生 活 へ の 取 り 組 み
運 営 委 員 今 泉 邦 弘 いまいずみ(静岡) 司 会 者 山 崎 元 則 みなみ(静岡) 〃 牧 原 東 吾 あさひこ(愛知) 部外助言者 田 中 まさ子 岐阜聖徳学園大学短期大学部教授 部内助言者 高 木 味法子 桜ヶ丘(岐阜) 提 案 者 Å原よし美・土屋良美 駅南(静岡) 〃 伊 藤 友 紀 富田文化(三重) 主 題 幼児が自分の目的をもって生活をするとはどういうことかを考える。 主題設定 幼児は園生活からいろいろなことを学び、少しずつ成長していく。しかし、その生 活が与えられたものばかりであったり、やりたいことがはっきりしないと、幼児はと っても満ちたりた楽しい生活とは言えないであろう。 幼児は自分のやりたいことを見つけると夢中になって取り組み、充実感や満足感を 味わい、さらに、目的をもって生活へと経験を積み重ねて育っていく。 そこで、幼児が目的をもって生活するとはどういうことかを、幼児が育つ姿からと らえていきたい。 研究方法と筋道の例 ☆ 幼児の目的意識は、どのように形成されていくのか。事例によって経過を追って みる(たどってみる)。 ☆ 幼児が目的をもって生活していると思われる場を毎日の生活の中から見つけ、そ の育ちを探ってみる。 ☆ 目的のある生活をつくり出すための環境構成や援助を考えてみる。YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
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第1
分科会
1.はじめに 本園の周辺には、商店街・駅ビル・文化施設・川・公園などがあり、幼児の興味 や関心は、生活の中で様々な対象に向けられて広がっています。 こうした幼児の意欲や感性を通して“発見する力・気づく力”のある幼児を3年 間育てていきたいと考えています。 そのために、遊びをとおして幼児が成長する姿を様々な側面からとらえ、幼児自 身が環境と関わって遊びを展開し、必要な体験が得られるような生活をつくり出す ことを目標に、次の3つを視点として実践してきました。 ⃝教師との信頼関係をつなぐ生活の展開 ⃝友だちと十分にかかわって展開する生活 ⃝興味や関心に基づいた直接的な体験が得られる生活 2.研究への手がかり 1)前年度の研究をとおして学んだこと 本年度も継続研究として「生活への取り組み」をテーマに進めています。 そこで、前年度の研究で学んだことを土台とし、次の4点を手がかりの柱と して考えたいと思います。 ①幼児が夢中になって取り組むことは、我を忘れ、時間の経つのも忘れて楽 しむ姿であり、幼児にとって一日が短く感じる生活が望ましいこと。 また、教師は幼児をただ遊ばせておくのではなく、幼児が今どのような経 験が必要なのか、そのためにはどうしたらよいかを常に考え、計画性を持 って環境の再構成を続けることが大切であること。 ②園生活において、教師の良い生活態度が良い環境をつくる。それによって 幼児に様々な影響を与え、人として望ましい態度が身につくこと。 ③教師も幼児の生活する仲間として、また教師の願いを生活する姿勢の中で 表し、幼児に自然なかたちで伝えていくこと。 ④本園で行っている園内研修と、継続研究「生活への取り組み」に関連性が あると考え、それらを手がかりに計画と実践の充実を図ること。
生 活 へ の 取 り 組 み
提案者静岡県 駅南幼稚園
Å
原 よし美 土 屋 良 美
3.研究の方法 1)遊びや生活へのかかわりにおける教師の多様な役割について、事例を持ちよ り話し合いを進め研究する。 2)幼児が「目的を持って生活する姿」を見つめ、教師の行う計画的な環境構成 を研究すると共に、幼児の立場に立った保育の展開を進める。 3)家庭との連携をとおして幼児の育つ姿を見つめ、幼児の生活全般につながり が持てるよう計画を工夫する。 4.事例にあたって 1)創意ある保育計画から保育実践の展開へ ―平成7年度から本年度までの園内研修より― 本園では、平成7年度より創意ある保育実践のために、園内研修の一環とし て「オープンクラス(活動名)」という実践研究を進めています。 「オープンクラス」は、“幼児がクラスや学年の枠を超え、様々な友だちや教 師と触れ合い、開かれた環境へ出かけて楽しむ保育の展開”を目指して計画し ています。 このような趣旨を踏まえ、実践研究にあたっては、継続研究「生活への取り 組み」と園内研修「オープンクラス」との関連性を求める具体的な研究を進め ていくことにしました。 そこで、2年目の研究は、1年目の研究過程で見つめてきた幼児の生活を手 がかりにしながら、実際の保育計画の展開を事例として取り上げ、幼児の生活 と幼稚園教育の取り組みについて考えていきたいと思います。 2)「オープンクラス」の目的 ①幼稚園教育における生活は学級を基本としているが、より良い幼児の経験 を考え、学級を基本としながらも同時に学級の枠を超える、柔軟な指導体 制を進める。 ②幼児の様々な興味や欲求を受け入れながら、充実した生活の場を創造して いくためには、個の活動・友だちとの活動・クラスあるいは学年、また園 全体での活動など、多様な形態と計画性を持って展開する。 ③教師間の相互理解を深め、複数の教師が共同で保育を計画し実践を行う。 また、幼児理解について情報交換したり幼児一人ひとりについて様々な視 点から成長・発達を促していけるような協力体制をつくる。 ※〔オープンクラスの園内研修の計画・内容については別添資料をご覧くださ い〕
5.事例の内容 事 例 「創ってあそぼう!」 ―オープンクラスから参観会までに― 〔3歳児・2月〕 3学期も後半になると、3歳児は今までの生活や経験してきたことを基に、興 味や関心のある様々な対象に向かって、生活を広げていこうとする様子が見られ ます。なかでも、自由あそびやオープンクラスの経験によって、様々な年齢の幼 児や教師との触れ合いの機会が持てたことは、幼児の生活に安定感をあたえ、生 活することへの自信にもつながっていくということを、幼児の姿や個人記録、ま た教師間の話し合いをとおして捉えることができました。 そこで、この幼児の姿を家庭に伝え、幼稚園の姿勢を知っていただくと共に家 庭との連携をとおして地域でも幼児の生活や遊びが連続して行えるような環境づ くりを目指して、年少児の「オープンクラス参観会」を計画しました。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 教師間の話し合い(1月後半∼2月中旬) ◎参観会のねらいについて(幼児の姿と計画を見通す) ⃝幼稚園で行われているオープンクラスを保護者にも体験していただくと共に 学年末の幼児の成長と様子を見ていただく。 ⃝親子で創るものを一緒に選択し、共に創る楽しさを味わう。 ⃝学年間の親子同士と触れ合って楽しむ。 h ◎参観会で行う活動内容の具体化(教師間の相互理解と共同計画) ◇幼児の今までの生活や経験から、紙ヒコーキ・ピョンピョンカエル・糸電話・缶 ポックリ・新聞紙玉入れゲーム・新聞紙あそび・輪つなぎあそび・ボーリング・ 魚釣り・ぶんぶんこま等、話し合いの中で具体的な内容があげられました。 ☆検討の結果、次の4つに決まりました。 ①ピョンピョンカエル ②新聞紙竹馬 ③魚釣り ④ぶんぶんこま 流 れ ◎2月19日(金)→ 保護者へ手紙配付 ◇4つの製作内容を知らせ、そのうち1つを親子で考えて選択してもらう h ◎2月20日(土)→ 保護者から幼稚園に返事が届く ◇4つの活動の延べ人数を集計して把握する・人数の規模に合わせて活動場所
を決定する・人数分の材料を揃える・指導案を検討する ⃝集計結果 ・新聞紙の竹馬――→ 9組 ・新聞紙の魚釣り―――→52組 ・ぶんぶんこま――→18組 ・ピョンピョンカエル―→32組 h ◎2月22日(月)→ 保護者へ手紙配付 ◇活動場所の案内、持ち物、服装等を伝達する ◇人数分の材料を揃える h ◎2月23日(火)→ 参観会前日 ◇材料・道具・計画・環境の確認 h ◎2月24日(水)→ 参観会当日 ◇朝、材料・道具・環境を再確認する h ※4つの活動内容から、当日の事例を1つ上げてみたいと思います。 「お母さん、がんばろうね!」 ―新聞紙の魚釣り― 〔2月24日(木)・親子:51組・場所:ゆうぎ室〕 親子で一緒に新聞紙を工夫して釣り竿と魚を一生懸命つくり始めました。で きあがると嬉しそうに、池に見立てた囲いの中に魚を放して、さっそく釣りを 楽しんでいます。始めのうちは、なかなか釣れなかった子もコツをつかむと友 だちの魚を釣ったり、2匹いっぺんに釣ってみたり、大はしゃぎとなってきま した。「ねえ、見て見て!こんなにたくさん釣れたよ」と保護者や友だちや教師 に見せにきました・・・ ――その後、時間が余ったため、各池で魚釣り大会を行った―― (5つの池で、1回戦は子ども・2回戦は保護者・3回戦は親子一緒で参加) 1回戦目は子どもだけの参加。「よーし!がんばるぞ」と真剣なまなざしで挑 みます。自分の魚が捕れると、ほっと一安心した様子でした。 2回戦目は保護者だけの参加。「お母さんがんばって!」と母親の背中に向か って応援する子ども達。興奮して「はやく、はやく」と半分怒りながらせかす 子もいました。 3回戦目は親子で参加。「お母さんがんばろうね」と真剣な表情ではじまりま した。自分の魚が捕れるとお母さんを応援します。また、なかなか釣れない友
だちや、そのお母さんの応援もはじまりました。「Iちゃんがんばって!」「S くんのお父さんがんばれ!」そのうち、ゆうぎ室の中は「白チームがんばれ」 「赤チームがんばれ」の声で溢れていました。 考 察 ⃝幼児の姿と計画性 年少組では、1年目のオープンクラスの第一歩として、幼児は移動しないで、ま ず教師がローテーションしてクラスを訪れ、普段と違う雰囲気の中で楽しめるよう に計画してきました。幼児の表れを見ながら、1年の生活の中で徐々に外の世界へ 開いていけるよう計画を進めていきました。 また、オープンクラスの経験をとおして、学年との関わり・年中児との関わり・ 年長との関わり・園全体の関わりなど、様々な形態の保育を積み重ねています。そ の中で、今年で3年目の経験をしている年長児から、年少児はいろいろな事を見て 学びますが、始めはお世話を受けます。おもちゃの使い方や工夫して遊ぶ方法・近 くにあるトイレを使うと早いこと・言葉の巧みな言い方など、たくさんあります。 このように、関わりの場面を重ねるうちに、年少児は“お世話のされ方”を学ん でいきます。そして、このお世話のされ方を覚え、2年間の経験を経て、年長児へ と成長したときに、お世話の仕方がわかるようになっていきます。 オープンクラスは、3年間の全体にわたって発達を促すように保育を計画し、展 開することが望ましいと考え、実践しています。 ⃝幼児の興味や関心の広がり 魚釣りでは、はじめは自分の魚をつくることに一生懸命だった幼児も、つくり終 えた後は、今度は魚を釣ることに夢中になりました。上手く釣ることの出来ない子 どもに、お母さんが手伝おうとすると、その手をふり切って真剣な顔つきで取り組 む姿がありました。 また、魚釣り大会では、はじめは自分の魚を釣ることで精一杯だった幼児も、自 分の魚が釣れると安心したのか、友だちやお母さんたちにまで「がんばれ!」と声 に出していました。その中には普段おとなしい幼児も、周りの雰囲気に影響されて 大きな声で応援する姿も見られました。 このように、幼児が自分の興味や関心を持った世界から、次第にその対象を外の 世界へと広げていく様子を捉えることができました。 ⃝幼稚園と家庭との連続性 幼児と保護者が選択して行う計画は初めての試みであり、4つの活動の人数に大 きな差ができたことで、多少の不安を抱えて当日を迎えました。 しかし、計画の段階で、教師間の話し合いを十分に行い、共通理解を持って進め てきたこと、また、幼児と保護者が一緒に考えて選択した遊びということで、実際 の活動では、幼児の表情は真剣で普段見られない幼児の姿や、親子同士が夢中にな って取り組んでいる様子を見ることができました。
クラスに戻ってからも、自分のつくった物を友だちや保護者に紹介したことで次 の遊びへと発展していきました。 家庭からの連絡ノートでは、「クラスの先生が作った物も、つくりたいと言ってき たので、家でも遊んでいます」というお便りがあり、親子で選択した以外の物を家 庭でも遊んでいることがわかりました。そして、近所の友だちや保護者の方に作り 方を教えてもらったりして、4つの遊びが幼稚園と家庭や地域の生活に連続性を持 って広がっていく様子も見られました。 ま と め ⃝家庭との連携と遊びの連続性 事例をとおして学んだことは、幼児をとりまく生活には、家庭、地域、そして幼 稚園が連続的に営まれているという点です。幼稚園の生活で培われた経験は家庭や 地域の生活に生かされ、家庭や地域で生活した経験は幼稚園において教師や幼児と 分かち合い、さらに豊かな経験となって生かされていきました。 こうした家庭と幼稚園との“経験のサイクル”が幼児の目的を持った生活への時 間的な流れと、空間的な広がりを保障し、幼児の望ましい発達を促していくという ことを実感しました。 このように、幼稚園と家庭をとおした遊びの連続性が、切れ目なく営まれ、続い ていくということは、単なる偶発性の連続ではなく、そこには幼児の姿や教育への 取り組みに関して、協力し合っていこうとする幼稚園と家庭の連携姿勢があったか らではないかと考えます。 ⃝環境における教師の姿勢 幼児は、クラスの友だちや、同学年の幼児、また様々な年齢の幼児、教職員等の 行動に影響されて自分の生活に取り組んでいきます。特に、幼稚園では教師など親 しみを持っている大人の行動を模倣し、同じようなことをやってみようとします。 したがって、教師の環境と関わる姿勢が大切になってきます。物的な環境や人的な 環境など、様々な環境の中で、教師がどのように関わっているかということも、大 きな意味をもっているのではないかと考えます。 オープンクラスにおいては、教師が遊びや様々な年齢の幼児と関わる姿を見て幼 児は遊びの楽しさを肌で感じ、また、他の幼児への関わり方を学んでいく様子が見 られます。年少児は特に、年中児・年長児の生活する姿に影響され、おもちゃの扱 い方・遊びの中のルール・幼稚園の生活の仕方等、基本的な生活習慣に関わる部分 にまで、幼児にそのまま伝わって取り入れられていきます。 このようにして、幼児は人としての行いの基礎を生活経験から学んでいくことに なり、それが少なからず道徳性を育むことにつながっていくと考えます。 教師は幼児にとって環境を揺さぶる重要な役割を持っています。そこで、今後の 課題として、教師は本園においてどのように生活し、環境とどのように関わってい くかを、2年間の継続研究で学んだ教師間の協力体制を基に振り返り、教師と幼児、 そして家庭と連携しながら、より良い方向を目指していきたいと思います。
はじめに 鈴鹿山脈がそびえ、春には桜が咲き誇る十四川が流れ、自然に恵まれています。 園の前方を電車が走るのが見え、スーパーや文化施設・公園等もあるが園周辺に広 がる田畑は次々と民家や商店も増えていて、活気に満ち溢れた地域である。月1回 行われる園外保育を通じて、幼児の興味や関心・意欲を引き出し、感性の豊かな幼 児となる様に配慮しています。幼児にとって生活とは、日々の生活の中で自ら考え 試行錯誤しながら様々な事を身に付けていく大切な生活経験そのものと言えるので はないでしょうか。つまり、社会的、文化的に幼児を取り巻く環境の自然な流れの 中で、少し早かったりゆっくりだったりする音楽のリズムの様に生活のリズムの中 で育まれていくのだと思います。幼児の園生活を通じて幼児自身が様々な環境の中 で、遊びながらどの様に物事に触れ、それを展開し、自分の糧としていくか、又、 その様な生活経験をどう大切にしていけばよいのか等、ここに挙げた2つの事例を 通して見て行きたいと思います。 研究方法と筋道の例 ☆幼児の目的意識は、どのように形成されていくのか。事例によって経過を追って みる(たどってみる)。 ☆幼児が目的をもって生活していると思われる場を毎日の生活の中から見つけ、そ の育ちを探ってみる。 ☆目的のある生活をつくり出すための環境構成や援助を考えてみる。 このテーマを載いて研究方法を以上の事にそって研究を進める為に、週案、日案 等各自の個人記録を見直し、幼児の遊びと目的を持った生活とはどの様なものか検 討し、保育者の言葉がけ、かかわり、環境構成が、幼児の生活にどの様な影響を与 えるのか、それに対して、保育者は幼児にどの様に援助していけば良いかを考え研 究してみました。
バスのおじさんからの“園生活へのひろがり”“紙飛行機づくり”
3歳児K君は、入園当初から大変活発で大勢の中で遊ぶ事が出来る。理解力はあ るのだが1つの事に対して長く興味を示しているという事は少なく、その場限りで 終わってしまう事が多かった。いつもバスのおじさんや事務所の人も幼児とのかか生 活 へ の 取 り 組 み
提案者三重県 富田文化幼稚園
伊 藤 友 紀
わりがあり、お話をしてくれたり、手品をしてくれたり、広告紙ではいろいろな物 を作ってくれる。園のどの職員とも親しくかかわる雰囲気で担任以外の良い刺激か ら経験に広がる。バスのおじさんに折ってもらったカエルでジャンプ競争をしたり して職員も幼児と大いにかかわる様にしている。興味が次々と移るK君、今回はバ スのおじさんに作ってもらった紙飛行機には「もっと良く飛ぶのを作りたい」と意 欲を示し、遊びに継続した。家に帰ってお父さんに作り方を聞いて来る等、さらに 良く飛ぶものを作る事に興味を集中出来、良く飛ぶ飛行機を作り上げたK君の事例 を取り上げてみた。 事例① 1、紙飛行機ができた 飛んだ! 3歳児 3月 幼児と保育者のかかわり 幼児の様子と保育者の配慮 K君・先生、おはよう。紙ちょうだ い! T・いいよ、何か作るのかな? K君・飛行機!お父さんに作り方聞い たよ! T・すごいね。上手に出来るといい ね。 K君・うん、上手に出来るわ。まっと って。 (しばらくして) K君・先生出来たよ、見て! T・わぁーすごいね。自分で出来た んだね。 K君・僕、飛ばして来る!M君もおい でよ。 M君・うん! (しばらくして) T・どうだった?上手に飛べた? K君・先生、全然飛ばへんわ。 T・何でかなぁ? (その時、思い出した様に) M君・そうや、おじさんに貰ったのは、 もっと小さかったよ! K君・わかった、大きいからや! 先生、小さくするからハサミを 貸して。 登園して身の回りの物を整理した後、すぐに 保育者を呼びに来る。 昨日折れなかった紙飛行機が折れる様になっ たのではないかと思いK君に聞いて見る。 K君は得意そうに話しかけてきた。保育者か ら紙をもらうと早速自分の席で作り始める。 一人で出来ると言うK君を見守っていく事に する。 しばらくするとK君は保育者の所へ紙飛行機 を手にして走ってきた。 手に取って自分で仕上げた事をほめた。K君 はとても嬉しそうだった。 満足したK君は、保育者の側にいたM君を誘 って外に出る。M君も嬉しそうに後について 行った。二人で紙飛行機を飛ばしてみるが遠 くへ飛ばず、がっかりしている。 しばらくすると、近くで見ていた保育者の所 へと走って来た。 結果を見ていたので分かっていたが感想を聞 いてみる。 遠くへ飛ばなかったので少し怒っている。 紙飛行機を手にして少し考えている二人。 保育者も一緒に考えてあげる。 突然、M君が思い出した様にK君に言ってい る。K君もM君に言われて思い出し大きさが 違う事に気付いた。 三人で保育室へ戻り、保育者がハサミを貸し てあげると、飛行機を作った紙を広げて少し
T・いいよ! (しばらくして) K君・出来た。飛ばしてみよう! M君・いいよ! (再び、三人が園庭に出る。) K君・やったー!飛んだぞ先生見て! M君・先生、飛んだよ! T・本当だ、すごいね。よかったね。 小さくし、又、作り直し始めた。 しばらくして、出来上がる。 「今度は大丈夫」と言った感じで自信たっぷり に言う。M君もK君について行く。 再び、園庭で飛ばしてみる。飛行機が遠くま で飛んだので、三人で喜び何度も飛ばして遊 ぶ。 二人を見守りながら、保育者も一緒に遊ぶ。 事例② 「紙がバラバラや“赤組さん皆も手伝ってー”」 幼児と保育者のかかわり 幼児の様子と保育者の配慮 (10時近くになったので) T・K君、M君、もうすぐバスが来 るからそろそろお部屋に入って 綺麗にしようか?そおじゃない と紙飛行機がなくなっちゃうか もしれないもんねー。 K君・本当や、しまわなあかんなぁー。 M君・片付けてこよかー。 K君・うん、よっしゃー。 (二人は保育室へと戻る。) K君・紙がバラバラや!先生どうしょ う? T・うーんそうだ!クシャクシャに なったのは青い袋に入れて、ま だピンピンのはいつもの箱の中 に入れようか? M君・うん、わかった! T・赤ぐみさ∼ん、皆も手伝って! 全員・はーい。 T・さぁーだれが一番上手に早く片 付けられるのかなぁ。よーいど ん! (しばらくして) T・Aちゃん楽しいよ。一緒にしよう。 A・うん。 (しばらくして) T・皆、有り難う。綺麗になったね。 朝の最終登園バスが着く時間になったのに、 紙飛行機を作った後の片付けがまだだった為 保育室を綺麗に片付けようと思い二人に一緒 に片付ける様に言葉掛けする。 保育者の言葉がけにより、二人共紙飛行機を 手に保育室へ行く。 保育室の中は二人が出した紙だけでなく箱が 引っくり返っており、クシャクシャの紙と未 使用の紙が広範囲に散らばっていた。 広告紙でまだ遊ぶだろうと思いまだ使える紙 とくしゃくしゃの紙を2種類に分ける事にし た。 二人だけでなく、クラス全員に言葉掛けをし たが、片付けない子がいるのでゲーム感覚で 遊びを入れながら片付けごっこにもって行っ た。 片付けずに傍観しているAちゃんに対して楽 しいと言う事が分かってもらえるように言葉 がけをして、誘って一緒に片付ける。 保育室が綺麗になった所で、お並びの時間に
<考 察> いつも接している先生だけではなく、バスの運転手さんも含め、幼稚園に関わっ ている職員が幼児と接していて、幼稚園生活が豊かに形成されている。この様に当 園は家庭的雰囲気や、思いやりややさしさを園児が大人からもらえることを大切に しています。今回は保育室に置いてある広告紙で運転手さんが紙飛行機等を作って くれる事から自分達で作りたいという意欲が湧いてきて試行錯誤しながら、集中出 来ないK君もよく飛ぶ紙飛行機が完成した。又、周りの幼児達も広告紙で何か作っ てみたいという気持ちが芽生えていき、K君を中心に広告紙を使った遊びが盛んに なり、自分達で考えて物を作る楽しさを知っていった。活動後の片付けは3才児で は自ら出来ないが、遊び感覚で楽しく片付けられる様、援助した所が工夫点である。 片付けた後のごみ屑の紙は袋に入れ、ボールを作りボール遊びをする提案をした。 片付けの楽しさが次の遊びに発展すればと思った。 片付けたくない子にも一緒に片付ける事により違う遊びへの楽しさにつなげ、片 付けの経験になればと願って行った。しかし自発的に片付けられる様に持って行く にはどんな言葉がけが良いかが今後の課題である。
3才児の4月の生活の“おかたずけ”
初めて親から離れて不安気な3才児、登園して来てもカバンを背負ったままじっ としている子、自分の持ち物をその辺に放りっぱなしにしておもちゃで遊んでいる 子、大泣きして保育者から離れられない子等、様々であった。四月はまず、自分の 持ち物を決められた所へきちんと片付けられる様に毎日繰り返し言葉がけをした。 「お片付け」という言葉ではなかなか幼児が興味を示してくれないので、「ピンクの カゴはスポンジの積み木さん」「白いカゴは木の積み木さん」「赤いカゴはぬいぐる みさん」「大きい3つの引き出しはブロックさん」等おもちゃがおもちゃ箱の家に帰 る時間として助言した。又、雨の日は保育室の机は片付け、イスは隅にまとめてし まって広々と遊べる様にした。 そんなある日の事・・・。 事例③ 「おもちゃの家の時間やぞ」 3才児 5月 じゃあ青いゴミの袋は今度ボー ル遊びで使おうね。 全員・はぁーい。 (数人いやだーという子もいた。) なってしまった。青い袋のゴミ袋は後日、ボ ール遊びの時使って遊ぶ事を約束した。 次の遊びにつなげるお片付けの楽しさを知ら せる。今するという子がいたが「必ずしよう」 と約束をする。 幼児と保育者のかかわり 幼児の様子と保育者の配慮 U君・先生、Sちゃんおしっこもらし 園庭で数人の子と遊んでいた所、保育室の方ちゃったよ! T・あれあれ間に合わなかったんや な。パンツ持ってくるわね。 (ところがその時、朝の最終の 登園バスが到着、保育室が散ら かったままだったので) T・U君、先生なSちゃんのパンツ 替えてくるから皆でお部屋綺麗 に片付て! (すぐに保育室の子ども達に) T・赤組さん、先生Sちゃんとおト イレに行ってくるから、おもち ゃを綺麗にお片付けしておいて ね!(といってトイレに行く) U君・おーい、おもちゃのお家の時間 やぞー!(といっていた) (パンツを着替えさせてから保 育室に戻ってみると) H君・ぬいぐるみの家ここ? Mちゃん・違う、これは木のお家! Uちゃん・スポンジさんはここですよ ー! (保育者も手伝い片付け終了後) T・うぁー上手におもちゃがお家に 帰れたね。綺麗にお片付け出来 る様になったね。 U君・僕等でしたんやで、先生おらん くても出来るよ!おもちゃのお 家も1こも間違えやんと片付け たよ! H君・僕ももうちゃんと出来るよ! T・そっか、えらいね。じゃ、これ からもお片付け上手に出来るお 友達! 全員・はーい! からU君が走って来る。 S君がおもらしをしたので遊んでいた子ども 達と共に保育室へと戻った。Sちゃんと着替 えを持ってトイレに行こうとしたら、バスが 駐車場に入って来るのが目に止まりお並びの 時間になった。 保育室はおもちゃで散らかったままの状態だ ったので、あわててU君に片付けを頼み、保 育室にいた子全体にも言葉掛けをした。 皆、おもちゃの方へ目を向けたもののすぐに 言葉には反応せず、中にはまた遊びの続きを する子もいた。 Sちゃんの手を引き、トイレへ連れて行く途 中U君の様子から3才児は「お片付け」とい う言葉だけでは、さっさと片付けないという 事がわかった。トイレから帰ってみるとU君 はお友達におもちゃの家への時間と伝え、片 付けの雰囲気作りを盛り上げてくれた。 入室後、すっかり保育室が片付いた所で全員 を誉める。皆の先頭で頑張ったU君は満足し たのだろう。 自信たっぷりに「先生がいなくても出来る。」 と言う事をアピールしている。 隣の席のH君も一緒に「きちんとできるよ」 と得意になって話す。 最後にクラス全体でこれからも楽しく“お片 付け”が出来る様に言葉がけをして約束をし た。 昨年は4才児担任だったのでその感覚でお片付けの一言で片付けられると思い言 葉がけをしてしまった。3才児・4才児の違いを強く感じた。しかし、5月中旬に なると3才児でもこの様に集団生活を通して片付けのルールが身についていく様子
がわかり驚きと感動の一場面だった。
先生の生活を見て育つ椅子の“おかたずけ”
事例④ 数日後・・・K君が僕のイスをとっていく! 幼児と保育者のかかわり 幼児の様子と保育者の配慮 H君M君・先生、K君が僕達のイスを 取っていく! T・なんでなん?僕らがK君に嫌な 事をしてへん?嫌な事をしたら K君かて嫌な事するよ。 H君M君・(声をそろえて) 絶対やってないもん! (三人で保育室へと戻る事にす る。) (戻ってみると半分イスがな い。) H君・ほらね持ってたやろ!K君僕の イス返してよ! M君・粘土で遊べやんか! T・K君、どうして皆のおイスを持 っていくん? 何をするの? K君・ここへ“ないない”かたづけす るの。 T・そっかそっか、K君先生の変わ りにイスをしまおうとしていた のね。ありがとう。H君M君あ のねK君お部屋を広くしようと してくれていたんだって、先生 の替わりにイスをお片付けして くれていたんだって。 H君・何や、そうやったんか。 M君・ほんなら僕らもしまって上げる。 T・じゃ、先生は机を片付けるから 三人でイスを片付けてくれる? 出来るかな? 雨の日、用事で職員室へ行っていた保育者を H君とM君が呼びに来る。 二人の話を聞き保育者のいない間の出来事な ので、二人にもK君の事を尋ねる。 用事を済ませ三人で保育室へと戻ってみる事 にする。戻ってみると、半分位のイスがなく なっていた。 二人はK君がまたやっているという事に再び 怒り出しK君に詰め寄って行った。 イスを2∼3個重ねて持ったまま、K君は困 った顔をしている。K君はまだ友達同志では あまりしゃべれない子なので保育者が訳を聞 くと返事が返って来た。 いつも雨の日に保育者が机やイスを保育室の 隅にまとめているのでその様にイスを運んで いたのである。 K君ありがとうとお礼を言い片付けの行為だ った事を理解した言葉を添えて抱き締めてあ げる。H君M君にもお手伝いをしてくれたの だと言う事を伝えた。 二人共、話を聞いて訳がわかり今度はK君と 一緒にイスを集め片付け始める。 机は順番にたたんで片付ける様に話をして三 人で楽しくイスを片付けられる様に助言した。<考 察> 3才児の四月の生活をみると、やはり気になるのが片付けである。今まで保育 者が言葉がけをして一緒に片付けないとほとんど出来なかったものが言葉がけの みで、出来る様になって来る。そしてさらに保育者と同じやり方で自らも模倣し て片付けが出来る様になって行く。前年度4才児を担当していた要領で忙しさと 焦りから「お片付けしておいてね」と言葉掛けのみで片付けさせようとした所、 U君が「おーいおもちゃのお家の時間やぞ」と皆に声をかけた事により片付けが スムーズに行われた例からも言葉がけの大切さが良くわかった。事例④は3才児 はまだ自分の気持ちをうまく言えない段階なので、保育者が間にたって聞き出し てやる事の大事さや、保育者の普段の生活態度が見本になるという事が良くわか った。そして、K君の思いが皆にわかると、他児も協力して楽しく片付けること が出来たので5月中旬にはルールにも慣れてくる事がわかった。 【まとめ】 「片付け」の事例では、3才児の1学期当初と3学期の末であった為、一年間 の成長の差異の違いに改めて同じ助言ではいけなかった事を反省した。3才児4 月は、片付けは保育者の援助で行われるが、5月中頃になると気付いた子ども達 からかごに片付けたり出来る様になる。雨の日の室内の椅子の片付け方も良く見 ていたし、その様に片付けている事も思いもよらなかった。“すべて大人の後ろ姿 が見本”という事が良くわかる。“物の扱いも乱雑にしない様にしなければならな い事”もこの事から良くわかる。“子どもに教えられる”“子どもに学ぶ”とはこ の事だと思った。「生活」の中で重要な“しつけ”の方法もこの事から同じ事が言 える。焦って雑に関わったり、大人の都合ではしょって手早くやってしまってい ては幼児の生活の自立も半減してしまう。自分のペースでやろうとしているタイ ミングを大切にしていくべきだと思う。「紙飛行機づくり」の事例では、指導がま しくない自然な「生活」の中でバスのおじさんとの関わりが「紙飛行機制作への 興味」と「紙飛行機競争に発展」そして「ごみのお片付けごっこ」へとつながっ ていった。手品をしてもらったり、お話をしてもらっているようで、幼児達はバ スのおじさんが大好きでおじさんの靴を揃えてやるなどとても良い人間関係をか もしだされている。“集団をまとめて揃えて教えさとす方法”だけが教育をしてい る形ではなく職員にかかわっている幼児の生活の場が教育の場なのであった。「生 活」の中で楽しく導くこと、押し付けないで思いを参加させていくことも大切だ という事が良くわかった。クラスの雰囲気づくりも“保育者の生活のあり方”と “幼児への気づかい心使い”にあると思うので一挙手一投足を模倣の見本と心得て 行動していきたい。“生活力”のある子に育つよう保育のあり方を探っていきたい。