1 M162785 茂松郁弥
編著者・preface・各章の構成について
【発表構成】 Ⅰ.はじめに Ⅱ.編著者 Ⅲ. Preface Ⅳ.各章の構成 Ⅴ.終わりに Ⅵ.参考文献 Ⅰ.はじめに本発表の目的は,『TEACHING THE COLLEGE, CAREER, AND CIVIC LIFE(C3) FRAMEWORK』の本文を読み解くための前提事項として,編著者・Preface・各章の構成を それぞれ分析することで,本書がどのような子供を育成しようとしているかを明らかにす ることである。そのために,以下の RQ・SQ を設定する。 RQ 本書はどのような性格をもったものだと言えるか SQ1:どのような人物・及び団体が本書の作成に関わったのか SQ2:本書はどのような意図で作られたのか SQ3:各章はどのような構成をとっているのか Ⅱ.編著者について 1.編著者について 本書の特徴として,教育を専門とする 4 人の編集者のほかに,歴史や公民の教育に関心を 持っている15 団体が,各章の単元や授業の開発を担当していることが挙げられる。そこ で,ここでは,4 人の編集者に加え,協力した 15 団体の専門やその団体が個々に掲げている 使命についても紹介することとする。
2 2.編集者について ①Kathy Swan1 キャシー・スワンは,ケンタッキー大学の社会科教育の准教授である。C3 フレームワ ークにおいては,リードライター兼プロジェクトディレクターを務めるとともに,C3 の 教師組織の共同ディレクターも務めている。 (研究内容) カリキュラムと教授を専門としている。 彼女の研究は,社会科の教室における,スタンダードを基盤とした技術革新・真正な 知的作業・文書の作成に焦点をあてたものである。 (業績) ウェブを基盤とした双方向技術のカリキュラムの開発をし, 彼女は社会科教育の 国内科学技術指導者章を4 度受賞している。 (活動) 公立学校役員の主要会議において,社会科の評価・カリキュラム・共同評価(Social Studies Assessment, Curriculum, and Assessment Collaborative)のアドバイザー。 (著書)
・『Doing Documentaries in the Social Studies Classroom and children's series Thinking Like A Citizen』(2013) など
②John Lee2 1キャシースワン https://education.uky.edu/edc/wp-content/uploads/sites/2/2014/12/KathySwanVita_April 2014.pdf 2 ジョン.K.リー http://www4.ncsu.edu/~jklee/CVSept2011Lee.pdf
3 ジョン・リーはノースカロライナ州大学の社会科教育の准教授である。彼は社会科 国家スタンダードのためのC3 フレームワークの執筆者でありシニアコンサルタント である。 (研究内容) 彼の研究は,新しいリテラシーに関係するツールの理論化と開発及び,教えること や学ぶことの中のスタンダードとデジタルな歴史的情報源に焦点を当てている。 (活動)
・Microsoft Technology Enrichment Initiative のリーダーシップチームの一員 ・New Literacies Collaborative のディレクターで,デジタルな歴史と教育学のプ
ログラムを通して,革新的なデジタル歴史の情報源を開発している。 (著作)
・『Visualizing Elementary Social Studies Methods』
・『Research on Technology in Social Studies; and Guiding Learning with Technology』 など ③Rebecca Mueller3 レベッカ・ミュラーは現在,質問する生徒へ焦点を当て,ケンタッキー大学の博士課程 を達成しようとする全米基準委員会認定教師。 ④Stephen Day4 ステファン・デイはバージニアコモンウェルス大学における経済教育センターのデ ィレクタ―。 以上の4 者は,教育そのものや社会系教科の教育を専門としているという点で共通し ている。 3.各章を作成した団体や彼らが開発した単元 本書の作成に携わった団体は,以下の15 団体である。 ①The Colonial Williamburg Foundation
3 本文 p7 4 本文 p7
4 ②Gilder Lehrman Institute
③National Museum of American History
④The Bill of Rights Institute
⑤The Center for Economic Education and Entrepreneurship, university of Delaware
⑥National History Day
⑦The National Archives and Records Administration
⑧The Library of Congress
⑨Facing History and Ourselves
5 ⑩The Federal Reserve Bank of St.Louis
⑪Newseum
⑫National Geographic Society
⑬National Museum of the American Indian
⑭National Constitution Center
⑮Mikva Challenge 以上の15団体は,専門とする領域は異なるが,HP 上で教育に関する活動を盛んに していることから,どの団体も教育的な活動をおこなっていることが分かる。 15 団体がどのような教育をしようとしているかを考えるために,各団体が作成した 単元名や領域を整理する。そうすると,資料(レジュメ 10 ページ)のようになる。 資料を見ると,地理や歴史や公民(civics)などほぼすべての社会科系の領域が設けら
6 れているが,アメリカ史や公民が多いことが特徴として挙げられる。また,アメリカ 史と公民やアメリカ史と経済などの組み合わせがあり,アメリカ史が基本となってい るのではないかと推測できる。 以上のことを踏まえて,SQ1 に答えると以下のようになる。 SA1.本書は,4 人の教育の学者を中心に,教育に関心を持ち,アメリカ史や公民的な 内容や地理的な内容など,社会科的な内容を取り扱っている15 の団体によっ て作成された Ⅲ.Preface Preface では,以下のような構成で述べられている。 ⓪デューイの言葉の引用 ①社会科教育やC3 フレームワークにおける探究 ②探究の困難さとそれを解決するためのC3 の取り組み ③謝辞 ④終わりに Preface の冒頭では,探究は社会科教育の中に昔からあり不可欠なものであると記してい る。そして,社会科教育で探究を行うために,C3 フレームワークの探究過程を活用できると している。C3 フレームワークの探究課程とは,以下の 4 つである。 ①質問を立て探究を計画する ②学問的な概念や方法を適用する ③資料を評価し根拠を示す ④結論を伝達し見分のある行動をとる この探究モデルの中で教えることを意欲的で好ましいこととしながら,時間のなさ・膨大 な学習内容・探究自体の難しさなどの要素により,教師にとって探究で授業をすることは困 難であることも述べている。この難問を解決するために,15 の団体と協力して「C3 探究過 程チャレンジ(C3 Inquiry Arc Challenge)」に取り組み,それぞれの団体が生徒を協力させ, 学問のリテラシーを訓練し,それらの知見を創造的なやり方で示し,全ての学年で有意義 な内容経験の中でそれをするための方法を見つけることを課されて,本書の章や授業を作 成している。それらの章や授業は,社会科の中心テーマに焦点をあてそれをどのように社 会科カリキュラム統合させるかという見方を提供しており,C3 の学習過程を実行し再現す るための教師たちの案内書と見なされる。 このPreface の最後に,C3 は社会科教育の中心となる考え・出来事・事件と格闘するた めに,教師が探究の実践を研ぎ澄ます手助けとなる方策を創造したいとのべている。
7 以上の内容を踏まえて,SA2 に答えると,以下のようになる。 SA2. 探究を組み込んだ授業のアイデアを提供することで,社会科にとって重要であるが, 実際に導入するのは難しい「探究課程」を教師が組み込めるように,手助けをす るために作られた。 Ⅴ.各章の構成 1.各章の大まかな構成 各章は以下のような形式で作成されている。 ⓪表紙 ①章に関する基本情報(タイトルがないため便宜上筆者がつけた) ②導入とC3 フレームワークへの接続 ③探究課程 ④章を作成した団体について ⓪表紙では,タイトルと作成団体に加え,内容に関連する写真が掲載されている。① 章に関する基本情報では,その章の授業をする前に必要な情報やC3 学習過程における位 置づけが大まかに記されている。②導入とC3 フレームワークの接続では,章で取り扱う 事象に関する問題の提起とそれをC3 フレームワークに接続するための方策や問いを記 している。③探究課程では,探究課程の1 から 4 のそれぞれの次元における活動や問い を記している。④章を作成した団体についてでは,設立時期や団体の理念や活動などが 記されている。 2.章に関する基本情報(便宜上発表者命名) 章のタイトル 章を作成した団体 学問領域 探究領域 主題 C3 の中心目標(C3 Focus Indicators) D1 D2 D3 D4 (記入例) D3:権力と規制の双方に着目し,主張と反訴を展開しなさい。
8 学年 資料 必要時数 この部分では,上記のような表を用いて,章のタイトル・作成団体・学問領域・探究 領域・主題・C3 指導過程の目標・学年・資料・必要時数など,授業を行う前に必要な基 本的な情報が表を用いて記されている。 この表を見ると,その章をどのように扱えば良いかや探究の目標などの基本的な情報 が分かるようになっている。 3.導入と C3 フレームワークへの接続 この部分は大まかに分けて2 つのことが書かれる。 1 つは,取り上げる事例についてである。各章によって書かれ方は異なるが,この部分 では,その事例自体に対する説明や,学習前の児童生徒のその事例に対する知識や印象 はどのようなものか,ということが記されている。 2 つ目は,児童生徒がどのように内容の中心問題(学習課題)に接近するかである。ここ では,はじめに挙げた事例を授業で取り扱うに際してどのような発問や活動をするか, ということが記されている。 全ての章にこれらの2 つの要素の双方が記述されているわけではないが,少なくとも どちらか片方は記述されている。そうすることで,探究に入る前に知っておくべきこと ややるべき発問・活動が分かり,探究課程へと入りやすくなっている。 4.探究課程 この部分は,C3 の中心目標(C3 Focus Indicators)を実現するための探究活動を,実践 的な形でそれぞれ記されている。それらの記述は,活動や発問などの授業展開の例示や, 写真や図や表などの視覚的な教材の提示がなされており,具体度の高いものとなってい るのが特徴である。 また,これはすべての章ではなく半数ほどの章でのことではあるが,4つの次元に関 する記述がなされる前に,その章で行われる探究課程の流れが概説的に書かれている。 この記述があることで,探究課程の全体像を認識した上でそれぞれの次元をみることが できるようになっている。 5.章を作成した団体について 章の最後には,作成した団体の理念や活動などが記されている。ここを読むことによ り,作成団体のことを知ることができ,探究課程の補足的な資料や開発された単元以外 で,団体のサイトなどを利用できるようになっている。
9 以上のことを踏まえて,SA3 に対して以下のように答えたい。 SA3.各章の構成は,基本的な情報によって章のイメージが分かり,導入と C3 への接続 や探究課程に記されている具体的な記述を通してどのように授業を組めば基本的 な情報に書かれていることを達成できる授業になるのかがわかる構造になってい る。 本発表における3 つの SQ を踏まえて,以下のように RQ に答えたい RA.本書は,4 人の教育の専門家や社会科的な内容を取り扱い教育に関心を持つ 15 の団 体によって作成されており,教師が探究課程を授業に組み込めるようにするために, 各章で具体的にその章の概要や詳細な探究課程が記され,教師の探究的な授業の作 成の手助けになっているという性格を持つ。 Ⅴ.終わりに 本発表では,編著者・Preface・各章の構成を見ることで,本書の基本的な事項を知るこ とができた。それを踏まえ,各章の記述を見ていきたい。
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