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International Association of P2M ビジネス目標に基づく Web 広告開発 評価フレームワークの提案 Proposal of Web Advertisement Development and Evaluation Framework based on Business

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1. 千葉工業大学 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科

ビジネス目標に基づく Web 広告開発・評価フレームワークの提案

Proposal of Web Advertisement Development and Evaluation Framework

based on Business Targets

野本 真琴

Makoto NOMOTO

1

田隈 広紀

Hironori TAKUMA

2 Web 広告の開発・評価を全社的な目標と連動させ、ビジネス上の貢献度を向上させるための フレームワークを提案する。Web 上での商取引効果の測定に強みを持つ 3PAS(第三者配信)の 活用を前提とし、これに「デザインマネジメント」や「プログラム戦略マネジメント」、「プロジ ェクト目標マネジメント」の知見を元に、企業ブランド反映や、中長期的な利益への貢献度評価 の機能を付与する枠組みを考案した。さらにその有効性を、聞き取り調査にて評価した。 今後は試行実験等による有効性検証と改善を行い、本提案の実用性を高め、P2M の実践的知 見へと進化させる。 キーワード:Web 広告、ビジネス目標、3PAS(第三者配信)、デザインマネジメント、プログラ ム戦略マネジメント、プロジェクト目標マネジメント

This study proposes a framework for linking web advertisement development and evaluation with company-wide targets and for improving contribution to business. We devised a framework for add-ing the corporate brand promotion function and the function for evaluatadd-ing the contribution to medium- to long-term profits. In this devising, utilizing of third party ad serving (3PAS) that had advantage of mea-surement of business transaction effect on the web was assumed, and the knowledge of design manage-ment, program strategy managemanage-ment, and project target management was used. Its effectiveness was eva-luated by hearing survey.

In the future, we will verify and improve the effectiveness by trial experiments, etc., improve the practicality of our proposal, and evolve it to practical knowledge of project & program management (P2M).

Keywords: Web advertisement, Business target, Third party ad serving (3PAS), Design management, Pro-gram strategy management, Project target management

1. 緒言

総務省(2013)によると、「広告市場において、先進国では放送コンテンツと共に、Web 広告の 成長も著しく、米国や日本においては 15%~20%占めている状況にある。」という調査結果が 示されている[1]。また、経済産業省(2012)の調べによると、「テレビ広告は回復してきているが、 若い人のテレビ離れがすすんでいる。(中略)雑誌はネット化が進んでおり、インターネット との組み合わせによる展開が今後も増えていくのではないか。Web 広告は、検索と連動した運

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用型広告や、人を介さずとも広告を自動的に出すことができるといった新しい手法が発展して いる。また、今後スマートフォン向けの広告が増える」という見解を発表している。 さらにこれまでの広告代理店は、広告枠を確保するのが仕事だったが、今は広告主からの要 求の難度が上がっており、例えば、広告を展開するメディアを選択する際も、ビッグデータや 行動データからの商品のターゲットに合わせている」という調査結果も併せて示している[2] この 2 省が示している通り、Web 広告は展開方法が多様であり、ビッグデータ等のデータ分析 を活用しやすい点と相まって、今後著しい成長を遂げる可能性がある。このことから、Web 広 告の今後の動向にも注目が集まっている。 Web 広告は利便性が高く、期待も高まってきている。だが、Web 広告ならではの課題も存在 する。日本経済新聞の藤城裕之(2013)は「Web 広告が企業と消費者の間をつなぐ役割を担い続 けたいとするならば、まず消費者の不信感を払拭しなければならない。そのためには、顧客の 声を聞いて開発に反映させているというプロセスを消費者に見せる必要があり、これは広告業 界の努力だけでは実現できず、情報を発信する企業そのものの変化が問われることになる。」 という課題提起をしている [3]。また、フェイスブックジャパン代表取締役の岩下充志氏(日本 経済新聞の松本史、名古屋和希取材)(2013)によると、「インターネットの利用拡大に対して、 Web 広告の提供側のコントロールが追いついていない。」として、その主要な理由を下記の 3 点に要約している[4] 。 (1) 広告主側の企業習慣 Web 広告特有の新技術や概念を取り込む土壌が備わっていない。 (2) Web 広告への認識不足の問題 Web 広告のインパクトが高まり、企業レベルの意思決定や投資検討が必要になってい る一方で「マーケティング予算の一部」との認識から抜け出せていない。 (3) 広告効果の測定・評価が困難 月間利用者数や登録会員数等、Web 広告同士で横比較可能な指標作りが必要。 さらに、従来のマスメディアとも比較できる指標も必要。 この 2 つの記事の主軸には、ソーシャルメディアに代表される多様な Web コンテンツ上で広 告事業を展開するうえでのメリットと、それを享受するためにクリアするべき課題の示唆が含 まれる。Web 広告の利用メリットは、双方向性があることと、データ分析と連携しやすいこと の 2 点が挙げられる。一方で課題点は、閲覧者の不安を低減すること、広告主が Web 広告の価 値を認め投資を行うこと、広告効果を評価するための基準や指標を設定することの 3 点が挙げ られる。

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2. Web 広告の既存手法

Web 広告を行う上での既存の主な手法として、DSP(Demand-Side Platform)、3PAS(第三者 配信、【3rd.party Ad server】)の 2 つが挙げられる。さらにターゲティング(Web 広告の掲載対 象者を自動的に判断する仕組み)の手法として、オーディエンスターゲティングがある。 (1) DSP(Demand-Side Platform)「広告媒体の選定、コンテンツ配信(消費者趣向反映)」 複数のアドエクスチェンジ(広告枠の交換)やネットワークを一元管理する広告配 信の統合プラットフォームである。広告主や広告代理店が使用する、広告在庫の買い 付け、広告配信、掲載面、オーディエンスターゲティング等を一括して行う[5] (2) オーディエンスターゲティング「消費者趣向反映」 インターネット上の行動データ(Cookie 等)をもとにした、個人を特定しない「人 (オーディエンス)」ターゲティング手法である。米国で古くから存在していた「行動 ターゲティング」をベースに、2007 年頃からはデータソースを複雑に絡めたターゲテ ィング手法により、オーディエンスターゲティングが注目され始め、市場の規模を徐々 に拡大していった。複数のポータルサイトが連携することで、質の高いターゲティン グを行いながら、従来の行動ターゲティングよりターゲティングの対象を拡大するこ とが可能となった。従来の行動ターゲティングと比較して、「誰に配信するか」により 重点を置いていることが特徴である[5] 。

(3) 3PAS(第三者配信、【3rd.party Ad server】)「コンテンツ配信、効果測定」

Web 広告コンテンツを開発するうえで、広告主では「広告媒体の選定」「コンテンツ 配信」「効果測定」の仕組みを検討し構築する必要がある。3PAS(第三者配信)ではそ のうち「コンテンツ配信」「効果測定」を一元的に提供し、複数メディアを横断して管 理することが可能になる。さらに「効果測定」面での強みは、広告効果が高い消費者 を識別し、予算バランスをコントロールできることにある。配信の強みはリッチアド (ビデオ広告やインタラクティブ広告など)の配信や、フリークエンシー(広告の接 触頻度値)のコントロールができることなどにある[5] 図 1 3PAS(第三者配信)概要図[6]

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こうした既存の広告手法の活用によって、広告主の Web 広告開発・運営・評価に係る負荷を 軽減し、広告の費用対効果向上に貢献することが期待できる。しかし、前述の Web 広告のメリ ットを享受するためにクリアするべき 3 つの課題(閲覧者の不安を低減すること、広告主が Web 広告の価値を認め投資を行うこと、広告効果を評価するための基準や指標を設定すること) を直接解決する者ではなく、現状広告主の自助努力にて解決する必要がある。この問題は、 Web 広告の市場が今後拡大し、企業や消費者に対するインパクトが高まるにつれ、顕在化する と考えられる。具体的には、Web 広告に対する消費者の不安感や期待を考慮せずこれを行うこ とでの企業イメージの低下、全社的な制御が効かない状態で Web 広告を行うことによるブラン ドイメージの希薄化、全社的な戦略目標からみた効果が不明確な状態で Web 広告へ投資するこ とによる費用対効果や企業財務の悪化等が挙げられる。 こうした問題意識から、本研究では Web 広告の開発・評価を、全社的な戦略目標や統制と連 動させ、ビジネス上の貢献度向上や、消費者への不安低減を図る実装モデルを提案する。具体 的には単体の Web 広告配信・評価に強みを持つ 3PAS(第三者配信)を活用しつつ、さらに広 告への企業ブランドとガバナンスの反映や、中長期的な利益への貢献度評価を行うための機能 を「デザインマネジメント」や P2M の「プログラム戦略マネジメント」、「プロジェクト目標 マネジメント」の知見から導出して付与することで、新しい枠組み(実装モデル)を提案する。 ビジネス目標と連動させるという点において重要な考え方と思われるものとして、デザイン 戦略がある。これはデザインプロジェクトを発案及び提案、依頼、宣伝できるような条件を明 らかにし、設定することに焦点を絞る。デザイン戦略において、デザインマネジメントは組織 の戦略にデザイン思考を取り入れ、デザインチャンスを特定し、組織と顧客のニーズを解釈し、 デザインがビジネス全般にどのように貢献するかに目を向ける。この考え方は P2M の「プロ グラム戦略マネジメント」、「プロジェクト目標マネジメント」と親和するものであり、前述の 「デザイン戦略」と共に、主軸となる理論に採用して本研究を提案していく。今後の展望とし て、さらに試行実験等による有効性検証と改善を行い本提案の実用性を高め、P2M の実践的知 見へと進化させる。

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3. 研究方法

本研究で提案する実装モデルの導出と有効性確認の手順として、まずデザインマネジメント の「デザイン戦略手法」と P2M 理論の「プログラム戦略マネジメント手法」、「プロジェクト 目標マネジメント手法」を元に、Web 広告のスキームモデルとサービスモデルの具体的な仕組 みを導出する。 次に、導出した実装モデルをまたその枠組みを、マーケティング及び Web 技術の有識者であ る千葉工業大学の遠山 正朗 教授と矢吹 太朗 准教授に聞き取り調査にて評価頂き、改善と今 後の課題の抽出を行った(所属と肩書は 2014 年 3 月時点)。聞き取り調査は1時間程度行い、 妥当性、不明点、改善点の観点からフィードバックを頂戴した。評価の対象は、提案の章にて 説明する 4 つの要素を「事業計画」と「事業評価」にて行う、合計 8 個のアクションである。 本研究において必要な手法は、既存広告手法の 3PAS(第三者配信)、そしてその課題点を補 う手法として「デザインマネジメント」と P2M の「プログラム戦略マネジメント」、「プロジ ェクト目標マネジメント」がある。研究手順として、3PAS(第三者配信)の不足事項を明確に し、「デザインマネジメント」や P2M の「プログラム戦略マネジメント」、「プロジェクト目標 マネジメント」の知見から新たな機能を付与し、新たな枠組みを作る。またその枠組みの有効 性を千葉工業大学の有識者から聞き取り調査による評価を行い、確認した。 なお、本研究で提案する実装モデルは Web 広告のスキーム・サービスモデルの策定を支援す るものであり、広告コンテンツの具体的なデザインや仕様等を確定させるものではない。また 有効性確認として、上記の通り大学の有識者から聞き取り調査による評価をした点から、企業 での実用性・有効性検証は行っていない点を付記する。

4. Web 広告開発・評価フレームワークの実装モデル

本章では本研究で提案する実装モデルを解説する。

4.1. 実装モデルを構成する手法の説明

(1) デザイン戦略 デザイン戦略とは、「デザインマネジメント」と呼ばれるマネジメント知識体系で定義され ている手法の一つで、デザイン・プロジェクトを発案し、それを提案、依頼、宣伝できるよう な条件を明らかにし、設定することに焦点を絞る(目標の設定)。この手法において、デザイ ンマネジメントは組織の戦略に「デザイン思考」を採り入れ、デザインチャンスを特定し、組 織と顧客のニーズ(対象)を解釈し、デザインがビジネス全般にどのように貢献するかに目を 向ける(目的の設定)。今回の研究で扱う具体的なツールとして、以下の 3 つが挙げられる[7] ① デモグラフィクス 居住地、所得、年齢、購買パタンといった特定の基準に従って人を分類する手法で ある。こうしたデータベースは、しばしば洞察力をもたらすツールとなる。 このようなツールの背景には、ライフスタイル、行動、態度が似通っている人は購 買習慣も似ているという仮定がある。

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② パラダイムシフト ドラッカーのパラダイムシフトのモデルは、いかなる組織も相互に作用し合う 3 つ の異なる時間帯、すなわち過去、現在、未来に同時に存在すると提案する。フラハテ ィはさらにこの時間帯を 3 つの事業の「次元」、すなわち伝統、移行、変革の次元に 置き換えた。 これらの次元はデザインチャンスを特定し、デザインが組織のさまざま活動の側面 にどのように対応できるかを探るための意味深い出発点となる。 ③ デザイン評価 デザイン評価の第 1 段階では、組織の大きさと規模および組織がどのように活動し ているかのイメージを組み立てる。第 2 段階では、組織が内外からどう見られている かについての理解を深める。第 3 段階では組織におけるデザイン使用の評価に関連す る項目の視覚的評価を行う。 デザイン評価には組織内のコミュニケーション活動(デザインが組織内のスタッフ によってどのように知覚され、使われているか)の検討も含まれ、その内容とデザイ ンが組織外でどのように体験されているか(好きか嫌いか、顧客の関心および体験) を見なおした結果を比較する。 (2) プログラム戦略マネジメント プログラム戦略マネジメントは、ミッションの全体価値を戦略的水準で解釈し、テーマ、目 的、目標、手段の相互関連性を明らかにし、その基本的な枠組みを策定して重要な制約を特定 し、プログラム遂行のすべての過程でミッションの実現を再優先するように、統合マネジメン トを遂行することである。統合マネジメントは、経営戦略における課題の解決がミッションと して与えられ、外部に変化が発生しても柔軟に適応して内部の組織能力をつくり出し、ミッシ ョンを必ず達成する現状打破の戦略的意図を媒介とした実行マネジメントを意味している。不 確実性を前提としながらも、ミッション達成がすべてに優先する考え方である。その実現には、 伝統的な思考にとらわれず、全体に筋道のある提案や進め方を基本として用意し、それぞれに 優先順位をつけ、状況に応じて意思決定する考え方が必要である。 したがって、プログラムマネジャーは、プログラム統合マネジメントとりわけプロファイリ ングマネジメントおよびアーキテクチャマネジメントの過程において、以下の戦略を意図した プログラムマネジメント思考が重要である。 ① 洞察力で描く全体像をモレやムダなく構想化する。=マッキンゼー社が開発した Mutually Exclusive Collectively Exhaustive(MECE 志向)。

② 使命達成の価値を大切にして、問題解決の基本的な枠組みをつくる(フレームワーク 志向)。

③ 計画や実行では伝統的な考え方にとらわれず、自由な発想で知恵を出す(ゼロベース 志向)。

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④ 状況に対応して複数案の間に優务の順位をつけ、意思決定をする(オプション志向)。 すなわち、プログラムは、企業レベルの戦略をプログラムミッションの実行として実現する 戦略実行(Strategy Implementation)であるが、環境や状況の変化にかかわらずプログラムミ ッションが意図する価値創造の成果を真に実現するには、戦略水準におけるミッションの全体 価値をプログラムシナリオに展開し、さらに構想計画により明らかにされるプロジェクト群の 定義に正しく反映する必要がある。逆に言えば、プロファイリングとアーキテクチャマネジメ ントの結果として定義されるプロジェクト群には、プログラムの戦略が織り込まれていなけれ ばならない(図 2 参照)。 図 2 プログラム戦略マネジメント 今回の研究で扱う具体的なツールとして、プロジェクトポートフォリオ(ポートフォリオ分 析)から以下の 2 つが挙げられる[7] ① ポートフォリオ価値(プロジェクトの評価項目) プロジェクトポートフォリオは、企業におけるすべてのプロジェクトの相対的な価 値とリスクを映し出す。 次に例示する評価項目に対し各プロジェクトの評価を実施し、複数の評価項目を組み 合わせることによりプロジェクトの相対評価を行っていくことになる。 (i) 企業戦略との適合度、貢献度(プロジェクトと企業戦略との整合度合い) (ii) 市場規模(プロジェクトが作り出す製品の販売規模と市場インパクトの大きさ) (iii) 市場競争力(製品の市場における競争力) (iv) 財務的な報酬(プロジェクトによって創出されるキャッシュフローの大きさ) 環境や状況の変化

戦略マネジメント(策定,実行,戦略的要素)

プログラム

成果実現

ミッション

ビジョン

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(v) 技術的な革新性(技術的な新しさと、企業に対する技術的な貢献度) (vi) 成功確率(プロジェクトが成功する確率、リスクの大きさ) (vii) 開発投資コスト(製品開発を行うまでのプロジェクトへの投資コストの大きさ) (viii) 完了までの期間(完了するまでに要する期間) (ix) マーケティングなどを含めた事業展開費用 (x) 環境、社会面における受容性(環境問題や社会的な悪影響を発生させないか) (xi) 社内ビジネスプロセス改善に対する貢献度 (xii) 人材育成から見た貢献度 (xiii) 企業ブランドの向上に対する貢献度 ② 企業戦略へのフィードバックパス 予想収益が高くリスクが低くても企業戦略との整合性が薄いプロジェクトを選択 しなかったり、予想収益が低くリスクが高くても企業戦略との整合性が強く企業戦略 実現への貢献が大きいプロジェクトを積極的に推進したり、プロジェクトの取捨選択 には企業戦略との整合性も重要なインプットとして考えなくてはならない。 また逆に、企業が保持しているプロジェクトポートフォリオをインプットとして、企 業戦略そのものの軌道修正を行うことも併せて考える必要も出てくる。 (3) プロジェクト目標マネジメント プロジェクト目標マネジメントとは、P2M で定義されているマネジメント手法の一つで、プ ロジェクトマネージャやチームメンバが、契約条件や資源などの制約のもとで、その時点から 完了までの工程(対象)を想定し、バランスのとれた形で完遂するための路程図を「目的」と して提供することが主な機能である。プロジェクト目標マネジメントは、プロジェクトマネジ メントの中核となる業務プロセスである。 今回の研究で扱う具体的なツールとして、品質マネジメント、報告・変更・課題管理から以 下の 2 つが挙げられる[8] ① 散布図(品質マネジメントのツール) 散布図とは、横軸に要因、縦軸に結果として打点したものを表したグラフで、その 因果関係を検証するために用いられる。要因と結果の相関関係が一目でわかる。 ② 文書管理・電子化(報告・変更・課題管理のツール) 情報の蓄積(保管)には、計画的かつ組織的な文書管理(ファイリングシステム) が必要となる。交換される情報の種類と量によって、保管を単一場所で集中管理する 場合と、定められた分類に従って複数の場所に分散保管する場合がある。いずれの場 合においても、プロジェクトの初期に分類方法、管理場所、管理コード、管理者、最 新版への差し替え手順、旧版の破棄基準などを定めた文書(データ)管理システムを 構築し、すべての関係者に周知徹底することが肝要である。

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4.2. 実装モデルの全体イメージ

図1に、本研究で提案する実装モデルの全体イメージを示す。 図の中央に、既存の 3PAS(第三者配信)の実装モデルを配し、その 4 つの要素(消費者、 広告コンテンツ、分析・管理、データベース)に対し、事業計画・評価の観点から必要となる アクションをそれぞれに配している。 まず事業計画の段階で、想定顧客分析、広告手段の選定、評価指標の立案、過去実績の分析、 この 4 つのアクションからなるプロセスを配した。 1 つ目のアクションとして、デザイン戦略による「デモグラフィクス」の知見から想定顧客 分析(趣向・行動パタン)を行う。分類した顧客層ごとに心理面の購買意欲分析をすることで、 明確な購買層を考案することができ、企業のブランド戦略に対応させることができる。 2 つ目のアクションとして、デザイン戦略による「パラダイムシフト」の知見から広告手段 の選定、ブランド戦略との整合を行う。これにより企業の環境を把握し、ブランド戦略と整合 する広告手段を検討することができる。 3 つ目のアクションとして、プログラム戦略マネジメント(プロジェクトポートフォリオ) による「ポートフォリオ価値」の知見から評価指標の立案、事業目標との関連付けを行う。事 業目標の相対的な価値とリスクを映し出すことによって、複数の評価項目から事業評価 3 に適 した指標を作成できる。 4 つ目のアクションとして、プログラム戦略マネジメント(プロジェクトポートフォリオ) による「企業戦略へのフィードバックパス」の知見から過去実績の分析(広告手段と効果等) を行う。過去実績の収益・リスク・企業戦略との整合性を計ることによって、適切な広告実装 を行うことができる。

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図 3 実装モデルのイメージ図 続いて事業評価の段階で、購買層の実績評価、広告コンテンツ評価、評価指標と事業目標と の相関分析、ナレッジデータの蓄積、この 4 つのアクションからなるプロセスを配した。 1 つ目のアクションとして、プロジェクト目標マネジメント(品質マネジメント)による「散 布図」の知見から購買層の実績評価(計画との一致度)を行う。事業計画 3 から得た指標を基 に相関分析を行うことで、計画と実績評価との整合度合いを測れる。 2 つ目のアクションとして、デザイン評価の知見から、広告コンテンツ評価(消費者反応等) を行う。簡易な 5 段階評価を行ってもらうことで、消費者のストレスを最小限に抑え、評価を 行ってもらうことができる。 3 つ目のアクションとして、プロジェクト目標マネジメント(品質マネジメント)による「散 布図」の知見から評価指標と事業目標との相関分析を行う。事業計画 3 から得た指標を元に相 関分析を行うことで、事業目標に対する貢献度を測れる。 4 つ目のアクションとして、プロジェクト目標マネジメント(報告・変更・課題管理)によ る「文書管理・電子化」の知見からナレッジデータの蓄積を行う。事業評価 1~3 のデータを 分散保管することで、「過去実績の分析」に活用することができる。

事業評価

事業計画

3.評価指標の立案 事業目標との関連 7.評価指標と事業 目標との相関分析 4.過去実績の分析 (広告手段と効果等) 8.ナレッジデータの 蓄積 1.想定顧客分析 (趣向・行動パタン) 5.購買層の実績評価 (計画との一致度) 2.広告手段の選定 ブランド戦略との整合 6.広告コンテンツ評価 (消費者反応等)

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4.3. 実装モデルの利用手順

表 1 に、前節で紹介した実装モデルの利用手順を記す。 表 1 実装モデルの利用手順 No. アクション名 具体的な作業 引用元 事業計画 1 想定顧客分析 (趣向・行動パタン) (1) デモグラフィクスの知見から特定の基準に従い顧客を分類する (2) 分類した顧客層ごとに、心理面の購買意欲分析をする (3) 企業のブランド戦略に対応する購買層を決定する [7] 2 広告手段の選定 ブランド戦略との 整合 (1) パラダイムシフトの知見から企業の環境を把握する (2) どの広告手段が企業のブランド戦略に整合するか検討する (3) 広告手段の仮決定 [7] 3 評価指標の立案、事 業目標との関連付け (1) 過去実績が広告に拠るものなのか、企業に対して調査を行う (2) 調査企業ごとに事業目標の相対的な価値とリスクを映し出す (3) (2)を元に、事業評価 3 に適した評価指標を作成する [8] 4 過去実績の分析 (広告手段と効果等) (1) 過去実績のコンバージョン獲得単価(CPA)、投資した広告費用 の回収率(ROAS)、リスク、ブランド戦略の整合性を計る (2) (1)を元に、広告手段の取捨選択をする (3) 選択した広告手段にて広告を実装 [8] 事業評価 1 購買層の実績評価 (計画との一致度) (1) コンバーションした消費者の客層把握(年齢・性別・職業等) (2) 想定顧客との差異分析をする (3) 分析結果を元に広告内容を修正する [8] 2 広告コンテンツ評価 (消費者反応等) (1) 購買した人としてない人、広告をクリックした人としてない人と いったように、反応別に消費者を分類する (2) 分類別に、評価項目が違う 4 段階評価のアンケートを作成する (メッセージ性の強弱、企業ブランドとの一致度、UI の優务等) (3) 上記のアンケートを広告に付加し評価とフィードバックを実施 [7] 3 評価指標と事業目標 との相関分析 (1) 散布図等を用いて、Web 広告と事業実績との相関図を作る (横軸にアクセス数やクリック率、アトリビューション【間接効果】、 縦軸に事業の達成率をとる ) (2) Web 広告・事業実績の差異と事業目標への貢献度を評価する [8] 4 ナレッジデータの 蓄積 (1) 事業評価 1~3 のデータを文書として管理、それを電子化する (実績評価値と作成文書等が対応付くよう保管する) (2) 保管されたデータを「過去実績の分析」に活用する [8]

5. 提案の評価

4 章の提案を評価するため、関連分野の有識者である千葉工業大学の遠山 正朗 教授と矢吹 太朗 准教授から 1 時間程度レビューを頂いた。 提案の全体及び、合計 8 個のアクションについてご指摘を頂戴し、その結果から下記の表を 作成した。本研究内で対応可能なご指摘は、既に 4 章の実装モデルと利用手順に反映させてい る(「提案を修正」の列)。また、継続的な調査・検討が必要と判断したものは、次章に今後の 課題として表記する(「今後の課題」の列)。

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表 2 有識者からのご指摘事項とその対応 対応 対象 提案を修正 (4 章に反映済み) 今後の課題 (引き続き研究する) 基本的な考え方 -背景の捉え方 -提案の方向性 本研究の提案が目指すゴールを明確 にするべき。 ブランド戦略をはじめ、先行研究を継 続的に調査するべき。 事 業 計 画 想定顧客の 分析 選定したセグメントの顧客の、心理面 での購買意欲分析が必要。 セグメントの定め方、購買量の想定方 法、購買に至る流れの分析方法をより 詳細に提案するべき。 Web 広告への反応を具体的に分析す る方法を定めるべき。 広告手段の 選定 ― 各作業手順をより具体的に示すべき。 その際、購買意欲の向上と、ブランド イメージの向上で方法が違ってくる 点に注意。 評価指標の 立案 実績が、商品そのものに拠るものか、 広告に拠るものかを判断するため、ア ンケート等が必要になる。 ― 過去実績 の分析 ― 実績をどう活用するのかを明確にし て、具体的に蓄積するデータ項目を引 き続き調査するべき。 過去実績の分析に対する 具体的な指針が尐ない。 事 業 評 価 購買層 の実績 購買層の実績を把握し、それをどう生 かすのかを具体的に提案するべき (計画通りになるよう広告を修正す る等)。 ― 広告 コンテンツ クリックや購買を行わなかった人か らの評価も重要であり、それを取得す るアンケート等も追加するべき。 ― 事業へ の影響 ― Web 広告と事業での実績値の、どの項 目の相関を見るのかをより明確にす るべき。 ナレッジ 蓄積 ― 蓄積する項目と方法をより具体的に 示す必要がある。

6. 結言

有識者から提案の評価を頂いたことにより、今後の課題となる改善要素を 5 つ洗い出すこと ができた。1 つ目はブランド戦略をはじめ、先行研究を継続的に調査すること。2 つ目はセグ メントの定め方、購買量の想定方法、購買に至る流れの分析方法をより詳細に提案すること。 3 つ目は購買意欲の向上と、ブランドイメージの向上で方法が違ってくることを考慮しつつ、 各手順作業をより具体的に示すこと。4 つ目は実績をどう活用するのかを明確にして、具体的

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に蓄積するデータ項目を引き続き調査すること。5 つ目はナレッジデータを蓄積する項目と方 法をより具体的に示す必要があること。これらの課題点は全て Web 広告に対する理解が不足し ていることが原因として挙げられる。今後も Web 広告の勉強を怠らず、有識者から頂戴したご 指摘を元に引き続き研究を発展させ、実用化に繋げていきたい。

参考文献

[1] 総務省「平成 25 年版 情報通信白書」 URL:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/n1200000.pdf [2]経済産業省「平成 24 年度 特定サービス産業実態調査利活用促進のためのデータ作成 とサービス産業動向把握のための調査」 URL:http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/topics/kenkyuShiryo/hokokusho/pdf/h24houkokusho.pdf [3]日本経済新聞 藤城裕之「家電不況が引き金、転換迫られるネット時代の広告戦略」 URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2700Y_X20C13A3000000/ [4]日本経済新聞 松本史、名古屋和希「フェイスブック、日本戦略本格始動 スマホで 刺さる広告を」 URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF0400G_U3A001C1H1EA00/

[5]Digital Marketing Lab 広瀬信輔「インターネット広告の歴史」 URL:http://dmlab.jp/web/history.html [6]サイバー・コミュニケーションズ「広告運用サービス」 URL:http://www.cci.co.jp/service/solution_for_a/ad_operation/delivery.html [7]美術出版社 キャスリーン・ベスト「デザインマネジメント デザインをビジネス戦略に活 かす基礎知識」 [8]日本能率協会マネジメントセンター 日本プロジェクトマネジメント協会「新版 P2M プロ ジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック」

図 3  実装モデルのイメージ図    続いて事業評価の段階で、購買層の実績評価、広告コンテンツ評価、評価指標と事業目標と の相関分析、ナレッジデータの蓄積、この 4 つのアクションからなるプロセスを配した。  1 つ目のアクションとして、プロジェクト目標マネジメント(品質マネジメント)による「散 布図」の知見から購買層の実績評価(計画との一致度)を行う。事業計画 3 から得た指標を基 に相関分析を行うことで、計画と実績評価との整合度合いを測れる。  2 つ目のアクションとして、デザイン評価の知見から、広告
表 2  有識者からのご指摘事項とその対応  対応  対象  提案を修正 ( 4 章に反映済み)  今後の課題  (引き続き研究する)  基本的な考え方    -背景の捉え方    -提案の方向性  本研究の提案が目指すゴールを明確にするべき。  ブランド戦略をはじめ、先行研究を継続的に調査するべき。  事 業 計 画 想定顧客の分析 選定したセグメントの顧客の、心理面での購買意欲分析が必要。  セグメントの定め方、購買量の想定方法、購買に至る流れの分析方法をより詳細に提案するべき。 Web広告への反応を具

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