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アジア水環境パートナーシップ[WEPA] アジア水環境管理アウトルック 2012

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WEPA Outlook on Water Environmental Management in Asia

アジア水環境パートナーシップ[

WEPA

]

アジア水環境管理アウトルック

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アジア水環境パートナーシップ(WEPA) 環境省

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WEPAアジア水環境管理アウトルック 2012

ⓒ 2012 Ministry of the Environment, Japan. All rights reserved

ISBN: 978-4-88788-108-2 この出版物の内容は執筆者の見解であり、WEPAパートナー国の公式見解を述べたものではありません。 環境省 水・大気環境局水環境課 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 Tel: 03-3581-3351 http://www.env.go.jp/ 公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) 淡水サブグループ 〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11 Tel: 046-855-3700 http://www.iges.or.jp/ WEPA水環境管理アウトルック2012 IGES執筆チーム: [原稿執筆チーム] 自然資源管理グループ淡水サブグループ ディレクター 片岡八束 研究員 久山哲雄 特任研究員 後藤歩

特任研究員 Bijorn Kumer Mitra 研究員 Bhim Nath Acharya [支援チーム]

自然資源管理グループ淡水サブグループ 研究員 Binaya Raj Shivakoti アドミニストラティブアシスタント 本郷綾子 プロジェクトアシスタント 横山久美子

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目次

はじめに ... 5 アジアの持続可能な未来に向けた水環境の課題 WEPAからのメッセージ ... 6 謝辞 ... 9 略語 ... 11 [ 第1章 ] WEPAパートナーの水環境管理の概況 ... 13 [ 第2章 ] 優先課題に関する議論と調査結果 ... 29 2.1 アジアにおける生活排水処理 ... 30 2.2 気候変動と水環境 ... 42 [第3章] WEPAパートナー国における水環境管理に関する国別情報 ... 51 3.1 カンボジア ... 52 3.2 中国 ... 58 3.3 インドネシア ... 64 3.4 日本 ... 70 3.5 韓国 ... 76 3.6 ラオス人民民主共和国 ... 82 3.7 マレーシア ... 88 3.8 ミャンマー ... 94 3.9 ネパール ... 98 3.10 フィリピン ... 102 3.11 スリランカ ... 108 3.12 タイ ... 114 3.13 ベトナム ... 120 付録 ... 127 WEPA 諸国における社会、経済、水に関する指標 ... 128 参考文献 ... 131

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はじめに

アジアの水環境問題が危機的状況にあることを危惧し、環境省は、2003年に京都で開催された第3回世界水 フォーラムにおいて、アジア水環境パートナーシップ(WEPA)事業を提唱した。WEPAは、アジアの13のパートナー 国(カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、 ベトナム)の協力のもと、情報の収集・普及と関連ステークホルダーの能力構築を通じて、アジアの水環境ガバナン スを強化することを目指す取り組みである。また、WEPAは、パートナー国が互いに経験を共有し、水環境を向上 するための解決策をオープンに話し合う場でもある。 「WEPA水環境管理アウトルック」は、水環境管理に関する情報の重要性を考慮し、アジアの水環境ガバナン ス向上のための総合的な情報源として、WEPAパートナー国の水環境とその管理に関する最新の基礎情報を 公表することを目的として作成され、2009年の第5回世界水フォーラムの際に、初めて出版された。 「WEPA水環境管理アウトルック 2012」は、主に以下の3つの章で構成されている。第1章は、各国の水環境 管理に関する制度の枠組みについての分析結果を概説する。第2章は、WEPAの2つの優先討議課題である 「生活排水処理」及び「気候変動と水環境」に関するこれまでの議論や調査結果をまとめる。第 3 章では、 WEPAパートナー国それぞれの水環境の現状と管理の最新情報を提供する。また、これまでのWEPA年次会 合やワークショップなどでの議論を通じてその重要性が特定された活動や、今後の取り組みを示した「WEPAメッ セージ」も掲載する。 本書は、全てのパートナー国の活動をまとめたWEPAの主要な出版物として、水環境問題をめぐる議論を活性 化させる一助となることを意図して作成され、2012年3月にフランスのマルセイユで開催された第6回世界水フォー ラムで公表された。また、WEPAは同フォーラムで「水問題解決策」の一つとして登録されている。本アウトルック が、第2回アジア・太平洋水サミットの参加者を含め、アジアの水環境問題に関心を持つ人々、またアジア以外の 人々にとっても、持続可能な水環境という世界共通の目標を達成する上で役に立つことを願っている。 2012年3月 環境省 公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)(WEPA事務局)

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アジアの持続可能な未来に向けた水環境の課題

WEPAからのメッセージ

アジア地域における水環境への深刻な脅威とリスク 1. アジア諸国は多様である一方で、気候、自然や文化的な条件におい て類似性を持つ地域である。一般的に、アジアの人々は豊かな水の 恩恵を享受してきたが、同時に洪水や干ばつなどの季節的な水量 変動による被害も被ってきた。 2. 過去20年の間、アジアは世界の急成長の中心であり、GDPは120% 増を記録し、世界の総人口の6割を占めるまで発展した。しかしなが ら、人口急増と急激な都市化や経済成長、持続可能ではない開発 等により、アジアの水資源に水量・水質双方の観点から、大きな圧力 が加わり、水系生態系は脅かされてきている。 水環境を守るための水環境管理の促進を 3. ひとたび汚染された水や破壊された水系生態系を回復するには、 多大な時間とリソースが必要となる。したがって、水環境が悪化して いる地域の水質管理を強化し、人為活動が水環境に与える影響を 最小限に食い止めるよう、地方、地域、国レベルで水環境保全政策 を迅速に立案・実施することが最重要視される。健全な水環境はア ジア地域の持続的な発展の鍵である。 水環境パートナーシップ(WEPA) 4. アジアの水環境問題が危機的状況にあることを危惧し、日本国環境省は2003年第3回世界水フォーラム において、アジア水環境パートナーシップ(WEPA)を提唱した。翌2004年には、カンボジア、中国、インドネ シア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムのアジア11カ国の参加により WEPAの事業が発足した。2009年には、ネパールとスリランカがメンバーに加わり13カ国のパートナーシッ プ事業となった。WEPAは参加国が各々の経験を共有し、水環境改善の解決法を討論する機会を提供 している。 5. 水環境の保全が、アジア地域の持続可能な開発やミレニアム開発目 標(MDGs)達成に向けて不可欠なことを再認識し、またこれまでの WEPAの議論を踏まえ、WEPA参加国はアジア地域に住む人々や 世界中のステークホルダーに向けて、アジア太平洋地域の持続可能 な水環境の保全について、次の通りメッセージを発信する。そして、 WEPAの活動を通じて世界の水環境の改善に取り組むことをここに 固く誓う。

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主要メッセージ 6. 1980年代前後~1990年代にかけて、WEPA参加国では水環境管理の目標を掲げ、健全な水環境保全 のための枠組みを構築し、水汚染改善に向けた様々な対策を実施した。こうした努力の結果、多くの WEPA参加国で顕著な水質改善が報告されている。 7. 他方、湖沼や貯水池、河口域などの閉鎖性水域における富栄養化問題や、人口密集地域の河川の有 機汚濁は、今もなお深刻な問題である。経済発展や人口増加、都市化や気候変動影響の可能性も考慮 すると、人類の健康や水系生態系を守り、持続可能な開発を促進するためには、まずは水環境政策の実 施が保証され、かつより一層の重点的な取り組みが必要とされている。 水環境管理のアクションリスト 8. WEPA参加国は、各国の水質管理上の目標を定め、その達成のために必要とされる以下の 取り組みを実施する。 a )法、規則、社会・経済状態や水環境の現状に見合った基準設定(産業構造 や実際の排水水質に基づく排水基準など)の見直し b )水環境管理戦略、アクションプランを流域レベルで策定することによる、 地域の水環境管理の強化 c )政策立案のための科学的根拠の強化・改善。たとえば、限られた予 算内で実施する効果的な水質モニタリング、データ保管体制の改善 d)水汚染源管理の強化。たとえば、適切な生活排水処理の促進や 水質総量規制制度の導入  e )水質管理への汚染者負担原則の導入、法令遵守のインセンティブ として市場メカニズムの活用 f )水環境管理に従事する国、地域レベルの組織の機関的・技術的な 能力開発の推進 g)水環境保全への民間企業、市民、コミュニティの参加促進と環境意識の 啓発 気候変動の影響への準備 9. 地域を脅かす中・長期的な課題の一つとして、気候変動が水環境に与える影響が挙げられる。 気候変動による水環境への影響に関する科学的な根拠には不確実な点も多いものの、水質モニタリン グの徹底やデータ収集・交換体制を改善するなど、「後悔しない対策」を取り、気候変動の影響に備える 必要がある。国際的及び地域的レベルにおいては、科学的知見や取り得る適応策の知識共有も同様に 重要である。

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生活排水管理強化 10.ミレニアム開発目標として定められた衛生に関する目標を達成す るためにWEPAパートナー国が尽力した結果、し尿処理に関す る取組みは促進された。しかしながら、生活雑排水による水環境 の汚濁負荷も相当量に上るため、生活雑排水処理はし尿処理に 併せて推進されるべきである。 11. WEPAパートナー国では、特に都市部で中央集中型排水処理施 設の建設計画がある、もしくはすでに建設を行ってきたが、多くの 国ではそのような大規模なシステムの運営に際し、開発段階における建設用地の確保や高額な開発コス トに起因する財政難、維持管理についても低接続率やコスト回収など、様々な問題を抱えている。 12. 一方、下水処理施設未普及地域では、一般的に腐敗槽による処理が行われているが、処理が必ずしも 適切に行われていないため、これらが汚染源となっているケースもある。アジア地域の生活排水処理推進 における共通課題は2つある。まずは、中央集中型下水処理システムの建設・運営に係る課題をどう解決 するか。2つめは、下水処理未普及地域に対し、いかに生活排水処理対策を推進し、適正に汚水を処理 するか、である。 13. WEPAパートナー国は、各国独自の社会・経済的な制約条件のもと生活排水処理を促進してきた。その 過程において、人口密度や水環境の変動性などの地域特性を考慮に入れながら処理施設を必要とする 地域の優先順位のつけ方を学び、小規模処理施設を開発し、既存インフラの機能を向上させ遊休空間 を活用し、民間企業やコミュニティの生活排水処理・管理への積極的参加を推進するなど様々な経験を 積み重ねてきた。WEPAパートナー国にとって、このようなグッドプラクティスを共有し、他の地域への応用 について議論することが不可欠である。 今後のWEPA活動 14. WEPAは、先に掲げたアクションリストを念頭に置きつつ、WEPA データベースや政策対話などのWEPAの事業活動を通じて、参 加国間の知識や経験の情報交換の推進に継続的に取り組む。 また新しい試みとして、WEPA 参加国の知識共有をさらに一層 強化するために、似たような政策課題を持つWEPA参加国を集 めて行う課題別グループ討議の開催や、参加国同士のツイニン グ事業を計画している。そのほか、河川流域管理の重要性も踏ま え、アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)など、WEPAと志 を分かち合うネットワークや事業との連携をさらに強化していく。

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謝辞

カンボジア Sokha Chrin* 環境省技術局 副局長 中国 Chen Gang* 中日環境保護センター シニアエンジニア Guo Jinlong 環境保護部汚染控制司 副部長 Li Ruijuan 中日環境保護センター プロジェクトマネージャー Xie Yufeng 環境保護部南京環境科学研究所 研究助手 インドネシア

Dionysius Johny Kusmo* 環境省環境データ情報局 次官補 Maulyani Djajadilaga 環境省データ管理部 部長 Harimurti 環境省データ収集部 副部長 ラオス Souphasay Komany* 天然資源環境省水資源局ナムグム流域委員会事務局 局長代行 Phengkhamla Phonvisai 天然資源環境省汚染管理局 局長 日本 吉田 延雄 環境省水大気環境局水環境課 課長 若公 崇敏 環境省水大気環境局水環境課 課長補佐 大山 修 環境省水大気環境局水環境課 係長 WEPA 事務局は、本書作成にあたって多大な貢献と建設的なご助言、並びに多くのご支援をいただいた WEPAパートナー国の担当者及び協力提供者の方々、また多大なご指導と貴重なご意見をいただいたWEPA 国内検討委員会委員の方々に対し、厚くお礼申し上げます。 韓国 Taegu Kang* 国立環境研究院(NIER)水環境研究局 水環境管理研究部水環境情報センター 上席研究員 ミャンマー Tint Zaw* 農業灌漑省灌漑局 副局長 Khon Ra 農業灌漑省灌漑局水文課 課長 Mu Mu Than 農業灌漑省灌漑局事業計画課 マレーシア

Baba Bin Hassan

天然資源環境省(NRE)排水水文局水源部 事務部長 Ahmad Jamalluddin Shaaban*

天然資源環境省水文研究所(NAHRIM) 所長 Pauziah Hanum Abdul Ghani

天然資源環境省水文研究所(NAHRIM) 水質環境研究センター 上級研究員 Wan Abd Rahim Bin Wan Abdullah エネルギーグリーンテクノロジー水資源省下水管理局 副局長(企画開発)

Hoo Huey Ching

天然資源環境省水文研究所(NAHRIM) 水質環境研究センター

Bashirah binti Mohd Fazli

天然資源環境省水文研究所(NAHRIM) 水質環境研究センター 研究員 ネパール Gautam Rajkarnikar* 水エネルギー委員会事務局コシ流域管理部 部長 * WEPAメンバー国のフォーカルポイント 所属、役職は、2012年1月現在のものです。

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フィリピン Vicente B. Tuddao Jr. 天然資源環境省河川流域管理室 室長 Marcelino N. Rivera Jr. 天然資源環境省環境管理局水質管理課 課長 Erlinda A. Gonzales* 天然資源環境省環境管理局 技術員 Mark Mulingbayan マニラウォーター環境部 部長 スリランカ R.M.S.K. Ratnayake* 中央環境庁 課長(環境汚染防止) Himali Karunaweera 中央環境庁 主任補佐(環境汚染防止) タイ Wijarn Simachaya 天然資源環境省 監査官 Thiparpa Yolthantham* 天然資源環境省汚染管理局内陸水管理課 課長 ベトナム

Nguyen The Dong*

天然資源環境省ベトナム環境庁 副長官 Do Nam Thang

天然資源環境省ベトナム環境庁環境管理科学院(ISEM) 副院長

Pham Thi Nguyet Nga

天然資源環境省ベトナム環境庁国際協力科学技術部(ISD) WEPA国内検討委員会 鈴木 基之 東京工業大学 監事 東京大学 名誉教授 環境省中央環境審議会 会長 岡田 光正 放送大学 教授 寶 馨 京都大学防災研究所(DPRI) 教授 福士 謙介 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S) 准教授 風間 聡 東北大学大学院工学研究科 教授 WEPA事務局は、本書作成において貴重なご意見を いただいた以下の専門家の方々にも謝意を表する。 山本 和夫 東京大学環境安全研究センター 教授 平石 尹彦 IGES 上級コンサルタント (IPCC国別温室効果ガスインベントリータスクフォース 共同議長)

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略語

ADB Asian Development Bank

アジア開発銀行

AMDAL Environmental Impact Assessment Statement

環境影響評価(インドネシア) BOD Biochemical Oxygen Demand

生物化学的酸素要求量 CBS Central Bureau of Statistics

中央統計局(ネパール)

CEA Central Environment Authority

中央環境庁(スリランカ)

CNMC Cambodia National Mekong Committee

カンボジア国内メコン委員会 COD Chemical Oxygen Demand

化学的酸素要求量

CRMP Coastal Resource Management Project

沿岸資源管理事業(スリランカ)

CWTPs Combined Wastewater Treatment Plants

複合排水処理施設

DAO DENR Administrative Order

環境天然資源省令(フィリピン) DA Department of Agriculture

農業省(フィリピン)

DDA Department of Development Affairs

開発局(ミャンマー)

DDCs District Development Committees

地区開発委員会(ネパール)

DENR Department of Environment and Natural Resources 

環境天然資源省(フィリピン)

DHM Department of Hydrology and Meteorology

環境省気象局(ネパール) DKI Special Capital City District

ジャカルタ首都特別州 DO Dissolved Oxygen

溶存酸素

DoE Department of Environment

環境局(マレーシア)

DoEPC Department of Environmental Pollution Control

汚染管理局(カンボジア)

DoNRE Department of Natural Resources and Environment 

天然資源環境局(ベトナム)

DWSS Department of Water Supply and Sewerage

水供給・下水局(ネパール)

EIA Environmental Impact Assessments

環境影響評価

EMB Environmental Management Bureau

環境管理局(フィリピン) EPA Environment Protection Act

環境保護法(ネパール)

EPL Environmental Protection Law

環境保護法(ラオス)

EQA Environmental Quality Act

国家環境保全推進法(タイ)

EQS Environmental Quality Standards

環境基準(日本)

FAO Food and Agriculture Organization

国連食糧農業機関 GB National Standards

国家基準(中国)

GB/T Recommended Standards

地下水質基準(中国)

GDP Gross Domestic Product

国内総生産

ICIMOD International Centre for Integrated Mountain Development

国際総合山岳開発センター(ネパール) IETS Industrial Effluent Treatment Systems

産業排水処理システム(マレーシア)

IGES Institute for Global Environmental Strategies

地球環境戦略研究機関

IMF International Monetary Fund

国際通貨基金

IPCC Intergovernmental Panel on Climate Change

気候変動に関する政府間パネル

ISES Industry-Specific Effluent Standards

産業別排水基準(フィリピン) IWK Indah Water Konsortium

インダ・ウォーター・コンソーシアム(マレーシア) LGUs Local Government Units

地方自治体(フィリピン)

LLDA Laguna Lake Development Authority

ラグナ湖開発公社(フィリピン) LSGA Local Self Governance Act

地方自治法(ミャンマー)

MBAS Methylene Blue Active Substances

界面活性剤

MDG Millennium Development Goal

ミレニアム開発目標

MENR Ministry of Environment and Natural Resources

天然環境資源省(スリランカ)

MEP Ministry of Environmental Protection

環境保護部(中国)

MLIT Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism of Japan

国土交通省(日本)

MoAIMD Ministry of Agriculture, Irrigation and Mahaweli Development

農業灌漑マハヴェリ開発省(スリランカ)

MoCT Ministry of Construction and Transportation

建設交通部(韓国)

MoE Ministry of Environment

環境省(カンボジア、インドネシア、韓国) MoEJ Ministry of the Envrionment of Japan

日本国環境省

MoNRE Ministry of Natural Resources and Environment

天然資源環境省(ラオス、タイ、ベトナム)

MoSTI Ministry of Science, Technology and Innovation

科学技術革新省(マレーシア) MoU Memorandum of Understanding

覚書

MoWRAMMinistry of Water Resources and Meteorology

水資源気象省(カンボジア)

MPWT Ministry of Public Works and Transport

公共事業運輸省(ラオス) MRC Mekong River Commission

メコン河委員会

MWQCS Marine Water Quality Criteria and Standards

海洋水質に係る基準及び規格(マレーシア) MWR Ministry of Water Resources

水利部(中国)

MWSS Metropolitan Water Works and Sewerage System

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NAA Non-Attainment Areas

未達成地域

NCEA National Commission for Environmental Affairs

国家環境問題委員会(ミャンマー)

NCSD National Council for Sustainable Development

持続可能な開発国内評議会(スリランカ) NEB National Environmental Board

国家環境委員会(タイ)

NGO Non Governmental Organization

非政府組織

NLMA National Land Management Authority

国有地管理庁(ラオス)

NRE Ministry of Natural Resources and Environment

天然資源環境省(マレーシア)

NSDW National Standards for Drinking Water

国家飲料水基準(フィリピン) NSO National Statistics Office

国家統計局(フィリピン)

NTNC National Trust for Nature Conservation

自然保護ナショナルトラスト(ネパール) NWP National Water Plan

国家水計画(ネパール)

NWQS National Water Quality Standards

国家水質環境基準(マレーシア)

NWS&DB National Water Supply and Drainage Board

国家給水排水公団(スリランカ)

ONEP Office of Natural Resources and Environmental Policy and Planning

天然資源環境政策計画局(タイ) PCAs Pollution Control Areas

汚染防止地域

PCB Polychlorinated Biphenyl

ポリ塩化ビフェニル

PCD Pollution Control of Department

公害規制局(タイ) PCE Perchloroethylene

ペルクロロエチレン PD Presidential Decree

大統領令(フィリピン)

pH Power of Hydrogen (hydrogen-ion concentration)

水素イオン指数

PPP Polluter Pay Principal

汚染者負担原則

PRC People’s Republic of China

中華人民共和国 RA Republic Act

共和国法令(フィリピン)

RBIMS River Basin Integrated Information Management Systems

河川流域の統合情報管理システム(フィリピン) ROK Republic of Krea

大韓民国

SEPA State Environmental Protection Administration, China

国家環境保護総局(中国) SLS Sri Lanka Standards

スリランカ標準規格

SMEs Small and Medium Enterprises

中小企業

SOEs State Owned Enterprises

国有企業

SSD Sewerage Service Department

下水道事業局(マレーシア) TCE Trichloroethylene

トリクロロエチレン

TCVN National Environmental Standards

ベトナム国家基準

TMDLs Total Maximum Daily Load System

総合最大負荷量規制 TMS Tele-Monitoring System

水質遠隔モニタリングシステム(韓国) TN Total Nitrogen

全窒素

TOC Total Organic Carbon

全有機炭素 TP Total Phosphorus

全リン

TPLCs Total Pollutant Load Control System

総量規制制度

TSS Total Suspended Solids

全浮遊物質

TSGL Tonle Sap Great Lake

トンレサップ大湖

UKL-UPL Environmental Management Effort and Environmental Monitoring Efforts

環境管理及びモニタリング活動(インドネシア)

UNDESA United Nations Department of Economic and Social Affairs

国連経済社会局

UNDP United Nations Development Programme

国連開発計画

UNEP United Nations Environmental Programme

国連環境計画

UNESCO United Nations, Educational, Scientific and Cultural Organization

国連教育科学文化機関

UNICEF United Nations Children’s Fund

国連児童基金 VAT Value Added Tax

付加価値税

VDCs Village Development Committees

村落開発委員会(ミャンマー)

VEA Vietnam Environment Administration

ベトナム環境庁

VOC Volatile Organic Compounds

揮発性有機化合物

WCP Wastewater Charge Programme

排水料金徴収プログラム(スリランカ) WDI World Development Indicator

世界開発指標

WECS Water and Energy Commission Secretariat

水エネルギー委員会事務局(ネパール) WEPA Water Environment Partnership in Asia

アジア水環境パートナーシップ WHO World Health Organization

世界保健機構

WQC Water Quality Criteria

水質基準(インドネシア) WQI Water Quality Index

水質指標

WQMA Water Quality Management Areas

水質管理地域

WQMAP Water Quality Management Action Plan

水質管理行動計画(フィリピン)

WREA Water Resources and Environment Administration

水資源環境庁(ラオス)

WRUD Water Resources Utilization Department

水資源利用局(ミャンマー) WWF World Wide Fund for Nature

世界自然保護基金

YCDC Yangon City Development Committee

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1. はじめに アジア水環境パートナーシップ(WEPA)は、13のパー トナー国における水環境管理問題の解決を目的に設置 された。汚染を撲滅し、水質を改善しようとする努力が 行われてきたにも関わらず、依然として水質汚濁はパー トナー国における深刻な環境問題の一つであり、社会経 済発展等を背景に、一部の地域、特に都市部において 深刻な問題となっている。各国重要地域における水質 汚濁の脅威に立ち向かい、また、他の地域に同様の問 題が起きないよう政策・対策を講じてきた。 パートナー国の水環境管理の状況は、水質汚濁が問 題となった時期、深刻度、原因、社会経済的な背景など の要因により異なるものの、汚染源対策などについては、 基本的かつ共通した対策が存在する。それ故に、水環 境管理の状況をレビューし、各国がどのように問題解決 を図ってきたか、また、パートナー国間でどのような共通 の課題があるのかを検討することは大変有益なことであ る。 本章は、第 3 章で取り上げられている各国の水環境 管理の概観をもとに、WEPAパートナー国の水環境管 理の状況と課題を横断的に整理し、パートナー国間の 共通の課題を明らかにすることを目的とする。 2. WEPAパートナー国における  水環境管理の枠組み 本セクションでは、各国の水環境管理の枠組みについ て以下の4つの視点で整理する。 1)目標(目的)達成に必要な水環境管理の法・規制の枠 組み 2)枠組みを実施し、遵守を確保するための施策、 3)1)及び 2)に関する政策効果を測る手段としての環境・ 排水モニタリング、 4)その他、実施(遵守)確保や施策改善のために必要 な事項。

WEPAパートナーの水環境管理の概況

第1 章

各国が抱えている水環境汚染問題の種類や規模か ら、枠組みの進展状況は当然変わってくる。よって、ここ では各国の進展を比較・評価することは意図せず、各国 の進展を概観することに焦点を置く。 また、ここで扱うのは枠組みの概況であり、枠組みの 実施状況やその効果については原則的に検討の対象と していない。具体的な課題や改善に必要な知識につい ての検討は、今後WEPAのスキームの中で実施する予 定である。 水環境管理に関する法律、政策、戦略 1)保護目標の設定 ほとんどのWEPAパートナー国で、持続可能な開発 の基盤として、人間の健康、安全な生活環境、環境保 全を目的とした基本的な環境法が整備されている。こ れらの目的は、水環境管理に関しても適用されている。 ミャンマーには、環境保護に関連する法律や規則はあ るものの、環境保全や公害防止に特化した法規制は ない。 水質汚濁防止のための個別法(水質汚濁法や特定 の公共水域を保全するための法律)を定めている国 の中には、水環境を守る目的をさらに詳しく規定してい る国がある。 2)水質環境基準の設定 水質環境基準は、行政目標として「守るべき水質」の 程度を表したものである。 - WEPAパートナー国のうち、ほとんどの国で河 川の水質環境基準を設定しているが、地下水に ついては設定している国の数が減少する。 - 表流水及び/又は地下水の水質環境基準が設 定されていない国では、一般的に飲料水質基準 をもとに水質の状況が評価されている。 - 2011年12月現在、公共水域における水質環境基 準が設定されていない国は、ミャンマー、スリランカ

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水質環境基準 備考 表流水 地下水 海洋・沿岸 カンボジア 中国 飲料水源となっている河川については追加項目がある。 インドネシア 日本 *1 生態系保全のための項目が生活環境基準に含まれている。 韓国 etc. * 2 生態系のための基準・生物学的特徴が定められている。 *3 地下水基準について、農業用利用、工業用利用に対して 異なる基準が定められている。 ラオス マレーシア ミャンマー ネパール 利水別に基準が定められている。レクリエーション、生態系保全のための基準がある。 フィリピン 表流水に関しては、有害物質とその他のパラメータの2種類の環境基準が設定されている。 スリランカ 現在、水質環境基準案の承認待ち。 タイ ベトナム 表1.1. 環境基準の種類 であるが、いずれの国でも基準設定に向けた準備 が進められている。 - スリランカでは中央環境庁が暫定の水質環境基準 を設定しており、飲料水基準と同様に水質の評価 に利用している。 環境基準は、複数の保全目標にあわせ2種類以上の 基準を持つところと、一律に設定されている国がある。 下表は、各国の水質環境基準の設定状況を整理した ものである。 * 表流水=河川と湖沼 人間の健康 生活環境 生態系/生物多様性 一律 その他 etc. *3 *1 *2

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3)水環境管理のための戦略・計画の策定 中国、インドネシア、韓国、ベトナムでは、政策目標 を正しく評価するツールとして時限付きの特定の目 標を定めている。 スリランカやタイでは、数値目標はないが、具体的な 目標年度を定めた国家水環境計画/戦略を定めてい る。 汚濁負荷の総量規制制度のもとで、特定の対象水 域に対する時限付きの特定の目標を定めるケース もある。(日本では、水環境管理に関する特定の計 画はない。) これらの計画/戦略が実施されるかどうかは、予算 措置が確保されているかどうかにかかっている。 実施・遵守確保のための枠組み 1)排水基準の設定 ほとんどの国で排水基準が設定されている。排水基 準が唯一設定されていないミャンマーについては、ヤン ゴン市が独自の排水基準を設定しており、また国レベ ルの排水基準設定に向けた検討が進められている。 - 業種別の産業排水基準を設定しているのは、中国、 ラオス、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナムである。 - カンボジアでは、環境・生態系保全に重要な地域で は、環境省が独自の排水基準を設定できるように なっている。 - 中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、スリランカは 2000年代後半に排水基準の改訂を行い、規制強 化、基準の明確化を図っている。(但し、スリランカは 現在、新たな排水基準の承認待ちとなっている。) - 日本、韓国では、汚染物質の濃度による規制に加 えて、特定の水域に関し総量規制制度が導入され ている。 2)遵守違反に対する立ち入り及び権限罰則規定 排水基準が設定されている国においては、不遵守が 発覚した場合、行政による指導が行われ、その指導 に従わない場合に罰則規定が課せられる仕組みと なっている。 インドネシア、日本、ベトナムでは、ここ数年の間に排水 基準の不遵守や排水水質の記録の義務等に関する 規定が強化された。 水質・排水モニタリング 1)水質モニタリング ネパール、ミャンマー、スリランカでは、現在、灌漑や飲 料水といった特定の目的のために、プロジェクトベース での水質モニタリングが実施されている。他の国は、 モニタリング地点数、水質項目、頻度に違いはあるも のの、水質モニタリングを定期的に実施している。 - WEPAが2009 年度に実施した調査によれば、河 川の水質データを10年以上に渡って保有している 国は、日本、韓国、マレーシア、タイのみである。(2.2 章表2.2.6を参照) 2)排水モニタリング 汚染源や排水処理施設の所有者が排水の水質をモ ニタリングする義務を負っているが、すべての国でモ ニタリングが包括的になされているわけでもなければ モニタリング結果が所定の機関に提出されていないこ ともある。 - カンボジア、スリランカでは、違反の疑いがある事業 者に対して中央政府が排水のモニタリングを実施し ている。 - 韓国では、大規模事業者(下水道を含む)に対し、 排水のテレメーターシステムが導入され、一括的な データ管理が進められている。 - マレーシアでは、事業者がオンラインで排水水質を 報告するシステムが導入され、事業者主体の排水 モニタリングの推進を促進している。 - 日本では、2010 年の水質汚濁防止法の改正によ り、排水モニタリング結果の記録保持が義務付け られた。

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3)水質データ保管・維持・評価 水質モニタリング結果は、モニタリング実施機関によっ て保管されているのが通例であるが、そのデータは特 に定められたフォーマットによって補完されていない。 - WEPAの2009年度の調査によれば、水質データを 保管しているその他の機関からの情報を入手し、共 有することが困難な場合が多い。(2.2 章、p.48を 参照) 遵守確保や違反是正に関連するその他の事項 1)水質モニタリングの結果の公開 多くのパートナー国で、年度毎に水質モニタリグの結 果が整理・公表され、政策評価が行われている。 - 多くの国で、年に一度、環境報告書(環境白書)等 で水質の状況が公表されている。ウェブサイトで環 境報告書が入手できる国は、中国、日本、韓国、マ レーシア、タイ、ベトナムである。 - モニタリングの結果を公表する際の形式は各国で 異なる。水質の状況を示す水質インデックスを利用 しているのは、中国、マレーシア、タイである。水質 インデックスの計算方法は、国によって異なる。日 本、韓国、フィリピン、ベトナムは、たとえば有機汚濁 に対しては、生物化学的酸素要求量(BOD)や化 学的酸素要求量(COD)等の特定のパラメータで 年ごとに水質を評価している。 - 中国、韓国、タイなどでは、ウェブサイトなどで連続 観測地点からアップロードされたリアルタイムの水 質の状況が確認できるシステムを持つ。日本などの 他国では同様に、よりきめ細やかな情報をウェブサ イトで確認することができる。 2)水環境政策の見直し(レビュー) 政策の見直しについては、各国の情報が十分に収集 されていないが、具体的な政策見直しのサイクルを明 らかにしている国はない。 - 但し、期限付きの政策や戦略を持つ国については、 程度の差はあれ、その周期に合わせて政策の評価 と見直しが行われている。 3.水環境管理の進展と課題 過去10年間の水環境管理の進展 すべてのパートナー国で、過去10年の間に水環境管 理システムを強化する試みが図られている。各国にお ける主な進展を表1.2にまとめる。 2000年以降の動きの特徴としては、大きくわけて次の 3つが挙げられる。 1)水基準の設定や改正、排水課金の導入などの排 水管理の強化 2)水質保全の側面を含む流域管理のための枠組み の導入 3)生態系保全への配慮 また組織的には、省庁再編で新たに設置された省(多 くは天然資源環境省)のもと、水資源担当部局と水質 汚濁対策担当部局を同じ省庁下に置いた国も多い (マレーシア、タイ、ベトナムなど)。2011年にはラオス、 ミャンマーで新たに環境保全を扱う省が設置されてい る。 特に、カンボジア、ラオス、スリランカ、ベトナムなど、比 較的新しく1980年代頃から水環境保全の取り組みを 始めた国においては、枠組み構築や実施に向けた取 り組みが着々と進められている。 また、中国、日本、韓国、マレーシア、タイなど、これまで 水環境保全対策を進めてきた国においては、具体的 な問題に対する取り組みを通して水環境保全対策を 進めてきている。 WEPAパートナーの中には、2011年、深刻な災害被 害を被った国がある。そのうち、日本とタイの水環境 管理分野における災害後の対応についてコラム1.1 及び1.2に示す。

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年 組織面での主な進展 法整備面での主な進展 2000 国家環境法の改正(スリランカ) 2001 環境省設置(環境庁から昇格)(日本) 2002 (タイ、ベトナム)省庁再編の一環として、天然資源環境省を設立 環境政策基本法の改正(韓国)国家環境政策の承認(マレーシア) 2003 水系生態系保護の観点から亜鉛を水質環境基準項目に追加(日本) 環境管理政策の制定(ネパール) 国家環境管理政策(スリランカ) 2010年までの環境保護に関する国家戦略及び2020年に向けての展望の策定(ベトナム) 排水に対する環境保護負担金の導入(ベトナム) 2004 (マレーシア)省庁再編の一環として天然資源環境省設立 総合最大負荷量規制(TMDLs)の導入(韓国) クリーンウォーター法の改正(フィリピン) 水資源の探査・利用・使用及び排水放流許可に関する政令(ベトナム) 2005 化学物質基準の追加(韓国) 国家水環境マスタープラン(2006-2015)の承認(韓国) 国家水政策の導入(ネパール) 環境保護法の改正(ベトナム) 2006 16の中期水質汚染防止計画の導入(中国) 35の主要河川における定期モニタリング開始(インドネシア) 湖沼水質保全特別措置法の改正(日本) 3つの主要河川流域における流域管理プロジェクトの承認(ベトナム) 2007 水資源管理法の制定(カンボジア) 水質保全法を改正し(水質及び水生態系保全法に改名)、生態系保全を強調(韓国) 水質及び水生態系保全法、並びに同施行令の改正(韓国) 国家排水基準の承認(ラオス) 2020年までの天然資源及び環境モニタリングに関する国家総合計画の承認(ベトナム) 2008 環境保護部(MEP)を設置。国家環境保護総局 (SEPA)から昇格(中国) ベトナム環境庁(VEA)を設立(ベトナム) 排水基準の改定(2008-2011)(中国) 中央政府による定期的な水質モニタリングの開始(カンボジア) 排水基準の新設(スリランカ) 海洋汚染防止法の制定(スリランカ) 表流水・沿岸水・地下水基準の改定(ベトナム) 排水基準の改定(2008-2010)(ベトナム) 地下水環境基準の設立(ベトナム) 流域管理に関する政令120/2008/ND-CPの承認(ベトナム) 2009 国家環境法の改正(実施の強化、特に汚染源の規制強化が目的)(インドネシア) 排水基準の改定(マレーシア) バグマティ行動計画の承認(ネパール) 新国家環境政策及び同行動計画の承認(スリランカ) 水域の類型化を開始(フィリピン) 2010 汚染物質削減目標を盛り込んだ中期開発計画(2010-2015)の導入(中国) 水質事故・排水管理への対応を目的とした水質汚濁防止法の改正(日本) オンライン排水登録制度の導入(マレーシア) 排水処理システム排水基準の設置(タイ) 2011 天然資源環境省を設立(ラオス)環境保全・森林省を設立(ミャンマー) 第12次5カ年計画(2011-2015)地下水の水質管理強化を目的とした水質汚濁防止法の改正(日本)(中国) 表1.2. WEPA諸国における2000年以降の水環境管理の主な進展

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 2011年3月に発生した東日本大震災及び地震に伴う津波の発生により、多くの尊い人命をはじめとする甚大な被害が発 生した。また津波による福島第一原子力発電所の事故により、環境中に広く放射性物質が放出されるという未曾有の環境 汚染が引き起こされた。ここでは主に水環境に関連する影響等について紹介する。 水環境に関連する影響と対応 【生活排水処理施設の被災及び迅速な復旧】 岩手県、宮城県、福島県の沿岸部を中心に下水処理場が津波により被災し、48の処理場が稼働を停止するなど甚大な被 害を受けたが、その後の迅速な復旧により、稼働停止中の処理場は、16カ所まで減少し(2011年12月1日現在)、うち14カ所 については、応急的な処理を実施している。 今後も簡易処理を段階的にレベルアップさせるとともに、従前の機能を回復させ、再度災害防止を目的とした本復旧の 早期の完了を目指している。 一方浄化槽については、被災の3県のうち被害が大きかった地域のサンプル調査を行った結果、全損が3.8%、応急修理 の必要があるものが約28%であり、残りの68%は特段の修理を必要としない状況であった。また仮設住宅の生活排水処理 の約6割に浄化槽が活用された。 【有害物質等の緊急調査】 平常時は各自治体等において有害物質等の常時監視が行われている。しかしながら、東日本大震災の被災地広域にわた り、有害物質の公共用水域・地下水への漏出等により、国民の健康への悪影響や生活環境の悪化が懸念されたため、環境 省では、5月下旬から7月下旬にかけて、地震や津波により甚大な被害を受けた地域の河川、海域、地下水の水質について、 環境基準項目、ダイオキシン類の調査を緊急的に実施した。 現在のところ、震災の影響により、被災地の環境が著しく汚染されている状況は確認されなかったが、環境基準値を超過 する有害物質が検出された地点については、自治体等における継続監視を注視するほか、地下水については井戸の所有者 に対して飲用指導等を行うとともに周辺井戸の追加調査を実施するなど、関係自治体等と連携した対応を行っている。 放射性物質のモニタリング 原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性物質による環境汚染に対して、環境省は5月末から7月末にかけ て、水環境中(河川・湖沼、水源地、海水浴場等沿岸)・地下水の放射性物質濃度のモニタリングを実施した。また8月には、 放射性物質のモニタリングを確実かつ計画的に実施するため「モニタリング調整会議」が設置され、水環境については環 境省とりまとめのもと、福島第一原発を中心としたおおむね100km圏内を目安に、公共用水域・地下水の放射性物質の水 質等の測定を行うとともに、福島県沖から岩手県沖の放射性物質濃度の測定を実施することとしており、8月下旬より一部 調査を開始した。 これまでの調査では、水質については、ほとんど不検出であるものの、底質からは高い数値が計測されており、今後、放射 性物質の除染作業が本格化していく中で、水環境中の濃度が高くなる可能性もあるため、その動向をしっかり把握しておく ことが必要である。 (環境省提供情報) コラム 1.1. 東日本大震災を受けた水環境に関連する影響

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タイは、2011年5月中旬にチャオプラヤ川上流域から 始まり、10月~ 11月には下流域のバンコク首都圏地域 (Bangkok Metropolitan Area - BMA)で洪水や水質汚濁 といった影響をもたらした、深刻な洪水危機に直面した。 この現象は、モンスーン時期の過剰降水により、前年より も高位となった水量がもたらしたものである。春の大潮と 建造物のため、バンコク北部、東部、西部を含むチャオプ ラヤ川流域に水が滞留し、タイ湾に流れ込むことができ なかった。それゆえに、バンコク平原の多くの地域で洪水 の危険性が高まった。 この洪水危機への対応として、タイ政府は 10月の初 めに洪水救済オペレーション・センター(FROC )を設立し た。F R O C の主な業務は、関連機関と連携し、できるだけ 早くタイ湾に水を捌けさせ、タイの政治と経済中心である BMAへの影響を防ぐことにあった。 これらの努力のおかげで BMAは深刻な洪水被害を回避 することができたが、バンコク北部地域は長期間にわたっ て洪水の被害を被った。これらの地域では、住宅や財産 への被害の他、衛生設備への被害や管理されていない固 形廃棄物等による汚染により、生活環境に深刻な被害が 及んだ。 洪水に見舞われた期間、流下能力が 3,000m3のチャ オプラヤ川に4,040m3もの水が流れ込んだ。すなわち、 100億m3の淡水が短期間にタイ湾に流入し、特に東部の 湾の塩分濃度を著しく低下させた。その結果、ムール貝 の養殖産業に損害が出る等の影響が生じた。 2011 年 12月初旬には沿岸部の海水塩分濃度は回復 の兆しを見せ、通常の濃度レベルに戻った。環境研究・研 修センターが、バンコク近隣の6県で溶存酸素(DO)のモ ニタリングを実施したところ、パトムタニ、チャチューンサ オ、ナコーンナヨックで 2 mg / L以下との結果が得られた。 これは、農地から流出する水に加えて、生活排水や固形廃 棄物が流れ込んだことによって生じたものであると考えら れ、広い地域で川の魚や養殖魚のへい死が確認された。 塩分とD Oに加えて、漁業局、海域沿岸資源局、汚染管 コラム 1.2. 2011年のタイ大洪水と水環境 理局が大学の専門家と共同で有害金属と栄養塩について 調査を行った。その結果、潜在的な固定汚染源付近のサ ンプリングで国の基準を超える重金属は検出されなかっ た。また、タイ湾における栄養塩類の状態は、2010 年 データと変わりなかった。しかし、地上の栄養塩の大規模 な流入により、珪藻が急増した。 タイ政府はこの洪水危機からの貴重な教訓を学ぶこと となった。例えば、水資源管理の重要性や、排水、洪水に よって引き起こされる水質汚濁を防止し、緩和するための 水汚染源対策の重要性である。国内及び国際的な信頼を 回復するには、問題を解決し、再生に向けた対策をタイ 政府が打ち出すことが必要である。最近、タイ政府は、「救

助、復元、及び再構築(Rescue, Restore, and Rebuild)」と 命名された3つの項目を同時に実施する国家再生に向け た国家計画を打ち出した。 また、復興計画を実施するために、2つの委員会が立ち 上げられた。「復興及び将来の開発に向けた戦略計画委員 会(SCRF)」と「水資源管理戦略策定委員会(SCWRM)」で ある。両委員会は合同で、長期的な視点で、かつ持続可能 で体系的な方法で自信を鼓舞し、信頼を回復し、国の繁栄 と安定を取り戻すための機会を作ることを目的に活動し ている。両委員会は、復興と国の将来の立て直しに向け て緊密に連携するとともに、国家水資源管理システムを 実施に移すことを目指し活動している。 具体的には、短期的にはSCWRMが洪水の懸念に即時 に対処し、持続可能な水管理分野を考慮した流域の保全・ 復興に力点を置いたガイドラインを整備した。日本の国 際協力機構(JICA)と調整しながら、SCWRMは日本が専門 知識を持つ、将来の水量が正確に予測できるデータシス テムの構築にも責任を負っている。このデータシステムに は、国内の洪水防止と制御に関するタイの能力に関し、国 内の自信を取り戻すだけではなく、海外投資家の信頼醸 成にも役立つことが期待されている。長期的には、流域 の保全及び復元に責任を持つSCRFは、水資源管理のマス タープランに沿って運営を実施する予定である。 (出典:タイ汚染管理局の協力を得て、WEPA事務局が作成)

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4. WEPAパートナー国の共通課題 アウトルックの国別情報(第3章)に記述されている各 国課題は、これまでのWEPAワークショップや年次会合 での発表・討議、各国が公表している報告書に掲載され ている内容に基づいて整理されている。表1.3は、国別 情報に記載されている各国の課題を法制度、組織、遵守 確保措置としての排水管理、モニタリング、その他の事項 でその課題を峻別し、各国毎にプロットしたものである。 法規制・組織 – 規制を実施に移すための詳細な 制度設計や能力開発が求められている 各国では、水環境管理の法的な枠組みが整いつつ あるものの、それを実施に移す又は遵守確保を進める 際に必要な細則の設定やシステム(水域の類型化など) が必要な国も多い。 これに関連し、法的枠組みの強化を課題として挙げ た国のほとんどで排水管理分野において産業排水、生 活排水(集合処理施設)における排水基準遵守を確保 する上での課題をあげており、これは他の課題とも関係 する。主たる汚染の原因である汚水の管理は、水環境 を保全する上での基礎的な事項であり、適切な目標値 の設定、遵守のための仕組み(インセンティブメカニズム の構築)、これに関する技術や能力向上などの上での 支援が必要となっている。 適切な環境モニタリングの実施と データ管理が共通の課題 水環境モニタリングも多くの国で課題となっている。モ ニタリングを実施するためのインフラの不足、担当者の 能力不足に加え、これらを改善するための資金不足が 大きな問題である。 モニタリングに関しては、モニタリング後のデータ管理 も課題となっている。データベースの構築、異なる機関で モニタリングしたデータの共有メカニズムも課題である。 関連機関や関連法との調整は、新たに水環境管理を 強化しようとしている国に共通する課題 水環境に携わる機関間、水資源管理・開発に関連す る機関との間の調整は、長い歴史を持つ課題である。こ の項目を課題として挙げた国(ラオス、スリランカ、ベトナ ム)の多くでは、これから水環境管理を強化しようとして いる国であり、その過程で生じる課題として指摘されて いるものと考えられる。 水質汚濁の原因となる他のセクター、特に土地利用 や廃棄物に関連する法規や機関との調整の必要性を 挙げている国もある。 古くて新しい課題-流域単位での水環境管理 流域単位での水資源管理の動きが各国で進んでい る。この傾向を反映し、流域単位の水質汚濁対策につ いて課題として挙げている国が4カ国あった。これを課 題として挙げていない国でも、すでに流域単位での水資 源管理を進めている国もある(中国、韓国、ラオス、インド ネシアなど)。 将来的な水環境保全対策を考える上で、流域単位 の水質汚濁対策にどのように取り組むかは、重要なトピッ クであると考えられる。また、参加型の視点も重視する 必要がある。 水質汚濁の個別課題 なお、法規制の枠組みや組織の問題以外に、今後の 課題として以下の個別の課題が指摘されている。 - CODの削減(中国、韓国) - 湖沼・富栄養化対策(中国、日本、韓国、マレーシア) - 非固定発生源対策(中国、韓国、フィリピン) - 重金属汚染(中国) - 化学物質汚染(韓国) - 地下水質改善(中国、日本、フィリピン) - 沿岸水質改善(フィリピン) - 社会ニーズへの配慮(日本、韓国)

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5.今後のWEPAの活動に向けて アジア各国の水環境管理の進展を概況した際、 WEPAパートナー国の多くでは、基本的な水環境保全、 公害防止に係る基本的な枠組みがすでにできており、水 質環境基準が行政目標として設定されている。ほとんど の国では、法の実施をさらに推進すべきタイミングにある。 また、各国とも法律の改正や基準値の設定又は改訂 など、各国の状況に合わせた取り組みをしていることが わかった。時限付きの数値目標を掲げて施策の立案、 実施を行っている国も多くあり、より具体的な目標をもった 取り組みが進められようとしていることが分かる。 しかし、具体的な施策を実行に移している国がある一 方で、法・政策の枠組みを実施に移せていない国があ る。そのような国の共通課題として、法規制の施行のた めのより詳細な規定の必要性、施策実施を担当する人 材の育成、モニタリングなどを実施する技術的な能力不 足などが挙げられている。 WEPAでは、各国がそれぞれの施策実施における課 題を明らかにするとともに、ある程度の水環境政策が進 展している国の経験を、これから実施に関するルールや 仕組み作りをしようとしている国に共有できるような仕組 み-例えばツイニングプログラムや課題グループ別ワーク ショップなど-を通じて促進するとともに、水環境保全政 策・制度の進展を定期的にレビューすることで、アジア地 域全体の水環境保全を推進していくこととしている。 カンボジア 中国 インドネシア 日本 韓国 ラオス マレーシア ミャンマー ネパール フィリピン スリランカ タイ ベトナム 政策と 手段 法的枠組み 水域設定 流域単位水質対策 他機関との調整強化 他分野との調整 遵守のためのインセンティブ、 コミュニケーション強化 水質/排水モニタリング実施 データ維持・管理・共有 技術力向上 ステークホルダー参加 財政 個別 課題 社会のニーズに合わせた 対応 COD 湖沼/富栄養化 ノンポイント 重金属 化学物質 沿岸水質 地下水 表1.3. パートナー各国の管理上の課題

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各国の水環境管理の進展状況

各国情報のサマリー [水環境の状況] 概して、表流水の状況は良好である。ここ数年の水質モニ タリングの結果では、カンボジアのBODの環境基準は満た されている。(第3章カンボジア 図3.1.4を参照) 沿岸域、地下水に関する情報は多くないが、沿岸域の水 質は概ね良好、地下水については一部の地域で自然由来 のヒ素汚染の報告がある。 特に乾季における未処理の産業・生活排水の流入や、都 市活動や耕作地などからの汚染物質の流入、土地の開 発事業など、水質悪化を招く要因は多くあり、水環境保全 に向けた努力が必要とされている。 [水環境管理の進展] カンボジアでは、1990年代から環境保全対策の枠組みが 整備され始めたが、2000年以降、その取り組みが徐々に 強化されてきた。 水環境分野では、2007年、水資源管理法が改正され、水 質や生態系の保全についての言及が盛り込まれるととも に、汚染原因となる活動について排水排出許可制が規定 された。 [水環境の状況] 表流水の汚染の状況は、改善されてきているものの未だ 深刻な状況である。特に湖沼の富栄養化が問題となって いる。 沿岸域の汚染状況は一部を除いてまだ軽微である。 下水や廃棄物、農薬や肥料などを原因とする地下水の汚 染状況は概して憂慮すべき状況にある。 [水環境管理の進展] 中国では、国家5カ年計画のもとで水質に関する課題につ いて具体的な数値目標(CODの削減等)を掲げ、対策を 進めてきている。 生活排水・産業部門別の排水基準の設定が行われ、規制 の強化が図られてきた。 現在、環境汚染管理法が環境省のもとで策定中であり、 水質モニタリングの実施のほか、水質・土壌汚染対策に関 する規定が強化される見込みである。 2008年、環境省による定期的な水質モニタリングが開始さ れた。同モニタリングプログラムの下では、水温、溶存酸素 (DO)、BODなどの基本項目について、水環境の状況の 把握強化が進められている。 [水環境管理の課題] 法的枠組みの更なる強化(より詳細な規則の設定) 水質モニタリング及び管理を実施するためのインフラ整備 (実験設備や人材の確保、技術力の向上、財源の確保) 遵守を強化するために必要な、関係者間(特に産業界)と の調整機能の強化 現在の水環境管理政策には、従来の汚染管理に加えて、 文化的な側面や生態系の配慮、資源の節約などの側面も 含まれている。 [水環境管理の課題] 飲料水源の水質対策は引き続き、水環境管理対策の優 先課題として認識されている。 その一環として、第12次国家5カ年計画には、全国の飲 料水源の18%を占める地下水の水質汚濁対策が優先課 題の一つとして盛り込まれている。 水質改善に向けて、アンモニア性窒素の排出削減や生活 排水処理の更なる向上が求められている。 カンボジア 中国

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[水環境の状況] 排水処理への投資の結果として、BODでみた水質 は改善した。 他方、COD、TPに関しては、横ばい又は上昇の傾 向を示している。これは事業所における化学物質の 利用、ノンポイントソースに起因するものではないかと 考えられている。 特に乾季における富栄養化問題や化学物質使用に よる地下水汚染なども見られている。 [水環境管理の進展] 4大河川再生事業の下、多くのプロジェクトが実施さ れ、環境用水が確保されることなどにより水質改善 が図られている。 2004年には富栄養化の問題に対処するため、総量 規制制度が導入された。3河川流域でBODを対象 項目として実施されているが、今後、対象水域にハン 河流域を追加、TPを対象項目に追加することが計 画されている。 化学物質対策を進めるため、環境基準の対象物質 が追加されている。 [水環境管理の課題] 汚濁負荷の軽減と生態系の保全の推進のために現 在の対策を確実に進めることが必要である。 ノンポイントソース対策、化学物質汚染対策の強化 が必要である。 社会経済の変化に順応した管理が必要となってい る。 [水環境の状況] かつての激甚な水質汚濁は改善されてきているが、閉鎖 性水域の富栄養化が課題として残っている。 有害物質による土壌や地下水汚染の懸念も生じている。 [水環境管理の進展] 1970年代までに、水質汚濁対策のための法的枠組みが 構築され、その後、状況に合わせて改正を加えながら現 在の対策体系が構築されている。 閉鎖性水域の水質改善にあたっては、1979年から、3水 域で水質総量削減制度が導入されているCODに加え、 2001年から全窒素(TP)・全リン(TN)が削減項目となっ ている)。2011年には第7次総量削減基本方針が示され た。 2010年及び2011年の水質汚濁防止法の改正では、排 出水測定結果の記録の保存義務付けと違反に対する罰 則導入、水質事故時の措置の対象となる物質及び施設 の追加、測定結果の未記録や虚偽の記録等に対する罰 則を創設、また地下水汚染の未然防止対策の強化など が図られた。 [水環境管理の課題] 水質環境基準の達成率が50%程度にとどまっている湖沼 の水質の改善対策の強化 里海の創出など、生物多様性や地域の文化などを考慮し た水環境の保全の推進。 近年の国民ニーズの多様化や少子高齢化・地球温暖化な どの社会情勢の変化等を踏まえた、健全な水循環系の確 保を含めたそれぞれの地域にふさわしい水環境の創生に 向けた取り組みの推進。 [水環境の状況] 人口密集地域を中心とした河川や地下水汚染は深刻な問 題として捉えられている。 クラス2(レクリエーション、養殖、灌漑などの利用に適した 水質)の水質基準を満たすモニタリングポイントの割合を 2004 年と2009 年で比較すると、全国的には若干の改善 がみられるが、ジャワ島やカリマンタン島では悪化の傾向が 見られている。 [水環境管理の進展] 2009年、国家環境保護管理法が改正され、従来の環境 影響評価制度などに加え、汚染源となる産業や活動に対 して環境許可制度の導入、環境許可を得た企業などに環 境修復に係る基金への拠出を義務付けるなど、汚染源の 規制強化及びより総合的なアプローチの導入が準備され ている。 2001年に排水基準が14業種に設定され、これが2005年 までに21業種に増加した。 国家中期開発計画(2010-14年)には、汚濁負荷量50% 削減などの目標が盛り込まれている。 [水環境管理の課題] 新たな規制の施行が現在承認待ちである。 技術的、財政的な実施能力の改善が必要とされている。 汚染源の排水基準遵守のためのインセンティブの創出、ス テークホルダーの参加の促進が水環境管理の改善に必要 とされている。 インドネシア 韓 国 日 本

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[水環境の状況] ミャンマーの表流水の水質は、概して良好な状 況にある。 もし、適切な汚染対策が講じられなければ、今 後の社会・経済発展に伴って、水質汚濁が引き 起こされるのではないかとの懸念がある。 [水環境管理の進展] 水質に関する大きな問題がないこともあり、水環 境保全に関する法規制制度は整備されていな い。環境基準はなく、排水基準については暫定 基準があるのみである。 定期的な水質モニタリングは実施されておらず、 それぞれの利水(灌漑や飲み水)で必要に応じ て実施されている状況である。 [水環境管理の課題] 水質汚濁を未然に防止するための方策の導入 が必要とされている。 そのような方策には、次のようなものが含まれる。 -各利水を担当する省庁や機関などの調整機能 の強化 -灌漑及び工業セクターの水利用の効率化によ る汚濁負荷軽減 -自治体や事業者による水質汚濁の原因となる 下水、廃棄物の管理を強化 -有害な化学物質などを含む肥料の輸入の禁止 -森林保全を通した、土砂流出対策 [水環境の状況] 1970年代から取られてきた水質保全対策の結果、水質の状況 は改善されているが、近年、マレーシアの水質インデックスで「汚 染されている」及び「若干汚染されている」と分類される河川の 割合が微増している。これは十分な排水処理をしていない汚染 源の増加や農業排水によるものであると考えられている。 海・沿岸域の水質の状況は、場所によって異なっているが、TSS や油分、銅、カドミウム、クロムなどが検出されている。 地下水については大腸菌による汚染がすべてのモニタリングポ イントで確認されている。 [水環境管理の進展] 環境管理の枠組みがすでに構築されている。 2009年、排水基準が改められるとともに、排水をモニタリングし、 それを記録、報告することが全ての事業所に義務付けられた。 オンライン報告も導入された。 事業所における排水処理を確実にするため、事業所が排水の 処理プロセスをモニタリングし、その過程で問題点を改善する産 業排水処理システム(IETS)が導入された。また、2010年には、 事業所がオンラインで放流排水水質報告するシステムが稼働し ている。 [水環境管理の課題] 排水処理管理の徹底。各事業所による自主規制の強化を推進 するための施策実施。 流域単位の水質管理の実施。個々の流域の浄化能力や水利 用などを考慮した対策の導入が必要とされる。 現在、行政の水質管理施策が及ばない湖沼や貯水池の水質 管理の検討が必要である。 [水環境の状況] 表流水の水質の状況は良好である。 産業排水に加えて生活排水処理も必ずしも適切に行われ ておらず、都市中心部などで、今後、水質汚濁が問題と なってくる可能性がある。 [水環境管理の進展] 2009年、表流水基準、地下水基準が正式に承認された。 同年、産業部門からの汚染を軽減するため、排水基準が 設置された。 環境保護法の改正案が承認され、現在国会の承認待ちと なっている。改正のポイントは、環境モニタリングと汚染源 への立ち入りに関する条項の強化、戦略的環境影響評価 の導入などである。 2011年の組織改編で、天然資源環境省が設置され、水 資源・環境局が同省に統合された。 [水環境管理の課題] 水質汚濁が大きな課題になる前に、水質汚濁防止対策を 取っていくことが必要となる。 具体的には、都市部における生活排水処理の導入、水質 モニタリングの実施とモニタリング結果の共有メカニズムの 構築、排水排出許可制度の確実な実施などである。 新省庁の設立により、汚染源対策の推進・強化が望まれる ところである。 ラオス ミャンマー マレーシア

図 2.1.1に、WEPAパートナー国の一人当りGDPの 推移を示す。1997年のアジア通貨危機、2008年のリー マンショックで一時期落ち込むが、その後経済が回復 し、順調に成長を続けている。人口増加及び経済発展 の結果、WEPAパートナー国は世界人口の約1/3を抱 え、世界のGDPの約1/4を占めるに至っている。 経済成長とともに基本的なインフラ整備も進んでいる。 図2.1.2に2000年に採択されたミレニアム開発目標中に 掲げられている改善された飲料水源を継続して利用で きる人口の割合及び改善された衛

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