻木 案と直 接結び付くよ うな 規 定は みつか ら ない。
3.
1,1
チ カ ゴ府 建 築 條 例 との 比 較 チ カゴ條 例 の構 造規定の特徴は,
条 例の古さ と,
算 出式・
材料強度規 定が ない点に あ る。1875
年と1877
年 の 条例であり,
これ は明治 8 年と10 年に当た る。し か し,
こ の 時 代の欧 米では すで に,
最 小 仕 事の定 理 (1858年 ),
仮 想 仕事法に よる不 静 定 構 造の一
一
般 解 法 (1864年 ) 等 が知ら れ て お り,
連 続 梁や単 純な形の ラー
メ ンに対し て は, こ れ らの諸 定 理の応 用で解 析が で き る とい う状 態に あっ た tE〕。
ま た,
詳 細な壁 厚 規 定がある こと や,
防 火 を 中心に し た防 災 規 定が数 多く ある こ と もこの条 例の特 徴 である。
こ の 防火規定は,1871
年10
月9
日の シ カ ゴ市 大 火に影 響さ れて いる可 能性が大きい。
妻木案の構 造 規 定 と,
こ の条 例 と を 比較す る と,
3種 類の規 定 (Table
8
中 (い),
(ろ),
(は)参 照)で,
ほ ぼ一
致す る部 分が あり,
チ カゴ條 例 を参 考とし た可 能 性 を 示唆してい る。
他に も部分 的 な類 似,
あ るい は 内容 や語句の類似が多く (Table
7
参照),
最も妻 木案に近 い10・
11)。
3.1.2
建築 條 例 参考書 との比較 参 考書 は,別案 の条文ご とに,内 容が対 応す る様々 な国の条 例が集め られて い る点に特 徴が あ る。
た だ し,
別 案 の条 文すべ て に対 応して記 され て いる わけで は な い。
妻 木 案と比 較 すると,
語 句まで は一
致しないが,
意 味一
36
Table8 妻 木案と外 国条例との条文比 較 妻 (初期案
一
60条 ) 従 来存在セル隔壁ニ テ當 時ノ建 築 法二随 テ建 設セ ル モ ノ 木 ニテ 尚 ホ 堅 牢ニ シ ヂ用ユルニ 足ルヘ キ物ハ皆 家屋二使用 ス ル ヲ潯ヘ シ然レトモ此 古 壁 ノ上二煉 化 ヲ積 立 シ梗ヲ構 案 造 スルニ當 リテハ調 査 局へ届 出 本 則二從ヒ壁 厚 ヲ増 加ス ヘ シ い (1877年 条 例一
13条 ) チ 従来存 在セ ル隔壁ニ テ当時ノ建築法二随テ建 設 セルモ ノ ニテ 尚 堅 牢ニシ テ 用 フルニ足ルヘ キモ ノ ハ皆家屋建築二 カ 使 用ス ル ヲ得ヘ シ然 レ匡 此 古 壁 ノ上二煉 瓦 ヲ積 足 シ テ樓 ヲ構 造ス ルニ ハ其 高 サニ随 ヒ前 十一
条二 掲 出セ ル牆 壁 表 ゴ 中営 業用家屋ノ問 仕 切 壁 卜全一
ノ厚 サ ヲ 以 テ 築 造 セ サル へ一
…
妻 木 (−
68 家 屋ハ浬 テ 雨 樋 ヲ 金 属ニテ造リ家 根ヨ リ竪樋ヲ以テ雨 水 ヲ下 水渠二注入セシ メ以テ墻壁及ヒ基礎ノ挨害 ヲ 豫防ス 案 ヘシ特二雨 水ノ路 傍二浴レサ ル 様 注 意 スヘ シ ろ チ (田77年条 例一
25条) 后来ノ建 築二係ル家 屋ハ總テ雨樋ヲ金属ニ テ造 リ家根ヨ カ リ雨 水ヲ下 水 渠二注 入 セシ メ以テ牆壁及 基礎ノ擯害ヲ豫 防スヘ シ特二雨水ノ路 傍二溢レサル様 雨 樋ヨリ能 ク下 水 ゴ一L
スル ヘ シ一
妻 (初一
55条) 木 止 ム ヲ 潯 ス シテ 梁 ヲ横 員 シ瓦 斯 飲 泉 及ヒ温 室器管ヲ通過 案 セ ル トキ ハ其梁ヲ ニ寸 以 上量 込雖一一
は チ (1877年条例一
47条 ) カ 冢 屋 内二管類 (漁 管ナドヲ云フ)ヲ引 用ス ルタメ根 太 根 太 掛 等 ノ 側 面 ヲ切 リ欠 クモノハ其深サ ニ寸ヲ超ユベ カ ラズ ゴ 又 小 ロヨリ切 通 ス 牌ハ長 サ三尺二超ユベカラズ一一
妻 〈−
24 木 基 礎ハ少クモ地 盤ヨ リ 三尺ヲ下リ堅 牢二造ルヘ シ若シ地 案 質粗 悪 ナル吽ハ杭 打ノ方法ヲ施スヘシ に 白 (白義 國一
30条) 義 地形ヲ築クニ必要ナ ル溝ハ善良ナ ル 地質二至 ル マ テ 深 ク 掘上 クルヲ要ス若シ其地質粗悪ナ ル 牌ハ 杭 ヲ打 込 等 ノ方 國 法ヲ用ユ ヘシ が類 似す る規 定が多い。 ま た,
白 義 國第30
条の杭打ち に関す る規 定で は,
初 期 案 の 24条と後 半 部 分が よ く 似てお り,
部 分 的に引 用してき た と考え ることもで き る (Table 8中 (に )参 照)。
な お,
特に施工分 野に 関し て は,
妻 木 案と類 似する規 定が多い。 例え ば, 脚 代や木 石 運 搬に関 する規 定が そうである。
妻 木 文 庫の他の外 国 条 例 と 比べ て,
類 似 点が多 く,
こ の書が参 考 と して 多用 され た よ うである。
3.1,3
外国条 例◎〜
との比較 バ イエ ル 羅 馬 條 例◎,
巴威 里 條 例,
佛 國 規 則,
英 國 住 所 條 例 は,
内容,
用語と も か な り妻木案と傾 向が違い,
類 似す る も の は ほ と んどない。 ま た,
伯林條 例 に は,
構造 規 定中に特徴あ る ものが 存在す る。 これ は, 「(前 略)…
各 材料中二 固 有 存在ス ル 所 謂強 力 (或ハ 耐力)ノ全 力ヲ使用 セス シ テ幾 何力其静 力ヲ存セ シメ以 テ之ヲ使用セ サル可ラス…
(後略〉」と い う条 文で,
現在の許 容 応 力 度の概 念に近い 規 定で あ る。 妻木案と伯林 條例 と を 比較す る と,
煙突や建物の高 さ,
耐力の詳 記,
鉄製構造 部分の検査等の規定が,
共通 して存在する が,
こ の 条 例を参考と し た可 能 性は あっ て も, 引 用し た と はい い難い。 ま た, 鉄 製 構 造 部 分の検査 規 定と は,
「家 壁及鐵 製 搆 造 部分其 他屋脊 棟 梁 等 」が ほ ぼ落 成した時に, 建 築 警 察の検 察 認 可 を受けるよ うに と い う もの である。
検 査の際に は,
内 部の 「厚薄大小等」 が容 易に測 量で き る よ う に とも規定さ れて いる。 な お維 也納條例 に は,
安全が証 明さ れ れ ば構 造 方 法の例 外 を 認め る とい う規定がい くつ か存 在す る。
英 國條 例 は,
用 語の定義か ら始ま る な ど整っ た構 成で ある。
しか し, 両者と も,
妻 木案に引 用さ れ た条 文はみつ か ら ない。
3.
2
作 業資料の影 響 検 討 作 業に使 用さ れた作 業 資 料 中, 構 造に関連す る も の で は,
まず 『東 亰 市 建 築 條 例 中 衛 生 事 項 草 按亅(2種 類 ) が重要で ある。
こ の 中に構 造 分 野に関 連す る建 物の階 数 制 限 や, 石 材の吸 水 性につ いて等の条文が あ る。 これ ら は,
後 期 案 か ら取り 入 れ ら れ,
で抹 消さ れて いる。 こ れ らの規 定は, 構造規 定 本 来の安全性を目的と し た も の とい う よ り は,
家屋構造を主に衛 生 面か ら規 定し たも の で ある5}。
こ の他,
『現行諸 建築規 則 拔 萃亅には,
様 々な建築に 関連す る規則が収録さ れてお り, この中の 「防火線及屋 上制限規則」 (明治 14 )に は,
「土 蔵 造ハ 周 囲ノ壁厚サ 柱 外三寸 以上 タルヘ シ」とい う条 文が存 在す る。 妻 木 案 にもほ ぼ同一
の規 定が,
中 期 案 (別 案 に も塗 屋 造で 三 寸 以上と いう もの が ある )か ら後 期 案 ま で存 在し て い る。
立 案 時 期 を 考 慮すると, 規 則 自身は こ の資 料 以 前 にす でに存 在し て お り,
こ の作 業 資 料その もの か ら規 定 を引用 することは不可能で あ る が, 妻 木 案がこ の規 則 を 参 考と し た可 能性は高い。 最後に,
『劇場 取締 規則』 案 (4
種 類 )関係の資料に は構 造 分 野の条 文が多く,
その特 徴は 「煉 化造」,
「石造」 の 他に,
「鉄 骨 構 造 」の 用 語を新し く規定し た点に あ る。 具 体 的に は,
「建 物ノ高サバ 地 盤ヨ リ軒上端 道 四 十二尺 ヲ超過スヘ カラ ス但 鉄 骨 擣 造二 係ル モ ノハ 此限ニ ア ラ ス」とい う もの で ある。
そ の他,
「客 席ノ両 側 外 壁ノ内 部二 接シ大 サ七寸 角 以 上ノ建 登 柱ヲ八尺 以 内ニー
本ノ割 合二 配置シ堅牢ナル鉄ボー
ル ドヲ以テ煉 化壁二 締 束スヘ シ但煉化二枚半以 上ノ堅 牢ナル問 仕切 ノ設ケ アル モ ノハ 此 限ニ ア ラス 」とい う規 定 中に は,
「鉄 ボー
ル ド」, 「建 登柱 」等の新しい用 語が み ら れ る。 ま た,
「小屋 ノ梁 間 九 十 尺以上二 達ス ル トキハ 小屋組ハ 都テ鉄材ヲ以テ搆造 ス ヘ シ」とい う規 定で は,
大 規模な小屋組は鉄材で構造 す る よ うに定め ら れてい る。 し か し,
これ らの 新しい用 語や,
規定は妻木案に取り 入 れ ら れてお らず,
参考程 度 にと ど まっ た もの と考え ら れ る。
その他,
妻木 案と類 似 の内 容をもつ部 分 も存 在す る が,
鉄 骨 造に関 する規 定を 妻 木案よ り も多く取 り入 れ る な ど,
新しい形の条 例であ る と評価で き る。 た だ し,
これ らの案が 公布さ れ た時に は,
こ れ らの構 造 規定は削 除さ れてい た。3.3
耐 震に関す る提 言の影 響 災 害は, 構 造 規 定の 内 容に大き く影 響 を及 ぼ す もの の 1つ で ある。
災 害に は例え ば, 震 災, 風水 害, 雪 害, が一
一
37
一
け崩れ, 火災等が考え ら れ る。 まず 火 災に対して