Ⅱ―2 選択肢(全体:問Ⅰ、領域別:問Ⅰ、Ⅱ)に関する回答結果
ここでは選択肢(全体:問Ⅰ、領域別:問Ⅰ、Ⅱ)に関する回答結果について記載する。なお、
2019 年 2 月 17 日に実施したワークショップ後に提出のあった大学があるため、73~77 ページに
あるワークショップ配布資料と本結果報告の数値に若干の違いがある。
Ⅱ-2.1 「教育全体に関するアンケート」回答結果
アンケートのうち学部教育全体に関して尋ねた問
1.1~問 1.5 に関しては、図 1 に示す結果とな
った。いずれの項目に関しても、
「なっていない・できてない(1)」と答えた大学はなかった。問
1.1「独自の理念や特色に基づいた教育」、問 1.2「薬剤師の基本的な資質や能力を身に着ける教育」
に関しては
7 割以上の大学が肯定的な回答であるのに対して、問 1.3「生涯にわたる研鑽・社会
貢献する教育」に関しては肯定的な回答が
6 割以下だった。問 1.4「独自の薬学専門教育」、問 1.5
「研究能力を伸ばす教育」に関しては、強い肯定的な回答である「できている(5)」と答えた大
学が
3 割近くある一方で、強い否定的な回答である「できていない(1)」と答えた大学も 1 割近
くあり、二極化がうかがえる結果となった。
(図
1.1)
図
1.1 改訂版コアカリ導入後の学部教育
問1.1~1.3 (なった)■5 ■4 ■3 ≡2 ■1(なってない)
≡問1.4~1.5 (できている)■5 ■4 ■3 ≡2 ■1(できていない)
n=71, 他 n=72
国公立・私立別の集計結果を図
1.2 に示す。全体的に国公立大学の方が自己評価の高い結果と
なっているが、特に、問
1.3「生涯にわたる研鑽・社会貢献する教育」、問 1.5「研究能力を伸ば
す教育」に国公立大学が力を入れていることがうかがえる。一方で、問
1.2「薬剤師の基本的な資
質や能力を身に着ける教育」に関しては国公立と私立に差は見られない。
25
21
10
14
12
23
29
30
42
39
19
15
25
14
20
5
7
7
2
0%
20%
40%
60%
80%
100%
問1.5 研究能力を伸ばす教育
問1.4 独自の薬学専門教育
問1.3 生涯にわたる研鑽・社会貢献する教育
問1.2 薬剤師の基本的な資質や能力を身に付ける教育
問1.1 独自の理念や特色に基づいた教育
図
1.2 国公立・私立別
問1.1~1.3 (なった)■5 ■4 ■3 ≡2 ■1(なってない)
問1.4~1.5 (できている)■5 ■4 ■3 ≡2 ■1(できていない)
改訂コアカリの
A~F を 9 つの領域(A、B、C1~2、C3~5、C6~8、D、E1~3、E4~5、F(準備
まで)に分けて、
「担当領域の講義・実習等が薬剤師に求められる
10 の資質の醸成に役立つ程度」
を尋ねた。全体的に「教育能力」が低い結果となったことから、1~4 年次の薬学教育のカリキュ
ラムにおいては後進を育成する意欲と態度に必ずしも結びついていないことが示唆された。
A 領域と B 領域は、「薬剤師としての心構え」、「患者生活者本位の視点」が高く、「基礎的な科
学力」
、「研究能力」が低い結果となった。本領域がこれらの資質の醸成に役立つ程度が低いと自
己評価していることは、社会学・行動科学的な考え方、研究が薬学ではまだ根付いていないこと
が示唆された。また、両領域が同様の傾向を示したのは、担当者が同じである大学も多いことも
理由の一つと思われる。
C 領域全般の傾向は、
「基礎的な科学力」、
「研究能力」が極めて高くこの領域の中核を担ってい
ることがわかる。「薬物療法における実践能力」については領域の融合が進んでいる一方で、「地
域の保健・医療における実践能力」については意識しづらいことが示唆された。
D 領域の特徴は、「基礎的な科学力」と「地域の保健・医療における実践能力」が高く、本領域
が地域の保健医療のサイエンスの部分を担っているという自負が感じられる。一方で、
「薬剤師と
しての心構え」
、
「患者生活者本位の視点」などの項目は
C 領域と変わらず、「地域の保健・医療
における実践能力」がサイエンスの面に偏っていることも懸念される。
計
p値
国公立
17
私立
54
国公立
17
私立
55
国公立
17
私立
55
国公立
17
私立
55
国公立
17
私立
55
Fisherの正確確率検定
問1.4
0.0774
問1.5
<0.0001
問1.1
0.0801
問1.2
0.5682
問1.3
0.0131
6
6
3
17
8
31
4
10
2
12
10
32
1
1
6
4
3
22
8
22
7
9
12
2
13
6
23
7
14
11
19
3
20
5
図4 改訂コアカリ導入後の学生の変化
領域
A 基本事項
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
領域
B 薬学と社会
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
4
5
3
3
2
4
4
4
7
22
22
19
21
12
24
28
22
34
34
26
29
31
40
31
27
34
18
1
1
2
8
10
7
5
3
2
2
2
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
A 2.3.1 講義への主体的な参加
A 2.3.2 実習への主体的な参加
A 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
A 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
A 2.3.5 自己管理能力の向上
A 2.3.6 協調性の向上
A 2.3.7 主体的で対話的な活動
A 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
A 2.3.9 医療従事者としての心構え
1
1
1
2
1
1
3
2
26
24
17
14
12
19
22
20
26
34
28
36
36
41
35
33
33
30
1
1
1
1
1
3
11
10
11
10
8
7
8
5
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
B 2.3.1 講義への主体的な参加
B 2.3.2 実習への主体的な参加
B 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
B 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
B 2.3.5 自己管理能力の向上
B 2.3.6 協調性の向上
B 2.3.7 主体的で対話的な活動
B 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
B 2.3.9 医療従事者としての心構え
領域
C1~2 物理系
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
領域
C3~5 化学系
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
1
1
1
10
12
8
7
8
6
7
6
9
51
48
47
45
48
53
48
49
42
1
1
1
1
2
3
8
12
7
5
8
9
10
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
C12 2.3.1 講義への主体的な参加
C12 2.3.2 実習への主体的な参加
C12 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
C12 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
C12 2.3.5 自己管理能力の向上
C12 2.3.6 協調性の向上
C12 2.3.7 主体的で対話的な活動
C12 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
C12 2.3.9 医療従事者としての心構え
1
1
2
1
11
11
11
10
11
11
12
12
19
55
55
48
45
53
50
48
50
35
2
5
1
1
1
7
8
4
5
6
5
12
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
C35 2.3.1 講義への主体的な参加
C35 2.3.2 実習への主体的な参加
C35 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
C35 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
C35 2.3.5 自己管理能力の向上
C35 2.3.6 協調性の向上
C35 2.3.7 主体的で対話的な活動
C35 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
C35 2.3.9 医療従事者としての心構え
領域
C6~8 生物系
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
領域
D 衛生薬学
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
2
17
14
6
13
8
9
11
11
16
46
48
49
41
48
51
48
45
32
1
1
1
2
2
1
2
1
1
2
2
9
10
7
4
4
8
14
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
C68 2.3.1 講義への主体的な参加
C68 2.3.2 実習への主体的な参加
C68 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
C68 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
C68 2.3.5 自己管理能力の向上
C68 2.3.6 協調性の向上
C68 2.3.7 主体的で対話的な活動
C68 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
C68 2.3.9 医療従事者としての心構え
1
3
1
1
2
2
16
13
13
21
10
18
16
11
19
46
45
41
36
49
41
43
43
35
1
2
2
2
1
1
1
2
2
3
10
7
6
5
5
8
10
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
D 2.3.1 講義への主体的な参加
D 2.3.2 実習への主体的な参加
D 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
D 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
D 2.3.5 自己管理能力の向上
D 2.3.6 協調性の向上
D 2.3.7 主体的で対話的な活動
D 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
D 2.3.9 医療従事者としての心構え
領域
E1~3 薬理・薬物治療
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
領域
E4~5 動態・製剤
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
2
3
1
2
1
2
3
2
2
19
20
13
15
11
15
15
11
25
42
39
42
39
47
45
44
45
29
1
2
1
1
1
1
1
1
1
7
8
5
2
2
6
7
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
E13 2.3.1 講義への主体的な参加
E13 2.3.2 実習への主体的な参加
E13 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
E13 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
E13 2.3.5 自己管理能力の向上
E13 2.3.6 協調性の向上
E13 2.3.7 主体的で対話的な活動
E13 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
E13 2.3.9 医療従事者としての心構え
1
1
1
20
20
16
12
7
19
17
8
18
42
41
40
41
50
40
41
44
35
1
3
1
1
2
2
7
8
6
4
5
9
10
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
E45 2.3.1 講義への主体的な参加
E45 2.3.2 実習への主体的な参加
E45 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
E45 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
E45 2.3.5 自己管理能力の向上
E45 2.3.6 協調性の向上
E45 2.3.7 主体的で対話的な活動
E45 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
E45 2.3.9 医療従事者としての心構え
領域
F 薬学臨床(ただし準備教育まで)
■極めて向上している ■向上が感じられる ■変化はみられない ≡低下している ■不明・観察の機会なし
Ⅱ-3 自由記述に関する回答結果
次に各大学から寄せられた自由記述を掲載する。自由記述については全て原文通りである。な
お、掲載順については順不同である。
2
6
1
1
5
3
1
6
21
29
19
17
14
19
25
20
23
42
30
39
38
47
37
35
42
35
1
1
2
1
1
2
2
8
10
5
3
3
3
2
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
F 2.3.1 講義への主体的な参加
F 2.3.2 実習への主体的な参加
F 2.3.3 学内外での自主的・自発的な行動
F 2.3.4 薬学以外の幅広い視野の獲得
F 2.3.5 自己管理能力の向上
F 2.3.6 協調性の向上
F 2.3.7 主体的で対話的な活動
F 2.3.8 規範的、倫理的な振る舞い
F 2.3.9 医療従事者としての心構え