補足:補償金の算出方法
【はじめに】 医薬品企業法務研究会 平成19 年・20 年度特別研究部会(以下「特研」という。)で検 討し、特研として推奨する方法で算出した補償金の金額を「補償金一覧(参考)」として示 した。ここでは、「補償金一覧(参考)」に示した補償金の算定方法について補足する。 ただし、「補償金一覧(参考)」及び本補足は、あくまで自社の補償内容を設定するため の参考としてのものであり、この内容で補償しなければならないということではない。実 際に各社で制度設定を行うに当たっては、参考資料、補償金一覧(参考)、本補足にとらわ れず、治験依頼者自らが独自に取り決めて差し支えない。 なお、参考資料に詳細を記載してあるので、参照のこと。 【目次】 1. 補償金算出の基本的要素 2. 遺族補償金 2-1. 健康人対象試験 2-1-1.労働者災害補償保険参考 2-1-2.予防接種健康被害救済制度(一類疾病)参考 2-2. 患者対象試験 3. 障害補償金 3-1. 健康人対象試験 3-1-1. 労働者災害補償保険参考 3-1-2. 予防接種健康被害救済制度(一類疾病)参考 3-2. 患者対象試験 4. 障害児補償金 4-1. 健康人対象試験 4-2. 患者対象試験 5. 葬祭料 【1.補償金算出の基本的要素】 Ⅰ.補償金を算出する上で考慮する必要のある事項としては、以下の要素がある <遺族補償、障害補償共通事項> ① 参考とする基本的制度 ② 補償金を算出する際の基礎となる額(日額、年額等) ③ 現価係数 <遺族補償特異的事項>④ 生計維持者か非生計維持者か(患者対象の場合) ⑤ 生活費の控除率(健康人対象の場合) <障害補償特異的事項> ⑥ 使用する障害等級 ⑦ 介護給付(健康人対象:介護が必要な障害補償の場合) Ⅱ.補償金の額は、基本的には以下の計算式にて算出される * 補償金 = (該当する基礎額の年額)×(補償対象年数に対する現価係数) 【2.遺族補償金】 2-1. 健康人対象試験 2-1-1.健康人対象試験 労働者災害補償保険参考 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:労働者災害補償保険 ②補償金を算出する際の基礎となる額 平均賃金(年額):この資料では以下の内容を指す 厚生労働省賃金福祉統計課で毎年集計される、賃金構造基本統計調査の第1 表 「(年齢階層別きまって支給する現金給与額、所定内給与年額及び年間賞与その 他特別給与額)」における「企業規模計」の列の「きまって支給する現金給与額」 と「年間賞与その他特別給与額」の合計(以下、「賃金センサスの全労働者の時 間外、賞与を含めた年間給与」という。)を基礎額の年額とする ③現価係数:就労可能年数に対応するライプニッツ係数 ④生計維持者か非生計維持者か:考慮しない ⑤生活費の控除率:生活費の割合である35%を控除した率 ⑥使用する障害等級、⑦介護給付:要素外 (Ⅱ)算定式 平均賃金(年額)×(1 – 0.35)× ライプニッツ係数(就労可能年数) 2-1-2.健康人対象試験 予防接種健康被害救済制度(一類疾病)参考 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:予防接種健康被害救済制度(一類疾病) ②補償金を算出する際の基礎となる額:予防接種健康被害救済制度(一類疾病) 死亡一時金 ③現価係数:考慮しない ④生計維持者か非生計維持者か:考慮しない ⑤生活費の控除率:考慮しない ⑥使用する障害等級、⑦介護給付:要素外
(Ⅱ)算定式 4,280 万円(平成 21 年 11 月時点) 2-2.患者対象試験 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:医薬品副作用被害救済制度 ②補償金を算出する際の基礎となる額:医薬品副作用被害救済制度遺族年金、遺族 一時金 ③現価係数:10 年に対応するライプニッツ係数(生計維持者) 一時金のため考慮しない(非生計維持者) ④生計維持者か非生計維持者か:考慮する ⑤生活費の控除率:考慮しない ⑥使用する障害等級、⑦介護給付:要素外 (Ⅱ)算定式 ①生計維持者: 医薬品副作用被害救済制度の年額 × ライプニッツ係数(10 年) ②非生計維持者: 定額(7,135,200 円、平成 21 年 11 月時点) 【3.障害補償金】 3-1. 健康人対象試験 3-1-1.健康人対象試験 労働者災害補償保険参考 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:労働者災害補償保険 ②補償金を算出する際の基礎となる額: 平均賃金(年額) ③現価係数:平均余命に対応するライプニッツ係数 ④生計維持者か非生計維持者か、⑤生活費の控除率:要素外 ⑥使用する障害等級:労働者災害補償保険で定められている1 級~14 級 ⑦介護給付:労働者災害補償保険の介護(補償)給付(常時介護、随時介護)* *:障害等級第 1 級では常時介護か随時介護が該当し、障害等級第 2 級では随時介 護か介護給付無しとなる (Ⅱ)算定式: a + b a: 平均賃金(年額)× 労働能力逸失率× ライプニッツ係数(平均余命) b: 該当する介護給付(月額 )× 12 ヶ月 × ライプニッツ係数(平均余命) 3-1-2.健康人対象試験 予防接種健康被害救済制度(一類疾病)参考 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:予防接種健康被害救済制度(一類疾病) ②補償金を算出する際の基礎となる額:予防接種健康被害救済制度(一類疾病)障
害年金1~3 級及び障害年金 1 級に労働能力 逸失率を乗じたもの ③現価係数:平均余命に対応するライプニッツ係数 ④生計維持者か非生計維持者か、⑤生活費の控除率:要素外 ⑥障害等級:「健康人を対象とする治験の新障害等級」参考資料4 表 8(「予防接種 健康被害救済制度を参考に補償金を支払う方法において新たに設定し た障害等級」参照 ⑦介護給付:予防接種健康被害救済制度(一類疾病)の介護加算 1、2 級 (Ⅱ)算定式: ①第Ⅰ級:(1 級の障害年金 + 1 級の介護加算額)× ライプニッツ係数(平均余命) ②第Ⅱ級:(2 級の障害年金 + 2 級の介護加算額)× ライプニッツ係数(平均余命) ③第Ⅲ級:(3 級の障害年金)× ライプニッツ係数(平均余命) ④第Ⅳ級:(1 級の障害年金)× 35* / 100 × ライプニッツ係数(平均余命) ⑤第Ⅴ級:(1 級の障害年金)× 15 */ 100 × ライプニッツ係数(平均余命) *:各々の労働能力逸失率 (Ⅲ)留意点:労働者災害補償保険の障害等級 14 級の対応 「健康人を対象とする治験の新障害等級」では労働者災害補償保険の14 級に対応す る障害等級は存在しないため、以下の対応が考えられる ①予防接種健康被害救済制度を参考とした際は、14 級相当の障害は補償金支払いの 対象外とする ②14 級の労働能力逸失率は 5%であるので、以下の算定式を用いる 14 級相当障害:(1 級の障害年金)× 5* / 100 × ライプニッツ係数(平均余命) *:障害等級 14 級の労働能力逸失率 3-2.患者対象試験 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:医薬品副作用被害救済制度 ②補償金を算出する際の基礎となる額:医薬品副作用被害救済制度障害年金1、2 級 ③現価係数:平均余命に対応するライプニッツ係数 ④生計維持者か非生計維持者か、⑤生活費の控除率:考慮しない ⑥使用する障害等級:医薬品副作用被害救済制度で規定されている障害等級1、2 級 ⑦介護給付:医薬品副作用被害救済制度では支給対象外 (Ⅱ)算定式 該当する医薬品副作用被害救済制度の年額 × ライプニッツ係数(平均余命) 【4.障害児補償金】 4-1. 健康人対象試験
治験依頼者で検討すること 4-2. 患者対象試験 (Ⅰ)基本的な要素 ①参考とする基本的制度:医薬品副作用被害救済制度 ②補償金を算出する際の基礎となる額:医薬品副作用被害救済制度 障害児養育年金 1、2 級 ③現価係数:18 歳到達時までの年数に対応するライプニッツ係数 (Ⅱ)算定式 該当する医薬品副作用被害救済制度の年額 × ライプニッツ係数(18 歳到達年数) (Ⅲ)留意点 18 歳未満の被験者に対する生涯に亘る障害補償金の支払いは以下の方法が考えら れる ①障害発生時に18 歳までの障害児補償金を養育者に一括で支払い、18 歳になった時 にその時点での障害等級に基づく障害補償金を被験者本人に一括で支払う ②障害発生時に、障害児補償金を養育者に、18 歳到達時の障害補償金を被験者本人 に一括で支払う 【5.葬祭料】 5-1.健康人対象試験 5-1-1.労働者災害補償保険参考: 「賃金センサスの全労働者の時間外、賞与を含めた年間給与」の日額 × 60 日 5-1-2.予防接種健康被害救済制度(一類疾病)参考: 予防接種健康被害救済制度(一類疾病)で定められている葬祭料 5-2.患者対象試験 医薬品副作用被害救済制度で定められている葬祭料
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