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Ⅲ 研究内容 確かな学力を育成するためには 教師の指導 と 児童 生徒の学び のギャップを教師が認識 する必要がある この研究では,1,2 年の文字式の内容において, 全国調査, 置籍校事前調査の 結果から誤答傾向を把握し, 課題を考察した その中から 計算の対象を理解すること, 考察の 対象を明確

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⑧‐1

文字式における誤答傾向を踏まえた授業改善

三豊市立高瀬中学校 教諭 安岐 明美 研究の概要 本研究では,文字式の内容について全国学力・学習状況調査(以下,全国調査という)と置籍校 事前調査にみられる誤答傾向を踏まえて,これまでの授業を改善するポイントを考察した。指導に 当たっては,文字を数に置き換えて考える活動を意図的に取り入れることに加えて,不十分な表現 や説明を積極的に取り上げ,補ったり訂正したりして,説明を練り上げる活動を取り入れることや 問題解決のプロセスを言葉として板書に残すことなどを重視する必要がある。 <キーワード> 全国学力・学習状況調査 誤答傾向 授業改善

Ⅰ 主題設定の理由

平成 25 年度の全国調査における児童生徒質問紙で,本県では「数学の勉強は好きですか」という 質問には 54.4%,「数学の授業の内容はよく分かりますか」という質問には 70.4%の生徒が肯定的 に回答している。一方で,「数学ができるようになりたいと思いますか」という質問には 90.1%の生 徒が肯定的に回答している。置籍校においても,県と若干差はあるが同様の傾向を示している。こ れらのことから,生徒はできるようになりたいという気持ちをもっているにも関わらず,教師がそ の気持ちに十分応えられるような分かる授業ができていないという課題がみえてくる。 文字式の学習内容は,数学の学習の基盤をなすものとして重要な位置を占めている。中学校学習 指導要領解説数学編では,「文字を用いた式は優れた表現方法であり,式を用いて数量の関係や法則 などを表したり,その意味を読み取ったりして,そのよさを感じ取り,式を積極的に活用できるよ うになることは重要である」1)と記されている。また,言語活動の充実が各教科等を通じて重視さ れており,文字式の指導においても,式に表したり式の意味を読み取ったりしたことをもとに,説 明したり伝えあったりする活動を意図的に設定していく必要がある。 生徒の実態については,全国調査で,文字を用いて関係や法則を式に表したり,文字式の意味を 読み取ったりすることについて,「知識」と「活用」の問題の双方で課題が指摘されており,置籍校 においても同様の傾向が認められる。一方,本県の中学校教員の意識については,平成 24 年度教員 の意識調査で,子どもの学力向上のために教員が身に付ける必要がある資質・能力として,「子ども のつまずき等を把握し,適切に関わる力」を重視していることが報告されている。私自身の指導を 振り返ってみても,生徒の実態把握が甘く,つまずきやすい部分を意識した授業展開が十分できて いなかったという反省がある。そこで,置籍校での事前調査をもとに誤答傾向を把握し,授業改善 に生かしていくことが分かる授業につながると考え,本研究主題を設定した。

Ⅱ 研究方法

○ これまでの全国調査などを参考にして,「文字と式」についての事前調査問題を,選択式・短答 式の形式で作成し,7月に置籍校全学年対象に実施する。 ○ 全国調査,置籍校事前調査の結果をもとにして,誤答の傾向と課題を考察し,授業改善のポイ ントを整理する。 ○ 授業実践を第1学年で行い,授業後の学習の定着状況を調べ,文字式における誤答傾向を踏ま えた授業改善について,成果や課題を考察する。

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Ⅲ 研究内容

確かな学力を育成するためには「教師の指導」と「児童・生徒の学び」のギャップを教師が認識 する必要がある。この研究では,1,2年の文字式の内容において,全国調査,置籍校事前調査の 結果から誤答傾向を把握し,課題を考察した。その中から「計算の対象を理解すること」,「考察の 対象を明確に捉えること」,「式に表すこと」,「式を読むこと」,「文字を用いた説明の意義を理解す ること」について,誤答傾向と課題及び授業改善のポイントをまとめた。

1 誤答傾向と課題の考察

(1) 計算の対象を理解すること

■学習指導要領の内容 〔第1学年〕 A 数と式 (2) 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに, 文字を用いた式の計算ができるようにする。 ア 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。 資料1は,特定の課題に関する調査を参考にした事前調査問題であり,この問題について全国及 び置籍校の反応率をまとめたものである。この問題の趣旨は,「文字に負の数を代入して式の値を 考えることができるかどうかをみる」ことである。誤答については,アの反応率は,置籍校で1年 30.3%,2年 25.4%,3年 23.4%であり,全国の反応率と同様の傾向がみられた。この中には, 「加法は結果が必ず増加する」と思い込んでいたり,「文字のとる値はいつも正の数である」と判 断していたりする生徒がいると考えられる。 この結果から,拡張された数の範囲で式の値を考えることに課題があるといえる。

(2) 考察の対象を明確に捉えること

■学習指導要領の内容 〔第1学年〕 A 数と式 (2) 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに, 文字を用いた式の計算ができるようにする。 ア 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。 下の図のように,1辺にn 個ずつ碁石を並べて正三角形 の形をつくります。 <資料1> 特定の課題に関する調査(平成 17 年度)1年Ⅰ3(2),置籍校事前調査 (1) 1辺に5個ずつ碁石を並 べたとき,碁石全部の個数 を求めなさい。 解答類型 県反応率(%) 置籍校2年 反応率(%) 正答 1 12 個 と解答 61.4 57.9 57.9 ○ 2 15 個 と解答 12.8 10.5 3 13 個 と解答 7.3 11.4 9 上記以外の解答 11.1 15.7 0 無解答 7.5 4.4 【置籍校調査人数:2年 114 人】 「5+a の a にどんな数を代入しても,その 結果はいつも5より大きくなる。」この考えは 正しいですか。 下のア,イの中からあてはまるものを1つ 選び,記号を○で囲みなさい。 ア 正しい イ 正しくない 解答類型 全国反応 率(%) 置籍校反応率(%) 正答 1年 2年 3年 1 ア と解答 21.8 30.3 25.4 23.4 2 イ と解答 77.3 67.4 72.8 75.2 ○ 9 上記以外の解答 0.0 0.0 0.0 0.0 0 無解答 0.8 2.3 1.8 1.5 【置籍校調査人数:1年 132 人,2年 114 人,3年 137 人】

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⑧‐3

資料2は,全国調査と同趣旨の事前調査問題であり,この問題について県及び置籍校の反応率を まとめたものである。この問題の趣旨は,「問題場面における考察の対象を明確に捉えているかどう かをみる」ことである。簡単な状況で碁石の個数を求める問題であるが,正答率は,県で 61.4%, 置籍校2年で 57.9%であった。誤答については,「15 個」の反応率は,県で 12.8%,置籍校2年で 10.5%であり,この中には,式で「5×3」と判断した生徒がいると考えられる。また,「13 個」 の反応率は,県で 7.3%,置籍校2年で 11.4%であり,この中には,「5×3-2」,「5+4+4」 と判断した生徒がいると考えられる。これらの生徒は,1辺の個数が5個のときの正三角形の図が なかったため,図を正確につくることができなかったと考えられる。 この結果から,事象を数学的に考察する場面において,自分で簡単な場合の図をかいたり,それ をもとに数えたりして,考察の対象を正しく捉えることに課題があるといえる。

(3) 式に表すこと

■学習指導要領の内容 〔第 1 学年〕 A 数と式 (2) 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに, 文字を用いた式の計算ができるようにする。 エ 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて表したり読み取 ったりすること。 資料3は,全国調査の問題であり,この問題について県の反応率をまとめたものである。この問 題の趣旨は,「数量の関係や法則などを文字式で表すことができるかどうかをみる」ことである。正 答率は,37.2%であった。誤答については,「ab」,「上記以外の解答」,「無解答」を合わせた反応率 は,50.0%であり,この中には,針金の重さが長さに比例するという関係を捉えられず,1mの重 さを求めるのに除法を使えばよいことを理解できていない生徒がいると考えられる。また,「 」 と「a÷b」を合わせた反応率は,12.8%であり,この中には,除法を使うことは分かっていても被 除数と除数に当たる数を正しく捉えられなかった生徒がいると考えられる。 資料4は,全国調査(小学校)の問題であり,この問題について県の反応率をまとめたものである。 と解答 と解答 a b b a <資料3> 平成 25 年度全国調査中学校A2(3) <資料4> 平成 22 年度全国調査小学校A2(1) b a 8mの重さが4kg の棒があります。この棒の1mの重さは何 kg ですか。求める式と答えを書きましょう。 解答類型 県反応率(%) 正答 (注意)式については,答えの有無や答えの正誤は問わない。 式 答え 1 4÷8 と解答 0.5 と解答 58.0 ◎ 2 0.0 ◎ 3 2 と解答 0.3 4 上記以外の解答 0.7 5 8÷4 と解答 27.0 6 8×4 と解答 4×8 と解答 4.6 9 上記以外の解答 6.7 0 無解答 2.8 8 4 と解答 a mの重さが b gの針金があります。この針 金の1mの重さは何gですか。a,b を用いた式 で表しなさい。 解答類型 県反応率(%) 正答 1 35.6 ◎ 2 b÷a と解答 1.6 ○ 3 11.6 a÷b と解答 1.2 5 ab と解答 13.0 9 上記以外の解答 21.8 0 無解答 15.2 と解答 a b と解答 b a と解答

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この問題の趣旨は,「除法の意味について理解しているかどうかをみる」ことである。正答率は, 58.0%であった。誤答については,「8×4または4×8」,「上記以外の解答」,「無解答」を合わせ た反応率は,14.1%であり,この中には,除法を選択できなかった児童がいると考えられる。また, 「8÷4」の反応率は,27.0%であり,この中には,被除数と除数に当たる数を正しく捉えられな かった児童がいると考えられる。 これらの結果から,小学校時の誤答の大きな原因であった被除数と除数に当たる数を正しく捉え て立式できないことに加え,中学校においては文字になったことで,求める数量を導く際に除法を 選択することができていないという実態がみえてくる。 資料5は,事前調査問題であり,この問題について置籍校の反応率をまとめたものである。誤答 については,(1)で,ウの反応率は,1年 22.0%,2年 20.0%,3年 16.4%であった。この中には, 「(おつり)=(出したお金)-(代金)」で求められることを理解しているが,代金の出し方が「(1個 の値段)×(個数)」で表されることを理解していないか,「300×x」を「300x」と表すことを理解し ていない生徒がいると考えられる。また,(2)で,イとウを合わせた反応率は,1年 22.0%,2年 20.0%,3年 20.8%であった。この中には,道のりを速さと時間の除法で表そうとするなど,速さ を求める式「(道のり)÷(時間)」と混乱している生徒がいると考えられる。 資料3~5の結果から,求めるものに応じた演算決定や文字式の表し方の理解に課題があるとい える。

(4) 式を読むこと

■学習指導要領の内容 〔第 1 学年〕 A 数と式 (2) 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに, 文字を用いた式の計算ができるようにする。 エ 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて表したり読み取っ たりすること。 <資料5> 置籍校事前調査 次のことがらを文字を使って表すとき,正しいものを下のアからエまでの中から1つ選び,記号を○で囲みなさい。( )の 中は単位を表しています。 (1) 1個 300 円のケーキをx 個買って 1000 円出した ときのおつり(円) ア 300x-1000 イ 1000-300x ウ 1000-(300+x) エ (300+x)-1000 (2) 分速 80mでa 分歩いたときの道のり(m) ア 80+a イ ウ エ 80a 【置籍校調査人数:1年 132 人,2年 60 人,3年 67 人】 解答類型 置籍校反応率(%) 正答 1年 2年 3年 1 ア と解答 4.5 3.3 1.5 2 イ と解答 69.7 66.7 79.1 ○ 3 ウ と解答 22.0 20.0 16.4 4 エ と解答 3.0 5.0 3.0 9 上記以外の解答 0.0 0.0 0.0 0 無解答 0.8 5.0 0.0 解答類型 置籍校反応率(%) 正答 1年 2年 3年 1 ア と解答 0.8 5.0 0.0 2 イ と解答 16.7 15.0 10.4 3 ウ と解答 5.3 5.0 10.4 4 エ と解答 76.5 70.0 77.6 ○ 9 上記以外の解答 0.0 0.0 0.0 0 無解答 0.8 5.0 1.5 a 80 80 a

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⑧‐5 資料6は,全国調査の問題であり,この問題について平成 19 年度と平成 25 年度の全国の反応率 をまとめたものである。この問題の趣旨は,「与えられた文字式の意味を,具体的な事象の中で読み 取ることができるかどうかをみる」ことである。誤答については, イとエを合わせた反応率は,平 成 19 年度 24.3%,平成 25 年度 22.2%であった。この中には,与えられた式で表されている「2倍」 に着目した生徒がいると考えられる。アとイを合わせた反応率は,平成 19 年度 24.3%,平成 25 年 度 22.2%であり,この中には,長方形の周の長さを面積と混同した生徒がいると考えられる。 資料7は,資料6の全国調査を参考にした事前調査問題であり,この問題について置籍校の反応 率をまとめたものである。この問題は,長方形を正方形に変え,文字を1種類にしたときにどのよ うな誤答傾向になるか調べようとしたものである。誤答については,イとエを合わせた反応率は, 1年 21.2%,2年 14.8%,3年 15.7%であり,この中には,与えられた式で表されている「4倍」 に着目した生徒がいると考えられる。アとイを合わせた反応率は,1年 27.3%,2年 20.4%,3年 12.8%であり,この中には,正方形の周の長さを面積と混同した生徒がいると考えられる。これら の傾向は,資料6の場合と同様であり,特に1年において,アの反応率が高いという特徴がある。 資料6,7の結果から,具体的な場面に即して文字式の意味を読み取ることに課題があるといえる。

(5) 文字を用いた説明の意義を理解すること

■学習指導要領の内容 〔第2学年〕 A 数と式 (1) 具体的な事象の中に数量の関係を見いだし,それを文字を用いて式に表現したり式の意味を読み取ったりす る能力を養うとともに,文字を用いた式の四則計算ができるようにする。 イ 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明できることを理解すること。 <資料7> 置籍校事前調査 <資料6> 平成 19 年度全国調査中学校A2(3),平成 25 年度全国調査中学校A2(2) 次の図のような,縦の長さがa,横の長さが b の長方形が あります。このとき, 2(a+b)は何を表していますか。下の アからオの中から1つ選びなさい。 ア 長方形の面積 イ 長方形の面積の2倍 ウ 長方形の周の長さ エ 長方形の周の長さの2倍 オ 長方形の対角線の長さ 解答類型 全国反応率(%) 正答 19 年度 25 年度 1 ア と解答 9.5 7.9 2 イ と解答 14.8 14.3 3 ウ と解答 63.9 67.9 ○ 4 エ と解答 9.5 7.9 5 オ と解答 1.6 1.5 9 上記以外の解答 0.0 0.1 0 無解答 0.6 0.4 a b 次の図のような1辺の長さがa の正方形があります。この とき,いつも4a で表されるものを下のアからエまでの中か ら1つ選び,記号を○で囲みなさい。 ア 正方形の面積 イ 正方形の面積の4倍 ウ 正方形の周の長さ エ 正方形の周の長さの4倍 解答類型 置籍校反応率(%) 正答 1年 2年 3年 1 ア と解答 15.2 9.3 5.7 2 イ と解答 12.1 11.1 7.1 3 ウ と解答 61.4 70.4 78.6 ○ 4 エ と解答 9.1 3.7 8.6 9 上記以外の解答 1.5 1.9 0.0 0 無解答 0.8 3.7 0.0 【置籍校調査人数:1年 132 人,2年 54 人,3年 70 人】 a

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資料8は,事前調査問題であり,この問題について置籍校の反応率をまとめたものである。この 問題の趣旨は,「文字を用いた式を使って一般的に説明することの意義について理解しているかどう かをみる」ことである。誤答については,ウの反応率は,2年 18.5%,3年 10.0%であった。この 中には,具体的な数でいくつかの場合を確かめることが,すべての場合において成り立つ証明とし て十分であると捉えている生徒がいると考えられる。 この結果から,発見した数量の関係や法則を説明する際に,文字を用いることによってすべての 場合が説明できるということの理解に課題があるといえる。

2 誤答傾向を踏まえた授業改善案

「予想」の大切さについて,相馬一彦は「『予想』が考えることの必要感を生み出し,それが学 習意欲につながるのである。『予想』は,私たちの思考を促したり,発見の原動力になったり,考 える意欲を引き出すことなどにつながっているといえよう」と述べており,「予想」の意義として 「学習意欲を高める,考え方の追究を促す,思考の幅を広げる」2)の3点を強調している。 また,水谷尚人は,「成り立ちそうなことを予想して,『~は,…になる(である)』という形で 明確に表現できるようにすることは,数や図形の性質を見いだす活動を促すためにも必要である。 また,数学に限らず,子どもたちが何かを発展させよう,新しいものを生み出そうと考えたときに 必要となる能力である。コミュニケーション過程においても主語や述語が明確に表現できていなけ れば,相手に予想した内容を正確に伝えることもできないであろう」3)と述べている。 以上のことは,数学科において言語活動を充実する上で重要な視点であり,さらに,誤答傾向を 把握しておくことは,実態に応じた学習課題を設定したり,「予想」して「方針」をたて「説明」 する授業において適切な支援を行ったりすることにつながる。これらのことを踏まえ,授業改善の 8つのポイントと授業改善案を以下に述べる。 <資料8> 置籍校事前調査 ① 「具体」→「予想」→「方針」→「説明」という4つの問題解決のプロセスを言葉として 板書に残すこと。 ② 予想する場面では,「~は,…である。」のように前提と結論を明らかにして表現すること。 ③ 正しい考えだけでなく,間違っている考えも積極的に取り上げ,正しくない理由を説明す る活動を取り入れること。 「連続する3つの自然数の和は3の倍数である」ことを下のように説明しました。 この説明について,正しく述べたものが下のアからウまでの中にあります。それを1つ選び,記号を○で囲みなさい。 ア この説明は,連続する3つの自然数がどんな場合でもその和は3の倍数になることを示している。 イ この説明に加えて,「1+2+3,3+4+5,10+11+12」などのようにたくさんの例で確かめなければ,連続する3 つの自然数がどんな場合でもその和は3の倍数になるか分からない。 ウ 「1+2+3,3+4+5,10+11+12」などのようにたくさんの例で確かめれば,連続する3つの自然数がどんな場合 でもその和は3の倍数になることを示すことができる。 【説明】 連続する3つの自然数のうち,最も小さい数をn とすると, 連続する3つの自然数は,n,n+1,n+2 と表される。 連続する3つの自然数の和は, n+(n+1)+(n+2)= n+n+1+n+2 = 3n+3 = 3(n+1) n+1は自然数だから,3(n+1)は3の倍数である。 解答類型 反応率(%) 正答 2年 3年 1 ア と解答 59.3 81.4 ○ 2 イ と解答 9.3 5.7 3 ウ と解答 18.5 10.0 0 無解答 13.0 2.9 【置籍校調査人数:2年 54 人,3年 70 人】

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う事実から,これまでの自分の授業を改善する必要があると考えた。 授業改善の具体として,例えば,碁石を並べる形を確認した後,生徒自身に「1辺に並べる碁石 の個数が5個」の場合の図をかかせてみるなど,生徒の理解状況を確認する場面を設定することが 考えられる。この場面では,1辺に並べた碁石が5個になっているか相互に確認させたり,図1の ような間違っている図を取り上げ,間違いの原因を考えさせたりするなど,生徒自身が問題場面を 正しく把握していくための活動を設定することが必要である<図2>。 さらに,1辺に並べる碁石の個数が6個,7個の場合の図をかかせてみることで,教師は再度生 徒の理解状況を把握し,生徒は同じ間違いをしていないか確認する場面を設定する必要がある<図 3>。このように,生徒が問題場面を把握するための指導を丁寧に行う必要があり,その上で,1 辺に n 個ずつ並べたときの碁石全部の個数を表す式「(n-1)×3」の考え方を図をもとに解釈す る活動を設定することが考えられる。その際,図と式を往復して考えさせることが大切である。 また,問題解決の過程を生徒に意識付けるために,活動を表す言葉を板書に残すことが大切であ る。図4は,授業の板書に活動を表す言葉を示そうとした例である。 <図4> 活動を表す言葉を板書に残す 具 体 的 に 調べる <図1> 1辺に5個並べるときの誤答例 [1辺に6個並べるとき] [1辺に7個並べるとき] [7個のとき] <図3> 間違いの原因に気付き,図を正しくかけるようになった生徒の図 <図2> 誤った並べ方を正しく直す生徒 1辺にn 個ずつ碁石を 並べた正三角形の図 角の重なりを意識できずに,1辺 に6個並べてしまった例 この角の重な りは意識でき ている。 角の重なりが2箇所あることを 意識できなかった例 角 の 重 な り を 意識できず,こ の 部 分 が 7 個 になっている。 角の重なりを 意識して,正 しくかけた。 (n-1)の意味を図で表す 図で確認する 3n の意味を図で表す

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参照

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