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ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践の実態把握と今後の方向性

―介護支援専門員による高齢者福祉領域でのケアマネジメントに着目して―

増 田 和 高

(武庫川女子大学文学部心理・社会福祉学科)

Understanding the actual situation of care management practice based

on social work and future direction

―Focused on care management for the elderly―

Kazutaka MASUDA

Department of Psychology and Social Welfare, School of Letters Mukogawa Women’s University

Abstract

The purpose of the current study is to clarify the structure of the care management practice based on social work. The research design is a cross-sectional survey using mailed questionnaires. The participants in the study were 1,742 care managers. The response rate was 43.6%. The factor analysis with Promax rotation was conducted in order to clarify the structure of the care management practice based on social work.

The factor analysis results indicated the structure of the care management practice was composed of the following 7 domains: (1) Person-centered services, (2) Primacy of client–social worker relationship, (3) Utilization of an environment that directly affects life, (4) Utilization of informal support, (5) Strength per-spective, (6) Collaborative teamwork and (7) Intervention at micro, mezzo, and macro levels.

The results indicate that care management practice based on social work consists of 7 elements. It has been shown that it is important for care management based on social work not only to provide support that respects individual independence, but also to work on various environmental aspects.

緒 言

2000 年の介護保険法施行に伴い、高齢者が住み慣れた地域で生活できるためのサービスシステムの 構築が図られるとともに、契約概念の導入によるサービス利用方式の構造的変革がなされることとなっ た。その中で、各種福祉サービスが利用者のニーズに沿って提供されるためのサービス調整システムで あるケアマネジメントが整備され、その担い手として介護支援専門員が制度化されることになった。介 護支援専門員によるケアマネジメント実践としては、ニーズ把握としての「アセスメント」、支援の方針 と内容を定めた「ケアプランの作成」、ケアプランに沿って支援を展開する「実施」、「モニタリング」によ る適切なサービス利用と継続性の確保が挙げられ、介護保険施行後 20 年を経過した今、福祉領域にお ける支援の方法論として一定の定着をみせてきている。 一方で、ケアマネジメントの担い手である介護支援専門員は、様々な基礎資格を職業的背景として持っ ており、その基礎資格や専門職としてのアイデンティティの持ち方によってケアマネジメント実践の内 容が異なることが指摘されており、現にアメリカではケアマネジャーとしての認証制度を全国ソーシャ ルワーカー協会(NASW)と全米看護協会(ANA)が別に展開しているという事例も見られる。元来、ケ

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- 30 - アマネジメントは 1970 年代後半に、社会的入院が問題視され始めたアメリカにおいて、精神科病院か ら退院する精神障害者に対して、地域移行と在宅生活を支援する目的で取り組まれ始めた実践であった。 当初はケースマネジメントと呼ばれ、在宅生活を支える福祉サービスを受けるための手続きが煩雑であ り、知識・情報が得にくい状態にあった精神障害者に対して、アセスメントを介して在宅生活に対する ニーズを導き、専門職の立場からニーズに適合すると考えられるサービスをマッチングしていく手法と して用いられた。このような社会背景をもとに利用者への支援に関して全面的な責任を持ち、必要とす るサービスを一元的にコーディネートするケアマネジメント(ケースマネジメント)の概念が発展してき たのである1)。当時のケアマネジメントは後に「仲介モデル」とも呼ばれるようになり、原初的な支援モ デル2)として定着することとなる。その後、仲介モデルによる支援では、利用者の QOL 改善に結びつ

か な い こ と も 研 究 報 告 さ れ る よ う に な り、PACT モ デ ル(Program of Assertive community treatment model)、臨床モデル(Clinical model)、ストレングス・エンパワメントモデル(Strength-Empowerment model)、リハビリテーションモデル(Rehabilitation model)など様々なケアマネジメントのモデルが構築 され、それぞれの支援効果が検証されてきている。 こうした各モデルは利用者の状態や目的に合わせて使い分けることが前提とされており、支援現場で は仲介モデルを含め様々なケアマネジメントモデルが実践されるようになってきた。一方で、ケアマネ ジメントを実践していく目的について考えてみると、わが国の場合ではケアマネジメントが法的に位置 づけられた介護保険法の目的条文である第一条において「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化 に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療 養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自 立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う ため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を 定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」とされていることから、 「自立支援」であるということがうかがえる。自立支援を志向するうえで、ケアマネジメントはソーシャ ルワークの視座に立って実践していくことの有用性が指摘されており、先に触れた NASW の認証にお いては、ソーシャルワーク・ケアマネジメントの特徴として、①パーソン・センタードのサービス(利 用者、時には家族を中心にした支援)、②クライエント・ソーシャルワーカー関係の卓越性(クライエン トとの治療的・同盟的な関係)、③「環境の中の人」の枠組み(人と環境との相互影響のもとで、個々人を 理解すること)、④ストレングス視点(病理的なことよりも、成長や発達の可能性に信頼を置き、支援す ること)、⑤協働するチームワーク(専門職、組織と協働することが不可欠であること)、⑥ミクロ・メゾ・ マクロのレベルでの介入(アドボカシーを軸にして、個人・家族・地域・政策の変化に影響を与える多 様なアプローチの活用)が強調されている3)。しかしながら、こうした視点は概念的には理解されてい るものの、実践という側面においては統一した方法が示されているわけではなく、また背景にある基礎 資格の支援理念と相まって共通の実践基盤となっているとは言い難い現状がある。 そこで本研究では、ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践の定着を促進していける よう、NASW が指摘する視点の内容をわが国におけるケアマネジメント実践に試論的に落とし込むこ とを試みる。そのうえで、実証的な観点から実態把握と支援の構成要素を明らかにし、ケアマネジメン トが自立支援として実効ある具体的な方法論となることを志向していくための基礎資料を得ることを目 的として調査を行った。

方 法

1.調査対象及び調査方法 本研究では厚生労働省の「介護サービス情報の公表制度」を活用し、都道府県が公表している介護サー ビス事業所のうち、ケアマネジメントを業務として提供している「居宅介護支援事業者」を無作為に 4,000 カ所抽出した。抽出された事業者の管理者宛に自記式質問用紙および説明書類を送付し、書面にて「調

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査主旨」ならびに「倫理的配慮」を説明したうえで、同意が得られる場合においてのみ「実務についている 介護支援専門員」に調査票を手渡して欲しい旨を説明した。同時に、管理者から介護支援専門員に手渡 される調査用紙においても依頼書を同封し、調査の趣旨に同意が得られない場合は回答を行う必要がな いこと、調査依頼を辞退した場合であっても不利益を被ることがない旨を説明した。記入済み質問用紙 については同封する返信用封筒に記入者自身が封入し、返信を依頼する形をとった。調査期間は 2016 年 11 月 21 日~ 2017 年 1 月 21 日までとした。データ分析にあたっては、回答者が特定できぬようコー ド化を行うとともに、調査分析方法については「桜美林大学研究倫理委員会」の承認を得た(承認番号: 16035)。また、プライバシー保護に関する十全の配慮のもとでデータの管理を行い、他者が調査データに アクセスすることができないよう厳重に保管を行った。有効回収数は 1,742 票、回収率は 43.6%であった。 2. 調査内容 調査内容は基本属性を把握する目的で「性別」、「年齢」、「最終学歴」、「雇用形態」、「介護支援専門員 経験年数」、「ケアプラン担当数」、「所持資格」、「職務を行ううえでのアイデンティティ(専門性)」に関 する項目を設けた。また、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として「①パーソン・ センタードのサービス(6 項目)」、「②クライエント・ソーシャルワーカー関係の卓越性(5 項目)」、「③『環 境の中の人』の枠組み(7 項目)」、「④ストレングス視点(6 項目)」、「⑤協働するチームワーク(4 項目)」、「⑥ ミクロ・メゾ・マクロのレベルでの介入(5 項目)」の合計 33 項目で構成される質問項目を作成した。 3.「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」測定項目 NASW が理念として掲げる 6 つの視点について、わが国の実践に即した形で測定できるようそれぞ れの領域について理論、実践の双方から検討を行った。 (1)パーソン・センタードのサービス パーソン・センタード(Person-centered)の視点は、アメリカの心理学者の Rogers から始まったもので あり、1990 年代のアメリカにおける福祉サービス領域では、この Rogers の考え方や消費者運動の考え 方の影響を受け、個人の尊厳を尊重して支援計画を作成していくこと(パーソン・センタード・プラン ニング)の必要性について認識が広まった。また、イギリスの心理学者 Kitwood は認知症高齢者支援の 中でパーソン・センタードの考え方を応用し、実践理論として広めていった経緯を持つ。「本人中心ア プローチ」とも呼ばれ、利用者が周囲の環境や社会と接点を持ち、受け入れられているということを自 覚として持てるような、「その人らしさ」を尊重して関わる支援を指す4)。本人に寄り添い、その声に耳 を傾ける姿勢や個別の生活リズムを重視して関わることが重要とされており、福祉的支援やケアマネジ メントにおいて古くから取り組まれてきた実践とも親和性が高い内容である。そこで本研究では全ての 支援過程に利用者およびその家族の関与を得ることで、ケアマネジメントプロセスの中で「個人として 尊重されている」という実感を持つことが出来るようにするための実践を項目として反映した。 (2)クライエント・ソーシャルワーカー関係の卓越性

NASW の 指 針 に お い て、“The therapeutic relationship or working alliance between the social work case manager and the client is integral to helping the client achieve her or his goals ” とされており、利用者が自身 の目標を達成することを支援するためには、ケアマネジャーと利用者との適切な援助関係構築が必要不 可欠とされている。つまり、「クライエント・ソーシャルワーカー関係の卓越性」を構成する項目については、 “ 適切な援助関係を構築するための実践 ” を体現する内容が反映されなければならないと考えた。ケア マネジメントが自立支援として機能するためには、利用者本人が生活の主体としての意識を持ち、生活 コントロール感を持つことが重要であるとされていることから、「クライエント・ソーシャルワーカー関係 の卓越性」を構成する項目については、利用者の内的世界に対しての共感的理解、受容や傾聴といった ソーシャルワーク領域において本人の主体性を保つために取り組まれてきた支援を項目として設定した。 (3)『環境の中の人』の枠組み

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- 32 - 理社会的アプローチ」を提唱した Hollis によるものである。Hollis はフロイト理論の影響を受けてケー スワーク技法を研究し、診断主義アプローチの流れをくむ実践理論を構築した。その一方で、個人と環 境の関り合いがクライエントの問題状況を形成しているという「環境の中の人」という考えを示し、クラ イエント本人への「持続的支持」や「カタルシス」、「状況や課題への考察」等を行う「直接的処遇(direct treatment)」とともに、クライエントの家族や環境に対しても利用者と同様に「直接的処遇」を展開してい くことを意味する「間接的処遇(indirect treatment)」の重要性を主張した5)。つまり、「『環境の中の人』の 枠組み」に基づくケアマネジメント実践とは利用者自身の状態と社会環境とが相互に影響する関係性に あり、利用者の生活ニーズの背景にはそれらが存在していることもふまえ働きかけていく必要があると 解釈できる。そこで本研究では、利用者を取り巻く社会環境を念頭に、それらを支援に位置付ける(プ ランに落とし込む)ことができているかどうかを測る項目を設定した。 (4)ストレングス視点 利用者の病理(Pathology)や欠点(Deficits)といった弱さ(weakness)にのみ着目するのではなく、利用 者に内在する意欲や希望、生活環境を支える社会資源などの強さ(strength)に焦点を当て、その強さを 起点に生活支援を展開しようとするケアマネジメントモデルの一つとして定着してきた考えである。生 活に対する意欲や希望といったストレングスの側面は、利用者の生活歴、生活環境や周囲との関りの中 で培われたものであり主観的な要素が強い。そのため、ケアマネジャーが客観的かつ一方向的に理解で きるものではなく、利用者とともに明確にし、支援に活用していくことが求められる6)。この「ストレ ングス視点」については、先行研究においてストレングスとして説明されている「できること・能力」、「楽 しみ・意欲」、「活用可能な社会資源」についての適切な把握と、ケアプランに反映させることでの活用 が実践できているかを測る項目を設定した。 (5)協働するチームワーク Weil らはケアマネジャーの責任として、利用者への責任だけでなく支援に携わるチームを成長させ る責任があることに言及している7)。つまり、ケアマネジメントプロセスにおいて、他のソーシャルワー カーや専門職、地域組織とチームを構築して支援にあたることがその実践の前提となっていることがわ かる。構築されるチームについては、直接的な支援を目的とするチームもあれば、スーパーバイズ機能や 情報収集機能を目的として構築されるチームもあるが、チームとしての協働を測る尺度としては筒井8) が、「地域において、複数の公的および民間機関および機関内の多様な専門職種間で情報を提供しながら、 協働で対象者の問題解決に取り組んでいる活動およびその活動に関する管理業務の総体」として「連携活 動尺度(The index of networking)」を開発している。当該尺度を構成している領域として「情報共有」「業 務協力」「関係職種との交流」「連携業務の処理と管理」が挙げられており、今回の項目作成の参考とし、 項目設定を行った。

(6)ミクロ・メゾ・マクロのレベルでの介入

NASW の指針では、“The social work case manager uses a variety of approaches to effect change in individuals, families, groups, communities, organizations, systems, and policies. Advocacy for systemic change plays a key role” とされており、システムの変化に焦点を当てたアドボカシーを鍵とする、個人・家族・集団・地域・ 組織・政策の変化に影響を与えるための多様なアプローチの活用がソーシャルワークの視座に立ったケ アマネジメント実践として重要視されている。Brager9)は ”Advocacy and Political Behavior” の中で、ソー

シャルワーカーが担うべき役割として、社会問題の改善を追求するアドボカシーの役割について言及し ている。Brager はその論文において、貧困や差別などによって被害者となっている人々に焦点をあて、 制度政策の変化・改善を目指すためにアドボカシーとして「社会改良(Social reform)」に取り組む必要性 があることを説いている。そこで本研究でも地域における社会資源や関係者が、利用者のニーズに反応 できるようシステムの変化をケアマネジメントプロセスの中で実践できているかを問う項目を設定した。 上記内容を踏まえ、各領域を構成する下位項目については、介護支援専門員が行う具体的な実践との 整合性の検討を行うために、理論的検討を行ったのち介護支援専門員 3 名と先行研究を基に検討・協議 を行い、アイテムプールの作成を行った。その後、福祉領域で研究を行う研究者と介護支援専門員によ

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るレビューを受け、必要に応じて質問内容やワーディングの修正、項目の妥当性の検討を行い「ソーシャ ルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として 6 領域 33 項目を設定した(表 2)。したがって、 各領域を構成する質問項目については、少なくとも内容妥当性を有しているものと判断した。 4.分析方法 まず、介護支援専門員による「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として設定し た 6 領域(33 項目)の各項目に対する回答選択肢を「十分実施している(4 点)」、「まあ実施している(3 点)」、「あまり実施していない(2 点)」、「全く実施していない(1 点)」の 4 段階リッカート尺度とし、得 点が高くなるほど「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」の実践程度が高くなるよう 設定した。 次に、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践(33 項目)」が、実際にはどのような 構造であるのかを分析するために、探索的因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行い、因子負荷量 0.4 以上を基準として項目の選定を行った。その結果、固有値の減衰状況と因子解釈可能性から表 3 に示す ように、計 33 項目から成る 7 つの因子解を採用した。また、信頼性(内的一貫性)を、Cronbachʼαより 確認した。 また、探索的因子分析の結果として析出された因子について、研究目的や先行研究に照らして妥当な 結果であると判断したため、モデル仮説の妥当性を検証する目的で確証的因子分析を行った。統計解析 においては、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」について 7 因子二次因子モデルを措 定し、カテゴリカルデータの推定法である Weighted Least Square parameter estimates using a diagonal weight matrix with robust standard errors and mean-and variance-adjusted chi-square test statistics(以下、WLSMV)を 推定方法に確証的因子分析を行った。適合度の評価指標には、Comparative Fit Index(以下、CFI)、 Tucker-Lewis Index(以下、TLI)、Root Mean Square Error of Approximation(以下、RMSEA)を用いた。こ れらの適合指標は、CFI>0.95、TLI>0.95、RMSEA<0.06 であればそのモデルがデータをよく説明してい ると判断される10)。また、パス係数の有意性は、非標準化係数を標準誤差で除した値(t 値)で判断し、 その絶対値が1.96以上(5%水準)を示したものを統計学的に有意とした。なお、記述統計量及び相関分析、 因子分析には「SPSS17.0 J for Windows」を、構造方程式モデリングには順序カテゴリカル変数として多 変量解析を行なうことができる統計ソフト「Mplus version 5.2」を使用した。統計解析には回収された 1,742 票の内、分析に使用する項目に欠損値の無い 1,636 票を用いた。

結 果

1.集計対象者の属性分布 集計対象者の属性分布は表 1 の通りとなった。また、介 護支援専門員として有している基礎資格の内、最も基本に して仕事をしている資格(所持資格)は、介護福祉士と回答 した者が 1,057 名(60.7%)と最も多く、次いで看護師・准 看護士 243 名(14.1%)、社会福祉士 194 名(11.1%)の順と なっていた。また、主任介護支援専門員の資格を所持して いる者は 750 名(43.1%)、日本ケアマネジメント学会の認 定ケアマネジャーの資格を所持している者は 26 名(1.5%) であった。 専門職としてのアイデンティティについて回答を求めた 結果、 福祉職を選択した者が 794 名(45.6%)と最も多く、 次いで介護職が 619 名(35.5%)、看護職 221 名(12.7%)、 リハビリテーション職 29 名(1.7%)となっていた。 表 1 集計対象者の属性分布(n = 1,742) い、アイテムプールの作成を行った。その後、福祉領域で研究を行う研究者と介護支援専門員によるレビ ューを受け、必要に応じて質問内容やワーディングの修正、項目の妥当性の検討を行い「ソーシャルワー クの視座に立ったケアマネジメント実践」として6 領域 33 項目を設定した(表 2)。したがって、各領域 を構成する質問項目については、少なくとも内容妥当性を有しているものと判断した。 4.分析方法 まず、介護支援専門員による「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として設定し た6 領域(33 項目)の各項目に対する回答選択肢を「十分実施している(4 点)」、「まあ実施している(3 点)」、「あまり実施していない(2 点)」、「全く実施していない(1 点)」の 4 段階リッカート尺度とし、得 点が高くなるほど「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」の実践程度が高くなるよう 設定した。 次に、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践(33 項目)」が、実際にはどのような構 造であるのかを分析するために、探索的因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行い、因子負荷量 0.4 以上を基準として項目の選定を行った。その結果、固有値の減衰状況と因子解釈可能性から表3 に示すよ うに、計33 項目から成る 7 つの因子解を採用した。また、信頼性(内的一貫性)を、Cronbach’α より確 認した。 また、探索的因子分析の結果として析出された因子について、研究目的や先行研究に照らして妥当な結 果であると判断したため、モデル仮説の妥当性を検証する目的で確証的因子分析を行った。統計解析にお いては、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」について7 因子二次因子モデルを措

定し、カテゴリカルデータの推定法であるWeighted Least Square parameter estimates using a diagonal weight matrix with robust standard errors and mean-and variance-adjusted chi-square test statistics (以下、WLSMV)を推定方法に確証的因子分析を行った。適合度の評価指標には、Comparative Fit Index (以下、CFI)、Tucker-Lewis Index(以下、TLI)、Root Mean Square Error of Approximation(以下、 RMSEA)を用いた。これらの適合指標は、CFI>0.95、TLI>0.95、RMSEA<0.06 であればそのモデルが データをよく説明していると判断される10)。また、パス係数の有意性は、非標準化係数を標準誤差で除し た値(t 値)で判断し、その絶対値が 1.96 以上(5%水準)を示したものを統計学的に有意とした。なお、 記述統計量及び相関分析、因子分析には「SPSS17.0 J for Windows」を、構造方程式モデリングには順序 カテゴリカル変数として多変量解析を行なうことができる統計ソフト「Mplus version 5.2」を使用した。 統計解析には回収された1,742 票の内、分析に使用する項目に欠損値の無い 1,636 票を用いた。 結 果 1.集計対象者の属性分布 集計対象者の属性分布は表1 の通りとなった。また、介 護支援専門員として有している基礎資格の内、最も基本に して仕事をしている資格(所持資格)は、介護福祉士と回 答した者が1,057 名(60.7%)と最も多く、次いで看護師・ 准看護士243 名(14.1%)、社会福祉士 194 名(11.1%) の順となっていた。また、主任介護支援専門員の資格を所 持している者は750 名(43.1%)、日本ケアマネジメント 学会の認定ケアマネジャーの資格を所持している者は26 名(1.5%)であった。 専門職としてのアイデンティティについて回答を求め た結果、 福祉職を選択した者が 794 名(45.6%)と最も 多く、次いで介護職が619 名(35.5%)、看護職 221 名 人数 ( % ) 男性 383 ( 22.0 ) 女性 1,356 ( 77.8 ) 無回答 3 ( 0.2 ) 30歳未満 7 ( 0.4 ) 30歳代 222 ( 12.7 ) 40歳代 554 ( 31.8 ) 50歳代 663 ( 38.1 ) 60歳以上 293 ( 16.8 ) 無回答 3 ( 0.2 ) 中学校(旧制高等小学校を含む) 13 ( 0.7 ) 高等学校(旧制中学校を含む) 467 ( 26.8 ) 短大・高専・専門学校・専修学校 839 ( 48.2 ) 四年制大学(旧制高校・新制大学院を含む) 399 ( 22.9 ) その他 16 ( 0.9 ) 無回答 8 ( 0.5 ) 常勤専任 1,353 ( 77.7 ) 非常勤専任 27 ( 1.5 ) 常勤兼任 353 ( 20.3 ) 非常勤兼任 3 ( 0.2 ) 無回答 6 ( 0.3 ) 介護支援専門員 経験月数※1 ケアプラン担当数※2 ※1 n=1,723   ※2 n=1,729    雇用形態 性別 項目 表1 集計対象者の属性分布(n=1,742) 年齢 最終学歴 平均101.2ヶ月(標準偏差:58.4、範囲:1-336) 平均31.5件(標準偏差:9.3、範囲:0-70)

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- 34 - 2.「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」の実践度 「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として測定した 33 項目の記述統計は表 2 の通りである。 6 2.「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」の実践度 「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として測定した33 項目の記述統計は表 2 の通りである。 人数 ( % ) 人数 ( % ) 人数 ( % ) 人数 ( % ) 人数 ( % ) 1 高齢者とともにアセスメントを行うようにしていますか。 7 ( 0.4 ) 59 ( 3.4 ) 867 ( 49.8 ) 807 ( 46.3 ) 2 ( 0.1 ) 2 高齢者とともにケアプランを作成するようにしていますか。 15 ( 0.9 ) 181 ( 10.4 ) 1,035 ( 59.4 ) 509 ( 29.2 ) 2 ( 0.1 ) 3 高齢者とともに支援の結果を評価するようにしていますか。 12 ( 0.7 ) 265 ( 15.2 ) 982 ( 56.4 ) 477 ( 27.4 ) 6 ( 0.3 ) 4 家族とともにアセスメントを行うようにしていますか。 6 ( 0.3 ) 91 ( 5.2 ) 887 ( 50.9 ) 755 ( 43.3 ) 3 ( 0.2 ) 5 家族とともにケアプランを作成するようにしていますか。 18 ( 1.0 ) 154 ( 8.8 ) 955 ( 54.8 ) 611 ( 35.1 ) 4 ( 0.2 ) 6 家族とともに支援の結果を評価するようにしていますか。 17 ( 1.0 ) 248 ( 14.2 ) 981 ( 56.3 ) 489 ( 28.1 ) 7 ( 0.4 ) 7 高齢者に対して批判的でない態度で接しようとしていますか。 20 ( 1.1 ) 6 ( 0.3 ) 470 ( 27.0 ) 1,244 ( 71.4 ) 2 ( 0.1 ) 8 高齢者の感情や思いに耳を傾けるようにしていますか。 0 ( 0.0 ) 2 ( 0.1 ) 515 ( 29.6 ) 1,224 ( 70.3 ) 1 ( 0.1 ) 9 高齢者が感情や思いを素直に表現できるよう、自分自身のことを開示す るようにしていますか。 7 ( 0.4 ) 231 ( 13.3 ) 913 ( 52.4 ) 584 ( 33.5 ) 7 ( 0.4 ) 10 高齢者に本人の感情や思いを理解したことを伝えるようにしていますか。 0 ( 0.0 ) 63 ( 3.6 ) 899 ( 51.6 ) 772 ( 44.3 ) 8 ( 0.5 ) 11 高齢者が悩みを解決できることを意識して接するようにしていますか。 1 ( 0.1 ) 78 ( 4.5 ) 934 ( 53.6 ) 723 ( 41.5 ) 6 ( 0.3 ) 12 高齢者の経済状況を把握し、それをケアプランに活かすようにしていますか。 2 ( 0.1 ) 113 ( 6.5 ) 929 ( 53.3 ) 697 ( 40.0 ) 1 ( 0.1 ) 13 高齢者の家屋の状況を把握し、それをケアプランに活かすようにしていますか。 2 ( 0.1 ) 84 ( 4.8 ) 928 ( 53.3 ) 725 ( 41.6 ) 3 ( 0.2 ) 14 高齢者と介護者の関係を把握し、それをケアプランに活かすようにしていますか。 3 ( 0.2 ) 55 ( 3.2 ) 893 ( 51.3 ) 785 ( 45.1 ) 6 ( 0.3 ) 15 高齢者と家族の関係を把握し、それをケアプランに活かすようにしていますか。 1 ( 0.1 ) 89 ( 5.1 ) 928 ( 53.3 ) 719 ( 41.3 ) 5 ( 0.3 ) 16 高齢者と別居家族の関係を把握し、それをケアプランに活かすようにして いますか。 4 ( 0.2 ) 436 ( 25.0 ) 926 ( 53.2 ) 372 ( 21.4 ) 4 ( 0.2 ) 17 高齢者と近隣の関係を把握し、それをケアプランに活かすようにしていま すか。 24 ( 1.4 ) 695 ( 39.9 ) 814 ( 46.7 ) 202 ( 11.6 ) 7 ( 0.4 ) 18 高齢者と友人の関係を把握し、それをケアプランに活かすようにしていますか。 54 ( 3.1 ) 855 ( 49.1 ) 670 ( 38.5 ) 155 ( 8.9 ) 8 ( 0.5 ) 19 高齢者のADLやIADLの中で、できることを把握するようにしていますか。 1 ( 0.1 ) 11 ( 0.6 ) 778 ( 44.7 ) 949 ( 54.5 ) 3 ( 0.2 ) 20 高齢者の関心、楽しみ、意欲といった気持ちを把握するようにしていますか。 2 ( 0.1 ) 19 ( 1.1 ) 823 ( 47.2 ) 897 ( 51.5 ) 1 ( 0.1 ) 21 高齢者の家族や近隣等から受けることができる支援を把握するようにしていますか。 9 ( 0.5 ) 236 ( 13.5 ) 1,057 ( 60.7 ) 437 ( 25.1 ) 3 ( 0.2 ) 22 高齢者のADLやIADLの中でできることを、ケアプランに活かすようにして いますか。 2 ( 0.1 ) 87 ( 5.0 ) 950 ( 54.5 ) 702 ( 40.3 ) 1 ( 0.1 ) 23 高齢者の関心、楽しみ、意欲といった気持ちを、ケアプランに活かすように していますか。 1 ( 0.1 ) 119 ( 6.8 ) 937 ( 53.8 ) 684 ( 39.3 ) 1 ( 0.1 ) 24 高齢者の家族や近隣等から受けることができる支援を、ケアプランに活か すようにしていますか。 14 ( 0.8 ) 340 ( 19.5 ) 1001 ( 57.5 ) 382 ( 21.9 ) 5 ( 0.3 ) 25 他の専門職や機関と高齢者に関する情報を共有するようにしていますか。 1 ( 0.1 ) 44 ( 2.5 ) 885 ( 50.8 ) 805 ( 46.2 ) 7 ( 0.4 ) 26 他の専門職や機関と協働してアセスメントを行うようにしていますか。 21 ( 1.2 ) 449 ( 25.8 ) 923 ( 53.0 ) 342 ( 19.6 ) 7 ( 0.4 ) 27 他の専門職や機関と協働してケアプランを作成するようにしていますか。 29 ( 1.7 ) 449 ( 25.8 ) 896 ( 51.4 ) 361 ( 20.7 ) 7 ( 0.4 ) 28 他の専門職や機関と協働して支援の結果を評価するようにしていますか。 24 ( 1.4 ) 375 ( 21.5 ) 955 ( 54.8 ) 381 ( 21.9 ) 7 ( 0.4 ) 29 高齢者への支援において、地域のインフォーマルな資源(町内会や民生 委員など)と協働して取り組むようにしていますか。 59 ( 3.4 ) 807 ( 46.3 ) 673 ( 38.6 ) 197 ( 11.3 ) 6 ( 0.3 ) 30 地域のインフォーマルな資源(町内会や民生委員など)が抱えている課題 について、相談にのるようにしていますか。 314 ( 18.0 ) 878 ( 50.4 ) 417 ( 23.9 ) 124 ( 7.1 ) 9 ( 0.5 ) 31 地域のインフォーマルな資源(町内会や民生委員など)が問題意識を高め、地域の改善に向けて取り組むことを促すようにしていますか。 423 ( 24.3 ) 899 ( 51.6 ) 316 ( 18.1 ) 94 ( 5.4 ) 10 ( 0.6 ) 32 複数の支援困難ケースに共通する地域の課題を、地域包括支援センターなどと検討するようにしていますか。 139 ( 8.0 ) 477 ( 27.4 ) 701 ( 40.2 ) 413 ( 23.7 ) 12 ( 0.7 ) 33 地域の資源の開発や改善に取り組むようにしていますか。 384 ( 22.0 ) 871 ( 50.0 ) 356 ( 20.4 ) 118 ( 6.8 ) 13 ( 0.7 ) 協 働 す る チ ー ム ワ ー ク 環 境 の 中 の 人 の 枠 組 み ス ト レ ン グ ス 視 点 ミ ク ロ ・ メ ゾ ・ マ ク ロ レ ベ ル で の 介 入 パ ー ソ ン セ ン タ ー ド の サ ー ビ ス ク ラ イ エ ン ト ・ ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー 関 係 の 卓 越 性 表2 介護支援専門員によるソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践度に関する回答分布(n=1,742) 番号 項目 全く実践していない あまり実践していない まあ実践している 十分実践している 無回答 表 2 介護支援専門員によるソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践度に関する回答分布(n = 1,742)

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3.探索的因子分析結果 「ソーシャルワークの視座に立った ケアマネジメント実践」の実際の構造 を把握するために因子分析を行った。 その結果、計 33 項目より構成された 7 因子が抽出された。第 1・2・3・4 因子ならびに第 6 因子については、 当初設定した領域の項目がそのまま 因子として抽出されたことから、領 域名を踏襲し第 1 因子『パーソン・セ ンタードのサービス』、第 2 因子『ミ クロ・メゾ・マクロレベルでの介入』、 第 3 因子『ストレングス視点』、第 4 因子『クライエント・ソーシャルワー ク関係の卓越性』、第 6 因子『協働す るチームワーク』と命名した。なお、 「『環境の中の人』の枠組み」について は、因子分析の結果 2 つの因子に分 かれて析出されることとなった。第 5 因子は高齢者を取り巻く身近な存在 である家族や、直接生活に影響を与 える家庭環境などを支援に反映して いるかどうかを問う 4 項目から構成 されていたことから『生活に直接影響 を与える環境の活用』と命名した。ま た第 7 因子については、近隣住民や 友人、別居家族といったインフォー マルサポートを支援に反映している かどうかを問う 3 項目から構成され ていたことから『インフォーマルサ ポートの活用』と命名した。抽出され た 7 因子を構成する項目の信頼性(内 的一貫性)を Cronbachʼαより確認し たところ、各因子とも 0.72 ~ 0.85 と 比較的高い信頼性係数が示された(表 3 参照)。 4.確証的因子分析結果 探索的因子分析の結果を踏まえ、析出された因子について説明をつけることができたため、WLSMV を推定方法に確証的因子分析を行った。結果、CFI=0.892、TLI=0.972、RMSEA=0.091 と統計学的な水 準を下回り水準を満たさないと判断された。そこで因子ごとに項目間の相関について Spearman の順位 相関係数を算出した結果、第 2 項目と第 3 項目、第 26 項目と第 27 項目、第 31 項目と第 32 項目の組み 合わせにおいて 0.6 を超える相関が確認された。そこで、これらの項目に対して観測変数の誤差間に共 分散を設定し、再び確証的因子分析を行なったところ、CFI=0.961、TLI=0.975、RMSEA=0.077 と統計 学的許容水準を満たす結果となった(図1)。 表 3 「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」因子分析結果(n = 1,636)

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考 察

1.記述統計から見る実践実態 介護支援専門員による「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」について、その実践 度において「十分実践している」「まあ実践している」に着目すると、「高齢者の感情や思いに耳を傾ける ようにしていますか」が 1,738 名(99.8%)と最も多く、次いで「高齢者や家族に対して、必要であればい つでも相談にのることを伝えるようにしていますか」が 1,729 名(99.3%)、「高齢者の ADL や IADL の中 で、できることを把握するようにしていますか」が 1,727 名(99.1%)となっていた。こうした実践はソー シャルワーク領域のみならず、他の対人支援領域でもその重要性が認識されているところであり、「受容」 や「傾聴」、ストレングスの視点に立ったアセスメント等、基本的な相談援助技術が実践において定着し てきていると考えることができる。 一方、「地域のインフォーマルな資源(町内会や民生委員など)が問題意識を高め,地域の改善に向け て取り組むことを促すようにしていますか」は 410 名(23.5%)と最も少なく、次いで「地域の資源の開発 や改善に取り組むようにしていますか」が 474 名(27.2%)、「地域のインフォーマルな資源(町内会や民 生委員など)が抱えている課題について、相談にのるようにしていますか」が 541 名(31.1%)となってい た。介護保険法下で支援を行う介護支援専門員にとって、地域住民などのインフォーマルな資源に働き かけることは直接介護報酬に結びつかない業務となる。また、介護支援専門員の業務量を考えると、地 域に働きかけてその資源開発や課題解決を志向する実践を展開することは大きな負担であることがうか がえる。しかしながら、地域共生社会を志向するうえでは生活基盤である地域の資源が充実することは 必要不可欠であり、利用者の自立にも大きく貢献する要素である11)。同時に、多くの介護支援専門員が インフォーマルサポートの不足による支援の困難さを感じながら業務を行っていることも報告されてお り 12)、地域におけるインフォーマルな資源の拡充等は喫緊の課題であるにも関わらず、介護支援専門 員はその必要性に気付きながらも改善の手立てを取り切れていない現状があることが示された結果と なった。今後はこうしたインフォーマルな資源に対して協働できる社会福祉協議会や地域包括支援セン ター等との連携を強化し、チームとして取り組んでいくことができる体制構築が望まれる。 2.因子分析から見る実践実態 分析の結果、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」として仮説的に設定した 6 領 域が、実践という現象面においてそのまま独立した因子として抽出されず、当初設定していた「『環境の 図 1 ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践

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中の人』の枠組み」の領域について、第 5 因子『生活に直接影響を与える環境の活用』と第 7 因子『イン フォーマルサポートの活用』の 2 因子に分かれて析出されることとなった。 介護支援専門員には、個々の生活環境を活用しながら「その人らしい生活」を支援していくことが求め られる。個人の生活に直接的な影響を及ぼすと考えられる家族関係や、住宅の状況、経済状況について は介護支援専門員が用いる一般的なアセスメントシートにもその項目が落とし込まれており、一定の実践が なされているものと考えられる。そのため、今回の調査でも「『環境の中の人』の枠組み」の中から生活に直 接影響を与える環境面への介入に関する項目が因子として独立した形で析出されたものと考える。また、 先述した通り多くの介護支援専門員が現在インフォーマルサポートの活用については「困難さ」を感じている 現状が報告されており、実践の中で課題となっていることが推察される。実践面におけるこうした課題 的側面が強調された結果、第 7 因子『インフォーマルサポートの活用』が析出されたものと考える。また、因 子間相関を見るとほぼ全因子間において一定の相関係数が確認されたことから、因子が示す実践が個々 に独立して展開されるのではなく、一体的実践として展開されているものであることがわかった。 確証的因子分析の結果では、「ソーシャルワークの視座に立ったケアマネジメント実践」の因子構造モデ ルが妥当性を備えたものであることが示され、基礎資料を得るという研究目的を果たすことができたと 考える。今後は得られたモデルをもとに潜在クラス分析や関連要因分析を行うことで、実践内容によっ てどのように下位集団が構成されているのか、また実践を向上させていくうえで必要な要因は何かを引 き続き検討し、利用者の自立支援としてのケアマネジメント実践のあり方を提言していけるよう努めたい。

付 記

本研究は「ソーシャルワーク・ケアマネジメントの独自性とその評価に関する研究」(日本学術振興会 科学研究費(基盤研究 B)研究代表者:白澤政和)の研究の一部を用いて行われた。 本研究の共同研究者である白澤政和先生、竹本与志人先生、畑亮輔先生に記して御礼申し上げる。

引用文献

1) James Intagllata. Improving the Quality of Community Care for the Chronically Mentally Disabled: The Role of Case Management. SCHIZOPHRENIA BULLETIN. 1982,8(4), pp.655-674.

2) 岡田進一.ケアマネジメント原論,ワールドプランニング,2011,p.21.

3) National Association of Social Workers. NASW Standards for Social Work Case Management. SocialWorkers.org,2013, pp.10-20.

4) Kitwood. T. Dementia Reconsidered: The Person Comes First, Open University Press,1997(=高橋誠一訳.認知症のパー ソンセンタードケア-新しいケアの文化へ.筒井書房,2005)

5) 本出裕之.ケースワーク:心理社会療法.岩崎学術出版,1966,pp.83-93.

6) 山口真里.ストレングスに着目した支援過程研究の意味.福祉社会研究.2005,4(5),pp.97-114. 7) Weil M, Kars J. Historical origins and recent developments in case management. Jossey-Bass, 1985, pp.1-28.

8) 筒井孝子.地域福祉権利擁護事業に携わる「専門員」の連携活動の実態と「連携活動評価尺度」の開発(上). 社会 保険旬報.2003,No.2183, pp.18-23.

9) G. A. Brager. Advocacy and Political Behavior. Social Work. 1968, 13(1), pp.5-15.

10) Hu, L., Bentler, P.M. Cutoff Criteria for Fit Indexes in Covariance Structure Analysis. Structure Equation Modeling.1991, 6, pp.1-55.

11) 久保田真美,堀口和子.認知症高齢者の独居生活の継続が困難になる要因.日本認知症ケア学会誌.2019,18 (3),pp.39-44.

12) 楊暁敏,岡田進一.一人暮らし高齢者に対する介護支援専門員の支援困難感の構成要素の構造 . 社会福祉学. 2020,61(1),pp.44-57.

参照

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